JP4284518B2 - 既設橋梁の拡幅歩道構造及び拡幅歩道構造の施工方法 - Google Patents

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本願発明は橋梁の拡幅歩道構造に係るものであり、既設橋梁に簡易に付設される拡幅歩道構造を提供するものである。
我が国の道路が車両を対象に設計されてから約70年を経過した。その間、高度経済成長以降、急激なモータリゼーションの発展があり、それと並行して道路整備が行われてきたが、現在ではそれらが快適に利用可能な道路ばかりではなくなっている。
実用新案出願公開 実開平6−14201号公報
今後の道路への要求は全ての人が快適に利用できることであり、現在高速道路から歩行者専用道路まで様々なすみ分けが行われている。
こうした時代の流れの中、自転車歩行者道及び歩道においては道路構造令の一部改正(平成5年11月25日公布)にともない、車椅子利用者が安全かつ円滑にすれ違えることを主な目的として、最小幅員を拡幅する変更が行われた。
このように既設道路拡幅が必要とされているが、橋梁においては構造上、様々な制約が存在する。その一つとして既設道路構造、特に下部工への重量負担は顕著な課題である。
そこで、本願発明者らは鋭意研究の結果、構造材料として、従来材料である鋼・コンクリートと比較して軽量で耐食性に優れたアルミニウム合金材料を拡幅歩道用床版に適用することで上記従来技術の課題を解決する本発明をなすに至った。
したがって、本願発明は、社会基盤整備の重要課題となっている歩行者の安全と車両走行の快適性を図るための道路(橋梁)拡幅を対象にして、軽量で高比強度、高疲労耐性等を備えたアルミニウム合金製床版を用い、施工性及び経済性に優れる歩道拡幅構造及び同拡幅工法を提供するものである。
すなわち本発明は下記構成の既設橋梁の拡幅歩道構造及び歩道拡幅工法である。
(1)既設橋梁の上面側部に橋梁の橋軸方向へ平行に拡幅歩道用アルミニウム合金製床版を張出すように突設してなる既設橋梁の拡幅歩道構造において、
拡幅歩道用アルミニウム合金製床版が上載される主桁の上フランジ下面に補強部材を取着し、アルミニウム合金製床版と前記補強部材とをアンカーを介して連結してなることを特徴とする既設橋梁の拡幅歩道構造。
(2)既設橋梁の主桁上に、拡幅歩道用アルミニウム合金製床版をその一側が既設橋梁側部へ張出すようにして上載し、定着してなる既設橋梁の拡幅歩道構造において、
拡幅歩道用アルミニウム合金製床版が上載される主桁の上フランジ下面に補強部材を取着し、アルミニウム合金製床版と前記補強部材とをアンカーを介して連結してなることを特徴とする既設橋梁の拡幅歩道構造。
(3)既設橋梁の主桁上に、拡幅歩道用アルミニウム合金製床版をその一側が既設橋梁側部へ張出すようにして上載して定着し、かつ、拡幅歩道用アルミニウム合金製床版の一側の張出部の下面に定置された縦桁と既設橋梁の主桁下部との間にストラットが斜設され、さらに複数の主桁下部間にストラットが横架されてなる既設橋梁の拡幅歩道構造において、
拡幅歩道用アルミニウム合金製床版が上載される主桁の上フランジ下面に補強部材を取着し、アルミニウム合金製床版と前記補強部材とをアンカーを介して連結してなることを特徴とする既設橋梁の拡幅歩道構造。
)主桁がコンクリート桁であることを特徴とする前項(1)〜()のいずれか1項に記載の既設橋梁の拡幅歩道構造。
)アルミニウム合金製床版のアルミニウム合金材料が、アルミニウム製品の使用済み廃材から再生されたものであることを特徴とする前項(1)〜()のいずれか1項に記載の既設橋梁の拡幅歩道構造。
)アルミニウム合金製床版のアルミニウム合金材料が、使用済のアルミニウム合金製防護柵から再生されたものであることを特徴とする前項(1)〜()のいずれか1項に記載の既設橋梁の拡幅歩道構造。
)下記(a)〜(h)工程からなることを特徴とする既設橋梁の拡幅歩道構造の施工方法。
(a)橋梁の主桁下から橋梁外側部にかけて吊り足場及び防護工を施工する工程。
(b)既設歩道部を撤去した後、設計にて決定されたアンカー設置位置周辺の横締めPC鋼材を探査し、確認し、その結果を基にして実削孔位置を決定する工程。
(c)既設歩道床版のアンカー設置位置にコアボーリングマシンにより削孔を行う工程。
(d)床版下面部に、補強部材としてのブラケットを設置する工程。
(e)既設歩道床版上に高さ調整板を載置する工程。
