JP4046130B2 - 光透過性成形品用ポリプロピレン系樹脂組成物及び光透過性成形品 - Google Patents

光透過性成形品用ポリプロピレン系樹脂組成物及び光透過性成形品 Download PDF

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Description

本発明は、照明装置のカバー等の材料として好ましく用いられる光透過性成形品用ポリプロピレン系樹脂組成物及び光透過性成形品に関する。
従来から、各種照明装置のカバーを製造するための光透過性の成形材料としては、(メタ)アクリル系樹脂、アクリロニトリル・スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が用いられている。
しかしながら、(メタ)アクリル系樹脂やアクリロニトリル・スチレン系樹脂等の成形材料を成形して得られる成形品は耐熱温度が低く、通常60℃以下程度の環境でしか連続使用することができなかった。また、(メタ)アクリル系樹脂、アクリロニトリル・スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の成形材料を成形して得られる成形品は耐薬品性が低いという欠点もあり、高い耐薬品性レベルが要求されるような用途では安定的に用いることができなかった。
一方、前記各種樹脂よりも耐熱性や耐薬品性が高い樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂が挙げられるが、ポリプロピレン系樹脂は、一般的に、光安定性が悪く、長時間光に曝されることにより樹脂が劣化して変色し、また、そのために光透過性が低下する等の問題もあった。
前記光による樹脂の劣化(以下、光劣化ともいう)の問題を解決するために、光を隠蔽する無機フィラーを配合する方法があるが、ポリプロピレン系樹脂に無機フィラーを配合して光劣化を解決する場合には光透過性が低下し、また、無機フィラーの配合割合を減らした場合には、光劣化を充分に抑制することができないという問題があった。
本発明者は、前記のように無機フィラーの配合割合を少なくした場合に、光劣化を充分に抑制できないことから、種々の酸化防止剤や光安定剤等の添加剤を用いて光透過性を維持しながら光劣化を抑制することを試みたが、この場合には、別の問題として、高過ぎる光透過性のために照明装置のカバー越しにその光源の形状(輪郭)がはっきりと見えすぎて、意匠的にも好ましくなくなるという新たな課題を認識した。
本発明は、高い耐光性を有し、また光透過性を維持しながら光源の形状(輪郭)をぼかして光源を視認しにくくして意匠効果を高めた光透過性成形品、及びこのような光透過性成形品を得るために好適な光透過性成形品用ポリプロピレン系樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤及び金属石鹸を含有するポリプロピレン系樹脂組成物において、前記各成分により光劣化を抑制し、さらに、特定の割合の無機フィラーを配合することにより、光透過性を維持しながら、光源の輪郭を視認しにくくするぼかし効果が得られることを見出し、本発明に想到するに到った。
すなわち、請求項1の発明は、ポリプロピレン系樹脂(A)、無機フィラー(B)、フェノール系酸化防止剤(C)、リン系酸化防止剤(D)、ヒンダードアミン系光安定剤(E)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(F)及びステアリン酸金属石鹸(G)を含有するポリプロピレン系樹脂組成物であって、前記ポリプロピレン系樹脂組成物中の前記無機フィラー(B)の含有割合が、2〜11質量%であることを特徴とする光透過性成形品用ポリプロピレン系樹脂組成物である。このような樹脂組成物から得られる光透過性成形品は、光透過性を維持しながら前記成形品越しに光源の形状(輪郭)を視認しにくくさせる効果(以下、ぼかし効果ともいう)が高いものになる。また、光劣化を抑制することができるものである。
また、請求項2の発明は、前記ポリプロピレン系樹脂組成物中の前記無機フィラー(B)の含有割合が、3〜6質量%である請求項1に記載の光透過性成形品用ポリプロピレン系樹脂組成物である。前記無機フィラー(B)の含有割合をこのような範囲にすることにより、光透過性とぼかし効果のバランスにすぐれたものとなる。
