JP4036856B2 - 弾性表面波素子を用いたバンドパスフィルタ - Google Patents

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Description

本発明はとくに反共振周波数と共振周波数を近づけることが容易な性表面波素子を用いたバンドパスフィルタに関する。
図18は従来の弾性表面波素子を用いて形成したバンドパスフィルタF1である。このバンドパスフィルタF1は弾性表面波素子である共振器S1及び共振器S2が接続されることによって形成されている。
共振器S1、S2は圧電性基板1の上に、くし歯状電極部2及びくし歯状電極部3がスパッタ法やメッキ法等を用いて成膜されることによって形成されている。くし歯状電極部2とくし歯状電極部3は所定の間隔をあけて互い違いに並べられている。
また、くし歯状電極部2及びくし歯状電極部3には接続部4が電気的に接続されており、接続部4を介して共振器S1と共振器S2が接続されている。
また共振器S1の一端部AはバンドパスフィルタF1の入力端子inに接続されて他端部Bは出力端子outに接続されている。また、共振器2の一端部Aは共振器S1の一端部Aに、共振器S2の他端部Bは端子GNDを介してグラウンド電位に接続されている。
図19に図18にしめされたバンドパスフィルタF1の等価回路図をしめす。共振器S1及び2はコンデンサC1、C2とインダクタL1からなる共振器回路と等価になる。
図20は図18に示された共振器S1を一点鎖線D−D線で切断し矢印方向からみた断面図である。図20に示されるようにくし歯状電極部2、3は圧電性基板1に直接積層されている。
なお、くし歯状電極部2、3の両側部には圧電性基板1の表面に発生した表面波を反射するための反射器5,5が設けられている。
図18に示されるバンドパスフィルタF1の動作原理を説明する。図21(a)は共振器S1及び共振器S2の周波数特性を示すグラフである。図21(a)の縦軸はリアクタンスXを示し、横軸は周波数fを示している。共振器S1の反共振周波数farは共振器S2の反共振周波数farよりも大きく、共振器S1の共振周波数frと共振器S2の反共振周波数farは重なっている。従って、共振器S1と共振器S2を図18に示すように接続して形成したバンドパスフィルタF1の周波数特性は図21(b)のグラフによって示される。共振器S1の共振周波数fr、すなわち共振器S2の反共振周波数farがバンドパスフィルタF1の通過帯域の中心周波数になる。また、共振器S2の共振周波数fr付近及び共振器S1の反共振周波数farにおいてバンドパスフィルタF1の減衰量が大きくなり、共振器2の共振周波数fr以下及び共振器1の反共振周波数far以上の帯域が減衰帯域である。
共振器を組合わせて形成した高周波フィルタの通過帯域外の周波数を急峻かつ十分に減衰させるためには共振器の反共振周波数と共振周波数を近づけることが必要である。
特許文献1には弾性表面波素子からなる共振器に外付のコンデンサーとコイルを接続することにより共振器の反共振周波数と共振周波数を近づける構成が示されている。
特開平9−321573号公報 特開平9−83282号公報(第3頁、図1)
しかし、特許文献1に示されるバンドパスフィルタのように弾性表面波素子に外付のコンデンサとコイルを接続する構成ではバンドパスフィルタF1の容積が大きくなってしまう。
なお、特許文献2にはくし歯状電極部と圧電性基板との間にSiOからなる絶縁層を介在させる弾性表面波素子が記載されている。しかし、特許文献2に記載された弾性表面波素子の絶縁層は弾性表面波素子の温度特性の補償やエレクトロマイグレーションの低減のためのものである。そのため、特許文献2に記載の弾性表面波素子では絶縁層の膜厚が1000Åとかなり厚くなっている。
本発明は上記従来の問題を解決するためのものであり、外付の部品を加えることなく反共振周波数と共振周波数を近づけることが容易な性表面波素子を用いたバンドパスフィルタを提供することを目的とする。
本発明は圧電性基板と、前記圧電性基板上に薄膜形成された電極部を有する複数の弾性表面波素子によって構成されるバンドパスフィルタにおいて、
前記弾性表面波素子の前記電極部は、くし歯状電極部及び前記くし歯状電極部に接続された接続部を有して構成され
前記弾性表面波素子のうち、前記入力端子と出力端子との間に設けられた前記弾性表面波素子は、前記くし歯状電極部と前記圧電性基板の間に絶縁性材料層が設けられており、
