JP4040895B2 - ポリウレタンウレア発泡体シートおよび該シートを用いた合成皮革 - Google Patents

ポリウレタンウレア発泡体シートおよび該シートを用いた合成皮革 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低弾性でありかつ強度に富み、加工性に優れたポリウレタンウレア発泡体シート、および当該発泡体シートを銀面層の一部として使用した、天然皮革に酷似した風合いを有し、特に耐寒性、表面強度、縫製加工性、対加水分解性に優れた合成皮革に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、天然皮革の代替品として人工皮革や合成皮革が使用されてきており、その一つとして、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを加湿、加熱雰囲気下に反応させることにより発泡、硬化させて得られるポリウレタンウレア発泡体シートを銀面層として用い、繊維基材と積層したものや、これにポリウレタンからなる表皮層を積層したものが知られている。
【0003】
また、いわゆる湿式法として、ポリウレタンエラストマーのジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶媒との混和物を繊維基布に含浸、塗布させたのち、水等の非溶媒中で凝固させることにより微多孔層を形成させたものが知られている。
【0004】
上記の湿式法で得られた人工皮革あるいは合成皮革にあっては、風合いが天然皮革に類似した好ましいものであるが、製造工程が煩雑であるため高価なものである。特に、伸縮性に富む織布、編物を繊維基布として使用する場合には、塗布、湿式凝固、乾燥、表面仕上げ等の工程における寸法変化を抑制するために、寒冷紗等のごく薄い生地を基布の背面に貼り合せて使用し、最後に剥離除去するという複雑で、非経済的な製造方法を採用しなければならないものである。
【0005】
一方、いわゆる乾式発泡法で得たポリウレタンウレア発泡体シートを銀面層として使用した人工皮革あるいは合成皮革は、製造工程が簡略であり、安価であるが、風合いとしては湿式法で得られる合成皮革には到底及ばないといった問題点を抱えていた。
【0006】
特にポリウレタンウレア発泡体シートを銀面層として使用した合成皮革あるいは人工皮革については、銀面層として使用するポリウレタンウレア発泡体シートの風合いが天然皮革に酷似したものとなるか否かがポイントとされる。そのために、天然皮革に近似した風合いを有する合成皮革あるいは人工皮革の製造方法の検討がなされ、例えば、特開平11−60768号公報あるいは特開2001−2752に記載されているように、いわゆるワンショット法にてウレタンプレポリマーを作製してこれを加湿、加熱雰囲気下に発泡、硬化させて得られるポリウレタンウレア発泡体シートを利用したものが提案されている。
【0007】
これらのものは、種々の加工技術を組合せることにより比較的天然皮革に近似した風合いのものであり、消費者から受け入れられていたものの、いわゆる湿式法で得た合成皮革または人工皮革からみて、いまだ幾分見劣りのするものであった。特に湿式法で得られる合成皮革が有する多孔質層の緻密さ、および低弾性に対しては見劣りがあり、ポリウレタンウレア発泡体シートを使用した合成皮革では、低弾性のものは得られていないのが現状である。
【0008】
そこで本発明者は、いわゆる乾式発泡法でありながら、天然皮革に酷似する風合いを有するポリウレタンウレア発泡体シートの製造技術を検討し、ウレタンプレポリマーを2段階で作製し加湿、加熱雰囲気下に発泡、硬化させるポリウレタンウレア発泡体シートの製造技術を考案した。その結果、かかる方法により得られたポリウレタン発泡体シートは、天然皮革に酷似した風合いを有する低弾性であり、かつ強度に優れ、耐寒性、表面強度、縫製加工性、耐加水分解性に優れた合成皮革となること、また、このようにして得られたポリウレタンウレア発泡体シートは、粘着テープ基材用、床材用としても好適に使用し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明は、人工皮革や合成皮革あるいは粘着テープ基材として有用な、天然皮革に酷似する風合いを有する低弾性であり、かつ強度に優れ、耐寒性、表面強度に優れたポリウレタンウレア発泡体シートを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