JP4046264B2 - 電源の自動切替装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電源の自動切替装置に関し、特に、電力系統の1系統が停電した時に、他の系統としてのエンジン発電機を起動して負荷へ電力を供給することができるようにした電源の自動切替装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
商用電源などの電力系統が停電して負荷に電力を供給できなくなったとき、非常用スイッチを商用電源側からエンジン発電機側に切り替えてエンジン発電機の出力電力を負荷に供給する電源切替装置が知られる(特開平5−64382号公報)。この種の電源切替装置では、停電時に直ちにエンジン発電機を始動し、発電機の電圧が確立した後、つまり暖機運転後に、負荷への電力供給が開始される。なお、停電発生後、エンジン発電機からの電力供給が開始されるまでの間、負荷へ電力を供給するためのバッテリが設けられる場合もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような電源切替装置に使用されるエンジン発電機としては、汎用性の高いもの、すなわち、通常は単体で運転されるものを使用する場合が多い。また、エンジン発電機には、省エネルギや運転音量の低下等の観点から、無負荷状態では回転数を低下させるオートアイドル装置を備えるものが多く知られている(実公平2−40286号公報)。
【0004】
このようなオートアイドル装置を備えるエンジン発電機を、上記電源切替装置に取り付けた場合、暖気運転は無負荷であることから低回転で暖機運転が行われるので、暖機時間が長くなり、短時間で負荷へ電力の供給を開始することができない。また、暖機時間を予め定めておくようなシステムでは十分な暖機が行われないうちに負荷に対して電力供給が開始されるようになる。
【0005】
本発明の目的は、上記課題を解消し、オートアイドル装置を備えるエンジン発電機であっても、停電から短時間で十分に暖機を行った後、負荷へ電力供給することができるようにした電源の自動切替装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電源系統の停電時に、負荷に対する接続を電源系統からエンジン発電機の出力側へ自動的に切り替える電源の自動切替装置において、前記エンジン発電機が、無負荷運転状態では該エンジン発電機回転数をローアイドル回転数に制限する回転数制御手段を有するものであり、前記電源系統および前記エンジン発電機の出力側を選択的に前記負荷に接続する電力スイッチと、前記電源系統の停電時に前記エンジン発電機を始動し、暖機運転後に前記電力スイッチを前記エンジン発電機の出力側に切り替えるとともに、復電時には、前記電力スイッチを前記電源系統側に切り替える切り替え制御手段と、前記暖機運転中のエンジン発電機回転数が、予定の回転数より低い場合に、該エンジン発電機回転数を増大させて暖機運転を行う手段とを具備した点に第1の特徴がある。
【0007】
第1の特徴によれば、停電時にはエンジン発電機が起動され、暖機運転終了後に、該エンジン発電機の出力側が電源系統に代えて負荷に接続される。そして、暖機運転中のエンジン回転数が低い場合は、エンジン回転数を増大させることができるので、短時間の暖機運転において、十分な暖機を行うことができる。
【0008】
また、本発明は、前記暖機運転中のエンジン発電機回転数が予定の回転数より低い場合に、前記エンジン発電機の出力側に接続される疑似負荷をさらに具備した点に第2の特徴がある。
【0009】
また、本発明は、前記疑似負荷をエンジン発電機の出力側に断続的に接続するリレーを具備している点に第3の特徴がある。
【0010】
また、本発明は、前記接続手段が、前記疑似負荷を断続的に接続するように構成されている点に第3の特徴がある。第3の特徴によれば、疑似負荷への通電が連続的に行われるのではないため、疑似負荷の発熱を抑制することができる。したがって、疑似負荷として、例えば、ワット数の小さい抵抗負荷を使用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。図2は本発明の一実施形態に係る電源の自動切替装置を含むシステムの構成図である。同図において、自動切替装置1は、商用電源2およびエンジン発電機3の出力電力を選択的に電気負荷4に供給するためのスイッチングユニット11を有する。