ところで、連続打ちモードで連続的に釘打ちを行う場合には、トリガレバーを引き操作した状態で釘打機を被打込材へ向けて振り下ろしてノーズ部を被打込材面へ打ち当てる動作によってコンタクトアームを作動させて、振り下ろしの途中で起動バルブをオンさせて釘打機を起動させて釘を打ち込むようにしている。このように釘打機を振り下ろしながら駆動させることによって釘打機が駆動したときに発生する反動を吸収させて連続的な釘打ち込み作業をしやすくさせている。前述のように、バルブステムの操作ストロークの上死点に近い部分で起動バルブがオン作動されるように設定されていると、コンタクトアームの操作ストロークの最後の方で起動バルブがオン作動されることになり、振り下ろした釘打機のノーズ部が被打込材に着地した後で釘打機が駆動されることになって反動を吸収することができず、釘打機に大きな反動が発生して釘打機が被打込材面から大きく離反してしまうことになって作業性を損なうことがある。
上記連続打ちモード時の釘打機の反動を小さくするにはコンタクトアームのストロークの早いタイミングで起動バルブをオン作動させる必要があるが、起動バルブを早いタイミングでオン作動させるにはバルブステムのオン位置をストロークの下方向に設定する必要があり、バルブステムのオン位置を下死点側に近く設定すると、バルブステムのオン位置とオフ位置のずらし量が小さくなって、前述のように単打打ち時に反動によって釘打機が上動した際にコンタクトアームが戻されてこのときにバルブステムがオフ位置まで下降してしまい起動バルブがオフ状態となり再度コンタクトアームが操作されることによって釘打機が再駆動してしまうドリブルが発生してしまったり、又は、釘打機にエアが供給されていない状態でコンタクトアームを操作した後にトリガレバーを引き操作して単発打ちモードを保持させた状態で起動バルブのバルブステムが切換作動部材によってオン位置より上方に配置されてしまうことがあるため、この状態でエアチャックを接続したときに起動バルブがオン作動して釘打機が誤作動してしまうことがある。
本発明は上記従来技術における問題点を解消し、連続打ち、単発打ちの各モードの切換え設定がトリガレバーとコンタクトアームの2つの部材の操作順によって自動的に行えるとともに、連続打ちモードでの釘打機の反動を減少させることができ、更に、単発打ちモード時のドリブルの発生と、単発打ちモードを保持した状態でエアチャックを接続したときの誤作動が防止できる釘打機の起動装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため本発明の釘打機の起動装置は、釘を打撃するドライバを衝撃的に駆動させる打撃機構と、該打撃機構を収容するとともに先端部に前記ドライバを摺動自在に案内するノーズ部が取り付けられたハウジングと、前記打撃機構に圧縮空気を供給して前記ドライバを駆動させるとともにドライバを駆動した圧縮空気を排気させて打撃機構を初期位置に復帰させるように作動させる起動バルブと、ハウジングを把持している手指によって操作されるトリガレバーと前記ノーズ部を被打込材へ接触させることによって操作されるコンタクトアームとにより構成された起動装置とを備えており、該起動装置によって前記起動バルブを操作させるようにした釘打機において、前記起動装置が更に、コンタクトアームと併設して配置されるとともに上下方向へスライド可能に設けた連打レバーと、トリガレバーの回動操作によって作動されて前記連打レバーをコンタクトアームに連結させるロック部材とを備えて構成されており、連続打ちモード時の最初に操作されるトリガレバーの回動によってロック部材を作動させて連打レバーとコンタクトアームとを連結させ、コンタクトアームの操作によって連打レバーを介してコンタクトレバーを上方へ回動操作させることによりバルブステムをオン作動させるようにし、コンタクトアームを最初に操作する単発打ちモード時には、コンタクトアームによってコンタクトレバーを上方へ回動操作させてバルブステムをオン作動させるとともに、反動によるコンタクトアームの戻り作動によって、コンタクトレバーをコンタクトアーム先端部から離脱させてコンタクトレバーをコンタクトアームの作動軌跡上から退避した位置へ回動させるようにしたことを特徴とする。
