JP4043938B2 - 撥水処理剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維及び紙等の軟表面、並びにプラスチック、ステンレス、及びガラス等の硬表面等の被基材処理面に、撥水性を付与することができる撥水処理剤に関するものである。より詳細には、人体や環境に悪影響を及ぼすことなく、被処理面の風合いを損ねずに撥水性を付与でき、かつ洗浄により容易に処理面から除去できる撥水処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、分子内にパーフルオロ基又はフルオロアルキル基を含有する重合可能な単量体の重合物、あるいは該単量体と他の重合可能な単量体との共重合物であるフッ素系重合体は、比較的少量で優れた撥水効果を示すことから、繊維、皮革及び建材等の表面処理加工剤として利用されている。しかしながら、上記フッ素系重合体の溶剤として知られる1,1,1−トリクロロエタン等は、近年、大気のオゾン層破壊の一因として挙げられ、地球環境保護の見地からその使用が制限されている。また、上記フッ素系重合体の溶剤の代替検討もなされているが、未だ満足すべき結果が得られていない。
【0003】
上記の問題点を改善するために、アルコール可溶性で、かつ、フッ素原子を含まないシリコーン系共重合体の提案がなされている(特許文献1参照)。しかしながら、該共重合体中にはアニオン性基を含有していないため、洗浄剤及びアルカリ性水溶液を用いた洗浄による除去性が困難で、さらに、繰り返し使用することにより、被処理面に蓄積して白化やムラが生じるという問題や、繊維に対しては風合いの低下を引き起こすという問題があった。
【0004】
また、アルカリ条件下での溶解性を高めて、被処理表面での蓄積性を改善したカルボキシル基含有のシリコーン系共重合体が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、該共重合体は被処理面に対する吸着力が低く、十分な撥水性が得られていない。
【0005】
一方、アクリルグラフトオルガノポリシロキサンを用いた繊維処理剤が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、該処理剤は製造する際に共重合されるオルガノポリシロキサンはエマルジョンであるために、乳化、脱水及び脱乳化剤の工程を要して生産性が悪く、さらに、十分な撥水性を得るためには架橋剤の添加及び加熱処理等の複雑な使用方法を取る必要があった。
【0006】
また、撥水性に優れた塗膜を形成できる樹脂組成物として、シロキサンオリゴマーを含む共重合体も提案されているが(特許文献4参照)、シロキサンオリゴマーの含有量が少なく十分な撥水性が得られず、被処理面に対する吸着力が低く耐久性にも乏しい。
【0007】
さらに、撥水耐久性を目的として、金属アルコキシドを添加する方法を提案しているが(特許文献5参照)、金属アルコキサイドは、空気中の水分と容易に反応する等取り扱いが困難である。
【0008】
なお、本発明者は、先にシリコーン含有高分子共重合体を含むことを特徴とする撥水処理剤を提案している(特願2001−255307号)。
【0009】
【特許文献1】
特開平7−97770号公報
【特許文献2】
特開平1−319518号公報
【特許文献3】
特開平1−239175号公報
【特許文献4】
特開2002−121467号公報
【特許文献5】
特開2000−186279号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、繊維及び紙等の軟表面、並びにプラスチック、ステンレス、及びガラス等の硬表面等の被処理面の風合いを損ねずに撥水性を付与でき、かつ、洗浄により容易に被処理面から除去できる撥水処理剤を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定モノマーを特定の割合で共重合することによって得られるシリコーン含有高分子共重合体を含有する撥水処理剤で基材表面を処理することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0012】
従って、本発明は、(A)下記一般式(1)
【化2】
で表されるシリコーン含有モノマー20〜90質量%と、(B)3級アミノ基含有ビニルモノマー0.5〜10質量%と、(C)カルボキシル基含有ビニルモノマー5〜50質量%、(D)疎水性ビニルモノマー1〜50質量%とを共重合させてなる共重合体を含むことを特徴とする撥水処理剤を提供する。
【0013】
以下、本発明につきさらに詳しく説明する。
本発明の(A)成分は、下記一般式(1)で表されるシリコーン含有モノマーである。