、ジイソシアネート化合物を、疎水性有機溶媒中で分子量1000〜2500のポリオキシプロピレングリコールと反応させて末端水酸基を有するプレポリマーを得、次いで短鎖ジオールを加えると共に、プレポリマー中の水酸基に対して過剰量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを反応させて、末端にイソシアネート基を有し、且つ、そのイソシアネート基の含有率が4.0ないし5.5重量%になるプレポリマー溶液とした後、更に該イソシアネート基が3.8〜5.0重量%となる量のポリオキシアルキレンポリオール、触媒および整泡剤を加えた混合液となし、当該混合液を離型紙上に塗布し、湿気雰囲気下に加熱、発泡、硬化させて得られたガラス転移度が−5℃以下であることを特徴とするポリウレタンウレア発泡体シートである。
【0011】
さらに本発明は、上記により提供されたポリウレタンウレア発泡体シートを、銀面層の一部として使用した合成皮革である。
【0012】
ところで、人工皮革あるいは合成皮革において、天然皮革に類する風合いを求めるのであれば、柔軟性をもたせることにより低弾性とすればよい。そのためには、ガラス転移温度を低温側にシフトしてやればよいが、単にそれだけでは高強度なものを得ることができない。また、従来の方法では、柔軟性を求め低弾性とした場合には、樹脂が粘着性を帯び、縫製加工性を損ない、ミシン送りをよくするためや、耐磨耗性を向上させるために、滑性を得るべく表面処理を施したり、ミシン糸そのものにオイルを付与したりしなければならない問題点があった。
【0013】
本発明が提供するポリウレタンウレア発泡体シートは、ガラス転移度が−5℃以下とすることにより、柔軟で、低弾性でありながら強度的に優れたものであって、例えば、揉み加工での皺寄りの良さがあり、また縫製加工性も極めて良好なものある。したがって、合成皮革に求められている重要な要素を十二分に有するポリウレタンウレア発泡体シートとしての特徴があるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、上記したように、第一段階として、ジイソシアネート化合物を、疎水性有機溶媒中で分子量1000〜2500のポリオキシプロピレングリコールと反応させて末端水酸基を有するプレポリマーを得、次いで第二段階として、得られたプレポリマーに短鎖ジオールを加えると共に、プレポリマー中の水酸基に対して過剰量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを反応させて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液とし、その後、ポリオキシアルキレンポリオール、触媒および整泡剤を加えた混合液とした後、当該混合液を離型紙上に塗布し、湿気雰囲気下に加熱、発泡、硬化させることことを基本とするポリウレタンウレア発泡体シートである。
【0015】
本発明において、第一段階で得られる末端水酸基を有するプレポリマーは、ジイソシアネート化合物とポリオキシプロピレングリコールの反応生成物である。その場合に使用されるジイソシアネート化合物としては、種々のものが挙げられるが、本発明にあっては、特にヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボナンジイソシアネートから選択されるものであるのが好ましい。
【0016】
一方、ポリオキシアルキレングリコールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレン/オキシメチレングリコール、ポリエチレングリコールアジペート、ポリブチレングリコールアジペート、ポリネオペンチルグリコールジペート、ポリブチレン/へキシレングリコールアジペート等の種々のポリアルキレングリコールが使用可能であるが、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールが好ましく、単独若しくはそれらの混合物、さらには共重合体を使用することができる。
【0017】
発泡性の点から、特にポリオキシプロピレングリコールの単体、若しくはポリオキシプロピレングリコールとポリオキシテトラメチレングリコールとの混合物若しくは共重合物においてポリオキシプロピレングリコールの含有率の高いものが好ましい。前記共重合体はブロック共重合体でもあっても、またランダム共重合体であってもよい。
