JP4037208B2 - フィルタ回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば交流架線からの電力を変圧器を介して電力変換装置へ供給し、この電力変換装置からの交流可変出力によって駆動用モータを可変駆動させる交流架線駆動電車等に用いられ、電力変換装置から発生する高調波成分を、変圧器を介して交流架線またはレール側に出力させないようにするために、電力変換装置と変圧器との間に並列に挿入されるなどのフィルタ回路の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来のフィルタ回路の構成図である。図において、1は高調波成分を含む電源、2は電源1に接続された負荷、3はリアクトル、4はコンデンサ、5は抵抗で、これらが直列に接続されて、いわゆる直列共振フィルタと呼ばれるフィルタ回路6を構成し、このフィルタ回路6が電源1と負荷2の間に電源1と並列に接続されている。
【0003】
次に動作について説明する。リアクトル3のインダクタンスをL、コンデンサ4の静電容量をC、抵抗5の抵抗値をR、電源1から発生する高調波の周波数をfとすると、フィルタ回路6のインピーダンスZの絶対値は式(1)で表され、共振周波数f0は式(2)のようになる。
Z=(R2+(2πfL−1/(2πfC))2)1/2・・・(1)
f0=1/(2π(LC)1/2)・・・・・・・・・・・・・(2)
式1に示すようにインピーダンスZのうち抵抗値Rは周波数fによらず一定であるのに対し、リアクタンス成分(2πfL−1/(2πfC))は周波数fが小さいときには負値をとり容量性となり、逆にfが大きいときには正値をとり誘導性となり、その境界である共振周波数f0において0となる。従ってインピーダンスZは図7に示すように共振周波数f0で最小値Rをとる谷型の周波数特性となる。
【0004】
上記のような特性により、フィルタ回路6は、電源1が発生する特定の高調波成分をバイパスさせて電源1側に返すことにより、この高調波成分を負荷2側に出カするのを防ぐ作用がある。
【0005】
以上から、抵抗値Rを小さくすればするほど共振周波数f0におけるインピーダンスZが小さくなるので、フィルタ回路6による高調波成分の吸収効果が大きくなることがわかる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、高調波成分を含む電源が電圧源の場合は、この直列共振を利用したフィルタ回路を電源に並列に接続しても、電圧源端子に直接接続されているだけでは電圧源とフィルタ回路との間で電圧降下が発生しないので周波数吸収効果はない。そのためしばしば電圧源端子とフィルタ回路との間の主回路配線に直列に存在する配線インダクタンスのリアクタンス成分が利用される。
【0007】
図8は従来のフィルタ回路に配線インダクタンスを考慮した場合の構成図である。図において、1〜6は図6と同等であり、7は配線インダクタンスである。配線インダクタンス7のインダクタンスをL1、リアクタンス成分をXとすると、Xが大きければ大きいほど、すなわち単純にいえば配線長が長ければ長いほど、フィルタ回路の共振周波数における高調波成分吸収効果が増大する。
【0008】
一方、フィルタ回路6のインピーダンスとリアクタンス成分Xとの関係で、電源1に含まれる高調波電圧Vはインピーダンスで分圧されるので、負荷2側のインピーダンスがフィルタ回路6のインピーダンスよりも充分高い場合その影響を無視すると、負荷2側に伝達される高調波電圧V1は式3に示すようになる。VとV1の比率すなわちV1/Vは電源1に含まれる高調波電圧が負荷2側に伝達する割合、すなわち伝達特性を示すものである。
【0009】
【数1】
【0010】
配線インダクタンス7があるとき、フィルタ回路6のインピーダンスと配線のリアクタンス成分Xとの関係で反共振現象が発生し、反共振点ではフィルタ回路6のインピーダンスが上昇する。反共振点の反共振周波数をf1とすると、周波数がf1においてはf1の高調波電圧が増幅されることになる。この様子を図9に示す。図9は、図8の配線インダクタンスとフィルタ回路による、周波数と伝達特性との関係を示す図である。図において、横軸は周波数、縦軸は高調波電圧の伝達特性を示している。図からわかるように、フィルタ回路6によって共振周波数f0における高調波吸収効果はあるものの、反共振周波数f1ではその高調波の電圧成分が増幅されて、これが負荷に流出するという問題があった。
【0011】
また、従来のフィルタ回路では共振周波数f0及び反共振周波数f1における伝達特性は、共に抵抗値Rに依存しているので、反共振周波数f1における伝達特性を抑制しようとすると抵抗値Rを増加させて共振のダンピングを増加させる必要があるが、抵抗値Rを増加させると本来低下させたい共振周波数f0における伝達特性も上昇してしまうことになり、フィルタ回路における高調波吸収効果が低減するといった問題があった。
【0012】