また、請求項3の発明は、前記無機フィラー(B)が硫酸バリウム,硫化亜鉛,シリカ,ガラスパウダーから選ばれる少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載の光透過性成形品用ポリプロピレン系樹脂組成物である。このようなフィラーはポリプロピレン系樹脂(A)の光透過性を高く維持しながらぼかし効果を得る点で特に好ましい。
また、請求項4の発明は、前記無機フィラー(B)が、アルミナ,シリカ,多価アルコール,ステアリン酸及びアクリルシランから選ばれる少なくとも1種の化合物により表面処理されたものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の光透過性成形品用ポリプロピレン系樹脂組成物である。無機フィラーにこのような表面処理が施されている場合には、無機フィラーに含有される金属イオン等が樹脂中に移行するのを抑制し、光劣化を更に抑制できる。
また、請求項5の発明は、前記ポリプロピレン系樹脂組成物全量に対して、前記フェノール系酸化防止剤(C)を0.1〜0.3質量%、前記リン系酸化防止剤(D)を0.1〜0.3質量%、前記ヒンダードアミン系光安定剤(E)を0.1〜0.5質量%、前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(F)を0.1〜0.5質量%及び前記ステアリン酸金属石鹸(G)を0.01〜0.1質量%含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の光透過性成形品用ポリプロピレン系樹脂組成物である。このような割合で各種成分を含有させることが、光劣化を抑制できる点から特に好ましい。
また、請求項6の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の光透過性成形品用ポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形して得られる光透過性成形品である。このような光透過性成形品は光透過性とぼかし効果とのバランスにすぐれており、且つ、光劣化の発生も抑制することができるために、各種照明装置の光透過性と意匠性が要求される用途に好ましく用いられる。
本発明の光透過性成形品用ポリプロピレン系樹脂組成物を用いると、従来の(メタ)アクリル系樹脂、アクリロニトリル・スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の成形材料を用いた場合に比べて、耐熱性や耐薬品性の高い光透過性成形品を得ることができる。また、前記光透過性成形品は光透過性を維持しながらポリプロピレン系樹脂の欠点である耐光性が改良され、さらに、光源の形状(輪郭)をぼかして光源を視認しにくくするという効果を有するものである。
以下に、本発明を具体的に説明する。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂(A)とは、プロピレンを構成単位の主成分とする樹脂であり、例えば、プロピレンの単独重合体やプロピレン単位に少量のエチレン単位を共重合させた共重合体等、公知のポリプロピレン系樹脂が用いられる。なお、ポリプロピレン系樹脂(A)は1種類のみを単独で用いても、また、溶融粘度が異なるものや共重合成分が異なるものを2種以上組合わせて用いてもよい。
また、本発明における無機フィラー(B)の具体例としては、硫酸バリウム,硫化亜鉛,球状シリカ及びガラスパウダーから選ばれる少なくとも1種の無機フィラーが好ましく用いられる。前記具体例として挙げた各種無機フィラーは、ポリプロピレン系樹脂(A)の光透過性を維持したまま、光源のぼかし効果を得ることが出来る点から特に好ましい。
さらに、前記ガラスパウダーの中では、石英ガラスパウダー、アンチモンガラスパウダー及びジルコニアガラスパウダーから選ばれる少なくとも1種を配合することが光源のぼかし効果を維持しながら、高い光透過性を維持することができる点から好ましい。
なお、前記無機フィラー(B)の好ましい数平均粒子径は、無機フィラーの種類により異なるが、例えば、硫酸バリウムの場合には5μm以下であることが好ましい。前記数平均粒子径が5μmを超えると、成形品に入射した可視光の透過性が低下するおそれがあり、また、均一に分散させることが困難になる傾向がある。また、数平均粒子径の下限は0.2μm程度であり、0.2μm未満の場合には粒子に凝集等が生じて均一に分散させることが出来ず、成形品に入射した可視光の透過性を維持しながらぼかし効果を得ることが困難になるおそれがある。なお、前記無機フィラーは単独で用いても、2種以上を組合わせて用いてもよい。
