JP4716967B2 - フィルタ回路 - Google Patents

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Description

この発明は、電源が発生する所定の高調波成分が負荷側に流出することを防ぐフィルタ回路に関するもので、例えば交流架線からの電力を変圧器を介して電力変換装置へ供給し、この電力変換装置からの交流可変出力によって駆動用モータを可変駆動させる交流架線駆動電車等に用いられ、電力変換装置から発生する高調波成分を、変圧器を介して交流架線またはレール側に出力させないようにするために、電力変換装置と変圧器との間に並列に挿入されるなどのフィルタ回路の構成に関するものである。
従来のフィルタ回路として、例えば電源と負荷の間に、電源に対して並列に第1のリアクトルと第1のコンデンサと抵抗とからなる第1の直列回路を接続し、上記抵抗と並列に第2のリアクトルと第2のコンデンサとからなる第2の直列回路を接続して構成されたフィルタ回路を設け、電源から負荷への伝達特性において、反共振周波数における伝達を抑制しつつ、共振周波数における伝達特性を充分に低くすることにより、電源が発生する所望の高調波成分が負荷側へ流出することを防ぐようにしたものがある。(特許文献1参照)
特開2004−72984号公報
上記のような従来のフィルタ回路では、電源が発生する所望の高調波成分が負荷側へ流出することを防ぐことは出来るが、共振周波数よりも高い周波数帯域、例えばラジオ帯域の高調波成分に対する考慮はなかった。従ってラジオ帯域での高調波成分は充分なレベルまで減衰することなく負荷側へそのまま流れ込み、ラジオ帯域での高調波成分及びそれによる妨害波については充分に抑制できないという問題があった。
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、所望の共振周波数における伝達特性を充分低くすると共に、共振周波数よりも高い周波数帯域においても、電源から負荷への伝達特性を低減し、該帯域での高調波成分が負荷に流れ込むのを抑制するフィルタ回路を得ることを目的とする。
この発明は、高調波成分を含む電圧を供給する電源と負荷との間に接続されて、高調波成分が負荷側に伝達することを防止するフィルタ回路であって、第1のリアクトルと第1のコンデンサと抵抗を直列にかつ電源に並列に接続した第1の直列回路と、第2のリアクトルと第2のコンデンサを直列にかつ抵抗に並列に接続した第2の直列回路と、第1のリアクトル及び第1のコンデンサからなる直列回路に並列に接続した第3のコンデンサとを備え、第1のリアクトルと第1のコンデンサの共振周波数と第2のリアクトルと第2のコンデンサの共振周波数を同じにし、第1のリアクトルと第1のコンデンサの共振周波数よりも高い周波数帯域では、第1のリアクトル及び第1のコンデンサからなる直列回路のインピーダンス値よりも第3のコンデンサのインピーダンス値を小さくするようにしたものである。
またこの発明は、高調波成分を含む電圧を供給する電源と負荷との間に接続されて、高調波成分が負荷側に伝達することを防止するフィルタ回路であって、リアクトルと第1のコンデンサと抵抗を直列にかつ電源に並列に接続した第1の直列回路と、抵抗に並列に接続した第2のコンデンサと、リアクトル及び第1のコンデンサからなる直列回路に並列に接続した第3のコンデンサとを備え、リアクトルと第1のコンデンサの共振周波数では、抵抗と第2のコンデンサの並列回路のインピーダンス値が抵抗のインピーダンス値よりも小さく、リアクトルと第1のコンデンサの共振周波数よりも高い周波数帯域では、リアクトル及び第1のコンデンサからなる直列回路のインピーダンス値よりも第3のコンデンサのインピーダンス値を小さくするようにしたものである。
またこの発明のフィルタ回路は、交流架線からの電力を変圧器を介して電力変換装置に供給する回路の上記変圧器と上記電力変換装置との間に適用したものである。
