JP4036755B2 - ヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体の製造法 - Google Patents

ヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、ヒアルロン酸分解酵素を利用したヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体の酵素的製造法に関する。更に詳しくは、ヒアルロン酸分解酵素であるほ乳類由来のヒアルロニダーゼを触媒とし、ヒアロビウロネートオキサゾリン誘導体をモノマー基質として酵素的に重合させてヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体を製造する方法に関する。
【0002】
【背景技術】
ヒアルロン酸は、D−グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンの二糖が直鎖状に交互に結合した枝分かれのない高分子多糖である。ヒアルロン酸は動物のあらゆる結合組織に存在し、その分子量は数万から数百万とされている。ヒアルロン酸の特徴は高保湿性、高粘弾性、高潤滑性を示すことであり、それらの特徴を生かして、化粧品に保湿剤として配合されたり、各種関節症治療用注射剤、眼科手術補助剤等の医療分野においてもその有用性が幅広く認められている。
【0003】
ヒアルロン酸の実用的な製造法としては、ヒアルロン酸が多量に含まれている鶏冠、臍帯等からの抽出法の他に、乳酸菌の一種であるストレプトコッカス(Streptococcus)属による発酵法が知られている。これら生体内でのヒアルロン酸の生合成に関与する酵素については遺伝子レベル及び酵素レベルで研究結果から、UDP−GlcA(ウリジン5’−二リン酸−グルクロン酸)とUDP−GlcNAc(ウリジン5’−二リン酸−N−アセチルグルコサミン)の2つの糖ヌクレオチドを前駆体としてヒアルロン酸合成酵素によりヒアルロン酸が合成されることが明らかになっている。
【0004】
一方、本発明においても使用されているヒアルロン酸分解酵素を用いたヒアルロン酸の合成例としては、ヒアルロン酸分解酵素が有する糖転移活性を応用してピリジルアミノ化−ヒアルロン酸六糖を受容体とし、供与体としての分子量80万のヒアルロン酸を共存させた反応系からピリジルアミノ化−ヒアルロン酸オリゴマー混合物が微量生成することが報告されている(The Journal of Biological Chemistry 270,3741(1995))。オリゴマー混合物中にはピリジルアミノ化−ヒアルロン酸八糖(分子量約0.16万)から最高ピリジルアミノ化−ヒアルロン酸二二糖(分子量約0.44万)までが微量ながらも検知されている。
【0005】
しかしながら、従来のヒアルロン酸の製造である鶏冠抽出法あるいは発酵法に替わりうる酵素化学的合成手法の開発は幾多の試行の結果においても、これまで達成されていないという課題があった。
【0006】
本発明者らは、実用レベルにおいても有用性の高いヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体の新規な製造法の開発について鋭意研究を重ねた結果、予想外のことに、ヒアルロン酸分解酵素を用いた酵素化学的手法によるヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体の新規な製造法を初めて見出した。
更に詳しくは、本発明者らは酵素化学的手法によるヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体の製造研究において、本来ヒアルロン酸を分解する酵素として知られているヒアルロニダーゼを酵素重合触媒とし、ヒアロビウロネートオキサゾリン誘導体をモノマー基質とした場合に、モノマー基質が酵素的に重合されて高分子量のヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体が収率よく生成することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の開示】
即ち、本発明は、(1)下記一般式(I)で表されるオキサゾリン誘導体に、ウシ睾丸由来ヒアルロニダーゼ又は羊睾丸由来ヒアルロニダーゼからなるヒアルロン酸分解酵素を作用せしめることを特徴とするヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体の製造法、
【0008】
【化2】
Figure 0004036755
(上式中Rは水素、アルキル基、置換されたアルキル基、フェニル基、又は置換されたフェニル基を表す。)
(2)前記一般式(I)で表されるオキサゾリン誘導体が2−メチル−[1,2−ジデオキシ−3−O−(ソディウム−D−グルコピラノシルウロネート)]−α−D−グルコピラノ−[2,1−d]−2−オキサゾリンであることを特徴とする(1)記載のヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体の製造法