(f)高さ調整板の上アルミニウム合金製床版を既設橋梁の上面側部に橋梁の橋軸方向へ平行に張り出すように延出部1aを延出して載設する工程。
(g)アルミニウム合金製床版とブラケットとをアンカーを介して強固に連結する工程。
(h)橋面工としての地覆、高欄、舗装等を施工する工程。
)下記(a)〜(i)工程からなることを特徴とする既設橋梁の拡幅歩道構造の施工方法。
(a)橋梁の主桁下から橋梁外側部にかけて吊り足場及び防護工を施工する工程。
(b)主桁の下フランジ間に横設ストラットを挟設する工程。
(c)既設歩道部を撤去した後、設計にて決定されたアンカー設置位置周辺の横締めPC鋼材を探査し、確認し、その結果を基にして実削孔位置を決定する工程。
(d)既設歩道床版のアンカー設置位置にコアボーリングマシンにより削孔を行う工程。
(e)床版下面部に、補強部材としてのブラケットを設置する工程。
(f)階段状足場を足場上に組立て、下フランジから斜め上方へ傾斜ストラットを斜設し、その上端に縦桁を取り付ける工程。
(g)既設歩道床版上に高さ調整板を載置し、その上にアルミニウム合金製床版を既設橋梁の上面側部に橋梁の橋軸方向へ平行に張り出すように延出部を延出して載設する工程。
(h)アルミニウム合金製床版とブラケットとをアンカーを介して強固に連結する工程。
(i)橋面工としての地覆、高欄、舗装等を施工する工程。
本願発明によれば、既設橋梁に大きな負荷を掛けることなしに幅広な拡幅歩道を容易に付設することができる。※本願発明において、特にアルミニウム合金防護柵等のアルミニウム合金製既設構造物の取替等による使用済み廃材から再生された再生アルミニウム合金を床版として使用することは、強度や耐食性に優れたものであるため、拡幅された歩道の軽量化を実現でき、耐久性を高めることができる。
本発明の実施の形態を説明する。
まず、本願発明で用いる主要部材である床版の材料であるアルミニウム合金の物理的性質は下記表1に示すごときものである。また、比較としてステンレス鋼及び鋼の物理的性質も記載した。
表1から見られるごとく、アルミニウム合金はステンレス鋼及び鋼と比較して軽量であり、かつ高比強度(ステンレス又は鋼の1.5〜1.9倍)を有するため添加部材として優位性があることが解る。
さらにアルミニウム合金製床版の好ましい特性として以下の点が挙げられる。
(1)押出形材の接合(例えば摩擦撹拌溶接法による接合)、工場組立、小規模重機搬入、ボルト取付等の施工性に優れ安定した製品であること。
(2)アルミニウム合金は軽量であるため、既設構造へ大きな影響を与えない(重量はRC床版の1/5以下である)こと。
(3)資源循環型社会の形成に役立つ高リサイクル製品であること。
特に、アルミニウム合金製床版のアルミニウム合金が、アルミニウム製品、例えば道路側部に設置されたアルミニウム合金製防護棚等の既設アルミニウム合金製構造物の取替による使用済み廃材から再生されたもの(リサイクルアルミニウム合金)の場合、そもそもその使用済みアルミニウム合金が強度や耐食性等の改善された優れた特性を備えているため、再生されたリサイクルアルミニウム合金も自ずと原製品材料の特性を具備したものとなり、いわば一石二鳥の有利性を発揮することとなる。
それらの合金組成及び物理特性は下記表2に示すごときものであり、単なるアルミニウム金属素材の物理特性よりかなり優れたものである。すなわち、引張強度、圧縮強度及び耐力が3.5〜12倍、硬度が約4倍であって、リサイクルアルミニウム合金を使用することの有利性が非常に高いことが解る。
そして、アルミニウム合金製床版1の形状としては、例えば図5に示す波形のデッキプレート100にパネル101を積層接合した閉断面型のものが強度等の観点から好ましいものとして挙げられる。
本発明は、歩道拡幅工法としてのいわば「床版上載工法」であり、図1に示すごとく、橋梁の上部構造の既設歩道部又は既設道路部に高さ調整板2を載置しその上にアルミニウム合金製床版1を既設橋梁の上面側部に橋梁の橋軸方向へ平行に張出すように延出部1aを延出して載設し、既設道路床版3又は既設歩道床版3’上のアルミニウム合金製床版部1bをアンカー4を介して既設道路床版3、既設歩道床版3’直下の主桁5、5間に挟設されたブラケット6に連結される。
