JP4817714B2 - 袋 - Google Patents
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Description
これら生分解性のポリマー、例えばポリ乳酸延伸フィルムの機械的強度、耐久性、厚み精度を改良する方法としてポリ乳酸に無機充填剤を配合して延伸する方法がある(たとえば、特許文献1参照)。このようにして得られたポリ乳酸延伸フィルムは、上記機械的強度の改良に加えて、隠蔽性、化粧性、紫外線カット性を備えている。しかし得られるフィルム単体からなる郵便用封書は紙封書のような隠蔽性は備えるものの封書表面に印刷等の方法で宛先を記す必要があり、また内容物が封書を開けるまで分からないといった問題がある。
また本発明は、酸化チタンの微粒子を3から20質量%及びそれ以外の無機微粒子を5から40質量%の割合で配合したポリ乳酸からなる組成物(A)からなる乳白二軸延伸フィルム(I)とポリ乳酸からなる透明二軸延伸フィルム(II)が重ね合わされ、その3方または4方の端部が接合されてなる袋に関する。
さらに本発明は、開口部のフィルム(II)がフィルム(I)より5から50mm長く封筒に適している袋に関する。
さらに本発明は、片面が隠蔽性、他面が透明性を有する特に郵便配送用の袋に関する。
さらに本発明は、ポリ乳酸に酸化チタンと共に他の充填剤を併用したフィルム、特に二軸延伸された隠蔽性のフィルム(I)とポリ乳酸からなる透明な二軸延伸フィルム(II)を重ねて端部が接合された袋に関する。
フィルム(II)は、酸化チタンを3質量%未満およびそれ以外の充填剤を5質量%未満含有する生分解性ポリマー組成物(B)から成形される透明性のあるフィルムであり、その厚さは通常5から500ミクロンメータ(μm)である。
本発明では生分解性ポリマーとしてポリ乳酸を用い、これに酸化チタンおよびそれ以外の充填剤を配合した組成物(A)からなるフィルム(I)が好適である。
フィルム(I)中の酸化チタンの配合割合は、3から20質量%、好ましくは5から15質量%であり、それ以外の充填剤の配合割合は5から40質量%、好ましくは10から30質量%である。
フィルム(II)中の酸化チタンの配合割合は、3質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、さらに好ましくは0質量%であり、それ以外の充填剤の配合割合は5質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、さらに好ましくは0質量%である。
酸化チタンはフィルムの白色を発色するために用いられる。この配合量が3質量%未満では得られるフィルムの白色発色が不十分で隠蔽性に劣るおそれがある。
また、酸化チタン以外の充填剤は、フィルムを構成するポリ乳酸などの生分解性ポリマーとの界面で剥離を起こし、ボイドを形成するのに用いられる。このような充填剤には、無機充填剤、有機充填剤など種々の充填剤を例示することができる。
また、酸化チタンの平均粒径は0.1から1ミクロンメータ(μm)、中でもは0.15から0.5ミクロンメータ(μm)が好適である。0.1ミクロンメータ(μm)未満ではハンドリングが悪く混練時が不均一になるおそれがあり、1ミクロンメータ(μm)より大きいと得られる延伸フィルムの白色発色が不十分で隠蔽性に劣るおそれがある。
また、酸化チタン以外の充填剤の割合が5質量%未満では延伸時におけるボイドの形成が充分でなく、30質量%より多いと得られる延伸フィルムが脆くなるおそれがある。
酸化チタン以外の充填剤は、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、シリカ、マイカ、カオリン及びハイドロタルサイトからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の充填剤が好適である。
酸化チタン以外の充填剤の平均粒径は0.3から12ミクロンメータ(μm)が好ましい。平均粒径が0.3ミクロンメータ(μm)未満では延伸時におけるボイドの形成が充分でなく、12ミクロンメータ(μm)より大きいと凝集し押出機のメッシュで目詰まりを起こすおそれがある。
ポリ乳酸
フィルム(I)およびフィルム(II)の原料である組成物(A)および組成物(B)に用いられる生分解性ポリマーとして好適な乳酸は、D−乳酸若しくはL−乳酸の含有量が5質量%未満、好ましくは3質量%未満で、融点が150から170℃の範囲のものである。このようなポリ乳酸としては、D−乳酸若しくはL−乳酸以外に、乳酸と共重合可能なコモノマーとしては、例えば3−ヒドロキシブチレート、カプロラクトン、グリコール酸などを共重合したものであってもよい。ポリ乳酸としては、MFR(ASTM D−1238による、荷重2160g、温度190℃)が通常、0.1から100g/10分、好ましくは1から50g/10分、特に好ましくは2から10g/10分のものが使用される。