前記入力端子と前記出力端子間を接続する信号線路とグランド電位間に設けられた前記弾性表面波素子は、前記くし歯状電極部が前記圧電性基板上に直接形成されていることを特徴とするものである。
本発明のように前記くし歯状電極部と前記圧電性基板の間に絶縁性材料層が介在していると前記圧電性基板の上に前記くし歯状電極部が直接積層されている弾性表面波素子と比べて反共振周波数が共振周波数に近づく。しかも本発明では弾性表面波素子に外付のコイルやコンデンサーを付加することなく弾性表面波素子の反共振周波数と共振周波数の差を小さくできるので装置の小型化を推進できる。
本発明の弾性表面波素子において反共振周波数が共振周波数に近づくのは、前記くし歯状電極部と前記圧電性基板の間に絶縁性材料層が介在することによって弾性表面波素子の電気機械結合係数kが小さくなるためと考えられる。
本発明では、前記絶縁材料層は、非圧電性の材料で形成されていることが好ましい。
本発明では前記くし歯状電極部の側方の前記圧電性基板上に前記圧電性基板の表面に発生する表面波を反射させる反射器が設けられ、この反射器と前記圧電性基板の間に絶縁性材料層が設けられていることが好ましい。
本発明では、前記絶縁性材料層を例えば酸化ケイ素(SiO)、アルミナ(Al)、窒化ケイ素(Si34)のいずれか1種または2種以上によって形成することができる。
本発明では前記絶縁性材料層の膜厚が5nm以上20nm以下であることが好ましい。
また、前記くし歯状電極部のくし歯部の中心間距離(ピッチ幅)をλnm、前記絶縁性材料層の膜厚をHnmとしたとき、前記絶縁性材料層の規格化膜厚H/λが0.0025以上0.01以下であることが好ましい。
さらに本発明では前記くし歯状電極部と前記反射器に圧電性基板中に含有している酸素の拡散を防止するために、前記くし歯状電極部と前記反射器のいずれか一方あるいは両方がTiNからなる下地層を有していることが好ましい。
本発明では、前記くし歯状電極部と前記圧電性基板の間に絶縁性材料層が介在しているので前記圧電性基板の上に前記くし歯状電極部が直接積層されている弾性表面波素子と比べて反共振周波数が共振周波数に近づく。
しかも本発明では弾性表面波素子に外付のコイルやコンデンサーを付加することなく弾性表面波素子の反共振周波数と共振周波数の差を小さくできるので装置の小型化を推進できる
図1は、本発明の第1の実施の形態の共振器及びこの共振器を用いて形成した高周波フィルタを示す平面図である。共振器S11及び共振器S12は弾性表面波素子であり、図1に示されるように接続されることにより入力ポートに入力された高周波信号のうち特定の周波数帯域の信号のみを出力ポートに出力するバンドパスフィルターF11を構成している。
共振器S11、S12は圧電性基板11の上に、くし歯状電極部12及びくし歯状電極部13がスパッタ法やメッキ法等を用いて成膜されることによって形成されている。くし歯状電極部12とくし歯状電極部13は図示X方向に所定の間隔をあけて互い違いに並べられている。
また、くし歯状電極部12及びくし歯状電極部13には接続部14が電気的に接続されており、接続部14を介して共振器S11と共振器S12が接続されている。
また共振器S11の一端部AはバンドパスフィルタF11の入力端子inに接続されて他端部Bは出力端子outに接続されている。また、共振器12の一端部Aは共振器S11の一端部Aに、共振器S12の他端部Bは端子GNDを介してグラウンド電位に接続されている。本実施の形態では共振器S11が本発明の第1共振器群を構成し、共振器S12が本発明の第2共振器群に相当する。
図2は図1に示された共振器S11を一点鎖線D1−D1線で切断し矢印方向からみた断面図である。図2に示されるようにくし歯状電極部12、13と圧電性基板11の間に絶縁性材料層16が形成されている。絶縁性材料層16の誘電率は4から5である。絶縁性材料層16は例えば酸化ケイ素(SiO)(比誘電率:3.8)、アルミナ(Al)(比誘電率:9.4)、窒化ケイ素(Si34)のいずれか1種または2種以上によって形成することができる。
本実施の形態ではくし歯状電極部12,13及び反射器15,15は下地層17及び下地層17の上に積層された金属層18の2層構造を有している。下地層17は例えば窒化チタン(TiN)からなる。金属層18はAl、AlSc合金などのAl合金、Cu、AlCu合金などのCu合金によって形成される。
