JP4043868B2 - Icカードの製造方法およびicカード - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ICカードの製造方法とICカードに関する。
詳しくは接触式ICカードや接触式非接触式兼用ICカードにおいて、カードの外観を損ねることなく、カードの製造ロットや履歴を特定できるようにするための技術に関する。
従って、本発明の利用分野は、ICカードの製造や使用分野に関する。
【0002】
【従来技術】
偽造やデータ改変の困難性から磁気カードに代わってICカードが広範に使用されるようになってきている。
ところで、ICカードが市場で故障、不具合を起こした場合、そのカードは製造元に返却される。製造元では、そのカードの製造日や製造ロットを特定の上、当該ロットに関する製造履歴資料を調査し故障原因の調査、同日製造、同工程ナンバーで製造された他ロットへの影響等を推定することが通常行われている。
【0003】
通常のICカードは、印刷のデザインや印字等には得意先からの要求または制限があり、製造メーカーが製造ロットを特定するためのナンバリングやマークの印刷、印字が認められない場合が多く、カードの外観からはいつの時期にどの製造ロットで製造された製品であるかを特定することが一般に困難である。
クレジットカード等では、カードナンバー等がエンボス加工され、磁気、ICチップの中にもこのような個別情報を記録することができ、これを元にカードの製造ロットを特定することが技術的には可能であるが、通常、このような個別情報はカードを得意先に納入した後は、セキュリティー上、個人情報保護上の観点から返却または廃棄することが求められており製造ロット特定のために長期間データを保管することは不可能である。
【0004】
また、ICモジュール自体にモジュールのロット識別コードをマーキングしているケースもあるが、これはICチップ、ICモジュールのロット特定には有効であるが、カードそのものの製造ロットと必ずしも1対1の対応関係にあるものではない。すなわち、同一ロットのICモジュールをまったく異なる製造日にカード加工している場合には、モジュールロットだけでは、カードの製造ロットを特定することはできない。
また、ICモジュールのメモリの一部に、このような製造ロットを特定するコードをデータとして書き込む方法もあるが、チップ自体が破壊し動作しない状態となった場合、このようなデータを読み出すことは不可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このようなカードの見える箇所へ識別コードやパターンを表示してカードの外観を損ねることなく、市場で故障したカードの製造ロットの特定依頼等があった際に、カードの外観以外の部分から確実にカード製造ロットを識別する手段を具備させるべく研究して、本発明の完成に至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の要旨の第1は、
ICカードのICモジュールをICカード基体に装着する際に、ICモジュール装着用凹部をカード基体表面からざぐり加工して形成し、形成したICモジュール装着用凹部の第1凹部に、ICモジュールを接着固定するICカードの製造方法において、ICモジュール装着用凹部のざぐり加工後の第2凹部底面に、ICカードの製造日または製造ロット番号を特定する接着剤塗布パターンを、接着剤塗布用ディスペンサーにより形成することを特徴とするICカードの製造方法、にある。上記において、ICカードの製造日または製造ロット番号を、2色以上の接着剤を用いて、それらの塗布パターンにより表示することができる。
【0007】
本発明の要旨の第2は、ICカード基体にICモジュール装着用凹部が形成され、当該ICモジュール装着用凹部の第1凹部にICモジュールが接着固定されているICカードにおいて、当該ICモジュール装着用凹部の第2凹部底面に、ICカードの製造日または製造ロット番号を特定する接着剤塗布パターンが形成されていることを特徴とするICカード、にある。上記において、ICカードの製造日または製造ロット番号が、2色以上の接着剤を用いた塗布パターンにより表示されているようにすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のICカードの製造方法について図面を参照して説明するが、以下において本発明の特徴とする部分以外の工程は、従来のICカードの製造方法と同様のものである。
図1、図2は、本発明のICカードの製造工程を示す図であって、図1は、ざぐり加工後の状態を示す図、図2は、COT(Chip On Tape=テープICモジュール)埋設後の状態を示す図である。いずれも(A)は平面図、(B)は(A)のA−A線断面図である。
【0009】
(1)まず、コアシートとオーバーシート等がプレスラミネートされ、表裏面に必要な印刷がされたカード基体1に対して、ICモジュール装着用凹部2をざぐり加工機でざぐり加工して形成する。
図1は、装着用凹部2が切削された後の状態を示し、凹部の底面には、製造ロットまたは製造日を特定する接着剤塗布パターン5が形成されている。
通常、ICモジュール装着用凹部2は、COT基板の接着エリア搭載部を懸架する第1凹部21と、COTのICチップ樹脂モールド部3m(図2)を納める部分であって第1凹部よりはより深い深さを有する第2凹部22との2段の凹部にざぐり加工する。
【0010】
第1凹部21の位置、大きさは、ISO規格を満たすものであれば良く、限定されるものではないが、通常13.0mm×11.8mm程度のCOT基板が入る程度の大きさにし、第2凹部22の底面の大きさは、8.0mm×8.0mm程度となる。また、第1凹部21の深さは、COT基板(テープ)と接着剤の厚みを納められる深さであって、200μm程度とする。第2凹部22の深さはCOTのモールド樹脂部3mの高さに相当する深さが必要であり、第1凹部よりさらに450μm程度深くなる。
【0011】
(2)接着剤の塗布を行う。