これらポリ乳酸の重合法としては、縮合重合、開環重合法など公知のいずれの方法を採用することができる。例えば、縮合重合ではL−乳酸またはD−乳酸あるいはこれらの混合物を直接脱水縮合重合して任意の組成を持ったポリ乳酸を得ることができる。
酸化チタン
フィルム(I)に配合され、またフィルム(II)に配合されることのある酸化チタンは、その結晶形からアナタース型、ルチル型、ブルカイト型に分類され、これらのいずれも使用することができる。また、平均粒径は0.1から1ミクロンメータ(μm)、中でも0.15から0.5ミクロンメータ(μm)であることが好ましい。また、ポリ乳酸などの生分解性ポリマーへの分散性を向上させるために、表面をアルミナ、シリカ、酸化亜鉛等の酸化物で被覆したり、脂肪族ポリオール等で表面処理を施したものを用いることができる。市販品として、タイペーク〔石原産業(株)製、商品名〕、タイトン〔堺化学工業(株)製、商品名〕等が挙げられる。
それ以外の充填剤
フィルム(I)に配合され、またフィルム(II)に配合されることのある酸化チタン以外の充填剤として好適例は、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、シリカ、マイカ、カオリン、ハイドロタルサイトがあり、この群から少なくとも1種類以上を配合することが望ましい。これら好適な無機微粒子について以下に説明する。
炭酸カルシウム
炭酸カルシウムは、結晶形として、カルサナイト、アラゴナイト、バテライトのいずれも使用でき、平均粒径として0.3から6ミクロンメータ(μm)のものが好ましく用いられる。市販品として、NCC〔日東粉化工業(株)製、商品名〕、サンライト〔竹原化学(株)製、商品名〕等が挙げられる。
硫酸バリウム
硫酸バリウムは、重晶石から化学反応により製造した沈降性硫酸バリウムで、平均粒径が0.1から2ミクロンメータ(μm)のものを用いることができる。市販品としては、沈降性硫酸バリウムTH、沈降性硫酸バリウムST〔バライト工業(株)製、商品名〕等が挙げられる。
タルク
タルクは、天然に産出する含水ケイ酸マグネシウムで、平均粒径が0.1から10ミクロンメータ(μm)のものを用いることができる。市販品として、PK、LMS〔富士タルク工業(株)製、商品名〕等が挙げられる。
シリカ
シリカは、天然または合成で得られるケイ酸で、平均粒径1から12ミクロンメータ(μm)のものを用いることができる。市販品としては、サイリシア〔富士シリシア化学(株)製、商品名〕、ヒューズレックスクリスタライト〔タツモリ(株)製、商品名〕等が挙げられる。
マイカ
天然マイカや合成マイカなどのいずれも使用することができる。
カオリン
カオリンは、天然に産出する含水ケイ酸アルミニウムで、平均粒径が0.5から10ミクロンメータ(μm)のものを用いることができる。また、結晶水を除去したタイプも使用できる。市販品として、NNカチオンクレー〔土屋カチオン工業(株)製、商品名〕、ASP、サテントン〔エンゲルハルト(株)製、商品名〕等が挙げられる。
なお、乳白乳白ポリ乳酸二軸延伸フィルム(I)を構成する組成物(A)は、ポリ乳酸と共に、酸化チタンとそれ以外の無機微粒子を、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーミキサー等で混合する方法、混合後更に単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー等で溶融混練する方法等により得られる。
ハイドロタルサイト
ハイドロタルサイトとしては、たとえば、次の一般式
Mgx Alx (OH)2 AX/2 ・mH2O
(上式中、xは0<x≦0.5の範囲の実数であり、AはCO3 またはSO4 を示し、mは0または実数を示す。)
で表されるマグネシウムとアルミニウムの無水または含水複塩化合物があげられる。
ポリ乳酸からなる隠蔽性のある二軸延伸フィルム(I)
ポリ乳酸からなる二軸延伸フィルム(I)は、隠蔽性、化粧性、紫外線カット性に優れている。
ポリ乳酸からなる二軸延伸フィルム(I)の厚さは用途に応じて種々決めることができる。通常は厚さが5から500ミクロンメータ(μm)、好ましくは10から200ミクロンメータ(μm)の範囲にある。
ポリ乳酸からなる二軸延伸フィルム(I)の製造方法として、例えば以下の方法がある。
すなわち、酸化チタンおよびそれ以外の充填剤が配合されたポリ乳酸組成物を押出し成形したシートを、公知の同時二軸延伸法あるいは逐次二軸延伸法等の二軸延伸成形により二軸延伸フィルムとする方法がある。
二軸延伸の条件は、ポリ乳酸を延伸し得る条件、例えば、逐次二軸延伸法では、縦方向の延伸温度を60から100℃、延伸倍率を2から6倍の範囲、横方向の延伸温度を60から120℃とし、延伸倍率を2から12倍の範囲にすることが望ましい。
