JP4048313B2 - 物体浮揚装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば音波等の放射圧を用いて物体を浮揚状態に保持したり、浮揚状態で搬送する物体浮揚装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の物体浮揚装置として、例えば特開平7−137824号公報、特開平9−202425号公報等に開示されたものがある。これらの装置では、図7に示すように、長尺の平板状の振動板51を使用し、浮揚させるべき物体52の前記振動板51の表面と対向する面を平面とする。そして、励振手段53により振動板51を励振させ、振動板51の振動による音波の放射圧により物体52を浮揚させる。また、浮揚した物体に空気を噴射したり、前記振動板51で進行波を発生させて浮揚した物体52を移動させることにより、物体52を浮揚状態で搬送する。
【0003】
この種の物体浮揚装置では、大きな(幅広の)物体を安定した状態で浮揚搬送するために、振動板を幅広にすると、振動板に幅方向の振動が誘起され、安定した進行波を発生させるのが難しい。そのため、幅の狭い振動板を励振手段で振動させるユニットを平行に複数配置することが提案されている(例えば、特開平9−202425号公報)。
【0004】
また、特開平9−202425号公報には、振動体の振動を円錐状のホーンによって幅広の振動板のほぼ一点に集中して伝達する代わりに、図8に示すように、振動板51の幅と等しい幅の形状のホーン54を使用した際の振動板51に伝達される振動分布の解析結果が開示されている。その結果、コーン55からは縦振動のみが付与されるにも拘わらずホーン54のポアソン比の影響によって横方向の振動が誘発され、これによって振動分布が不均一になり、同一方向の進行波を得ることが難しいことが記載されている。また、横方向の振動を抑圧すべくホーン54にスリット54aを形成しても、その効果は充分ではなく、スリット54aを設けたことにより、振動板51に正常な進行波W1と逆向きに進む進行波W2が両側で発生して、振動板51の全幅にわたって同相の進行波を得ることが難しいことが開示されている。同様のことが、伊藤洋一、川村雅恭:日本音響学会講演論文集p701−702,1983.10にも記載されている。なお、ここで「幅広」とは、振動板を振動させるホーンの縦振動の波長の1/3以上の場合をいう。ホーンの縦振動の波長は通常220〜240mm程度である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、複数のユニットを配置した場合は、各ユニットを同期して同じ振幅で駆動するように調整するためのアライメント調整が困難となる。また、振動子や発振器等の部品点数が増加してコスト高になるという問題がある。
【0006】
また、振動板に進行波ではなく定在波を発生させる場合も、振動板の幅が広くなると、格子モードより安定な縞モードの定在波を発生させるのが難しくなるという問題がある。
【0007】
本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は長尺の振動板を使用して物体を浮揚状態に保持あるいは浮揚状態で搬送する際、簡単な構成で振動板に安定した進行波又は定在波を発生させることができる物体浮揚装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、長尺の振動板を励振手段で励振させて、振動板からの音波の放射圧により物体を浮揚させる物体浮揚装置であって、前記振動板の下面において該振動板の幅方向中央に前記振動板の長手方向に延びる溝を設けた。
【0009】
従って、この発明では、幅広の振動板を使用する際、振動板にその長手方向に延びる溝が形成されているため、振動板の全幅にわたって安定した進行波あるいは定在波が発生する。その結果、幅の広い物体を浮揚状態で搬送あるいは保持することが可能な物体浮揚装置を、振動子や発振器等の部品点数を増加させずに簡単な構成で製造することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記励振手段を構成するホーンにはその振動方向に延びるスリットが形成されている。従って、この発明では、ホーンの振動方向に沿って延びるように形成されたスリットの存在により、振動子からホーンに縦振動のみが伝達されるようになる。その結果、振動板及びホーンが幅広の場合でも安定した進行波又は定在波が振動板に発生する。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記振動板は前記励振手段を構成するホーンに対して固定されるとともに、前記溝は前記固定箇所を避けて形成されている。従って、この発明では、進行波を安定した状態で発生させることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、前記固定方法はねじである。従って、この発明では、振動板をねじにより簡単にホーンに固定できるとともに、進行波を安定した状態で発生させることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記溝は前記振動板の長手方向全長にわたって形成されている。従って、この発明では、複数の短い溝を一直線状に加工する場合に比較して溝の加工が簡単になる。
