JP2006233065A - 印刷インキ - Google Patents
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Abstract
【課題】有害物質であるフェノール類およびホルムアルデヒドを原料としない樹脂と、石油系溶剤の替わりに特定の植物油脂由来の溶剤を使用することで、印刷における乾燥性と機上安定性が優れ、高品位な印刷物が提供できる環境対応型のオフセット輪転印刷インキを提供すること。
【解決手段】溶剤として下記一般式(1)で表わされるエーテルを、樹脂成分としてロジンエステル樹脂を、各々主成分として含有することを特徴とするオフセット輪転印刷インキ。
R1−O−R2 (1)
(上記の一般式(1)において、R1は炭素数4〜14のアルキル基またはアルケニル基を表わし、R2は炭素数1〜14のアルキル基を表わす。)
【選択図】なし
【解決手段】溶剤として下記一般式(1)で表わされるエーテルを、樹脂成分としてロジンエステル樹脂を、各々主成分として含有することを特徴とするオフセット輪転印刷インキ。
R1−O−R2 (1)
(上記の一般式(1)において、R1は炭素数4〜14のアルキル基またはアルケニル基を表わし、R2は炭素数1〜14のアルキル基を表わす。)
【選択図】なし
Description
本発明は、オフセット輪転印刷インキに関し、詳しくは、溶剤として石油系溶剤を特定の植物油脂由来の溶剤に置き換え、また、該樹脂成分として環境上有害であるフェノール類やホルムアルデヒドを原料成分とした樹脂を含有せず、印刷機上安定性と乾燥性が優れ、高品位の印刷物が提供できる環境に対応したインキに関する。
従来、オフセット輪転印刷インキは、該インキ用樹脂としてロジン変性フェノール樹脂が広く使用されている。これらのロジン変性フェノール樹脂は、一般的に、ロジンとレゾール縮合体との付加生成物をポリオールでエステル化して得られる。上記のレゾール縮合体は、アルキルフェノールとホルムアルデヒドを原料としており、該アルキルフェノールは、その種類によって石油系溶剤との相溶性を適度に操作することが可能である。また、ロジンにレゾール縮合体を導入することにより樹脂の高分子化が容易であり、得られる樹脂はインキに適宜な粘度と耐水性を付与することができることからオフセット輪転インキ用樹脂として好適に使用されている。
しかしながら、上記のレゾール縮合体の生成に使用されるアルキルフェノールとホルムアルデヒドの原料は環境上有害物質とされている。一般的に、該原料はレゾール縮合体の生成反応によりインキ中に殆ど単独では存在しないものであるが、一般に、ヒートセット型のオフセット輪転印刷インキのようにインキ塗膜の乾燥を高温下の条件で行うものは、この乾燥熱によって、樹脂本体からこれらが遊離して外部に放出され、環境に悪影響を与える危険性がある。
一方、ヒートセット型のオフセット輪転印刷インキに使用されるインキ溶剤は、インキロール、刷版、ブランケットなどの印刷機上においては蒸発しにくく安定した状態でインキ中に存在し、印刷紙に印刷された後は適度な加熱条件によりインキ塗膜から速やかに蒸発離脱するという溶剤の沸点に関わった性能が求められる。
一般に、上記のオフセット輪転印刷インキに使用されるインキ溶剤としては石油留分から得られる石油系溶剤が使用されている。これらの石油系溶剤は、適度な沸点を有するものを選択するか、あるいは、数種類の沸点が異なるこれらの溶剤を適度に混合調製して使用している。このことは、上記の石油系溶剤が高沸点の場合はインキの機上安定性が向上し、一方、低沸点の場合は蒸発乾燥性が向上することから、機上安定性や蒸発乾燥性のバランス調整のために行われる。
しかしながら、インキ溶剤としての石油系溶剤の使用は、有限である石油資源の枯渇化に繋がるものであり、また、該石油系溶剤中に含まれる芳香族成分は人体に悪影響を及ぼす物質として知られている。これらが印刷工程で、あるいは印刷物のインキ塗膜から放出されることで、印刷作業環境や大気汚染などの環境負荷の要因となる。このことから、近年環境問題から溶剤の環境対応として、パラフィン系やナフテン系を主成分として芳香族成分を1質量%以下に削減した石油系溶剤(アロマフリー溶剤)を使用したインキが主流となっている。しかしながら、上記のアロマフリー溶剤も石油を原料としていることには変わりなく、組成的にも芳香族成分が皆無ではない。さらに、微量ではあるがシックスハウス症候群をもたらすテトラデカンの含有も知られている。
また、上記の石油系溶剤は、様々な石油成分の混合物であることから、幅の広い沸点範囲を有している。このために、該石油系溶剤は上述の環境負荷の問題以外にもインキ性能には妨げとなる余分な沸点部分が存在するという欠点を持っている。例えば、高沸点溶剤を使用して機上安定性を向上させると、不必要なまでに高沸点の成分がインキ中に混入するため、インキの蒸発乾燥性が阻害される。このことから、インキの機上安定性と蒸発乾燥性との双方のバランスに優れたインキの設計は困難である。また、石油系溶剤の中には、沸点範囲の狭い溶剤も存在するが、インキに使用されるワニス用樹脂に対する溶解性が低いために安定したインキ性能を得ることができない。