また、同時二軸延伸法では、延伸温度を60から120℃、延伸倍率を2から12倍(面倍率で4から150倍)の範囲にすることが望ましい。
二軸延伸後はヒートセット(熱処理)を行うことにより、熱収縮率を任意の範囲、例えば100℃、15分の条件下における縦方向の熱収縮率を0.5から1.5%、横方向の熱収縮率を1.0から2.0%の範囲にすることができる。
被覆層
フィルム(I)が、酸化チタンおよびそれ以外の充填剤を含む基材層の片面に0〜1%のシリカを含むポリ乳酸からなる被覆層が積層された複合フィルムである場合の被覆層について、以下に説明する。
被覆層のポリ乳酸に配合されるシリカの微粒子の平均粒径は0.1〜12ミクロンメータ(μm)の範囲が好適である。シリカの微粒子の平均粒径が0.1ミクロンメータ(μm)未満では表面に凹凸を与える機能が十分でなく、またハンドリングが悪く混練時に不均一を起こすおそれがあり、12ミクロンメータ(μm)より大きいとフィルム(I)のグロスが劣るおそれがある。
フィルム(I)の基材層は、通常5から500ミクロンメータ(μm)であり、被覆層は通常5から300ミクロンである。
次にフィルム(I)が、酸化チタンおよびそれ以外の充填剤を含む基材層の片面に脂肪族ポリエステル共重合体(B)97から5質量%及びポリ乳酸共重合体(C)3から95質量%との脂肪族ポリエステル組成物(D)((B)と(C)の合計は100質量%である。)からなる被覆層が積層された複合フィルムである場合の被覆層について、以下に説明する
被覆層は、脂肪族ポリエステル共重合体(B)とポリ乳酸共重合体(C)を含む脂肪族ポリエステル組成物(D)からなる。
フィルム(I)の基材層は、通常5から500ミクロンメータ(μm)であり、被覆層は通常5から300ミクロンである。
脂肪族ポリエステル共重合体(B)
脂肪族ポリエステル共重合体(B)は、融点(Tm)が80から120℃、好ましくは80から115℃、結晶化温度(Tc)が35から75℃、好ましくは37から73℃及び(Tm)−(Tc)が30から55℃、好ましくは35から50℃の範囲にある共重合体である。
一方、融点(Tm)が120℃を越えと、熱融着する際の融解する温度が高くなり、ヒートシール性が劣る虞がある。
また、脂肪族ポリエステル共重合体(B)の結晶化温度(Tc)が35℃未満では、結晶化温度が低過ぎ、かかる共重合体を被覆層として含む積層フィルムの延伸原反をキャスト成形で得ようとしても、通常の冷却温度(5から30℃)では完全に固化せず、得られる延伸原反にニップロール等の押し跡が転写したり、冷却ロールから容易に剥がれず、外観に劣るフィルムとなるおそれがある。
このような脂肪族ポリエステル共重合体(B)は、好ましくは2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分(a3)の含有量が0.1から25モル%、より好ましくは1から10モル%〔脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(a1)、脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分(a2)及び2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分(a3)で、脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(a1)と脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分(a2)モル数量は実質的に等しく、脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(a1)、脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分(a2)及び2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分(a3)のモル数量の合計を100モル%とする。〕の範囲にある。
本発明に係わる脂肪族ポリエステル共重合体(B)のメルトフローレート(MFR:ASTM D−1238、190℃、荷重2160g)は、フィルム形成能がある限り特に限定はされないが、通常0.1から100g/10分、好ましくは0.2から50g/10分、さらに好ましくは0.5から20g/10分の範囲にある。
脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(b1)
