JP4042586B2 - 車両用電動アクチュエータシステム - Google Patents

車両用電動アクチュエータシステム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用電動アクチュエータシステムに関するもので、車両用空調装置の各種の板ドア等の可動部材を駆動する電動アクチュエータシステムに適用して有効である。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、車両用空調装置において、吹出口を開閉する吹出口ドア、エアミックスドア(A/Mドア)を開閉するために、ドアを回転駆動するための電動モータ、この電動モータを目的位置まで回転させる電子制御装置を有するものが提案されている。
【0003】
ここで、電子制御装置は、原点位置を基準として、電動モータを現在位置から目標位置まで回転させるのに必要な回転角度を決定する。さらに、電子制御装置は、電動モータの回転角度を検出するとともに、この検出される回転角度に基づき、この決定された回転角度だけ電動モータを回転させることになる。このことにより、電動モータを目標位置まで回転させることになる。
【0004】
しかし、電子制御装置は、電動モータの回転角度を検出するだけで、電動モータの回転位置を検出することができない。したがって、電子制御装置が認識している電動モータの回転位置と、実際の電動モータの回転位置とが、ずれている場合がある。
【0005】
そこで、電子制御装置は、イグニッションスイッチがオンされたとき、電動モータに初期設定(イニシャライズ処理)を施して電動モータを原点位置まで戻し、この電動モータを原点位置まで戻したことを記憶する。すなわち、電動モータの原点位置の位置決めを行うことになる。
【0006】
ここで、電動モータに初期設定の実行中では、吹出口ドア、エアミックスドア等は、原点位置まで戻されるだけで、吹き出し空気温度や風量の制御と無関係の動作を行うことになる。したがって、初期設定の実行中では、ブロアモータに給電せずに、送風機から送風させないようにしている。
【0007】
このため、例えば、真夏の暑い車室内で、ユーザが乗車して、空調装置の動作を開始させる操作を行っても、初期位置設定の実行中は、冷風が送風されず、乗員は、車室内の暑さに耐え、初期設定が終了するのを待つ必要があり、不快に感ずることになる。
【0008】
本発明は、上記点に鑑み、ユーザが乗車する直前に、初期設定の処理を実行するようにした車両用電動アクチュエータシステムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項に記載の発明では、出力軸(127)を回転させる電動モータ(110)と、出力軸(127)を目標位置まで回転させるように電動モータを制御する制御手段(S400)と、を有する車両用電動アクチュエータシステムであって、車両とユーザとの距離が一定距離未満になったか否かを判定する距離判定手段(S220b)と、車両とユーザとの距離が一定距離未満になったことを距離判定手段が判定したとき、電動モータを原点位置まで回転させるとともに、電動モータを原点位置まで回転させたことを記憶する初期設定手段(S230)と、を有し、距離判定手段は、電子キー(600)から送信される信号の受信電力に応じて車両のドアをロック、アンロックさせる電子制御装置(500)から取得した電子キーから送信される信号の受信電力に応じ、その受信電力がドアをアンロックさせるか否かの判定に用いられる第1の閾値(D1)よりも小さい第2の閾値(D2)以上になって車両と電子キーとの距離がドアをアンロックさせる距離よりも長い一定距離未満になったか否かを判定することを特徴とする。
【0014】
これにより、車両と電子キーとの距離がドアをアンロックさせる距離よりも長い一定距離未満になったとき、電動モータを原点位置まで回転させるとともに、電動モータを原点位置まで回転させたことを記憶することになる。すなわち、初期設定の処理が、ーザが乗車する直前に、実行されることになる。したがって、空調装置の動作を開始させる為の操作を行って、空調装置の動作が実際に開始されるまでの待ち時間を短くすることができる。そのため、乗員の快適性を損なうことなく、初期設定の処理を行うことができる。
【0018】