前記無機フィラー(B)は、その表面がアルミナ及び/又はシリカ等の無機系コート処理、あるいは多価アルコール、ステアリン酸、アクリルシラン等の有機系コート処理されたものを用いることが好ましい。前記処理された無機フィラーを用いることにより、無機フィラーに含まれるイオンや金属成分がポリプロピレン系樹脂中へ移行することを抑制できる。具体的には、例えば、無機フィラーが硫酸バリウムである場合は、ポリプロピレン系樹脂中へのナトリウムイオンの溶出を抑制することにより、変色・劣化の進行を抑制できる点から好ましく、また、無機フィラーが硫化亜鉛の場合は、光触媒的作用を抑制し、ポリプロピレンの光劣化を抑制できる点から好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、無機フィラー(B)の配合割合はポリプロピレン系樹脂組成物の全量に対して2〜11質量%、好ましくは3〜6質量%である。
前記配合割合が2質量%未満の場合には、光源のぼかし効果が充分には得られず、また、11質量%を超える場合には透過性を充分に維持することが困難になり、また、無機フィラーからの金属イオンの溶出や光触媒効果等の影響によりポリプロピレン系樹脂が光劣化しやすくなる。
なお、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物から得られる光透過性成形品の光透過性の程度は無機フィラー(B)の種類や数平均粒子径及び配合割合によって適宜調整することができる。例えば、硫酸バリウムを用いる場合には、ポリプロピレン系樹脂組成物の全量に対して3〜6質量%配合することが好ましく、球状シリカを用いる場合には、その配合割合を3〜8質量%にすることが好ましく、さらに、ガラスパウダーを用いる場合には、その配合割合を3〜6質量%にすることが光透過性を確保することができる点から好ましい。
また、前記無機フィラーを2種以上組み合わせて用いる場合の具体例としては、例えば、硫化亜鉛とガラスパウダー及び/又は球状シリカとの組み合わせが好ましく、この場合には、樹脂組成物全量に対して数平均粒子径が5μm以下の硫化亜鉛0.02〜0.08質量%と数平均粒子径が5μm以下のガラスパウダー及び/又は球状シリカ2〜5質量%とを配合することが光透過性を維持しながら、ぼかし効果を得ることができる点から好ましい。
本発明において用いられるフェノール系酸化防止剤(C)は、ポリプロピレン系樹脂の酸化を抑制し、さらに、同時に配合されるその他の成分、例えばヒンダードアミン系光安定剤やベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の酸化劣化を抑制する成分である。
フェノール系酸化防止剤(C)としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチルフェノール骨格を有する両ヒンダード型のもの(具体的には、日本チバガイギー(株)製のイルガノックス1010やイルガノックス1076など)や2,6−ジ−t−ブチルフェノール骨格を有する片ヒンダード型のもの(具体的には、日本チバガイギー(株)製のイルガノックス245や住友化学工業(株)製のスミライザーGA80など)を挙げることができる。これらは単独で用いても、2種以上を組合わせて用いてもよい。
また、本発明におけるリン系酸化防止剤(D)としては、例えば、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェイニル)フォスファイトを成分とする旭電化工業(株)製のアデカスタブPEP−36や2,2'メチレンビス(4,6−ジ−ブチルフェニル)オクチルホスファイトを成分とする旭電化工業(株)製のHP−10等を挙げることができる。これらは単独で用いても、2種以上を組合わせて用いてもよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、フェノール系酸化防止剤(C)及びリン系酸化防止剤(D)のそれぞれの配合割合はポリプロピレン系樹脂組成物の全量に対してそれぞれ0.1〜0.3質量%にするのが好ましい。前記それぞれの酸化防止剤の配合割合が少なすぎる場合には、変色劣化を充分に抑制することができないことがあり、多く配合しても更なる効果の向上は得られず、かえって経済的に不利になる恐れがある。
