JP3085461B2 - ガス遮断性脂肪族ポリエステルフィルム - Google Patents
ガス遮断性脂肪族ポリエステルフィルムInfo
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Description
ポリエステルフィルム、特に、生鮮食品、加工食品、医
薬品、医療機器、電子部品等の包装用フィルムにおいて
重要な要求特性である透明性、耐屈曲性、フィルム加工
時の走行性、ならびにフィルム加工装置の部品にフィル
ムが接触しながら走行した後のガス遮断性に優れる脂肪
族ポリエステルフィルムに関するものである。
フィルムには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエ
チレンテレフタレート、およびナイロン6等に代表され
るポリオレフィン、芳香族ポリエステル、ポリアミド等
の各種プラスチックが使用されている。これらの包装材
用フィルムは、使用後回収され、焼却廃棄されるか或い
は土中に埋めるかのいずれかの手段により処理されるこ
とになっている。しかし、その回収には多大の労力を要
する故に、現実には回収しきれずに放置され、環境公害
等の様々な問題を引き起こしていることは周知の通りで
ある。また、焼却する場合には、火力が強すぎて炉の損
傷が激しいうえに大量の燃料を必要としコスト高とな
る。一方、土中に埋める場合は、廃棄物が生分解性を有
しておらず、土中に半永久的に残存してしまうという問
題点があった。このような状況から、良好な生分解性を
有する各種包装用フィルムを求める動きが高まってい
る。
を付与すべく、例えば澱粉等の生分解性を有する成分を
ブレンドすることが種々検討されている。更には、光分
解性を付与する方法、或いは、光分解性を付与したポリ
エチレンと澱粉の生分解性を有する成分をブレンドする
方法等が検討され、上述の問題の解決策として注目され
ている。然しながらこれらの方法では、澱粉成分は生分
解性を有するので土中で微生物によって分解されるが、
澱粉以外のポリマー部分は分解されない。このため、結
局は上記問題の根本的解決策とはならない。
る社会的な認識の高まりと共に、プラスチック加工品全
般に対し、自然環境のなかに廃棄されたとき、経時的に
分解・消失し、自然環境に悪影響を及ぼさないプラスチ
ック製品が求められていた。
自身が生分解性を有する各種生分解性高分子素材が検討
されている。中でもポリ乳酸は、自然環境下に棄却され
た場合に容易に分解されること、例えばポリ乳酸フィル
ムは土壌中において自然に加水分解されたのち微生物に
よって無害な分解物となることを利点として、従来より
種々開発されてきた。、具体的には例えば、ポリ乳酸フ
ィルムは、医薬用の成型品として(特公昭41−273
4号、特公昭63−68155号等)、また、医薬用途
以外の使い捨て用途の生分解性汎用材料の基本原料とし
て応用が種々検討されている。
延伸フィルムは、透明性および生分解性を有し、かつ汎
用フィルムと同等の優れた機械的牲質を有することか
ら、一般包装材をはじめ幅広い用途に、応用が期待され
ている。しかしながら、ポリ乳酸フィルムはガス透過性
が比較的高いため、このフィルムを食品包装材料として
用いる場合、包装された食品の貯蔵寿命が短くなるとい
う重大な欠点がある。特表平8−505825号公報
は、その解決策としてアルミニウム等の金属をその表面
に蒸着膜として積層する事を開示している。しかし、こ
の方法で得られたフィルムは食品包装用途で特に必要な
特性である透明性に劣るため、適用される用途が制限さ
れるという問題があった。
無機酸化物を用いた蒸着層を積層したポリ乳酸系のガス
遮断性フィルムが、特開平10−138433号公報お
よび特開平10−24518号公報等に提案されてい
る。しかしながら、これらのガス遮断性フィルムでは、
透明性は改善されるが、フィルム加工時の走行性ならび