さらにまた、電力用や電鉄用など大容量のフィルタ回路では、そのフィルタ回路に使用される抵抗は、電流が流れるとインダクタンスが発生する誘導性抵抗がしばしば用いられる。これは、インダクタンスを発生しない無誘導性の抵抗は高価であり、かつ容量や抵抗値の品揃えが少ないためである。従来のフィルタ回路では、誘導性抵抗を用いると共振周波数が変化してしまい、所望の周波数を抑制するフィルタ回路を構成することが困難であるという問題があった。
【0013】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、反共振が発生する反共振周波数において、高調波電圧が増幅されて負荷や電力系統に流出するのを抑制し、かつ、共振周波数においては十分な高調波吸収効果を発揮するフィルタ回路を得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明のフィルタ回路は、任意の高調波成分を含む電源と負荷との間に、電源に対して並列に第1のリアクトルと第1のコンデンサと抵抗とからなる第1の直列回路を接続し、抵抗に並列に第2のリアクトルと第2のコンデンサとからなる第2の直列回路を接続して構成し、電源と第1の直列回路との間の配線に存在する配線インダクタンスと第1の直列回路と第2の直列回路とにより、電源から負荷へ伝達される高調波成分のうち特定の高調波成分を低減するようにしたものである。
【0015】
また、任意の高調波成分を含む電源と負荷との間に、電源に対して並列にリアクトルと第1のコンデンサと抵抗とからなる直列回路を接続し、抵抗と並列に第2のコンデンサを接続して構成し、電源と直列回路との間の配線に存在する配線インダクタンスと直列回路と第2のコンデンサとにより、電源から負荷へ伝達される高調波成分のうち特定の高調波成分を低減するようにしたものである。
【0016】
また、交流架線からの電力を変圧器を介して電力変換装置に供給する回路の変圧器と電力変換装置との間に、電力変換装置に対して並列に第1のリアクトルと第1のコンデンサと抵抗とからなる第1の直列回路を接続し、抵抗に並列に第2のリアクトルと第2のコンデンサとからなる第2の直列回路を接続して構成し、電力変換装置と第1の直列回路との間の配線に存在する配線インダクタンスと第1の直列回路と第2の直列回路とにより、電力変換装置から発生し変圧器側へ伝達される任意の高調波成分のうち特定の高調波成分を低減するようにしたものである。
【0017】
また、交流架線からの電力を変圧器を介して電力変換装置に供給する回路の変圧器と電力変換装置との間に、電力変換装置に対して並列にリアクトルと第1のコンデンサと抵抗とからなる直列回路を接続し、抵抗に並列に第2のコンデンサを接続して構成し、電力変換装置と直列回路との間の配線に存在する配線インダクタンスと直列回路と第2のコンデンサとにより、電力変換装置から発生し変圧器側へ伝達される任意の高調波成分のうち特定の高調波成分を低減するようにしたものである。
【0018】
また、上記のフィルタ回路が接続される回路の配線インダクタンスと直列に外付けのリアクトルを接続しフィルタ回路の一部としたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるフィルタ回路の構成図である。図において、1は任意の高調波成分を含む電源、2は電源1に接続された負荷、7は配線に存在する配線インダクタンスである。負荷2と配線インダクタンス7の間の配線に電源1と並列に、第1のリアクトル8と第1のコンデンサ9と抵抗10とからなる第1の直列回路を接続し、更に抵抗10に並列に第2のリアクトル11と第2のコンデンサ12とからなる第2の直列回路を接続し、8〜12で本実施の形態のフィルタ回路13を構成している。そして、負荷2側への伝達を低減させたい周波数にあわせて共振周波数を選定するが、このとき、第1のリアクトル8と第1のコンデンサ9の共振周波数と、第2のリアクトル11と第2のコンデンサ12の共振周波数とが同じになるように、各々の要素の値を選定する。
【0020】
次に動作について説明する。通常、負荷2側のインピーダンスはフィルタ回路13のインピーダンスよりも充分高いのでその影響を無視するとして、電源1に含まれる高調波電圧をV、負荷2側に伝達される高調波電圧をV1とすると、V1は式4のようになる。ここで、Lはリアクトル8のインダクタンス、Cは第1のコンデンサ9の静電容量、Rは抵抗10の抵抗値、Lrは第2のリアクトル12のインダクタンス、Crは第2のコンデンサ12の静電容量、L1は配線インダクタンス7のインダクタンスである。
【0021】
【数2】
【0022】