下地層17が金属層18と圧電性基板11又は絶縁性材料層16の間に設けられると圧電性基板11や絶縁性材料層16に含まれる酸素などの拡散を防止して金属層18の劣化を抑制することができる。
また、金属層18の上にTiNなどからなる保護層を設けてもよい。
なお、くし歯状電極部12、13の両側部には圧電性基板11の表面に発生した表面波を反射するための反射器15,15が設けられている。図1では、反射器15を構成する各電極の端部どうしは開放されている。ただし、反射器15を構成する各電極の端部どうしは短絡されていてもよい。
くし歯状電極部12とくし歯状電極部13に高周波信号が与えられると圧電性素子11の表面に弾性表面波が発生し、この表面波が図示X方向及び図示X方向と反平行方向に進行する。前記表面波は反射器15,15によって反射されて、くし歯状電極部12,13に戻って来る。共振器(弾性表面波素子)S11と共振器(弾性表面波素子S12)は、共振周波数と反共振周波数を有しており、反共振周波数において最もインピーダンスが高くなる。
接続部14及び反射器15,15は、くし歯状電極部12,13と同じ材料で形成されてもよいし、Auなど他の導電性材料によって形成されてもよい。
図1及び図2に示される実施の形態では、くし歯状電極部12のくし歯部12aとくし歯状電極部13のくし歯部13aは同じ幅寸法W1を有しており、間隔幅P1も一定の値である。また、くし歯部12aとくし歯部13aはL1の長さ寸法で交差している。なお、幅寸法W1は0.3μm以上で1.5μm以下、間隔幅P1は0.6μm以上で1.5μm以下、長さ寸法L1は16μm以上で200μm以下である。また、共振器(弾性表面波素子)S11のくし歯部12aの中心間距離(ピッチ幅)λとくし歯部13aの中心間距離(ピッチ幅)λは同じでありλは1.2μm以上6.0μm以下である。この中心間距離(ピッチ幅)λと共振器(弾性表面波素子)の表面波の波長が等しくなる。なお、くし歯状電極部12、13、接続部14、反射器15,15はスパッタ法や蒸着法などの薄膜形成プロセス及びレジストフォトリソグラフィによるパターン形成によって形成される。
図3に図1にしめされたバンドパスフィルタF11の等価回路図をしめす。共振器S11はコンデンサC11、インダクタL11、コンデンサC13とコンデンサC14からなる共振器回路と等価になる。コンデンサC11とインダクタL11の直列接続は弾性表面波素子の電気機械結合を反映しておりコンデンサC11の静電容量とインダクタL11のインダクタンスの値によって共振器S11の共振周波数が規定される。コンデンサC11及びインダクタL11に並列に接続されているコンデンサC13はくし歯状電極部の各くし歯間の静電容量を反映している。さらに、コンデンサC13に直列接続されているコンデンサ14が本発明の特徴である絶縁性材料層16による付加的な静電容量を反映している。
一方、くし歯状電極部12,13が圧電性基板の上に直接積層されている共振器S12はコンデンサC21、インダクタL21とコンデンサC22からなる共振器回路と等価になる。すなわち、共振器S12の等価回路は従来の共振器の等価回路と同じである。
共振器S11のくし歯状電極部12,13と 圧電性基板11の間に絶縁性材料層16が介在していると圧電性基板11の上にくし歯状電極部12,13が直接積層されている弾性表面波素子と比べて反共振周波数が共振周波数に近づく。しかも本発明では弾性表面波素子に外付のコイルやコンデンサーを付加することなく弾性表面波素子の反共振周波数と共振周波数の差を小さくできるので装置の小型化を推進できる。
本発明の弾性表面波素子において反共振周波数が共振周波数に近づくのは、くし歯状電極部12,13と圧電性基板11の間に絶縁性材料層16が介在することによって弾性表面波素子の電気機械結合係数kが小さくなるためと考えられる。
なお、共振器S11の圧電性基板11を介したくし歯状電極部12,13間の静電容量(図3のC13とC14の合成静電容量)は共振器S12のの圧電性基板11を介したくし歯状電極部12,13間の静電容量(図3のC22)より小さい。
なお、図1では反射器15、15と圧電性基板11の間にも絶縁性材料層16が設けられている。ただし反射器15、15と圧電性基板11の間に絶縁性材料層16が設けられずに反射器15、15の上に圧電性基板11が直接積層されていてもよい。