上述のことから、ロジン変性フェノール樹脂をエステル変性炭化水素樹脂に、また、石油系溶剤を脂肪酸エステルに置き換えたワニス、印刷インキ(特許文献1)が開示されている。しかしながら、特許文献1に開示のワニスおよびそれを用いた印刷インキは米国環境庁が提示しているVOC測定方法Method24(110℃、1時間の加熱による加熱残分測定)における熱重量減分を1%以下(水分を除く)に制御可能な溶剤を用いることから、オフセット輪転印刷インキとして必要なインキ塗膜の蒸発乾燥機能を有していない。また、上記の溶剤として使用する脂肪酸エステルは一般的に印刷機のインキローラーやブランケットなどのゴム材質を膨潤させやすく、このために脂肪酸エステルを主体として用いたインキは安定した印刷が困難である。
従って、本発明の目的は、有害物質であるフェノール類およびホルムアルデヒドを原料としない樹脂と、石油系溶剤の替わりに特定の植物油脂由来の溶剤を使用することで、印刷における乾燥性と機上安定性が優れ、高品位な印刷物が提供できる環境対応型のオフセット輪転印刷インキを提供することである。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、溶剤として下記一般式(1)で表わされるエーテルを、樹脂成分としてロジンエステル樹脂を、各々主成分として含有することを特徴とするオフセット輪転印刷インキを提供する。
R1−O−R2 (1)
(上記の一般式(1)において、R1は炭素数4〜14のアルキル基またはアルケニル基を表わし、R2は炭素数1〜14のアルキル基を表わす。)
R1−O−R2 (1)
(上記の一般式(1)において、R1は炭素数4〜14のアルキル基またはアルケニル基を表わし、R2は炭素数1〜14のアルキル基を表わす。)
本発明者は、前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、上記のインキが従来のロジン変性フェノール樹脂や石油系溶剤を主体としたオフセット輪転印刷インキと比較して、環境に有害であるフェノール類やホルムアルデヒドを自らは含有せず、また、大気汚染の要因物質であり、かつ枯渇資源でもある石油系溶剤を含まないことから環境への負荷が非常に少ないインキであることを見出した。また、使用される溶剤は印刷機のインキローラーやブランケットなどのゴム材質に対する影響が少ないことや、その沸点範囲が非常に狭く、かつ樹脂に対して高溶解な植物油脂由来の溶剤であることから、従来の石油系溶剤を主体としたインキに比べて、他の適性を損なわずにインキの乾燥性と印刷機上安定性が向上するインキであることを見出した。
本発明によれば、ロジン変性フェノール樹脂や石油系溶剤を主体としたオフセット輪転印刷インキに伴う環境負荷を大幅に減少でき、さらには、性能的にも乾燥性と印刷機上安定性とのバランスに優れていることから、安定した高品位の印刷物が得られる環境対応型のインキが提供される。
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明を特徴づける溶剤は、下記の一般式(1)で表わされるエーテルを主成分として含有しており、好ましくは石油系溶剤を含有しない溶剤である。
R1−O−R2 (1)
上記においてR1は炭素数4〜14のアルキル基またはアルケニル基を表わし、R2は炭素数1〜14のアルキル基を表わす。上記のエーテルを主成分とする溶剤は、溶剤の沸点範囲が非常に狭く、樹脂に対して優れた溶解性を有することから、従来の石油系溶剤を主体としたオフセット輪転印刷インキに比べて、他の適性を損なわずインキの乾燥性と印刷機上安定性が向上する。
R1−O−R2 (1)
上記においてR1は炭素数4〜14のアルキル基またはアルケニル基を表わし、R2は炭素数1〜14のアルキル基を表わす。上記のエーテルを主成分とする溶剤は、溶剤の沸点範囲が非常に狭く、樹脂に対して優れた溶解性を有することから、従来の石油系溶剤を主体としたオフセット輪転印刷インキに比べて、他の適性を損なわずインキの乾燥性と印刷機上安定性が向上する。
上記のエーテルは、公知の方法で合成された対称型エーテルまたは非対称型エーテルなど、好ましくは植物油脂由来の脂肪族アルコールから誘導されるエーテルが挙げられ、それらは単独でも、あるいは混合しても使用することができる。上記のエーテルは溶剤全量中において50質量%〜100質量%を占める量で含有していることが好ましい。
上記のエーテルとしては、例えば、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、n−ブチルter−ブチルエーテル、ノニルヘキシルエーテル、ノニルヘプチルエーテル、ノニルオクチルエーテルなど、好ましくは下記一般式(2)で表わされるジアルキルエーテルが挙げられる。
R3−O−R3 (2)
(上記の一般式(2)おいて、R3は炭素数4〜14のアルキル基を表わす。)
R3−O−R3 (2)
(上記の一般式(2)おいて、R3は炭素数4〜14のアルキル基を表わす。)
また、上記のエーテルは、その沸点が200℃〜320℃のものが好ましく使用される。上記の沸点が高すぎると、インキの乾燥性が低下しインキの塗膜乾燥不良が発生する。一方、上記の沸点が低過ぎると、インキの乾燥が速過ぎて印刷機上でのインキ粘度が上昇して印刷機上安定性が低下する。上記の沸点領域に該当する前記のエーテルとしては、例えば、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテルなど、特に好ましくはジオクチルエーテルが挙げられる。
