JP4037939B2 - 免震建物のエレベータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、免震建物のエレベータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建築物の中間に免震装置を備えた構造が開発されている。その場合に免震階の上下では水平変位が生じるから、従来のエレベータの構造ではその通過が困難になってしまう。
【0003】
本発明は上記したような従来の問題を解決するためになされたもので、地震時に免震階の上階と下階とで水平変位が生じても、免震階におけるエレベータの通過を確実に確保することができる、免震建物のエレベータを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の免震建物のエレベータは、中間の階層に免震装置を備えた建物において、エレベータシャフトの全長には、エレベータの昇降をガイドするガイドレールを設け、免震階を含む複数階層には、ガイドレールに平行した受圧レールを設け、この受圧レールの上端は免震階を含む複数階層の上方の階層に取り付け、受圧レールの下端は免震階を含む複数階層の下方の階層に取り付け、中間では支持せず、一方、エレベータかごの外側にはガイドレールに沿って移動するガイドローラーと、受圧レールに沿って移動する受圧シューとを突設して取り付けた、免震建物のエレベータを特徴としたものである。
【0005】
【本発明の実施の態様】
以下図面を参照しながら本発明の免震建物のエレベータの実施例について説明する。
【0006】
<イ>免震建物。
本発明のエレベータを設置する建物は、図6に示すように中間の階層の免震階に免震装置1を備えた構造である。免震装置1として例えばゴム製の短柱などを利用することができる。この免震装置1の存在によって、地震時には上下の階層において水平方向の層間変位が発生する。
【0007】
<ロ>ガイドレール。
エレベータシャフトの全長には、最上部から底部までエレベータかご3の昇降をガイドするガイドレール2を設ける。したがって免震階にもガイドレール2が配置してある。
このガイドレール2は従来の構造と同じであり、適宜の間隔をおいてエレベータシャフトの周囲の躯体壁面に固定してあるが、免震階層を含む複数階層においては、弾性変形を許容するために、後述するように上端と下端で支持して、中間では支持しない。
【0008】
<ハ>受圧レール。
免震階を含む複数階層には、ガイドレール2とは別に、ガイドレール2と平行した状態で受圧レール4を設ける。この受圧レール4の上端は免震階を含む複数階層の上方の階層に取り付け、受圧レール4の下端は免震階を含む複数階層の下方の階層に取り付ける、受圧レール4は後述する受圧シューを介して、地震時におけるエレベータかご3の水平力を受けるためのものである。そのために受圧レール4は例えばエレベータ側に向けて解放した溝型鋼によって構成し、溝型鋼の上下端部は広口状に形成する。この受圧レール4をエレベータシャフトの四隅に配置し、タイバンド41でガイドレール2とともに拘束する。タイバンド41は水平の鋼材で構成する。
【0009】
<ニ>受圧シュー。
エレベータのかご3の外側にはガイドレール2に沿って移動するガイドローラー31を設ける。このガイドローラー31は従来の装置と同じである。
さらにかご3の外側には、受圧レール4に沿って移動するための受圧シュー32を突設した状態で取り付ける。受圧シュー32の外形は、受圧レール4の形状よりも小さい形状に形成する。そのためにかご3が免震階付近を通過する際には、エレベータかご3の外周から突設したシュー32が、受圧レール4内を通過して昇降する。
なお、図5に示すように受圧レール4をエレベータに向けてスリットを解放した円筒によって構成し、かご3から突設した受圧シュー32を上下端を円錐状に絞った形状の円柱によって構成することもできる。
【0010】
<ホ>地震時の作動。
通常時にはかご3の昇降によって、その外周から突設した受圧シュー32は、受圧レール4の内部を通過して行く。その際には受圧シュー32は受圧レール4に接触することなく抵抗を受けずに通過する。
地震が発生すると地震力による変位に対してはガイドレール2と受圧レール4は弾性変形して層間変位に追従する。
エレベータのかご3に働く水平力(地震慣性力)に対しては、かご3の周囲に突設した受圧シュー32が受圧レール4に衝突する。その結果、かご3に作用する水平力に対しては受圧レール4が抵抗することになる。
したがってガイドレール2の支持間隔が数層にわたっても、ガイドレール2の破損を防止することができる。
【0011】
【本発明の効果】
本発明の免震建物のエレベータは以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>免震階を含む複数階層の上下の階層に水平変位が生じても、ガイドレール2は破損することなくエレベータかご3の通過は確保することができる。
<ロ>昇降用のガイドレール2と、受圧レール4とを平面的に見てガイドレール2と位置をずらして設置することができる。するとエレベータかご3の通過に影響を与えることがないから、かご3の断面を小さくするような必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の免震建物のエレベータの実施例の説明図。
【図2】レールとかご3の配置状態の説明図。
【図3】レールとかご3の配置の平面図。
【図4】受圧レール4と受圧シュー32の組み合わせの例の説明図。
【図5】受圧レール4と受圧シュー32の他の組み合わせの例の説明図。
【図6】免震建物の説明図。
Claims (3)
- 中間の階層に免震装置を備えた建物において、
エレベータシャフトの全長には、エレベータの昇降をガイドするガイドレールを設け、
免震階を含む複数階層には、ガイドレールに平行した受圧レールを設け、
この受圧レールの上端は免震階を含む複数階層の上方の階層に取り付け、
受圧レールの下端は免震階を含む複数階層の下方の階層に取り付け、中間では支持せず、
一方、エレベータかごの外側にはガイドレールに沿って移動するガイドローラーと、受圧レールに沿って移動する受圧シューとを突設して取り付けた、免震建物のエレベータ。 - 受圧レールはエレベータに向けて解放した溝型鋼によって構成し、
溝型鋼の上下端部は広口状に形成した、
請求項1記載の、免震建物のエレベータ。 - 受圧レールはエレベータに向けてスリットを解放した円筒によって構成し、
受圧シューは円柱によって構成した、
請求項1記載の、免震建物のエレベータ。
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1997
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