【化3】
【0014】
本発明の(A)成分は、市販品として入手することができ、例えば、サイラプレーンTM−0701及びTM−0701T(チッソ株式会社製:商品名)、X−22−2404、(信越化学工業株式会社製:商品名)、BX16−122A、BY16−122A(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製:商品名)等が挙げられる。
【0015】
(A)成分のシリコーン含有モノマーは、その共重合体中に20〜90質量%、好ましくは30〜90質量%、より好ましくは41〜90質量%、43〜80質量%、特に好ましくは51〜80質量%の範囲で含まれる。(A)成分のシリコーン含有モノマーの含有量が20質量%未満であると十分な撥水性が得られず、また、90質量%を超える場合は共重合体の溶剤への溶解性が低くなり、さらには被膜形成性が悪くなることにより撥水性及び耐久撥水性が低下する。
【0016】
本発明の(B)成分は、3級アミノ基含有ビニルモノマーである。(B)成分のビニルモノマーが3級アミノ基を含有するため、被処理表面と吸着性を高め、共重合体が脱落することを防止し、その結果持続性に優れた撥水性を付与することができる。(B)成分としては、重合性であり3級アミノ基を含有するビニルモノマーであれば特に限定されないが、下記一般式(2)で表わされる3級アミノ基含有ビニルモノマーが好ましい。
【化4】
(式中、R1は水素原子又はメチル基、Yは酸素原子又はNH、Aは炭素数1〜8の2価炭化水素を示し、酸素原子を1つ以上含んでもよい。R2、R3は炭素数1〜12の1価炭化水素基を示す。)
【0017】
Aは炭素数1〜8の2価炭化水素であり、炭素数1〜4の2価炭化水素基が好ましい。また、R2、R3は炭素数1〜12の1価炭化水素基であり、炭素数1〜3の1価炭化水素基が好ましい。
【0018】
上記一般式(2)で表わされる3級アミノ基含有ビニルモノマーとしては、具体的に、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジプロピルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられ、この中で、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルが好ましく、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルがより好ましい。(B)成分は、これらの化合物を1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
(B)成分の3級アミノ基含有ビニルモノマーは、共重合体中に0.5〜10質量%、好ましくは1〜8質量%、より好ましくは2〜6質量%の範囲で含まれる。3級アミノ基含有ビニルモノマーの含有量が0.5質量%未満であると、被処理面に対する吸着力が弱く十分な持続性が得られず、また、10質量%を超えると3級アミノ基由来の親水性が高くなり、良好な撥水性が得られなくなる。
【0020】
本発明の(C)成分は、カルボキシル基含有ビニルモノマーであり、(C)成分を含有することにより、被処理面との密着力を良好にして優れた撥水性を示すにも拘わらず、洗剤又はアルカリ水で処理することにより被処理面から完全に除去できるために、被処理面に蓄積し基材の外観や風合いを損ねることがない。(C)成分として具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸半エステル、フマル酸半エステル等が挙げられ、これらを1種単独又は2種以上組み合わせて用いてもよい。このうち好ましくは、アクリル酸及びメタクリル酸であり、より好ましくはメタクリル酸である。
【0021】
(C)成分のカルボキシル基含有ビニルモノマーは、共重合体中に5〜50質量%、好ましくは7〜45質量%、より好ましくは10〜40質量%の範囲で含まれる。カルボキシル基含有ビニルモノマーの含有量が5質量%未満であると洗剤又はアルカリ水による処理で基材から完全に除去し難く、また、50質量%を超える場合は、処理後の外観や風合いが損なわれる。
【0022】
本発明の(D)成分は、疎水性ビニルモノマーであり、被膜形成性を良好にし、処理被膜の耐久性を向上させるものである。疎水性ビニルモノマーとしては、重合性に問題がなければ特に限定されないが、炭素数1〜24の直鎖又は分岐状アルコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられ、これらは1種を単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。このうち好ましくは、炭素数1〜18の直鎖又は分岐状アルコールの(メタ)アクリル酸エステルであり、より好ましくは炭素数1〜12の直鎖又は分岐状アルコールの(メタ)アクリル酸エステルである。
