JP4039285B2 - ファンモータ取付構造および空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調装置等においてファンモータを装置本体に取り付けるためのファンモータ取付構造、およびそのファンモータ取付構造を採用した空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に空調装置には、室内空気を吸い込み、加熱して部屋に送風(暖房運転)したり、建物の外へ排気(換気運転)したりするファンと、このファンを回転駆動するためのファンモータとが設けられている。
【0003】
従来、ファンモータを空調装置本体に取り付けるには、図8に示すようなファンモータ取付構造が知られている。このファンモータ取付構造においては、リング状の防振ゴム1に円周方向に沿って等間隔に複数の孔1Aが設けられ、各孔1Aにはカラー2が挿入されている。また、ファンモータ3には複数箇所に取付孔3Aが形成され、各取付孔3Aに通されたねじ4がカラー2に挿通され、さらに装置本体のねじ孔4Aに螺合されている。
【0004】
しかし、このファンモータ取付構造では、リング状の防振ゴム1だけで、しかもねじ4とカラー2を用いてファンモータ3が装置本体に取り付けられているので、ファンモータ3の振動がねじ4とカラー2を介して装置本体に伝わってしまい、防振効果はあまり期待できなかった。
【0005】
そこで、図9に示すようなファンモータ取付構造が考えられている。このファンモータ取付構造は、ファンモータ5の上面と下面に円形の防振ゴム6,7が設けられ、これらファンモータ5と防振ゴム6,7とがモータ取付ケース8A,8Bに収納されている。モータ取付ケース8A,8Bは二つ割形状をなしており、左右からファンモータ5と防振ゴム6,7を挟み込むようにして一体化される。そして、モータ取付ケース8A,8Bに形成された複数の取付穴8Cにねじ9が挿通され、各ねじ9は装置本体(図示省略)のねじ孔に螺合される。この種のファンモータ取付構造に関しては、従来より、種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
上記ファンモータ取付構造においては、ファンモータ5とモータ取付ケース8A,8Bとの間には防振ゴム6,7が介在されているので、ファンモータ5の振動が直接装置本体に伝わることはなく、防振効果が発揮される。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−331803号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では、モータ取付ケース8A,8Bの内壁面で防振ゴム6,7の軸部6A,7Aおよび円板部6B,7Bの両側からファンモータ5を押圧して固定する防振構造であるため、防振ゴム6,7の軸部6A,7Aの径と円板部6B,7Bの厚さの寸法精度が必要となり、防振ゴム6,7が摩耗したり、ファンモータ5がそれ自身の回転力により逆転方向に回転してしまったり、また、ねじ9の締め付け状態によっては防振ゴム6,7との摩擦抵抗が減少するため、ファンモータ5の位置が安定せずにかえって振動や騒音が発生するという問題があった。
【0009】
本発明の課題は、より確実に防振対策を行うことが可能なファンモータ取付構造、およびそのファンモータ取付構造を採用した空調装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ファンモータに取り付けられる円筒状の第1の防振部材と、周縁部内側に複数の貫通孔が形成され、かつ前記周縁部には複数の切り込みが形成された取付部材と、リング状を成し、その円周方向に沿って前記取付部材の切り込みに対応させて複数の凸部を有し、かつ前記各凸部には貫通孔が形成された第2の防振部材とを備え、前記第1の防振部材が前記取付部材の貫通孔に嵌合され、さらに前記第1の防振部材に挿通された第1の締結部材によって、前記ファンモータと前記取付部材とが締結され、前記第2の防振部材の凸部が前記取付部材の切り込みに係合され、さらに前記凸部の貫通孔に挿通された第2の締結部材によって、前記取付部材と装置本体とが締結されていることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、第1の防振部材と第2の防振部材からなる二重の防振構造によって、ファンモータが装置本体に取り付けられているので、振動や騒音が低減され、大きな防振効果が得られる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記取付部材および前記ファンモータは、前記第1の締結部材および第2の締結部材によって、当該ファンモータの回転軸を中心にして回転することが規制されていることを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、ファンモータの位置が安定し、より確実に防振対策を行うことが可能である。
