JP2006316127A - 無溶剤型硬化性ウレタン樹脂組成物及び該組成物を用いて得られるシート状物。 - Google Patents
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Abstract
樹脂の溶解のための加熱工程を必要としない常温で低粘度の液状であり、作業性(加工性)がよく、合成皮革等のシート状物の製造に好適であり、しかも合成皮革としての十分な物性を有し、また揮発性有機物質の存在しない無溶剤型硬化性ポリウレタン樹脂組成物およびこれを用いて得られる合成皮革を提供することにある。
【解決手段】
活性水素含有高分子量化合物とポリイソシアネート及び触媒を含有する無溶剤型硬化性樹脂組成物であって、該ポリイソシアネートが、分子量200以下の短鎖グリコールとジイソシアネートとの付加物からなるプレポリマーで、イソシアネート基含有率が10〜25%であり、かつ硬化性ポリウレタン樹脂組成物中の遊離NCO基が1〜4%であることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
これらの加工方法にはいずれも溶剤型のポリウレタン樹脂組成物が使用されるため加工工程において溶剤の除去を行うことが必要であり、そのため溶剤の回収や溶剤を蒸発させるための設備が必要になると共にそれらに要するエネルギーコストが高くなる等の問題や、環境汚染や人体への影響等の問題などの点から、近年、溶剤型から無溶剤型への移行が要求され多くの検討がなされてきている。
この様な現状に鑑み、高固形分のウレタン樹脂も提案され、検討が為されており、固形分濃度が高いので膜厚の厚い塗膜を得ることができるが、この場合も有機溶媒を含有しており、塗膜中に有機溶媒が残存するので根本的な解決にはなり得ない。
本発明においては、ウレタン樹脂の構成成分の中で反応性に富む短鎖ジオール成分を予めジイソシアネート成分と予備反応させたプレポリマーとして使用するものであり、ワンショット法で用いる場合の短鎖ジオールに起因する上記問題を解消することができる。
ポリエーテルポリオール化合物としては、平均分子量700〜3000程度の常温で液状のポリエーテルポリオール化合物を使用することができる。例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、テトラメチレンエーテルグリコール/2−メチルテトラメチレンエーテルグルコール共重合体(テトラヒドロキシフラン/2−メチルテトラヒドロキシフラン共重合体、共重合モノマー比80/20〜85/15)が好適なものとして挙げられる。
このような観点から、本発明における短鎖ジオールとジイソシアネートとの付加反応物であるプレポリマーと高分子量ポリオールからなる、硬化性ウレタン樹脂組成物中の遊離NCO基を1〜4%とすることが、ウレタン反応及び過剰分イソシアネート基の湿気硬化後の膜強度が優れたものとなることから重要であり、さらに混合性や硬化被膜の強度を考慮すると、プレポリマーのイソシアネート基含有率は15〜22%の範囲であることが好ましい。なお、本発明において、上記硬化性ウレタン樹脂組成物中の遊離NCO基は硬化性ウレタン樹脂組成物中で水酸基により消費されるイソシアネート基を計算上除外したものをいう。
三官能ポリイソシアネートの使用量が5%未満であると、添加する効果が得られず、50%を超えて添加すると、架橋構造が著しく多くなり、伸び強度の低下と共に風合いを損ねる虞があり好ましくない。例えば、短鎖グリコールを1モル、ジイソシアネートを2モルで、遊離したイソシアネート基が実質的に存在しないプレポリマーを合成したのち、三官能ポリイソシアネートをイソシアネート基含有率が10〜25%、好ましくは15〜22%になるように添加することにより本発明のプレポリマーとして使用することができる。
三官能ポリイソシアネートは、ひまし油、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの三官能ヒドロキシ化合物(トリヒドロキシ化合物)とジイソシアネートとの付加反応物として製造することができる。