本発明に使用する溶剤は、前記のエーテル単独でもよく、該エーテルに、さらに脂肪酸エステルを含有した混合物であってもよい。該脂肪酸エステルはインキの乾燥調整などを目的に混合使用することが可能であるが、その際、該脂肪酸エステルの配合量は、インキの全溶剤量の50質量%未満が好ましい。上記の脂肪酸エステルの配合量が上記割合を超えると、得られるインキは、ゴム材質への影響が大きく、印刷を行った場合、印刷機のゴム材部分、特にインキローラーやブランケットなどが著しく膨潤し、安定した印刷が行えなくなる。
なお、上記の溶剤は、印刷作業環境、大気汚染などの環境負荷の要因となる芳香族系石油溶剤、パラフィン系石油溶剤、ナフテン系石油溶剤、その他、石油留分である市販の新日本石油(株)製の「AFソルベント4号」、「AFソルベント5号」、「AFソルベント7号」などの石油系溶剤を含有しないものが好ましい。
上記の脂肪酸エステルとしては、ヤシ油、大豆油、菜種油、亜麻仁油、パーム油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、落花生油、ゴマ油、綿実油などの植物油脂由来および鯨油、牛脂、鮫油などの動物油脂由来の脂肪酸を、公知の方法でアルコール類と反応させエステル化したものが好ましく使用される。上記の油脂由来の脂肪酸は、製造において複数の脂肪酸からなっているため、それらを公知の方法で分離生成して単体、あるいは、これらを混合して使用する。
上記の脂肪酸としては、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ノナデカン酸、ステアリン酸、リシノール酸、オレイン酸、ペトロセリン酸、リノレン酸、エライジン酸など、好ましくはカプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸など、およびこれらの混合物が挙げられる。
また、上記の脂肪酸と反応させて脂肪酸エステルを生成するアルコール類としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ter−ブチルアルコール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコールなど、好ましくはプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ter−ブチルアルコール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコールなどの直鎖および分岐鎖アルコール類、およびこれらの混合物が挙げられる。
前記の脂肪酸エステルは、公知の方法で、上記の脂肪酸とアルコールとを直接エステル化反応させ生成したものや、その他、エステルとアルコールまたはエステルと脂肪酸あるいはエステルとエステルから合成するエステル交換反応、塩化アシルとアルコールとの反応およびエポキシドと脂肪酸との反応から生成させたものを使用することができる。また、上記の得られる脂肪酸エステルにおいて、インキの乾燥性や機上安定性を考慮すると、その沸点は200℃〜320℃のものが好ましく使用される。
前記の脂肪酸エステルとしては、例えば、カプロン酸のブチルエステル、イソブチルエステル、sec−ブチルエステル、ter−ブチルエステル、アミルエステル、イソアミルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、ウンデシルエステル、ラウリルエステル;カプリル酸のエチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、sec−ブチルエステル、ter−ブチルエステル、アミルエステル、イソアミルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、ウンデシルエステル;カプリン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、sec−ブチルエステル、ter−ブチルエステル、アミルエステル、イソアミルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、ノニルエステル、デシルエステル;ラウリン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、sec−ブチルエステル、ter−ブチルエステル、アミルエステル、イソアミルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル;ミリスチン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、sec−ブチルエステル、ter−ブチルエステル、アミルエステル、イソアミルエステル、ヘキシルエステル;パルミチン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、sec−ブチルエステル、ter−ブチルエステル;ステアリン