JP4045417B2 - ポリエステル樹脂、その製造法、印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル樹脂、その製造法、印刷インキ用バインダーおよび印刷インキに関するものである。本発明により得られるポリエステル樹脂は塗料、コーティング剤等に用いることができるが、特に印刷インキ用バインダーとして有用である。印刷インキの種類としては、特にオフセット印刷インキ用として賞用しうるほか、新聞インキ、凸版印刷インキ、グラビア印刷インキにも好適に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来から、オフセット印刷インキ用バインダーとしては、高軟化点、高粘度、インキ用溶剤に対する溶解性が良好で、かつ印刷適性に優れることから、ロジン変性フェノール樹脂が用いられており、当該樹脂はロジン類、アルキルフェノールホルムアルデヒド縮合物およびポリオールを主原料としている。しかし、ロジン変性フェノール樹脂は、主原料の一つであるアルキルフェノールホルムアルデヒド縮合物の製造時にホルムアルデヒド含有廃水が発生するため、近年、揮発性有機化合物(VOC)による大気汚染などの環境問題や作業環境の安全衛生面での問題が指摘されている。また、ロジン変性フェノール樹脂は、当該樹脂を用いた印刷インキの加熱乾燥工程でホルムアルデヒドが発生することも指摘されていた。
【0003】
このような状況下、有害なホルムアルデヒドを用いないオフセット印刷インキ用バインダーの開発が待望されている。これらロジン変性フェノール樹脂の諸問題を軽減させようとロジン変性フェノール樹脂の代わりにアルキド樹脂を用いる試みがなされているが、一般的に知られているアルキド樹脂は石油系溶剤に対して高溶解性であるものの、分子量が小さく、ミスチングが大であるなど、印刷適性が不十分であった。
【0004】
また、上記対策として、ポリエステル樹脂を用いるという方法も考えられたが、従来のポリエステル樹脂は高分子量であるものの、石油系溶剤に対する溶解性が低く、ワニスの安定性が不十分であった。
【0005】
また、前記ポリエステル樹脂に溶解性付与を目的としてアルキル(アルケニル)基含有化合物を導入した場合、高溶解性かつ高分子量の樹脂となりうるが、樹脂が脂肪族骨格で構成されているため耐摩擦性の点でロジン変性フェノール樹脂より劣っていた。このようにオフセット印刷インキ用バインダーに対する要求性能は多岐に亘るため、これまでのところロジン変性フェノール樹脂以外の樹脂でこれら諸性能を満足することは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、アルキルフェノールホルムアルデヒド縮合物を原料とせず、しかもロジン変性フェノール樹脂に匹敵する特性(高軟化点、高粘度、高溶解性など)を有する樹脂、当該樹脂の製造方法、および印刷インキ用バインダー、更には従来公知のロジン変性フェノール樹脂を用いてなる印刷インキの印刷適性(乳化特性、光沢、乾燥性、ミスチングなど)と同等以上の印刷適性を有する印刷インキを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明者らはアルキルフェノールホルムアルデヒド縮合物を原料とせず、しかもロジン変性フェノール樹脂に匹敵する諸性能を有する樹脂を見出すべく検討を行なった。その結果、耐ミスチング性向上(高分子量化)には多塩基酸類を導入、ワニス安定性向上(高溶解化)には脂肪族成分を導入、耐摩擦性向上には芳香族多塩基酸類を導入することが効果的であることが分かった。
【0008】
すなわち、本発明は、(a)ロジン類、(b)芳香族多塩基酸類、(c)脂肪酸類、脂肪族モノアルコール類、脂肪族モノエポキシ類、およびカルボン酸類と疎水性の重合性不飽和化合物とからなるポリマーであり、カルボン酸類がマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも1種で、疎水性の重合性不飽和化合物が(1)炭素数2〜50の脂肪族不飽和炭化水素モノマー、(2)炭素数5〜50の脂環族不飽和炭化水素モノマー、(3)炭素数8〜50芳香族炭化水素モノマー、(4)ロジン類ならびに(5)乾性油、半乾性油およびこれらから選ばれる高級不飽和脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であるもの、当該ポリマー中のカルボン酸類に対し反応性を有する疎水性化合物と当該ポリマーとを部分的に反応させてなる樹脂であってカルボン酸類に対し反応性を有する疎水性化合物が、( i )炭素数6〜50の脂肪族モノアルコール、( ii )炭素数6〜50の脂肪族ジアルコール、( iii )炭素数6〜50の脂肪族モノアミンおよび( iv )炭素数6〜50の脂肪族モノエポキシからなる群より選ばれる少なくとも1種であるものからなる群より選択される少なくとも1種、ならびに(d)ポリオール類を反応させてなるポリエステル樹脂;当該ポリエステル樹脂の製造方法;当該ポリエステル樹脂を含有してなる印刷インキ用バインダー;当該印刷インキ用バインダーを含有してなる印刷インキに関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル樹脂は、(a)ロジン類(以後(a)成分という)、(b)芳香族多塩基酸類(以後(b)成分という)、(c)脂肪酸類、脂肪族モノアルコール類、脂肪族モノエポキシ類、およびカルボン酸類と疎水性の重合性不飽和化合物とからなるポリマーと、当該ポリマー中のカルボン酸類に対し反応性を有する疎水性化合物とを部分的に反応させてなる樹脂からなる群より選択される少なくとも1種(以後(c)成分という)、ならびに(d)ポリオール類(以後(d)成分という)を反応させることにより得られるものである。