また、ファンモータと取付部材とは第1の締結部材で締結されているので、ファンモータの回転軸を中心にして互に逆方向に回転することはなく、しかも第1の締結部材が第1の防振部材の中に挿通されているので、防振効果が低下することはない。また、取付部材と装置本体は第2の締結部材で締結されているので、上記と同様、ファンモータの回転軸を中心にして互に逆方向に回転することはなく、しかも第2の締結部材が第2の防振部材の中に挿通されているので、防振効果が低下することもない。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1において、前記第2の防振部材の凸部は、上部が大径部に、下部が小径部にそれぞれ形成され、前記小径部の部分は、前記取付部材の周縁部に形成された半円形状の前記切り込みに係合することを特徴としている。
【0018】
請求項4は空調装置の発明である。すなわち、請求項4に記載の発明は、室内の空気を循環または/および排気するファンと、前記ファンを回転駆動するファンモータとを備えた空調装置であって、前記ファンモータが、請求項1〜3のいずれか1項に記載のファンモータ取付構造により、装置本体に取り付けられていることを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1によるファンモータ取付構造を示している。このファンモータ取付構造は、図1に示すように、ファンモータ10と、第1の防振部材としての3個のウェルナット11と、取付板12と、第2の防振部材としてのリング状の防振ゴム13とを備えている。
【0020】
ファンモータ10はその中心部に回転軸14を有し、この回転軸14の途中には円形状の防振ゴム15が挿入されている。防振ゴム15は回転軸14に固定されてはおらず、自由に回転できる。ファンモータ10は円柱形をなし、その外周面下部には120度間隔で3箇所(図では2箇所のみ示してある)にブラケット16が設けられ、これらブラケット16には孔16Aが形成されている。孔16Aには、第1の締結部材(第1のねじ)としてバインド小ねじ17が挿通される。
【0021】
ウェルナット11は、図2に示すように、円筒形の胴部18と、この胴部18の上面に設けられた円形の頭部19とを有し、これら胴部18および頭部19は防振ゴムで構成されている。胴部18内下部にはナット20が埋め込まれ、また、頭部19にはリング状の座金21が埋め込まれている。座金21にはバインド小ねじ17が挿通される。
【0022】
取付部材としての取付板12は金属製または樹脂製で、図1に示すように円形をなし、その中心部には貫通孔22が形成されている。貫通孔22の内径は、ファンモータ10の回転軸14に挿入された防振ゴム15の外径よりも僅かに小さく形成されている。
【0023】
また、取付板12には周縁部よりも少し内側に120度間隔で3箇所に貫通孔23が形成され、これら貫通孔23にはウェルナット11の胴部18が挿通される。さらに、取付板12には、その周縁部に略半円形状の切り込み24が4箇所に形成され、これら切り込み24には第2の締結部材(第2のねじ)としてバインドPタイトねじ25が通される。
【0024】
防振ゴム13は、取付板12の外径に略等しいリング状をなし、全体が防振性のゴムで形成されている。また、防振ゴム13の上面には4箇所に凸部26が設けられ、これら凸部26は取付板12の切り込み24に合致する位置に形成されている。凸部26は、図3に示すように、小径部27と、その小径部27の上部に設けられた大径部28とを有し、大径部28、小径部27および防振ゴム13本体を貫通して貫通孔29が形成されている。貫通孔29には小円筒体のカラー30が挿入される。
【0025】
上記構成のファンモータ取付構造において、ファンモータ10に取付板12を取り付けるには、先ず、各ウェルナット11を取付板12の貫通孔23に嵌合させる。このとき、ウェルナット11内のナット20が取付板12の下側に来るまでウェルナット11を押し込む。