【0018】
これらのポリオキシアルキレングリコールの分子量としては、1000〜2500の範囲が好ましい。分子量が1000未満のポリオキシアルキレングリコールでは破断時伸度が小さくなり、一方、分子量が2500を越えるものでは破断強度が小さくなる。
【0019】
このジイソシアネート化合物とポリオキシプロピレングリコールとの反応による末端水酸基を有するプレポリマーへの生成は、溶媒中で行われる。特に本発明のポリウレタンウレア発泡体シートを得るためには、この溶媒は疎水性溶媒、特に非極性溶媒であり、具体的には、トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンからなる群から選択される有機溶媒が好ましい。これらの溶媒は、単独でも、また複数組合せて使用してもよい。
【0020】
プレポリマーの合成に使用する疎水性溶媒の使用量は、全樹脂100重量部当たり、5〜20部程度の範囲が好ましく、溶媒量が多すぎると粘度低下が著しく、反応雰囲気中の水分を取り込み難くなり、発泡性が低下する。また、溶媒量が少なすぎると、プレポリマーの粘度が必要以上に高くなるばかりかプレポリマーの貯蔵安定性が低下するとともに、発泡倍率の制御が難しくなり、形成されるポリウレタン発泡体シートの表面平滑性が低下する。
【0021】
このプレポリマー合成の反応系の温度は、一概に限定することはできず、室温〜100℃程度が好ましく採用される。反応系としては、乾燥空気、炭酸ガスあるいは窒素ガスにより反応容器内が置換されていることが必要である。
【0022】
かくして第一段階で得られた末端水酸基を有するプレポリマーは、第二段階として、さらに短鎖ジオールが加えられ、これらの水酸基に対しして過剰量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを反応させて、末端にイソシアネート基を有し、且つ、そのイソシアネート基の含有率が4.0〜5.5重量%になるウレタンプレポリマー溶液とされる。
【0023】
この場合に使用する短鎖ジオールの好ましい例としては、1,3−ブタンジオール、2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、ブチルエチルプロパンジオール、3−メチルペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコールからなる群から選択される側鎖を有するグリコールを単独あるいは複数組合せて使用することができる。
【0024】
また、ここで使用する4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートは、湿気との反応性に富み、優れた発泡性と優れた物理的性質を有するシートを提供することができる点で特に重要なものであり、他の芳香族ジイソシアネート化合物、例えば、トルエンジイソシアネートでは発揮できない特性を有している。
【0025】
この第二段階でのウレタンプレポリマーの反応系の温度も、一概に限定することができず、50〜100℃程度が好ましく採用される。室温にて反応内に反応物の所定量を仕込み、その後徐々に昇温させていく手段を採用することも好ましい。この場合の反応系としても、乾燥空気、炭酸ガスあるいは窒素ガス等で置換されていることが必要である。
【0026】
次いで、かくして合成されたウレタンプレポリマーは、末端に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートに起因するイソシアネート基を有しているが、本発明が提供する特定の性質を有するポリウレタンウレア発泡体シートを得るためには、この末端イソシアネート基の含有率は、4.0〜5.5重量%の範囲になるように反応条件が調節される。末端イソシアネート基の含有量が低すぎると、いわゆる発泡状態にはならず、末端イソシアネート基含有量が高すぎると、過剰発泡となり平滑なものができないばかりか、ウレア結合が多くなるため風合いが硬くなり、合成皮革として不適当なものとなる。
【0027】
上記のようにして得られたウレタンプレポリマーの溶液には、架橋剤としてのポリオキシアルキレンポリオール、触媒および整泡剤が加えられる。
【0028】
