JP2000103879A - 脂肪族ポリエステル二軸延伸フィルム - Google Patents

脂肪族ポリエステル二軸延伸フィルム

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JP2000103879A
JP2000103879A JP21232199A JP21232199A JP2000103879A JP 2000103879 A JP2000103879 A JP 2000103879A JP 21232199 A JP21232199 A JP 21232199A JP 21232199 A JP21232199 A JP 21232199A JP 2000103879 A JP2000103879 A JP 2000103879A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 包装用途などに好適なハンドリング性、透明
性および接着性に優れた脂肪族ポリエステル二軸延伸フ
ィルムを提供する。 【解決手段】 主たる繰り返し単位が一般式−O−CH
R−CO−(Rは水素または、炭素数1〜3のアルキル
基)である脂肪族ポリエステルを主成分としたフィルム
であって、少なくとも片面の三次元平均表面粗さ(SR
a)が0.01〜0.1μmであり、かつ粗さの中心面
における単位面積当たりの突起数(PCC値)が下記式
(1)を満足することを特徴とする脂肪族ポリエステル
二軸延伸フィルム。 PCC値≦7000−45000×SRa …(1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は脂肪族ポリエステル
二軸延伸フィルム、特に包装用途などに好適なハンドリ
ング性、透明性および接着性に優れた脂肪族ポリエステ
ル二軸延伸フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、食品をはじめ各種商品を包装する
フィルムには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエ
チレンテレフタレート、およびナイロン6などに代表さ
れるポリオレフィン、芳香族ポリエステル、ポリアミド
などの各種プラスチックが使用されている。これらの包
装材用フィルムは、使用後回収され、焼却廃棄されるか
或いは土中に埋められるかのいずれかの手段により処理
されている。しかし、その回収には多大の労力を要する
故に、現実には回収しきれずに放置され環境公害等の様
々な問題を引き起こしていることは周知の通りである。
また、焼却する場合、火力が強すぎて炉の損傷が激しい
うえに大量の燃料を必要とするためコスト高となる。一
方、土中に埋められる場合は、廃棄物が生分解性を有し
ておらず、土中に半永久的に残存してしまうという問題
点があった。このような状況から、良好な生分解性を有
する各種包装用フィルムを求める動きが高まっている。
【0003】そこで、上記のポリエチレン等に生分解性
を付与すべく、例えば澱粉等の生分解性を有する成分を
ブレンドすることが種々検討されている。更には、光分
解性を付与する方法、或いは、光分解性を付与したポリ
エチレンと澱粉の生分解性を有する成分をブレンドする
方法等が検討され、上述の問題の解決策として注目され
ている。然しながらこれらの方法では、澱粉成分は生分
解性を有するので土中で微生物によって分解されるが、
澱粉以外のポリマー部分は分解されない。このため、結
局は上記問題の根本的解決策とはならない。
【0004】これらのことから、近年の環境保護に関す
る社会的な認識の高まりと共に、プラスチック加工品全
般に対し、自然環境のなかに廃棄されたとき、経時的に
分解・消失し、自然環境に悪影響を及ぼさないプラスチ
ック製品が求められていた。
【0005】上記問題の根本的解決策として、ポリマー
自身が生分解性を有する各種生分解性高分子素材が検討
されている。中でもポリ乳酸は、自然環境下に棄却され
た場合に容易に分解されること、例えばポリ乳酸フィル
ムは土壌中において自然に加水分解されたのち微生物に
よって無害な分解物となることを利点として、従来より
種々開発されてきた。、具体的には例えば、ポリ乳酸フ
ィルムは、医薬用の成型品として(特公昭41−273
4号、特公昭63−68155号等)、また、医薬用途