【0023】
(D)成分の疎水性ビニルモノマーは、共重合体中に1〜50質量%、好ましくは3〜45質量%、より好ましくは5〜40質量%の範囲で含まれる。疎水性ビニルモノマーの含有量が50質量%を超える場合は、洗剤又はアルカリ水で処理しても被処理面に残存し、繰り返し使用することにより基材面に蓄積し、外観や風合いを損なうことになる。
【0024】
本発明に係る高分子共重合体は、(A)、(B)、(C)及び(D)成分以外にも、本発明効果を損なわない範囲で、重合可能な官能基を末端にもつ高分子量のモノマーであるマクロモノマー(東亜合成株式会社製のAA−6、AB−6等が例示される)、反応性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製のX−22−164A、X−22−164B、X−22−164C、X−22−174DX、X−24−8201、X−22−2426や、チッソ株式会社製のFM−0711、FM−0721、FM−0725、FM−7711、FM−7721、FM−7725等の重合性モノマーを含有することができる。
【0025】
本発明に係る高分子共重合体は、(A)〜(D)及び任意の重合性モノマー成分を重合開始剤で共重合させることにより、容易に製造することができる。共重合に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレングルコール等のアルコールが挙げられ、特に、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコールが好ましい。これらを1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。
【0026】
重合開始剤としては従来公知の各種のものを使用することができ、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、例えば、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、2、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2、2’−アゾビス(2、4−ジバレロニトリル)、2、2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2、2’−アゾビス(N、N−ジメチレンイソブチルアミジン)等のアゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等が挙げられ、アゾ化合物が好ましい。
【0027】
これらモノマー溶液及び開始剤は、重合熱の除去や送液中の重合等を抑えて安定に製造するために、別々に、分割又は連続的に重合溶媒中に添加することが好ましい。また、重合開始剤は、その一部又は全量を重合溶媒中に予め配合しておいてもよい。重合に際して、溶媒は、モノマー混合物の濃度が10〜50質量%程度となるように調整して使用することが好ましい。重合温度は、用いる重合開始剤の種類等によって適宜選択すればよいが、高い反応率を得るために、重合開始剤の半減期が5〜500分程度とすることが好ましく、特に用いた重合溶媒の沸点に近いことが温度制御の点から好ましい。また、重合時間は、モノマー濃度や重合温度によって変わるが、1〜12時間、特に2〜10時間が好ましい。
【0028】
さらに、上記共重合体のGPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は、5,000〜1,000,000であるのが好ましく、より好ましくは10,000〜800,000である。
【0029】
また、上記共重合体を含有する撥水処理剤は有機溶剤に溶解させた形態であるのが好ましく、有機溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族系炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類が挙げられ、これらは1種単独で使用しても2種以上併用してもよい。安全性や上記共重合体の溶解性の点からは、エタノールやイソプロパノール等のアルコールを使用することが好ましい。
【0030】
本発明における共重合体は、撥水処理剤中に0.01〜10質量%、特に0.1〜8質量%含有することが好ましい。含有量が少ないと十分な撥水性が得られない場合があり、多すぎると被処理基材の風合いを損ねる場合がある。
【0031】