架橋剤としてのポリオキシアルキレンポリオールとしては、特に反応性を高めるために、末端がプロピレンオキサイドに起因する2級水酸基からエチレンオキサイドをさらに付加した1級の水酸基を有するもので、分子量が5000から8000程度の水酸基を分子内に3固有するもの(3官能性のもの)、すなわちポリオキシアルキレントリオールが好ましい。なお、優れた強度を得るためにモノオールの含有率が少ないもののほうが好ましい。また、ポリオキシプロピレンオキサイド/グリセリン付加物の分子量3000〜8000にカプロラクトンを付加し分子量4000〜10000としたものも使用できる。
【0029】
ウレタンプレポリマー溶液中に添加する架橋剤であるポリオキシアルキレンポリオールの量については、プレポリマー中のイソシアネート基含有率が、3.8〜5.0%となるようにするのが望ましい。架橋剤の添加量が少なすぎると、プレポリマーの反応は、単に水分を鎖伸長剤として反応して固化するばかりでなく、架橋剤に基づく伸びの大きな、柔軟性の富むポリウレタンウレア発泡体シートを得ることができず、また多すぎると十分に発泡したポリウレタンウレア発泡体シートとすることができない。
【0030】
上記の架橋剤であるポリオキシアルキレンポリオールと共にウレタンプレポリマー溶液中に添加する触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫、ジブチル酸化錫等の有機錫化合物;テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N−メチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン等のアミン化合物を使用することができる。触媒の添加量としては、ポリウレタン樹脂100部あたり0.1〜0.5部を添加するのがよい。
【0031】
整泡剤としては、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド付加シリコンオイル、例えば大日本インキ化学工業製のクリスボンアシスターSD−7;日本ユニカーL540、L530;東レシリコンSH等を使用することができる。また湿気を積極的に取り込むために、界面活性剤、例えばポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体、例えば、プルロニックL62、ニューポールPE62等を使用することができる。これらの使用量は、ポリウレタン樹脂100部あたり0.5〜3.0部程度を添加するのがよい。
【0032】
本発明のプレポリマーにあっては、この他に、必要に応じて顔料、防黴剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、加水分解防止剤、香料、染料、無機系充填剤、抗菌剤等を、本発明の趣旨を損なわない範囲で添加してもよい。
【0033】
上記のようにして得られた、架橋剤、触媒等を添加したウレタンプレポリマーは、適当な混合機にて空気と混合されて、コーティング液とされ、例えば離型紙上にコーティングされ、硬化反応により本発明のポリウレタンウレア発泡体シートとされる。
【0034】
かくして得られる本発明によるポリウレタンウレア発泡体シートは、ガラス転移度が−5℃以下の柔軟性を有すると共に、耐寒性、表面強度を有し、その厚みが0.2〜1.0mm程度の範囲で、極めて均一なシートとなる。なお厚みが1.0mmを越す場合には、雰囲気中の水分がコーディングされた混合物の中に均一に取り込まれず、発泡はするものの表面平滑性はかなり劣るものとなる。また厚みが0.2mmを下回る場合は、混合吐出の性能にもよるが、一般的には微細な発泡セルを形成することができない。
【0035】
なお、硬化反応の雰囲気中の湿度を一定に保つため、強制的に超音波を利用した加湿器を使用することが好ましい。また、高温水蒸気を直接乾燥、キュアオーブン内に供給しても差し支えない。
【0036】
かくして製造された本発明のポリウレタンウレア発泡体シートは、接着剤を用いて繊維基布基材と積層することにより、湿式法により得られた合成皮革や人工皮革に酷似する風合いを有し、柔軟性で高強度であり、低温特性(耐寒性)、表面強度、縫製加工性、耐加水分解性に優れた合成皮革を得ることができる。
【0037】
繊維基布基材としては、従来から合成皮革の繊維基材として使用されているものであれば、いずれのものも使用することができる。例えば、極細繊維不織布、織布、織物、編物のいずれのものであって、片面または両面が起毛されたものであってもよい。
【0038】