以外の使い捨て用途の生分解性汎用材料の基本原料とし
て応用が種々検討されている。
【0006】その中でも、脂肪族ポリエステル二軸延伸
フィルムは透明性、生分解性、汎用フィルムと同等の優
れた機械的性質を有することから、一般包装材をはじめ
幅広い用途に、応用が期待されている。
【0007】一般にフィルムは、成形加工時の巻取り
性、及び製品使用時の滑り性が要求される。この滑り性
が不十分な場合、フィルムの製造時及び加工時にハンド
リング性が不良となり、フィルムの走行時にガイドロー
ル等との接触において滑り性不良により、張力が増大
し、フィルム表面に擦り傷が発生して走行性が悪くな
る。この滑り性を改良するために、フィルム中に、脂肪
酸エステル系や脂肪酸系および脂肪酸アマイド系などの
有機系潤滑剤、及びシリカ、炭酸カルシウムなどの無機
微粒子(アンチブロッキング剤)などを含有させた例
が、特開平8−34913号公報、および特開平9−2
78997号公報に開示されている。
【0008】しかし、包装用の袋に用いる場合、ポリ乳
酸フィルムはポリオレフィン等からなるシーラントフィ
ルムとラミネートし、ヒートシールにより内容物を密閉
する必要がある。ハンドリング性の改良のために、特開
平8−34913号公報および特開平9−278997
号公報に記載の有機系潤滑剤をポリ乳酸フィルムに添加
すると、走行性は改善されるが、ポリ乳酸フィルムとシ
ーラントフィルムとの間の接着強度が低下して接着不十
分となり、包装用の袋として使用することは困難であ
る。このように、上記記載の有機系潤滑剤またはアンチ
ブロッキング剤の添加のみでは、包装用途に要求される
透明性を維持しながら、ハンドリング性と製袋後のヒー
トシール部との接着性とを両立させる事は困難であっ
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の課題
を解決し、特に包装用途などに好適なハンドリング性、
透明性および接着性に優れた脂肪族ポリエステル二軸延
伸フィルムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
状況に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決す
ることができた脂肪族ポリエステル二軸延伸フィルムと
は、以下のとおりである。
【0011】即ち、本発明の第1の発明は、主たる繰り
返し単位が一般式−O−CHR−CO−(Rは水素又は
炭素数l〜3のアルキル基)である脂肪族ポリエステル
を主成分としたフィルムであって、少なくとも片面の三
次元平均表面粗さ(SRa)が0.01〜0.1μmで
あり、かつ粗さの中心面における単位面積当たりの突起
数(PCC値)が下記式(1)を満足することを特徴と
する脂肪族ポリエステル二軸延伸フィルムである。 PCC値≦7000−45000×SRa …(1)
【0012】第2の発明は、前記突起数(PCC値)が
1000個/mm2以上であることを特徴とする前記第
1の発明に記載の脂肪族ポリエステル二軸延伸フィルム
である。
【0013】第3の発明は、前記脂肪族ポリエステルが
ポリ乳酸であることを特徴とする前記第1又は第2の発
明に記載の脂肪族ポリエステル二軸延伸フィルムであ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる脂肪族ポリエ
ステルとは、主たる繰り返し単位が一般式−O−CHR
−CO−(Rは水素または炭素数1〜3のアルキル基)
であるポリエステルをいう。
【0015】ここで、脂肪族ポリエステルの繰り返し単
位は、すべて上記一般式で表されることが好ましいが、
必要に応じて、脂肪族ポリエステルとしての性能を損な
わない範囲で、上記一般式で表される繰り返し単位以外
の単位を含んでも良い。具体的には、例えば、分子中の
繰り返し単位のうちの70モル%以上が上記一般式で表
される繰り返し単位であることが好ましく、より好まし
くは、80モル%以上であり、さらに好ましくは90モ
ル%以上であり、特に好ましくは95モル%以上であ
る。
【0016】ただし、脂肪族ポリエステル中には、通
常、芳香族成分は含まれない。必要に応じて、脂肪族ポ
リエステルとしての性能を損なわない範囲で、芳香族成
分を採用しても良いが、その場合、芳香族構造を含む繰