にフィルム加工装置の部品に接触しながらフィルムが走
行した後のフィルムのガス遮断性が十分ではない。
解性フィルムや生分解性積層フィルムの有する上記問題
点を解決し、一般包装用フィルムとして有効な透明性、
耐屈曲性、フィルム加工時の走行性およびフィルム加工
装置の部品に接触しながらフィルムが走行した後のガス
遮断性に優れるガス遮断性脂肪族ポリエステルフィルム
を提供することを目的とする。
状況に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決す
ることができたガス遮断性脂肪族ポリエステルフィルム
とは、以下のとおりである。
返し単位が一般式−O−CHR−CO−(Rは水素又は
炭素数l〜3のアルキル基)である脂肪族ポリエステル
を主成分とする基材フィルムの少なくとも一方の面に、
酸化珪素系蒸着層が積層されたガス遮断性フィルムであ
って、前記蒸着層の比重が1.80〜2.20であり、
かつ前記脂肪族ポリエステルフィルムの少なくとも蒸着
面における三次元平均傾斜勾配(S△a)が0.005
〜0.04であることを特徴とするガス遮断性脂肪族ポ
リエステルフィルム。
ィルムのフィルム表面に突起高さが1.89μm以上の
突起が1mm2の範囲内に実質的に存在しないことを特
徴とする第1の発明に記載のガス遮断性脂肪族ポリエス
テルフィルム。
10〜250μmであり、蒸着層の厚みが10〜500
0Åであることを特徴とする第1又は2の発明に記載の
ガス遮断性脂肪族ポリエステルフィルムである。
が、ポリ乳酸であることを特徴とする第1乃至3の発明
に記載のガス遮断性脂肪族ポリエステルフィルムであ
る。
ポリエステルとは、主たる繰り返し単位が一般式−O−
CHR−CO−(Rは水素又は炭素数l〜3のアルキル
基)であるポリエステルをいう。
位は、すべて上記一般式で表されることが好ましいが、
必要に応じて、脂肪族ポリエステルとしての性能を損な
わない範囲で、上記一般式で表される繰り返し単位以外
の単位を含んでも良い。具体的には、例えば、分子中の
繰り返し単位のうちの70モル%以上が上記一般式で表
される繰り返し単位であることが好ましく、より好まし
くは、80モル%以上であり、さらに好ましくは90モ
ル%以上であり、特に好ましくは95モル%以上であ
る。
常、芳香族成分は含まれない。必要に応じて、脂肪族ポ
リエステルとしての性能を損なわない範囲で、芳香族成
分を採用しても良いが、その場合、芳香族構造を含む繰
り返し単位の比率は、分子中の繰り返し単位のうちの1
0モル%以下であることが好ましく、より好ましくは、
5モル%以下であり、さらに好ましくは3モル%以下で
ある。
えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(2−オキシ
酪酸)等が挙げられるが、これらに限定されない。この
中でも、ポリ乳酸が性能及び価格の点で最も好ましい。
また、脂肪族ポリエステルは単独重合体であってもよ
く、上記一般式から選択される複数種の繰り返し成分が
共重合された共重合体であってもよい。さらに、脂肪族
ポリエステルは、単一のポリマーであってもよく、また
は複数種の脂肪族ポリエステルの混合物であってもよ
い。
斉炭素が存在する場合、L−体、DL−体、D−体とい
った光学異性体が存在し得るが、それらのいずれも採用
でき、また、それら異性体の混合物も採用できる。
の効果を阻害しない範囲で、他の高分子材料が混合され
ても構わない。他の高分子材料が混合される場合、好ま
しくは、脂肪族ポリエステルは、脂肪族ポリエステルと
他の高分子材料との総重量のうちの70重量%以上であ
り、より好ましくは、80重量%以上であり、さらに好
ましくは、90重量%であり、特に好ましくは、95重
量%以上である。上述した脂肪族ポリエステル(以下、
単に「ポリマー」ということがある。)は、公知の方
法、例えば、対応するα−オキシ酸の脱水環状エステル
化合物の開環重合などの方法で製造され、本発明の基材