本発明では 絶縁性材料層16の膜厚が5nm以上20nm以下であることが好ましい。また、 くし歯状電極部12,13のくし歯部12a,13aの中心間距離(ピッチ幅)をλnm、絶縁性材料層16の膜厚をHnmとしたとき、絶縁性材料層16の規格化膜厚H/λが0.0025以上0.01以下であることが好ましい。
バンドパスフィルタF11の動作原理を説明する。図4(a)は共振器S11及び共振器S12の周波数特性を示すグラフである。図4(a)の縦軸はリアクタンスXを示し、横軸は周波数fを示している。共振器S11の反共振周波数far2は共振器S12の反共振周波数far1よりも大きく、共振器S11の共振周波数fr2と共振器S12の反共振周波数far1は重なっている。
参考のため図18に示された従来のバンドパスフィルターに搭載された共振器S1の周波数特性を点線で示す。共振器S11のくし歯状電極部12,13と圧電性基板11の間に絶縁性材料層16が介在している(実施の形態)と圧電性基板11の上にくし歯状電極部12,13が直接積層されている弾性表面波素子(従来例)と比べて反共振周波数far2が共振周波数fr2に近づく。なお共振周波数fr2は従来例のものから変化していない。また共振器S12の共振周波数fr1及び反共振周波数far1は従来のバンドパスフィルターF1の共振器S2と同じである。
共振器S11と共振器S12を図に示すように接続して形成したバンドパスフィルタF11の周波数特性は図4(b)のグラフによって示される。共振器S11の共振周波数fr2、すなわち共振器S12の反共振周波数far1がバンドパスフィルタF11の通過帯域の中心周波数になる。また、共振器S12の共振周波数fr1付近及び共振器S11の反共振周波数far2付近においてバンドパスフィルタF11の減衰量が大きくなり、共振器S12の共振周波数fr1以下及び共振器S11の反共振周波数far2以上の帯域が減衰帯域である。
本実施の形態のバンドパスフィルタF11は共振器S11の反共振周波数far2と共振周波数fr2を近づけることができるため通過帯域外の周波数を急峻かつ十分に減衰させることができる。
図5は本発明の第2の実施の形態の高周波フィルタとしてのバンドパスフィルタを示す平面図である。
このバンドパスフィルタF12も図1に示されるバンドパスフィルタF11と同様に弾性表面波素子である共振器S21、共振器S22及び共振器S23が接続されることによって形成されている。弾性表面波素子である共振器S21は図1の共振器S11と同様の構成であり、共振器S22及び共振器S23は図1の共振器S12と同様の構成である。従って、図5では共振器S21が本発明の共振器であり、共振器S21のくし歯状電極部12及びくし歯状電極部13並びに反射器15,15と圧電性基板11の間に絶縁性材料層16が設けられている。
共振器S21、S22、S23も圧電性基板11の上に、くし歯状電極部12及びくし歯状電極部13がスパッタ法やメッキ法等を用いて成膜されることによって形成されている。くし歯状電極部12とくし歯状電極部13は図示X方向に所定の間隔をあけて互い違いに並べられている。なお、共振器S21をD1−D1線で切断して矢印方向からみた断面図は図2に示された断面図と同様である。
また、共振器S21のくし歯状電極部13と共振器S22のくし歯状電極部12は接続部14を介して電気的に接続されており、共振器S21のくし歯状電極部12と共振器S23のくし歯状電極部12は接続部20を介して電気的に接続されている。
共振器S21の一端部AはバンドパスフィルタF12の入力端子inに接続されて他端部Bは出力端子outに接続されている。共振器S22の一端部Aは共振器S21の一端部Aに、共振器S22の他端部Bは端子GNDを介してグラウンド電位に接続されている。共振器S23の一端部Aは共振器S21の他端部Aに、共振器S23の他端部Bは端子GNDを介してグラウンド電位に接続されている。本実施の形態では共振器S21が本発明の第1共振器群を構成し、共振器S22及び共振器S23が本発明の第2共振器群を構成する。
バンドパスフィルタF12の端子inと端子GNDからなる入力ポート側に入力された高周波信号のうち特定の周波数帯域の信号のみが端子outと端子GNDからなる出力ポートに出力される。
図6に図5にしめされたバンドパスフィルタF12の等価回路図をしめす。バンドパスフィルタF12はいわゆるπ型のバンドパスフィルタである。