り返し単位の比率は、分子中の繰り返し単位のうちの1
0モル%以下であることが好ましく、より好ましくは、
5モル%以下であり、さらに好ましくは3モル%以下で
ある。
【0017】脂肪族ポリエステルの具体例としては、例
えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(2−オキシ
酪酸)等が挙げられるが、これらに限定されない。この
中でも、ポリ乳酸が性能及び価格の点で最も好ましい。
また、脂肪族ポリエステルは単独重合体であってもよ
く、上記一般式から選択される複数種の繰り返し成分が
共重合された共重合体であってもよい。さらに、脂肪族
ポリエステルは、単一のポリマーであってもよく、また
は複数種の脂肪族ポリエステルの混合物であってもよ
い。
【0018】脂肪族ポリエステルの構成炭素原子中に不
斉炭素が存在する場合、L−体、DL−体、D−体とい
った光学異性体が存在し得るが、それらのいずれも採用
でき、また、それら異性体の混合物も採用できる。
【0019】さらに、脂肪族ポリエステルには、本発明
の効果を阻害しない範囲で、他の高分子材料が混合され
ても構わない。他の高分子材料が混合される場合、好ま
しくは、脂肪族ポリエステルは、脂肪族ポリエステルと
他の高分子材料との総重量のうちの70重量%以上であ
り、より好ましくは、80重量%以上であり、さらに好
ましくは、90重量%であり、特に好ましくは、95重
量%以上である。上述した脂肪族ポリエステル(以下、
単に「ポリマー」ということがある。)は、公知の方
法、例えば、対応するα−オキシ酸の脱水環状エステル
化合物の開環重合などの方法で製造され、本発明のフィ
ルムの原料となる。
【0020】本発明で使用する脂肪族ポリエステルの重
量平均分子量は、好ましくは、5000〜50万であ
る。より好ましくは、1〜50万である。さらに好まし
くは、4〜30万であり、特に好ましくは、5〜30万
である。重量平均分子量が小さすぎる場合には、得られ
るフィルムの物性が低下しやすく、且つ、生分解速度が
速すぎる傾向があるので好ましくない。また、フィルム
製造時の製膜機からの押出性、2軸延伸機での延伸性を
十分確保するためには重量平均分子量は1万以上である
ことが好ましい。一方、重量平均分子量が高すぎる場合
には、脂肪族ポリエステルの溶融押出しが困難になると
いう問題が生じやすい。
【0021】上記脂肪族ポリエステルには、公知の添加
剤を必要に応じて含有させることができる。例えば、潤
滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯
電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤、結晶核剤、着色防
止剤、顔料、染料、紫外線吸収剤、離型剤、抗菌剤、ま
たは難燃剤などを含有させてもよい。例えば、必要に応
じて帯電防止性等を考慮して、ラウリルホスフェートカ
リウム塩等のアニオン系界面活性剤、四級アンモニウム
塩等のカチオン系界面活性剤、脂肪族高級アルコールや
高級脂肪酸のエチレンオキサイド付加物等のノニオン系
界面活性剤、ポリエチレングリコール、ポリエチレング
リコール・ポリプロピレングリコールブロック共重合体
等のポリアルキレングリコール類、ジメチルポリシロキ
サン、ポリエーテル変性シリコーンオイル、高級アルコ
キシ変性シリコーンオイル等のシリコーンオイル類を一
種または二種以上含有させることができる。
【0022】本発明において、フィルムのハンドリング
性を改善するためには、脂肪族ポリエステルに対し不活
性な粒子である、無機粒子、有機塩粒子または耐熱性高
分子粒子を脂肪族ポリエステル中に含有させ、フィルム
表面に適切な表面凹凸を付与することが好ましい。
【0023】無機粒子としては、例えばシリカ、二酸化
チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、カオリ
ナイト等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウム、炭酸バリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネ
シウム、リン酸リチウム、硫酸バリウム、フッ化リチウ
ム等の金属の塩、等が挙げられる。