この発明によれば、電源側から負荷側に特定の高調波成分が流出するのを防止し、更に上記特定の高調波成分よりも高い帯域の高調波成分も抑制することができるので、フィルタ回路による高調波吸収効果を充分に得ることができる。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるフィルタ回路の構成図である。図2は図1における周波数と伝達特性の関係を示す図である。
図1に示す構成は、高調波成分を含む電圧を供給する電源1と、この電源1に接続された負荷2と、上記電源1と負荷2を接続する配線に存在する配線インダクタンス3と、上記電源1と負荷2との間に接続されたフィルタ回路4とで構成されている。この発明の実施の形態1によるフィルタ回路4は、負荷2と配線インダクタンス3の間の配線に電源1と並列に、第1のリアクトル41と第1のコンデンサ42と抵抗43とからなる第1の直列回路を接続し、更に抵抗43に並列に第2のリアクトル44と第2のコンデンサ45とからなる第2の直列回路を接続し、更に第1のリアクトル41と第1のコンデンサ42の直列回路に第3のコンデンサ46を並列接続して構成されている。
そして、負荷2側への伝達を低減させたい周波数にあわせて共振周波数を選定するが、このとき、第1のリアクトル41と第1のコンデンサ42の共振周波数と、第2のリアクトル44と第2のコンデンサ45の共振周波数とが同じになるように、各々の要素の値を選定する。また、上記共振周波数よりも高い周波数帯域においては、電源1から負荷2への伝達特性が低減するように、配線インピーダンス3と第3のコンデンサ46と抵抗43とでLCフィルタを構成し、第3のコンデンサ46のインピーダンス値が第1のリアクトル41と第1のコンデンサ42からなる直列回路のインピーダンス値よりも小さくなるようにする。
次に動作について説明する。通常、負荷2側のインピーダンスはフィルタ回路4のインピーダンスよりも充分高いのでその影響を無視するとして、電源1に含まれる高調波電圧をV、負荷2側に伝達される高調波電圧をV1とすると、V1は式1のようになる。ここで、Lは第1のリアクトル41のインダクタンス、Cは第1のコンデンサ42の静電容量、Rは抵抗43の抵抗値、Lrは第2のリアクトル44のインダクタンス、Crは第2のコンデンサ45の静電容量、L1は配線インダクタンス3のインダクタンス、Caは第3のコンデンサ46の静電容量である。
Figure 0004716967
式1は、電源1に含まれる高調波電圧Vが、フィルタ回路4によって負荷2側に高調波電圧V1となって伝達されることを示している。そこで、式1を伝達特性(V1/V)として表し、周波数fとの関係を図に示すと図2のようになる。すなわち、図2の横軸は周波数f、縦軸は周波数fに対する伝達特性(V1/V)を示した図である。図2において、点線は従来例による伝達特性であり、実線は式1によるこの発明の伝達特性を示す。ここでf1はフィルタ回路4のインピーダンスと配線インダクタンス3のリアクタンス成分Xとの関係で発生する、伝達特性(V1/V)が増加する反共振現象における反共振周波数であり、f0はフィルタ回路4の共振周波数である。共振周波数f0では、第1のリアクトル41と第1のコンデンサ42の共振周波数、および第2のリアクトル44と第2のコンデンサ45の共振周波数を等しくしているので、第2のリアクトル44と第2のコンデンサ45による共振で抵抗43の両端のインピーダンスが低下し、抵抗値Rに関係なく共振周波数f0における伝達特性(V1/V)が非常に低くなっている。一方、抵抗値Rを大きくすることにより、反共振周波数f1では抵抗43によりダンピングがかかり、反共振のピーク値が抑制される。また共振周波数f0よりも高い周波数帯域においては、配線インピーダンス3、第3のコンデンサ46、抵抗43より、LCフィルタが構成され、第3のコンデンサ46のインピーダンス値が第1のリアクトル41と第1のコンデンサ42からなる直列回路のインピーダンス値よりも小さくされているから、第3のコンデンサ46の接続により発生する新たな反共振周波数f2よりも高い帯域にて伝達特性は低減される。