本発明に係わる脂肪族ポリエステル共重合体(B)を構成する成分である脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(b1)は、特に限定はされないが、通常、脂肪族ジカルボン酸成分は2から10個の炭素原子(カルボキシル基の炭素も含めて)、好ましくは4から6個の炭素原子を有する化合物であり、線状であっても枝分れしていてもよい。脂環式ジカルボン酸成分は、通常、7から10個の炭素原子、特に8個の炭素原子を有するものが好ましい。
また、脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(b1)は、2から10個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸を主成分とする限り、より大きい炭素原子数、例えば30個までの炭素原子を有するジカルボン酸成分を含むことができる。
これらの脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(b1)としては、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3−シクロペンタジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸および2,5−ノルボルナンジカルボン酸等のジカルボン酸、かかるジカルボン酸のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジ−n−プロピルエステル、ジ−イソプロピルエステル、ジ−n−ブチルエステル、ジ−イソブチルエステル、ジ−t−ブチルエステル、ジ−n−ペンチルエステル、ジ−イソペンチルエステルまたはジ−n−ヘキシルエステル等のエステル形成誘導体を例示できる。
これら、脂肪族または脂環式ジカルボン酸あるいはそのエステル形成誘導体は、単独かまたは2種以上からなる混合物として使用することもできる。
脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(b1)としては、特に、コハク酸またはそのアルキルエステルまたはそれらの混合物が好ましい。
脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分(b2)
脂肪族ポリエステル共重合体(B)を構成する成分である脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分(b2)は、特に限定はされないが、通常、脂肪族ジヒドロキシ化合物成分であれば、2から12個の炭素原子、好ましくは4から6個の炭素原子を有する枝分かれまたは線状のジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物成分であれば、5から10個の炭素原子を有する環状の化合物が挙げられる。
これら脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分(b2)としては、具体的には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、とくには、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及び2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール);シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール類及びジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリオキシエチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール並びにポリテトラヒドロフラン等が例示でき、特には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリオキシエチレングリコール又はこれらの混合物又は異なる数のエーテル単位を有する化合物が挙げられる。脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分は、異なる脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物の混合物も使用することができる。
2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分(b3)
脂肪族ポリエステル共重合体(B)を構成する成分である2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分(b3)は、特に限定はされないが、通常、1から10個の炭素原子を有する枝分かれまたは線状の二価脂肪族基を有する化合物が挙げられる。