ポリウレタンウレア発泡体シートと繊維基布基材とを接着するために使用される接着剤としては、合成皮革製造用として、基布との接着に使用されているものであれば特に限定されないが、発泡樹脂中に有機錫系化合物を発泡剤として使用している場合には、特に耐加水分解性を考慮した接着剤を選択するのがよい。
【0039】
上記により提供される合成皮革には、従来の合成皮革と同様に、ポリウレタン発泡層(ポリウレタンウレア発泡体シートを線維基布基材に積層することによって形成された層)表面に、ポリウレタンを主成分とする表皮層、いわゆるトップコートポリウレタン樹脂層が積層される。このトップコートポリウレタン樹脂層としては、合成皮革の表皮樹脂用として製造販売されているものであれば、特に限定されず、染色可能な樹脂も顔料着色樹脂と同様に使用することができる。染色可能な樹脂としては、特に無黄変タイプポリウレタン樹脂が好ましい。表皮層ポリウレタン樹脂の厚みは、10〜50μm程度の範囲が好ましい。
【0040】
なお、合成皮革の製造においては離型紙を積層されるが、かかる離型紙としては、紋入り離型紙で、合成皮革製造用として市販されているものであれば、特に限定されず、どのようなものでも使用が可能である。
【0041】
本発明が提供するポリウレタンウレア発泡体シートは、上記したように天然皮革に酷似する風合いを有することから、合成皮革用として好適に使用することができるが、その用途は、合成皮革用に限られるものではない。例えば、木材、必要に応じて基材を積層した単層あるいは複数層からなる合成樹脂シート、カーペット、あるいはこれらの積層品等の裏面に本発明のポリウレタンウレア発泡体シートを積層して防音床材とすることもできる。また、本発明のポリウレタンウレア発泡体シートの少なくとも一方の面に適宜感圧性接着剤(粘着剤)層を形成して粘着テープとすることもできる。
【0042】
【実施例】
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらによって、本発明の技術的範囲は、何等制限されるものではない。
【0043】
実施例1:
数平均分子量2000のポリプロピレングリコール2,560g、ノルボナンジイソシアネート132g、エチルシクロヘキサン671gおよびジブチル錫ジラウレート0.1gを80℃で3時間、窒素ガス雰囲気下で攪拌して反応させた。イソシアネート基が消失していることを赤外線吸収スペクトルで確認し、25℃に冷却し、末端水酸基を有するプレポリマーを得た。
【0044】
次いで、上記で得たプレポリマーを攪拌しながら、これに先ずジプロピレングリコール174.5gを投入し、次いで4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート1.050gを投入した。その後80℃まで昇温して、さらに2時間反応を継続した。このもののイソシアネート基含有率は4.14%であり、収率は100%であった。
【0045】
このプレポリマー溶液100gにアクトコール(三井武田ケミカル社製、水酸基価24のグリセリンベースプロピレンオキサイドエチレンオキサイド付加体)12.2g、クリスボンアシスターSD−7(大日本インキ社製、整泡剤;シリコン系)1.0g、ジブチル錫ジラウレート0.2gおよびペンタメチルジエチレントリアミン0.05gを混合し、200mLポリエチレン製容器内で毎分1,000回転の4枚羽攪拌機により90秒攪拌した。得られた混合液を離型紙(リンテック社製)上に約0.2mmの厚さでコーティングし、110℃の加湿オーブンに2分間入れて反応を行った。
得られたものは、約0.3mm厚の綺麗な発泡体シートであり、そのガラス転移度は−15.5℃であった。
【0046】
実施例2:
実施例1で使用したノルボナンジイソシアネートに代えてイソホロンジイソシアネート142.3gを使用し、エチルシクロヘキサンの使用量を673gとしてプレポリマーを合成した。得られたプレポリマーの固形分は、85.4%であった。
次いで実施例1と同様に反応を行い、約0.3mm厚の綺麗な発泡体シートであり、そのガラス転移度は−13.5℃であった。
【0047】
実施例3:
数平均分子量1500のポリプロピレングリコール2,640g、ヘキサメチレンジイソシアネート147.5g、キシレン281gおよびジブチル錫ジラウレート0.1gを80℃で3時間、窒素ガス雰囲気下で攪拌して反応させた。イソシアネート基が消失していることを赤外線吸収スペクトルで確認し、25℃に冷却し、末端水酸基を有するプレポリマーを得た。
【0048】
