JP4042044B2 - 歩道橋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、観光地や公園の遊歩道等に設置する歩道橋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
橋は人や車が谷や河川等を横断するために設けられるものであるから、その路面は通行が容易であるように平坦なものとするのが一般的であり、桁橋、床版橋、トラス橋、アーチ橋、吊橋など、多種多様なものが考案され、実用化されてきている。
【0003】
しかし歩道橋では、人の歩行が可能であればよいとの判断から太鼓橋や坂道状、階段状等平坦でない橋も多数存在する。
また歩道橋は人があまり重くないこと、少しは揺れても通行可能なこと、長い橋を比較的安価に建設できること等の理由からワイヤロープを使用した吊橋の使用例が多い。
【0004】
さらに最近では両岸に設けたアンカー金物に張り渡したワイヤロープに直接歩行床板を結び付けて、ワイヤロープの懸垂曲線そのままの路面形状を有するものも実用化されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ワイヤロープを使用して軽便に建設した吊橋や懸垂歩道橋では、歩行による揺れが大きくて歩行の安全に不安があり、また強い横風が吹くと揺れが大きくて通行不可能となる等の問題があって、このような問題点を改善した橋を安価に建設する技術が求められていた。
【0006】
加えて谷を張り渡すワイヤロープは原則として継手のない長さの大きいものを工場から現場に搬入する必要があり、人力によって建設しなければならない山間地の橋にあっては、その長さと重さが原因で、運搬と取扱いに多額の費用が必要となり解決を求められていた。さらに細い針金で構成されるワイヤロープは錆の発生により劣化の影響を強く受けるので耐久性に不安がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこでこの発明の歩道橋では、ワイヤロープの代わりにリンクチェーンを使用することにした。
そして、両岸に充分な強度を有して設置したアンカー金物にリンクチェーンを懸垂自在にピンによって取付け、リンクチェーンの1対のリンクプレートの間隔を歩道の幅に適合したものとすると同時に、リンクプレートがその傾斜に応じて平板状または階段状の歩行床板を支持する梁として機能するものとした。
【0008】
一方、リンクチェーンのピンは1本のピンが左右1対のリンクプレートのピン孔を貫通してリンクプレートの間隔を確定しつつ隣接するリンクのリンクプレートのピン孔とも結合して、リンクプレートの軸方向力を隣接するリンクプレートに伝達する機能を有するのであるが、さらにリンクプレートの外側に突出した部分においてピンが高欄の柱の根元の円筒状のピン孔と結合することにより、高欄に作用する横方向荷重によって高欄の柱に生ずるモーメントを支持する機能も有するようにする。
【0009】
加えて、リンクプレートのピン孔のピッチを高欄の柱のピッチとして適当な長さ(一般に2m程度)とした上で、高欄の長手材と柱を組立するボルトの長手材の孔のピッチをこのリンクプレートのピン孔のピッチと同一長とすることにより、リンクチェーンの懸垂曲線に順応した高欄を組立てることが可能であるようにした。
【0010】
このように構成したリンクチェーンによる歩道橋は、全体が下方に懸垂しており、外観はワイヤロープを使用した懸垂歩道橋に近いのであるが、全体として重量を大きく建設することになり、また折曲点がピンの位置に限定されかつ横方向の変形には抵抗力が大きくなるので、揺れの少ない歩道橋となる。
加えて、リンクチェーンの各リンクのリンクプレートは曲げ剛性の大きい棒状の部材であるため歩行床板はそのリンクプレートの傾斜に順応して平板状または階段状とすることができるから歩行が容易でかつ安全なものとなった。
【0011】
またこのリンクチェーンによる歩道橋では、同一規模の歩道橋としてワイヤロープを使用した吊橋と比較して必要な鋼材重量は大きくなるが、構成する部材の長さを2m程度以下に押え、かつ部材の重量も最大20kg程度以下に押えることが可能となるから、山間地などですべて人力により運搬し建設する場合においてはかえって安価に建設することが可能となるのである。
【0012】
さらに、各部材は充分な厚さを有する棒鋼材であり、塗装やメッキにより錆の発生を防止することが可能となり、耐久性を格段に向上させることができた。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の歩道橋の実施の形態を、図面に基き詳述する。