かかる2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分(b3)としては、具体的には、例えば、グリコール酸、L−乳酸、D−乳酸、D,L−乳酸、2−メチル乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシイソカプロン酸、ヒドロキシカプロン酸等、かかる2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、シクロヘキシルエステル等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステル形成誘導体を挙げることができる。
ポリ乳酸共重合体(C)
ポリ乳酸共重合体(C)は、D−乳酸を7から30質量%、好ましくは8から25質量%含むD−乳酸とL−乳酸の共重合体である。
D−乳酸の含有量が7質量%未満のものは、得られる二軸延伸フィルムの低温ヒートシール性が損なわれるおそれがあり、一方、30重量%を超えるものは成形性が劣るお傾向にある
ポリ乳酸共重合体(C)の重量平均分子量はフィルム成形能がある限り特に限定はされないが、MFR(ASTM D−1238による、荷重2160g、温度190℃)が、通常、0.1から100g/10分、好ましくは1から50g/10分、特に好ましくは2から10g/10分のものが使用される。
脂肪族ポリエステル組成物(D)
脂肪族ポリエステル組成物(D)は、前記の脂肪族ポリエステル共重合体(B)97から5質量%、好ましくは90から25質量%、更に好ましくは85から55質量%と、ポリ乳酸共重合体(C)3から95質量%、好ましくは10から75質量%、更に好ましくは15から45質量%との組成物(脂肪族ポリエステル共重合体(B)とポリ乳酸共重合体(C)の合計を100質量%とする)である。
ポリ乳酸共重合体(C)の量が3質量%未満の組成物(D)を、基材層の被覆層に用いた場合には、組成物(A)からなる基材層と組成物(D)からなる被覆層との接着性に劣ることから、充分なヒートシール強度が得られないおそれがある。
組成物(D)中のポリ乳酸共重合体(C)の量を15から45質量%の範囲にした脂肪族ポリエステル組成物を被覆層に用いると、特に透明性、グロス、低温ヒートシール性(低温熱融着性)、ヒートシール強度に優れた二軸延伸積層フィルムが得られる。
脂肪族ポリエステル組成物(D)は、脂肪族ポリエステル共重合体(B)及びポリ乳酸共重合体(C)を夫々上記範囲でヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーミキサー等で混合する方法、混合後更に単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー等で溶融混練する方法等により得られる。
本発明のポリ乳酸二軸延伸フィルム(II)は、ポリ乳酸からなり、透明性、表面平滑性、光沢性性に優れている。
ポリ乳酸二軸延伸フィルム(II)の厚さは用途に応じて種々決めることができる。通常は厚さが5から500μm、好ましくは10から200μmの範囲にある。
本発明のポリ乳酸二軸延伸フィルム(II)は乳白ポリ乳酸二軸延伸フィルム(I)と同等の製造方法で得ることが出来る。
本発明の袋は、フィルム(I)とフィルム(II)が重ね合わされ、その3方または4方の端部が接合された袋である。
接合には溶断シール、コート式接着剤によるシール、ホットメルト式接着剤によるシール等あり、加工速度が早く、シール強度が優れるので溶断シール、超音波シールが好ましい。
3方の端部の接合した袋は3方シール袋と呼ばれている。また、端部の接合の際に袋の内容物を収納する場合は、4方を同時に接合することもできる。
3方シール袋
3方シール袋は、フィルム(I)、中でも乳白ポリ乳酸二軸延伸フィルム(I)と共に、フィルム(II)、中でもポリ乳酸からなる透明二軸延伸フィルム(II)を重ねて3方の端部を接合して成形される。
本発明の3方シール袋は、裏面は乳白ポリ乳酸二軸延伸フィルムなどの隠蔽性、化粧性、紫外線カット性に優れており、表面はポリ乳酸などからなり透明性、表面平滑性、光沢性に優れている。
3方シール袋の大きさは用途に応じて種々決めることができる。通常は大きさが縦5から100cm×横縦5から100cm、好ましくは縦5から30cm×横縦7から30cm程度であり、封書として用いる場合開口部を有する横は縦に比べて短いのが一般的である。
本発明の3方シール袋は、裏面は隠蔽性、化粧性、紫外線カット性に優れており、表面は透明性、表面平滑性、光沢性性に優れているので、郵便、パンフレット、資料、刊行物、書籍、各種カード等を包装するのに優れている。
実施例
(1)ポリ乳酸(PLAC)