請求項に記載の発明では、出力軸(127)を回転させる電動モータ(110)と、出力軸(127)を目標位置まで回転させるように電動モータを制御する制御手段(S400)と、を有する車両用電動アクチュエータシステムのコンピュータ、車両とユーザとの距離が一定距離未満になったか否かを判定する距離判定手段(S220b)と、車両とユーザとの距離が一定距離未満になったことを距離判定手段が判定したとき、電動モータを原点位置まで回転させるとともに、電動モータを原点位置まで回転させたことを記憶する初期設定手段(S230)として機能させるためのプログラムであって、距離判定手段は、電子キー(600)から送信される信号の受信電力に応じて車両のドアをロック、アンロックさせる電子制御装置(500)から取得した電子キーから送信される信号の受信電力に応じ、その受信電力がドアをアンロックさせるか否かの判定に用いられる第1の閾値(D1)よりも小さい第2の閾値(D2)以上になって車両と電子キーとの距離がドアをアンロックさせる距離よりも長い一定距離未満になったか否かを判定するものであることを特徴としている。
【0020】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1に本発明の第1実施形態に係る電動アクチュエータシステムを、車室内の空気調和を行う車両用空調装置に適用したものである。以下に、車両用空調装置の概略について図1を用いて説明する。
【0022】
車両用空調装置は、計器盤内に収納された空調ケース5を備えており、空調ケース5内において、内外気切換ドア1bが、ケース5に回転可能に支持されて、アクチュエータ100eによる駆動のもとに、第1切換位置(図に実線で示す位置)に切り替えられて、空調ケース5内にその外気導入口5aから外気を流入させ、一方第2切換位置(図に破線で示す位置)に切り替えられて、空調ケース5内にその内気導入口5bから車室内の空気(内気)を流入させる。
【0023】
ブロワ9は、ブロワモータ9aの回転速度に応じて、外気導入口5aからの外気または内気導入口5bからの内気を空気流としてエバポレータ4に送風し、エバポレータ4は、そのブロワ9から吹き出される空気流を、公知の冷凍サイクルの作動によって循環する冷媒により冷却する。
【0024】
エアミックスドア1aは、板状ドアであって、アクチュエータ100dにより駆動されて、エバポレータ4から吹き出される冷却空気流をヒータコア3に流入される気流とヒータコア3をバイパスする気流(以下、バイパス冷却気流という)とに分ける。
【0025】
ここで、ヒータコア3に流入される気流は、ヒータコア3内のエンジン冷却水(温水)により加熱されるので、ヒータコア3から温風が吹き出されることになる。これに伴い、ヒータコア3から吹き出される温風とバイパス冷却気流とは混合されて吹出口ドア1c、1d、1eに向けて流動されることになる。温風とバイパス冷却気流との混合比SW(%)は、エアミックスドア1aの開度により決められることになる。
【0026】
ここで、吹出口ドア1cは、板状ドアであって、アクチュエータ100cによる駆動のもとに、デフモード時にて開口部5cを開けて、開口部5cから主にフロントウインドシールドに向けて空気を吹き出さる。吹出口ドア1eは、板状ドアであって、アクチュエータ100bによる駆動のもとに、フェイスモード時にて開口部5dを開けて、開口部5dから車室の乗員上半身に向けて空気を吹き出させる。吹出口ドア1dは、板状ドアであって、アクチュエータ100aによる駆動のもとに、フットモード時にて開口部5eを開けて、開口部5eから車室の乗員下半身に向けて空気を吹き出させる。
【0027】
電子制御装置400は、図2に示すように、CPU401、記憶回路402、定電圧回路403、および内蔵カウンタ404a〜404eから構成されている。CPU401は、車室内温度と、車室内の日射強度と、車室外の温度と、乗員により設定される設定温度とに基づき、電気制御部200a〜200eとの通信を介してアクチュエータ100a〜100eのそれぞれを制御する。記憶回路402は、電力が供給されずにデータの記憶を保持する不揮発性メモリ等から構成されて、CPU401の処理に伴うデータを記憶するとともに、コンピュータプログラムを記憶する。
【0028】
定電圧回路403は、バッテリBから入力されるバッテリ電圧に基づき一定電圧をCPU401及び記憶回路402に出力する。また、内蔵カウンタ404a〜404eは、アクチュエータ毎に設けられたもので、バッテリBを車両に接続した後にて「初期位置設定」を行った回数(以下、初期化回数という)をカウントするためのものである。
【0029】
電気制御部200a〜200eは、電子制御装置400との間を電源ライン、通信ライン、GNDラインといった3つのラインにより、バス型に接続されており、電気制御部200a〜200eは、アクチュエータ100a〜100eのそれぞれを駆動する。
【0030】
また、電子制御装置400には、図1に示すように、キーレスECU500が接続されており、このキーレスECU500は、無線部510および制御部520から構成されている。また、無線部510は、アンテナ(図示せず)を介して電子キー600と無線通信するためのものである。
【0031】
