JP4776860B2 - 白色脂肪族ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は白色脂肪族ポリエステルフィルムに関する。特に詳しくは、隠蔽性、筆記性に優れ、粗大突起が少なく、削れによる粉落ちが少なく、特に印刷や筆記を行う表示基材として有用な脂肪族ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内部に微細な空洞を含有する白色フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート樹脂に、酸化チタンや炭酸カルシウムなどの無機粒子や、ポリエチレンテレフタレート樹脂に非相溶な樹脂を混合して製膜した後、二軸方向に延伸して無機粒子や非相溶樹脂を核とした微細な空洞を形成させる方法が知られており、受像フィルム、ラベルなどに使用されている。しかし従来から使用されているこのような白色フィルムは、自然環境下で分解しないか、または分解速度が極めて低いため、使用後放置されたり、土中に埋没処理された場合、半永久的に地上や地中に残存することになる。また、海洋投棄された場合は、景観を損なったり、海洋生物の生活環境を破壊したりする。さらにまた、焼却処理した場合、その高い燃焼熱によって、焼却炉の劣化を促進する。このように、消費の拡大と共に廃棄物処理が社会問題となっている。
【0003】
一方、ポリ乳酸を始めとする脂肪族ポリエステルフィルムは自然環境に廃棄された際に分解すること、例えば土壌中で自然に加水分解した後に微生物によって無害な分解物となることを特長として開発されたものであり、生分解性を有するポリ乳酸からなる白色フィルムとして、ポリ乳酸に非相溶な樹脂を添加したフィルムが提案されている(特許文献1参照)。しかし、このような白色フィルムではフィルム表面が平滑になりすぎるため、鉛筆やペンによる筆記性に劣るという問題があった。
【0004】
また、脂肪族ポリエステルに有機粒子や無機粒子を添加した白色フィルムも提案されている(特許文献2参照)。しかし、このような白色フィルムでは、脂肪族ポリエステル中の有機粒子や無機粒子を均一に分散させることが困難なため、フィルム表面に粗大突起が発生しやすく、加工工程や使用時に粗大突起が削れ、粉落ちや工程汚れが発生しやすいといった問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−146071号公報(第2頁、請求項1等)
【0006】
【特許文献2】
特開2001−49003号公報(第2頁、請求項4等)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる課題を解決するために、隠蔽性と筆記性に優れ、表面の粗大突起の少ない白色脂肪族ポリエステルフィルムを提供し、併せてその製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムは主として次の発明特定事項からなる。すなわち、脂肪族ポリエステルを45〜90重量%、エチレンテレフタレートが主な繰り返し単位である芳香族ポリエステルを5〜25重量%、及び酸化チタンを5〜30重量%含有する組成からなるフィルムであって、見かけ比重が1.25〜1.35g/cm3、光学濃度が0.4以上、かつ白色度が75%以上である白色脂肪族ポリエステルフィルムである。
【0009】
また、本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムの製造方法は主として次の発明特定事項からなる。すなわち、無機粒子を20〜60重量%含有し、融点が170〜240℃である、エチレンテレフタレートが主な繰り返し単位である芳香族ポリエステルのチップ5〜40重量%と、無機粒子の含有量が0〜5重量%である脂肪族ポリエステルチップとを混合して溶融押出し、得られた未延伸フィルムを少なくとも1方向に延伸することにより本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムを製造するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における脂肪族ポリエステルは、一般式−O−CHR−CO−(Rは水素または炭素数1〜3のアルキル基)を主たる繰り返し単位とするポリマーである。このような脂肪族ポリエステルとしては、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(2−オキシ酪酸)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの脂肪族ポリエステルは単独で用いても良いが、2種類以上の混合物、共重合体を使用してもかまわない。ポリマー中に不斉炭素を有する場合は、L−体、DL−体、D−体といった光学異性体が存在するが、それらのいずれでも良く、また、それら異性体の混合物でも良い。これらフィルムの素材となる上述したポリマーは、対応するα−オキシ酸の脱水環状エステル化合物を開環重合する等、公知の方法で製造される。
【0011】
