JP4039782B2 - 粉末酸味料組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、酸味の持続性に優れる粉末酸味料組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より、食品添加物用の粉末酸味料を製造する場合、酸味料の結晶そのまま、または、結晶を磨砕した微粉末或いは微粉末を造粒した顆粒など、様々な形態で取り扱われている。
【0003】
しかしながら、これらは吸湿、流動性、呈味の持続性等の点で満足のいく状態でなかった。これまで、粉末酸味料における物性の改善、或いは呈味の持続性に関しては、既にいくつかの技術が知られている。
例えば、有機酸と動植物性硬化油の溶融混合物を、噴霧冷却法を用いて被覆有機酸を製造する方法(特開昭45−32217号公報)、有機酸を乳酸カルシウムと混合・加熱して被覆を形成させる有機酸の被覆方法(特開昭44−30583号公報)、融点40°C以上の溶融食用油脂及び燐脂質からなる溶媒中に有機酸粉を懸濁加熱し、次いで、噴霧冷却して被覆有機酸を製造する方法(特開昭55−88666号公報)、ソルビン酸を含有する有機酸及び硬化油を、低沸点アルコール類に溶解し減圧下に噴霧して被覆有機酸類を製造する方法(特開昭63−36759号公報)などが知られているが、これらの公報に記載される技術では、いずれも被覆が十分でないため、未だ満足できるものでないという課題があるものである。
更なる改良技術として、特開平8−116909号公報には、粉末酸味料を融点40°C以上の脂質粉状体でコーティングする方法が知られているが、該方法も融点40°C以上の脂質粉状体を用いているため、口触りが悪く実用性に欠ける点に課題があるものである。
【0004】
一方、噴霧乾燥法は、液状食品を乾燥して粉末化する製造プロセスに用いられる非常に優れた方法ではあるが、図4(a)に示すように、得られる粉末が極めて微粒子であるため、流動性に欠けたり、吸湿してしまうことがあり、取り扱い上の不備を有していた。更に、呈味の発現性に関しても初発に偏り、持続性に欠けるものであった。
【0005】
これらの物性の改善、或いは酸味上の改善を目的とした手法として、噴霧乾燥などによって得られた微粒子を造粒することにより、顆粒化することが行われており、最近では噴霧乾燥装置内に流動層造粒の機能を設けた装置などが開発されている。
これらの装置により製造された顆粒状粉末酸味料は、造粒機構が「流動層凝集造粒」であり、図4(b)に示すように、ポーラスな凝集構造を持った不定形状であるため、物性は改善されるものの、食品に添加した場合に口中での酸味の発現は初発性に偏り、持続性に欠けるという課題を有している。
また、図4(c)に示すように、湿式撹拌造粒装置により得られる湿式撹拌造粒酸味料もポーラスな凝集構造を持った不定形状であるため、上記と同様に、物性は改善されるものの、食品に添加した場合に口中での酸味の発現は初発性に偏り、持続性に欠けるという課題を有している。
【0006】
更に、最終製品として重質で美観のある球形状顆粒を製造する場合は、押し出し造粒機などが用いられているが、図4(d)に示すように、いったん円柱状造粒物を作製し、これを転動式球形化装置などにかけて球形状顆粒に成形し、仕上げ乾燥を行うため、多数の工程を経る必要性があり、また、得られる顆粒の粒子径が大きすぎるといった課題を有している。そのため、粉末酸味料として食品中に使用することが不適当である場合もあるものである。
【0007】
【発明が解決しょうとする課題】
本発明は、上記従来の課題等について、これを解消しようとするものであり、口中において酸味成分の溶出を遅らせ、長時間口中にあっても強い酸味を発現させる、持続性に優れた粉末酸味料組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
なお、以下において、本発明の「粉末酸味料組成物」を単に「粉末酸味料」という場合がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の課題等を解決するため、鋭意研究を行った結果、硬く締まった、重質の顆粒状粉末酸味料が酸味の持続性に最も適していることを見い出すと共に、その顆粒状粉末酸味料が液体原料から連続的に直接、球形状顆粒を製造する特定の装置を用いて造粒することにより製造されることを見い出すことにより、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち本発明は、次の(1)〜(5)に存する。