式4は、電源1に含まれる高調波電圧Vが、フィルタ回路13によって負荷2側に高調波電圧V1となって伝達されることを示している。そこで、式4を伝達特性(V1/V)として表し周波数fとの関係を図に表すと図2のようになる。すなわち、図2は周波数fに対する伝達特性(V1/V)を示す図である。図において、f1はフィルタ回路13のインピーダンスと配線インダクタンス7のリアクタンス成分Xとの関係で発生する反共振現象における反共振周波数であり、f0はフィルタ回路13の共振周波数である。共振周波数f0では、第1のリアクトル8と第1のコンデンサ9の共振周波数、および第2のリアクトル11と第2のコンデンサ12の共振周波数を等しくしているので、第2のリアクトル11と第2のコンデンサ12による共振で抵抗10の両端のインピーダンスが低下し、抵抗Rに関係なく共振周波数f0における伝達特性が非常に低くなっている。一方、抵抗値Rを大きくすることにより、反共振周波数f1では抵抗10によりダンピングがかかり、反共振のピーク値が抑制される。
【0023】
以上のように、本実施の形態によれば、抵抗10の抵抗値Rを増加させることにより、反共振点では、反共振周波数における伝達特性のピーク値を下げて不要な伝達を抑制することができると共に、共振点においては、抵抗10と並列に接続されている第2のリアクトル11と第2のコンデンサ12のリアクタンスLrと静電容量Crが支配的となるため共振周波数におけるインピーダンス成分はほぼ0となり、共振周波数における高調波成分は第2の直列回路側を通るので、フィルタ回路による高調波吸収効果を充分に得ることができる。
【0024】
また電力用や電鉄用など大容量のフィルタ回路に使用される抵抗は、無誘導性の抵抗が好ましいが、無誘導性抵抗は高価であり容量や抵抗値の品揃えが少ないことなどから、電流が流れるとインダクタンスが発生する誘導性タイプの抵抗がしばしば用いられる。従来のフィルタ回路の場合では誘導性抵抗を用いると共振周波数が変化してしまうので問題となったが、本実施の形態のフィルタ回路では誘導性抵抗を用いても、抵抗と並列に接続されている第2の直列回路のリアクタンスLr、静電容量Crが支配的となり、その結果共振周波数のずれは極めて小さい。このため汎用性の高い誘導性抵抗を用いてもフィルタ回路の性能を十分に発揮することができる。
【0025】
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2によるフィルタ回路の構成図である。図において、1,2および7は実施の形態1の図1と同等であるので符号の説明は省略する。8はリアクトル、9は第1のコンデンサ、10は抵抗であり、これら8〜10の直列回路が電源1に並列に接続されており、更に抵抗10と並列に第2のコンデンサ12が接続されている。8〜10,12で本実施の形態のフィルタ回路14を構成している。
【0026】
次に動作について説明する。従来の技術で説明した図8においては、抵抗により共振点と反共振点のピークの度合いが決まっていた。従って、本来伝達するべきでない反共振点の伝達特性を下げるために抵抗を大きくすると、低く設定したい共振周波数での伝達特性は上昇してしまう。この矛盾を両立させるためには、反共振周波数f1と共振周波数f0との間で抵抗のインピーダンスを変化させればよい。すなわち、f1近傍では抵抗のインピーダンスを高くし、f0近傍ではインピーダンスを低くできればよい。しかしながら、抵抗は周波数依存が無いため、抵抗のみでインピーダンスを変化させることはできない。
【0027】
そこで、本実施の形態では、抵抗10に第2のコンデンサ12を並列に接続して構成した。そして、抵抗10の抵抗値Rと第2のコンデンサ12の静電容量Crの合成インピーダンスがf1とf0とで異なるように、すなわちf1ではインピーダンスが大きく、f0ではインピーダンスが小さくなるように、抵抗値R及び静電容量Crの値を決定するようにした。図4(A)はRとCrの合成インピーダンスと周波数の関係を示す図である。f1とf0でのインピーダンスの差Z1が得られるように抵抗とコンデンサの値を設定している。
【0028】
このような回路構成によって、負荷2側のインピーダンスがフィルタ回路14のインピーダンスよりも充分高い場合はその影響を無視するとして、電源1に含まれる高調波電圧をVとし、負荷2側に伝達される高調波電圧をV1とすると、V1は式5のようになる。ここで、Lはリアクトル8のインダクタンス、Cは第1のコンデンサ9の静電容量、Rは抵抗10の抵抗値、Crは第2のコンデンサ12の静電容量、L1は配線インダクタンス7のインダクタンスである。
【0029】
【数3】
【0030】
式5を伝達特性(V1/V)として表し、この伝達特性と周波数の関係を図示したのが図4(B)である。上述したRとCrの合成インピーダンスとの関連がわかるように図4(A)と並べて表示している。図からわかるように、低周波側に現れる反共振点での反共振周波数f1近傍では第2のコンデンサ12は低インピーダンスとならず、概ね抵抗Rにより決まるインピーダンスとなる。また高周波側に現れる共振点における共振周波数f0では第2のコンデンサ12は低インピーダンスとなるので、伝達特性が抑制されているのがわかる。
【0031】
以上のように本実施の形態によれば、反共振周波数f1での伝達特性を抵抗10で抑制し、かつ共振周波数f0での伝達特性を第2のコンデンサ12により低下させることにより共振点の周波数での高調波成分が負荷2側に流出しないようにすることができる。
【0032】
実施の形態3.