また、制御部520は、マイクロコンピュータ、メモリなどから構成されて、電子キー600に向けて呼出信号を無線部510から一定期間毎に送信させるとともに、電子キー600から無線部510を介して受信される返信信号の受信電力を計測し、この計測される受信電力に応じて、ドアのロック装置700を制御する。また、電子キー600は、携帯無線機であって、電子制御装置400からの呼出信号を受信する毎に返信信号を返信する。
【0032】
例えば、ユーザが車両に近づいて、電子制御装置400で受信される返信信号の受信電力が閾値D1以上になると、ドアをアンロックさせるようにロック装置700を制御する。また、ユーザが車両から遠ざかり、電子制御装置400で受信される返信信号の受信電力が閾値D1未満になると、ドアをロックさせるようにロック装置700を制御する。
【0033】
以上により、電子キー600が車両(電子制御装置400)に近づいて、電子キー600と車両との間の距離が一定距離K1未満になると、ドアをアンロックさせる。また、電子キー600が車両から遠ざかり、電子キー600と車両との間の距離が一定距離K1以上になると、ドアをロックさせることになる。
【0034】
次に、アクチュエータ100a〜100eの一例として、アクチュエータ100eの構成について説明する。
【0035】
図3はアクチュエータ100eの外観図であり、図4はアクチュエータ100eの構成図である。そして、図4中、直流モータ110は車両に搭載されたバッテリから電力を得て回転するものであり、減速機構120はモータ110から入力された回転力を減速して内外気切換ドア1bに向けて出力する変速機構である。なお、以下、直流モータ110及び減速機構120等の回転駆動する機構部を駆動部130と呼ぶ。
【0036】
ここで、減速機構120は、モータ110の出力軸111に圧入されたウォーム121、このウォーム121と噛み合うウォームホィール122、及び複数枚の平歯車123、124、125からなる歯車列であり、出力側に位置する最終段歯車(出力側歯車)126には、出力軸127が設けられている。
【0037】
なお、ケーシング140は駆動部130を収納するととともに、後述するブラシ(電気接点)155〜157が固定されたケーシングである。
【0038】
また、減速機構120のうち、直流モータ110により直接駆動される入力歯車(ウォーム121)より出力側(出力軸127)には、図4〜7(特に、図7参照)に示すように、パルスパターンプレート(以下、パターンプレートと呼ぶ。)153が設けられており、このパターンプレート153は、円周方向に交互に並んだ導電部151a、152a及び非導電部151b、152bからなる第1、2パルスパターン151、152が設けられたもので、出力軸127と一体的に回転する。
【0039】
このとき、導電部151a、152aの円周角α1、α2及び非導電部151b、152bの円周角β1、β2を互いに等しくするとともに、第1パルスパターン151の位相を第2パルスパターン152の位相に対して円周角α1、α2(=円周角β1、β2)の略1/2ずらしている。
【0040】
なお、第1、2パルスパターン151、152は電気的に繋がっており、第1、2パルスパターン151、152は、両パルスパターン151、152より内周側に設けられたコモンパターン(共通導電部パターン)154と電気的に繋がって、後述するブラシ157を介してバッテリ(図示せず。)の負極側に電気的に繋がっている。
【0041】
一方、ケーシング140側には、バッテリの正極側に接続された銅系導電材料製の第1〜3ブラシ(電気接点)155〜157が樹脂一体成形により固定されており、第1ブラシ155は第1パルスパターン151に接触し、第2ブラシ156は第2パルスパターン152に接触し、第3ブラシ157はコモンパターン154に接触するように構成されている。
【0042】
なお、本実施形態では、第1〜3ブラシ155〜157とパターンプレート153との接点を2点以上(本実施形態では、4点)とすることにより、第1〜3ブラシ155〜157と導電部151a、152a(コモンパターン154を含む。)との電気接続を確実なものとしている。
【0043】
また、図3に示すように、出力軸127には、内外気切替ドア1bを揺動させるリンクレバー160が圧入固定されているとともに、空調ケーシング5には、リンクレバー160を衝突させるためのストッパ5aが設けられている。
【0044】
次に、アクチュエータ100eの概略作動について説明する。図8はアクチュエータ100eの電気制御部200eを示す模式図であり、この電気制御部200eは、直流モータ110を駆動するモータ駆動回路210、並びにパターンプレート153で発生するパルス信号に基づいて出力軸127の回転角及び回転の向きを検出する回転角度検出器(回転角度検出手段)220、各種制御情報を記憶するEEPROM等の入力された情報を電力の供給を受けることなく保持することができる記憶回路230、通信ラインを通して電子制御装置400と通信する通信回路250を有して構成されている。