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステルなど、好ましくはカプロン酸のヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、ウンデシルエステル;カプリル酸のブチルエステル、イソブチルエステル、sec−ブチルエステル、ter−ブチルエステル、アミルエステル、イソアミルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、ノニルエステル、デシルエステル;カプリン酸のプロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、sec−ブチルエステル、ter−ブチルエステル、アミルエステル、イソアミルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、ノニルエステル;ラウリン酸のエチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、sec−ブチルエステル、ter−ブチルエステル、アミルエステル、イソアミルエステル、ヘキシルエステルなど、およびそれらの混合物が挙げられる。
本発明で使用する樹脂成分としてのロジンエステル樹脂は、公知のロジンエステル樹脂など、特にロジン類またはロジン類と他のジエン化合物との混合物に、不飽和多塩基酸および/または不飽和モノカルボン酸を付加反応させ、該付加反応生成物をポリオールでエステル化した反応生成物が好ましく使用される。上記の反応生成物としては、例えば、ロジン類と1,3−ペンタジエン石油樹脂などのジエン化合物との混合物を200℃まで加熱して均一に溶解し、次にアクリル酸などの不飽和モノカルボン酸と無水マレイン酸などの不飽和多塩基酸の無水物を添加してジエン合成する。次に、該反応生成物に、ペンタエリスリトールなどポリオールを添加して270〜280℃で8〜10時間反応させエステル化して生成したロジンエステル樹脂などが挙げられる。
上記のロジンエステル樹脂は、その酸価S(mgKOH/g)が2mgKOH/g≦S≦25mgKOH/gであり、好ましくは5mgKOH/g≦S≦20mgKOH/gで、重量平均分子量Mwが30,000≦Mw≦200,000で、好ましくは50,000≦Mw≦150,000であるものが好ましく使用され、これらのロジンエステル樹脂を樹脂成分として使用したインキは、従来のロジン変性フェノール樹脂を樹脂成分として使用したインキと遜色のない性能が得られる。
上記のロジンエステル樹脂の酸価が上記上限を超えると、得られるインキの親水性が増大し、耐水性が低下する。一方、酸価が上記下限未満の場合には、添加されるゲル化剤に対する反応性が低下して、インキへ適切な粘度を与えることが困難となる。いずれも得られるインキは印刷適性が低下する。
また、上記のロジンエステル樹脂の重量平均分子量が上記上限を超える場合には、得られるインキの粘度が高粘度となりインキの転移性や光沢が低下し、一方、重量平均分子量が上記下限未満の場合には、インキが低粘度化してミスチングが発生しやすくなる。
上記のロジンエステル樹脂の生成に使用されるロジン類としては、ウッドロジン、ガムロジン、トール油ロジンなどの天然ロジン、ロジンを触媒下で加熱重合して得られる重合ロジン、水素添加ロジンなど、およびそれらの混合物が挙げられる。また、該ロジン類と他のジエン化合物を混合して使用することができ、該ジエン化合物としては、例えば、1,3−ペンタジエン石油樹脂、1,4−ペンタジエン石油樹脂などのジオレフィン化合物、およびそれらの混合物が挙げられる。
また、上記のロジンエステル樹脂の生成に使用される不飽和多塩基酸および/または不飽和モノカルボン酸は、ディールス−アルダー反応(ジエン合成)に適合するものが好ましく使用される。上記の不飽和多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸などが挙げられる。また、上記の不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などが挙げられる。
また、ロジンエステル樹脂の生成に使用されるポリオール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの低分子ポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリオール、その他ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどのポリオール化合物が挙げられる。
前記の樹脂成分としてのロジンエステル樹脂は、樹脂を構成する成分にフェノール類やホルムアルデヒドを含有していない。このために、印刷工程中の乾燥における乾燥熱によってホルムアルデヒドやフェノール、アルキルフェノールなどのフエノール類が放出される危険性はない。上記のロジンエステル樹脂は、単独でインキ用樹脂として使用されるが、必要に応じて本発明の目的を妨げない範囲において、インキ用樹脂として石油樹脂、アルキッド樹脂、ギルソナイト樹脂、炭化水素樹脂、酸変性炭化水素樹脂などを樹脂成分として併用して使用することができる。