共振器S21はコンデンサC11、インダクタL11、コンデンサC13とコンデンサC14からなる共振器回路と等価になる。コンデンサ13に直列接続されているコンデンサ14が本発明の特徴である絶縁性材料層16による付加的な静電容量を反映している。
一方、くし歯状電極部12,13が圧電性基板の上に直接積層されている共振器S22及び共振器S23はそれぞれコンデンサC21、インダクタL21とコンデンサC22からなる共振器回路及びコンデンサC31、インダクタL31とコンデンサC32からなる共振器回路と等価になる。すなわち、共振器S22及び共振器S23の等価回路は従来の共振器の等価回路と同じである。
本実施の形態でも本実施の形態のバンドパスフィルタF12は共振器S21の反共振周波数farと共振周波数frを近づけることができるため通過帯域外の周波数を急峻かつ十分に減衰させることができる。
図7は本発明の第3の実施の形態の高周波フィルタとしてのバンドパスフィルタを示す平面図である。
このバンドパスフィルタF13も弾性表面波素子である共振器S31、共振器S32及び共振器S33が接続されることによって形成されている。弾性表面波素子である共振器S31及びS33は図1の共振器S11と同様の構成であり、共振器S32は図1の共振器S12と同様の構成である。従って、図5では共振器S31及びS33が本発明の共振器であり、共振器S31及びS33のくし歯状電極部12及びくし歯状電極部13並びに反射器15,15と圧電性基板11の間に絶縁性材料層16が設けられている。
共振器S31、S32、S33も圧電性基板11の上に、くし歯状電極部12及びくし歯状電極部13がスパッタ法やメッキ法等を用いて成膜されることによって形成されている。くし歯状電極部12とくし歯状電極部13は図示X方向に所定の間隔をあけて互い違いに並べられている。なお、共振器S31及び共振器S32をD1−D1線で切断して矢印方向からみた断面図は図2に示された断面図と同様である。
共振器S31のくし歯状電極部12、共振器S32のくし歯状電極部12及び共振器S33のくし歯状電極部13は接続部14を介して電気的に接続されている。
共振器S31の一端部AはバンドパスフィルタF13の入力端子inに接続されて他端部Bは共振器S33の一端部Aに接続されている。共振器S33の他端部Bは出力端子outに接続されている。共振器S32の一端部Aは共振器S31の他端部B及び共振器S33の一端部Aに、共振器S32の他端部Bは端子GNDを介してグラウンド電位に接続されている。本実施の形態では共振器S31及び共振器S33が本発明の第1共振器群を構成し、共振器S32が本発明の第2共振器群に相当する。
バンドパスフィルタF13の端子inと端子GNDからなる入力ポートP1側に入力された高周波信号のうち特定の周波数帯域の信号のみが端子outと端子GNDからなる出力ポートP2に出力される。
図8に図7にしめされたバンドパスフィルタF13の等価回路図をしめす。このバンドパスフィルタF13はいわゆるT型のバンドパスフィルタである。
共振器S31はコンデンサC41、インダクタL41、コンデンサC43とコンデンサC44からなる共振器回路と等価になり、共振器S33はコンデンサC61、インダクタL61、コンデンサC63とコンデンサC64からなる共振器回路と等価になる。コンデンサC43に直列接続されているコンデンサC44及びコンデンサC63に直列接続されているコンデンサC64が本発明の特徴である絶縁性材料層16による付加的な静電容量を反映している。
一方、くし歯状電極部12,13が圧電性基板の上に直接積層されている共振器S32はコンデンサC51、インダクタL51とコンデンサC52からなる共振器回路と等価になる。すなわち、共振器S32の等価回路は従来の共振器の等価回路と同じである。
本実施の形態でも本実施の形態のバンドパスフィルタF13は共振器S31及び共振器S33の共振周波数frと反共振周波数farを近づけることができるため通過帯域外の周波数を急峻かつ十分に減衰させることができる。
また、共振器S31の絶縁性材料層16と共振器S32の絶縁性材料層16の膜厚を変化させてくし歯状電極部12,13間の静電容量を変更することによって図9に示されるような周波数特性を有するバンドパスフィルタを構成することもできる。
図10は本発明の第4の実施の形態の高周波フィルタとしてのバンドパスフィルタを示す平面図である。