フィルムとなる。
量平均分子量は、好ましくは、5000〜50万であ
る。より好ましくは、1〜50万である。さらに好まし
くは、4〜30万であり、特に好ましくは、5〜30万
である。重量平均分子量が小さすぎる場合には、得られ
るフィルムの物性が低下しやすく、且つ、生分解速度が
速すぎる傾向があるので好ましくない。また、フィルム
製造時の製膜機からの押出性、2軸延伸機での延伸性を
十分確保するためには重量平均分子量は1万以上である
ことが好ましい。一方、重量平均分子量が高すぎる場合
には、脂肪族ポリエステルの溶融押出しが困難になると
いう問題が生じやすい。
の添加剤を必要に応じて含有させることができる。例え
ば、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止
剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤、結晶核剤、
着色防止剤、顔料、染料、紫外線吸収剤、離型剤、抗菌
剤、または難燃剤などを含有させてもよい。例えば、必
要に応じて帯電防止性等を考慮して、ラウリルホスフェ
ートカリウム塩等のアニオン系界面活性剤、四級アンモ
ニウム塩等のカチオン系界面活性剤、脂肪族高級アルコ
ールや高級脂肪酸のエチレンオキサイド付加物等のノニ
オン系界面活性剤、ポリエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール・ポリプロピレングリコールブロック共
重合体等のポリアルキレングリコール類、ジメチルポリ
シロキサン、ポリエーテル変性シリコーンオイル、高級
アルコキシ変性シリコーンオイル等のシリコーンオイル
類を一種または二種以上含有させることができる。さら
に、脂肪族ポリエステルには、ポリアミノ酸等のポリマ
ー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カ
ルシウム、酸化珪素等の無機物、澱粉、タンパク質、食
品添加物等を一種又は二種以上適宜混合することがで
き、機械特性、生分解特性等を種々変化させることがで
きる。但し、本発明の脂肪族ポリエステルフィルムは、
酸化物の蒸着層を積層したフィルムが透明で内容物が見
える必要がある。従って、蒸着層を積層する前において
も高い透明性を有するように添加物の種類を考慮する必
要がある。
フィルムのハンドリング性を改善するために、脂肪族ポ
リエステルに対し不活性な粒子である、無機粒子、有機
塩粒子または耐熱性高分子粒子を脂肪族ポリエステル中
に含有させることができる。
酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、カ
オリナイト等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、炭酸バリウム、リン酸カルシウム、リン酸マ
グネシウム、リン酸リチウム、硫酸バリウム、フッ化リ
チウム等の金属の塩、等が挙げられる。
ら、透明性に優れたフィルムを得るためには、脂肪族ポ
リエステルと屈折率の近い粒子であるシリカを用いるこ
とが好ましく、なかでも1次粒子が凝集してできた凝集
体のシリカ粒子、破砕型シリカ、ガラスフィラーが特に
好ましい。
ム、または、カルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、
もしくはマグネシウム等のテレフタル酸塩等が挙げられ
る。
ベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アク
リル酸などのビニル系モノマーの単独または共重合体が
挙げられる。具体的には、例えば、架橋ポリスチレン樹
脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリエステル樹脂などの架
橋高分子粒子、およびシリコーン樹脂、ポリテトラフル
オロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、熱
硬化性フェノール樹脂等の耐熱性有機粒子が挙げられ
る。
で用いてもよく、また2種以上を併用してもよいが、使
用する滑剤粒子の平均粒子径は0.01〜3.0μmで
あることが好ましく、0.05〜2.5μmがより好ま
しい。その含有量は、フィルムの透明性および滑り性を
両立させるために、フィルム組成物中の0.005〜
2.0重量%であることが好ましく、さらに0.01〜
1.0重量%であることが好ましい。
る為には、2種以上の滑剤粒子を併用することも好まし
い。特に、フィルムの製膜中に変形する滑剤粒子(例え
ば、架橋度の低い架橋ポリスチレン、架橋アクリル等の
架橋高分子粒子、一次粒子の凝集体であるシリカ等)と
フィルム製膜中に変形しない通常の滑剤粒子を組み合わ
せることが好ましい。
加方法は、特に限定されず、公知の任意の方法が可能で
ある。具体的には、例えば、脂肪族ポリエステルとして
ポリ乳酸を使用する場合であれば、ラクチドを重合させ
る前に、溶融したラクチドに滑剤粒子を分散させる方
法、及びラクチドの重合反応中に滑剤を分散させる方法
などがある。
族ポリエステル組成物は、従来公知の方法により、フィ
ルムに成形される。好ましくは、フィルムは成形後にさ
らに延伸される。具体的には、縦方向または横方向に延
伸する一軸延伸法、インフレーション法、または同時二
軸延伸法、もしくは逐次二軸延伸法などの二軸延伸方を
用いる。逐次ニ軸延伸法としては、例えば、縦延伸およ
び横延伸を順に行ってもよく、あるいは横延伸および縦
延伸を順に行ってもよい。また、横・縦・縦延伸法、縦
・横・縦延伸法、縦・縦・横延伸法などの延伸方法を適
用することができる。さらに必要に応じて、熱固定処
理、縦弛緩処理、または横弛緩処理などを施してもよ
い。さらに好ましくは、二軸延伸後に熱固定される。
出成形法により製造する場合には、公知のT−ダイ法、
インフレーション法等が適用でき、これらの方法により
未延伸フィルムを得ることができる。押出し温度は、用
いる脂肪族ポリエステルの融解温度(Tm)〜Tm+7
0℃の範囲、より好ましくは、Tm+20〜Tm+50
℃の範囲である。押出し温度が低すぎると、押出機に対
して負荷がかかりすぎるために安定して押出し成形を行
うことが困難となりやすい。また逆に、押出し温度が高
すぎると、脂肪族ポリエステルが分解しやすくなるので
好ましくない。脂肪族ポリエステルフィルムを製造する
のに用いる押出機のダイとしては、環状又は線状のスリ
ットを有するものを用いることができる。また、ダイの
温度については押出温度と同様の温度が適用される。
ムの二軸延伸は、一軸目の延伸と二軸目の延伸を逐次に
行っても、同時に行っても良い。延伸温度は、用いる脂
肪族ポリエステルのTg(ガラス転移点)〜Tg+50
℃の範囲が好ましい。さらに好ましくはTg+10〜T
g+40℃の範囲である。延伸温度が低すぎると延伸が
困難であり、逆に高すぎると厚み均一性または得られた
フィルムの機械的強度が低下し好ましくない。
に分けて行っても良いが、それぞれの延伸方向に最終的
には少なくとも3倍以上、更に好ましくは、3.5倍以
上、また縦・横面積倍率で9倍以上、更に好ましくは1
2倍以上延伸することが厚みの均一性や機械的性質の点
から好ましい。縦、横延伸比がそれぞれ3倍以下、また
面積倍率で9倍以下では、厚み均一性の良いフィルムは
得るのが困難になり、また、機械的強度等の物性の充分
な向上が得られにくい。脂肪族ポリエステルを主成分と
する基材フィルムの厚みは、10〜250μmであるこ
とが好ましく、さらに好ましくは12〜250μmであ
る。
縦延伸方向を意味し、また幅方向は横延伸方向を意味す
る。延伸倍率の上限は、特に限定されない。ただし、延
伸中にフィルムが破断しないように制御されることが好
ましい。