また、請求項2の発明は、釘を打撃するドライバを衝撃的に駆動させる打撃機構と、該打撃機構を収容するとともに先端部に前記ドライバを摺動自在に案内するノーズ部が取り付けられたハウジングと、前記打撃機構に圧縮空気を供給して前記ドライバを駆動させるとともにドライバを駆動した圧縮空気を排気させて打撃機構を初期位置に復帰させるように作動させる起動バルブと、ハウジングを把持している手指によって操作されるトリガレバーと前記ノーズ部を被打込材へ接触させることによって操作されるコンタクトアームとにより構成された起動装置とを備えており、該起動装置によって前記起動バルブを操作させるようにした釘打機において、前記起動装置が更に、コンタクトアームと併設して配置されるとともに上下方向へスライド可能に設けた連打レバーと、トリガレバーの回動操作によって作動されて前記連打レバーをコンタクトアームに連結させるロック部材とを備えて構成されており、連続打ちモード時の最初に操作されるトリガレバーの回動によってロック部材を作動させて連打レバーとコンタクトアームを連結させ、コンタクトレバーをコンタクトアームよりも高い位置の連打レバーと係合させることで、コンタクトアームの操作ストロークの早いタイミングで起動バルブをオン作動させるように設定し、単発打ちモード時の最初に操作されるコンタクトアームによって、コンタクトレバーを前記連打レバーよりも低い位置のコンタクトアームと係合させることで、前記連続打ちモード時よりも遅いタイミングで起動バルブをオン作動させるように設定したことを特徴とする。
本発明の釘打機の起動装置は、連打レバーをコンタクトアームと併設して上下方向にスライド可能に設け、連続打ちモード時のトリガレバーの回動操作により作動されるロック部材によって連打レバーをコンタクトアームと一体に連結させ、コンタクトアームの先端よりも高い位置に設定されている連打レバーによってコンタクトレバーを上方へ回動させるようにして、コンタクトアームの操作ストロークの早いタイミングで起動バルブをオン作動させるようにしているので、釘打機を被打込材へ振り下ろし操作の途中で釘打機を起動させることができ、釘打機の駆動による反動を小さくでき、連続打ち作業を楽に行うことが可能となる。
また、単発打ちモード時には、コンタクトアームと連打レバーとを連動させずにコンタクトアームのみを上方へ操作して、連打レバーよりも低い位置に設定されているコンタクトアームの上端によってコンタクトレバーを回動させて、コンタクトアームの操作ストロークの上死点に近い部分で起動バルブをオンさせるようにし、更に、釘打機の駆動の反動によってコンタクトアームが戻り方向に作動することによってコンタクトレバーとコンタクトアームとの係合を解離させて、コンタクトレバーをコンタクトアームの作動軌跡上から退避する位置へ回動させるようにしているので、上動した釘打機が再度被打込材へ着地することによってコンタクトアームが再操作されても、この際操作によってコンタクトレバーが回動されることが無く従って釘打機の反動によるドリブル打ちが防止できる。
更に、ノーズ部を被打込材に押し当ててコンタクトアームを操作させてトリガレバーを引き操作した単打保持状態であっても、ノーズ部を被打込材から離反させることによってコンタクトアームを非操作状態にすることによって、コンタクトレバーがバルブステムをオフ位置へ作動され起動バルブがオフ作動状態に維持されるので、この状態で釘打機をエア供給源へ接続した場合でも釘打機が起動してしまうことが無く、エア接続時の誤作動が発生しない。
また、連打レバーとコンタクトアームとによって高さの異なる係合位置を形成することで、連続打ちモード時と単発打ちモード時でのコンタクトレバーの支持高さを変えてトリガレバー操作における起動バルブのオン作動位置を変えることができ、これによって、前述の連続打ちモード時の釘打機の反動減少や単発打ちモード時のドリブル打ち防止、エア接続時の誤作動防止が可能となる。
図1に示すように釘打機1は後方に向けてグリップ部8が一体に形成されたハウジング2の内部に、下面に釘を打撃するドライバ3を結合したピストン4と該ピストン4を摺動自在に収容しているシリンダ5とにより構成されている打撃機構が収容されており、このハウジング2の先端部にはピストン4に結合されているドライバ3を摺動案内する射出口6が形成されたノーズ部7が取り付けられている。前記ハウジング2に形成されたグリップ部8の内部にはグリップ部8の後端に取り付けられているエアプラグ9を介して圧縮空気源から供給される圧縮空気を溜めるためのエアチャンバ10が形成されており、このエアチャンバ10内の圧縮空気を前記シリンダ5内に供給することによってピストン4を衝撃的に駆動させて、前記射出口6内に供給された釘をドライバ3によってノーズ部7の先端方向へ打ち出すようにしている。