(1) 液体原料から連続的に直接、球形状顆粒を製造する噴霧乾燥式流動層造粒装置を用いて、流動層レイヤリング造粒法により得られる粉末酸味料組成物であって、液体原料は酸味料、水、賦形剤から構成され、粉末酸味料組成物の嵩密度を0.40g/cm3〜0.95g/cm3、硬度を0.5gf/mm 2 〜1.0gf/mm 2 にしたことを特徴とする粉末酸味料組成物。
(2) 粉末酸味料組成物の平均粒子径が50μm〜1000μmである上記(1)記載の粉末酸味料組成物。
(3) 液体原料から連続的に直接、球形状顆粒を製造する噴霧乾燥式流動層造粒装置を用いて、流動層レイヤリング造粒法により得られる粉末酸味料組成物の製造方法であって、液体原料は酸味料、水、賦形剤から構成され、加熱した空気によって流動化させた酸味料組成物核粒子の床の中へ液体原料を噴霧し、流動層の温度を80℃〜140℃に保持することにより、嵩密度0.40g/cm3〜0.95g/cm3、硬度0.5gf/mm 2 〜1.0gf/mm 2 の粉末酸味料組成物を製造することを特徴とする粉末酸味料組成物の製造方法。
(4) 粉末酸味料組成物の平均粒子径が50μm〜1000μmである上記(3)記載の粉末酸味料組成物の製造方法。
(5) 酸味料組成物核粒子が、液体原料を流動層中に直接噴霧することにより生成される上記(3)又は(4)記載の粉末酸味料組成物の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の内容を図面などを参照しながら詳しく説明する。
図1は、本発明の粉末酸味料の部分断面図であり、図2は、本発明の粉末酸味料の成長メカニズムを説明する説明図である。
本発明における粉末酸味料10は、液体原料から連続的に直接、球形状顆粒を製造する噴霧乾燥式流動層造粒装置を用いて、流動層レイヤリング造粒法により得られる粉末酸味料であり、図1に示すように、酸味料核粒子11を有し、該酸味料核粒子11は流動層レイヤリング造粒により酸味粉末粒子を有する酸味粉末粒子層12、12……が多層コーティングされた単一粒子構造となっている。
【0010】
この粉末酸味料10は、液体原料から連続的に直接、球形状顆粒を製造する装置、例えば、図2に示される噴霧乾燥式流動層造粒装置20を用いて、流動層レイヤリング造粒法により得られるものである。
この粉末酸味料10は、下記による成長メカニズムにより得られる。
図2(I)における噴霧乾燥式流動層造粒装置20において、高温空気流の流入する空塔内(スプレーゾーン)21にスプレーノズル(図示せず)により供給された酸味料組成物からなる液体原料は、その上昇過程で微粒化され瞬時に乾燥されて微細粒子(数μm〜数十μm)22となって上部のバクフィルタ部23に捕捉される。このバクフィルタ部23ではその内部への定期的な圧縮空気の吹き込み(パルスジェット逆洗方式)によって粒子の払い落としがなされる。微細な粒子群は、その慣性力により下部のスプレーゾーン21に落下し、ここで酸味料核粒子となって液体原料にレイヤリングされる。酸味料核粒子はレイヤリングされた溶出固形分のみの粒子成長を伴いながら上部のバクフィルタ部23に再捕捉される。
【0011】
すなわち、香味料組成物からなる液体原料は、噴霧乾燥による微細な酸味料核粒子(図1における図示符号11)の生成と共に、いったん生成された酸味料核粒子のレイヤリングに消費される。これらの現象の継続によって粒子は成長を遂げ、やがてその粒子径が高温空気流の上昇速度に対して相対的に終末速度以下に成長すると、粒子は装置下部で流動層を形成するようになる〔図2(II)〕。次いで、スプレーノズルより高圧で噴霧供給されている酸味料組成物からなる液体原料は成長した流動層粒子をレイヤリングする一方、その一部はこれらの粒子層を吹き抜けて微細な酸味料核粒子として生成する〔図2(III)〕。
このように噴霧乾燥原理と流動層レイヤリング原理が複合された造粒機構に基づいて成長した粉末酸味料(顆粒製品)10は、図1に示すような構造となるものである。
なお、顆粒製品の排出は、バッチ運転の場合には通気板中央部の排出口24により一括して行われる。また、連続運転では流動層が所定の顆粒ホールド量に到達した時点〔図2(III)〕から、固形分供給速度に等しい排出口よりシール付排出機(ロータリバルブ等)を介して連続・定量的に抜き出される。
【0012】
本発明で用いられる造粒装置としては、流動層レイヤリング造粒法として確立された噴霧乾燥式流動層造粒装置であれば、その構造については特に限定されるものではないが、例えば、アグロマスタAGM−SD型(ホソカワミクロン社製)が挙げられる。
この噴霧乾燥式流動層造粒装置では、従来における乾燥(噴霧乾燥又は真空乾燥)、液添(造粒用水分調整)、造粒(流動層又は押出造粒機)、球形化(転動球形化機)、仕上げ乾燥(流動乾燥機)を一つ装置(1プロセス)で実現できるので、効率的、かつ、経済的な造粒乾燥システムで粉末酸味料が得られることとなる。