プロセス中に、他の樹脂との共押出し工程またはコーテ
ィング工程を設けて、複層フィルムとしてもよい。ま
た、脂肪族ポリエステルフィルムは、用途によっては、
表面エネルギーを向上する目的で、もしくは接着性や濡
れ性をよくする目的で、コロナ放電処理、コーティング
処理、プラズマ処理または火炎処理を行ってもよい。特
に酸化物の蒸着層を前記脂肪族ポリエステルフィルムに
積層する前には、フィルムと酸化物の蒸着層との接着性
を高めるために予め上記の処理を行うこともできる。
スパッタリング法、イオンプレート法等の物理蒸着法、
あるいはCVD等の化学蒸着法等が適宜用いられる。こ
のとき採用される加熱法としては、抵抗加熱、誘導加
熱、電子線加熱等が挙げられる。反応ガスとして、酸
素、窒素、水素、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気等を導入
したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いる
反応性蒸着法を採用してもよい。また、基材の脂肪族ポ
リエステルフィルムにバイアスを印可したり、蒸着方法
に依存して、蒸着時の脂肪族ポリエステルフィルムの加
熱及び冷却などの蒸着条件を変更することも可能であ
る。このような蒸着材料、反応ガス、脂肪族ポリエステ
ルフィルムバイアス、脂肪族ポリエステルフィルムの加
熱及び冷却条件は、スパッタリング法またはCDV法を
採用する際に於いても同様に、その蒸着方法を適切な条
件に変更することは可能である。蒸着材料の蒸着前ある
いは蒸着中に、被蒸着脂肪族ポリエステルフィルム表面
に、コロナ放電処理、火炎処理、低温プラズマ処理、グ
ロー放電処理、逆スパッタ処理、粗面化処理等を施して
蒸着層の密着強度を一層高めることも有効である。
iO2等から構成されており、これらの比率は作成条件
により異なる。
で、ある体積を占める物質の質量と、それと同体積の標
準物質の質量(4℃における水)との比をいう。比重の
測定は、通常物体の質量と体積を測り、同体積の4℃の
水の質量との比を求めればよいが、蒸着層の測定では、
体積の測定が困難である。そこで、まず蒸着層を積層し
た脂肪族ポリエステルフィルムから蒸着層をはがすか、
あるいは、蒸着層を積層したフィルムから脂肪族ポリエ
ステルフィルムのみを溶解することにより、蒸着層の単
独膜とした後に、JIS−K7112に記載された比重
測定法を用いることが望ましい。例えば、浮沈法では、
試料を比重が既知である溶液の中に浸漬させ、その浮沈
状態から蒸着層の比重を測定することができる。比重が
既知である溶液としては、四塩化炭素とブロモホルム、
または、ヨウ化メチレンなどの混合液を用いることがで
きる。また、連続的な密度勾配をもつ溶液中に単独膜を
浸漬させる密度勾配管法によっても比重の値を測定する
ことができる。
〜2.20であることが必要であり、好ましくは1.9
0〜2.15である。前記蒸着層の比重が小さすぎる場
合、酸化珪素系蒸着層の構造が粗雑となり、充分なガス
バリア性が得られない。また、前記蒸着層の比重が大き
すぎる場合、成膜後の初期ガスバリア特性は優れている
ものの、膜が硬くなりすぎ、耐屈曲性が低下する。例え
ば、繰り返し屈曲などにより力学的に疲労した後のガス
バリア性の低下が大きく、ガス遮断性フィルムとしての
有用性が低下する。上述の蒸着層を脂肪族ポリエステル
フィルムに積層することにより耐屈曲性に優れたガス遮
断性フィルム得ることが出来る。
表面状態に着目した点を一つの特徴とする。すなわち、
脂肪族ポリエステルフィルムの少なくとも蒸着面の三次
元平均傾斜勾配(S△a)が0.005〜0.04であ
り、そのことによりフィルム加工時の走行性に優れ、か
つ加工後のガス遮断性に優れたフィルムを得ることが出
来る。S△aが0.005未満ではフィルム加工時の走
向性が不良となり、走行後のフィルム表面が著しく荒
れ、ガス遮断性低下の原因となる。また、S△aが0.
