JP4038514B2 - 旅行時間計測通知システム - Google Patents
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Description
また、路側機間での車速変化などの詳細な運行情報を車載器に保管することは困難であり、仮に詳細な運行情報を車載器に保管できたとしても、大量のアップリンク情報を、ネットワークを介して情報処理センタに送信して処理しなければならないので、ネットワークの伝送容量を増大させ且つ情報処理センタの能力を上げる必要があり、現実的ではないという課題があった。
また、上記のような無駄時間の計測を回避するためには、高価なVICS(道路交通情報通信システム)対応ナビゲーションシステムを車両に搭載する必要があるが、平日昼間での業務用車両(ナビゲーションシステムの搭載率が低い)の走行が多い状況下では、十分な計測回数が確保できないうえ、交通量推定対象が特定車種の分布のみに偏ってしまうという課題があった。
一方、比較的安価で普及台数の多いETC車載器を使用することも考えられるが、車載器が固有IDを記録していることから、車両の移動経路をモニタすることが原理的に可能なので、プライバシ保護の観点から車載器の使用は現実的でないという課題があった。
また、路側機間の旅行時間の計算精度を向上させるとともに、原理的にプライバシを確保しつつ安価な車載器のみを使用可能な旅行時間計測通知システムを得ることを目的とする。
図1はこの発明の実施の形態1に係る旅行時間計測通知システムを示すブロック図である。
図1において、旅行時間計測通知システムは、複数の路側機100、200と、車両Cに設置された車載器300とを備えている。
路側機100、200は、便宜的に2個のみが示されているが、車両Cの走行路に沿って、互いに離間されて任意数だけ設置されている。
同様に、車両Cの走行路の下流側に位置する路側機200は、アンテナ201と、狭域無線通信装置202と、通信情報記録装置203と、路側機情報記録装置204と、旅行時間計算装置205と、時刻計測装置206と、旅行時間表示装置207とを有する。
車載器300内の狭域無線通信装置302は、アンテナ301を介して、複数の路側機100、200のうちの通信エリア内の路側機との間で狭域無線による相互通信を行う。
狭域無線通信装置302は、一般的なETC車載器の場合と同様に、高周波無線を送受信する無線装置と、デジタル通信処理を行う信号処理装置と、全体を制御するマイコンとにより構成されており、たとえば、路側機100のアンテナ101の通信エリア内を車両Cが通過したときに、路側機100との間で通信を行い、必要な情報を送受信する。
車載器300内に記録される通信情報は、車載器300との間で前回通信した上流側の路側機100の固有ID「A」(図2参照)および前回の通信時刻t1と、走行距離計測装置304により計測された路側機100からの車両Cの走行距離とを含む。
走行距離L(t)は、路側機100との間の通信を完了したときにゼロにリセットされる。
また、走行距離計測装置304には、車両Cの長時間の駐車状態(または、乗降時の停車状態)を検出する駐車検出装置が接続されている。
走行距離計測装置304により計測される走行距離L(t)は、駐車検出装置からの入力信号(スイッチオン信号)が、長時間の駐車状態(乗降状態)を示す場合には、ゼロにリセットされる。
また、車載器300内の通信情報記録装置303は、駐車検出装置により駐車状態が検出された場合には、通信情報に含まれる走行距離および前回通過した路側機の固有IDを消去(クリア)する。
時刻計測装置306は、高精度の電波時計などで構成され、たとえば路側機100との間の通信時刻t1からの経過時間を計測し、一定の経過時間ごとに走行距離L(t)を通信情報記録装置303に記録するために使用される。
狭域無線通信装置102は、アンテナ101の通信エリア内を通過した車両Cの車載器300との間で、アンテナ301、101を介した狭域無線により、所要情報の相互通信を行う。なお、具体的構成は図示しないが、狭域無線通信装置102は、たとえばETC装置と同様の高周波無線を送受信する無線装置と、デジタル通信処理を行う信号処理装置と、全体を制御するマイコンとにより構成される。
通信情報記録装置103は、半導体メモリでもよく、ハードディスクなどの磁気記録装置であってもよい。
路側機情報記録装置104には、自身の路側機および周辺路側機に関する路側機情報があらかじめ記録されている。すなわち、路側機情報は、路側機100の固有IDと、路側機100の周辺に位置する周辺路側機(たとえば、下流側の路側機200)の固有IDと、路側機100から周辺路側機までの主要道路を使用した標準経路距離L1(図2参照)とを含む。
また、路側機100は、下流側の路側機200が先行車両との通信に基づいて計算した路側機100から路側機200までの旅行時間Tを、ネットワーク108を介して入手する。
なお、旅行時間の具体的な計算方法については後述する。