前記ハウジング2内のシリンダ5の上方には、シリンダ5内へエアチャンバ10内の圧縮空気を供給してピストン4を駆動させ、また、ピストン4を駆動させた後の圧縮空気をシリンダ5内から大気へ排出させてピストン4を復帰作動させるための環状に形成されたメインバルブ11が設けられている。このメインバルブ11は前記ハウジング2の上部に配置されている上部ハウジング12に形成されている環状チャンバ13内にメインバルブ11の上端部が収容されて配置されており、この環状チャンバ13内へ圧縮空気が供給されることによってメインバルブ11が下方向へ作動されてシリンダ5内をエアチャンバ10と遮断させるとともにシリンダ5を大気へ接続させるように作動され、また、環状チャンバ13内の圧縮空気が大気に排気されることによってメインバルブ11の下端部に作用しているエアチャンバ10内の圧縮空気によってメインバルブ11が上方へ作動されて、シリンダ5内を大気と遮断させるとともにエアチャンバ10へ接続させるように作動させられる。
更に前記グリップ部8の基部には、前記メインバルブ11が収容されている環状チャンバ13内の圧縮空気を制御してメインバルブ11を作動させて釘打機1を起動させる起動バルブ15が設けられている。図2に示すように起動バルブ15は、下端のピストン部がシリンダ状に形成されているバルブハウジング16内に摺動自在に収容されている中空状のパイロット弁18と、上端部が前記パイロット弁18の中空部内に収容されるとともに下端が前記バルブハウジング16から突出されるように配置されているバルブステム19により構成されている。パイロット弁18の上部には、前記環状チャンバ13に連通しているエア通路17を前記エアチャンバ10と排気チャンバ14間に選択的に接続させるように作動する弁体が一体に形成されている。また、前記バルブステム19は、前記バルブハウジング16内の前記パイロット弁18のピストン部の下方に形成されるバルブチャンバ20内を大気と遮断又は連通状態にさせるとともに、前記パイロット弁18と協働して該バルブチャンバ20内への圧縮空気の流入又は遮断を制御するように作動する。
図3(a)に示すように、前記バルブステム19には、バルブハウジング16内に形成された筒状部21内に嵌合される第一Oリング22と前記パイロット弁18の中空部内に嵌合される第二Oリング23とを備えており、図3(a)に示すように、バルブステム19が下死点に配置されている操作前には第一Oリング22がバルブハウジング16の筒状部21内に嵌合されてバルブチャンバ20内と大気間を連通させている排気口26を遮断させている。バルブチャンバ20内にはパイロット弁18の周壁面に形成された開口24を介してエアチャンバ10内の圧縮空気が供給されており、この圧縮空気の圧力によってパイロット弁18が上方へ移動されて、パイロット弁18の上端が排気弁座25と密着されて前記エア通路17を排気チャンバ14と遮断させるとともにエア通路17をエアチャンバ10と接続させてメインバルブの環状チャンバ13へ圧縮空気を供給してシリンダ5とエアチャンバ10間を遮断させるように作動させている。
バルブステム19が上記下死点位置から上方へ操作されて図3(b)に示すように、バルブステム19が下死点位置からA寸法のオン位置まで作動されると、バルブステム19の第一Oリング22がバルブハウジング16の筒状部21から抜け出され、バルブチャンバ20内の圧縮空気が排気口26から排気されてバルブチャンバ20内の圧力が低下し、これによってパイロット弁18はエアチャンバ10内の圧縮空気がピストン部の上面側に作用することによって下方向に作動されて、パイロット弁18の上部に配置されている第三Oリング27が環状スリーブ28の上端に形成されている給気弁座29と嵌合してエア通路17とエアチャンバ10間を断させるとともにパイロット弁18の上端が排気弁座25から離反されてエア通路17を排気チャンバ14へ連通させて環状チャンバ13内の圧縮空気を大気へ排気させる。これによってメインバルブ11が上方へ作動されてシリンダ5内をエアチャンバ10と連通させエアチャンバ10内の圧縮空気をシリンダ5内へ供給させる。
起動バルブ15のバルブチャンバ20内の圧縮空気が排気されてパイロット弁18が下方に作動して起動バルブ15がオン状態に作動すると、パイロット弁18の中空部内にバルブステム19の第二Oリング23が嵌合されて、開口24を介してバルブチャンバ20内へ供給される圧縮空気を遮断させる。起動バルブ15がオンされた後バルブステム19が下方向へ操作されると、バルブステム19の第一Oリング22がバルブハウジング16の筒状部21に嵌合してバルブハウジング16を大気と遮断させるが、このときには上記のように第二Oリング23がパイロット弁18の中空内へ嵌合されておりバルブチャンバ20内への圧縮空気の流入を遮断させているので起動バルブ15はオン状態を維持している。図3(c)に示すようにバルブステム19が下死点からB寸法のオフ位置まで作動されると、バルブステム19の第二Oリング23がパイロット弁18の中空部から抜け出されて、バルブチャンバ20内へ開口24を介して圧縮空気が供給されてこの圧縮空気によってパイロット弁18が上方へ作動されて起動バルブ15がオフ状態に作動される。