04より大きいと透明性や耐削れ性が不良となりやす
く、フィルム品位の低下につながる。
が脂肪族ポリエステルフィルム表面の1mm2の範囲内
に実質的に存在しないことが好ましい。1.89μm以
上の高さの突起があると、透明性が不良になりやすく、
また耐削れ性が低下しやすいため白紛が発生しやすい。
しい。膜厚が薄すぎる場合は充分なガス遮断性が得られ
難く、また膜厚が必要以上に厚い場合には、耐屈曲性が
低下しやすく、また製造コストが上がり、かつガス遮断
性の向上効果が飽和するためるため、実用的でない。
エステルフィルムは、無色透明であって、包装した内容
物が見える必要があるので、積層脂肪族ポリエステルフ
ィルムのヘーズ(曇価)は低いことが好ましい。具体的
には、5%以下が好ましい。なお、蒸着層が積層された
脂肪族ポリエステルフィルムには、さらに、本発明の目
的を損なわない範囲で、他の層を形成しても差し支えな
い。
層側に、ヒートシール性を有する樹脂層、すなわちシー
ラント層を積層してもよい。ヒートシール性を有する樹
脂層には、好ましくは、ポリオレフィン樹脂が使用され
る。具体的には、ポリプロピレン、及びポリエチレンな
どが挙げられる。
及び効果を具体的に説明するが、本発明は、これらの実
施例に限定されない。まず、以下の実施例、比較例にお
ける物性の評価方法を説明する。
精密光学(株)製300Aを用い、曇価を測定した。単
位は%である。
測定装置(「OX−TRAN l0/50A」)Mod
ernControls社製)により、湿度0%、温度
25℃、2日パージで測定した。単位はcc/m2・24hr・a
tmである。また、水蒸気透過量は、水蒸気透過度測定装
置(「PERMATRAN」Modern Contr
ols社製)により、温度40℃、湿度90%、2日パ
ージで測定した。単位はg/m2・24hrである。
ィルムの蒸着層面を金属製ガイドロールに5kg/cm
の荷重で接触させ、250m/分で走行させた。ガイド
ロール擦過後の積層フィルムの酸素透過量を上記の方法
で測定した。
屈曲疲労は、いわゆるゲルボフレックステスター(テス
ター産業(株)社製)を用いて行った。条件としては
(MIL−B131H)で112inch×8inch
の試料片を直径3(1/2)inchの円筒状とし、両
端を保持し、初期把持間隔7inchとし、ストローク
の3(1/2)inchで、400度のひねりを加え
た。この動作の繰り返し往復運動を40回/minの速
さで、20℃、相対湿度65%の条件下で行った。疲労
後、酸素透過量を測定した。
面を触針式三次元表面粗さ計(SE−3AK、株式会社
小坂研究所社製)を用いて、針の半径2μm、荷重30
mgの条件下に、フィルムの長手方向にカットオフ値
0.25mmで、測定長1mmにわたって針のスピード
0.1mm/secで測定した。測定データを、2μm
ピッチで500点のデータに分割し、各点の高さを三次
元粗さ解析装置(SPA−11)に取り込ませた。これ
と同様の操作をフィルムの幅方向について、2μm間隔
で連続的に150回、即ちフィルムの幅方向0.3mm
にわたって行ない、解析装置に量子化幅0.00312
μmでデータを取り込ませた。次に、解析装置を用い
て、S△aを求めた。ここで、S△aはフィルム面全体
の三次元平均傾斜勾配を意味し、以下のように定義す
る。
の突出部の断面積及び個数を求め、各レベルにおける突
起部断面の平均面積を算出して平均円半径に換算する。
高さの変化に対する平均円半径の変化の比(勾配)を各
レベルの切断平面で求め、各値を平均してSΔaとす
る。ここで、SΔaとは、具体的には、前記触針式三次
元表面粗さ計により、一定間隔で離れた所定数の測定箇
所の高さを測定し、これらの測定値を三次元表面粗さ解
析装置に取り込んで得られる値をいう。より具体的に
は、得られる表面粗さ曲線をサインカーブで近似し、デ
ータを合わせて三次元のデータを得、中心面を基準面と
して、突起の数と高さとから面全体の傾斜勾配を算出し
た。中心面上にX軸およびY軸からなる直交座標軸系を
置き、中心面に直交する軸をZ軸とし、中心面上にX軸
方向長さLx、Y軸方向長さLy、面積Lx×Ly=S
Mの部分を抜き取り、この抜き取り部分から、S△aは
下記の式で表される。
標軸上の位置(x、y)におけるフィルム表面の高さZ