図5は実施の形態3によるフィルタ回路の構成図である。本実施の形態では、交流架線駆動電車等の用途に用いられる、電力変換装置から発生する高調波成分を、変圧器を介して交流架線やレールに出力させないようにするために、電力変換装置と変圧器との間に電力変換装置に並列に挿入されるフィルタ回路について示している。
【0033】
図において8〜13は実施の形態1で説明した図1と同等であるので符号の説明と動作の説明は省略する。15は交流架線、16は交流架線から電力を集電するパンタグラフ、17は架線電流の帰線となるレール、18は変圧器、19は変圧器18を介して交流架線15からの電力の供給を受ける電力変換装置であり、変圧器18側に接続される単相コンバータ装置19aと中間直流回路を介して接続される3相インバータ装置19bとで構成されている。20は駆動用モータである。また、21は変圧器18と電力変換装置19を接続する配線の配線インダクタンスである。そして、フィルタ回路13は配線インピーダンス21と変圧器18との間の配線に電力変換装置19に並列に挿入されている。
【0034】
次に、動作について説明する。交流架線15から電力を受け取って、パンタグラフ16及び変圧器18を介して電力変換装置19の単相コンバータ19aにて交流電力を直流電力に変換し、更に3相インバータ19bでその直流電力を交流可変出力電力に変換して、駆動用モータ20を可変速駆動させることで電車を駆動させる。
【0035】
上述のように電力変換装置19は、共に電圧型の単相コンバータ19aと三相インバータ19bとで構成されているので、半導体素子によるスイッチングにより矩形波電圧を出力する。矩形波電圧は周波数分析すると、数多くの高調波成分が高周波域まで含まれているので、特に変圧器18側に接続される単相コンバータ19aから数多くの高調波成分を含む交流電圧が出力されると、交流架線15に高調波電流が流れ架線電圧を歪ませるなど問題である。
【0036】
また交流架線電車においては、ある区間における電車の存在や、踏切に電車の接近を知らせるためなど、電車の運行や安全を確保するために必要な多くの信号機システムが架線電流の帰線となるレール17を用いて行われており、その信号機システムは様々な周波数帯域を用いて、微弱な電流をレール17に流して地上設備で電車を検知する方式のものがほとんどである。従って、もしこれら信号機システムに、単相コンバータ19aから出力される高調波電流が変圧器18を介してレール17に流出すると、信号機システムが誤動作し、信号機システムに支障をきたすことになり問題となる。
【0037】
このため各信号機システムには周波数帯域において、レール17に出力される高調波電流の許容値が決められており、もしこれら許容値を超える高調波電流が出力されている場合、許容値以下になるように電車の単相コンバータ19aから出力される高調波電流を低減する対策が必要となる。
【0038】
そこで本実施の形態では、図5に示すように電力変換装置19の単相コンバータ19aと変圧器18の間に、実施の形態1と同様なフィルタ回路13を電力変換装置19に並列に接続して構成した。そして、信号機システムで使用されている周波数、すなわち変圧器18を介してレール17へ流出させたくない周波数をフィルタ回路13の共振周波数に設定する。
【0039】
フィルタ回路13は、実施の形態1で説明したように、第1のリアクトル8と第1のコンデンサ9と抵抗10とからなる直列回路の抵抗10に並列に第2のリアクトル11と第2のコンデンサ12を直列に接続して構成したので、反共振周波数におけるインピーダンス上昇は抵抗10の抵抗値Rを増加させることで抑制でき、共振点においては、抵抗10と並列に接続されている第2のリアクトル11と第2のコンデンサ12のリアクタンスLrと静電容量Crとが支配的となるので共振周波数におけるインピーダンス成分はほぼ0となり、共振周波数における高調波成分吸収効果を充分に発揮する。
【0040】
本実施の形態によれば、配線インダクタンスによる電圧降下を利用し、電力変換装置の単相コンバータから発生する高調波電流をフィルタ回路を通じてバイパスさせ、単相コンバータ側に帰還させることができるので、変圧器を介しレールに高調波成分が流出して信号機システムに支障をきたすのを防止することができる。
【0041】