COT3を個片に打ち抜きし、ざぐり加工したICカードのICモジュール埋設予定部の全面または一部に、もしくはICモジュール裏面の接着予定部に、COT3を接着固定するための液状接着剤(熱硬化性接着剤、瞬間接着剤、常温硬化型接着剤等)の塗布をディスペンサーにより塗布する。
【0012】
本発明の特徴とするところは、COT接着用の接着剤塗布と共に、ICモジュール装着用凹部の底面に、ICカードの製造日または製造ロット番号を特定することができる接着剤塗布パターン5を形成することにある。このとき、好ましくは2色以上の識別可能な接着剤を異なるディスペンサーを用いて、所定のパターンになるよう、塗布位置を定めて塗布する。
図1場合、赤色に着色した接着剤塗布パターン5rと白色または透明の接着剤塗布パターン5wが平行に並んで塗布パターン5を形成している。
【0013】
このパターンは、それぞれが製造日または製造ロットを特定できるようにあらかじめ所定のパターンの組合せにされている。このような接着剤塗布パターンは、第2凹部22の底面である8mm角程度の面積内に表示すれば良いので、格別に細密パターンとなって形成の困難性を伴うものでもない。
接着剤塗布用ディスペンサーの場合、吐出口の先端が0.1〜2.0mmφ程度のものを使用して、あらかじめ設定した塗布プログラムにより容易に所定位置に塗布形成することができる。
また、塗布パターンは、第1凹部に形成するものであってもよい。第1凹部は枠状のパターンとなるが面積自体は第2凹部よりも大きい場合が多い。また、第1凹部と第2凹部の双方に形成するものであっても良いのも勿論である。
【0014】
(3)COTを接着剤塗布済みの装着用凹部に、または接着剤塗布後のCOTをICカード基体1のICモジュール装着用凹部2に装着して実装する。COT3を装着用凹部に嵌合させた後、熱硬化性接着剤の場合は熱圧をかけて接着剤8を硬化させ、第1凹部面にCOT基板4を固定する。瞬間接着剤や常温接着剤の場合はこの工程を行わない場合もある。
COT装着後は、図2の状態になり、表面にはICカードの接触端子板パターン6が表れている。カードの外観からは第2凹部底面の接着剤塗布パターン5を認めることはできず、COTをICカード基体1から剥離してはじめて認識することができる。
【0015】
図3は、接着剤塗布パターンの例を示す図である。図3の場合、例として赤色の塗布パターン5rと白色の塗布パターン5wとの組合せからなる塗布パターンが8種類図示してあるが、組合せは8種類に限られない。
例として、第2凹部の底面を3×3=9の塗布域に分割できるとした場合、最初に赤色の塗布パターン5rを形成する塗布域は9箇所ある。これに対し白色の塗布パターン5wは残りの8箇所に塗布できるから、特定の1箇所の赤色の塗布パターン5rに対して、8 種類の塗布パターンの組合せが得られる。従って、赤色の塗布パターン5rを形成する塗布域は9箇所あるから、塗り分けパターンの組合せは、9×8=72種類得られることになる。
なお、図3は第2凹部への塗布例を示しているが、第1凹部に対して塗布することも前記のように可能である。
【0016】
赤色の接着剤塗布を2箇所、3箇所と増やせば、その組合せはさらに増えることになる。8mm×8mmの底面面積を細分割し、かつ塗布パターンも微細にすれば、無数の塗布パターンの組合せが得られる。
これらの特定の塗布パターンと製造日、製造ロットを1対1で結び付けておけば、必要な各種の表示をすることができる。
【0017】
接着剤は特に限定されるものではなく、エポキシ系、ウレタン系、シアノアクリレート系、シリコン系、塩酢ビ系等、通常用いられているものを使用できる。透明や白色の接着剤が多用されているが、成分内容は変えず染料等の色料のみを添加した接着剤を組み合わせて使用することにより上記各種塗布パターンが得られる。
【0018】
【発明の効果】
上述のように、本発明のICカードの製造方法では、製造日または製造ロット等を表示する接着剤塗布パターンがICカードの外観に表れないようにされているので、ICカードにデザイン上の制約を生じさせることがなく広範囲の応用が可能である。
また、製造日、製造ロット等をデータとしてICチップに記録する必要もないので、メモリーを浪費することがない。
接着剤塗布パターン形成を自動塗布機(ディスペンサー)で行う場合は、自動塗布機の塗布プログラムを改変するだけで対応でき、新たな設備的負担を殆ど生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のICカードの製造工程(ざぐり加工後の状態)を示す図である。
【図2】 本発明のICカードの製造工程(ICモジュール埋設後)を示す図である。
【図3】 接着剤塗布パターンの例を示す図である。
【符号の説明】
1 ICカード基体
2 ICモジュール装着用凹部
3 COT
4 COT基板
5 接着剤塗布パターン
6 接触端子板パターン
8 接着剤

Claims (4)

  1. ICカードのICモジュールをICカード基体に装着する際に、ICモジュール装着用凹部をカード基体表面からざぐり加工して形成し、形成したICモジュール装着用凹部の第1凹部に、ICモジュールを接着固定するICカードの製造方法において、ICモジュール装着用凹部のざぐり加工後の第2凹部底面に、ICカードの製造日または製造ロット番号を特定する接着剤塗布パターンを、接着剤塗布用ディスペンサーにより形成することを特徴とするICカードの製造方法。
  2. ICカードの製造日または製造ロット番号を、2色以上の接着剤を用いて、それらの塗布パターンにより表示することを特徴とする請求項1記載のICカードの製造方法。
  3. ICカード基体にICモジュール装着用凹部が形成され、当該ICモジュール装着用凹部の第1凹部にICモジュールが接着固定されているICカードにおいて、当該ICモジュール装着用凹部の第2凹部底面に、ICカードの製造日または製造ロット番号を特定する接着剤塗布パターンが形成されていることを特徴とするICカード。
  4. ICカードの製造日または製造ロット番号が、2色以上の接着剤を用いた塗布パターンにより表示されていることを特徴とする請求項記載のICカード。
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