を表す関数を意味し、Lx=500、Ly=150であ
る。
真空下でアルミ蒸着を施し、二光束干渉顕微鏡に波長
0.54μmのフィルターを装着して観察される突起の
周りに出来た7重リング以上(突起高さ1.89μm以
上に相当)のリングの数を1.3mm2にわたって計測
し、単位面積(mm2)あたりの個数として求めた。
0重量部に対し、触媒としてオクチル酸スズ0.03重
量部を反応缶に仕込み、缶内温度190℃で1時間反応
を行い、反応終了後、得られた反応系を減圧にして、残
留するL−ラクチドを留去して、ポリ乳酸を得た。得ら
れたポリ乳酸の還元粘度は1.8dl/gであった。
間真空乾燥させた後、Tダイを備えた口径30mmの押
出機を使用して、樹脂温度210℃でシート状に溶融押
出ししてチルロール上で冷却し、厚さ約300μmの未
延伸フィルムを得た。その後、直ちにロール式延伸機で
縦方向に75℃で3.2倍延伸し、更にテンター式延伸
機で横方向に100℃で4倍延伸した。次いで、横方向
に6%緩和させつつ150℃で熱固定した後、コロナ放
電処理を行って、厚さ25μmの二軸延伸フィルムを得
た。得られたコロナ放電処理済みの2軸延伸フィルム
に、電子ビーム加熱型真空蒸着装置により、Siおよび
SiO2を蒸着材料として用いて、蒸着膜を積層した。
加熱源として電子銃を用い、蒸着材料は、混合せずに坩
堝を2つに区切って入れ、材料それぞれを時分割で加熱
した。また、電子銃のエミッション電流および加熱比を
調整することによって、様々な組成の蒸着層を得た。こ
のようにして得られた積層フィルムの樹脂層を溶解した
後、酸化珪素系蒸着層の比重を浮沈法により測定した。
得られた結果を実施例1は表1に、比較例1は表2に示
した。
時前に、滑剤粒子として、平均粒子径が1.8μmの凝
集体シリカ粒子(富士シリシア化学株式会社製SYLY
SIA350)をL−ラクチド中に分散されたスラリー
の形態で、様々な添加量で添加した以外は、実施例1に
記載の方法で、蒸着層積層フィルムを作製した。得られ
た結果を表3に示した。尚、生成ポリ乳酸に対する滑剤
粒子の含有量を表3に記載した。
剤粒子として、平均粒子径が5.8μmの球状シリカ粒
子(水沢化学工業株式会社製AMT−シリカ#500
B)をL−ラクチド中に分散されたスラリーの形態で、
様々な添加量で添加した以外は、実施例1に記載の方法
で、蒸着層積層フィルムを作製した。得られた結果を表
3に示した。尚、生成ポリ乳酸に対する滑剤粒子の含有
量を表3に記載した。
フィルムは、透明性及び耐屈曲性、ならびにフィルム加
工時の走行性及びフィルム加工装置の部品に接触しなが
らフィルムが走行した後のガス遮断性に優れており、一
般包装用フィルムとして極めて有用である。
Claims (4)
- 【請求項1】 主たる繰り返し単位が一般式−O−CH
R−CO−(Rは水素又は炭素数l〜3のアルキル基)
である脂肪族ポリエステルを主成分とする基材フィルム
の少なくとも一方の面に、酸化珪素系蒸着層が積層され
たガス遮断性フィルムであって、前記蒸着層の比重が
1.80〜2.20であり、かつ前記脂肪族ポリエステ
ルフィルムの少なくとも蒸着面における三次元平均傾斜
勾配(S△a)が0.005〜0.04であることを特
徴とするガス遮断性脂肪族ポリエステルフィルム。 - 【請求項2】 前記脂肪族ポリエステルフィルムのフィ
ルム表面に突起高さが1.89μm以上の突起が1mm
2の範囲内に実質的に存在しないことを特徴とする請求
項1記載のガス遮断性脂肪族ポリエステルフィルム。 - 【請求項3】 前記基材フィルムの厚みが10〜250
μmであり、蒸着層の厚みが10〜5000Åであるこ
とを特徴とする請求項1又は2記載のガス遮断性脂肪族
ポリエステルフィルム。 - 【請求項4】 前記脂肪族ポリエステルが、ポリ乳酸で
あることを特徴とする請求項1乃至3記載のガス遮断性
脂肪族ポリエステルフィルム。
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JP10-211091 | 1998-07-27 | ||
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-
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