JP4047290B2 - カーテンウォール、およびこれを備えた建物 - Google Patents
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特許文献1に記載されたカーテンウォールは、格子状に並べて配置されたPC版および板ガラスで構成され、PC版の上下、または左右の端面に板ガラス取付条溝を形成し、この板ガラス取付条溝に雨除け材および気密材を介して板ガラスを取り付けて、横連窓、または縦連窓の窓開口が形成されている。PC版同士の縦目地、または横目地には、乾式の雨除け材および気密材が設けられ、横連窓、または縦連窓の板ガラス同士の縦目地、または横目地には、シリコーンゴム等の中空部材からなる目地密封材が介挿されている。そして、板ガラス取付条溝内部、PC版同士の目地内部、および板ガラスの目地密封材内部に、それぞれ等圧排水空間を形成するとともに、これらの等圧排水空間同士を連通させることで、雨除け材を越えて等圧排水空間に浸入した雨水を目地密封材下部、あるいは目地交差部の水受け材まで案内して排水するようになっている。
従って、万一、ガラス面材の室外面と横PC版の支持溝との間に介挿されたシール材部分から支持溝内部に雨水が浸入しても、浸入した雨水を支持溝に連続する排水溝を介して縦目地まで案内して室外に排水することができる。従って、カーテンウォールにおける水密性をさらに向上させることができる。
このような構成では、縦目地および横目地において、PC版同士の水密構造として一般的な乾式の止水部材(例えば、ゴム製の水切り材や、レインバリア、スプラッシュバリア等)、および気密部材(例えば、発泡ゴム製のウインドバリア等)が採用でき、ジョイント部における水密性、気密性をより確実なものにできる。また、縦目地において、止水部材および気密部材の上端部間に、室外側端部が前記排水溝よりも下方で、かつ室外側の止水部材よりも室外側に延出した連結シール材を設けたことで、横PC版の排水溝から縦目地内に排水された雨水を連結シール材で案内して、室外側の止水部材よりも外側、つまり室外空間に確実に排水することができる。
このような構成では、押縁を取り外した状態で、横PC版および縦PC版で囲まれた開口部分にガラス面材をけんどん式で嵌め込み、横PC版の下端面、または縦PC版の側端面に室内側から押縁を取り付けることで、ガラス面材の取り付けを室内側から容易に実行することができる。すなわち、横PC版の下端面に支持突部および押縁を設けた場合には、縦PC版の側端面にガラス面材の側端縁が挿入可能な凹溝を形成しておくだけで、ガラス面材を左右方向のけんどん式で嵌め込むことができ、左右の縦PC版の側端面に支持突部および押縁を設けた場合には、横PC版の下端面に凹溝を形成しておけば、ガラス面材を上下方向のけんどん式で嵌め込むことができる。
このような建物では、前述と同様の作用効果を奏することができ、本発明の目的を達成することができる。
図1は、本実施形態に係るカーテンウォール10により外壁面が形成された建物1の一部を示す外観姿図である。図2、3は、カーテンウォール10の縦断面図であり、図1に矢視II−II線、および矢視III−III線で示す断面図である。図4、5は、それぞれカーテンウォール10の要部を拡大して示す縦断面図であり、図1に矢視IV−IV線、V−V線で示す断面図である。図6、7は、それぞれカーテンウォール10の要部を拡大して示す横断面図であり、図1に矢視VI−VI線、VII−VII線で示す断面図である。
PC版11は、各フロアの床レベル(図中FLで示す)近傍の高さ位置(スパンドレル部)に水平方向に並設された横PC版20と、上下フロアの横PC版12間に配置された縦PC版30とから構成されている。横PC版20は、図2に示すように、建物1の各フロアの梁2や床スラブ3に、適宜ブラケット等を介して取り付けられたファスナ4で固定されている。縦PC版30は、図3に示すように、梁2や床スラブ3に固定されたブラケット8を介して取り付けられたファスナ4で固定されている。
複層ガラス12は、横PC版20および縦PC版30で形成された開口部に、横PC版20および縦PC版30に四周が支持されて取り付けられている。
なお、シール材および気密材としては、シリコン製に限らず、他の合成樹脂製の湿式シール材でもよく、また、ゴム製などの乾式のシール材でもよい。
なお、押縁5を固定するアタッチメント6は、横PC版20の下端面25に対してアンカーボルト等で固定されたものに限らず、横PC版20に打ち込み(埋め込み)、下端面25から突出させたものでもよい。
一方、横PC版20の下端面25には、前記支持突部26の下端面とフラットに連続する下端面を有した段付き部26Aが形成されている。この段付き部26Aの室内側側面は、支持突部26の室内側側面よりも室内側位置に傾斜して設けられている。このような横PC版20の下端面25と横目地14を介して対向する縦PC版30の上端面32には、横PC版20の段付き部26Aに沿った室外側の切欠き部32Aが形成されている。
なお、図7中、室内側の止水部材18Aは、前述の止水部材18と異なり、中空状に形成された部材であるが、前述の止水部材18と同様の2つのヒレ状部が突出した形態の部材としてもよい。また、同様に横PC版20の側端面28に用いた中空状の止水部材18Aを、下端面21の止水部材18に用いてもよい。
図8は、横PC版20の上端面21を示す平面図であり、図9は、横PC版20の側端面28を示す側面図である。図10は、横PC版20の縦目地13部分を上方から見た斜視図である。
図8〜10において、横PC版20の縦目地13には、止水部材17,18Aおよび気密部材19の上端部間を連結する連結シール材40が設けられている。