本発明のインキに使用するインキワニスは、前記の樹脂成分と、溶剤として前記のエーテル単独または脂肪酸エステルなどの混合溶剤を配合し、必要に応じて、植物油、ゲル化剤を配合して調製する。その調製方法としては、例えば、上記の樹脂成分と、溶剤と、植物油とを配合し、窒素気流雰囲気下で200℃にて30分間均一に加熱撹拌し、その後、150℃に冷却して、ゲル化剤を配合し、さらに200℃にて60分間均一に加熱撹拌してワニスを調製する。
上記の植物油としては、公知のものを使用することができ、例えば、アマニ油、エゴマ油、サフラワー油、シナキリ油、日本キリ油などの乾性油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、綿実油などの半乾性油、ヒマシ油、落花生油、オリーブ油、カシュウ実油などの不乾性油などが挙げられる。
また、上記のゲル化剤としては、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド、アルミニウムイソプロピレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロポキサイトなど、およびこれらの混合物が挙げられ、好ましくはエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシドが挙げられ、川研ファインケミカル(株)からALCHの商品名で入手して本発明で使用することができる。
本発明のインキは、前記のインキワニスおよび溶剤と、着色剤と、必要に応じて本発明の目的を妨げない範囲において、耐摩擦剤としてパラフィンワックス、カルナバワックス、ポリエチレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックスなどのワックス類および可塑剤などの添加剤を配合し公知の方法で均一に混練してインキを調製する。なお、本発明のインキは、着色剤を配合しないで、オバーコートニスなどのように上塗り剤としても使用することができる。
上記の着色剤としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、弁柄、群青、紺青、アルミニウム粉などの無機顔料、アゾ系顔料、レーキ顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、フタロシアニン系顔料などの有機顔料、カーボンブラックおよび染料など、従来公知のものが挙げられる。
次に、本発明で使用するロジンエステル樹脂aおよびbの製造例と、比較例で使用するロジン変性フェノール樹脂cの製造例を挙げ、これらの樹脂を使用した本発明で使用するインキワニスE1〜E4および比較例で使用するインキワニスF1〜F4の調製例と、これらのインキワニスを使用した本発明のインキの実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、文中「部」または、「%」とあるのは断りのない限り質量基準である。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
(ロジンエステル樹脂aの製造例)
撹拌器および温度計を備えた反応装置に、ロジン800gと、1,3−ペンタジエン石油樹脂200gを添加し、200℃まで加熱して、アクリル酸80gと無水マレイン酸20gを添加してジエン合成させた。該反応生成物に、ペンタエリスリトール130gと、触媒として酸化マグネシウム0.5gを添加し、280℃で酸価が15mgKOH/gになるまで9時間エステル化反応させて重量平均分子量100,000のロジンエステル樹脂aを製造した。
撹拌器および温度計を備えた反応装置に、ロジン800gと、1,3−ペンタジエン石油樹脂200gを添加し、200℃まで加熱して、アクリル酸80gと無水マレイン酸20gを添加してジエン合成させた。該反応生成物に、ペンタエリスリトール130gと、触媒として酸化マグネシウム0.5gを添加し、280℃で酸価が15mgKOH/gになるまで9時間エステル化反応させて重量平均分子量100,000のロジンエステル樹脂aを製造した。
(ロジンエステル樹脂bの製造例)
ロジンエステル樹脂aの製造例において、ペンタエリスリトールにさらにノニルアルコール20gを添加する以外は、ロジンエステル樹脂aの製造例と同様にして酸価が15mgKOH/g、重量平均分子量100,000のロジンエステル樹脂bを製造した。
ロジンエステル樹脂aの製造例において、ペンタエリスリトールにさらにノニルアルコール20gを添加する以外は、ロジンエステル樹脂aの製造例と同様にして酸価が15mgKOH/g、重量平均分子量100,000のロジンエステル樹脂bを製造した。
(比較例で使用するロジン変性フェノール樹脂cの製造例)
撹拌器および温度計を備えた反応装置に、キシレン500gとp−オクチルフェノール410gと、ホルマリン410gおよび15質量%の水酸化カルシウム水溶液20gを添加し、90℃にて4時間反応させた。その後、室温まで冷却し、0.5N硫酸にてpH7に調製し、調製後、分液ロートにて水洗し、キシレンを分離後、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、レゾールキシレン溶液を得た。次に、撹拌器および分離装置付き冷却器を取り付けた装置に、ロジン960gを添加し200℃に加熱しながら上記のレゾールキシレン溶液560gを徐々に滴下し、キシレンと水を捕集しながら反応させた。その後、グリセリン96gとp−トルエンスルホン酸0.5gを添加し、260℃にて酸価が25mgKOH/g以下になるまで10時間反応させエステル化したロジン変性フェノール樹脂cを製造した。