本発明において用いられるヒンダードアミン系光安定剤(E)及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(F)はポリプロピレン系樹脂の光劣化を抑制する成分である。
ヒンダードアミン系光安定剤(E)の具体例としては、低分子型の、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートを成分とする三共化成工業(株)製のサノールLS−770やオリゴマー型のものである、日本チバガイギー(株)製のチヌビン922、サイテック社製のサイヤソープ3346、共同薬品(株)製のキュマソープ944、共同薬品(株)製のバイオソープ04等を挙げることができる。これらは単独で用いても、2種以上を組合わせて用いてもよい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(F)の具体例としては、例えば、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールや2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。その具体的な商品名としては、低分子型のもの(旭電化工業(株)製のLA36、日本チバガイギー(株)製のチヌビン326、共同薬品(株)製のバイオソープ591、日本チバガイギー(株)製のチヌビン328など)や高分子型のもの(旭電化工業(株)製のLA31、日本チバガイギー(株)製のチヌビン234など)を挙げることができる。これらは単独で用いても、2種以上を組合わせて用いてもよい
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物において、ヒンダードアミン系光安定剤(E)及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(F)のそれぞれの配合割合はポリプロピレン系樹脂組成物の全量に対してそれぞれ0.1〜0.5質量%にするのが好ましい。前記それぞれの成分の配合割合が少なすぎる場合には、光透過性成形品の光劣化を充分に抑制できず、また、多く配合しても更なる効果の向上は得られず、かえって経済的に不利になる恐れがある。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、さらに、前記各成分のポリプロピレン系樹脂組成物中での分散性を高めるためにステアリン酸金属石鹸(G)が含有される。
ステアリン酸金属石鹸(G)としては、ステアリン酸亜鉛を含有することが好ましく、具体的には、ステアリン酸亜鉛とステアリン酸マグネシウム及び/又はステアリン酸カルシウムとを併用することが、無機フィラー(B)の分散性をより高めることで光透過性と光源のぼかし効果を高める点から好ましい。
ステアリン酸金属石鹸(G)の配合割合はポリプロピレン系樹脂組成物の全量に対して0.01〜0.1質量%であることが好ましい。前記割合が少なすぎる場合には、前記各種成分を光透過性成形品中に充分に均一分散させることが出来ず、上記効果が充分に得られない傾向があり、また、多く配合しても更なる効果の向上は得られず、かえって経済的に不利になることがある。
また、本発明ではステアリン酸金属石鹸(G)としてステアリン酸亜鉛とステアリン酸マグネシウム及び/又はステアリン酸カルシウム等の、各種ステアリン酸金属石鹸を併用する場合には、各ステアリン酸金属石鹸の配合割合は任意であって、例えば、等量ずつ配合することができる。
そして、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記各種成分を配合し、これをミキサーやブレンダー等で均一に混合し、さらに二軸又は単軸押出混練機等で加熱混練し、ペレット化等により造粒して得られる。
ペレット化されたポリプロピレン系樹脂組成物は、公知の樹脂成形方法、具体的には、例えば射出成形法や、圧縮成形法、押出成形法等により所望の形状に成形され、光透過性成形品が得られる。なお、成形条件は各種成形法に応じて適宜所望の形状が得られるような条件が選ばれる。
このようにして得られる本発明の光透過性成形品は、鏡面処理された金型で成形された2.5mm厚みの成形品において、400〜800nm程度の波長の光の透過率が5〜70%、好ましくは10〜70%、更に好ましくは40〜60%の透過率を有する成形品である。このような範囲で光を透過させることにより、光源の形状をぼかして視認しにくくしながら光を透過させて、照明装置や表示装置のカバーとして好適に用いられるものである。