【0013】
本発明において上述の流動層レイヤリング造粒法により得られる粉末酸味料の嵩密度は、0.40g/cm3〜0.95g/cm3、好ましくは0.50g/cm3〜0.90g/cm3、更に好ましくは0.50g/cm3〜0.80g/cm3とする必要がある。なお、この粉末酸味料の嵩密度の調整は、主に後述する流動層の温度を80℃〜140℃に保持することにより行うことができる。
この粉末酸味料の嵩密度を上記0.40g/cm3〜0.95g/cm3に調整することは、主に上述の酸味粉末粒子を有する酸味粉末粒子層12、12……の多層コーティング層の厚みに反映されることとなる。
この粉末酸味料の嵩密度を0.40g/cm3〜0.95g/cm3とすることにより、初めて口中において酸味成分の溶出を遅らせ、長時間口中にあっても強い酸味を発現させる、持続性に優れた目的の粉末酸味料となる。
粉末酸味料の嵩密度が0.40g/cm3未満であれば、目的の持続性に優れた粉末酸味料が得られず、しかも、従来の技術による顆粒との間に有意の効果は認められ難く、また、0.95g/cm3を越えるものは、口中で異物として感じられる可能性が高くなり、好ましくない。
なお、本発明における嵩密度の測定は、ABD−粉体特性測定器(筒井理化学会社製)にて行った。
【0014】
また、本発明における粉末酸味料の硬度は、特に限定されるものではないが、好ましくは、硬度測定器(島津製作所製、微小圧縮試験機MCTM−500形)の測定値において、0.5gf/mm2〜1.0gf/mm2、更に好ましくは0.5gf/mm2〜0.8gf/mm2とすることが望ましい。
硬度が0.5gf/mm2未満であれば、従来の技術による顆粒との効果の差が小さくなる傾向にあり、1.0gf/mm2を越えるものは、口中で異物として感じられる可能性が高くなり、好ましくない。
【0015】
更に、本発明における粉末酸味料の平均粒子径は、好ましくは、50μm〜1000μm、更に好ましくは100μm〜700μmとすることが望ましい。
平均粒子径が50μm未満であれば、酸味発現の強さが弱くなる傾向があり、また、1000μmを越えるものは、口中で異物として感じられる可能性が高くなり、好ましくない。
なお、本発明における平均粒子径は、JIS規格篩を使用した篩分法に基づいて測定したものをいう。
また、上記粉末酸味料の硬度及び/又は平均粒子径の調整は、後述する流動層の温度、送風量、噴霧溶液の流量、噴霧空気の流量と圧力などの調整により行うことができる。
【0016】
本発明で用いられる液体原料となる酸味料組成物は、酸味料を含むものであれば特に限定されるものではないが、好ましくは、酸味料、水(精製水、イオン交換水)、賦形剤から構成されるものが望ましい。
酸味料としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、酢酸、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、リン酸などが例示され、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
賦形剤としては、例えば、グルコース、フラクトース、ガラクトースなどの単糖類、ショ糖、マルトースなどの二糖類、澱粉を液化し得られる澱粉部分分解物、トラガントガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースなどの天然及び合成糊料類、ゼラチン、カゼインなどの蛋白質類などが例示され、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0017】
本発明の酸味料組成物には、更に香料を添加することもできる。このような香料としては、例えば、ペパーミント油、スペアミント油、オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油、ライム油、ラベンダー油、ジャスミン油、セージ油、ローレル油、カモミール油、バジル油、キャラウェイ油、カルダモン油、シンナモン油、ショウガ油、コリアンダー油、ゼラニウム油、ヒソップ油、オリス油、ダバナ油、エレミ油、オスマンタス油などの精油類、パプリカオレオレジン、バニラエキストラクトなどの香辛料抽出物類、l−メントール、カルボン、オイゲノール、イソオイゲノール、エステル類、イオノン、バニリン、エチルバニリン、マルトールなどの合成香料が例示され、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの香料を用いる場合において、該香料が油溶性の場合には、乳化剤と併用して用いられる。乳化剤としては、例えば、アラビアガム、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、キラヤサポニンなどが例示され、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