撹拌器および温度計を備えた反応装置に、キシレン500gとp−オクチルフェノール410gと、ホルマリン410gおよび15質量%の水酸化カルシウム水溶液20gを添加し、90℃にて4時間反応させた。その後、室温まで冷却し、0.5N硫酸にてpH7に調製し、調製後、分液ロートにて水洗し、キシレンを分離後、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、レゾールキシレン溶液を得た。次に、撹拌器および分離装置付き冷却器を取り付けた装置に、ロジン960gを添加し200℃に加熱しながら上記のレゾールキシレン溶液560gを徐々に滴下し、キシレンと水を捕集しながら反応させた。その後、グリセリン96gとp−トルエンスルホン酸0.5gを添加し、260℃にて酸価が25mgKOH/g以下になるまで10時間反応させエステル化したロジン変性フェノール樹脂cを製造した。
(インキワニスE1〜E2の調製)
上記のロジンエステル樹脂aまたはbを使用して、表1に示すように大豆油と溶剤としてジオクチルエーテルを配合して、窒素気流雰囲気下で200℃にて1時間加熱撹拌し、その後、150℃に冷却し、ゲル化剤(川研ファインケミカル(株)製、ALCH)を配合して、さらに200℃にて60分間均一に加熱撹拌してインキワニスE1〜E2を調製した。
上記のロジンエステル樹脂aまたはbを使用して、表1に示すように大豆油と溶剤としてジオクチルエーテルを配合して、窒素気流雰囲気下で200℃にて1時間加熱撹拌し、その後、150℃に冷却し、ゲル化剤(川研ファインケミカル(株)製、ALCH)を配合して、さらに200℃にて60分間均一に加熱撹拌してインキワニスE1〜E2を調製した。
(インキワニスE3の調製)
インキワニスE1の調製において、表1に示すようにエーテルの一部を脂肪酸エステルAに置き換える以外はインキワニスE1の調製と同様にしてインキワニスE3を調製した。
インキワニスE1の調製において、表1に示すようにエーテルの一部を脂肪酸エステルAに置き換える以外はインキワニスE1の調製と同様にしてインキワニスE3を調製した。
(インキワニスE4の調製)
インキワニスE1の調製において、表1に示すようにエーテルの一部を脂肪酸エステルBに置き換える以外はインキワニスE1の調製と同様にしてインキワニスE4を調製した。
インキワニスE1の調製において、表1に示すようにエーテルの一部を脂肪酸エステルBに置き換える以外はインキワニスE1の調製と同様にしてインキワニスE4を調製した。
(インキワニスF1の調製)
前記のロジン変性フェノール樹脂cを使用して、表1に示すように、大豆油と溶剤として石油系溶剤J1を配合して、窒素気流雰囲気下で200℃にて1時間加熱撹拌し、その後、150℃に冷却し、ゲル化剤(川研ファインケミカル(株)製、ALCH)を配合して、さらに200℃にて60分間均一に加熱撹拌して比較例で使用するインキワニスF1を調製した。
前記のロジン変性フェノール樹脂cを使用して、表1に示すように、大豆油と溶剤として石油系溶剤J1を配合して、窒素気流雰囲気下で200℃にて1時間加熱撹拌し、その後、150℃に冷却し、ゲル化剤(川研ファインケミカル(株)製、ALCH)を配合して、さらに200℃にて60分間均一に加熱撹拌して比較例で使用するインキワニスF1を調製した。
(インキワニスF2の調製)
前記のインキワニスF1の調製において、表1に示すように、石油系溶剤J1の一部を高沸点の石油系溶剤J2に置き換える以外はインキワニスF1の調製と同様にして比較例で使用するインキワニスF2を調製した。
前記のインキワニスF1の調製において、表1に示すように、石油系溶剤J1の一部を高沸点の石油系溶剤J2に置き換える以外はインキワニスF1の調製と同様にして比較例で使用するインキワニスF2を調製した。
(インキワニスF3の調製)
前記のインキワニスF1の調製において、表1に示すように、石油系溶剤J1の一部を低沸点の石油系溶剤J3に置き換える以外はインキワニスF1の調製と同様にして比較例で使用するインキワニスF3を調製した。
前記のインキワニスF1の調製において、表1に示すように、石油系溶剤J1の一部を低沸点の石油系溶剤J3に置き換える以外はインキワニスF1の調製と同様にして比較例で使用するインキワニスF3を調製した。
(インキワニスF4の調製)
前記のインキワニスE3の調製において、表1に示すように、エーテルの配合の33部を11部に、また脂肪酸エステルAの配合の11部を脂肪酸エステルcの33部に置き換える以外はインキワニスE3の調製と同様にして比較例で使用するインキワニスF4を調製した。
前記のインキワニスE3の調製において、表1に示すように、エーテルの配合の33部を11部に、また脂肪酸エステルAの配合の11部を脂肪酸エステルcの33部に置き換える以外はインキワニスE3の調製と同様にして比較例で使用するインキワニスF4を調製した。