次いで、上記で得たプレポリマーを攪拌しながら、これに先ず3−メチルペンタンジオール125.1gおよび4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート1.065gを投入した。その後80℃まで昇温して2時間反応させた。このもののイソシアネート基含有率は4.9%であり、収率は100%であった。
その後は、実施例1と同様に反応を行い、約0.3mm厚の綺麗な発泡体シートを得た。得られた発泡体シートのガラス転移度は−14.5℃であった。
【0049】
比較例:
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート873.1gおよびトルエン348.1gからなる45℃の混合溶液中に、数平均分子量1500のポリプロピレングリコール1,500gを加え、窒素ガス雰囲気下で80℃まで昇温させ、4時間反応を行った後、ジプロピレングリコール134.18gおよびトルエン100gからなる混合液を30分かけて滴下し、85℃で1時間攪拌反応をさせ、25℃まで冷却し、プレポリマー溶液を得た。このもののイソシアネート基含有率は4.95%であった。
【0050】
次いで、このプレポリマー100gを用い、実施例1と同様に、アクトコール(三井武田ケミカル社製、水酸基価24のグリセリンベースプロピレンオキサイドエチレンオキサイド付加体)12.2g、クリスボンアシスターSD−7(大日本インキ社製、整泡剤;シリコン系)1.0g、ジブチル錫ジラウレート0.2gおよびペンタメチルジエチレントリアミン0.05gを混合し、200mLポリエチレン製容器内で毎分1,000回転の4枚羽攪拌機により90秒攪拌した。得られた混合液を離型紙(リンテック社製)上に約0.2mmの厚さでコーティングし、110℃の加湿オーブンに2分間入れて反応を行った。
【0051】
得られた発泡体シートは、約0.3mm厚の発泡体シートであり、そのガラス転移度は−2.3℃であった。
その発泡体シートの柔軟性は、実施例1で得たものより弱く、強度も低いものであった。また天然皮革に比較すると、その風合いは、実施例1で得た発泡体シートより劣るものであった。
【0052】
【発明の効果】
以上記載のように、本発明により提供されるポリウレタンウレア発泡体シートは、いわゆる乾式発泡法において、特にウレタンプレポリマーを2段階で作製し加湿、加熱雰囲気下に発泡、硬化させて得られるポリウレタンウレア発泡体シートである。
【0053】
かくして得られる本発明のポリウレタン発泡体シートは、ガラス転移度が低いものであり、天然皮革に酷似した風合いを有する低弾性であり、かつ強度に優れ、耐寒性、表面強度、縫製加工性、対加水分解性に優れている。したがって、湿式法で得られる合成皮革となんら遜色のない人工皮革あるいは合成皮革となりうるものであり、縫製加工性も極めて良好なものある。また、本発明が提供するポリウレタンウレア発泡体シートは、合成皮革としてばかりでなく、粘着テープ基材用、床材用としても好適に使用し得るものでのあり、かつ簡略な製造工程で、低コストで製造し得る利点を有している。

Claims (3)

  1. ジイソシアネート化合物を、疎水性有機溶媒中で分子量1000〜2500のポリオキシプロピレングリコールと反応させて末端水酸基を有するプレポリマーを得、次いで短鎖ジオールを加えると共に、プレポリマー中の水酸基に対して過剰量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを反応させて、末端にイソシアネート基を有し、且つ、そのイソシアネート基の含有率が4.0ないし5.5重量%になるプレポリマー溶液とした後、更に該イソシアネート基が3.8〜5.0重量%となる量のポリオキシアルキレンポリオール、触媒および整泡剤を加えた混合液となし、当該混合液を離型紙上に塗布し、湿気雰囲気下に加熱、発泡、硬化させて得られたガラス転移度が−5℃以下であるポリウレタンウレア発泡体シートを用いたことを特徴とする合成皮革
  2. ジイソシアネート化合物がヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボナンジイソシアネートから選択されるものである請求項1に記載の合成皮革
  3. ポリウレタンウレア発泡体シートの厚みが0.2〜1.0mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の合成皮革。
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