図2に示すものは、アルミニウム合金製床版1の延出部1aがより大きなものである場合を示し、この場合の特徴は図1の場合に付加して、拡幅歩道用アルミニウム合金製床版1の一側の延出部1aの下面に取付られた縦桁7と主桁5基部との間に傾斜ストラット(鋼製)8が斜設され、さらに複数の主桁5、5下部間に横設ストラット(鋼製又はアルミニウム合金製)9が固着されている。こうした補強手段の傾斜ストラット8、横設ストラット9により、幅広の延出部を有する拡幅歩道構造が形成される。
本発明の既設橋梁の拡幅歩道構造の施工工程の具体例(1)を図3(a)〜(h)によって説明する。
まず、(a)図において橋梁の主桁5下から吊り材10により橋梁外側部にかけて吊り足場11及び防護工12を施工する。
次いで、(b)図において既設歩道部(30)を撤去した後、設計にて決定されたアンカー設置位置周辺の既設歩道床版3’中の横締めPC鋼材を探査機14により、探査し、確認する。
その結果を基にして実削孔位置を決定する。
(c)図において、既設歩道床版3’のアンカー設置位置にコアボーリングマシンBにより削孔を行う。
(d)図において、既設歩道床版3’下面部に、補強部材としての鋼製のブラケット6を設置する。
(e)図において、既設歩道床版3’上に高さ調整板を載置する。
(f)次いで、高さ調整板2の上アルミニウム合金製床版を既設橋梁の上面側部に橋梁の橋軸方向へ平行に張り出すように延出部1aを延出して載設する。
(g)図において、アルミニウム合金製床版1とブラケット6とをアンカー4を介して強固に連結する。
(h)図において、橋面工としての地覆、高欄、舗装等を施工する。
以上により、既設橋梁の拡幅歩道構造の施工の全工程が完了する。
次に他の本発明の既設橋梁の拡幅歩道構造の施工工程例(2)を図4(a)〜(h)により説明する。
まず、(a)図において橋梁の主桁5下から吊り材10により橋梁外側部にかけて吊り足場11及び防護工12を施工する。
次いで、(b)図において、主桁5、5の下フランジ5’、5’間に横設ストラット9を挟設する。
次いで、(c)図において既設歩道部(30)を撤去した後、設計にて決定されたアンカー設置位置周辺の既設歩道床版3’中の横締めPC鋼材を探査し、確認する。
その結果を基にして実削孔位置を決定する。
(d)図において、既設歩道床版3’のアンカー設置位置にコアボーリングマシンBにより削孔を行う。
(e)図において、既設歩道床版3’下面部に、補強部材としての鋼製のブラケット6を設置する。
(f)図において、階段状足場13を吊り足場11上に組立て、下フランジ5’から斜め上方へ傾斜ストラット8を斜設し、その上端に縦桁7を取り付ける。
(g)図において、既設歩道床版3’上に高さ調整板(通常コンクリート又はモルタル製)2を載置し、さらに、高さ調整板2の上アルミニウム合金製床版1を既設橋梁の上面側部に橋梁の橋軸方向へ平行に張り出すように延出部1aを延出して載設する。
(h)図において、アルミニウム合金製床版1とブラケット6とをアンカー4を介して強固に連結する。
(i)図において、橋面工としての地覆、高欄、舗装等を施工する。
以上により、既設橋梁の拡幅歩道構造の施工の全工程が完了する。
本願発明の第1実施例の拡幅歩道構造説明図。 本願発明の第2実施例の拡幅歩道構造説明図 本発明の第1実施例の既設橋梁の拡幅歩道構造の施工工程例の説明図。 本発明の第1実施例の既設橋梁の拡幅歩道構造の施工工程例の説明図。 本発明の第1実施例の既設橋梁の拡幅歩道構造の施工工程例の説明図。 本発明の第2実施例の既設橋梁の拡幅歩道構造の施工工程例の説明図。 本発明の第2実施例の既設橋梁の拡幅歩道構造の施工工程例の説明図。 本発明の第2実施例の既設橋梁の拡幅歩道構造の施工工程例の説明図。 本願発明に係るアルミニウム合金製床版の一例の斜視図。
符号の説明
1:アルミニウム合金製床版、
1a:延出部、
1b:既設道路床版又は既設歩道床版上のアルミニウム合金製床版部、
2:高さ調整板、
3:既設道路床版、
3’:既設歩道床版、
4:アンカー、
5:主桁、
5’:下フランジ
6:ブラケット、
7:縦桁、
8:傾斜ストラット(鋼製)、
9:横設ストラット(鋼製又はアルミニウム合金製)、
10:吊り材、
11:吊り足場、
12:防護工、
13:階段状足場、
14:探査機、
30:既設歩道部、
100:デッキプレート
101:パネル、
B:コアボーリングマシン、

Claims (8)

  1. 既設橋梁の上面側部に橋梁の橋軸方向へ平行に拡幅歩道用アルミニウム合金製床版を張出すように突設してなる既設橋梁の拡幅歩道構造において、