要するに、バルブステム19が下死点位置から図3(b)に示すA寸法分上方に向けたオン位置へ操作されることによって起動バルブ15がオン状態に作動されて打撃機構が駆動され、また、上記オン作動状態からバルブステム19が下方に操作されて図3(c)に示すように下死点位置からB寸法のオフ位置まで作動されたときに起動バルブ15がオフ状態に作動されて打撃機構が初期状態に復帰させられる。
起動バルブ15のバルブハウジング16から下方へ突出されているバルブステム19の下方にはこのバルブステム19を操作するための起動装置30が形成されている。起動装置30は、図1に示すようにグリップ部8を把持した手の指によって操作できるようにグリップ部8の基部に枢着軸31によって回動可能に形成されているトリガレバー32と、釘を打ち込み案内する射出口6が形成されたノーズ部7に沿って摺動可能に支持されているコンタクトアーム33及び、前記起動バルブ15のバルブステム19と係合して該バルブステム19を操作するように前記トリガレバー32の両側壁の間に配置されているコンタクトレバー34により構成されている。前記コンタクトアーム33は下端部33aが射出口6の先端方向に突出して配置されており、ノーズ部7を被打込材へ押し当てることによって前記下端部33aを被打込材と係合させてノーズ部7に沿ってスライド作動させるようにしている。
図2に詳細に示すように、トリガレバー32は断面がU字状に形成されており、その前方端においてハウジング2に枢着軸31によって回動可能に枢支され、グリップ部8を把持している手の指によって前記枢着軸31を中心として回動操作できるようにされている。前記起動バルブ15のバルブステム19と係合してこのバルブステム19を上方へ押し上げ操作するためのコンタクトレバー34の基端部35が前記トリガレバー32の両側壁間に架設されている支軸37によって回転自在に支持されて設けられている。コンタクトレバー34の他端側はトリガレバー32の枢着軸31の方向に配置されて操作端36を形成している。
また、下端部33aが射出口6の先端方向に突出して配置されているコンタクトアーム33の上端にはL字片38が取り付けられており、このL字片38の上面に配置されているバネ39によってコンタクトアーム33の下端部33aが射出口6の先端方向へ突出するようにスライド付勢されている。上記L字片38の垂直方向上方に延びた垂直片38aが前記コンタクトレバー34の操作端36の下方に配置されており、この垂直片38aの上端には前記コンタクトレバー34の操作端36側の下面と係合してコンタクトレバー34の操作端36側を支持させる第1支持部40が形成されている。更にL字片38の垂直片38aと隣接させてこの垂直片38aに沿って上下方向にスライド移動可能に連打レバー41が設けられており、この連打レバー41の上端に前記コンタクトレバー34の操作端36側の下面と係合してコンタクトレバー34の操作端36側を支持する第2支持部42が形成されている。この連打レバー41に形成されている第2支持部42は垂直片38aに形成されている前記第1支持部40よりも高い位置に形成されている。
前記上記L字片38には、トリガレバー32を回動操作したときにトリガレバー32に形成されている係合部32aと係合されることによって作動されて前記L字片38と連打レバー41とを一体に連結させるようにしたロック部材43が設けられている。このロック部材43にはL字片38の垂直片38aに形成されている貫通孔44内に遊嵌されているロックピン45が形成されており、このロックピン45がL字片38の貫通孔44を貫通して前記連打レバー41に形成されている係合穴46に嵌合することによってL字片38と連打レバーとが上下方向に一体に作動するように結合される。前記貫通孔44と係合穴46は、L字片38と連打レバー41とがともに非作動状態のときに貫通孔44と係合穴46が整合状態に配置されるように形成されており、この状態の時にトリガレバー32を操作することによってロック部材43がトリガレバー32によって作動されて、貫通孔44側から突出されたロックピン45が係合穴46内に嵌合されて、その後のコンタクトアーム33の作動によってL字片38と連打レバー41とが一体で上方へ作動されるようになる。