スイッチングユニット11は、接点111および接点111を切り替えるソレノイド112とを有する。スイッチングユニット11の作動は制御ユニット12によって制御される。エンジン発電機3としては、騒音防止や燃費向上のため、無負荷時に予定の低回転数で運転されるオートアイドル機能を選択できるスイッチ31が設けられたものを想定する。このスイッチ31がオートアイドル「オン」側に切り替えられていた場合は、例えば、負荷電流の大きさに対応する磁気が予定値以下のときに低回転数でアイドル(ローアイドル)運転される。負荷電流がある程度(例えば1A)以上であればローアイドル運転は解除され、回転数の高いハイアイドル運転に切り替えられる。ローアイドルからハイアイドルへの切替えは、負荷に応じた磁気の検出によって自動的に行われるほか、前記スイッチ31を「オフ」にすることによっても行うことができる。
【0012】
図3は、自動切替装置1を含む制御系のブロック図である。制御ユニット12は、例えば、自動切替装置1が収容されて家屋の壁などに取り付けられる収容箱に設けられるものであって、マイクロコンピュータ等が搭載される基板からなる。制御ユニット12には、設定時間変更操作部5の操作に基づく設定時間変更指示信号、および制御モード設定スイッチ6の選択に応じた制御モード信号が入力される。制御ユニット12は、商用電源2の停電および復電を常時監視する機能を有しており、その監視結果と前記設定時間変更指示信号および制御モード信号とに基づいて、スイッチングユニット11のソレノイド11aの通電および非通電、エンジン発電機3の起動および停止、液晶表示器等で構成される表示部7の表示等を制御する。
【0013】
さらに、制御ユニット12には、エンジン発電機3に、擬似負荷としての負荷抵抗(数ワット程度)8を選択的に接続するリレー9が設けられる。
【0014】
設定時間変更操作部5は、操作スイッチ51を有していて、この操作スイッチ51の操作による設定時間変更指示信号に応答して、制御ユニット12では、予め設定されている複数種類(例えば、15秒、30秒、120秒)の時間のうちの1つが選択され、エンジン発電機3の暖機時間として設定される。
【0015】
制御モード設定スイッチ6は、回動操作可能な操作ダイヤル61を有しており、操作ダイヤル61を第1ポジションP1〜第4ポジションP4の間で回動させるのに応じて、制御ユニット12による制御モードを設定するため、各ポジションP1〜P4のそれぞれで異なる信号が制御ユニット12に入力される。
【0016】
前記第1ポジションP1は、制御ユニット12による制御を停止するためのポジションである。第2ポジションは、電力系統の自動切替制御モードであり、この第2ポジションP2に操作ダイヤル61を回動操作しておくことで、制御ユニット12によるスイッチングユニット11の切替制御、エンジン発電機3の起動および停止制御、並びに表示部7の表示制御が自動的に実行される。
【0017】
また、第3ポジションP3では、エンジン発電機3が手動で起動される。操作ダイヤル61を第3ポジションP3に回動操作するとエンジン発電機3が起動される。さらに、第4ポジションP4では、エンジン発電機3の出力電力が電気負荷4に供給される。操作ダイヤル61を第4ポジションP4に回動操作すると、商用電源2の停電の有無にかかわらず、エンジン発電機3の出力電力を電気負荷4に供給するようスイッチングユニット11が制御される。
【0018】
前記自動切替制御モード(第2ポジションP2)における動作を図4のフローチャートを参照して説明する。図4において、ステップS1では、商用電源2で停電が発生したか否かが判断され、停電時にはステップS2でフラグFAが「0」か否かが判別される。フラグFAによって、エンジン発電機3が作動中であるか否かが示され、エンジン発電機3が作動状態ではフラグFAは「1」である。
【0019】
フラグFAが「0」であると判別されたとき、つまりエンジン発電機3が非作動状態であるときは、ステップS3に進み、設定時間変更操作部5の指示信号による設定時間つまり暖機運転時間が読み込まれる。ステップS4では、エンジン発電機3が起動されるとともに、表示部7の表示が暖機時間表示に切り替えられる。暖機時間は現時点の残り暖機時間を表示するのがよい。
【0020】
すなわち、制御ユニット12は、エンジン発電機3の累積運転時間を表示する状態と、エンジン発電機19の起動後、暖機運転中に、設定時間変更操作部5で設定される設定時間の減少をカウントダウン表示する状態とで、表示部7の表示内容を切替制御することが可能である。