【0026】
次に、ファンモータ10と取付板12とを互に近付けて、ファンモータ10の回転軸14を取付板12の貫通孔22に挿入し、防振ゴム15を貫通孔22に嵌合させる。これにより、ファンモータ10の回転軸14は防振ゴム15を介して取付板12に支持される。
【0027】
また、ファンモータ10と取付板12とを互に近付ける際に、ファンモータ10のブラケット16底面とウェルナット11上面とを位置合わせする。そして、バインド小ねじ17をブラケット16の孔16Aを介してウェルナット11内の座金21に挿通させ、さらに、図2に二点鎖線で示すように、バインド小ねじ17をウェルナット11内のナット20に螺合させる。これにより、ファンモータ10と取付板12とはウェルナット11を介して互に締結され、本実施の形態では、この締結されたものをモータユニットという。
【0028】
このモータユニットを空調装置等に取り付ける場合は、防振ゴム13を介して空調装置本体に取り付ける。この場合、先ず防振ゴム13の各凸部26の貫通孔29にカラー30を挿入し、さらに凸部26を取付板12周縁の切り込み24に係合させる。防振ゴム13はゴムで形成されており伸縮自在であるから、防振ゴム13全体を広げれば、凸部26を切り込み24に容易に係合させることができる。実際には、図3に示したように凸部26には大径部28の下側に小径部27が設けられているので、凸部26を切り込み24に係合させたとき、小径部27が切り込み24に嵌合することになる。
【0029】
次に、バインドPタイトねじ25を防振ゴム13の凸部26内のカラー30に挿通させ、さらにそのバインドPタイトねじ25を空調装置の本体ケース(図示省略)に取り付ける。これにより、ファンモータ10(またはファンユニット)を本体ケースに締結することができる。図1において、25Aは本体ケースに設けられたねじ孔であり、ねじ25が螺合される。
【0030】
本実施の形態によれば、防振ゴムで形成されたウェルナット11と防振ゴム13からなる二重の防振構造によって、ファンモータ10等が空調装置の本体ケースに取り付けられるので、大きな防振効果が期待できる。
【0031】
また、ウェルナット11にはバインド小ねじ17が、防振ゴム13にはバインドPタイトねじ25がそれぞれ挿通されているので、ファンモータ10の動作時(回転軸14の回転時)にファンモータ10(外郭体)が逆転方向へ回転するのを規制(防止)することができ、ファンモータ10の適切な位置固定が行える。
【0032】
さらに、本実施の形態によれば、取付板12に形成される貫通孔23の位置(取付板12の半径方向に沿った位置)を色々と変位させれば、サイズの異なる種々のファンモータ10にも対応でき、取付板12に互換性を持たせることが可能となる。
(実施の形態2)
図4は実施の形態2を示している。本実施の形態では、実施の形態1に比べて、取付板12と防振ゴム13の位置が逆転している。すなわち、ファンモータ10と取付板12との間に防振ゴム13が配置されている。
【0033】
防振ゴム13の凸部26は取付板12の切り込み24に係合するので、本実施の形態では、防振ゴム13は凸部26が下側にくるように配置されている。そして、カラー30は下方から凸部26内に挿入され、またバインドPタイトねじ25は下方から上方(ファンモータ10側)に向かってカラー30内に挿通される。
【0034】
本実施の形態においては、矢印A方向に空調装置の本体ケースが存在し、ファンモータ10(またはファンモータユニット)は防振ゴム13を介して本体ケースの一部に取り付けられる。
【0035】
図5は、ファンモータ10をウェルナット11および防振ゴム13を用いて本体ケースに取り付けたときの、一部を断面にして示した図である。図5において、31は本体ケースのボスである。なお、図5ではファンモータ10の内部構成(ロータ、ステータ、ベアリング等)は省略されている。
【0036】
本実施の形態も、実施の形態1と同様な作用効果を得ることができる。
(実施の形態3)
図6および図7は実施の形態3による空調装置を示しており、この空調装置は、浴室等の天井や壁に設置され、換気、乾燥、暖房、涼風等の少なくともいずれか1つの空調機能を有する。
【0037】
本実施の形態の空調装置においては、図6に示すように、ファンモータユニット40は防振ゴム13を介して本体ケース41に取り付けられている。ファンモータユニット40は、図1に示したのと同様なもので、例えばファンモータ10と取付板12とがウェルナット11を介して締結され、ユニット化されたものである。