本発明の製造方法は、上述の如く、液体原料となる酸味料組成物から連続的に直接、球形状顆粒を製造する噴霧乾燥式流動層造粒装置を用いて、流動層レイヤリング造粒法を行うものであり、加熱した空気によって流動化させた酸味料核粒子の床の中へ酸味料組成物となる液体原料を噴霧し、流動層の温度を80℃〜140℃に保持することにより目的の粉末酸味料を製造することができることとなる。
流動層の温度は、好ましくは、90℃〜120℃、更に好ましくは95℃〜115℃とすること望ましい。
流動層の温度が80℃未満であると、水分の乾燥が遅く製造時間が長くなり、また、140℃を越えると、酸味成分の揮散、熱劣化が起こるため、目的の品質の優れた粉末酸味料を得ることが難しくなる傾向があり、好ましくない。
【0019】
なお、本発明において酸味料核粒子は、上述の如く、酸味料組成物を乳化して噴霧乾燥することにより得られるが、酸味料組成物の乳化物を流動層中に噴霧することにより、流動層中に直接生成させることもできる。
【0020】
このように構成される本発明の粉末酸味料は、液体原料(酸味料組成物)から連続的に直接、球形状顆粒を製造する噴霧乾燥式流動層造粒装置を用いて、流動層レイヤリング造粒法により得られ、かつ、該粉末酸味料の嵩密度を0.40g/cm3〜0.95g/cm3とすることにより、初めて口中において酸味成分の溶出を遅らせ、長時間口中にあっても強い酸味を発現させる、持続性に優れたものとなる。
なお、上記流動層レイヤリング造粒法により得られた粉末酸味料であっても、嵩密度が0.40g/cm3〜0.95g/cm3の範囲から外れるものでは、本発明の効果を達成することができないものとなる。また、従来の噴霧乾燥法、若しくは、噴霧乾燥装置内に流動層造粒の機能を設けた装置(流動層凝集造粒装置)、または、湿式撹拌造粒装置などにより得られた粉末酸味料の嵩密度が0.40g/cm3〜0.95g/cm3であっても、本発明の効果を達成することができないものとなる(これらの点については、更に後述する実施例、比較例等で更に詳しく説明する)。
【0021】
本発明の製造方法では、噴霧乾燥原理と流動層レイヤリング原理が複合された造粒機構を備えた噴霧乾燥式流動層造粒装置を用いて、加熱した空気によって流動化させた酸味料核粒子の床の中へ酸味料組成物となる液体原料を噴霧し、流動層の温度を80℃〜140℃に保持することにより目的の粉末酸味料を1プロセスで製造することができることとなる。
【0022】
本発明の粉末酸味料は、口中において酸味成分の溶出を遅らせ、長時間口中にあっても強い酸味を発現させる、持続性に優れたものであり、食品用に好適に用いることができ、例えば、チューインガム、チューイングキャンディー、グミ等の口中で長時間咀嚼をうけるものが挙げられる。
【0023】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0024】
〔実施例1〕
水(精製水)120g、デキストリン(DE10)90gからなる混合物を80℃まで加熱することにより溶解殺菌を行い、40℃まで冷却した。これに水(精製水)30g、クエン酸10gからなる酸溶液を加え、撹拌混合を行った。
得られた乳化液を、アグロマスタAGM−SD(ホソカワミクロン社製)を用いて、送風温度105℃にて流動層レイヤリング造粒を行い、篩過後、酸味料粉末顆粒86gを得た。
この粉末顆粒の平均粒子径は、100μm〜800μmで、嵩密度は0.75g/cm3で、硬度は0.69gf/mm2であった。
【0025】
〔比較例1〕
水(精製水)120g、デキストリン(DE10)90gからなる混合物を80℃まで加熱することにより溶解殺菌を行い、40℃まで冷却した。これに水(精製水)30g、クエン酸10gからなる酸溶液を加え、撹拌混合を行った。
得られた乳化液を、スプレードライヤー(大川原化工機社製)を用いて、送風温度150℃、排風温度80℃にて噴霧乾燥を行い、篩過後、酸味料粉末製剤91gを得た。
この粉末の平均粒子径は、50μm〜150μmで、嵩密度は0.40g/cm3で、硬度は0.32gf/mm2であった。
【0026】
〔比較例2〕
上記比較例1で得た酸味料粉末製剤300gを、0.5重量%に調製したグァーガム水溶液100gにより、フローコーター(ユニグラット社製)を用いて、送風温度70℃にて流動層造粒を行い、酸味料粉末顆粒275gを得た。