なお、表1および表2におけるエーテル、脂肪酸エステルおよび石油系溶剤は下記の通りである。
エーテル:ジオクチルエーテル
脂肪酸エステルA:カプロン酸2−エチルヘキシルエステル
脂肪酸エステルB:カプリン酸ヘキシルエステル
脂肪酸エステルC:ラウリン酸イソプロピルエステル
石油系溶剤J1:新日本石油(株)製、AFソルベント7号
石油系溶剤J2:新日本石油(株)製、AFソルベント5号
石油系溶剤J3:新日本石油(株)製、AFソルベント4号
エーテル:ジオクチルエーテル
脂肪酸エステルA:カプロン酸2−エチルヘキシルエステル
脂肪酸エステルB:カプリン酸ヘキシルエステル
脂肪酸エステルC:ラウリン酸イソプロピルエステル
石油系溶剤J1:新日本石油(株)製、AFソルベント7号
石油系溶剤J2:新日本石油(株)製、AFソルベント5号
石油系溶剤J3:新日本石油(株)製、AFソルベント4号
(実施例1〜4および比較例1〜4)
上記のワニスE1〜E4および比較例に使用するワニスF1〜F4を使用し、表2のようにフタロシアニンブルーを配合し、公知の方法で混練して、インキタックがインコメーター測定値で10〜11になるように、上記の各々のワニスの調製に使用した溶剤および該ワニスを追加配合して、公知の方法で均一に混練して本発明のインキG1〜G4および比較例のインキH1〜H4を調製した。なお、比較例のインキH1は、従来から用いられている標準的な組成のオフセット輪転印刷インキである。また、上記のタック値は、得られたインキ1.31mlを東洋精機(株)製インコメーターのロール上に塗布し、ロール温度32℃、回転スピード1,200rpmで回転させ、1分後の測定値である。
上記のワニスE1〜E4および比較例に使用するワニスF1〜F4を使用し、表2のようにフタロシアニンブルーを配合し、公知の方法で混練して、インキタックがインコメーター測定値で10〜11になるように、上記の各々のワニスの調製に使用した溶剤および該ワニスを追加配合して、公知の方法で均一に混練して本発明のインキG1〜G4および比較例のインキH1〜H4を調製した。なお、比較例のインキH1は、従来から用いられている標準的な組成のオフセット輪転印刷インキである。また、上記のタック値は、得られたインキ1.31mlを東洋精機(株)製インコメーターのロール上に塗布し、ロール温度32℃、回転スピード1,200rpmで回転させ、1分後の測定値である。
上記で得られた各々のインキについて、印刷適性、乾燥性、機上安定性および膨潤性に関して下記の測定方法により評価した。
(印刷適性)
上記の各々のインキを使用して、通常のオフセット輪転印刷機にて印刷を行い、画像再現性を下記の基準にて測定した。評価結果を表3に示す。
◎:印刷面に印刷調子の不良が認められず、印刷原稿に匹敵する印刷の再現性がある。
×:印刷面に印刷調子の不良が認められ、印刷原稿に匹敵する印刷の再現性がない。
(印刷適性)
上記の各々のインキを使用して、通常のオフセット輪転印刷機にて印刷を行い、画像再現性を下記の基準にて測定した。評価結果を表3に示す。
◎:印刷面に印刷調子の不良が認められず、印刷原稿に匹敵する印刷の再現性がある。
×:印刷面に印刷調子の不良が認められ、印刷原稿に匹敵する印刷の再現性がない。
(乾燥性)
上記の各々のインキ0.125mlを使用して、石川島産業(株)製のRIテスター2分割ロールにてトップコート紙に展色して印刷試料片を作製する。次に、温度調整可能なオーブンを使用して、上記の印刷試料片を加熱し、紙面温度を操作してインキ塗膜を乾燥固化させる。加熱後、該印刷試料片を1分間放冷し、放冷した印刷試料片のインキ面を学振型耐摩擦性試験機にて表面を白紙で擦り、色落ちしない時の紙面乾燥温度を測定した。評価結果を表3に示す。
上記の各々のインキ0.125mlを使用して、石川島産業(株)製のRIテスター2分割ロールにてトップコート紙に展色して印刷試料片を作製する。次に、温度調整可能なオーブンを使用して、上記の印刷試料片を加熱し、紙面温度を操作してインキ塗膜を乾燥固化させる。加熱後、該印刷試料片を1分間放冷し、放冷した印刷試料片のインキ面を学振型耐摩擦性試験機にて表面を白紙で擦り、色落ちしない時の紙面乾燥温度を測定した。評価結果を表3に示す。
(機上安定性)
上記の各々のインキ0.5mlを東洋精機(株)製インコメーターのロール上に塗布し、ロール温度32℃、回転スピード1,200rpmで回転させ、ロール上のインキが粘着性を失いタック値が低下し始めるまでの経過時間(分)を読み取り、タック値の経時的な変動を測定することによりインキの機上安定性を評価する。上記の経過時間が長いほど安定性がよい。評価結果を表3に示す。
上記の各々のインキ0.5mlを東洋精機(株)製インコメーターのロール上に塗布し、ロール温度32℃、回転スピード1,200rpmで回転させ、ロール上のインキが粘着性を失いタック値が低下し始めるまでの経過時間(分)を読み取り、タック値の経時的な変動を測定することによりインキの機上安定性を評価する。上記の経過時間が長いほど安定性がよい。評価結果を表3に示す。
(膨潤性)
上記の各々のインキをゴムブランケット片(ディインターナショナル製、ディブラン3000−4)の表面にヘラで適量塗布し、常温にて24時間放置後、インキを拭き取りブランケット表面の膨潤状況を下記の基準から評価した。評価結果を表3に示す。