なお、連結シール材40およびバックアップ材41,42をシリコンスポンジ等から一体に成形した連結シール材を採用してもよい。
上下のけんどん式で複層ガラス12を嵌め込む場合には、左右の縦PC版30の側端面33に、横PC版20の下端面25に設けたのと同様の支持突部および押縁を設け、横PC版の下端面に凹溝を形成しておく。そして、まず複層ガラス12の上端縁を横PC版20の下端面25の凹溝に挿入し、次に複層ガラス12の下端縁を横PC版20の上端面21の支持溝22に挿入して、支持部材23およびセッティングブロック24に載置する。その後、左右の縦PC版30の側端面33に押縁を取り付けることで、複層ガラス12が取り付けられる。
(1) 横PC版20の縦目地13の延長上に縦PC版30を配置し、この縦PC版30の上下端面31,32と横PC版20とを横目地14を介して接続したことで、これらの縦目地13および横目地14には、PC版11同士を接続する同種の水密構造が採用できる。従って、縦目地13および横目地14が交差するジョイント部分に異種の水密構造が集中しないので、水密性能上の弱点になりやすいジョイント部分における水密性の向上を図ることができる。
例えば、前記実施形態では、PC版11同士を乾式の止水部材17,18,18A、および気密部材19で接続したが、これに限らず、建設現場において施工される湿式のシール構造を採用してもよい。この際、複層ガラス12の四周におけるシール構造と、PC版11同士の間のシール構造を共通のものにしてもよい。
また、前記実施形態では、横PC版20の設置位置は、各フロアの床レベルの上下に跨るスパンドレル部としたが、これに限らず、腰壁位置や垂れ壁位置であってもよく、また、2層分やそれ以上のフロアに渡る開口部の上下位置に横PC版を設置してもよい。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (4)
- 建物の外壁面を構成する複数のPC版と、これらのPC版に支持されるガラス面材とを備えて構成されるカーテンウォールであって、
前記複数のPC版は、縦目地を介して水平方向に並設され、かつ上下に離隔して配置された横PC版と、これら上下の横PC版間に配置された縦PC版とを備えて構成され、前記横PC版の縦目地の延長上に前記縦PC版が配置され、この縦PC版の上下端面と前記上下の横PC版とが横目地を介して接続され、
前記ガラス面材は、上下端縁が前記上下の横PC版に支持され、左右の側端縁が左右の縦PC版に支持され、
前記横PC版の上端面における前記ガラス面材の下方には、当該ガラス面材の下端縁に沿って断面略凹状の支持溝が形成され、この支持溝の溝底に設けた支持部材上に前記ガラス面材が載置されるとともに、当該支持溝の室外側側面と前記ガラス面材の室外面との間にシール材が介挿され、当該支持溝の室内側側面と前記ガラス面材の室内面との間に気密材が介挿され、
前記横PC版の上端面には、前記支持溝に連続するとともに、当該横PC版の側端面まで延びて前記縦目地に連通された排水溝が形成され、
前記支持溝の溝底は、室外側が低くなった段付き状に形成され、前記排水溝は、前記支持溝の溝底における段付き下段側の底部に連続し、かつ前記横PC版の側端面に向かって下がる勾配を有した溝底を有して形成され、前記支持溝に浸入した雨水が前記排水溝および前記縦目地を介して室外側に排水可能に構成されたカーテンウォール。 - 建物の外壁面を構成する複数のPC版と、これらのPC版に支持されるガラス面材とを備えて構成されるカーテンウォールであって、
前記複数のPC版は、縦目地を介して水平方向に並設され、かつ上下に離隔して配置された横PC版と、これら上下の横PC版間に配置された縦PC版とを備えて構成され、前記横PC版の縦目地の延長上に前記縦PC版が配置され、この縦PC版の上下端面と前記上下の横PC版とが横目地を介して接続され、
前記ガラス面材は、上下端縁が前記上下の横PC版に支持され、左右の側端縁が左右の縦PC版に支持され、
前記横PC版の上端面における前記ガラス面材の下方には、当該ガラス面材の下端縁に沿って断面略凹状の支持溝が形成され、この支持溝の溝底に設けた支持部材上に前記ガラス面材が載置されるとともに、当該支持溝の室外側側面と前記ガラス面材の室外面との間にシール材が介挿され、当該支持溝の室内側側面と前記ガラス面材の室内面との間に気密材が介挿され、
前記横PC版の上端面には、前記支持溝に連続するとともに、当該横PC版の側端面まで延びて前記縦目地に連通された排水溝が形成され、前記支持溝に浸入した雨水が前記排水溝および前記縦目地を介して室外側に排水可能に構成され、
前記横PC版の側端面同士は、前記縦目地内で上下方向に延びる室外側および室内側の止水部材と、室内側の止水部材よりもさらに室内側に設けられる気密部材と、これらの止水部材および気密部材の上端部間に渡って室内外方向に延びる連結シール材とでシールされ、
縦PC版の上下端面と前記上下の横PC版の下端面または上端面とは、前記横目地内で水平方向に延びる室外側および室内側の止水部材と、室内側の止水部材よりもさらに室内側に設けられる気密部材とでシールされ、
前記連結シール材の室外側端部が、前記排水溝よりも下方で、かつ前記室外側の止水部材よりも室外側に延出して設けられているカーテンウォール。 - 前記横PC版の下端面、または前記縦PC版の側端面には、前記ガラス面材の上端縁、または左右の側端縁を室外側から支持する支持突部が形成されるとともに、当該ガラス面材の上端縁、または左右の側端縁を室内側から前記支持突部に向かって押圧する押縁が取り付けられている請求項1または請求項2に記載のカーテンウォール。
- 請求項1から請求項3のいずれかに記載のカーテンウォールを備えた建物。
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