以上のように、この実施の形態1によれば、抵抗43の抵抗値Rを増加させることにより、反共振点では、反共振周波数における伝達特性のピーク値を下げて不要な伝達を抑制することができると共に、共振点においては、抵抗43と並列に接続されている第2のリアクトル44と第2のコンデンサ45のリアクタンスLrと静電容量Crが支配的となるため共振周波数におけるインピーダンス成分はほぼ0となり、共振周波数における高調波成分は第2の直列回路側を通るので、フィルタ回路4による所望の高調波吸収効果を充分に得ることができる。
また第3のコンデンサ46の接続により上記所望の共振周波数よりも高い帯域、例えばラジオ帯にて伝達特性を低減することができるため、該帯域での負荷への高調波成分、及びそれによる妨害波を低減するという効果がある。
また配線インダクタンス3と第3のコンデンサ46の共振経路に直列に抵抗43を介するため、配線インダクタンス3と第3のコンデンサ46による反共振周波数f2のピークを抑制するという効果がある。
また上記反共振周波数f2のピーク抑制のために抵抗43を適用するため、別途抵抗を設ける必要が無く、フィルタの小型化が図れるという効果がある。
以上のように、この発明の実施の形態1によれば、任意の高調波成分を含む電源と負荷との間に、電源に対して並列に第1のリアクトルと第1のコンデンサと抵抗とからなる第1の直列回路を接続し、更にこの抵抗に並列に第2のリアクトルと第2のコンデンサとからなる第2の直列回路を接続し、更に第1のリアクトルと第1のコンデンサの直列回路に第3のコンデンサを並列に接続してフィルタ回路を構成したので、反共振周波数における伝達特性のピーク値を下げることができると共に、共振周波数におけるインピーダンスも低く抑えることができるので、特定の高調波成分が負荷側に流出するのを防止し、フィルタ回路による高調波吸収効果を充分に得ることができると共に、更に上記共振周波数より高い帯域においても高調波成分を抑制することができる。
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2によるフィルタ回路の構成図である。図3において、フィルタ回路4以外の構成は実施の形態1の図1と同等であるので符号の説明は省略する。この実施の形態2におけるフィルタ回路4は、リアクトル41、第1のコンデンサ42、抵抗43からなる直列回路が電源1に並列に接続され、更に抵抗43と並列に第2のコンデンサ45が接続され、更にリアクトル41と第1のコンデンサ42の直列回路に第3のコンデンサとしてのコンデンサ46が並列に接続されて構成されている。
この実施の形態2では、抵抗43に第2のコンデンサ45を並列に接続して構成する。そして、図2と同様に、抵抗43の抵抗値Rと第2のコンデンサ45の静電容量Crの合成インピーダンスが反共振周波数f1と共振周波数f0とで異なるように、すなわち反共振周波数f1ではインピーダンスが大きく、共振周波数f0ではインピーダンスが小さくなるように、抵抗値R及び静電容量Crの値を決定するようにする。即ち、リアクトル41と第1のコンデンサ42からなる直列回路の共振周波数では、抵抗43と第2コンデンサ45の並列回路のインピーダンス値が抵抗43のインピーダンス値よりも小さくなるようにする。また、上記共振周波数よりも高い周波数帯域においては、電源1から負荷2への伝達特性が低減するように、第3のコンデンサ46を接続して、配線インピーダンス3と第3のコンデンサ46と抵抗43とでLCフィルタを構成し、第3のコンデンサ46のインピーダンス値がリアクトル41と第1のコンデンサ42からなる直列回路のインピーダンス値よりも小さくなるようにする。このようにすることにより、図2と同様に所望の共振周波数よりも高い帯域にて電源1から負荷2への伝達特性を低減する。