上記構成の釘打機1の起動装置30による連続打ちモードと単発打ちモードの各作動態様を説明する。連続打ちモードを選択する場合は、図4に示すように、まずグリップ部8を把持している手の指によってトリガレバー32を引き操作して、トリガレバー32を最大引き操作位置まで回動させる。このようにトリガレバー32を引き操作することによりトリガレバー32に架設されている支軸37を介してコンタクトレバー34の基端部35側が上方へ移動されるように回動され、これによってコンタクトレバー34は反時針方向に回動してコンタクトレバー34の背面がバルブステム19と係合されるが、この状態では起動バルブ15のバルブステム19がオン位置まで操作されることがなく釘打機1は起動されない。上記のトリガレバー32の回動操作によって、トリガレバー32に形成されている係合部32aがロック部材43と係合してこのロック部材43をスライド作動させて、ロック部材43のロックピン45を貫通孔44から連打レバー41の方向へ突出させて連打レバー41に形成されている係合穴46内に嵌合して、これによってL字片38と連打レバー41とが一体に連結させられる。
次に、釘打機1のノーズ部7を上方から被打込材面へ向けて振り下ろし操作してノーズ部7の先端を被打込材の表面に打ち当てるようにして図5に示すように、コンタクトアーム33をスライド操作する。このコンタクトアーム33の操作によってコンタクトアーム33の上端に形成されているL字片38と、このL字片38と一体に連結された連打レバー41とが上方へ作動される。連打レバー41の上端に形成されている第2支持部42は高い位置に設定されているのでこの第2支持部42がコンタクトレバー34の操作端36と係合して、コンタクトレバー34の操作端36を上方へ移動させてコンタクトレバー34を前記支軸37を中心として回動させる。このように回動されるコンタクトレバー34の背面によりバルブステム19が押し上げ操作されて、バルブステム19が前述の図3(b)に示すオン位置まで操作されたときに起動バルブ15がオン作動されて打撃機構を作動させ被打込材に対して釘が打ち込まれる。コンタクトレバー34の操作端36は高い位置に設定されている連打レバー41の第1支持部によって上方へ移動されるので、コンタクトアーム33のスライド操作ストロークの早いタイミングで起動バルブ15がオン作動させるため、釘打ち込み時の反動が少なくなる。
上記操作によって最初の釘打ちが終了した後に、トリガレバー32を引き操作したままで釘打機1のノーズ部7を被打込材面から離反させると、図4に示すように、L字片38とコンタクトアーム33がバネ39の作用によって下方に移動され、このL字片38と一体に連結されている連打レバー41もL字片38と一体に下降して、コンタクトレバー34の操作端36側が下方向に移動して基端部35側を中心として時針回り方向に回動して、この回動に伴ってバルブステム19が下降して起動バルブ15をオフ作動させて打撃機構が初期状態に復帰する。この状態から再び釘打機1を振り下ろししてコンタクトアーム33を操作すると、コンタクトアーム33とともにL字片38と連打レバー41が上動して第2支持部42によってコンタクトレバー34の操作端36側を上方へ回動させてバルブステム19を上死点まで押し上げるので、再度起動バルブ15がオン作動し打撃機構が駆動される。
このように、トリガレバー32を引き操作したまま釘打機1のノーズ部7を被打込材に押し付け、また離反させる操作を繰り返して行うことによってコンタクトアーム33を操作する度に起動バルブ15がオン、及びオフ作動されて打撃機構が連続的に駆動されるから、連続打ちを行なうことができる。また、一連の連続した釘打ち作動が終了した後にトリガレバー32を解放操作すれば、L字片38と連打レバー41の連結状態が解離されて図2に示す初期状態に復帰し、コンタクトアーム33を操作してもバルブステム19がオン作動することがない。上記のように単にコンタクトアーム33の操作に先立ってトリガレバー32を引き操作してこの状態を保持することによって連続打ちモードの設定ができ、トリガレバー32を保持したままでコンタクトアーム33を連続して操作させることによって釘を連続して打ち込むことが可能となる。
次に、単発打ちモードで釘打ちを行う場合は、まず釘打機1のノーズ部7を被打込材に押し当ててコンタクトアーム33を上方に作動させる。トリガレバー32が回動操作されていないのでロック部材43は作動しておらず、従って連打レバー41とL字片38とが連結されてなく連打レバー41は上方へは作動されない。従って、図6に示すようにコンタクトアーム33の上端に固定されているL字片38が上方へ移動操作されて、L字片38の上端に形成されている第一支持部40がコンタクトレバー34の操作端36と係合してコンタクトレバー34の操作端36側を上方へ移動させるようにコンタクトレバー34をトリガレバー32に架設されている支軸37を中心として回動させる。この状態ではトリガレバー32が回動操作されていないのでコンタクトレバー34の基端部35側が下方に配置されており、コンタクトレバー34の背面はバルブステム19を押し上げ操作しておらず、従って釘打機1は起動されない。