【0014】
請求項6に記載の発明では、複数の長尺の振動板を励振手段で励振させて、前記複数の振動板それぞれから発せられる音波の放射圧により物体を浮揚させる物体浮揚装置であって、前記複数の振動板それぞれを前記励振手段を構成する共用のホーンに対して固定し、前記複数の振動板は該振動板の幅方向において並列されるとともに前記振動板の長手方向に沿って平行に配置され、かつ前記ホーンにその振動方向に沿って延びるスリットを形成した。
【0015】
この発明では、各振動板は幅広ではなく、ホーンの縦振動に対応して安定して振動する。複数の振動板を励振させるホーンが幅広に形成されているが、ホーンの振動方向に沿って延びるように形成されたスリットの存在により、各振動板に安定した進行波又は定在波が発生する。
【0016】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の発明において、前記振動板の下面と当接して該振動板の撓み量を調整可能な撓み抑制機構を備えた。従って、この発明では、複数の振動板の撓み量が同じになるように撓み抑制機構が調整された状態で振動板が励振されることにより、複数の振動板で発生する進行波あるいは定在波が同じ状態となって安定した状態で物体が浮揚する。
【0017】
請求項8に記載の発明では、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の発明において、前記励振手段は前記振動板に進行波を発生させるように構成されている。従って、この発明では幅広の物体を簡単な構成で、安定した状態で搬送できる。
請求項9に記載の発明では、長尺の振動板を励振手段で励振させて、振動板からの音波の放射圧により物体を浮揚させる物体浮揚装置であって、前記励振手段を構成する共用のホーンに対して複数の振動板を平行に固定し、かつ前記ホーンにその振動方向に沿って延びるスリットを形成し、前記振動板の下面と当接して該振動板の撓み量を調整可能な撓み抑制機構を備えている。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を物体を浮揚状態で搬送する物体浮揚装置としての物体浮揚搬送装置に具体化した第1の実施の形態を図1〜図3に従って説明する。
【0019】
図1に示すように、物体浮揚搬送装置1は長尺の振動板2を備えている。振動板2は矩形平板状に形成され、搬送すべき物体3の幅より狭く形成され、物体3を中央部で浮揚保持可能になっている。振動板2には励振手段を構成するホーン4a,4bが、その先端においてねじ5により締結されている。ホーン4a,4bは偏平なほぼ直方体状に形成され、振動板2に対してその長手方向両端近傍において長手方向と直交する状態で取付けられている。
【0020】
各ホーン4a,4bは振動板2が締結される面の反対側の面において振動子6に固定されている。ホーン4a,4bの先端面は振動子6の軸方向と直交する平面に形成され、ホーン4a,4b及び振動子6の中心軸が鉛直方向に延びる状態で配置されている。
【0021】
振動子6には所謂ランジュバン形振動子が使用され、一対のリング状のピエゾ素子7a,7bを備えている。両ピエゾ素子7a,7b間にリング状の電極板8が配置され、ピエゾ素子7a,7bの電極板8と当接する側と反対側の面に当接する金属ブロック9a,9bを、図示しないボルトによって締め付け固定することにより振動子6が構成されている。ボルトは金属ブロック9aに形成された図示しないねじ穴に、金属ブロック9b側から螺合されている。両金属ブロック9a,9bはボルトを介して互いに導通された状態となっている。
【0022】
振動板2の一端側に締結されたホーン4aを励振させる振動子6は発振器10に接続されている。電極板8は配線11aを介して発振器10と接続され、発振器10の接地端子が配線11bを介して金属ブロック9bに接続されている。ホーン4a,4b、振動子6、発振器10により振動板2を励振させる励振手段が構成されている。
【0023】
振動板2の他端側に締結されたホーン4bを励振させる振動子6は、抵抗R及びコイルLからなるエネルギー変換手段としての負荷回路12にそれぞれ接続されている。即ち、励振手段は振動板2に進行波を発生させるように構成されている。