【0024】特に、良好なハンドリング性を維持しなが
ら、透明性に優れたフィルムを得るためには、脂肪族ポ
リエステルと屈折率の近い粒子であるシリカを用いるこ
とが好ましく、なかでも1次粒子が凝集してできた凝集
体のシリカ粒子、破砕型シリカ、ガラスフィラーが特に
好ましい。
【0025】有機塩粒子としては、蓚酸カルシウム、ま
たは、カルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、もしく
はマグネシウム等のテレフタル酸塩等が挙げられる。
【0026】耐熱性高分子粒子の例としては、ジビニル
ベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アク
リル酸などのビニル系モノマーの単独または共重合体が
挙げられる。具体的には、例えば、架橋ポリスチレン樹
脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリエステル樹脂などの架
橋高分子粒子、およびシリコーン樹脂、ポリテトラフル
オロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、熱
硬化性フェノール樹脂等の耐熱性有機粒子が挙げられ
る。
【0027】また、フィルムの透明性とハンドリング性
を両立する為には、2種以上の滑剤粒子を併用すること
も好ましい。特に、フィルムの製膜中に変形する滑剤粒
子(例えば、架橋度の低い架橋ポリスチレン、架橋アク
リル等の架橋高分子粒子、一次粒子の凝集体であるシリ
カ等)とフィルム製膜中に変形しない通常の滑剤粒子を
組み合わせることが好ましい。
【0028】上記滑剤粒子の脂肪族ポリエステルへの添
加方法は、特に限定されず、公知の任意の方法が可能で
ある。具体的には、例えば、脂肪族ポリエステルとして
ポリ乳酸を使用する場合であれば、ラクチドを重合させ
る前に、溶融したラクチドに滑剤粒子を分散させる方
法、及びラクチドの重合反応中に滑剤を分散させる方法
などがある。
【0029】このようにして調整されたフィルム用脂肪
族ポリエステル組成物は、従来公知の方法により、フィ
ルムに成形される。好ましくは、フィルムは成形後にさ
らに延伸される。具体的には、縦方向または横方向に延
伸する一軸延伸法、インフレーション法、または同時二
軸延伸法、もしくは逐次二軸延伸法などの二軸延伸方を
用いる。逐次ニ軸延伸法としては、例えば、縦延伸およ
び横延伸を順に行ってもよく、あるいは横延伸および縦
延伸を順に行ってもよい。また、横・縦・縦延伸法、縦
・横・縦延伸法、縦・縦・横延伸法などの延伸方法を適
用することができる。さらに必要に応じて、熱固定処
理、縦弛緩処理、または横弛緩処理などを施してもよ
い。さらに好ましくは、二軸延伸後に熱固定される。
【0030】例えば、脂肪族ポリエステルフィルムを押
出成形法により製造する場合には、公知のT−ダイ法、
インフレーション法等が適用でき、これらの方法により
未延伸フィルムを得ることができる。押出し温度は、用
いる脂肪族ポリエステルの融解温度(Tm)〜Tm+7
0℃の範囲、より好ましくは、Tm+20〜Tm+50
℃の範囲である。押出し温度が低すぎると、押出機に対
して負荷がかかりすぎるために安定して押出し成形を行
うことが困難となりやすい。また逆に、押出し温度が高
すぎると、脂肪族ポリエステルが分解しやすくなるので
好ましくない。脂肪族ポリエステルフィルムを製造する
のに用いる押出機のダイとしては、環状又は線状のスリ
ットを有するものを用いることができる。また、ダイの
温度については押出温度と同様の温度が適用される。
【0031】脂肪族ポリエステルからなる未延伸フィル
ムの二軸延伸は、一軸目の延伸と二軸目の延伸を逐次に
行っても、同時に行っても良い。延伸温度は、用いる脂
肪族ポリエステルのTg(ガラス転移点)〜Tg+50
℃の範囲が好ましい。さらに好ましくはTg+10〜T
g+40℃の範囲である。延伸温度が低すぎると延伸が
困難であり、逆に高すぎると厚み均一性または得られた
フィルムの機械的強度が低下し好ましくない。
【0032】縦、横の延伸はそれぞれ1段階でも多段階
に分けて行っても良いが、それぞれの延伸方向に最終的
には少なくとも3倍以上、更に好ましくは、3.5倍以
上、また縦・横面積倍率で9倍以上、更に好ましくは1