D−乳酸含有量:1.9重量%、MFR(温度190℃、荷重2160g):6.7g/10分、融点(Tm):168.0℃、Tg:59.8℃、密度:1.3g/cm3。
(2)炭酸カルシウム
日東粉化化学工業株式会社製 NCC410
比表面積:13,000(cm3/g)、平均粒径:1.71(μm)、比重:2.7
(3)酸化チタン
石原産業株式会社製 タイペークPF739
比表面積:10(m3/g)、平均粒径:0.21(μm)、比重:4.2
(4)シリカ
富士シリシア化学社製、商品名サイリシア730(粒径4μm)
(5)エルカ酸アミド
チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名ATMER SA1753
実施例1
<フィルム(I)の製造>
PLAC、炭酸カルシウム及び酸化チタンを80/10/10(質量比)で計量し、65mmφの2軸押出機を用いて180℃で溶融混練し、基材層をなす組成物(A)を得た。同様にPLACにシリカを0.1質量%配合した組成物(B)を得た。
次に組成物(A)と組成物(E)を200℃でマルチマニホールド式のT−ダイより被覆層(E)/基材層(A)/被覆層(E)を層比1:8:1で共押出し成形しフィルム(I)とした。
この共押出シート(400μ)を30℃のキャスティングロールで急冷し、設定温度65℃でMD方向に3.0倍延伸し、次に68℃でTD方向に3.0倍の逐時延伸を行った。更に165℃で雰囲気中で10秒間ヒートセットし、総厚さ45μm(基材層35μm、被覆層各5μm)の三層構成の二軸延伸積層フィルムを得てフィルム(I)とした。
〈フィルム(II)の製造〉
同様の方法でPLAC単体からなるフィルム(II)三層構成の二軸延伸積層フィルムを得てフィルム(I)とした。
〈袋の製造〉
上記のフィルム(I)とフィルム(II)を重ね併せて、3方をヒートシール(2方溶断シール、1方超音波シール)して120mm×235mmの開口部においてフィルム(II)が27mm長く封筒形の袋を製造した。
この袋は、表面は透明であり、裏面は隠蔽性のある白色であって、封筒として適している。
Claims (9)
- フィルム(I)と、酸化チタンを3質量%未満およびそれ以外の充填剤を5質量%未満含有する生分解性ポリマーからなるフィルム(II)とからなり、フィルム(I)とフィルム(II)が重ね合わされ、その3方または4方の端部が接合されてなる袋であって、該フィルム(I)が酸化チタンを3から20質量%、および、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、シリカ、マイカ、カオリンおよびハイドロタルサイトから選ばれる少なくとも1種類の、それ以外の充填剤を5から40質量%の割合で含有するポリ乳酸からなる基材層の片面に融点(Tm)が80から120℃、結晶化温度(Tc)が35から75℃及び(Tm)−(Tc)が30から55℃の範囲にある、脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(b1)、脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分(b2)及び2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分(b3)からなる脂肪族ポリエステル共重合体(B)85から55質量%、及びポリ乳酸共重合体(C)15から45質量%との脂肪族ポリエステル組成物(D)((B)と(C)の合計は100質量%である。)からなる被覆層が積層された二軸延伸積層フィルムであることを特徴とする袋。
- 前記酸化チタンの平均粒径が0.1から1ミクロンメータ(μm)であることを特徴とする請求項1に記載の袋。
- 前記それ以外の充填剤の平均粒径が0.3から6ミクロンメータ(μm)であることを特徴とする請求項1または2に記載の袋。
- 前記フィルム(II)が二軸延伸フィルムであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の袋。
- 前記フィルム(I)と前記フィルム(II)とが重ね合わされ、3方または4方がヒートシールにより接合されていることを特徴とする請求項1または4に記載の袋。
- 前記ヒートシールが溶断ヒートシールであることを特徴とする請求項5に記載の袋。
- 前記ヒートシールが超音波ヒートシールであることを特徴とする請求項5に記載の袋。
- 開口部の前記フィルム(II)が前記フィルム(I)より5から50mm長く封筒に適していることを特徴とする請求項1、5、6または7に記載の袋。
- 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の配送用袋。
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