【0024】
振動板2は幅広、即ちその幅がホーン4aの縦振動の波長の1/3以上に形成されている。振動板2にはその長手方向に沿って延びる溝13が設けられている。この実施の形態では溝13は振動板2の下面の中央に1本、振動板2の全長にわたって延びるように形成されている。溝13は振動板2をホーン4a,4bに固定するねじ5を挿通するねじ孔2aを避けて形成されている。即ち、ねじ孔2aは振動板2の幅方向の中央には形成されていない。
【0025】
ホーン4a,4bにはその振動方向に沿って延びるスリット14が複数(この実施の形態では4個)形成されている。スリット14はホーン4a,4bをその幅方向においてほぼ均等に分割するように形成されている。
【0026】
次に前記のように構成された装置の作用を説明する。
振動子6が所定の共振周波数(例えば、20kHz前後)で励振され、ホーン4a,4bが縦振動してホーン4a,4bを介して振動板2が励振されて撓み振動を行う。振動板2から放射される音波の放射圧によって、物体3は振動板2の表面から浮揚する。浮揚距離は例えば数10〜数100μmである。
【0027】
振動板2の振動は負荷回路12に接続された振動子6に伝達され、振動子6を構成するピエゾ素子7a,7bにより機械エネルギーである振動のエネルギーが電気エネルギーに変換される。この電気エネルギーが負荷回路12の抵抗Rでジュール熱に変換されて放散される。そのため、各振動板2に生じる振動の波が一方向へ進む進行波(この実施の形態ではホーン4a側からホーン4b側へ進む進行波)となり、物体3は振動板2の一端側から他端側へ浮揚状態で搬送される。搬送の停止は発振器10の駆動を停止することにより行われる。
【0028】
振動板2は幅広のため、溝13がないと、撓み振動が長手方向だけでなく幅方向にも発生し易くなり、同一方向の進行波が発生し難い。しかし、振動板2の長手方向に沿って延びる溝13が存在するため、振動板2の全幅にわたって同一方向の進行波が発生する。
【0029】
また、ホーン4a,4bは幅広の振動板2の幅と等しい幅に形成されるとともに、その振動方向に沿って延びるスリット14が形成されているため、振動子6からホーン4aに縦振動のみが伝達されるようになる。その結果、振動板2及びホーン4a,4bが幅広の場合でも安定した進行波が振動板2に発生する。
【0030】
前記のように構成した幅広の振動板2及びホーン4a,4bを使用した場合について、コンピュータを用いて有限要素法で解析した振動分布の解析結果を図3(a)に示し、振動分布の実測結果を図3(b)に示す。振動板2として幅が200mmのものを使用し、測定点は振動板の幅方向の端から10mmの点とし、振動板2のホーン4aに対する固定部を、図3(a),3(b)の原点とした。図3(a),(b)の横軸はそれぞれ振動板の長手方向における測定点の位置を表す。
【0031】
その結果、シミュレーション及び実測とも位相が一定方向に変化して安定状態進行波が発生することが確認された。なお、実測における振動振幅が固定部の近傍で乱れているのは、ねじによる締め付けの影響と思われる。また、振動振幅もある程度の幅で安定していることが確かめられた。
【0032】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) 長尺の振動板2にその長手方向に沿って延びる溝13が形成されているため、幅広の振動板2を使用する際、振動板2の全幅にわたって一定方向に向かう安定した進行波が発生する。従って、幅の広い物体3を浮揚状態で搬送することが可能な物体浮揚装置を、振動子6や発振器10等の部品点数を増加させずに簡単な構成で製造することができる。
【0033】
(2) ホーン4a,4bの振動方向に沿って延びるようにスリット14が形成されているため、振動子6からホーン4a,4bに縦振動のみが伝達されるようになる。その結果、振動板2及びホーン4a,4bが幅広の場合でも安定した進行波が振動板2に発生する。
【0034】
(3) 振動板2は励振手段を構成するホーン4a,4bに対してねじ5により固定されるとともに、溝13はねじ5が挿通されるねじ孔2aを避けて形成されている。従って、振動板2のホーンに4a,4bに対する固定作業が簡単になるとともに、溝13がねじ孔2aにかかる構成に比較して、進行波を安定した状態で発生させることができる。
【0035】
(4) 溝13は振動板2の長手方向全長にわたって形成されている。従って、複数の短い溝を一直線状に加工する場合に比較して溝13の加工が簡単になる。
【0036】
(5) 振動板2に進行波を発生させる構成のため、振動板に定在波を発生させて物体3を浮揚状態に保持し、エア噴射等の推進手段で物体を移動させる構成に比較して、搬送装置全体の構造が簡単になる。