【0045】
そして、直流モータ110が回転して出力軸127(パターンプレート153)が回転すると、第1、2ブラシ155、156と導電部151a、152aとが接触する通電(ON)状態、及び第1、2ブラシ155、156と非導電部151b、152bとが接触する非通電(OFF)状態が相互に周期的に発生する。
【0046】
したがって、第1、2ブラシ155、156には、図9に示すように、直流モータ110が所定角度回転する毎にパルス信号が発生するので、このパルス信号を回転角度検出器220にて数えることにより出力軸127の回転角度を検出することができる。
【0047】
なお、上述の説明から明らかなように、本実施形態では、第1、2ブラシ155、156とパターンプレート153とにより出力軸127が所定角度回転する毎にパルス信号を発するパルス発生器(パルス発生手段)158(図8参照)を構成している。
【0048】
また、第1パルスパターン151の位相と第2パルスパターン152の位相とがずれているため、パルス発生器158では、第1パルスパターン151と第1ブラシ155とにより発生するパルス信号(以下、このパルス信号をA相パルスと呼ぶ。)と、第2パルスパターン152と第2ブラシ156とにより発生するA相パルス対して位相のずれたパルス信号(以下、このパルス信号をB相パルスと呼ぶ。)とが発生する。
【0049】
このため、本実施形態では、A相パルス及びB相パルスのうちいずれの信号が先に回転角度検出器220に入力されるかによって、直流モータ110(出力軸127)の回転方向を検出している。そして、このように回転角度検出器220で検出される回転方向、回転角度およびA相パルス信号及びB相パルス信号は、通信回路250により電子制御装置400に送られる。
【0050】
また、直流モータ110の回転量、つまり出力軸127の回転量を制御するに当たっては、リンクレバー160をストッパ5aに衝突させて直流モータ110の回転を機械的に停止させた位置を原点位置として記憶し、その後は、バッテリが外れた場合及びパルス信号に異常が発生した場合を除き、原点位置から2パルスずれた初期位置を作動基準として直流モータ110を制御する。
【0051】
ここで、本実施形態では、リンクレバー160をストッパ5aに衝突させて直流モータ110の回転を機械的に停止させた位置を原点位置として記憶することを「初期設定」という。また、直流モータ110に対して「初期設定」を行った後に、直流モータ110を原点位置から2パルスずれた初期位置まで回転させて、その原点位置からずれた作動基準を設定する行為を「初期位置設定」と呼ぶ。なお、本実施形態では、パルス信号の変化が停止したときに、リンクレバー160がストッパ5aに衝突したものと判定する。
【0052】
次に、本実施形態の作動について図10、図11を用いて説明する。
【0053】
電子制御装置400のCPU401(コンピュータ)は、図10に示すフローチャートに従って、記憶回路402に記憶されるコンピュータプログラムを実行する。コンピュータプログラムは、電子制御装置400に初めてバッテリBに接続されてバッテリBから初めて給電されたときに開始されるものである。
【0054】
先ず、電気制御部200a〜200eに対して個々のアクチュエータ100a〜100eのイニシャライズ処理を施すように指令して(S200)、その後、イグニッションスイッチIGがオンされると、イグニッションスイッチIGがオフされるまで、電気制御部200a〜200eのそれぞれに対して通常空調制御を行う(S300、S400、S500)。
【0055】
すなわち、電気制御部200a〜200eのそれぞれの通信回路250から送られてくる直流モータ110の回転方向、および回転角度に基づき、アクチュエータ100a〜100eの直流モータ110を目的位置まで回転させるための制御信号を送信する。ここで、アクチュエータ100a〜100eの目的位置は、車室内温度、車室内の日射強度、車室外の温度、乗員により設定される設定温度等に基づき計算される。
【0056】
以下、CPU401によるイニシャライズ処理(S200)の詳細について図11を用いて説明する。
【0057】
先ず、アクチュエータ100a〜100eの各直流モータ110について、「初期位置設定」(イニシャライズ)を行うことが必要か否かを判定する(S210)。
【0058】
例えば、CPU401は、アクチュエータ100a〜100eの全てについて、初期化回数が「零回」である場合には、アクチュエータ100a〜100eの全てにおいて「初期位置設定」を行うことが必要であるとしてYESと判定する(S210)。
【0059】