上記脂肪族ポリエステルの中では、ポリ乳酸系ポリエステルが最も好ましい。ここで言うポリ乳酸系ポリエステルは、ポリ乳酸または乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、もしくはこれらの混合物であり、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、取扱性、加工性、物性を調整する目的で、可塑剤、滑剤、熱安定剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等の添加剤を含有させてもよい。乳酸としては、L−乳酸、D−乳酸が挙げられ、他のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸が挙げられる。
【0012】
本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムは、上記脂肪族ポリエステルを45〜90重量%、好ましくは70〜85重量%含有し、エチレンテレフタレートが主な繰り返し単位である芳香族ポリエステル5〜25重量%、好ましくは5〜20重量%含有し、さらに、無機粒子を5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%含有する組成からなる。脂肪族ポリエステル含有量が90重量%より大きい場合、フィルムの隠蔽性が不十分になり易い。また、この場合、無機粒子含有量を多くして隠蔽性を高くすると粒子の凝集によって粗大突起が発生しやすくなり、加工工程や使用時に粗大突起が削れ、粉落ちや工程汚れが発生しやすくなる。
【0013】
また、エチレンテレフタレートが主な繰り返し単位である芳香族ポリエステルの含有量が5重量%より少ないか、無機粒子の含有量が30重量%より多い場合は、無機粒子の凝集により均一なフィルムを得るのが困難となったり、延伸性に劣ったフィルムとなり易く、また、無機粒子が脱落しやすくなるため、溶融押出時の口金や製膜工程や後加工工程で脱落粒子による汚れが発生しやすい。一方で、無機粒子の含有量が5重量%より小さい場合は良好な隠蔽性のフィルムを得ることができない。脂肪族ポリエステル含有量が45重量%より小さい場合やエチレンテレフタレートが主な繰り返し単位である芳香族ポリエステルの含有量が25重量%より多い場合は生分解が発現できなかったり、コストが高くなってしまうなどの問題が生じる。
【0014】
本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムに用いるエチレンテレフタレートが主な繰り返し単位である芳香族ポリエステルは、融点が170〜240℃となるような共重合量の範囲であれば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸などの長鎖脂肪酸、ブタンジオール、プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールなどの共重合成分を任意に選択して共重合することができるが、無機粒子の分散性と良好な隠蔽性を両立させるためには、イソフタル酸を5〜30モル%共重合したポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
【0015】
本発明の白色ポリエステルフィルムに用いる無機粒子には、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルクやシリカ粒子などを用いることができるが、好ましい白色度と光学濃度を有するフィルムを得るためには、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。無機粒子の平均粒子径は0.1〜5μmが好ましい。
【0016】
本発明の白色ポリエステルフィルムに酸化チタンを用いる場合、アナターゼ型、ルチル型、ブルカイト型いずれの結晶形のものも用いることができるが、フィルム内での分散性、フィルムの白色度が良好なフィルムを得るためには、アナターゼ型もしくはルチル型の酸化チタンを用いることが好ましく、フィルム内での分散性を向上させるために表面をアルミナ、シリカ等の酸化物で被覆したり、脂肪族ポリオール等で表面処理を施したものを用いることが好ましい。
【0017】
本発明の白色ポリエステルフィルムに炭酸カルシウム粒子を用いる場合、カルサイト型、アラゴナイト型、バテライト型いずれの結晶形のものも使用することができる。
【0018】
本発明の白色ポリエステルフィルムに炭酸バリウム粒子を用いる場合、重晶石から化学反応により製造した沈降性硫酸バリウムを用いることが好ましい。
【0019】
本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムは隠蔽性の面から光学濃度が0.4以上、好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.8以上である必要がある。光学濃度が0.4未満では、隠蔽性が不十分となる。光学濃度の上限は特に限定しないが、一般にフィルムの厚さ50μm換算で1.50以上とすることは困難である。
【0020】
本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムは印字や筆記の鮮明性の面から白色度が75%以上、好ましくは85%以上であることが必要である。白色度が75%より小さい場合は、黒色、青色の鉛筆やペンで筆記した場合の鮮明さが劣るものになってしまう。