この後、トリガレバー32を引き操作することによって、図7に示すように、トリガレバー32が枢着軸31を中心として回動されて支軸37が上方へ移動されることにより、コンタクトレバー34の基端部35側が上方へ押し上げられるように回動される。コンタクトレバー34の操作端36はL字片38の垂直片38aの上端に形成されている第1支持部40に支持されており、コンタクトレバー34の基端部35側が上方へ回動されることによって操作端36側を中心として反時針回り方向に回動して、このコンタクトレバー34の背面によって起動バルブ15のバルブステム19を上方へ押圧させて起動バルブ15をオン作動させて釘打機1を起動させる。なお、このときのトリガレバー32の回動操作によってロック部材43が作動されてロックピン45が貫通孔から連打レバー41の方向へ突出されるが、ロックピン45は連打レバー41の係合穴46とずれた位置に配置されているため、ロックピン45が係合穴46内に嵌合されず連打レバー41とL字片38との連結は行われない。
コンタクトアーム33とトリガレバー32を操作して前述のように釘打機1を駆動させたとき、反動によって釘打機1が上動してノーズ部7の先端が被打込材面から離反してこれによってコンタクトアーム33が下方向へスライド作動すると、図8に示すように、コンタクトアーム33の上端に取り付けたL字片38に形成されている第1支持部40がコンタクトアーム33とともに下方向へ移動して、これに伴ってコンタクトレバー34の操作端36が下方向へ移動するようにコンタクトレバー34が支軸37を中心として回動される。L字片38の第1支持部40がコンタクトレバー34の操作端36の回動軌跡から外れる位置まで下降したときに、コンタクトレバー34の操作端36が第1支持部40から外れてコンタクトレバー34が一気に回動して、起動バルブ15のバルブステム19をオフ作動位置へ作動させて釘打機1を初期状態に復帰させる。このとき、コンタクトレバー34の操作端36はL字片38の第1支持部40の作動軌跡上から退避した位置に配置される。
反動によって上動した釘打機1が被打込材上に下降して、再度コンタクトアーム33が上方へ操作されると、図9に示すように、コンタクトアーム33が上方へ操作されてL字片38の上端に形成されている第1支持部40が上方へ移動されるが、コンタクトレバー34の操作端36は第1支持部40のスライド作動軌跡から後方側へ退避した位置に配置されているので、この第1支持部40によってコンタクトレバー34が回動操作されることが無く、従って、上記のように釘打機1の反動によってコンタクトアーム33が再作動することがあっても釘打機1が再起動することが無く、従って、ドリブル打ちが防止できる。なお、上記のように単発打ちモードでの釘打ちが終了した後に、釘打機のノーズ部を被打込材面から離反させてコンタクトアーム33を下方へ復帰作動させ、トリガレバー32を開放させることによって、図2に示す初期状態に復帰する。
単発打ちモードの操作時では、前述のようにコンタクトアーム33を操作することによってコンタクトレバー34を低い位置に設定されている第1支持部40と係合させ、この後にトリガレバー32を回動操作することによってコンタクトレバー34を回動させてバルブステム19をオン位置まで操作させるとともに、反動によりコンタクトアーム33が下方向へ移動したときにコンタクトアーム33の第1支持部40とコンタクトレバー34との係合を解除させて、コンタクトレバー34の操作端36をコンタクトアーム33の第1支持部40のスライド軌跡上から退避した位置へ配置させるようにしている。これによって、上記単発打ちモード時の反動によって釘打機1が上方へ跳ね上がり釘打機1が再度被打込材へ着地することによってコンタクトアーム33が作動してもドリブル打ちの発生が防止できる。
また、コンタクトアーム33が操作されていない状態では常に起動バルブ15のバルブステム19が下死点まで降下されて起動バルブ15がオフ作動した状態にされているため、コンタクトアーム33を操作した後でトリガレバー32を操作して単発打ちモード状態を維持したままで釘打機1を圧縮空気源に接続操作しても釘打機1は起動されることが無く接続時の誤作動を防止することができる。