なお、本発明の撥水処理剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等の炭素数4〜12の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加化合物等の溶剤や、ジメチルシリコーンオイル、環状シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シリコーンレジン等の25℃における粘度5〜1,000,000mm2/sのオルガノポリシロキサン化合物等の1種又は2種以上を配合してもよい。
【0032】
本発明の撥水処理剤が使用される被処理基材としては、壁紙、衣料、傘、カーテンやソファの布製家具の繊維等の軟表面、各種プラスチック、木製品、塗装板、ステンレス等の硬表面が挙げられる。この中でも、壁紙、衣料、傘、カーテンやソファの布製家具の繊維等の軟表面に好適である。
【0033】
本発明の高分子共重合体を含有する撥水処理剤は、トリガースプレー、ポンプスプレー、エアゾールスプレー、その他の塗布容器に入れて、基材表面に噴霧、もしくは塗布し、又は浸漬して乾燥するだけで、処理された基材表面に撥水性を付与できるが、特に、エアゾール型スプレーとする場合、上記共重合体を霧状に噴射するために必要な成分として、噴射ガスを公知のものから適宜選択して使用することができる。噴射ガスとしては、炭酸ガス、窒素ガス、プロパン、ブタン、液化石油ガス、ジメチルエーテル等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上を混合し、使用ガス圧を勘案して用いることができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の撥水処理剤を、基材表面に噴霧、塗布、又は浸漬することにより、処理された基材表面の風合いを損ねることなく、充分な耐久性を有する撥水性を付与でき、かつ、洗浄により容易に基材表面から除去できるという撥水処理を行うことができる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は質量%を示す。
【0036】
(合成例1)
攪拌機及び冷却管を備えた500mL容のセパラブルフラスコにシリコーン含有モノマー(サイラプレーンTM−0701T、チッソ株式会社製)45.8gとエタノール117.4gを加え、窒素ガスを吹き込みながら80℃に加熱した。ジメチルアミノエチルメタクリレート3.2g、メタクリル酸40.7g、tert−ブチルメタクリレート15.3g及びエタノール52.2gからなるモノマー混合溶液と2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1.4gとエタノール25.4gの混合溶液を調製した。各溶液を15分間隔で8回に分けて添加し、さらに80℃で3時間加熱し、重量平均分子量161,000の重合体を得た。
【0037】
(合成例2)
攪拌機及び冷却管を備えた500mL容のセパラブルフラスコにシリコーン含有モノマー(TM−0701T)73.5gとエタノール117.4gを加え、窒素ガスを吹き込みながら80℃に加熱した。ジメチルアミノエチルメタクリレート3.2g、メタクリル酸21.0g、tert−ブチルメタクリレート7.4g、及びエタノール52.2gの混合溶液と2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.9gとエタノール25.4gの混合溶液を調製した。各溶液を2時間かけて連続的に滴下し、さらに80℃で3時間加熱し、重量平均分子量180,000の重合体を得た。
【0038】
(合成例3)
攪拌機及び冷却管を備えた500mL容のセパラブルフラスコにエタノール117.4gを加え、窒素ガスを吹き込みながら80℃に加熱した。シリコーン含有モノマー(TM−0701T)47.3g、ジメチルアミノエチルメタクリレート3.2g、メタクリル酸29.4g、アクリル酸10.5g、tert−ブチルメタクリレート14.7g及びエタノール52.2gからなるモノマー混合溶液と2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1.4gとエタノール25.4gの混合溶液を調製した。各溶液を2時間かけて連続的に滴下し、さらに80℃で3時間加熱し、重量平均分子量76,400の重合体を得た。
【0039】
(合成例4)
シリコーン含有モノマー(TM−0701T)63.0g、ジメチルアミノエチルメタクリレート4.2g、メタクリル酸26.3g、tert−ブチルメタクリレート11.6gについて、合成例3と同様にして、重量平均分子量58,600の重合体を得た。
【0040】