時刻計測装置106は、高精度の電波時計などで単独に構成されることが望ましいが、ネットワーク108を介して標準時刻などを取得し、時刻を算出するように構成してもよい。
旅行時間は、車両Cの運転者に狭域無線通信によっても通知することができるので、旅行時間表示装置107は必ずしも必要ではない。
ネットワーク108は、光通信、有線通信または無線通信を介して、路側機の旅行時間計算装置105に接続されており、複数の路側機との間で旅行時間などの相互情報交換に使用される。
路側機200内の旅行時間計算装置205は、今回(時刻t2)の狭域無線通信により取得した車載器300からの通信情報に含まれる前回の通信時刻t1と、路側機200による現在の通信時刻t2との差に基づいて、路側機100から路側機200までの走行区間における車両Cの旅行時間Tを計算する。
また、旅行時間計算装置205は、計算した旅行時間Tを、ネットワーク108を介して路側機100に送り、路側機100の旅行時間表示装置107に表示させる。
また、各路側機内の旅行時間計算装置105、205は、車載器300から狭域無線通信により提供される自身の路側機と周辺路側機との間の走行距離L(t)と、自身の路側機および周辺路側機の各固有IDから判別された周辺路側機の位置に基づいて計算される自身の路側機と周辺路側機との間の標準経路距離L1とが、所定値α以上異なる場合には、旅行時間の計算処理を禁止するようになっている。
図2はこの発明の実施の形態1による旅行時間計測処理の原理を示す説明図である。
図2において、車両Cは、路側機100が設置された交差点位置から路側機200が設置された交差点位置までの標準経路W1に沿って左方向に走行し、車両Cの始動位置において後続の車両C’が存在するものとする。
また、上流側の路側機100の固有IDは「A」、下流側の路側機200の固有IDは「B」であり、路側機100は、時刻t1(=10:00:00)で車両Cと通信を行い、路側機200は、時刻t2(=10:12:00)で車両Cと通信を行う場合を示している。
また、破線枠内は、下流側の路側機200による旅行時間の計算処理を示している。この計算処理は、車載器300との狭域無線通信に基づいて実行される。
まず、車両Cの始動により、車載器300が路側機100の通信エリアEaに進入すると、車載器300は、路側機100のID(=「A」)と通過時刻「10:00:00」を、狭域無線通信により路側機100から受信して、車載器300内の通信情報記録装置303に記録する。
また、同時に、通信情報記録装置303内に記録された走行距離L(t)は、「0」にリセットされる。
ここでは、旅行時間通知装置305が報音装置の場合を例にとり、音声「この先・・・交差点まで12分」により旅行時間Tを運転者に通知している。
車載器300内の通信情報記録装置303は、演算された走行距離L(t)を、時刻計測装置306の計測時刻に応じて、一定時間ごとにサンプリングして記録する。
図2においては、一定時間ごとにサンプリングする例を示しているが、一定距離ごとの時刻をサンプリングする方法を採用してもよい。
路側機200は、車載器300から受信した路側機100の固有ID(=「A」)を、路側機情報記録装置204内にあらかじめ記録された路側機情報から検索し、固有ID(=「A」)が路側機情報として記録されていれば、続いて、路側機100から路側機200までの標準経路W1の距離L1を路側機情報記録装置204から呼び出す。
すなわち、図2内の破線枠内に示すように、距離の差分|L(t)−L1|が所定値α以上を示す場合には、旅行時間Tは計算されない。
または、旅行時間計算装置205は、車両Cが迂回路W2を通行したものと見なし、走行距離L2の旅行時間T2を求める。
したがって、路側機200が路側機100の固有IDを受信することができないので、この場合も旅行時間の計算処理は実行されない。
車載器300から受信した走行距離L(t)が標準経路距離L1と一致した場合には、路側機200内の旅行時間計算装置205は、最初に路側機100と路側機200との間の標準経路W1の旅行時間T1を求める。
図2の例では、路側機100「ID=A」の通過時刻t1が「10:00:00」であり、路側機200「ID=B」の通過時刻t2が「10:12:00」なので、旅行時間Tは「12分」と求められる。
なお、旅行時間Tは、計測対象となる車両ごとにばらつきを有するので、移動平均をとって安定化させるか、または、旅行時間Tの変化率を求めることにより、旅行時間Tを推定演算してもよい。
または、狭域無線通信により、路側機100から後続の車両C’の車載器の旅行時間通知装置に旅行時間Tを送り、車両C’の運転者に旅行時間Tを通知する。
また、管理センタを用いずに、複数の路側機で旅行時間Tの計算および通知が可能な旅行時間計測通知システムを提供することができる。
また、GPSなどを用いた位置情報を利用せずに、走行距離情報のみを用いて旅行時間Tを計算することから、高価なナビゲーションシステムを車両Cに搭載する必要がないので、車載器300のシステム構成を大幅に安価にして、旅行時間Tを通知することができる。