2倍以上延伸することが厚みの均一性や機械的性質の点
から好ましい。縦、横延伸比がそれぞれ3倍以下、また
面積倍率で9倍以下では、厚み均一性の良いフィルムは
得るのが困難になり、また、機械的強度等の物性の充分
な向上が得られにくい。脂肪族ポリエステルを主成分と
する基材フィルムの厚みは、10〜250μmであるこ
とが好ましく、さらに好ましくは12〜250μmであ
る。
【0033】尚、二軸延伸フィルムにおける長手方向は
縦延伸方向を意味し、また幅方向は横延伸方向を意味す
る。延伸倍率の上限は、特に限定されない。ただし、延
伸中にフィルムが破断しないように制御されることが好
ましい。
【0034】脂肪族ポリエステルフィルムは、その製造
プロセス中に、他の樹脂との共押出し工程またはコーテ
ィング工程を設けて、複層フィルムとしてもよい。ま
た、脂肪族ポリエステルフィルムは、用途によっては、
表面エネルギーを向上する目的で、もしくは接着性や濡
れ性をよくする目的で、コロナ放電処理、コーティング
処理、プラズマ処理または火炎処理を行ってもよい。
【0035】本発明において、脂肪族ポリエステル二軸
延伸フィルムの少なくとも片面の三次元平均表面粗さ
(SRa)は、0.01〜0.1μmの範囲であること
が必要である。SRaが0.01μm未満では、ハンド
リング性が不良となる。一方、SRaが0.1μmを超
えると、透明性や耐削れ性が不良となる。
【0036】更に、脂肪族ポリエステル二軸延伸フィル
ムにおいて、粗さの中心面における単位面積当たりの突
起数(PCC値)は、下記式(1)を満足することが必
要である。PCC値が下記式(1)の範囲を満足しない
と、透明性が不良となる。 PCC値≦7000−45000×SRa …(1) また、PCC値は1000個/mm2以上であることが
好ましい。PCC値が1000個/mm2未満では、ハ
ンドリング性や走行性が不良となりやすい。
【0037】本発明でいう粗さの中心面とは、表面粗さ
曲線をサインカーブで近似した際に、その平面よりも高
い位置に存在する凸状部の体積の合計と、その面よりも
低い位置に形成される凹状部の体積の合計が同じになる
平面のことである。
【0038】前記の粗さの中心面における単位面積当た
りの突起数(PCC値)及び三次元平均表面粗さ(SR
a)は、滑剤粒子及びフィルムの製膜条件によって制御
することができる。滑剤粒子の種類及び含有量は、PC
C値及びSRaが前記範囲内を満足するならば特に限定
されない。滑剤粒子の平均粒子径は、0.01〜5μm
が好ましく、1〜4μmが特に好ましい。滑剤粒子の含
有量は、0.01〜0.5重量%が好ましく、特に好ま
しくは0.03〜0.3重量%である。
【0039】滑剤粒子の平均粒子径または含有量のいず
れか一方が上記範囲を満足しない場合には、SRaを
0.01〜0.1μmとし、PCC値とSRaとの不等
式を同時の満足させることが困難となる。また、PCC
値とSRaとの不等式を満足させるためには、前記の滑
剤粒子の平均粒径及び含有量の好適な範囲内で、比較的
大きな平均粒子径の滑剤粒子を少量含有させることがさ
らに好適である。
【0040】フィルムの滑り性を改善するための手段と
して、前述した滑剤粒子以外に、有機系潤滑剤をフィル
ム中に添加することが知られている。有機系潤滑剤とし
ては、炭化水素樹脂、脂肪酸エステル、パラフィン、高
級脂肪酸、脂肪族ケトン、および脂肪酸アミド等が挙げ
られる。しかしながら、本発明では、フィルムの表面形
態に関するSRa及びPCC値を、所定の値とすること
により、滑り性の特性付与が可能であるため、必ずし
も、有機系潤滑剤を添加する必要は無い。また、有機系
潤滑剤を添加すると、有機系潤滑剤がフィルム表面にブ
リードアウトしやすい。このため、ポリオレフィン等と
のシーラントフィルムとラミネートした後の接着強度
が、不十分となりやすい。したがって、有機系潤滑剤は
添加しない方が好ましい。
【0041】本発明のフィルムにおいて、フィルムの延
伸条件は、添加する滑剤に依存して変化する。PCC値
及びSRaが所定の範囲内に入るような延伸条件が選択
される。例えば、縦方向に1段以上延伸した後横方向に
延伸する方法の場合、縦方向の延伸が終了した後の縦方
向の屈折率(Nx)が1.555以下であることが好ま
しい。Nxが大きすぎると製造工程中で表面突起の形成
が不十分となりやすく、ハンドリング性または走行性が