【0021】
ステップS5では、エンジン発電機3がローアイドル運転中か、ハイアイドル運転中かを、フラグFCが「1」か「0」かによって判別する。このフラグは、図示しない別のルーチンでセットされるものであり、ローアイドルでは「1」、ハイアイドルでは「0」がセットされる。例えば、エンジン発電機の出力周波数を検出する手段を設け、その出力に基づいてエンジン発電機3の回転数Neを算出する。この回転数Neがローアイドルの範囲内であればフラグFCを「1」にセットする一方、回転数Neがローアイドルの範囲以上であればフラグFCを「0」にセットする。
【0022】
フラグFCが「1」であれば、ローアイドルであると判断されるので、ステップS6に進み、リレー9をオンにして前記負荷抵抗8を接続する。負荷抵抗8の接続によって前記オートアイドル機能が解除され、エンジン発電機3はハイアイドルに切り替わり、その回転数Neは増大する。なお、リレー9の接続状態は、前記フラグFCが「1」の間維持するよりも、予定の間隔をおいて断続的に行うのがよい。負荷抵抗8を断続的に接続することにより、負荷抵抗8発熱を抑制することができるので、負荷抵抗8での消費電力を小さく抑制することができる。
【0023】
負荷抵抗8の接続によってハイアイドルになったならば、フラグFCは「0」になるので、ステップS5は否定となり、ステップS7に進む。ステップS7では、フラグFAを「1」にセットしてエンジン発電機3が作動状態であることを示す。
【0024】
ステップS8では、設定時間変更操作部5で設定される設定時間を計測するカウンタのカウントダウンを実行する。ステップS9では、設定時間の減少、つまり暖機時間の経過をカウントダウン表示する。
【0025】
ステップS10では、設定された暖機時間が経過したか否かが判断される。暖機時間が経過したと判断されたときはステップS11に進み、電気負荷4に供給する電力を、商用電源2の電力系統からエンジン発電機3の出力に切り替えるようスイッチングユニット11を切替え、表示部7の表示をエンジン発電機3の累積運転時間を表示する状態に切り替える。ステップS12ではフラグFBを「1」にセットして、電気負荷4にエンジン発電機3の出力が接続されたことを示す。なお、電気負荷4に商用電源2の電力系統が接続されているときは、フラグFBは「0」にセットされる。
【0026】
エンジン発電機3が作動している場合、ステップS7でフラグFAは「1」にセットされるので、ステップS2は否定となり、ステップS13に進む。ステップS13では、フラグFBが「0」か否かが判別され、フラグFBが「0」ならば、ステップS8に進んで暖機運転を継続させる。一方、暖機運転時間が経過してステップS12でフラグFBが「1」に切り替えられていたときは、ステップS13は否定となり、暖機運転の処理つまりステップS8〜ステップS12は、スルーとなる。
【0027】
ステップS1で、停電が生じていないと判断されたとき、すなわち、エンジン発電機3の出力電力を使用している状態で商用電源2の電力系統が復電したと判断されたときは、ステップS1からステップS14に進み、ステップS11でフラグFBが「1」であるか否かが判断される。
【0028】
ステップS14でフラグFBが「1」であると判断された時はステップS15に進み、電気負荷4に供給する電力を、エンジン発電機3の出力から商用電源2の電力に切り替えるよう、スイッチングユニット11を制御する。これとともにエンジン発電機3は停止させる。ステップS16では、設定時間(暖機時間)のカウントダウンを行うカウンタをリセットする。ステップS17では、フラグFAとフラグFBとをそれぞれ「0」にセットする。
【0029】
次に、前記制御ユニット12の要部機能を説明する。図1において、エンジン発電機3は、オートアイドル機能を有しており、オートアイドルが選択されているときは、負荷の有無に応じて、負荷がない場合は低回転数でのアイドルが実施されるものである。停電検出部10は、商用電源2の出力電圧が所定電圧を維持しているかどうかを監視して、停電の有無を検出する。停電検出部10で停電が検出されると、エンジン発電機3を起動するとともに、暖機タイマ13にカウントダウンを開始させる。暖機タイマ13の設定時間は、複数種類のうちから選択することができる。
【0030】
エンジン発電機3が起動されると、回転数検出部14が付勢され、エンジン発電機3の出力周波数に基づいてエンジン発電機3の回転数Neが検出される。なお、回転数Neは、前記周波数に限らず、エンジン発電機3を駆動するエンジンの点火パルスに基づいて検出することもできる。