このような回路構成によって、負荷2側のインピーダンスがフィルタ回路4のインピーダンスよりも充分高い場合はその影響を無視するとして、電源1に含まれる高調波電圧をVとし、負荷2側に伝達される高調波電圧をV1とすると、V1は式2のようになる。ここで、Lはリアクトル41のインダクタンス、Cは第1のコンデンサ42の静電容量、Rは抵抗43の抵抗値、Crは第2のコンデンサ45の静電容量、L1は配線インダクタンス3のインダクタンス、Caは第3のコンデンサ46の静電容量である。
Figure 0004716967
式2を伝達特性(V1/V)として表し、この伝達特性(V1/V)と周波数fの関係を図示すると図2と同様の形状になる。低周波側に現れる反共振点での反共振周波数f1近傍では第2のコンデンサ45は低インピーダンスとならず、概ね抵抗値Rにより決まるインピーダンスとなる。また高周波側に現れる共振点における共振周波数f0では第2のコンデンサ45は低インピーダンスとなるので、伝達特性が抑制される。また共振周波数f0よりも高い周波数帯域においては、配線インピーダンス3、第3のコンデンサ46、抵抗43より、LCフィルタが構成され、第3のコンデンサ46のインピーダンス値がリアクトル41と第1のコンデンサ42からなる直列回路のインピーダンス値よりも小さくされているから、第3のコンデンサ46の接続により発生する新たな反共振周波数f2よりも高い帯域にて伝達特性は低減される。
以上のようにこの実施の形態2によれば、反共振周波数f1での伝達特性を抵抗43で抑制し、かつ共振周波数f0での伝達特性を第2のコンデンサ45により低下させることにより共振点の周波数での高調波成分が負荷2側に流出しないようにすることができる。
また第3のコンデンサ46の接続により所望の共振周波数f0よりも高い帯域、例えばラジオ帯にて伝達特性を低減することができるため、該帯域での負荷への高調波成分、及びそれによる妨害波を低減するという効果がある。
また配線インダクタンス3と第3のコンデンサ46の共振経路に直列に抵抗43を介するため、配線インダクタンス3と第3のコンデンサ46による反共振周波数f2のピークを抑制するという効果がある。
また上記反共振周波数f2のピーク抑制のために抵抗43を適用するため、別途抵抗を設ける必要が無く、フィルタの小型化が図れるという効果がある。
以上のように、発明の実施の形態2によれば、電源に対して並列にリアクトルと第1のコンデンサと抵抗とからなる第1の直列回路を接続し、更にこの抵抗に並列に第2のコンデンサを接続し、リアクトルと第1のコンデンサの直列回路に第3のコンデンサを並列に接続してフィルタ回路を構成したので、反共振周波数での伝達特性を抵抗で抑制し、かつ共振周波数での伝達特性を第2のコンデンサによって低下させることができるので、簡単な構成で、反共振周波数における伝達特性のピーク値を下げることができると共に、共振周波数での特定の高調波成分が負荷側に流出するのを防止することができると共に、第3のコンデンサの接続により上記共振周波数より高い帯域においても高調波成分を抑制することができる。
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3によるフィルタ回路の構成図である。この実施の形態3では、交流架線駆動電車等の用途に用いられる、電力変換装置で発生する電圧の高調波成分を、変圧器を介して交流架線やレールに出力させないようにするために、電力変換装置と変圧器との間に電力変換装置に並列に挿入されるフィルタ回路について示している。
図4において、フィルタ回路4の構成は実施の形態1で説明した図1と同等であるので符号の説明と動作の説明は省略する。この実施の形態3では、実施の形態1の負荷に相当する個所に、交流架線15、この交流架線15から電力を集電するパンタグラフ16、架線電流の帰線となるレール17、集電した電力の電圧を変成する変圧器18が接続される。変圧器18を介して交流架線15からの電力の供給を受ける電力変換装置19がフィルタ回路4を介して接続され、この電力変換装置19は変圧器18側に接続される単相コンバータ19aと中間直流回路を介して接続される3相インバータ19bとで構成されている。電力変換装置19の3相インバータ装置19b側には駆動用モータ20が接続される。また、変圧器18と電力変換装置19を接続する配線に存在する配線インダクタンス21をフィルタ回路4と電力変換装置19とを接続する配線に示している。そして、フィルタ回路4は配線インピーダンス21と変圧器18との間の配線に電力変換装置19に並列に挿入されている。