ここで、初期化回数は、後述するように、内蔵カウンタ404a〜404eによりアクチュエータ毎にカウントされたデータである。そして、このように「初期位置設定」を行うことが必要であると判定したときには、当該車両ドアのロック状態が解除されたか否かを判定する。
【0060】
具体的には、キーレスECU500に対してドアがアンロック状態であるか否かを問い合わせる。このとき、キーレスECU500は、電子キー600からの返信信号の受信電力に応じて、ロック装置700によりドアのロック状態を解除している場合には、「ドアがアンロック状態である旨」を示す応答信号を電子制御装置400のCPU401に返信する。
【0061】
ここで、CPU401は、応答信号に基づき、ドアのロック状態が解除されたとしてS220aでYESと判定し、さらに、電気制御部200a〜200eに対して、アクチュエータ毎に「初期位置設定」を行うように指令する(S230)。
【0062】
このため、電気制御部200a〜200eが、アクチュエータ100a〜100eの個々に「初期位置設定」を行う。また、CPU401は、内蔵カウンタ404a〜404eのそれぞれをインクリメントする。
【0063】
以下、本実施形態の作用効果について説明する。すなわち 出力軸127を回転させる直流モータ110と、この出力軸127の回転角度を検出する回転角度検出器220と、この検出される回転角度に基づき、出力軸127を目標位置まで回転させるように直流モータ110を制御する電子制御装置400と、を有し、電子制御装置400は、キーレスECU500からの応答信号に応じて、ドアのロック状態が解除されたことを判定したとき、電気制御部200a〜200eに対して、「初期位置設定」を行うように指令する。このため、電気制御部200a〜200eは、アクチュエータ100a〜100eのそれぞれに対して「初期位置設定」を施す。
【0064】
ここで、「初期位置設定」は、上述のように、「初期設定」を行った後に、直流モータ110を原点位置から2パルスずれた初期位置まで回転させて、作動基準を設定する行為のことである。
【0065】
以上により、「初期設定」を、イグニッションスイッチIGがオンされたときではなく、ドアのロック状態が解除されたときその直後に、行うことになる。したがって、ユーザが車両に乗車して、「初期設定」の処理が終えるのを待つ時間を短くすることができる。換言すれば、イグニッションスイッチIGをオンしてから空調装置の動作が開始されるまでの待ち時間を短く(或いは無く)することができる。そのため、乗員の快適性を損なうことなく、アクチュエータ100a〜100eについて「初期設定」(イニシャライズ)を行うことができる。
【0066】
なお、上述の実施形態では、電子制御装置400が、キーレスECU500からの応答信号に基づき、ドアのロック状態が解除されたか否かを判定する例について説明したが、これに代えて、機械的な操作キーを用いて、次のように判定してもよい。
【0067】
すなわち、操作キーをドアに設けられたキーシリンダ内に挿入してその操作キーを回転操作してドアをアンロックさせる。ここで、アンロックさせるための操作キーの回転操作を検出する検出センサ(例えば、常開型スイッチ)を採用しておき、検出センサにより操作キーの回転操作が検出されたとき、ドアのロック状態が解除されたと判定する。
【0068】
(第2実施形態)
上述の実施形態では、アクチュエータ100a〜100eについて、「初期位置設定」を行うことが必要であると判定されて、かつ、ドアのロック状態が解除されたとき、「初期位置設定」を行うようにした例について説明したが、これに代えて、本実施形態では、車両にユーザが近づいて来たら「初期位置設定」を行うようにする。
【0069】
本実施形態では、電子制御装置400のCPU401は、図11のフローチャートに代えて、図12のフローチャートに従って、イニシャライズ処理を実行する。
【0070】
例えば、CPU401が、アクチュエータ100a〜100eの全てについて「初期位置設定」を行うことが必要であるとしてYESと判定したとき(S210)、ユーザ及び車両の間の距離が設定距離K1より短くなったか否かを判定する(S220b)。
【0071】
具体的には、電子キー600からの返信信号の受信電力をキーレスECU500から取得するとともに、この返信信号の受信電力が、閾値D2以上であると判定したとき、さらに、電気制御部200a〜200eに対して、アクチュエータ毎に「初期位置設定」を行うように指令する(S230)。
【0072】
ここで、「初期位置設定」を行うべきか否かの判定に用いる閾値D2は、ドアをアンロックさせるか否かの判定に用いる閾値D1りも、小さい値が用いられている。このため、ドアをアンロックさせる前に、「初期位置設定」を行うことになる。したがって、ユーザが車両に乗車して、「初期設定」の処理が終えるのを待つ時間を上述の第1実施形態よりも短くすることができる。