高分子量ポリオールとして、(株)クラレ製「クラレポリオールC800」(1,6−ヘキサンジオール/3−メチル−1,5−ペンタンジオール=1/9、平均分子量800)800g、ジプロピレングリコール/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物(以下、DPG/HMDIと記す)(NCO基含有率:20%)504g(NCO/OH=1.2)、ジブチル錫ジラウレート(DTL)0.68g、カーボンブラック(三菱化学(株)製)1.3gおよびシリコーンオイル/シリカ系泡消剤(日本ユニカー(株)製商品名「SAG47」)0.2gを混合して表面層形成用硬化性ウレタン樹脂組成物を調製した。なお、該硬化性ウレタン樹脂組成物中の遊離NCO基は1.3%に調整した。
該硬化性ウレタン樹脂組成物を離型紙(旭ロール(株)製、AR−22)上に、厚さ0.4mmに塗布し、80〜130℃の温度勾配を設けて乾燥オーブン中を6分間通過して硬化させ表面層を形成した。
このシート状物は、強度に優れ溶剤臭は全く感知されなかった。表面層とニット生地との接着強度は50N/3cmであった。
高分子量ポリオールとして、液状ポリテトラメチレングリコール(保土ヶ谷化学(株)製PTG−L1000 数平均分子量1000)1000g(1モル)、1,3−ブタンジオール45g(0.5モル)、ジプロピレングリコール/ノルボルネンジイソシアネート(DPG/NBDI)付加物(イソシアネート基含有率:20%)756g(NCO/OH=1.2)、DTL0.9g、水酸化アルミニウム(8ミクロン/3ミクロン=70/30)180g、モレキュラーシーブ 3g、硬化ひまし油(粘度調整剤)2g、シリコーンオイル/シリカ系消泡剤(日本ユニカー(株)製、商品名「SAG47」)0.2g、カーボンブラック0.5gを混合して表面層形成用硬化性ウレタン樹脂組成物を調製した。なお、該硬化性ウレタン樹脂組成物中の遊離NCO基は1.4%に調整した。(但し、硬化ひまし油中の水酸基NCO/OHの計算においては考慮しないものとする。)
該硬化性ウレタン樹脂組成物を離型紙(旭ロール(株)製、AR−22)上に、厚さ0.4mmとなるように塗布し、実施例1と同様の条件で表面層を形成した。
該表面層に、実施例1で使用したと同様の接着層形成用硬化性ウレタン樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして合成皮革シート状物を得た。このシート状物は、強度に優れ溶剤臭は全く感知されなかった。
高分子量ポリオールとして末端1級水酸基含有率70%のポリプロピレングリコール(三洋化成(株)製、商品名「プライムポールPX2000」平均分子量2000)2000g、3,3−ジメチロールヘプタン320g、3,3−ジメチロールヘプタン/HMDI(1/2)付加物(イソシアネート基含有率:16.9%)2100g(NCO/OH=1.17)、DTL0.44gを混合して表面層形成用硬化性ウレタン樹脂組成物を調製した。なお、該硬化性ウレタン樹脂組成物中の遊離NCO基は2.34%に調整した。該硬化性ウレタン樹脂組成物を離型紙(旭ロール(株)製、AR−22)上に、厚さ0.4mmとなるように塗布し、実施例1と同様の条件で表面層を形成した。
該表面層に、実施例1で使用したと同様の接着層形成用硬化性ウレタン樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして合成皮革シート状物を得た。このシート状物は、強度に優れ溶剤臭は全く感知されなかった。
3,3−ジメチロールヘプタン(DMH)160g、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)496gより、NCO基含有率25%のプレポリマーを合成した。DMH/HMDIのモル比は1/2.952であり、全体の約1/4の24.4%がHMDIのモノマー状態で存在する。このプレポリマーを実施例1と同様にコーティング材料として使用したが、HMDIモノマーが大量に存在するために加熱時に揮発成分が多く加熱オーブン内にHDIの蒸気が充満して作業環境が極めて悪いものであった。