次に、この発明の実施の形態3の動作について説明する。交流架線15から電力を受け取って、パンタグラフ16及び変圧器18を介して電力変換装置19の単相コンバータ19aにて交流電力を直流電力に変換し、更に3相インバータ19bでその直流電力を交流可変出力電力に変換して、駆動用モータ20を可変速駆動させることで電車を駆動させる。
この実施の形態3では、図4に示すように電力変換装置19の単相コンバータ19aと変圧器18の間に、実施の形態1と同様なフィルタ回路4を電力変換装置19に並列に接続して構成した。そして、信号機システムで使用されている周波数、すなわち変圧器18を介してレール17へ流出させたくない周波数をフィルタ回路4の共振周波数に設定する。
フィルタ回路4は、実施の形態1で説明したように、第1のリアクトル41と第1のコンデンサ42と抵抗43とからなる第1の直列回路の抵抗43に並列に第2のリアクトル44と第2のコンデンサ45とからなる第2の直列回路を接続し、更に第1のリアクトル41と第1のコンデンサ42の直列回路に第3のコンデンサ46を並列接続して構成したので、反共振周波数におけるインピーダンス上昇は抵抗43の抵抗値Rを増加させることで抑制でき、共振点においては、抵抗43と並列に接続されている第2のリアクトル44と第2のコンデンサ45のリアクタンスLrと静電容量Crとが支配的となるので共振周波数におけるインピーダンス成分はほぼ0となり、共振周波数における高調波成分吸収効果を充分に発揮する。
また共振点よりも高域の周波数帯域での電力変換装置から伝達する高調波が、配線インダクタンス21、第3のコンデンサ46、及び抵抗43により抑制されるため、該帯域の高調波流出を抑制する。
この実施の形態3によれば、配線インダクタンス21による電圧降下を利用し、電力変換装置19の単相コンバータ19aから発生する高調波電流をフィルタ回路4を通じてバイパスさせ、単相コンバータ19a側に帰還させることができるので、変圧器18を介しレール17に高調波成分が流出して信号機システムに支障をきたすのを防止することができる。
また、反共振周波数の伝達特性を抵抗値Rで抑制し、共振周波数の伝達特性を充分に低下させることができるため、フィルタ回路4により不要な高調波成分を交流架線15に流出することを抑制することができる。
また第3のコンデンサ46の接続により所望の共振周波数f0よりも高い帯域、例えばラジオ帯にて伝達特性を低減することができるため、該帯域での負荷への高調波成分、及びそれによる妨害波を低減するという効果がある。
また配線インダクタンス21と第3のコンデンサ46の共振経路に直列に抵抗43を介するため、配線インダクタンス21と第3のコンデンサ46による反共振周波数f2のピークを抑制するという効果がある。
また上記反共振周波数f2のピーク抑制のために抵抗43を適用するため、別途抵抗を設ける必要が無く、フィルタの小型化が図れるという効果がある。
以上のように、この発明の実施の形態3によれば、交流架線からの電力を変圧器を介して電力変換装置に供給する回路の変圧器と電力変換装置との間に、電力変換装置に対して並列に第1のリアクトルと第1のコンデンサと抵抗とからなる第1の直列回路を接続し、抵抗に並列に第2のリアクトルと第2のコンデンサとからなる第2の直列回路を接続し、第1のリアクトルと第1のコンデンサの直列回路に第3のコンデンサを並列に接続してフィルタ回路を構成したので、電力変換装置で発生する電圧の高調波成分をフィルタ回路を通じてバイパスさせ、電力変換装置側に帰還させることができるので、電力変換装置から発生する高調波成分が変圧器を介して交流架線やレールに流出するのを防止することができる。
実施の形態4.