また、車載器300のコストダウンにともない、商用車などへの搭載普及率も高くなることが予想され、平日昼間の業務用車両の走行が多い状況であっても、偏りが生じることがなく、十分な計測回数を確保して旅行時間Tの計算精度を向上させることができる。
また、車載器300から受信された走行距離と主要道路を使用した標準経路距離とを比較し、両者がほぼ一致する場合のみに、前回の通信時刻および走行距離から旅行時間Tを演算するので、高信頼性で詳細且つ正確な旅行時間Tを計算することができる。
また、ネットワーク108を介して複数の路側機を接続することにより、たとえば工事などで一時的に渋滞する場所に2台以上の路側機を設置することのみで、渋滞などの情報を含む旅行時間Tを上流側の路側機100に提供することができる。
Claims (7)
- 車両に設置された車載器と、
前記車両の走行路に沿って離間配置され、前記車載器との間で相互通信を行う複数の路側機と
を備えた旅行時間計測通知システムであって、
前記車載器は、
前記複数の路側機のうちの通信エリア内の路側機との間で相互通信を行う狭域無線通信装置と、
前記車両の走行距離を計測する走行距離計測装置と、
前記通信エリア内の路側機との間の通信情報を記録する通信情報記録装置とを有し、
前記複数の路側機の各々は、
前記車載器との間で相互通信を行う狭域無線通信装置と、
前記車載器との間の通信情報を記録する通信情報記録装置と、
路側機情報を記録する路側機情報記録装置と、
時刻を計測する時刻計測装置と、
前記複数の路側機の間を走行する前記車両の旅行時間を計算する旅行時間計算装置とを有し、
前記路側機情報は、前記複数の路側機の各々の固有IDと、各路側機の周辺に位置する周辺路側機の固有IDと、前記各路側機と前記周辺路側機との間の標準経路距離とを含み、
前記車載器の通信情報記録装置に記録される通信情報は、前記車載器との間で前回通信した第1の路側機の固有IDおよび前回の通信時刻と、前記走行距離計測装置により計測された前記前回の通信時刻からの走行距離とを含み、
前記車載器との間で今回通信する第2の路側機内の旅行時間計算装置は、今回の狭域無線通信により前記車載器から取得した通信情報に含まれる前記前回の通信時刻と、前記第2の路側機内の時刻計測装置により計測された現在の通信時刻との差に基づいて、前記第1の路側機から前記第2の路側機までの走行区間における前記車両の旅行時間を計算することを特徴とする旅行時間計測通知システム。 - 前記複数の路側機は、ネットワークを介して相互接続され、前記複数の路側機の各々が単独で計算した旅行時間を、他の路側機に対して相互通知することを特徴とする請求項1に記載の旅行時間計測通知システム。
- 前記複数の路側機の各々は、前記車両の運転者から観測される位置に設置された旅行時間表示装置を有し、前記複数の路側機の各々が単独で計算した旅行時間、または、前記ネットワークを介して通知される周辺路側機で計算した旅行時間を、前記旅行時間表示装置に表示させることを特徴とする請求項2に記載の旅行時間計測通知システム。
- 前記車載器は、前記複数の路側機のうちの少なくとも1つの路側機で計算された旅行時間を、前記車両の運転者に通知する旅行時間通知装置を有し、
前記旅行時間通知装置は、前記通信エリア内の路側機から狭域無線通信により提供された旅行時間を通知することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の旅行時間計測通知システム。 - 前記複数の路側機内の各々の旅行時間計算装置は、前記車載器から狭域無線通信により提供される自身の路側機と周辺路側機との間の走行距離と、前記自身の路側機および前記周辺路側機の各固有IDに基づいて計算される前記自身の路側機と前記周辺路側機との間の標準経路距離とが、所定値以上異なる場合には、旅行時間の計算処理を禁止することを特徴とする請求項1に記載の旅行時間計測通知システム。
- 前記車載器には、前記車両の駐車状態を検出する駐車検出装置が接続され、
前記駐車検出装置は、サイドブレーキ動作を検出するパーキングブレーキスイッチ、シフトレバー位置を検出するシフトレバースイッチ、または、前記車両のドアの開閉を検出するドアスイッチを含み、
前記車載器内の通信情報記録装置は、前記駐車検出装置により前記駐車状態が検出された場合には、前記通信情報に含まれる前記走行距離情報および前記固有IDを消去することを特徴とする請求項1に記載の旅行時間計測通知システム。 - 前記車載器は、時刻計測装置を有し、
前記通信情報記録装置は、前記車載器内の時刻計測装置により定期的に計測される時刻と、前記走行距離計測装置により計測される走行距離とを、前記通信情報として記録し、
前記通信エリア内の路側機の旅行時間計算装置は、狭域無線通信により取得される前記車載器からの通信情報に基づいて、自身の路側機と周辺路側機との間の旅行時間を計算することを特徴とする請求項1に記載の旅行時間計測通知システム。
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