【0010】
前記(a)成分であるロジン類とは、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどの天然ロジン;該天然ロジンから誘導される重合ロジン;前記天然ロジンや重合ロジンを不均化または水素添加してなる安定化ロジンなどがあげられる。また、ディールスアルダー反応やエン反応などにより、前記天然ロジンや重合ロジンに不飽和カルボン酸類を付加してなる不飽和酸変性ロジンなどがあげられる。前記の不飽和酸変性ロジンとしては、例えばマレイン酸変性ロジン、無水マレイン酸変性ロジン、フマル酸変性ロジン、イタコン酸変性ロジン、クロトン酸変性ロジン、ケイ皮酸変性ロジン、アクリル酸変性ロジン、メタクリル酸変性ロジンなど、あるいはこれらに対応する酸変性重合ロジンがあげられ、当該不飽和酸変性ロジンは原料ロジン100重量部に対してそれぞれ対応する不飽和カルボン酸を通常1〜30重量部程度を用いて変性されたものである。
【0011】
前記(a)成分の中でも、得られるポリエステル樹脂を高分子量化できることから、分子内に2個以上のカルボキシル基を有するロジンを含有するものが好ましい。また、得られるポリエステル樹脂を高分子量化し、かつ高溶解および高軟化点とするためには、これら(a)成分の中でも、特に重合ロジンを含有するものを使用することが好ましい。重合ロジンを含有するものを使用する場合、その使用量は特に限定されないが、重合ロジンの使用量が、(a)成分100重量部中で10重量部程度以上が好ましく、更に好ましくは40重量部程度である。10重量部より少ない場合は所望の高分子量化、高溶解化、かつ高軟化点が困難となる傾向がある。本発明では、(a)成分としては、前記各種のうち1種を単独で使用したり、2種以上を適宜に併用することもできる。(a)〜(d)成分の合計仕込み量に対する(a)成分の仕込み量は特に制限されないが、20〜91重量%程度が好ましい。(a)成分の含有量が20重量%以上とすることで所望の分子量とすることができ、また91重量%以下とすることで、インキの乳化率を適正にすることができるため好ましい。更に好ましくは55〜85重量%程度である。55〜85重量%程度使用することでオフセットインキの諸性能のバランスが良好となる。
【0012】
前記(b)成分である芳香族多塩基酸類としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、これらに対応するモノメチルエステル、モノエチルエステル、ジメチルエステル、ジエチルエステル等の芳香族多塩基酸のエステル類を例示できる。
【0013】
(b)成分の仕込み量は特に制限されないが、(a)〜(d)成分の合計仕込み量に対して4〜21重量%程度とするのが好ましい。(b)成分の使用量が4重量%より少ない場合では所望の分子量のものが得られず、21重量%より多い場合ではゲル状物が発生するため好ましくない。また前記芳香族多塩基酸は1種を単独で使用することもできるが、2種以上の異なるものを併用することもできる。
【0014】
前記(c)成分としては脂肪酸類、脂肪族モノアルコール類、脂肪族モノエポキシ類があげられ、更には、カルボン酸類と疎水性の重合性不飽和化合物とからなるポリマー、当該ポリマー中のカルボン酸類に対し反応性を有する疎水性化合物と当該ポリマーとを部分的に反応させてなる樹脂があげられる。脂肪酸類としては、下記の各種のものを例示できる。全炭素数10〜40である直鎖、分岐鎖状または環状の脂肪酸、不飽和カルボン酸付加高級脂肪酸類などが挙げられる。前記脂肪酸類の具体例としては、直鎖脂肪酸であるカプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、カプロレイン酸、リンデル酸、フィゼテリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ゴンドイン酸、セトレイン酸、セラコレイン酸、キシメン酸、ルメクエン酸、リノール酸、エレオステアリン酸、リノレン酸、アラキドン酸、イワシ酸、ニシン酸、ステアロール酸、モノマー酸など、分岐脂肪酸であるイソ酸、ツベルクロステアリン酸、環状脂肪酸であるマルバリン酸、ショールムーグリン酸が挙げられる。
【0015】
前記脂肪族モノアルコール類、脂肪族モノエポキシ類としては、炭素数が10〜40の脂肪族モノアルコール類、炭素数が10〜40の脂肪族モノエポキシ類が挙げられる。これらの具体例としてはデシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、トリアコンタノール、オレイルアルコール、イソトリデシルアルコール、イソステアリルアルコール、ゲラニオール、ロジンアルコール、ビサボロール、ラノリンアルコール、エポキシデカン、エポキシドデカン、エポキシテトラデカン、エポキシヘキサデカン、エポキシオクタデカン、エチルヘキシルグリシジルエーテルなどあげられる。
【0016】