この粉末顆粒の平均粒子径は、100μm〜800μmで、嵩密度は0.25g/cm3で、硬度は0.15gf/mm2であった。
【0027】
〔比較例3〕
無水クエン酸微粉末75gを硬化油(融点50〜52℃)25gと共に、自動乳鉢(ヤマト化学社製ラボミイルモデルUT−21)により2時間混合し、油脂コーティング粉末酸味料92gを得た。
【0028】
〔試験例1〕
下記表1の処方にて、実施例1及び比較例1〜3の酸味評価を下記方法により行った。
まず、ガムベース、砂糖、ブドウ糖、コーンシロップ及びフルーツミックス粉末香料を混合し、これに本発明の実施例1、実施例1と同量のクエン酸、比較例1〜3を各々を添加し、常法に従って高剪断型ミキサーを用いて約50℃で混和し、冷却後ローラーにより圧展成形し、1枚3gの板ガムA〜Eを調製した。なお、板ガムBは酸味料を含有しない場合の例(コントロール)である。
これらの板ガムA〜Eを、専門パネラー10名にて香気酸味の官能評価を行った。
評価は、かみ始めて15秒後と、120秒後における酸味の強さの評価を、7段階法にて行った。その結果を下記表2に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
上記表1及び表2の結果から明らかなように、本発明となる実施例1を用いた板ガムAは、コントロール及び従来の技術となる比較例1〜3を用いた板ガムB〜Dによる顆粒状粉末酸味料等に較べて、酸味の持続性においてきわめて優れていることが判明した。
【0032】
〔試験例2〕
上記試験例1で調製した板ガムA〜Eを専門パネラー10名にて以下のように、香気酸味の官能評価を行った。
評価は、噛み始めて0秒後、15秒後、30秒後、60秒後、90秒後、120秒後及び150秒後における酸味の強さの評価を、5段階法にて行った。
この試験例で得られた結果〔咀嚼時間(秒)と酸味の強さ〕を図3に示す。
図3に示すように、本発明となる実施例1の粉末酸味料を用いた板ガムAは、酸味料を含有しないコントロールの板ガムB、比較例1のスプレードライ品を用いた板ガムC、比較例2の流動層造粒品を用いた板ガムD、比較例3の湿式造粒品を用いた板ガムEに較べ、酸味の持続性に優れていることが判明した。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、口中において酸味成分の溶出を遅らせ、長時間口中にあっても持続して強い酸味を発現させることができる酸味の持続性に優れた粉末酸味料及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粉末酸味料の部分断面図である。
【図2】本発明の粉末酸味料の成長メカニズムを説明する説明図である。
【図3】咀嚼時間(秒)と酸味の強さとの関係を示す特性図である。
【図4】(a)は、従来の噴霧乾燥法により得られた粉末酸味料の説明図であり、(b)は、従来の流動層凝集造粒装置により得られた粉末酸味料の説明図であり、(c)は、湿式撹拌造粒装置により得られた粉末酸味料の説明図であり、(d)は、従来の押し出し造粒機を用いて得られる円柱状造粒物の説明図である。
Claims (5)
- 液体原料から連続的に直接、球形状顆粒を製造する噴霧乾燥式流動層造粒装置を用いて、流動層レイヤリング造粒法により得られる粉末酸味料組成物であって、液体原料は酸味料、水、賦形剤から構成され、粉末酸味料組成物の嵩密度を0.40g/cm3〜0.95g/cm3、硬度を0.5gf/mm 2 〜1.0gf/mm 2 にしたことを特徴とする粉末酸味料組成物。
- 粉末酸味料組成物の平均粒子径が50μm〜1000μmである請求項1記載の粉末酸味料組成物。
- 液体原料から連続的に直接、球形状顆粒を製造する噴霧乾燥式流動層造粒装置を用いて、流動層レイヤリング造粒法により得られる粉末酸味料組成物の製造方法であって、液体原料は酸味料、水、賦形剤から構成され、加熱した空気によって流動化させた酸味料組成物核粒子の床の中へ液体原料を噴霧し、流動層の温度を80℃〜140℃に保持することにより、嵩密度0.40g/cm3〜0.95g/cm3、硬度0.5gf/mm 2 〜1.0gf/mm 2 の粉末酸味料組成物を製造することを特徴とする粉末酸味料組成物の製造方法。
- 粉末酸味料組成物の平均粒子径が50μm〜1000μmである請求項3記載の粉末酸味料組成物の製造方法。
- 酸味料組成物核粒子が、液体原料を流動層中に直接噴霧することにより生成される請求項3又は4記載の粉末酸味料組成物の製造方法。
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