【0037】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態を図4(a)〜(c)に従って説明する。この実施の形態では、溝13が形成されていない振動板を複数使用する点と、複数の振動板2を同じ振幅で振動させて安定した進行波が発生するように構成した点が前記実施の形態と大きく異なっている。前記実施の形態と同一部分は同一符号を付して、詳しい説明を省略する。
【0038】
図4(a)に示すように、複数(この実施の形態では2枚)の振動板20a,20bが共用のホーン4a,4bに対してねじ5により平行に固定されている。各振動板20a,20bは幅狭に形成されているが、両振動板20a,20bの合計の幅は、幅広となっている。ホーン4a,4bは幅広の振動板を振動可能な幅広に形成され、その振動方向に沿って延びるスリット14が形成されている。
【0039】
各振動板20a,20bの下方には、振動板20a,20bの中間部(この実施の形態ではほぼ中央部)と対向する位置に撓み抑制機構15が配設されている。図4(b)に示すように、撓み抑制機構15は、筒状の支持部材16と、その上部に取り付けられた吸気装置としての吸気ノズル17と、吸気ノズル17内に配設された撓み抑制部材18とを備え、支持部材16が図示しないブラケットを介して図示しないベースプレートの所定位置に固定されている。支持部材16はパイプ19を介して図示しない負圧源に接続されている。
【0040】
吸気ノズル17は基端内側に雌ねじ部が形成され、該雌ねじ部において支持部材16の上部に突設された雄ねじ部16aに螺合されている。そして、雄ねじ部16aの雌ねじ部への螺入量を調整することにより吸気ノズル17の高さが調整可能となっている。吸気ノズル17は先端側がロート状に拡径されている。
【0041】
撓み抑制部材18は棒状に形成され、吸気ノズル17の中心部に沿って延びるとともに、先端が吸気ノズル17から突出するように形成されている。図4(c)に示すように、吸気ノズル17の内部には支持壁21が吸気ノズル17の軸方向と直交する状態で形成されている。支持壁21には吸入された塵埃をパイプ19へ排出するための円弧状の長孔21aが形成されるとともに、その中央に撓み抑制部材18の基端が突設されている。撓み抑制部材18の先端は半球状に形成されるとともに、摩擦抵抗の小さな材質(例えば、テフロン)で被覆されている。
【0042】
この実施の形態の装置では、両振動板20a,20bが同じ振幅で振動するように、撓み抑制部材18の位置(高さ)が調整される。この位置調整は、振動板20a,20bを励振させた状態で、撓み抑制部材18を振動板20a,20bに当接させて、両振動板20a,20bの撓み量が同じになるように行われる。
【0043】
この実施の形態の物体浮揚搬送装置1では、振動板2の数が1枚であった第1の実施の形態と同様に1台の発振器10で複数の振動板20a,20bが励振される。そして、1個のホーン4aが振動子6で励振され、両振動板20a,20bにホーン4aの縦振動が伝達される。
【0044】
両振動板20a,20bが厚さ、幅及び長さ等が完全に同じで、ホーンに対する固定状態も完全に同じであれば、両振動板20a,20bの撓み量が同じになり、同じ振幅で振動する。しかし、製造の際の許容誤差等により両振動板20a,20bを完全に同じに形成するのは難しく、固定状態も完全に同じにするのは難しい。その結果、撓み抑制機構15が無い場合は、両振動板20a,20bが異なる振幅で振動する状態となり、物体3に対して安定した進行波が作用しなくなる。しかし、この実施の形態では、撓み抑制機構15が配設されているため、両振動板20a,20bが同じ撓み量、かつ同じ振幅で振動され、安定した進行波が物体3に作用する。
【0045】
この実施の形態では前記実施の形態の(2)及び(5)と同じ効果を有する他に、次の効果を有する。
(6) 共用のホーン4a,4bに対して複数の振動板20a,20bを平行に固定し、かつホーン4a,4bにその振動方向に沿って延びるスリット14を形成した。その結果、幅狭の振動板20a,20bを複数枚使用して、発振器10や振動子6の数を増やさずに、幅広の物体3を安定した浮揚状態で搬送することが可能になる。
【0046】
(7) 振動板20a,20bの下面と当接して該振動板20a,20bの撓み量を調整可能な撓み抑制機構15を備えた。従って、複数の振動板20a,20bに多少差があっても、撓み量が同じになるように撓み抑制機構が調整される。その結果、複数の振動板20a,20bで発生する進行波が同じ状態となり、物体3が安定した浮揚状態で搬送される。
【0047】