前記のように(c)成分中には、カルボン酸類と疎水性の重合性不飽和化合物とからなるポリマーと、当該ポリマー中のカルボン酸類に対し反応性を有する疎水性化合物と当該ポリマーとを部分的に反応させてなる樹脂とが列挙されているが、当該ポリマーや当該樹脂の構成成分であるカルボン酸類としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、アクリル酸、メタクリル酸を用いることができる。これらは単独使用または2種以上を併用することができ、その使用量は(c)成分を適正な分子量としうる範囲内で任意に変えることができる。また疎水性の重合性不飽和化合物としては、(1)炭素数2〜50の脂肪族不飽和炭化水素モノマー、(2)炭素数5〜50の脂環族不飽和炭化水素モノマー、(3)炭素数8〜50芳香族炭化水素モノマー、(4)ロジン類、(5)乾性油、半乾性油およびこれらから得られる高級不飽和脂肪酸を用いる。上記(1)の化合物の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−n−ブテン、ジプロピレン、ジイソブチレン、トリプロピレン、トリブチレン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−ヘキサコセン、1−オクタコセン、1−トリアコンテン、1−ドトリアコンテン、1−テトラトリエアコンテン、1−ヘキサトリアコンテン、1−オクタトリアコンテン、1−テトラコンテンなどのα−オレフィンやブタジエン、不飽和ポリオレフィンなどをあげることができる。前記(2)の化合物の具体例としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、アリルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサンなどがあげられる。前記(3)の化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレンなどがあげられる。前記(4)の化合物の具体例としては、前記の(a)成分に記載の不飽和結合を有する化合物である。上記(5)の化合物の具体例としては、桐油、アマニ油、サフラワー油、大豆油、脱水ヒマシ油などの半乾性油または乾性油またはそれから得られる高級不飽和脂肪酸が挙げられる。前記(1)〜(5)の化合物は単独でまたは2種以上を併用して使用することができ、本発明の特徴を損なわない範囲で他のモノマーや化合物を併用することも可能である。また、その使用量は(c)成分を適正な分子量としうる範囲内で任意に変えることができる。カルボン酸類に対し反応性を有する疎水性化合物としては、(i)炭素数6〜50の脂肪族モノアルコール、(ii)炭素数6〜50の脂肪族ジアルコール、(iii)炭素数6〜50の脂肪族モノアミン、(iv)炭素数6〜50の脂肪族モノエポキシを用いる。前記(i)の化合物の構造は炭素数6〜50であれば特に制限されず、直鎖状構造、分岐鎖状構造、環状構造などのいかなる構造を有していてもよい。具体例としては、ヘキサノール、オクタノール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、トリアコンタノール、オレイルアルコール、2−エチルヘキサノール、イソトリデシルアルコール、イソステアリルアルコール、ゲラニオール、ロジンアルコール、ビサボロール、ラノリンアルコールなどあげられる。前記(ii)の化合物の構造は炭素数6〜50であれば特に制限されず、直鎖状構造、分岐鎖状構造、環状構造などのいかなる構造を有していてもよい。具体例としては、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ヘキサデカンジオール、オクタデカンジオール、デセンジオール、ドデセンジオール、テトラデセンジオール、ヘキサデセンジオール、オクタデセンジオール、ラノリンアルコール、ダイマー酸を水添したジオールなどあげられる。前記(iii)の化合物の構造は炭素数6〜50であれば特に制限されず、直鎖状構造、分岐鎖状構造、環状構造等のいかなる構造を有していてもよい。具体例としては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オクタデセニルアミン、牛脂アルキルアミン、大豆アルキルアミン、ジオクタデシルアミン、ジオクタデセニルアミンなどあげられる。前記(iv)の化合物の構造は炭素数6〜50であれば特に制限されず、直鎖状構造、分岐鎖状構造、環状構造などのいかなる構造を有していてもよい。具体例としては、エポキシヘキサン、エポキシオクタン、エポキシデカン、エポキシドデカン、エポキシテトラデカン、エポキシヘキサデカン、エポキシオクタデカン、エチルヘキシルグリシジルエーテルなどあげられる。
【0017】
カルボン酸類と疎水性の重合性不飽和化合物を重合して得られるポリマーの重量平均分子量は2,000〜30,000程度であることが好ましく、2,000より小さい場合には疎水基を集中させることによる溶解性向上効果が十分でなく、30,000より大きい場合にはゲル化や高粘度化など反応の制御が難しくなる。前記のカルボン酸類と、疎水性の重合性不飽和化合物との重合は、熱重合、イオン重合またはラジカル重合などの公知の方法で行なうことができ、各反応は公知の反応条件で行うことができる。例えば開始剤、触媒等の存在下または不在下に、無溶剤系または溶剤系で行なうことができる。例えば、ラジカル重合の場合に用いる好ましいラジカル開始剤としてはアゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系開始剤、ジ−t−ブチルパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、過硫酸カリウム、過酸化水素水などの過酸化物などを使用できる。