【0073】
(第3の実施形態)
上述の各実施形態では、アクチュエータにおいて初期化回数が「零回」である場合には、そのアクチュエータの直流モータ110について、「初期位置設定」(イニシャライズ処理)を行うことが必要であると判定した例について説明したが、これに代えて、前回に「初期位置設定」を行ってから、アンロックの変更回数が一定回数P1以上になったときに、「初期位置設定」を行うことが必要であえると判定するようにしてもよい。
【0074】
アンロックの変更回数とは、ドアがロック状態からアンロック状態に変更した回数を示すものである。このため、ドアのロック状態が解除される毎に「初期位置設定」を行うのではなく、ドアのロック状態の解除が一定回数P1以上、行われると「初期位置設定」を実施することになる。すなわち、「初期位置設定」の実施回数を減らすことになる。
【0075】
ここで、「初期位置設定」では、上述のように、リンクレバー160をストッパ5aに衝突させて直流モータ110の回転を停止させている。したがって、樹脂製のストッパ5aを用いて「初期位置設定」を数多く行うと、ストッパ5aがストレスを与えてクリープ現象等が生じ脆くなる場合がある。そこで、「初期位置設定」の実施回数を減らすことにより、ストッパ5aに与えるストレスを減らすことができる。
【0076】
(第4の実施形態)
上述の第3の実施形態では、アンロックの変更回数が一定回数P1以上になったときに、「初期位置設定」(イニシャライズ処理)を行うことが必要であると判定した例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。すなわち、ユーザ及び車両の間の距離が設定距離K1より短くなったと判定した回数(以下、距離判定回数という)を数えて、さらに、前回に「初期位置設定」を行ってから距離判定回数が一定回数P2以上になったときに、「初期位置設定」を行うようにしてもよい。この場合も、上述の第3の実施形態と同様に、「初期位置設定」の実施回数を減らすことができる。
【0077】
(第5の実施形態)
上述の第1、第2実施形態において、アクチュエータにおいて初期化回数が「零回」である場合、アクチュエータにおいて「初期位置設定」を行うことが必要であると判定した例について説明したが、これに代えて、直流モータ110に異常が生じたことを検出後、初期化回数が「零回」の場合、「初期位置設定」を行うことが必要であると判定してもよい。
【0078】
ここで、初期化回数は次のようにCPU401によりカウントされるものである。すなわち、CPU401は、電気制御部200a〜200eのそれぞれの通信回路250から送られてくるA相パルス信号及びB相パルス信号に基づき、A相パルス信号及びB相パルス信号のパルス波形(図8参照)に乱れが発生せずにパルス信号が規則正しく発生しているか否か、つまりパルス飛び等が発生していないかについてアクチュエータ毎に判定する。
【0079】
そして、CPU401は、あるアクチュエータの直流モータ110にパルス飛び等が発生したとき、該当するアクチュエータに異常が生じたと判定して、該当する電気制御部に「初期位置設定」を行うように指令するとともに、該当する内蔵カウンタ(404a〜404e)をインクリメントする。このことにより、直流モータ110に異常が生じたことを検出後、初期化回数を数えることになる。
【0080】
(その他の実施形態)
上述の各実施形態においては、リンクレバー160をストッパ5aに衝突させて直流モータ110の回転を機械的に停止させた位置を原点位置として記憶し、その後は、原点位置からずれた位置を作動基準として直流モータ110を制御したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば原点位置を作動基準としてもよい。
【0081】
また、上述の各実施形態では、摺動接点方式の位置検出装置を例に本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、光学式のエンコーダ等のその他の位置検出装置にも適用することができる。
【0082】
上述の各実施形態では、出力軸127にパルス発生器158を設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばパルス発生器158(パルスプレート153)用にさらに減速した回転部を設けパルス信号を発生させてもよい。
【0083】
上述の各実施形態では、両パルスパターン151、152より内周側に設けられたコモンパターン(共通導電部パターン)154を設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、両パルスパターン151、152より外周側にコモンパターン154を設ける、又は両パルスパターン151、152間にコモンパターン154を設ける等してもよい。