【0014】
図1、図2、図3、図4ならびに図5はこの発明の歩道橋の1実施例を示すものであり、図1は歩道橋の平面図、図2は歩道橋の歩行床板とリンクプレートとピンの関係を示す縦断面図、図3は高欄の構成を示す縦断説明図、図4はピンの位置での歩道橋の横断面図、図5は歩行床板の中間位置での歩道橋の横断面図である。
【0015】
図1ならびに図2において、谷の両岸の歩道に接して設置した充分な強度を有する基礎コンクリート1−1,1−2に据え付けたアンカー金物2−1,2−2に歩道橋の幅に適合した間隔の1対のリンクプレート3−1,3−4をピン4−1,4−5によって結合する。
このとき、アンカー金物2−1とアンカー金物2−2はたまたま高さが異なっているが、両者の間を4対のリンクプレート3−1,3−2,3−3,3−4と5本のピン4−1,4−2,4−3,4−4,4−5によってリンクチェーンを構成して適度な懸垂状態にて繋いでいる。
【0016】
このリンクチェーンは自重によって懸垂するのであり、図2に示すように各リンクプレート3−1,3−2,3−3,3−4は傾斜が異なっているから、各々に取付けられる歩行床板はその傾斜に適合したものとする。
【0017】
すなわち、リンクプレート3−1に対しては急な階段部の踏板5−1が4枚、リンクプレート3−1から突出した取付板6−1にボルト7−1で取付けられ、リンクプレート3−2に対しては緩やかな階段部の踏板5−2が2枚、リンクプレート3−2から突出した取付板6−2にボルト7−2で取付けられ、リンクプレート3−3に対しては平らな歩行床板5−3が1枚、リンクプレート3−3から突出した取付板6−3にボルト7−3で取付けられ、リンクプレート3−4に対しては緩やかな階段部の踏板5−4が2枚、リンクプレート3−4から突出した取付板6−4にボルト7−4で取付けられる。
【0018】
さらに、アンカー金物2−1の上部には平らな歩行床板5−0が取付板6−0にボルト7−0によって取付けられ、アンカー金物2−2の上部にも平らな歩行床板5−5が、取付板6−5にボルト7−5によって取付けられる。加えて、これら歩行床板または踏板の側端にはすべり止め板が取付けられている。すなわち、歩行床板5−0,5−3,5−5ならびに踏板5−1,5−2,5−4,には各々すべり止め板8−0,8−3,8−5ならびに8−1、8−2、8−4が取付けられて、歩行者が歩行床板や踏板を踏み外すことのないよう保護している。
【0019】
このようにして谷の両岸を適度な懸垂状態にして繋いだリンクチェーンの各リンクプレート3−1,3−2,3−3,3−4とアンカー金物2−1,2−2には安全な歩行を可能にする歩行床板とすべり止め板が設置されて歩道橋を構成する。
【0020】
図4はピン4−3の位置における歩道橋の横断面を示す。この図4において1対のリンクプレート3−2ならびにこれに隣接するリンクプレート3−3はピン孔に1本のピン4−3が貫通して結合される。
【0021】
このとき、ピン4−3のリンクプレート3−2の内側にはストッパ9が取付けられてリンクプレート3−2ならびに3−3が内側に移動しないよう制限している。
【0022】
同時にピン4−3のリンクプレート3−3の外側には高欄の柱10−3の根元の円筒状のピン孔11が結合され、さらにその外側ではリング12を割ピン13で固定してあるから、リンクプレート3−2ならびに3−3が外側方向に移動することもない。
このようにして、ピン4−3は1対のリンクプレート3−2ならびに1対のリンクプレート3−3の間隔を歩道橋の幅に適合したものに確定する。
【0023】
そして、リンクプレート3−3から突出した取付板6−3には平らな歩行床板5−3がボルト7−3によって取付けられる。
さらに根元の円筒状のピン孔11をピン4−3と結合された高欄の柱10−3には高欄の長手材14−2と14−3がボルト15によって取付けられている。
このように構成すれば、高欄の柱10−3は上方において歩行者から横方向の力を受けても、ピン4−3の曲げ剛性に支持されるから倒れることはなく安全である。すなわち歩行者は橋の外に落ちないよう高欄によって保護される。
【0024】
図3は高欄の構成を示す縦断説明図である。
図3において、ピン4−0,4−1,4−2,4−3,4−4,4−5,4−6と根元の円筒状のピン孔11を結合された高欄の柱10−0,10−1,10−2,10−3,10−4,10−5,10−6は各々鉛直に近い姿勢で立ち、上方において各柱のボルト孔においてボルト15によって長手材14−0,14−1,14−2,14−3,14−4,14−5を取付けているから高欄として機能することができる。