通常、開始剤量はカルボン酸類と疎水性の重合性不飽和化合物との総重量に対して0.01から10重量%程度の範囲内が好ましい。反応温度も特に制限されないが、ラジカル開始剤の種類に応じて最適温度を適宜に決定すればよく、通常は室温〜200℃程度の範囲から適宜に設定できる。また溶剤を使用する場合には、採用した重合温度で、出発原料を溶解し、かつ反応生成物も溶解しうる溶剤を用いるのが好ましい。当該溶剤としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸セロソルブ、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテルなどの脂肪族エステルなどがあげられる。なお、原料である不飽和カルボン酸類に対して不活性であって、ラジカル重合を大きく阻害しないものであればかかる具体例に限定されない。また、カチオン重合に用いるカチオン重合開始剤としては、公知の触媒を使用でき、たとえば硫酸などのプロトン酸が使用できるほか、三弗化ホウ素、塩化アルミニウムなどのルイス酸と水、アルコール、エーテルなどの共触媒とを併用できる。また、アニオン重合開始剤としては、公知の物を使用でき、具体的にはNaR、RMgX、ROK(Rはアルキル基、Xはハロゲン原子を表す)、ピリジンなどが挙げられる。配位アニオン開始剤としてはチーグラーナッタ系触媒、メタロセン系触媒などが使用できる。なお、前記ポリマーと前記カルボン酸類に対し反応性を有する疎水性化合物との反応は、当該ポリマー中のカルボキシル基を20〜80%程度反応させるのがよく、用いるポリマーの疎水性が高い場合は低い変性率が好ましく、逆にポリマーの疎水性が低い場合は高い変性率が好ましい。また、前記(c)成分の構成成分であるカルボン酸類と、カルボン酸類に対し反応性を有する疎水性化合物を予めエステル化したものを重合反応成分として使用することも可能である。
【0018】
(c)成分の仕込み量は特に制限されないが、(a)〜(d)成分の合計仕込み量に対して1〜21重量%とするのが好ましい。(c)成分が1重量%より少ない場合では得られるポリエステル樹脂の溶解性が低く、また(c)成分が21重量%より多い場合では所望の軟化点が得られにくい。
【0019】
前記(d)成分であるポリオールとしては、ジペンタエリスリトール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールエタン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの従来からロジン変性フェノール樹脂のポリオール成分として知られる各種のものを例示できる。樹脂の軟化点や分子量、インキのミスチングや乳化率を適正に調整する観点から、グリセリン、トリメチロールプルパン、トリメチロールエタンなど当該分子の最長炭素鎖における炭素数が4以下のものである3価アルコールや、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジトリメチロールエタンなど当該分子の最長炭素鎖における炭素数が4以下のものである4価アルコールを使用するのが好ましい。
【0020】
(d)成分の使用量は特に制限されないが、ポリエステル樹脂の設計上、所望の分子量やインキの適正な乳化特性を与えるため、(a)〜(d)成分の各成分中の全水酸基当量数(OH)と全カルボキシル基当量数(COOH)の割合を、通常OH/COOH=0.50〜1.10となるように調整するのが好ましい。また(d)成分の仕込み量は特に制限されないが、(a)〜(d)成分の合計仕込み量に対して4〜38重量%とするのが好ましい。(d)成分が4重量%より少ない場合では所望の分子量が得られにくく、また(d)成分が38重量%より多い場合ではインキの適正な乳化特性が得られにくい。なお、前記OH/COOH(当量比)の計算においては、(c)成分中の脂肪族モノアミンのうち2級アミンは1価とみなし、また1級アミンは2価とみなし、当該アミノ基の当量数=当該OHの当量数とし、当該OHの当量数を含めてOHの合計当量数とする。なお、(c)成分中の脂肪族モノエポキシ類は2価アルコールとみなし、当該OHの当量数を含めて合計当量数とする。
【0021】
前記(a)〜(d)成分の反応条件は、従来公知の製造方法を採用することができる。例えば、(a)〜(d)成分を所定量ずつ反応装置に仕込み、必要に応じて従来公知の酸性・塩基性触媒を用い、100〜300℃程度で1〜20時間程度反応させる方法があげられる。また当該触媒としては、塩酸、硫酸などの鉱酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などのスルホン酸、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウムなどの酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛などの酢酸塩を例示できる。なお、前記(a)〜(d)成分を反応させる条件や仕込み順などは特に制限されず、従来公知の製造方法を採用することができる。
【0022】
前記反応方法を採用する場合、エステル化前および/またはエステル化途中でエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、ヒドロキシ酸などの架橋剤を任意の割合で添加することにより、所望の分子量および軟化点に調節することもできる。また耐水性を付与する目的で分岐型構造、ケイ素原子の置換基にヒドロキシアルキルや水素原子を含有するオルガノポリシロキサンや、各種石油樹脂を添加することもできる。