(合成例5)
シリコーン含有モノマー(TM−0701T)47.3g、ジメチルアミノエチルメタクリレート3.2g、メタクリル酸39.9g、tert−ブチルメタクリレート7.4g、n−ブチルアクリレート7.4gについて、合成例2と同様にして、重量平均分子量112,000の重合体を得た。
【0041】
(合成例6)
シリコーン含有モノマー(TM−0701T)52.5g、ジメチルアミノエチルメタクリレート5.3g、メタクリル酸36.8g、tert−ブチルメタクリレート5.3g、メチルメタクリレート5.3gについて、合成例2と同様にして、重量平均分子量97,000の重合体を得た。
【0042】
(比較合成例1)
シリコーン含有モノマー(TM−0701T)52.5g、アクリル酸10.5g、tert−ブチルメタクリレート42.0gについて、合成例1と同様にして、重量平均分子量163,000の重合体を得た。
【0043】
(比較合成例2)
シーリコーン含有モノマー(TM−0701T)47.3g、ジメチルアミノエチルメタクリレート21.0g、tert−ブチルメタクリレート36.8gについて、合成例2と同様にして、重量平均分子量78,600の重合体を得た。
【0044】
(比較合成例3)
シリコーン含有モノマー(TM−0701T)21.0g、ジメチルアミノエチルメタクリレート63.0g、メタクリル酸21.0gについて、合成例2と同様にして、重量平均分子量93,000の重合体を得た。
【0045】
(比較合成例4)
シリコーン含有モノマー(TM−0701T)52.5g、tert−ブチルメタクリレート40.0g、n−ブチルアクリレート12.5gについて、合成例2と同様にして、重量平均分子量66,000の重合体を得た。
【0046】
(比較合成例5)
メタクリル酸31.5g、tert−ブチルメタクリレート73.5gについて、合成例3と同様にして、重量平均分子量48,000の重合体を得た。
上記合成例1〜11に示した共重合体のモノマー(A)〜(D)の質量%の値を表1に記載する。
【0047】
【表1】
【0048】
[実施例1〜6、比較例1〜5]
合成例1〜6、比較例1〜5で得た高分子共重合体の5質量%エタノール溶液を、綿布に対してトリガーにて噴霧、室温で十分乾燥させて試料とし、下記評価基準で撥水性、風合い、及び除去性を評価した。結果を表2に示す。
【0049】
(撥水性の評価)
50mLのイオン交換水を試料上へ散布し、試料の濡れた状態を観察し、下記評価基準で評価した。
〈評価基準〉
○:表面の湿潤は認められずに水滴が付着する。
△:表面が水滴によって湿潤する。
×:表面が湿潤し、水滴が布を浸透する。
(風合い試験)
試料の処理布を使用し、3人のパネラーの指触によりその風合いを以下の評価基準で判定した。
〈評価基準
○:未処理布と同様の風合い。
△:未処理布に比較して若干硬い風合い。
×:未処理布に比較して硬い風合い。
(除去性の評価)
上記の撥水性の評価が○であった高分子共重合体について、除去性の評価を行った。高分子共重合体の5質量%エタノール溶液に綿布を10秒間浸漬した後、室温で十分乾燥させ、処理布を得た。処理布を水1リットルに対してアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム5g及び炭酸ナトリウム2gを溶解させた洗浄液で、家庭用電気洗濯機を使用して洗濯し、乾燥させた。10mLのイオン交換水を処理布上へ散布し、処理布の濡れた状態を観察し、下記評価基準で評価した。
〈評価基準〉
○:試料表面に水滴が浸透し、洗濯によって高分子共重合体が除去される。
×:試料表面への水の湿潤は認められず、洗濯によって高分子共重合体が除去されない。
【0050】
【表2】
【0051】
[実施例7〜12、比較例6〜10]
合成例1〜6、比較例1〜5で得た高分子共重合体の2質量%エタノール溶液2gをガラス板(10×10cm)に塗布した後、室温で乾燥させ、試料とした。下記評価基準でガラス板に対する外観、撥水性を評価した。結果を表3に示す。
(外観の評価)
乾燥後の被膜の外観を観察し、下記評価基準で評価した。
〈評価基準〉
○:均一である。
×:ひび割れている。
(撥水性の評価)
処理したガラス板を水平面に対して30度の角度になるように固定し、20cmの高さからイオン交換水を100mL散布した。ガラス板の端を持ち上げ、余分な水滴を落とした後の濡れた状態を観察し、下記評価基準で評価した。
〈評価基準〉
○:水をはじき、表面に小さな水滴が付着したのみ。
△:被膜全体が湿潤している。
×:被膜が剥がれガラス面が水で濡れている。
【0052】
【表3】
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