不良となりやすい。
【0042】好ましい実施態様において、脂肪族ポリエ
ステル二軸延伸フィルムには、ヒートシール性を有する
樹脂層すなわち、シーラント層が積層される。ヒートシ
ール性を有する樹脂層には、オレフィン系樹脂、例えは
ポリエチレン、およびポリプロピレンなどが挙げられ
る。
【0043】本発明のフィルムには、必要に応じて、接
着改質層を積層することができる。接着改質層とは、脂
肪族ポリエステル二軸延伸フィルム上に存在し、シーラ
ント層などの各種材料と脂肪族ポリエステル二軸延伸フ
ィルムとの間の接着力を改良する層をいう。接着改質層
の材料はシーラント層と脂肪族ポリエステル二軸延伸フ
ィルムとの接着力を改良し得る材料が使用され得る。例
えば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリウレタン等か
ら選ばれる、少なくとも1種およびまたは2種以上の共
重合体(ブロックおよびグラフト体を含む)などが挙げ
られる。
【0044】接着改質層に、さらに本発明の効果を損な
わない範囲で、帯電防止剤、無機滑剤、紫外線吸収剤、
有機滑剤、抗菌剤、光酸化触媒などの添加剤を含有させ
ることができる。これらの添加剤は、例えば、接着改質
剤層を構成する樹脂を含む塗布剤中に含有させる方法に
より、脂肪族ポリエステルフィルムの表面に付与され
る。
【0045】接着改質層を形成するために、上記接着力
を改質する材料を含む塗布液を脂肪族ポリエステルフィ
ルムに塗布する方法としては、グラビア方式、リバース
方式、ダイ方式、バー方式、ディップ方式などの公知の
塗布方式を用い得る。
【0046】塗布液の塗布量は、好ましくは、固形分と
して0.005〜10g/m2であり、より好ましく
は、0.02〜0.5g/m2である。塗布量が少なす
ぎる場合には、脂肪族ポリエステルフィルムとシーラン
ト層などとの間の十分な接着強度が得られにくい。塗布
量が多すぎる場合には、ブロッキングが発生しやすく、
実用上問題が発生しやすい。
【0047】接着改質層は、脂肪族ポリエステル二軸延
伸フィルムに上記塗布液を塗布・乾燥することにより形
成してもよい。または、未延伸もしくは一軸延伸後の脂
肪族ポリエステルフィルムに上記塗布液を塗布した後、
乾燥し、必要に応じて、さらに一軸延伸あるいは二軸延
伸後熱固定を行っても良い。
【0048】脂肪族ポリエステルフィルム上に接着改質
層を積層する場合、脂肪族ポリエステルフィルムと接着
改質層との接着性をさらに良くする為、脂肪族ポリエス
テルフィルムにコロナ処理、火炎処理、電子線照射等に
よる表面処理をしてもよい。また、さらに接着性や印刷
性をよくするために、該接着改質層にさらにコロナ処
理、火炎処理、電子線照射等による表面処理をすること
もできる。
【0049】未延伸もしくは一軸延伸後の脂肪族ポリエ
ステルフィルムに上記塗布液を塗布した後、乾燥及び延
伸する場合、塗布後の乾燥温度は、その後の延伸に影響
しない範囲に調節される。さらに延伸、140℃以上で
熱固定を行えば、塗膜が強固になり、接着改質層と脂肪
族ポリエステルフィルムとの接着性が飛躍的に向上す
る。
【0050】このようにして得られる易接着脂肪族ポリ
エステル二軸延伸フィルムは、各種機能を有する層と良
好な接着強度を有し、広範囲の用途で使用され得る。各
種機能を有する層としては、例えば、写真感光層、ジア
ゾ感光層、マット層、磁性層、インクジェットインキ受
容層、ハードコート層、印刷インキやUVインキ、ドラ
イラミネートや押し出しラミネート等の接着剤、金属あ
るいは無機物またはそれらの酸化物の真空蒸着、電子ビ
ーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、C
VD、プラズマ重合等で得られる薄膜層、有機バリアー
層などが挙げられる。
【0051】
【実施例】以下に実施例にて本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではな
い。なお、フィルムの評価方法を以下に示す。
【0052】(1)三次元平均表面粗さ(SRa) フィルム表面を触針式三次元表面粗さ計(SE−3A
K、株式会社小坂研究所社製)を用いて、針の半径2μ
m、荷重30mgの条件下に、フィルムの長手方向にカ
ットオフ値0.25mmで、測定長1mmにわたって、