このバンドパスフィルタF14も共振器S41、共振器S42、共振器S43及び共振器S44が接続されることによって形成されている。弾性表面波素子である共振器S41及びS43は図1の共振器11と同様の構成であり、共振器S42及び共振器S44は図1の共振器S12と同様の構成である。従って、図5では共振器S41及びS43が本発明の共振器であり、共振器S41及びS43のくし歯状電極部12及びくし歯状電極部13並びに反射器15,15と圧電性基板11の間に絶縁性材料層16が設けられている。
共振器S41、S42、S43、S44は圧電性基板11の上に、くし歯状電極部12及びくし歯状電極部13がスパッタ法やメッキ法等を用いて成膜されることによって形成されている。くし歯状電極部12とくし歯状電極部13は図示X方向に所定の間隔をあけて互い違いに並べられている。なお、共振器S41及び共振器S43をD1−D1線で切断して矢印方向からみた断面図は図2に示された断面図と同様である。
共振器S41のくし歯状電極部12、共振器S42のくし歯状電極部12及び共振器S43のくし歯状電極部13は接続部14を介して電気的に接続されている。共振器S43のくし歯状電極部12と共振器S44のくし歯状電極部12は接続部21を介して電気的に接続されている。
共振器S41の一端部AはバンドパスフィルタF14の入力端子inに接続されて他端部Bは共振器S43の一端部A及び共振器S42の一端部Aに接続されている。共振器S43の他端部Bは出力端子outに接続されている。共振器S42の他端部Bは端子GNDを介してグラウンド電位に接続されている。共振器S44の一端部Aは共振器S43の他端部Bに接続され他端部Bは端子GNDを介してグラウンド電位に接続されている。
本実施の形態では共振器S41及び共振器S43が本発明の第1共振器群を構成し、共振器S42及び共振器S44が本発明の第2共振器群を構成する。
バンドパスフィルタF14の端子inと端子GNDからなる入力ポートP1側に入力された高周波信号のうち特定の周波数帯域の信号のみが端子outと端子GNDからなる出力ポートP2に出力される。
図11は、本発明の第5の実施の形態の共振器及びこの共振器を用いて形成した高周波フィルタを示す平面図である。このバンドパスフィルタF15は弾性表面波素子である共振器S51及び共振器S52が接続されることによって形成されている。
共振器S51、S52は圧電性基板11の上に、くし歯状電極部12及びくし歯状電極部13がスパッタ法やメッキ法等を用いて成膜されることによって形成されている。くし歯状電極部12とくし歯状電極部13は図示X方向に所定の間隔をあけて互い違いに並べられている。
くし歯状電極部12及びくし歯状電極部13には接続部14が電気的に接続されており、接続部14を介して共振器S51と共振器S52が接続されている。
また共振器S51の一端部AはバンドパスフィルタF15の入力端子inに接続されて他端部Bは出力端子outに接続されている。また、共振器S51の他端部Bは共振器S52の一端部Aに、共振器S52の他端部Bは端子GNDを介してグラウンド電位に接続されている。本実施の形態では共振器S51が本発明の第1共振器群を構成し、共振器S52が本発明の第2共振器群に相当する。図12に図11にしめされたバンドパスフィルタF15の等価回路図をしめす。
本実施の形態でもバンドパスフィルタF15は共振器S51の共振周波数frと反共振周波数farを近づけることができるため通過帯域外の周波数を急峻かつ十分に減衰させることができる。
なお、上述した本発明の実施の形態の共振器(弾性表面波素子)では反射器15、15と圧電性基板11の間にも絶縁性材料層16が設けられている。ただし反射器15、15と圧電性基板11の間に絶縁性材料層16が設けられずに反射器15、15の上に圧電性基板11が直接積層されていてもよい。
圧電性基板とくし歯状電極部の間に絶縁性材料層が設けられた本発明の弾性表面波素子(共振器)の前記絶縁性材料層の膜厚と共振器の静電容量Co及び電気機械結合係数k、並びに反共振周波数farと共振周波数frの差との関係を調べた。
まず、圧電性基板上にスパッタ法を用いて酸化ケイ素(SiO)からなる絶縁性材料層を形成し、この絶縁性材料層の上に、導電性材料を用いてくし歯状電極部及び反射器を形成する。
本実施例の弾性表面波素子(共振器)は図1に示される共振器S11と同じ形状である。なお、測定は一個の弾性表面波素子(共振器)に対して行なった。くし歯状電極部と反射器の各寸法を以下に示す。