【0023】
前記反応方法によって得られる本発明の樹脂は、高軟化点を有する。軟化点は通常120〜200℃程度であり、好ましくは140〜200℃程度である。これは軟化点を120℃以上とすることによって乾燥性、セット性を良好に保つことができるためであり、またインキ用溶剤への溶解性を考慮すると200℃以下が適当であるからである。また本発明の印刷インキ用樹脂の重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値であり、以後、重量平均分子量という場合はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値を示す)は、通常は30,000〜400,000程度であり、好ましくは50,000〜200,000の範囲である。30,000より小さい場合では所望の粘度が得られにくく、400,000より大きい場合ではインキ用溶媒への不溶物が発生しやすくなる。本発明の樹脂の溶解性は良好であり、日石三菱(株)製5号ソルベントトレランスで2g/g以上であり、好ましくは20g/g以上である(トレランス(溶解性の指標)とは、樹脂と5号ソルベントを1対1の重量比で加熱混合したものに25℃でさらに5号ソルベントを加えて白濁するまでに要した総溶剤重量に対する樹脂重量から算出した値である)。5号ソルベントトレランスが2g/g未満である場合、ゲルワニスの経日安定性が悪くなる傾向があるため好ましくない。さらに本発明の樹脂は芳香族成分を含まない石油系インキ用溶剤にも十分な溶解性を有している。また、本発明の樹脂は33重量%アマニ油粘度が25℃でのコーン・アンド・プレート型粘度計測定値で4〜15Pa・sと高粘度である。こうして得られた本発明の印刷インキ用樹脂は、印刷インキ用バインダーとして有用である。
【0024】
本発明の印刷インキ用バインダーは、例えば以下の方法により調製される。本発明の印刷インキ用樹脂に、植物油、ゲル化剤、必要に応じて溶剤などを配合し、これを適宜に加熱溶解したり反応させることにより、ゲルワニスである印刷インキ用バインダーが調製される。なお、樹脂製造時に、反応阻害しない植物油、ゲル化剤、さらに必要に応じて溶剤などを配合していてもよい。前記印刷インキ用バインダーには得られる印刷インキの性能を損なわない限り、石油樹脂、アルキド樹脂、ロジンエステル、脂肪酸エステルなどを適宜に併用してもよい。ゲルワニス中の印刷インキ用樹脂固形分濃度は特に制限はされないが、印刷時の作業性等を考慮して適宜決定され、通常は20〜60重量%程度、好ましくは30〜50重量%程度である。また、当該ワニス粘度は、25℃でのコーン・アンド・プレート型粘度計測定値が通常10〜1000Pa・s程度の範囲に調整するのが実用的である。
【0025】
本発明の印刷インキ用バインダーの調製に用いる植物油としては特に制限されず、各種公知のものを使用できる。具体的にはアマニ油、桐油またはこれらの重合油、サフラワー油、脱水ヒマシ油、大豆油などがあげられるが、印刷物の乾燥性の点から不飽和結合を有している植物油が好ましく、近年の環境対策面から考えると大豆油が特に好ましい。
【0026】
本発明の印刷インキ用バインダーの調製に用いるゲル化剤としては、オクチル酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムジプロポキシドモノアセチルアセテートなど公知のものがあげられる。
【0027】
本発明の印刷インキ用バインダーの調製に用いる溶剤としては、沸点が200℃程度以上で芳香族炭化水素の含有率が1重量%程度以下である石油系溶剤であれば特に制限されず、公知のものを使用できる。具体的には日石三菱(株)製0号ソルベント、日石三菱(株)製AF4号ソルベント、日石三菱(株)製AF5号ソルベント、日石三菱(株)製AF6号ソルベント、日石三菱(株)製AF7号ソルベントなどがあげられる。
【0028】
かくして得られた本発明の印刷インキ用バインダーであるゲルワニスには、黄色、紅色、藍色または黒色などの顔料、植物油および/または沸点が200℃程度以上で芳香族炭化水素の含有率が1%程度以下である石油系溶剤、さらに必要に応じてインキ流動性およびインキ表面皮膜を改良するための界面活性剤、ワックス、ドライヤー、その他添加剤が適宜配合される。ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミルなどの通常のインキ製造装置を用いて当該配合物を混練し、適切なインキ恒数に調節することにより、オフセット枚葉インキ(枚葉インキ)、オフセット輪転インキ(オフ輪インキ)、水なしオフセットインキなど所望の印刷インキが製造される。なお、印刷インキの製造の際に使用する本発明によるバインダーの配合量は、印刷インキ用樹脂固形分濃度が10〜50重量%程度になるように配合するのが好ましい。
【0029】
印刷インキの種類としては、特にオフセット印刷インキ用として賞用しうるほか、新聞インキ、凸版印刷インキ、グラビア印刷インキにも好適に使用することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、アルキルフェノールホルムアルデヒド縮合物を使用しないため環境上好ましく、しかもロジン変性フェノール樹脂に匹敵する高軟化点、高粘度、高溶解性を有する印刷インキ用樹脂を提供できる。また、本発明のポリエステル樹脂をオフセット印刷インキ用バインダーなどとして使用した場合には、印刷インキの乳化特性、光沢、乾燥性、ミスチングなどの印刷適性が従来公知のロジン変性フェノール樹脂と同等以上である為、今日の要求に合致する印刷インキを提供しうる。さらに当該印刷インキ用樹脂を用いた印刷インキ用バインダー、植物油および/または沸点が200℃以上で芳香族炭化水素の含有率が1重量%以下である石油系溶剤、必要により添加剤からなる印刷インキを使用することにより、環境問題や作業環境など安全衛生面が改善できる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことはもとよりである。尚、以下「部」とは重量部を示した。