針のスピード0.1mm/secで測定し、2μmピッ
チで500点に分割し、各点の高さを量子化幅0.00
312μmで三次元粗さ解析装置(SPA−11)に取
り込ませた。これと同様の操作をフィルムの幅方向につ
いて2μm間隔で連続的に150回、即ちフィルムの幅
方向0.3mmにわたって行ない、解析装置にデータを
取り込ませた。また、X倍率は200倍、Y倍率は50
0倍、Z倍率は20000倍とした。
【0053】ここで、SRaとは、表面粗さ曲線をサイ
ンカーブで近似した際の中心面(基準面)における平均
粗さを意味し(中心面とはサインカーブにおける凸状側
のトータル体積と凹状側のトータル体積が同じになる平
面である)、具体的には、触針式三次元表面粗さ計によ
り、一定間隔で離れた所定数の測定箇所(点)の高さを
測定し、これらの測定値を三次元粗さ解析装置に取り込
んで解析することにより得られる値である。
【0054】中心面上にX軸およびY軸からなる直行座
標軸系を置き、中心面に直行する軸をZ軸とし、中心面
上にX軸方向長さLx、Y軸方向長さLy、面積Lx×
Ly=SMの部分を抜き取り、この抜き取り部分から、
SRaは、以下の式で計算され、μm単位で表される。
【0055】
【数1】
【0056】ここで、Z=f(x、y)は、上記直交座
標軸上の位置(x、y)におけるフィルム表面の高さZ
を表す関数を意味し、L=500、Ly=150であ
る。
【0057】(2)PCC値 上記SRaの算出時における基準高さを有する基準面か
ら0.00625μm以上の高さを持つ突起数を計算
し、1mm2当たりについて表した。
【0058】(3)ヘイズ JIS−K6714に準じ、日本精密光学(株)製30
0Aを用いてヘイズを測定した。
【0059】(4)屈折率 アタゴ光学社製アッベ屈折計1Tを用い、フィルムの長
手方向の屈折率を求めた。
【0060】(5)フィルムのハンドリング特性 広幅のロールに巻かれたフィルムを2500mスリット
して、小幅のロールに巻き直すに際して、ロール端部の
巻きずれ、しわ、バブル等を生じないで問題のないロー
ルが得られるかどうかを4段階で評価し、次のランク付
けで評価した。 1級;問題のないスリットロールを得ることは極めて困
難。 2級;低速(150m/分)で問題のないスリットロー
ルが得られる。 3級;中速(200m/分)で問題のないスリットロー
ルが得られる。 4級;高速(250m/分)で問題のないスリットロー
ルが得られる。
【0061】(6)接着性評価 各実施例、比較例で得られた脂肪族ポリエステル二軸延
伸フィルムのコロナ処理面上に、接着剤AD585/C
AT−10(東洋モートン社製)を2g/m2塗布した
後、常法に従って、厚み60μmの未延伸ポリプロピレ
ンフィルム(P1120、東洋紡績製)をドライラミネ
ート法にて貼り合わせてシーラント層を設け、脂肪族ポ
リエステル二軸延伸フィルム積層体を得た。得られた積
層体の乾燥時の剥離強度及び湿潤時の状態における剥離
強度を測定した。測定は、引張速度100mm/分での
90°剥離試験により行われた。表1中の「乾燥」は温
度23℃、湿度65%RHにおける測定値である。「湿
潤」は、フィルムが湿潤した状態での測定値を示す。フ
ィルムが湿潤した状態での測定は、測定試料にスポイト
で水滴をたらして、フィルムを湿潤状態として行った。
【0062】実施例1、2、3、及び比較例1、2 L−ラクチド100重量部に対し、触媒としてオクチル
酸スズ0.03重量部を反応缶に仕込み、缶内の温度を
190℃で1時間反応を行った。反応終了後、得られた
反応系を減圧にして、残留するL−ラクチドを留去し
て、ポリ乳酸を得た。得られたポリ乳酸の還元粘度は
1.9dl/gであった。滑剤粒子として、平均粒子径
1.8μmの凝集体シリカ粒子(富士シリシア化学株式
会社製SYLYSIA350)を用いた。滑剤粒子は、
L−ラクチド中に分散されたスラリーの形態で、L−ラ
クチド重合反応開始前に、様々な添加量で添加された。
得られたポリ乳酸に対する滑剤粒子の含有量を表1中に
示した。また、平均粒子径は電子顕微鏡を用いて求め
た。
【0063】上記ポリ乳酸を110℃で4時間真空乾燥
させた後、200℃でTダイから押し出し、表面温度1
6℃のキャスティングドラム上に静電荷により密着させ
急冷固化し、キャストフィルムを得た。該キャストフィ