なお、本発明の光透過性成形品の光透過を目的とする部分の厚みとしては、本発明の効果を得るため、0.5〜3mm、更には0.8〜2.5mm程度であることが好ましい。前記厚みが厚すぎる場合には光を充分に透過させることができなくなり、また、前記厚みが薄すぎる場合には光源のぼかし効果を充分に得ることが困難になる傾向がある。
本発明の光透過性成形品は、例えば、住宅照明器具用のカバー、本体、その他各種部品や、自動車室内灯部品、トランク・ドア等の照明器具のカバー、本体、その他各種部品、自動車メーター内の拡散板類、その他各種機械部品の表示装置のカバー等に好適に用いられる。とくに、本発明の光透過性成形品は前記ぼかし効果、光透過性及び耐光性とともに耐熱性、耐薬品性等にも優れているために、紫外線や高温環境に曝される自動車内部部品等に用いられる場合に特にその効果を発揮する。
なお、前記照明器具の光源は特に限定されず、水銀灯、白熱灯、蛍光灯、LED、ハロゲンランプ等、例えば、波長250〜1000nm程度の光を発する光源が好適に用いられる。
以下に、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。
はじめに、本実施例で用いた原材料を以下にまとめて示す。
ポリプロピレン樹脂A:三井出光ポリマー(株)製の「J2003JP」
ポリプロピレン樹脂B:三井出光ポリマー(株)製の「J950HP」
硫酸バリウム:数平均粒子径5μmの硫酸バリウム(堺化学(株)製の「300」)
表面処理硫酸バリウム:表面をシリカ、アルミナでコートした数平均粒子径3μmの硫酸バリウム(堺化学(株)製の「B−34」)
硫化亜鉛:数平均粒子径2μmの硫化亜鉛(サクトリス社製)
球状シリカA:数平均粒子径13μmの電気化学工業(株)製のFB−940
球状シリカB:数平均粒子径6μmの電気化学工業(株)製のFB−8S
石英ガラスパウダー:数平均粒子径2μmの石英ガラスパウダー(日本フリット(株)製)
アンチモンガラスパウダー:数平均粒子径2μmのアンチモンガラスパウダー(日本フリット(株)製)
ジルコニアガラスパウダー:数平均粒子径2μmのジルコニアガラスパウダー(日本フリット(株)製)
表面処理アンチモンガラスパウダー:数平均粒子径2μmのシランコートされたアンチモンガラスパウダー(日本フリット(株)製)
フェノール系酸化防止剤:日本チバガイギー(株)製の「イルガノックス1010」
リン系酸化防止剤:旭電化(株)製の「PEP−36」
ヒンダートアミン系光安定剤:共同薬品(株)製の「バイオソープ04」
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:日本チバガイギー(株)製の「チヌビン326」
ステアリン酸亜鉛:淡南化学工業(株)製のステアリン酸亜鉛
ステアリン酸マグネシウム:淡南化学工業(株)製のステアリン酸マグネシウム
ステアリン酸カルシウム:淡南化学工業(株)製のステアリン酸カルシウム
(実施例1〜12及び比較例1〜10)
表1及び表2に示す配合割合で各成分を配合し、ブレンダーで30分間混合して均一化した後、シリンダー温度220℃に設定した二軸押出機で溶融混練し、冷却後ペレット化してポリプロピレン系樹脂組成物を得た。得られたポリプロピレン系樹脂組成物を用いて以下の評価を行なった。
(引張伸び試験)
ASTM D638に準じて、厚み3mmのダンベル試験片を射出成形により成形した。そして、得られたダンベル試験片の破断時の伸びを引張試験機を用いて測定した。
(耐光引張伸び試験)
前記引張伸び試験と同様のダンベル試験片を90℃の雰囲気下で水銀灯により紫外線を60日間照射した後、前記引張伸び試験と同様の方法で破断時の伸びを測定、算出した。
(耐光変色性試験)
厚み3mmの50mmφの円板試験片を成形し、90℃の雰囲気下で水銀灯により紫外線を30日間照射した後の変色を色差計で測定し、ΔEを算出した。
(耐熱変色性試験)
厚み3mmの50mmφの円板試験片を成形し、90℃の雰囲気下で30日間放置した後の変色を色差計で測定し、ΔEを算出した。
(耐光クラック発生時間)
厚み3mmの50mmφの円板試験片を成形し、90℃の雰囲気下で水銀灯により紫外線を照射した場合のクラック発生までの時間を測定した。
(光源視認性試験)
得られた樹脂組成物を用いて厚み2.5mm、底面60×60mm、高さ20mmの箱型の光透過性成形品である照明カバーを射出成形により成形した。なお、前記成形で用いた金型表面は表面粗さがRax=0.1μm程度の鏡面処理がされたものである。