図5はこの発明の実施の形態4によるフィルタ回路の構成図である。この実施の形態4では、実施の形態3と同様に、交流架線駆動電車等の用途に用いられる、電力変換装置で発生する電圧の高調波成分を、変圧器を介して交流架線やレールに出力させないようにするために、電力変換装置と変圧器との間に電力変換装置に並列に挿入されるフィルタ回路について示している。
図5において、フィルタ回路4以外の構成は実施の形態3で説明した図4と同等であるので符号の説明と動作の説明は省略する。
実施の形態4のフィルタ回路4は、実施の形態2で説明したフィルタ回路、すなわち、リアクトル41と第1のコンデンサ42と抵抗43とからなる直列回路の抵抗43に並列に第2のコンデンサ45を接続し、更にリアクトル41と第1のコンデンサ42の直列回路に並列に第3のコンデンサ46を接続して構成したもので、実施の形態2で説明したフィルタ回路の効果により、この実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
以上のように、この発明の実施の形態4によれば、交流架線からの電力を変圧器を介して電力変換装置に供給する回路の変圧器と電力変換装置との間に、電力変換装置に対して並列にリアクトルと第1のコンデンサと抵抗とからなる直列回路を接続し、上記抵抗に並列に第2のコンデンサを接続し、更に上記リアクトルと第1のコンデンサの直列回路に第3のコンデンサを並列に接続してフィルタ回路を構成したので、簡単な構成で実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
なお、上記の実施の形態3および4では電力変換装置の負荷として駆動用モータの場合を例に説明したが、この様な回路に限定するものではなく、例えば、電力変換装置19を補助電源装置とし、それに3相交流負荷が接続されるような回路に適用しても同様の効果を奏することは言うまでもない。
実施の形態5.
上記した実施の形態1〜4では、配線インダクタンス3、21はフィルタ回路4を適用する主回路の配線に存在するインダクタンスを利用する場合について説明したが、実施の形態5の発明は、配線インダクタンス3、21と直列に外付けのリアクトル(図示せず)を用いてフィルタ回路4の構成要素としてもよい。配線インダクタンス3、21を利用する場合はフィルタ回路4を適用する主回路の構成によって制約を受けるが、外付けのリアクトルであればインダクタンスを自由に選定できるので、他の構成要素の選択がより自由となる。すなわち、外付けのリアクトルにより所望のインダクタンスを得ることができるので、高調波吸収度合に見合った的確な設計ができる。また、配線を長くする必要がなく、主回路の艤装方法の制約を受けることが少なくなる。
このように実施の形態5の発明によれば、高調波吸収効果を得るために利用する主回路の配線の配線インダクタンス以外に、外付けのリアクトルをフィルタ回路の構成要素として加えたので、インダクタンスを自由に選定することができ、このため、フィルタ回路設計の自由度が増し、またフィルタ回路を使用する主回路配線の艤装の自由度も増す。
この発明の実施の形態1によるフィルタ回路を示す構成図である。 図1における周波数と伝達特性の関係を示す図である。 この発明の実施の形態2によるフィルタ回路を示す構成図である。 この発明の実施の形態3によるフィルタ回路を示す構成図である。 この発明の実施の形態4によるフィルタ回路を示す構成図である。
符号の説明
1:電源 2:負荷
3:配線インダクタンス 4:フィルタ回路
15:交流架線 18:変圧器
19:電力変換装置 21:配線インダクタンス
41:第1のリアクトル 42:第1のコンデンサ
43:抵抗 44:第2のリアクトル
45:第2のコンデンサ 46:第3のコンデンサ

Claims (6)

  1. 高調波成分を含む電圧を供給する電源と負荷との間に接続されて、上記高調波成分が上記負荷側に伝達することを防止するフィルタ回路であって、
    第1のリアクトルと第1のコンデンサと抵抗を直列にかつ上記電源に並列に接続した第1の直列回路と、
    第2のリアクトルと第2のコンデンサを直列にかつ上記抵抗に並列に接続した第2の直列回路と、