【0038】
本体ケース41にはダンパ取付部42とヒータ取付部43が設けられ、ダンパ取付部42にダンパ44が、ヒータ取付部43にヒータユニット45がそれぞれ取り付けられる。また、モータユニット40の回転軸14には、ファンケース46に収納されたファン47が連結され、ファン47はモータユニット40内のファンモータによって回転駆動される。ファンケース46の開口部はファンケース蓋48で覆われている。
【0039】
また、本体ケース41は不燃カバー49で覆われている。図7は、本体ケース41と不燃カバー49を図6とは反対方向から見た図である。本実施の形態の空調装置は、ダンパ取付部42に取り付けられたダンパ44を切換操作することにより、ファン47により吸い込まれた室内空気を建物の外へ排気したり、ヒータユニット45で暖めてから部屋に送風したりすることができるようになっている。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、第1の防振部材と第2の防振部材からなる二重の防振構造によって、ファンモータが装置本体に取り付けられているので、大きな防振効果を得ることができる。
【0041】
また、第1の防振部材に第1の締結部材が、第2の防振部材に第2の締結部材がそれぞれ挿通されているので、ファンモータの回転時にファンモータが逆方向へ回転するのを防止することができ、これにより、ファンモータの位置が安定するため、より確実に防振対策を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1によるファンモータ取付構造を示す分解斜視図である。
【図2】ウェルナットの内部構成図である。
【図3】防振ゴムの凸部の内部構成図である。
【図4】実施の形態2によるファンモータ取付構造を示す分解斜視図である。
【図5】ファンモータをウェルナットおよび防振ゴムを用いて本体ケースに取り付けたときの、一部を断面にして示した図である。
【図6】実施の形態3による空調装置の分解斜視図である。
【図7】図6の空調装置を視点を変えて見たときの分解斜視図である。
【図8】従来技術によるファンモータ取付構造を示す分解斜視図である。
【図9】従来技術の他の例によるファンモータ取付構造を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
10 ファンモータ
11 ウェルナット(第1の防振部材)
12 取付板
13 防振ゴム(第2の防振部材)
14 回転軸
15 防振ゴム
17 バインド小ねじ(第1の締結部材)
25 バインドPタイトねじ(第2の締結部材)
30 カラー
40 ファンモータユニット
41 本体ケース
46 ファンケース
47 ファン
48 ファンケース蓋
Claims (4)
- ファンモータに取り付けられる円筒状の第1の防振部材と、
周縁部内側に複数の貫通孔が形成され、かつ前記周縁部には複数の切り込みが形成された取付部材と、
リング状を成し、その円周方向に沿って前記取付部材の切り込みに対応させて複数の凸部を有し、かつ前記各凸部には貫通孔が形成された第2の防振部材とを備え、
前記第1の防振部材が前記取付部材の貫通孔に嵌合され、さらに前記第1の防振部材に挿通された第1の締結部材によって、前記ファンモータと前記取付部材とが締結され、
前記第2の防振部材の凸部が前記取付部材の切り込みに係合され、さらに前記凸部の貫通孔に挿通された第2の締結部材によって、前記取付部材と装置本体とが締結されていることを特徴とするファンモータ取付構造。 - 前記取付部材および前記ファンモータは、前記第1の締結部材および第2の締結部材によって、当該ファンモータの回転軸を中心にして回転することが規制されていることを特徴とする請求項1記載のファンモータ取付構造。
- 前記第2の防振部材の凸部は、上部が大径部に、下部が小径部にそれぞれ形成され、前記小径部の部分は、前記取付部材の周縁部に形成された半円形状の前記切り込みに係合することを特徴とする請求項1記載のファンモータ取付構造。
- 室内の空気を循環または/および排気するファンと、前記ファンを回転駆動するファンモータとを備えた空調装置であって、
前記ファンモータが、請求項1〜3のいずれか1項に記載のファンモータ取付構造により、装置本体に取り付けられていることを特徴とする空調装置。
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