(8) 撓み抑制部材18が高さ調整可能に設けられているため、組み付け時に撓み抑制部材18と振動板20a,20bとの距離を適正な値に調整することができる。また、長期使用によって撓み抑制部材18が摩耗した場合に、先端の位置を適正位置に簡単に調整できる。
【0048】
(9) 撓み抑制部材18と振動板20a,20bとの当接部近傍に、吸気ノズル17が設けられている。従って、撓み抑制部材18と振動板20a,20bとの当接の繰り返しにより塵埃が発生しても吸気ノズル17に吸引され、物体3の搬送環境のクリーン度が低下するのを防止することができる。
【0049】
(10) 吸気ノズル17は先端側が拡径された形状に形成されているため、撓み抑制部材18と振動板20a,20bとの当接の繰り返しにより発生する塵埃を効率良く吸収できる。
【0050】
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
○ 物体を完全な浮揚状態で搬送する構成に限らず、薄くて幅が広い物体を搬送する場合、図5に示すように、物体3の両端を支承する回転自在なローラ22を振動板2の両側に多数配設し、物体3の中央部を振動板2で発生する進行波の作用によって浮揚状態に保持して搬送する構成としてもよい。例えば、物体3として薄いガラス板の搬送に適用する。物体3の端部はローラ22と常に当接した状態となるため、汚れや傷が付く可能性があるが、ガラス板の端部は最終的には製品とならない不用部となるので支障はない。この場合、撓みやすい物体3を搬送する際に、振動板2の幅を物体の幅近くまで拡げる必要がない。
【0051】
○ 振動板2に進行波を発生させる構成に代えて、定在波を発生させる構成としてもよい。例えば、図6に示すように、振動板2の他端側に設けられた振動子6は発振器10にも負荷回路12にも接続しない構成とする。そして、振動板2に浮揚保持された物体3に対して、エアを噴射するノズル23を振動板2に沿って所定間隔で配置して物体3を搬送するようにしてもよい。この構成ではノズル23が物体3に推進力を与える推進力付与手段を構成する。
【0052】
○ 第2の実施の形態においても、振動板20a,20bに定在波を発生させる構成とし、各振動板20a,20bに対応して撓み抑制機構15を設ける構成としてもよい。
【0053】
○ 定在波を発生させる構成の物体浮揚装置を台車に装備し、台車の移動により物体を浮揚状態で搬送してもよい。
○ 第1の実施の形態において、振動子6としてホーン4a,4bの厚さと同じ径の円柱状の振動子6を使用する代わりに、ホーンの幅及び厚さと同等の幅及び厚さを有する振動子6を使用すれば、ホーン4a,4bにスリット14を設けなくてもよい。しかし、この構成では振動子6の製造が難しく、コストも高くなるため、円柱状の振動子6と、スリット14を形成したホーン4a,4bとの組合せが好ましい。
【0054】
○ 第1の実施の形態において、振動板2に形成される溝13の数は1本に限らず、振動板2の幅により複数設けてもよい。溝13により分割された各部の幅がホーン4a,4bの縦振動の波長の1/3より小さくなるように、溝13の数が設定される。
【0055】
○ 第1の実施の形態において、溝13の位置は振動板2の下面に限らず、上面に形成したり、両面に形成してもよい。しかし、上面に形成した場合は、振動板2からの音圧の放射量が少なくなるため、下面に形成する方が好ましい。また、溝13が上面に形成されると、溝13に塵埃などが堆積し易くなる。
【0056】
○ 溝13は振動板2の全長にわたって形成される必要はなく、部分的に形成された構成でもよい。例えば、比較的長い溝を複数形成したり、短い溝を多数形成してもよい。
【0057】
○ ホーン4a,4bに形成されるスリット14の数は4個に限らず、ホーン4a,4bの幅や厚さ及び高さ等により、3個以下あるいは5個以上としてもよい。また、数は偶数でも奇数でもよい。
【0058】
○ 第2の実施の形態において振動板の数は2枚に限らず、3枚以上でもよい。この場合、振動板の数に対応して撓み抑制機構15の数も増加する。
○ 第2の実施の形態において、吸気ノズル17を設けずに、撓み抑制部材18を振動板20a,20bと当接する位置に配置してもよい。この場合も撓み抑制に関しては同様の効果を発揮する。
【0059】
○ 吸気ノズル17の雌ねじ部を支持部材16の雄ねじ部16aに螺合させる構成に代えて、支持部材16の上部に雌ねじ部を形成するとともに、吸気ノズル17の下部にその雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を形成する。そして、前記雄ねじ部の螺入量を変更して、吸気ノズル17の高さ即ち撓み抑制部材18の高さ調整を可能にしてもよい。
【0060】