【0021】
本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムの厚さは、ラベルとして用いた場合の減量、軽量化の面から10〜100μmが、特に20〜100μmが好ましい。
【0022】
本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムは筆記性の面から少なくとも片面の光沢度が50%以下であることが好ましい。光沢度がかかる好ましい範囲であると、筆記性に特に優れたフィルムとすることができる。
【0023】
本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムは、見かけ比重が1.15〜1.35g/cm3、さらには1.25〜1.35であることが好ましい。見かけ比重がかかる好ましい範囲であると、筆記性に優れたフィルムとできる一方、製膜工程内で破れが発生しにくくなりやすいため好ましい。
【0024】
本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムは、良好な耐摩耗性を達成するためには、少なくとも2層以上からなる積層フィルムであって、少なくとも一方の表層における無機粒子の含有量が、フィルム全体の無機粒子の含有量よりも5重量%以上少ないことが好ましい。後加工工程で過酷な耐摩耗性を要求される場合は、無機粒子低濃度含有層を高濃度含有層の両面に積層した3層構成とすることが特に好ましい。無機粒子低濃度含有層の積層厚みは1〜5μm、特に好ましくは1〜3μmである。
【0025】
次に本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムの製造方法について説明する。本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムを製造する際には、無機粒子を20〜60重量%含有し、融点が170〜240℃である、エチレンテレフタレートが主な繰り返し単位である芳香族ポリエステルのチップ5〜40重量%と、無機粒子の含有量が0〜5重量%である脂肪族ポリエステルチップとを混合して溶融押出する方法が、粒子の凝集による粗大突起が少ないフィルムが得られるため好ましい。芳香族ポリエステルチップに用いるエチレンテレフタレートが主な繰り返し単位である芳香族ポリエステルは融点が170〜240℃である。この芳香族ポリエステルの融点が240℃より高い場合、脂肪族ポリエステルの融点と差が大きすぎるため均一なフィルムを得ることができ難い。
【0026】
本発明の製造方法においては、上記のとおりにして得られた未延伸フィルムを少なくとも1方向に延伸するものである。少なくとも1方向に延伸しなければ、フィルム強度が実用上不足する。この延伸は、インフレーション法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法などの既存の延伸フィルムの製造法により行うことが出来るが、製膜速度を高速に出来ることから逐次二軸延伸法が好ましい。
【0027】
逐次二軸延伸法で本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムを製造する場合の一例を示す。まず真空下で乾燥した上述の無機粒子を多く含有した芳香族ポリエステルチップと無機粒子を少なく含有した脂肪族ポリエステルチップとをブレンドして溶融押出機に供給し、公知の方法でスリット状の口金よりシート状に溶融押し出し、キャスティングドラムに密着させて冷却固化せしめて未延伸フィルムを得る。フィルムの表層に無機粒子を少なく含有した層を設ける場合は、2台以上の押出機を用いて、口金内または口金の上流で溶融ポリマーを合流させ積層未延伸フィルムを得る複合押出が最も好ましい。かかる方法で得た未延伸フィルムを連続して少なくとも一方向に延伸した後、更に直交方向に延伸し、熱処理することで、フィルムの強靱性を高めることが好ましい。フィルム長手方向の延伸には加熱ロールの周速差を利用したロール延伸法を用いることが、フィルム幅方向の延伸や二軸延伸後の熱処理には連続クリップを有するテンター法を用いることが好ましい。
【0028】
本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムには、インクや他素材と貼り合わせるための接着剤との密着性や帯電防止性などを付与する目的でコーティングによる機能層を設けても良く、この機能層の形成には、白色脂肪族ポリエステルフィルムの製造工程内で行うインラインコーティング法、白色脂肪族ポリエステルフィルムの巻き取り後に行うオフラインコーティング法を用いることができる。
【0029】
本発明の白色脂肪族ポリエステルフィルムは、隠蔽性、白色性の要求される様々な用途に用いることができるが、特に印刷や筆記を行うラベル用途などに好ましく用いることができる。
【0030】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明する。脂肪族ポリエステルとしては代表的なポリ乳酸を例にとって説明するが、もちろん本発明はこれに限定されない。
【0031】
[特性の測定方法]
(1)光学濃度