【0084】
上述の実施形態では、車両用空調装置に本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されるものではない。
【0085】
上述の実施形態においては、直流モータ110の回転を機械的に原点位置にて停止させたものを示したが、本発明はこれに限らず、直流モータ110への給電を停止させて直流モータ110の回転を原点位置にて停止させるようにしてもよい。
【0086】
上述の各実施形態では、電動モータとして直流モータ110を用いた例を示したが、これに代えて、複数のパルス信号が並列的に入力されて、並列的なパルス信号に基づき所定角度毎に回転するステップモータを用いてもよい。この場合、出力軸の回転角度(位置)を検出する機能を有していなくても、出力軸を目標位置まで回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両用空調装置の模式図である。
【図2】上記第1実施形態電子制御装置の概略構成を示す模式図である。
【図3】上記第1実施形態の電動アクチュエータの外観図である。
【図4】上記第1実施形態に係る電動アクチュエータの模式図である。
【図5】(a)は上記第1実施形態に係るパルスプレートの正面図であり、(b)は(a)の側面図である。
【図6】図4のA−A断面図である。
【図7】上記第1実施形態に係るパルスプレートの拡大図である。
【図8】上記第1実施形態に係る電動アクチュエータの制御回路を示す模式図である。
【図9】上記第1実施形態に係る電動アクチュエータのパルス信号チャートである。
【図10】上記第1実施形態の作動の一部を示すフローチャートである。
【図11】上記第1実施形態の作動の残りを示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態の作動の一部を示すフローチャートである。
【符号の説明】
100a〜100e…電動アクチュエータ、
110…直流モータ(電動モータ)、
220…回転角度検出器(検出手段)、
200a〜200e…電気制御部、
400…電子制御装置、
500…キーレスECU
600…電子キー(携帯端末)。

Claims (2)

  1. 出力軸(127)を回転させる電動モータ(110)と、
    前記出力軸(127)を目標位置まで回転させるように前記電動モータを制御する制御手段(S400)と、を有する車両用電動アクチュエータシステムであって、
    車両とユーザとの距離が一定距離未満になったか否かを判定する距離判定手段(S220b)と、
    前記車両とユーザとの距離が一定距離未満になったことを前記距離判定手段が判定したとき、前記電動モータを原点位置まで回転させるとともに、前記電動モータを原点位置まで回転させたことを記憶する初期設定手段(S230)と、を有し、
    前記距離判定手段は、電子キー(600)から送信される信号の受信電力に応じて車両のドアをロック、アンロックさせる電子制御装置(500)から取得した前記電子キーから送信される信号の受信電力に応じ、その受信電力が前記ドアをアンロックさせるか否かの判定に用いられる第1の閾値(D1)よりも小さい第2の閾値(D2)以上になって前記車両と前記電子キーとの距離が前記ドアをアンロックさせる距離よりも長い一定距離未満になったか否かを判定することを特徴とする車両用電動アクチュエータシステム。
  2. 出力軸(127)を回転させる電動モータ(110)と、
    前記出力軸(127)を目標位置まで回転させるように前記電動モータを制御する制御手段(S400)と、を有する車両用電動アクチュエータシステムのコンピュータ
    車両とユーザとの距離が一定距離未満になったか否かを判定する距離判定手段(S220b)と、
    前記車両とユーザとの距離が一定距離未満になったことを前記距離判定手段が判定したとき、前記電動モータを原点位置まで回転させるとともに、前記電動モータを原点位置まで回転させたことを記憶する初期設定手段(S230)として機能させるためのプログラムであって、
    前記距離判定手段は、電子キー(600)から送信される信号の受信電力に応じて車両のドアをロック、アンロックさせる電子制御装置(500)から取得した前記電子キーから送信される信号の受信電力に応じ、その受信電力が前記ドアをアンロックさせるか否かの判定に用いられる第1の閾値(D1)よりも小さい第2の閾値(D2)以上になって前記車両と前記電子キーとの距離が前記ドアをアンロックさせる距離よりも長い一定距離未満になったか否かを判定するものであることを特徴とするプログラム。
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