ルムを72℃に加熱したロールで加温した後、長手方向
に3.3倍延伸した。その後、テンター内で60℃に予
熱し75℃に昇温しながら幅方向に4.0倍延伸し、1
50℃で熱固定した。さらに、150℃で横弛緩処理を
行い、幅方向に3%リラックスさせた後、厚みが12μ
mのポリ乳酸二軸延伸フィルムを得た。これらの延伸フ
ィルムの特性値を表1に示す。ここで、縦延伸終了後の
縦方向の屈折率Nxは1.469であった。また、実施
例1〜3および比較例1で得られたフィルムは透明性良
好であったが、比較例2で得られたフィルムの透明性は
不良であった。
【0064】実施例4 滑剤粒子を、平均粒子径1.65μmの球状シリカ粒子
(水澤化学工業株式会社製AMT−シリカ#100B、
AMT−シリカ#100B)0.10重量部に変更した
以外は実施例1と同様にフィルムを作成した。得られた
結果を表1に示す。縦延伸終了後の縦方向の屈折率Nx
は1.467であった。得られたフィルムの透明性は良
好であった。
【0065】比較例3 滑剤粒子を、平均粒子径5.8μmの球状シリカ粒子
(水澤化学工業株式会社製AMT−シリカ#500B)
0.12重量部に変更した以外は実施例1と同様にフィ
ルムを作成した。得られた結果を表1に示す。縦延伸終
了後の縦方向の屈折率Nxは1.467であった。得ら
れたフィルムの透明性は不良であった。
【0066】比較例4 滑剤粒子として、平均粒子径7nmのシリカ粒子(日本
アエロジル株式会社製、商品名アエロジル300)を用
い、有機系潤滑剤としてニュートロンS(日本精化株式
会社製)を用いた以外は、実施例1と同様にしてフィル
ムを作成した。得られた結果を表1に示す。
【0067】比較例5 有機系潤滑剤を添加しなかった以外は、比較例4と同様
にしてフィルムを作成した。得られた結果を表1に示
す。
【0068】
【表1】
【0069】
【発明の効果】本発明の脂肪族ポリエステル二軸延伸フ
ィルムは、透明性とハンドリング特性という相反する特
性を両立し、かつ接着性にも優れているため、一般包装
用フィルムとして極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥平 正 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主たる繰り返し単位が一般式−O−CH
    R−CO−(Rは水素または、炭素数1〜3のアルキル
    基)である脂肪族ポリエステルを主成分としたフィルム
    であって、少なくとも片面の三次元平均表面粗さ(SR
    a)が0.01〜0.1μmであり、かつ粗さの中心面
    における単位面積当たりの突起数(PCC値)が下記式
    (1)を満足することを特徴とする脂肪族ポリエステル
    二軸延伸フィルム。 PCC値≦7000−45000×SRa …(1)
  2. 【請求項2】 前記突起数(PCC値)が1000個/
    mm2以上であることを特徴とする請求項1記載の脂肪
    族ポリエステル二軸延伸フィルム。
  3. 【請求項3】 前記脂肪族ポリエステルがポリ乳酸であ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の脂肪族ポリエ
    ステル二軸延伸フィルム。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001059029A (ja) * 1999-08-23 2001-03-06 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 2軸配向脂肪族ポリエステル系フィルム及びその製造方法
JP2001310412A (ja) * 2000-04-28 2001-11-06 Mitsui Chemicals Inc ガスバリアーフィルム
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JPWO2004087812A1 (ja) * 2003-03-28 2006-06-29 東レ株式会社 ポリ乳酸樹脂組成物、およびその製造方法、並びにポリ乳酸二軸延伸フィルム、およびそれからなる成形品

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