【0025】
しかしこのままでは高欄は橋軸方向に不安定となるので、鋼材16−0,16−5を取付けて柱10−0,10−1,10−2,10−3,10−4,10−5,10−6がピン4−0,4−1,4−2,4−3,4−4,4−5,4−6の周りに回転して倒伏することがないようにする。
【0026】
【発明の効果】
この発明の歩道橋によれば、構成する部材の長さが2m程度以下で重量も1部材20kg程度以下となるから山間地に建設する場合で、運搬用トラックやクレーンの使用が不可能な場合においても、人力による運搬と組立てが可能となるので、安全性の高い、経済性に優れた歩道橋を提供することができる。
【0027】
さらに組立作業においては、片側の岸に設けたアンカー金物に吊り下げながらリンクプレートとピンを順序良く組み付けてリンクチェーンを1ピッチずつ組み上げて必要長さとし、最後にリンクチェーンの端部を対岸のアンカー金物からワイヤロープウインチで引き上げてピンを接合する工法を採用することにより、作業足場を大幅に省略することが可能となり、非常に経済性に優れ、建設に必要な日数も短縮が可能となる。
【0028】
またこの発明の歩道橋は、ワイヤロープを主構造としたものと比較して自重が若干重くなることに加えて、リンクプレートと歩行床板が強固にボルト接合されるため揺れの少ない特性があり、歩行が容易である。
加えて渓谷などに建設される歩道橋として種々の形式のものを採用することも、山歩きの行程内容に変化を与える意味があり、そのため懸垂形歩道橋も重要視されるのである。
【0029】
さらに、この発明の歩道橋によれば、各部材は充分な厚さを有する棒鋼材であり、塗装やメッキにより錆の発生を防止することが容易であるから、ワイヤロープを主要部材とする吊橋と比較して耐久性が格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の歩道橋の1実施例を示す平面図である。
【図2】歩道橋の歩行床板とリンクプレートとピンの関係を示す縦断面図である。
【図3】高欄の構成を示す縦断説明図である。
【図4】ピンの位置での歩道橋の横断面図である。
【図5】歩行床板の中間位置での歩道橋の横断説明図である。
【符号の説明】
1−1,1−2 基礎コンクリート
2−1,2−2 アンカー金物
3−1,3−2,3−3,3−4 リンクプレート
4−0,4−1,4−2,4−3,4−4,4−5,4−6 ピン
5−1,5−2,5−4 踏板
5−0,5−3,5−5 歩行床板
6−0,6−1,6−2,6−3,6−4 取付板
7−0,7−1,7−2,7−3,7−4 ボルト
8−0,8−1,8−2,8−3、8−4、8−5すべり止め板
9 ストッパ
10−0,10−1,10−2,10−3,10−4,10−5,10−6 高欄の柱
11 円筒状のピン孔
12 リング
13 割ピン
14−0,14−1,14−2,14−3,14−4,14−5 高欄の長手材
15 ボルト
16−0,16−5 鋼材
Claims (1)
- 両岸において充分な強度を有し歩道の幅に適合した間隔で設置したアンカー金物に端末のリンクプレートを中心線が水平なピンによって取付して谷に懸垂自在に張り渡したリンクチェーンを歩道橋の自重と活荷重等に対して充分な強度を有するものとし、
このとき、リンクプレートはリンクチェーンのリンクプレートとして鉛直方向の荷重によって生ずる軸方向応力に耐え、かつ伝達する機能とリンクチェーンの1ピッチを構成する1対のリンクプレートの間隔が歩道橋の幅を確定する機能と風荷重等横方向の荷重によって生ずる軸方向応力に耐えかつ伝達する機能、さらにリンクプレートの橋軸方向の傾斜に応じて平板状または階段状となる歩行床板を支持する梁としての機能も有するものとし、
一方ピンは1本のピンが隣接する2対のリンクプレートのピン孔を貫通して各対のリンクプレートの間隔を確定しつつ剪断応力によってリンクプレートの軸方向応力を順次隣接するリンクプレートに伝達する機能と、リンクプレートの外側において高欄の柱の根元の円筒状のピン孔と結合することにより、高欄に作用する横方向荷重によって高欄の柱に生ずるモーメントを支持する機能を有するようになり、
加えて、リンクプレートのピン孔のピッチを高欄の柱のピッチとして適当な長さ(2m程度)とすると同時に高欄の柱を連結して歩行者を安全に導く長手材と柱を組立するボルトの長手材の孔のピッチもリンクプレートのピン孔のピッチと同一長とすることによって、リンクチェーンの懸垂曲線に順応した高欄を構成したことを特徴とする歩道橋。
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