【0032】
製造例1
攪拌機、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に、炭素数16〜18のα−オレフィン(商品名 ダイアレン168、三菱化学(株)製)238部を仕込み、窒素雰囲気下に攪拌しながら155〜160℃まで昇温した。ついで、無水マレイン酸98部とジ−t−ブチルパーオキサイド(商品名 パーブチルD、日本油脂(株)製)13.5部を1時間で連続的に添加した。更に155〜160℃で1時間保温した後、ジステアリルアミン392部を添加して220℃で4時間反応させ固形樹脂を得た。(重量平均分子量:4,500)
【0033】
製造例2(70%レゾール型ノニルフェノールキシレン溶液の製造)
製造例1と同様の反応容器に、ノニルフェノール1,000部、パラホルムアルデヒド270部および水1,000部を仕込み、攪拌下に50℃まで昇温した。50℃において水酸化ナトリウム100部を仕込み、冷却しながら90℃まで徐々に昇温後、2.5時間保温し、硫酸を滴下してpHを6付近に調整した。その後、キシレン150部を加え、ホルムアルデヒドなどを含んだ水層部分を除去、冷却してレゾール型ノニルフェノールの70%キシレン溶液を得た。
【0034】
実施例1
攪拌機、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に、重合ロジン(商品名 シルバタック140、シルバケム社製、酸価:140)676部、ステアリン酸68部、およびテレフタル酸135部を仕込み、窒素雰囲気下に攪拌しながら180℃まで昇温して溶融させた。ついで、ペンタエリスリトール121部を添加し、攪拌下に260℃まで昇温、エステル化し、酸価が50以下となったらパラトルエンスルホン酸1部を仕込み、酸価が20以下となるまで反応させた。33重量%アマニ油粘度を8.0Pa・sに調整し、0.02MPaで10分間減圧、冷却して固形樹脂を得た。このようにして得られたポリエステル樹脂の芳香族炭化水素系溶剤(商品名 5号ソルベント、日石三菱(株)製)溶液のトレランスは20g/g以上、酸価は13.5、軟化点は170℃、重量平均分子量は120,000であった(表1参照)。なお、33重量%アマニ油粘度とは、樹脂とアマニ油を1対2重量比で加熱混合したものを日本レオロジー機器(株)製コーン・アンド・プレート型粘度計を用いて25℃で測定した粘度をいう(以下、同様)。また、トレランス(溶解性の指標)とは、樹脂と5号ソルベントを1対1の重量比で加熱混合したものに25℃でさらに5号ソルベントを加えて白濁するまでに要した総溶剤重量に対する樹脂重量から算出した値である(以下、同様)。また、酸価はJIS K5601に準じて測定したものである(以下、同様)。また、軟化点とは、JIS K5601に準拠する(以下、同様)。また、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、HLC−8020)および東ソー(株)製TSK−GELカラムを用い、THF溶媒下で測定したポリスチレン換算によるものをいう(以下、同様)。
【0036】
実施例2
実施例1と同様の反応容器に、重合ロジン(商品名 シルバタック140、シルバケム社製、酸価:140)688部、およびテレフタル酸138部仕込み、窒素雰囲気下に攪拌しながら180℃まで昇温して溶融させた。ついで、ペンタエリスリトール106部、およびイソステアリルアルコール69部を添加し、攪拌下に260℃まで昇温、エステル化し、酸価が50以下となったらパラトルエンスルホン酸1部を仕込み、酸価が20以下となるまで反応した。33重量%アマニ油粘度を8.0Pa・sに調整し、0.02MPaで10分間減圧、冷却して固形樹脂を得た。このようにして得られたポリエステル樹脂のトレランス、酸価、軟化点および重量平均分子量を表1に示した。
【0037】
実施例3
重合ロジンの使用量を694部、ペンタエリスリトールの使用量を98部とし、イソステアリルアルコール69部の代わりに1,2−エポキシオクタデカン69部を使用した他は実施例2と同様にして固形樹脂を得た。このようにして得られたポリエステル樹脂のトレランス、酸価、軟化点および重量平均分子量を表1に示した。
【0038】
実施例4
重合ロジンの使用量を674部とし、ステアリン酸68部の代わりに製造例1で得られた樹脂を67部、テレフタル酸135部の代わりに無水フタル酸135部を使用した他は実施例1と同様にして固形樹脂を得た。こうして得られたポリエステル樹脂のトレランス、酸価、軟化点および重量平均分子量を表1に示した。なお、上記のOH/COOH(当量比)の計算においては、ジステアリルアミンを1価とみなし、当該アミノ基の当量数=当該OHの当量数とし、当該OH当量数を含めてOHの合計当量数とした。
【0039】
比較例1