次に、白色の天板にLEDランプ(日亜化学工業(株)製のNFSW036B)を固定して前記成形品で覆い、LEDランプを点灯した。なお、前記LEDランプ表面から前記照明カバー表面までの距離は10mmになるように調整した。
そして、前記照明カバーの垂直下でカバーから10mm離れた場所から照明装置を観察したときのLEDランプ形状の見えやすさを、形状がまったく見えなかった場合を○、輪郭がぼんやりと見えた場合は△、形状の輪郭がはっきり見えた場合は×として評価した。
(光透過率の測定)
鏡面処理した金型を用いて射出成形し、厚さ2.5mmで110×110mmの形状の試験片を得た。
そして、前記試験片を用いて波長400〜800nmのLED光源を用いて光透過率を測定した。
得られた結果を表1及び表2に示す。
Figure 0004046130
Figure 0004046130
表1の結果から本発明の実施例1〜12のポリプロピレン系樹脂組成物から得られる成形品は全て優れた耐光性を有し、且つ、光源の輪郭の視認性を評価した光源視認性試験において、実施例10を除いて全て○であり、無機フィラーの配合割合が2.01%の実施例10においても△であり、光源のぼかし効果が得られたことが確認できた。特に、無機フィラーの配合割合が3〜6質量%である、実施例2,4,6,8,9,11及び12においてはぼかし効果を備えながら光透過率が41〜50%と優れた光透過率を示した。
一方、無機フィラーの配合割合が1質量%である比較例6〜8ではLEDの形状の輪郭がはっきり見えて光源視認性が×となり、11質量%を超える比較例11では、光透過率が3%になり光透過性成形品として用いるのには光透過率が低すぎて不適なものであった。

Claims (6)

  1. ポリプロピレン系樹脂(A)、無機フィラー(B)、フェノール系酸化防止剤(C)、リン系酸化防止剤(D)、ヒンダードアミン系光安定剤(E)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(F)及びステアリン酸金属石鹸(G)を含有するポリプロピレン系樹脂組成物であって、
    前記ポリプロピレン系樹脂組成物中の前記無機フィラー(B)の含有割合が、2〜11質量%であることを特徴とする光透過性成形品用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. 前記ポリプロピレン系樹脂組成物中の前記無機フィラー(B)の含有割合が、3〜6質量%である請求項1に記載の光透過性成形品用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 前記無機フィラー(B)が硫酸バリウム,硫化亜鉛,シリカ,ガラスパウダーから選ばれる少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載の光透過性成形品用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. 前記無機フィラー(B)が、アルミナ,シリカ,多価アルコール,ステアリン酸及びアクリルシランから選ばれる少なくとも1種の化合物により表面処理されたものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の光透過性成形品用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  5. 前記ポリプロピレン系樹脂組成物全量に対して、前記フェノール系酸化防止剤(C)を0.1〜0.3質量%、前記リン系酸化防止剤(D)を0.1〜0.3質量%、前記ヒンダードアミン系光安定剤(E)を0.1〜0.5質量%、前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(F)を0.1〜0.5質量%及び前記ステアリン酸金属石鹸(G)を0.01〜0.1質量%含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の光透過性成形品用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の光透過性成形品用ポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形して得られる光透過性成形品。
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