【0031】
検出されたエンジン発電機3の回転数Neは比較部15に入力され、ローアイドルか否かを判断するための基準回転数Nerefと比較される。回転数Neが基準回転数Nerefより低くてローアイドルであると判断されたときにはリレー9がオンにされる。エンジン発電機3は、リレー9がオンにされることにより、ワット数が小さい負荷抵抗8に接続される。エンジン発電機3は負荷抵抗8が接続されたことを検出してローアイドルを解除し、予め設定された高めのエンジン回転数によるアイドル運転(ハイアイドル)に切り替えられる。
【0032】
エンジン発電機3が起動されて暖機タイマ13のカウントダウンが終了すると、スイッチングユニット11が切り替わり、商用電源2の電力に代えてエンジン発電機3の出力が電気負荷4に接続される。復電したときは、スイッチングユニット11は、商用電源2の電力を電気負荷に供給できるように切り替えられる。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1〜請求項3の発明によれば、暖機運転期間において、十分な暖機が行われた後で、エンジン発電機の出力側を負荷に接続することができる。特に、請求項2の発明によれば、低回転でアイドル運転を行うオートアイドル機能を有するエンジン発電機が使用されていて、低回転でアイドル運転されている場合であっても、疑似負荷が接続されることによって、自動的にオートアイドル状態が解除される。したがって、このようなオートアイドル機能を有するエンジン発電機を使用した場合であっても、十分に暖機運転を行ってから負荷への電力供給を開始することができる。
【0034】
また、請求項3の発明によれば、疑似負荷の発熱を抑制することができるので、ワット数の小さい疑似負荷を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る電源の自動切替装置の要部機能ブロック図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係る電源の自動切替装置を含む電力供給システムの構成を示すブロック図である。
【図3】 電源の自動切替装置の制御系のハード構成を示すブロック図である。
【図4】 電源の自動切替装置の要部処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…自動切替装置、 2…商用電源、 3…エンジン発電機、 4…電気負荷、 5…設定時間変更操作部、 6…制御モード設定スイッチ、 7…表示部、8…負荷抵抗、 9…リレー、 10…停電検出部、 11…スイッチングユニット、 12…制御ユニット、 13…暖機タイマ、 14…回転数検出部、 15…比較部

Claims (3)

  1. 電源系統の停電時に、負荷に対する接続を前記電源系統からエンジン発電機の出力側へ自動的に切り替える電源の自動切替装置において、
    前記エンジン発電機が、無負荷運転状態では該エンジン発電機回転数をローアイドル回転数に制限する回転数制御手段を有するものであり、
    前記電源系統および前記エンジン発電機の出力側を選択的に前記負荷に接続する電力スイッチと、
    前記電源系統の停電時に前記エンジン発電機を始動し、暖機運転後に前記電力スイッチを前記エンジン発電機の出力側に切り替えるとともに、復電時には、前記電力スイッチを前記電源系統側に切り替える切り替え制御手段と、
    エンジン発電機の出力周波数を検出し、該出力周波数からエンジン発電機回転数を検出する回転数検出手段と、
    前記エンジン発電機回転数が予定の回転数より低いかどうかを判断するための比較する比較手段と、
    前記暖機運転中のエンジン発電機回転数が、予定の回転数より低い場合に、該エンジン発電機回転数を増大させて暖機運転を行う手段とを具備したことを特徴とする電源の自動切替装置。
  2. 前記暖機運転中のエンジン発電機回転数が予定の回転数より低い場合に、前記エンジン発電機の出力側に接続される疑似負荷をさらに具備したことを特徴とする請求項1に記載された電源の自動切替装置。
  3. 前記疑似負荷をエンジン発電機の出力側に断続的に接続するリレーを具備していることを特徴とする請求項2に記載された電源の自動切替装置。
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