実施例1と同様の反応容器に、ガムロジン552部を仕込み、窒素雰囲気下に攪拌しながら230℃まで昇温して溶融させた。ついで、ペンタエリスリトール52部および酸化亜鉛2部を添加し、攪拌下に260℃まで昇温し、酸価が20以下となるまで反応した。さらに230℃まで冷却した後、保温状態において製造例2より得られたレゾール型ノニルフェノールの70%キシレン溶液394部(固形分276部)を230〜260℃の温度範囲内で4時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、33重量%アマニ油粘度を8.0Pa・sに調整し、0.02MPaで10分間減圧、冷却して固形樹脂を得た。このようにして得られたロジン変性フェノール樹脂のトレランス、酸価、軟化点および重量平均分子量を表1に示した。
【0040】
比較例2
重合ロジン676部の代わりに、ガムロジン687部を使用し、テレフタル酸の使用量を172部、ペンタエリスリトールの使用量を141部とし、ステアリン酸を使用しない他は実施例1と同様にして固形樹脂を得た。このようにして得られたロジン系アルキド樹脂のトレランス、酸価、軟化点および重量平均分子量を表1に示した。
【0041】
比較例3
実施例1と同様の反応容器に、アマニ油703部、およびペンタエリスリトール86部仕込み、窒素雰囲気下に攪拌しながら260℃まで昇温、3時間保温後した。ついで、テレフタル酸211部を添加、エステル化し、酸価が20以下となるまで反応したが、所望の33重量%アマニ油粘度まで高粘度化できなかった。
【0042】
比較例4
重合ロジンの使用量を717部、C18アルケニル無水コハク酸の使用量を72部、イソフタル酸135部の代わりに無水マレイン酸85部を使用し、ペンタエリスリトールを127部使用した他は実施例2と同様にして固形樹脂を得た。このようにして得られたポリエステル樹脂のトレランス、酸価、軟化点および重量平均分子量を表1に示した。
【0043】
【表1】
【0044】
(ゲルワニスの調製A)
実施例1で得られた樹脂45部、大豆油10部および脂環族炭化水素系溶剤(商品名 AFソルベント7号、日石三菱(株)製)45部を180℃にて30分混合溶解しワニスを得た。このワニスを60℃まで冷却後、アルミキレート(商品名 ALCH、川研ファインケミカル(株)製)1.0部を加え、190℃まで昇温、1時間保温し、ゲルワニスを得た。実施例2〜5および比較例1、2、4で得られた各樹脂についても上記と同様にしてゲルワニスを調製した。なお、比較例2は終始ゲルワニスが濁っていたため、インキ調整に進めなかった。
【0045】
(インキの調製A)
前記ゲルワニスを用いて表2に示した配合割合で3本ロールミルにより練肉して印刷インキを調製した。
【0046】
【表2】
上記配合に基づいてインキのタック値が6.5±0.5、フロー値が42.0±1.0となるよう適宜調整した。
【0047】
(インキの性能試験A)
タック値:インキ1.3mlをインコメーター(東洋精機(株)製)上に展開し、ロール温度30℃、400rpmで1分間回転させ、値を読み取った。結果を表3に示した。
フロー値:インキ約2mlをスプレッドメーター(熊谷理機工業(株)製)の試料穴に入れ、インキの上面を固定板の上面と同一面になるようへらでかきとり、荷重板を落下させた。同心円状に広がったインキの1分後の直径値を読み取った。結果を表3に示した。
光沢:インキ0.4mlをRIテスター(石川島産業機械(株)製)にてアート紙に展色した後、20℃、65%R.H.にて24時間調湿し、60°−60°の反射率を光沢計により測定した。光沢は数値が大きいほど良好であることを示し、結果を表3に示した。
乾燥性:インキ0.4mlをRIテスター(石川島産業機械(株)製)にてアート紙に展色した後、160℃の雰囲気中に2秒、4秒、6秒間それぞれ暴露し、指蝕によりべたつきの無い状態を乾燥として判断した。乾燥性は数値が小さいほど良好であることを示し、結果を表3に示した。
ミスチング:インキ2.6mlをインコメーター(東洋精機(株)製)上に展開し、ロール温度30℃、400rpmで1分間、更に1800rpmで2分間回転させ、ロール直下に置いた白色紙上へのインキの飛散度を観察して評価を行なった。ミスチングは数値が大きいほど良好であることを示し、結果を表3に示した。
乳化率:インキ3.9mlを動的乳化試験機(日本レオロジー機器(株)製)上に展開し、ロール温度30℃、200rpmにて純水を5ml/分の速度で供給、このインキ中の水分量を赤外水分計測定した。乳化率は数値が小さいほど良好であることを示し、結果を表3に示した。
耐摩擦性:光沢測定のために用意した展色物をサザーランドラブテスターを用い、2ポンド、20回の条件で試験した。比較例1のロジン変性フェノール樹脂を△とした時の相対評価結果を良好○、同等△、不良×で表し、表3に示した。
【0048】
【表3】
【0049】
(ゲルワニスの調製B)
実施例1で得られた樹脂45部、大豆油55部を180℃にて30分混合溶解しワニスを得た。このワニスを60℃まで冷却後、アルミキレート(商品名 ALCH、川研ファインケミカル(株)製)0.5部を加え、190℃まで昇温、1時間保温し、ゲルワニスを得た。実施例2〜5および比較例1、2、4で得られた樹脂についても上記と同様にしてゲルワニスを調製した。なお、比較例2はゲルワニス調整後、冷却するにつれてゲルワニスが濁ったため、インキ調整に進めなかった。
【0050】
(インキの調製B)
前記ゲルワニスを用いて表4に示した配合割合で3本ロールミルにより練肉して印刷インキを調製した。
【0051】
【表4】
上記配合に基づいてインキのタック値が7.0±0.5、フロー値が35.0±1.0となるよう適宜調整した。
【0052】
(インキの性能試験B)