また、反共振周波数の伝達特性を抵抗で抑制し、共振周波数の伝達特性を充分に低下させることができるため、フィルタ回路13により不要な高調波成分を交流架線15に流出することを抑制することができる。
【0042】
また、抵抗10に誘導性抵抗を用いても、抵抗と並列に接続されている第2の直列回路のリアクタンスLr、静電容量Crが支配的となり、その結果共振周波数のずれは極めて小さいので、汎用性の高い誘導性抵抗を用いてもフィルタ回路の性能を十分に発揮することができる。
【0043】
なお、本実施の形態のフィルタ回路は、第1のリアクトル8と第1のコンデンサ9と抵抗10とからなる直列回路の抵抗10に並列に第2のリアクトル11と第2のコンデンサ12を直列に接続して構成したものについて説明したが、実施の形態2で説明したフィルタ回路、すなわち、リアクトル8と第1のコンデンサ9と抵抗10とからなる直列回路の抵抗10に並列に第2のコンデンサ12を接続して構成したフィルタ回路と組み合わせても、実施の形態2で説明したフィルタ回路の効果により、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0044】
また、本実施の形態では電力変換装置の負荷として駆動用モータの場合を例に説明したが、この様な回路に限定するものではなく、例えば、電力変換装置19を補助電源装置とし、それに3相交流負荷が接続されるような回路に適用しても同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0045】
実施の形態1〜3では、配線インダクタンスはフィルタ回路を適用する主回路の配線に存在するインダクタンスを利用する場合について説明したが、外付けのリアクトルを用いてフィルタ回路の構成要素としてもよい。
配線インダクタンスを利用する場合はフィルタ回路を適用する主回路の構成によって制約を受けるが、外付けのリアクトルであればインダクタンスを自由に選定できるので、他の構成要素の選択がより自由となる。すなわち、外付けのリアクトルにより所望のインダクタンスを得ることができるので、回路上の配線リアクタンスを事前に見積もることができ、高調波吸収度合に見合った的確な設計ができる。また、配線を長くする必要がなく、主回路の艤装方法の制約を受けることが少なくなる。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明によれば、任意の高調波成分を含む電源と負荷との間に、電源に対して並列に第1のリアクトルと第1のコンデンサと抵抗とからなる第1の直列回路を接続し、更にこの抵抗に並列に第2のリアクトルと第2のコンデンサとからなる第2の直列回路を接続してフィルタ回路を構成したので、反共振周波数における伝達特性のピーク値を下げることができると共に、共振周波数におけるインピーダンスも低く抑えることができるので、特定の高調波成分が負荷側に流出するのを防止し、フィルタ回路による高調波吸収効果を充分に得ることができる。
【0047】
また請求項2の発明によれば、電源に対して並列にリアクトルと第1のコンデンサと抵抗とからなる第1の直列回路を接続し、更にこの抵抗に並列に第2のコンデンサを接続してフィルタ回路を構成したので、反共振周波数での伝達特性を抵抗で抑制し、かつ共振周波数での伝達特性を第2のコンデンサによって低下させることができるので、簡単な構成で、反共振周波数における伝達特性のピーク値を下げることができると共に、共振周波数での特定の高調波成分が負荷側に流出するのを防止することができる。
【0048】
また、請求項3の発明によれば、交流架線からの電力を変圧器を介して電力変換装置に供給する回路の変圧器と電力変換装置との間に、電力変換装置に対して並列に第1のリアクトルと第1のコンデンサと抵抗とからなる第1の直列回路を接続し、抵抗に並列に第2のリアクトルと第2のコンデンサとからなる第2の直列回路を接続してフィルタ回路を構成したので、電力変換装置から発生する高調波電流をフィルタ回路を通じてバイパスさせ、電力変換装置側に帰還させることができるので、電力変換装置から発生する高調波成分が変圧器を介して交流架線やレールに流出するのを防止することができる。
【0049】