    上記第1のリアクトル及び上記第1のコンデンサからなる直列回路に並列に接続した第3のコンデンサとを備え、
    上記第1のリアクトルと上記第1のコンデンサの共振周波数と上記第2のリアクトルと上記第2のコンデンサの共振周波数を同じにし、
    上記第1のリアクトルと上記第1のコンデンサの共振周波数よりも高い周波数帯域では、上記第1のリアクトル及び上記第1のコンデンサからなる直列回路のインピーダンス値よりも上記第3のコンデンサのインピーダンス値が小さいことを特徴とするフィルタ回路。
  2. 高調波成分を含む電圧を供給する電源と負荷との間に接続されて、上記高調波成分が上記負荷側に伝達することを防止するフィルタ回路であって、
    リアクトルと第1のコンデンサと抵抗を直列にかつ上記電源に並列に接続した第1の直列回路と、
    上記抵抗に並列に接続した第2のコンデンサと、
    上記リアクトル及び上記第1のコンデンサからなる直列回路に並列に接続した第3のコンデンサとを備え、
    上記リアクトルと上記第1のコンデンサの共振周波数では、上記抵抗と上記第2のコンデンサの並列回路のインピーダンス値が上記抵抗のインピーダンス値よりも小さく、
    上記リアクトルと上記第1のコンデンサの共振周波数よりも高い周波数帯域では、上記リアクトル及び上記第1のコンデンサからなる直列回路のインピーダンス値よりも上記第3のコンデンサのインピーダンス値が小さいことを特徴とするフィルタ回路。
  3. 交流架線からの電力を変圧器を介して電力変換装置に供給する回路の上記変圧器と上記電力変換装置との間に設置されて、上記電力変換装置で発生する電圧の高調波成分が上記変圧器側に伝達することを防止するフィルタ回路であって、
    第1のリアクトルと第1のコンデンサと抵抗を直列にかつ上記電力変換装置に並列に接続した第1の直列回路と、
    第2のリアクトルと第2のコンデンサを直列にかつ上記抵抗に並列に接続した第2の直列回路と、
    上記第1のリアクトル及び上記第1のコンデンサからなる直列回路に並列に接続した第3のコンデンサとを備え、
    上記第1のリアクトルと上記第1のコンデンサの共振周波数と上記第2のリアクトルと上記第2のコンデンサの共振周波数を同じにし、
    上記第1のリアクトルと上記第1のコンデンサの共振周波数よりも高い周波数帯域では、上記第1のリアクトル及び上記第1のコンデンサからなる直列回路のインピーダンス値よりも上記第3のコンデンサのインピーダンス値が小さいことを特徴とするフィルタ回路。
  4. 交流架線からの電力を変圧器を介して電力変換装置に供給する回路の上記変圧器と上記電力変換装置との間に設置されて、上記電力変換装置で発生する電圧の高調波成分が上記変圧器側に伝達することを防止するフィルタ回路であって、
    リアクトルと第1のコンデンサと抵抗を直列にかつ上記電力変換装置に並列に接続した第1の直列回路と、
    上記抵抗に並列に接続した第2のコンデンサと、
    上記リアクトル及び上記第1のコンデンサからなる直列回路に並列に接続した第3のコンデンサとを備え、
    上記リアクトルと上記第1のコンデンサの共振周波数では、上記抵抗と上記第2のコンデンサの並列回路のインピーダンス値が上記抵抗のインピーダンス値よりも小さく、
    上記リアクトルと上記第1のコンデンサの共振周波数よりも高い周波数帯域では、上記リアクトル及び上記第1のコンデンサからなる直列回路のインピーダンス値よりも上記第3のコンデンサのインピーダンス値が小さいことを特徴とするフィルタ回路。
  5. 上記電源と上記第1の直列回路の間に直列に外付けリアクトルを接続したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフィルタ回路。
  6. 上記電力変換装置と上記第1の直列回路の間に直列に外付けリアクトルを接続したことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のフィルタ回路。
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