◎:ブランケット表面に膨れや軟化現象が認められない。
○:ブランケット表面に膨れや軟化現象が実用上問題のない範囲でわずかに認められる。
×:ブランケット表面に膨れや軟化現象が認められる。
上記の各々のインキをゴムブランケット片(ディインターナショナル製、ディブラン3000−4)の表面にヘラで適量塗布し、常温にて24時間放置後、インキを拭き取りブランケット表面の膨潤状況を下記の基準から評価した。評価結果を表3に示す。
◎:ブランケット表面に膨れや軟化現象が認められない。
○:ブランケット表面に膨れや軟化現象が実用上問題のない範囲でわずかに認められる。
×:ブランケット表面に膨れや軟化現象が認められる。
上記の評価結果から、本発明のインキは、従来の石油系溶剤を主体としたインキに比べて、機上安定性を向上させても乾燥性が維持でき、また、乾燥性を向上させても機上安定性が維持できるという乾燥性や機上安定性のバランスが優れていることが実証された。なお、比較例2〜3で示す通り、比較例1の従来型オフセット輪転印刷インキに沸点の異なる石油系溶剤を混合使用して機上安定性あるいは乾燥性の向上を図っても相反するどちらかの性能が阻害され乾燥性や機上安定性のバランスがとれたインキは提供できない。
本発明によれば、本発明のインキは、溶剤や樹脂に伴う環境負荷が少なく、また、インキの乾燥性と機上安定性のバランスが優れていることから印刷作業性が良好で、安定した高品位の印刷物が得られる高速オフセット輪転印刷インキとして有効に使用することができる。
Claims (7)
- 溶剤として下記一般式(1)で表わされるエーテルを、樹脂成分としてロジンエステル樹脂を、各々主成分として含有することを特徴とするオフセット輪転印刷インキ。
R1−O−R2 (1)
(上記の一般式(1)において、R1は炭素数4〜14のアルキル基またはアルケニル基を表わし、R2は炭素数1〜14のアルキル基を表わす。) - 前記のエーテルが、溶剤全量中において50質量%〜100質量%を占める量で含有されている請求項1に記載のインキ。
- 前記のエーテルが、下記一般式(2)で表わされるジアルキルエーテルである請求項1または2に記載のインキ。
R3−O−R3 (2)
(上記の一般式(2)において、R3は炭素数4〜14のアルキル基を表わす。) - 前記のエーテルが、ジオクチルエーテルである請求項1〜3のいずれか1項に記載のインキ。
- 前記の溶剤が、前記のエーテルと脂肪酸エステルを含有する請求項1に記載のインキ。
- 前記のロジンエステル樹脂が、ロジン類またはロジン類と他のジエン化合物との混合物に、不飽和多塩基酸および/または不飽和モノカルボン酸を付加反応させ、該付加反応生成物をポリオールでエステル化した反応生成物である請求項1に記載のインキ。
- 前記のロジンエステル樹脂が、酸価S(mgKOH/g)が2mgKOH/g≦S≦25mgKOH/gで、重量平均分子量Mwが30,000≦Mw≦200,000である請求項1または6に記載のインキ。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111647303A (zh) * | 2020-06-30 | 2020-09-11 | 湖南科茂林化有限公司 | 一种胶印油墨用无酚醛松香酯树脂及其制备方法 |
Citations (4)
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JPS53102111A (en) * | 1977-02-17 | 1978-09-06 | Sakata Shokai Ltd | Offset printing ink composition |
JP2002265839A (ja) * | 2001-03-08 | 2002-09-18 | Dainippon Ink & Chem Inc | 印刷インキ組成物 |
JP2004018619A (ja) * | 2002-06-14 | 2004-01-22 | Arakawa Chem Ind Co Ltd | ポリエステル樹脂、その製造法、印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ |
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-
2005
- 2005-02-25 JP JP2005050846A patent/JP2006233065A/ja active Pending
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CN111647303A (zh) * | 2020-06-30 | 2020-09-11 | 湖南科茂林化有限公司 | 一种胶印油墨用无酚醛松香酯树脂及其制备方法 |
CN111647303B (zh) * | 2020-06-30 | 2022-10-14 | 湖南科茂林化有限公司 | 一种胶印油墨用无酚醛松香酯树脂及其制备方法 |
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