タック値:インキの性能試験Aと同様に行った。結果を表5に示した。
フロー値:インキの性能試験Aと同様に行った。結果を表5に示した。
光沢:インキ0.27mlをRIテスター(石川島産業機械(株)製)にてアート紙に展色した後、20℃、65%R.H.にて24時間調湿し、60°−60°の反射率を光沢計により測定した。結果を表5に示した。
乾燥性:インキ0.27mlをRIテスター(石川島産業機械(株)製)を使用し、硫酸紙上に展色、その展色面に硫酸紙を重ねてC型乾燥試験機((株)東洋精機製作所製)にあて紙用硫酸紙が外側になるように回転ドラムに巻き付けた。おもり及び押し圧歯車をあて紙用硫酸紙の上に静かに降ろし、ドラムを回転させ、押し圧歯車の歯形がほとんど移らなくなった時間を乾燥時間とした。結果を表5に示した。
ミスチング:インキ2.6mlをインコメーター(東洋精機(株)製)上に展開し、ロール温度30℃、400rpmで1分間、更に1200rpmで2分間回転させ、ロール直下に置いた白色紙上へのインキの飛散度を観察して評価を行なった。結果を表5に示した。
乳化率:インキの性能試験Aと同様に行った。結果を表5に示した。
耐摩擦性:インキの性能試験Aと同様に行った。結果を表5に示した。
【0053】
【表5】
【0054】
表3、5の結果より、本発明のポリエステル樹脂(実施例1〜5)を使用した印刷インキは、ロジン変性フェノール樹脂(比較例1)を使用した印刷インキと同等またはそれ以上の性能を有することが分かる。また芳香族多塩基酸を使用した樹脂(実施例2)を使用した印刷インキは、脂肪族骨格で構成されている樹脂(実施例4)を使用した印刷インキより耐摩擦性の点で優れていた。
Claims (8)
- (a)ロジン類、(b)芳香族多塩基酸類、(c)脂肪酸類、脂肪族モノアルコール類、脂肪族モノエポキシ類、およびカルボン酸類と疎水性の重合性不飽和化合物とからなるポリマーであり、カルボン酸類がマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも1種で、疎水性の重合性不飽和化合物が(1)炭素数2〜50の脂肪族不飽和炭化水素モノマー、(2)炭素数5〜50の脂環族不飽和炭化水素モノマー、(3)炭素数8〜50芳香族炭化水素モノマー、(4)ロジン類ならびに(5)乾性油、半乾性油およびこれらから得られる高級不飽和脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であるもの、当該ポリマー中のカルボン酸類に対し反応性を有する疎水性化合物と当該ポリマーとを部分的に反応させてなる樹脂であってカルボン酸類に対し反応性を有する疎水性化合物が、( i )炭素数6〜50の脂肪族モノアルコール、( ii )炭素数6〜50の脂肪族ジアルコール、( iii )炭素数6〜50の脂肪族モノアミンおよび( iv )炭素数6〜50の脂肪族モノエポキシからなる群より選ばれる少なくとも1種であるものからなる群より選択される少なくとも1種、ならびに(d)ポリオール類を反応させてなるポリエステル樹脂。
- (a)ロジン類が、カルボキシル基を2個以上有するロジンを含有するものである請求項1に記載のポリエステル樹脂。
- 重量平均分子量が30,000〜400,000、かつ溶解性が5号ソルベントトレランス2g/g以上である請求項1〜2のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
- 軟化点が120℃〜200℃である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
- (a)ロジン類、(b)芳香族多塩基酸類、(c)脂肪酸類、脂肪族モノアルコール類、脂肪族モノアミン類、脂肪族モノエポキシ類、およびカルボン酸類と疎水性の重合性不飽和化合物とからなるポリマーであり、カルボン酸類がマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも1種で、疎水性の重合性不飽和化合物が(1)炭素数2〜50の脂肪族不飽和炭化水素モノマー、(2)炭素数5〜50の脂環族不飽和炭化水素モノマー、(3)炭素数8〜50芳香族炭化水素モノマー、(4)ロジン類ならびに(5)乾性油、半乾性油およびこれらから得られる高級不飽和脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であるもの、当該ポリマー中のカルボン酸類に対し反応性を有する疎水性化合物と当該ポリマーとを部分的に反応させてなる樹脂であってカルボン酸類に対し反応性を有する疎水性化合物が、( i )炭素数6〜50の脂肪族モノアルコール、( ii )炭素数6〜50の脂肪族ジアルコール、( iii )炭素数6〜50の脂肪族モノアミンおよび( iv )炭素数6〜50の脂肪族モノエポキシからなる群より選ばれる少なくとも1種であるものからなる群より選択される少なくとも1種、ならびに(d)ポリオール類を反応させてなるポリエステル樹脂の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂を含有してなる印刷インキ用バインダー。
- 請求項6に記載の印刷インキ用バインダーを含有してなる印刷インキ。
- 請求項6に記載の印刷インキ用バインダー、顔料、ならびに植物油および/または沸点が200℃以上で芳香族炭化水素の含有率が1%以下である石油系溶剤を含有してなる印刷インキ。
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