○ 進行波を利用して物体3を浮揚状態で搬送する装置において、各振動板2の両端に設けられた振動子6をそれぞれ発振器10と負荷回路12とに選択的に切り換え接続可能に構成する。この場合、発振器10に接続された状態と、負荷回路12に接続された状態との切換を行うことにより、物体3の搬送方向を選択することができる。
【0061】
○ 搬送距離が長い場合は、複数の物体浮揚搬送装置1を直列に配設して物体浮揚搬送装置を構成してもよい。
○ 浮揚保持する物体3の形状は矩形等の四角形に限らず、三角形や他の多角形あるいは円形等任意の形状としてよい。
【0062】
○ 振動板2のホーン4a,4bへの固定はねじによる締結に限らず、接着剤を使用したり、ロウ付けや溶接で固着してもよい。振動板2の溝13を避けた箇所を接着(ロウ付け、溶接)して固定してもよい。
【0063】
○ 振動子6はランジュバン形振動子に限らず他の振動子を使用してもよい。
前記実施の形態から把握される発明(技術的思想)について以下に記載する。
(1) 前記励振手段は前記各振動板から定在波を発生するように構成されている。
【0064】
(2) 浮揚状態の物体に推進力を与える推進力付与手段が設けられている。
(3) 前記物体浮揚装置を台車上に装備した物体搬送装置。
【0065】
(4) 前記溝は振動板の下面に形成されている。
【0066】
【発明の効果】
以上詳述したように、各請求項に記載の発明によれば、長尺の振動板を使用して物体を浮揚状態に保持あるいは浮揚状態で搬送する際、簡単な構成で振動板に安定した進行波又は定在波を発生させることができる。請求項8に記載の発明によれば、長尺の振動板を使用して簡単な構成で物体を安定した浮揚状態で搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は第1の実施の形態の物体浮揚搬送装置の模式斜視図、(b)はホーンと振動子との関係を示す模式正面図。
【図2】 振動板の平面図。
【図3】 (a)はシミュレーションによる振動板の振動分布の解析結果を示すグラフ、(b)は振動分布の実測結果を示すグラフ。
【図4】 (a)は第2の実施の形態の物体浮揚搬送装置の模式斜視図、(b)は撓み抑制機構の模式正面図、(c)は吸気ノズルの平面図。
【図5】 別の実施の形態の物体浮揚搬送装置の模式斜視図。
【図6】 別の実施の形態の物体浮揚搬送装置の模式側面図。
【図7】 従来技術の物体浮揚搬送装置の模式斜視図。
【図8】 別の状来技術の物体浮揚搬送装置の部分模式斜視図。
【符号の説明】
1…物体浮揚装置としての物体浮揚搬送装置、2,20a,20b…振動板、2a…ねじ孔、3…物体、5…ねじ、4a,4b…励振手段を構成するホーン、6…同じく振動子、10…同じく発振器、13…溝、14…スリット、15…撓み抑制機構。
Claims (9)
- 長尺の振動板を励振手段で励振させて、振動板からの音波の放射圧により物体を浮揚させる物体浮揚装置であって、前記振動板の下面において該振動板の幅方向中央に前記振動板の長手方向に延びる溝を設けた物体浮揚装置。
- 前記励振手段を構成するホーンにはその振動方向に延びるスリットが形成されている請求項1に記載の物体浮揚装置。
- 前記振動板は前記励振手段を構成するホーンに対して固定されるとともに、前記溝は前記固定箇所を避けて形成されている請求項1又は請求項2に記載の物体浮揚装置。
- 前記固定方法はねじである請求項3に記載の物体浮揚装置。
- 前記溝は前記振動板の長手方向全長にわたって形成されている請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の物体浮揚装置。
- 複数の長尺の振動板を励振手段で励振させて、前記複数の振動板それぞれから発せられる音波の放射圧により物体を浮揚させる物体浮揚装置であって、前記複数の振動板それぞれを前記励振手段を構成する共用のホーンに対して固定し、前記複数の振動板は該振動板の幅方向において並列されるとともに前記振動板の長手方向に沿って平行に配置され、かつ前記ホーンにその振動方向に沿って延びるスリットを形成した物体浮揚装置。
- 前記振動板の下面と当接して該振動板の撓み量を調整可能な撓み抑制機構を備えた請求項6に記載の物体浮揚装置。
- 前記励振手段は前記振動板に進行波を発生させるように構成されている請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の物体浮揚装置。
- 長尺の振動板を励振手段で励振させて、振動板からの音波の放射圧により物体を浮揚させる物体浮揚装置であって、前記励振手段を構成する共用のホーンに対して複数の振動板を平行に固定し、かつ前記ホーンにその振動方向に沿って延びるスリットを形成し、前記振動板の下面と当接して該振動板の撓み量を調整可能な撓み抑制機構を備えた物体浮揚装置。
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