くし歯状電極部のくし歯部の幅寸法W1及び反射器の各ストリップの幅寸法W2:W1=W2=0.4μm〜0.545μm
くし歯状電極部のくし歯部の間隔寸法P1及び反射器の各ストリップの間隔寸法P2:P1=P2=0.4μm〜0.545μm
くし歯部13aとくし歯部14aの交差長さ寸法L1
:L1=33×(弾性表面波の波長λ)=40×2×(W1+P1)
くし歯状電極部の膜厚及び反射器の各ストリップの膜厚:H1=0.095μm
くし歯状電極部のくし歯部の本数:200本
反射器のストリップの本数:50本
くし歯状電極部と反射器の間の距離L2:L2=P1=P2=0.4μm〜0.545μm
なお、圧電基板の材料はLiTaOである。本実施例では1.7GHz〜2.1GHzにしている。また、くし歯状電極部及び反射器はCu97.0Ag3.0合金(下付きの数値は質量%)によって形成されている。
図13は絶縁性材料層の膜厚(SiO膜厚)と弾性表面波素子の電気機械結合係数kとの関係を示すグラフである。
また、図14のグラフは絶縁性材料層の規格化膜厚(H(SiO)/λ)と弾性表面波素子の電気機械結合係数kとの関係を示している。前記絶縁性材料層の規格化膜厚H/λとは、くし歯状電極部12,13の絶縁性材料層16の膜厚Hnmをくし歯部の中心間距離(ピッチ幅)λnmで割った値である。なお、くし歯部の中心間距離(ピッチ幅)λは圧電性基板の表面を伝播する弾性表面波の波長に等しい。
図13の結果から、くし歯状電極部と圧電性基板との間に設けられた絶縁層の膜厚が大きくなるほど弾性表面波素子の電気機械結合係数kが線形的に小さくなることがわかる。
図14の結果も前記絶縁性材料層の規格化膜厚H/λが大きくなるほど弾性表面波素子の電気機械結合係数kが線形的に小さくなることを示している。
図15は絶縁性材料層の膜厚(SiO膜厚)とくし歯状電極部の間の静電容量Coとの関係を示すグラフである。図16は絶縁性材料層の規格化膜厚H/λとくし歯状電極部の間の静電容量Coとの関係を示すグラフである。
くし歯状電極部の間の静電容量Coとは、図2における圧電性基板11及び絶縁性材料層16を介したくし歯状電極部12,13間の静電容量の合計(図3のC13とC14の合成静電容量)である。
図15の結果から、くし歯状電極部と圧電性基板との間に設けられた絶縁性材料層の膜厚が大きくなるほど弾性表面波素子とくし歯状電極部の間の静電容量Coが線形的に小さくなることがわかる。また、図16の結果も前記絶縁性材料層の規格化膜厚H/λが大きくなるほど弾性表面波素子とくし歯状電極部の間の静電容量Coが線形的に小さくなることを示している。
図17のグラフは絶縁性材料層の規格化膜厚(H(SiO)/λ)と弾性表面波素子(共振器)の反共振周波数farと共振周波数frの差を共振周波数で割った値Δf/frとの関係を示すグラフである。
図17の結果から前記絶縁性材料層の規格化膜厚H/λが大きくなるほどΔf/frが線形的に小さくなることがわかる。
共振器のΔf/frを小さくすることによって、この共振器を用いて形成したバンドパスフィルタの通過帯域外の周波数を急峻に減衰させることができる。
前記絶縁性材料層の規格化膜厚H/λが大きくなるほどΔf/frが線形的に小さくなるのは、図13及び図14に示されたように弾性表面波素子の電気機械結合係数kが小さくなるためであると考えられる。
なお、図15及び図16に示されるようにくし歯状電極部と圧電性基板の間に絶縁性材料層を設けることによって、弾性表面波素子(共振器)のΔf/frを小さくすると同時に弾性表面波素子とくし歯状電極部の間の静電容量Coを小さくすることができる。
本発明は、弾性表面波素子(共振器)のΔf/frを小さくするところに特徴がある。
ただし、くし歯状電極部と圧電性基板の間の絶縁性材料層の膜厚及び規格化膜厚が大きすぎると、圧電性基板の表面に弾性表面波を励起する効率が低下する。このため、本発明では絶縁性材料層の膜厚の上限は20nm以下、また規格化膜厚の上限が0.01以下であることが好ましいとした。