分子量400のポリプロピレングリコール400g(1モル)、ヘキサメチレンジイソシアネート546.7g(3.254モル)より、NCO基含有率25%のプレポリマーを合成した。ここに用いた短鎖ジオールは分子量が大きく、ウレタン樹脂としての物性を好ましいものとするのに、全グリコール数の平均分子量範囲が750〜1500の範囲となるようにするために、液状のポリテトラメチレングリコール(PTMG)1000gと等モルでウレタン樹脂を調製した。しかし、表面硬度が劣るものしか得られなかった。また、本発明におけるプレポリマーの全グリコールの平均分子量を1500としたものも同様に表面強度の劣るものであった。これは、全グリコールの平均分子量が好ましい範囲内にあるものの短鎖ジオールの分子量が大きく凝集力が十分でないことによるものである。
ポリオールとして分子量が850のポリテトラメチレングリコール(PTMG850)をMDIと等モルで反応させたものを使用した場合として、PTMG850とMDIをNCO/OH=1.0となるようにするために、まず、プレレポリマーとして、PTMG850とMDIをNCO/OH=2.0で80℃にて合成したが、室温では固化してしまい流動性は全くないものであった。前記プレポリマーを80℃に加熱し、PTMGをNCO/OH=1.0となるよう混合して合成皮革用樹脂組成物としたが、極めてゴム弾性の強いものであり、合成皮革用としては使用に適さないものであった。
ポリオールとして低分子量のポリプロピレングリコール(三井武田ケミカル(株)製 PP−DIOL−400)を実施例3のプレポリマーと当モルで使用したものでは、ガラス転移温度が室温付近のもで、冬季に極めて硬い風合いのものとなり、屈曲性が極端に低下し合成皮革としては好ましくない。ガラス転移温度はこれらの系では5℃程度であり、冬季においても風合いの良いものとする−20℃以下とすることができない。なお、ガラス転移温度は動的粘弾性試験による損失弾性率のピーク温度をもって定義する。
ポリエステルポリオールの分子量が3000以上のものを用いて合成されるウレタン樹脂は、用途が限定され、例えば、粘着剤として使用可能であるが、低強度で耐熱性の低いものしか得られ。この場合に、三官能性ポリオールを併用した架橋剤で架橋密度を高めることにより、高強度化することは理論的には可能であるが、いわゆる合成皮革等の製造で使用されているワンショット法では、粘度上昇が激しく使用することは困難なものである。
Claims (5)
- 活性水素含有高分子量化合物とポリイソシアネート及び触媒を含有する無溶剤型硬化性ウレタン樹脂組成物であって、該ポリイソシアネートが、分子量200以下の短鎖グリコールとジイソシアネートとの付加物からなるプレポリマーで、イソシアネート基含有率が10〜25%であり、かつ硬化性ウレタン樹脂組成物中の遊離NCO基が1〜4%であることを特徴とする無溶剤型硬化性ウレタン樹脂組成物。
- 上記活性水素含有高分子量化合物が、ポリエーテルポリオール化合物、ポリカーボネートポリオール化合物、ポリエステルポリオール化合物から選ばれる少なくなとも1種であることを特徴とする請求項1記載の無溶剤型硬化性ウレタン樹脂組成物。
- 上記短鎖グリコールが、炭素数2〜9で側鎖を有するグリコール、またはエーテル型グリコールであることを特徴とする請求項1または2記載の無溶剤型硬化性ウレタン樹脂組成物。
- 上記付加物からなるプレポリマーのイソシアネート基含有率が15〜22%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の無溶剤型硬化性ウレタン樹脂組成物。
- 上記請求項1〜4のいずれか1項に記載の無溶剤型硬化性ウレタン樹脂組成物を、離型性支持体上に塗布し乾燥させた後、接着層を介して基材と複合一体化してなることを特徴とするシート状物。
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