マクベス社製光学濃度計TR927を用いて、フィルム1枚での透過濃度を測定した。光学濃度は隠蔽性の指標となる。
(2)白色度(%)
分光式色差計SE−2000(日本電色工業(株)製)を用いてL,a,b値を求め、JIS L 1015 C法に従い下式を用いて白色度を求めた。
白色度(%)=100−{(100−L)2+a2+b2}1/2
(3)見かけ比重
50mm×60mmに切り取ったフィルムサンプルを、高精度電子比重計SD−120L(ミラージュ貿易(株)製)を用いて水中置換法により測定し、比重を求めた。
【0032】
(4)光沢度(%)
JIS K 7105に規定された方法にしたがって、スガ試験機製デジタル変角光沢度計UGV−5Dを用いて測定した。60度の角度で入射した光線に対する表面の正反射光の割合である鏡面光沢度を測定した。
(5)筆記性
フィルム表面に、硬度Bの鉛筆を用いて200g加重下で3mm間隔で長さ10cmの10本の直線を引き、目視で10本の直線が確認でき、カスレのない場合を優、目視で10本の直線が確認できるが、カスレがある場合を良、目視で10本の直線が確認できない場合を不良と評価した。
(6)粗大突起に起因した削れ特性
フィルムを15mm幅にテープ状にスリットしたものの表面に、フェザー安全剃刀(株)製片刃 FAS−10を、刃長がテープ幅方向となる向きで垂直に押しあて、さらに0.5mm押し込んだ状態でフィルムを10cm長走行させる(走行速度:2m/分、走行張力:100g)。この時片刃の先に付着したフィルム表面の削れ物の高さを顕微鏡で読み取り削れ量とした。この削れ量が0.1mm未満の場合は耐削れ性:優、0.1mm以上0.2mm未満の場合は耐削れ性:良、0.2mm以上の場合は不良と判定した。この値は、粗大突起が加工工程などで削れ、粉落ちによる汚れの発生の指標となるものである。
【0033】
[ポリエステル樹脂の準備]
脂肪族ポリエステル樹脂チップA: 重量平均分子量約20万のL−ポリ乳酸(融点170℃)のチップを用いた。
【0034】
脂肪族ポリエステル樹脂チップB: 脂肪族ポリエステル樹脂Aに対し、酸化チタン(石原産業(株)製タイペークCR60−1)を通常の二軸押出機を用いて200℃で混練し、酸化チタン濃度15重量%の脂肪族ポリエステル樹脂チップAを作製した。
【0035】
芳香族ポリエステルマスターチップA、B、C:
テレフタル酸ジメチル80重量部、イソフタル酸ジメチル20重量部、エチレングリコール67重量部の混合物に、テレフタル酸ジメチル量に対して酢酸マグネシウム0.09重量%、三酸化アンチモン0.03重量%を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行なった。次いで、該エステル交換反応生成物に、テレフタル酸ジメチル量に対して、リン酸85%水溶液0.020重量%を添加した後、重縮合反応層に移送する。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃で常法により重縮合反応を行い、固有粘度0.65、融点227℃のイソフタル酸20モル%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂を作製した。この共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂に対し、酸化チタン(石原産業(株)製タイペークCR60−1)を通常の二軸押出機を用いて260℃で混練し、酸化チタン濃度50重量%のマスターチップA,酸化チタン濃度40重量%のマスターチップB、酸化チタン濃度5重量%のマスターチップCを作製した。
【0036】
芳香族ポリエステルマスターチップD:
用いる共重合成分の種類、量を変更した以外は上記芳香族ポリエステルの場合と同様の方法で、固有粘度0.63、融点220℃の2,6−シクロヘキサンジメタノール15モル%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂を作製した。この共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂に対し、炭酸カルシウム粒子(日東粉化工業(株)製NCC45)を通常の二軸押出機を用いて200℃で混練し、炭酸カルシウム濃度50重量%のマスターチップDを作製した。
【0037】
実施例1
脂肪族ポリエステル樹脂チップは真空、120℃の条件下で5時間、また、芳香族ポリエステルマスターチップは真空100℃5時間、予備処理を行った後、150℃で5時間乾燥して用いた。脂肪族ポリエステル樹脂チップAと芳香族ポリエステルマスターチップAとを重量比で70:30でブレンドし、無機粒子含有量が15重量%となるように混合したものを押出機に供給し、Tダイ口金温度200℃でフィルム状に押し出し、25℃に冷却したドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製した。連続して78℃の加熱ロール間で長手方向に3倍延伸した後、一軸延伸フィルムをクリップで把持してテンター内に導き、80℃の温度で加熱しつつ横方向に3.5倍延伸し、幅方向に固定した状態で140℃、10秒間の熱処理を行い、厚さ50μmの白色脂肪族ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムの特性値は表1に示す通り良好なものであった。