本発明の共振器(弾性表面波素子)及びこの共振器を用いて形成したバンドパスフィルタの第1の実施の形態を示す平面図、 図1の弾性表面波素子をD1−D1線で切断して矢印方向から見た部分断面図、 図1に示されたバンドパスフィルタの等価回路図、 図1に示された共振器の周波数特性をしめす図、 図1に示されたバンドパスフィルタの周波数特性をしめす図、 本発明の共振器(弾性表面波素子)及びこの共振器を用いて形成したバンドパスフィルタの第2の実施の形態を示す平面図、 図5に示されたバンドパスフィルタの等価回路図、 本発明の共振器(弾性表面波素子)及びこの共振器を用いて形成したバンドパスフィルタの第3の実施の形態を示す平面図、 図7に示されたバンドパスフィルタの等価回路図、 図7に示されたバンドパスフィルタの周波数特性の一例をしめす図、 本発明の共振器(弾性表面波素子)及びこの共振器を用いて形成したバンドパスフィルタの第4の実施の形態を示す平面図、 本発明の共振器(弾性表面波素子)及びこの共振器を用いて形成したバンドパスフィルタの第5の実施の形態を示す平面図、 図11に示されたバンドパスフィルタの等価回路図、 絶縁性材料層の膜厚(SiO膜厚)と弾性表面波素子の電気機械結合係数kとの関係を示すグラフ、 絶縁性材料層の規格化膜厚(H(SiO)/λ)と弾性表面波素子の電気機械結合係数kとの関係を示すグラフ、 絶縁性材料層の膜厚(SiO膜厚)とくし歯状電極部の間の静電容量Coとの関係を示すグラフ、 絶縁性材料層の規格化膜厚H/λとくし歯状電極部の間の静電容量Coとの関係を示すグラフ、 絶縁性材料層の規格化膜厚(H(SiO)/λ)と弾性表面波素子(共振器)の反共振周波数farと共振周波数frの差を共振周波数で割った値Δf/frとの関係を示すグラフ、 従来の共振器(弾性表面波素子)及びこの共振器を用いて形成したバンドパスフィルタの平面図、 図18に示されたバンドパスフィルタの等価回路図、 図18の弾性表面波素子をD−D線で切断して矢印方向から見た部分断面図、 図18に示された共振器の周波数特性をしめす図、 図18に示されたバンドパスフィルタの周波数特性をしめす図、
符号の説明
11 圧電基板
12、13 くし歯状電極部
14 接続電極部
15 反射器
16 絶縁性材料層
S11、S12 共振器(弾性表面波素子)
F11 バンドパスフィルタ

Claims (7)

  1. 圧電性基板と、前記圧電性基板上に薄膜形成された電極部を有する複数の弾性表面波素子によって構成されるバンドパスフィルタにおいて、
    前記弾性表面波素子の前記電極部は、くし歯状電極部及び前記くし歯状電極部に接続された接続部を有して構成され
    前記弾性表面波素子のうち、前記入力端子と出力端子との間に設けられた前記弾性表面波素子は、前記くし歯状電極部と前記圧電性基板の間に絶縁性材料層が設けられており、
    前記入力端子と前記出力端子間を接続する信号線路とグランド電位間に設けられた前記弾性表面波素子は、前記くし歯状電極部が前記圧電性基板上に直接形成されていることを特徴とする弾性表面波素子を用いたバンドパスフィルタ
  2. 前記絶縁材料層は、非圧電性の材料で形成されている請求項1記載の弾性表面波素子を用いたバンドパスフィルタ
  3. 前記くし歯状電極部の側方の前記圧電性基板上に前記圧電性基板の表面に発生する表面波を反射させる反射器が設けられ、この反射器と前記圧電性基板の間に絶縁性材料層が設けられている請求項1又は2に記載の弾性表面波素子を用いたバンドパスフィルタ
  4. 前記絶縁性材料層が酸化ケイ素(SiO2)、アルミナ(Al23)、窒化ケイ素(Si34)のいずれか1種または2種以上によって形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の弾性表面波素子を用いたバンドパスフィルタ
  5. 前記絶縁性材料層の膜厚が5nm以上20nm以下である請求項1ないし4のいずれかに記載の弾性表面波素子を用いたバンドパスフィルタ
  6. 前記くし歯状電極部のくし歯部の中心間距離(ピッチ幅)をλnm、前記絶縁性材料層の膜厚をHnmとしたとき、前記絶縁性材料層の規格化膜厚H/λが0.0025以上0.01以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の弾性表面波素子を用いたバンドパスフィルタ
  7. 前記くし歯状電極部と前記反射器のいずれか一方あるいは両方がTiNからなる下地層を有している請求項1ないし6のいずれかに記載の弾性表面波素子を用いたバンドパスフィルタ
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