    拡幅歩道用アルミニウム合金製床版が上載される主桁の上フランジ下面に補強部材を取着し、アルミニウム合金製床版と前記補強部材とをアンカーを介して連結してなることを特徴とする既設橋梁の拡幅歩道構造。
  2. 既設橋梁の主桁上に、拡幅歩道用アルミニウム合金製床版をその一側が既設橋梁側部へ張出すようにして上載し、定着してなる既設橋梁の拡幅歩道構造において、
    拡幅歩道用アルミニウム合金製床版が上載される主桁の上フランジ下面に補強部材を取着し、アルミニウム合金製床版と前記補強部材とをアンカーを介して連結してなることを特徴とする既設橋梁の拡幅歩道構造。
  3. 既設橋梁の主桁上に、拡幅歩道用アルミニウム合金製床版をその一側が既設橋梁側部へ張出すようにして上載して定着し、かつ、拡幅歩道用アルミニウム合金製床版の一側の張出部の下面に定置された縦桁と既設橋梁の主桁下部との間にストラットが斜設され、さらに複数の主桁下部間にストラットが横架されてなる既設橋梁の拡幅歩道構造において、
    拡幅歩道用アルミニウム合金製床版が上載される主桁の上フランジ下面に補強部材を取着し、アルミニウム合金製床版と前記補強部材とをアンカーを介して連結してなることを特徴とする既設橋梁の拡幅歩道構造。
  4. 主桁がコンクリート桁であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の既設橋梁の拡幅歩道構造。
  5. アルミニウム合金製床版のアルミニウム合金材料が、アルミニウム製品の使用済み廃材から再生されたものであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の既設橋梁の拡幅歩道構造。
  6. アルミニウム合金製床版のアルミニウム合金材料が、使用済のアルミニウム合金製防護柵から再生されたものであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の既設橋梁の拡幅歩道構造。
  7. 下記(a)〜(h)工程からなることを特徴とする既設橋梁の拡幅歩道構造の施工方法。
    (a)橋梁の主桁下から橋梁外側部にかけて吊り足場及び防護工を施工する工程。
    (b)既設歩道部を撤去した後、設計にて決定されたアンカー設置位置周辺の横締めPC鋼材を探査し、確認し、その結果を基にして実削孔位置を決定する工程。
    (c)既設歩道床版のアンカー設置位置にコアボーリングマシンにより削孔を行う工程。
    (d)床版下面部に、補強部材としてのブラケットを設置する工程。
    (e)既設歩道床版上に高さ調整板を載置する工程。
    (f)高さ調整板の上アルミニウム合金製床版を既設橋梁の上面側部に橋梁の橋軸方向へ平行に張り出すように延出部を延出して載設する工程。
    (g)アルミニウム合金製床版とブラケットとをアンカーを介して強固に連結する工程。
    (h)橋面工としての地覆、高欄、舗装等を施工する工程。
  8. 下記(a)〜(i)工程からなることを特徴とする既設橋梁の拡幅歩道構造の施工方法。
    (a)橋梁の主桁下から橋梁外側部にかけて吊り足場及び防護工を施工する工程。
    (b)主桁の下フランジ間に横設ストラットを挟設する工程。
    (c)既設歩道部を撤去した後、設計にて決定されたアンカー設置位置周辺の横締めPC鋼材を探査し、確認し、その結果を基にして実削孔位置を決定する工程。
    (d)既設歩道床版のアンカー設置位置にコアボーリングマシンにより削孔を行う工程。
    (e)床版下面部に、補強部材としてのブラケットを設置する工程。
    (f)階段状足場を足場上に組立て、下フランジから斜め上方へ傾斜ストラットを斜設し、その上端に縦桁を取り付ける工程。
    (g)既設歩道床版上に高さ調整板を載置し、の上アルミニウム合金製床版を既設橋梁の上面側部に橋梁の橋軸方向へ平行に張り出すように延出部を延出して載設の上面とその外側に延出させてアルミニウム合金製床版を橋梁の橋軸方向に平行に上載する工程。
    (h)アルミニウム合金製床版とブラケットとをアンカーを介して強固に連結する工程。
    (i)橋面工としての地覆、高欄、舗装等を施工する工程。
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