【0038】
実施例2
脂肪族ポリエステル樹脂チップAと芳香族ポリエステルマスターチップAとを重量比で85:15で混合して用い、無機粒子含有量が7.5重量%となるように混合し、製膜速度を変更してフィルム厚さを75μmとした以外は実施例1と同様にして白色脂肪族ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムの特性値は表1に示す通り良好なものであった。
【0039】
比較例4
脂肪族ポリエステル樹脂チップAと芳香族ポリエステルマスターチップDとを重量比で70:30で混合して用い、無機粒子含有量が15重量%となるように混合した以外は実施例1と同様にして白色脂肪族ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムの特性値は表1に示す通り良好なものであった。
【0040】
実施例4
2台の押出機を用い、主層には、脂肪族ポリエステル樹脂チップAと芳香族ポリエステルマスターチップAとを重量比で70:30で混合し無機粒子含有量を15重量%とした組成物を用い、また、主層の両面の副層には、芳香族ポリエステルマスターチップCを用い、最終フィルムでの副層の厚みがそれぞれ2μmとなるように副層を積層した以外は実施例1と同様にして、総厚みが50μmの白色脂肪族ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムの特性値は表1に示す通り良好なものであった。
【0041】
比較例1
脂肪族ポリエステル樹脂チップBを単体で用いた以外は実施例1と同様にして白色脂肪族ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムの特性値は表1の通り、粗大突起に起因した削れ特性の劣るフィルムであった。
【0042】
比較例2
脂肪族ポリエステル樹脂チップAと芳香族ポリエステルマスターチップBとを重量比で50:50で混合して用い、無機粒子含有量が20重量%となるように混合した以外は実施例1と同様にして白色脂肪族ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムの特性値は表1の通り、粗大突起に起因した削れ特性の劣るフィルムであった。
【0043】
比較例3
脂肪族ポリエステル樹脂チップAと芳香族ポリエステルマスターチップAとを重量比で96:8で混合して用い、無機粒子含有量が4重量%となるように混合した以外は実施例1と同様にして白色脂肪族ポリエステルフィルムを作製した。得られたフィルムの特性値は表1の通り、筆記性、削れ性に劣るフィルムであった。
【0044】
【表1】
表1において、フィルムの光沢度は、光沢度が低い方の表面での値を示す。また、実施例4のフィルム組成は、主層及び副層を含むフィルム全体の平均値を示す。
【0045】
【発明の効果】
隠蔽性、及び筆記性に優れ、粗大突起が少なく削れによる粉落ちがの少なくい、特に印刷や筆記を行う表示基材として有用な脂肪族ポリエステルフィルムを得ることができる。
Claims (7)
- 脂肪族ポリエステルを45〜90重量%、エチレンテレフタレートが主な繰り返し単位である芳香族ポリエステルを5〜25重量%、及び酸化チタンを5〜30重量%含有する組成からなるフィルムであって、
見かけ比重が1.25〜1.35g/cm3、光学濃度が0.4以上、かつ白色度が75%以上であることを特徴とする白色脂肪族ポリエステルフィルム。 - 脂肪族ポリエステルがポリ乳酸系ポリエステルであることを特徴とする請求項1に記載の白色脂肪族ポリエステルフィルム。
- エチレンテレフタレートが主な繰り返し単位である芳香族ポリエステルが、イソフタル酸を5〜30モル%共重合したポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1または2に記載の白色脂肪族ポリエステルフィルム。
- フィルムの厚さが10〜100μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の白色脂肪族ポリエステルフィルム。
- 少なくとも片面の光沢度が50%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の白色脂肪族ポリエステルフィルム。
- 少なくとも2層からなるフィルムであって、少なくとも一方の表層における無機粒子の含有量が、フィルム全体の無機粒子の含有量よりも5重量%以上少ないことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の白色脂肪族ポリエステルフィルム。
- 無機粒子を20〜60重量%含有し、融点が170〜240℃である、エチレンテレフタレートが主な繰り返し単位である芳香族ポリエステルのチップ5〜40重量%と、無機粒子の含有量が0〜5重量%である脂肪族ポリエステルチップとを混合して溶融押出し、得られた未延伸フィルムを少なくとも1方向に延伸することにより請求項1〜6のいずれかに記載の白色脂肪族ポリエステルフィルムを製造することを特徴とする白色脂肪族ポリエステルフィルムの製造方法。
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