また請求項4の発明によれば、交流架線からの電力を変圧器を介して電力変換装置に供給する回路の変圧器と電力変換装置との間に、電力変換装置に対して並列にリアクトルと第1のコンデンサと抵抗とからなる第1の直列回路を接続し、抵抗に並列に第2のコンデンサを接続してフィルタ回路を構成したので、簡単な構成で請求項3と同様の効果を得ることができる。
【0050】
さらにまた、請求項5の発明によれば、高調波吸収効果を得るために利用する主回路の配線の配線インダクタンス以外に、外付けのリアクトルをフィルタ回路の構成要素として加えたので、インダクタンスを自由に選定することができ、このため、フィルタ回路設計の自由度が増し、またフィルタ回路を使用する主回路配線の艤装の自由度も増す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1のフィルタ回路を示す構成図である。
【図2】 図1における周波数と伝達特性の関係を示す図である。
【図3】 本発明の実施の形態2のフィルタ回路を示す構成図である。
【図4】 図3における周波数とRとCrの合成インピーダンスの関係、および周波数と伝達特性の関係を示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態3のフィルタ回路を示す構成図である。
【図6】 従来のフィルタ回路を示す構成図である。
【図7】 従来のフィルタ回路の周波数とインピーダンスの関係を示す図である。
【図8】 配線インダクタンスを考慮した従来のフィルタ回路の構成を示す図である。
【図9】 図8における周波数と伝達特性の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 電源 2 負荷
7、21 配線インダクタンス 8 第1のリアクトル
9 第1のコンデンサ 10 抵抗
11 第2のリアクトル 12 第2のコンデンサ
13、14 フィルタ回路 15 交流架線
18 変圧器 19 電力変換装置。
Claims (5)
- 任意の高調波成分を含む電源と負荷との間に、上記電源に対して並列に第1のリアクトルと第1のコンデンサと抵抗とからなる第1の直列回路を接続し、上記抵抗に並列に第2のリアクトルと第2のコンデンサとからなる第2の直列回路を接続して構成し、上記電源と上記第1の直列回路との間の配線に存在する配線インダクタンスと上記第1の直列回路と上記第2の直列回路とにより、上記電源から上記負荷へ伝達される上記高調波成分のうち特定の高調波成分を低減することを特徴とするフィルタ回路。
- 任意の高調波成分を含む電源と負荷との間に、上記電源に対して並列にリアクトルと第1のコンデンサと抵抗とからなる直列回路を接続し、上記抵抗と並列に第2のコンデンサを接続して構成し、上記電源と上記直列回路との間の配線に存在する配線インダクタンスと上記直列回路と上記第2のコンデンサとにより、上記電源から上記負荷へ伝達される上記高調波成分のうち特定の高調波成分を低減することを特徴とするフィルタ回路。
- 交流架線からの電力を変圧器を介して電力変換装置に供給する回路の上記変圧器と上記電力変換装置との間に、上記電力変換装置に対して並列に第1のリアクトルと第1のコンデンサと抵抗とからなる第1の直列回路を接続し、上記抵抗に並列に第2のリアクトルと第2のコンデンサとからなる第2の直列回路を接続して構成し、上記電力変換装置と上記第1の直列回路との間の配線に存在する配線インダクタンスと上記第1の直列回路と上記第2の直列回路とにより、上記電力変換装置から発生し上記変圧器側へ伝達される任意の高調波成分のうち特定の高調波成分を低減することを特徴とするフィルタ回路。
- 交流架線からの電力を変圧器を介して電力変換装置に供給する回路の上記変圧器と上記電力変換装置との間に、上記電力変換装置に対して並列にリアクトルと第1のコンデンサと抵抗とからなる直列回路を接続し、上記抵抗に並列に第2のコンデンサを接続して構成し、上記電力変換装置と上記直列回路との間の配線に存在する配線インダクタンスと上記直列回路と上記第2のコンデンサとにより、上記電力変換装置から発生し上記変圧器側へ伝達される任意の高調波成分のうち特定の高調波成分を低減することを特徴とするフィルタ回路。
- 請求項1〜4に記載のフィルタ回路において、上記配線インダクタンスと直列に外付けのリアクトルを接続したことを特徴とするフィルタ回路。
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