(3)前記2−メチル−[1,2−ジデオキシ−3−O−(ソディウム−D−グルコピラノシルウロネート)]−α−D−グルコピラノ−[2,1−d]−2−オキサゾリンにヒアルロン酸分解酵素を作用せしめるにあたり、pHを5〜10に調整することを特徴とする(1)又は(2)に記載のヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体の製造法である。
【0009】
【発明を実施するための最良の形態】
以下、さらに詳しく本発明を説明する。
本発明で使用する基質モノマーの一つであるヒアロビウロネートオキサゾリン誘導体(8)を例に挙げ、合成の手順を以下に記す。また、図1に合成スキームを示す。
すなわち、メチル(臭化2,3,4−トリ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシド)ウロネート(1)を糖供与体、ベンジル2−アセトアミド−2−デオキシ−4,6−O−イソプロピリデン−β−D−グルコピラノシド(2)を糖受容体として用い、ジクロロメタン中、トリフルオロメタンスルホン酸銀−1,1,3,3−テトラメチル尿素を活性化剤としてアルゴン雰囲気下−40℃で反応を開始し、30分後から徐々に室温に戻した後、22時間室温で反応させることによりベンジル2−アセトアミド−2−デオキシ−4,6−O−イソプロピリデン−3−O−(メチル2’,3’,4’−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−β−D−グルコピラノシド(3)を合成した。得られた3を脱水メタノール中、水素雰囲気下で10%パラジウム炭素を触媒とする接触水素還元によりベンジル基並びにイソプロピリデン基の脱保護を行い、2−アセトアミド−2−デオキシ−3−O−(メチル2’,3’,4’−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−D−グルコピラノース(4)を得た。続いて脱水ピリジン中、無水酢酸を作用させ、すべての水酸基をアセチル基にて保護することにより2−アセトアミド−4,6−ジ−O−アセチル−2−デオキシ−3−O−(メチル2’,3’,4’−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−D−グルコピラノシルアセテート(5)を得た。続いて1,2−ジクロロエタン中、アルゴン雰囲気下、50℃にて7時間、5にトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルを作用させ、その後氷冷下、トリエチルアミンを作用させることで2−メチル[4,6−ジ−O−アセチル−1,2−ジデオキシ−3−O−{メチル2’,3’,4’−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート}−α−D−グルコピラノ−[2,1−d]−2−オキサゾリン(6)を得た。得られた6を脱水メタノール中、ナトリウムメトキシドを作用させてすべてのアセチル基を脱保護し、反応溶液を減圧濃縮後、乾固させて2−メチル−[1,2−ジデオキシ−3−O−(メチル2’,3’,4’−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−α−D−グルコピラノ]−[2,1−d]−2−オキサゾリン(7)を得た。
【0010】
これを炭酸緩衝液(50mM,pH10.6)中で30分撹拌することでメチルエステルを脱保護し、目的とする基質モノマーである2−メチル−[1,2−ジデオキシ−3−O−(ソディウムβ−D−グルコピラノシルウロネート)]−α−D−グルコピラノ−[2,1−d]−2−オキサゾリン(8)を得る。
【0011】
かくして得られたヒアロビウロネートオキサゾリン誘導体は重合触媒としてのヒアルロン酸分解酵素の基質モノマーとして好適に使用される。酵素反応時の基質モノマー濃度は実用面から0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上で用いられる。
【0012】
反応pHは酵素の反応性と基質モノマーの安定性を考慮し、5〜10望ましくは6.5〜9.5が好適に採用される。反応温度は5℃〜60℃で、通常は20℃〜40℃が用いられる。
【0013】
使用するヒアルロン酸分解酵素としては、エンド−β−N−アセチルヘキソサミダーゼ(EC3.2.1.35)に分類されるウシ睾丸由来又は羊睾丸由来ヒアルロニダーゼであり、該酵素は適当な担体に固定化した固定化酵素の形態で使用することも可能である。バッチ反応あるいは連続反応形式いずれも採用される。
【0014】
反応は水溶媒あるいは水溶媒にメタノール、エタノール、n−プロパノール等のアルコール類、グリセリン、ポリエチレングリコール等のポリオール類、ジメルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、酢酸エチル、ジオキサン、反応に悪影響を及ぼさない各種無機塩類又はpH緩衝剤等を適宜添加した条件下でも進行する。
【0015】
基質モノマーとしては、2−メチル−ヒアロビウロネートオキサゾリン誘導体(8)に限定されることはなく、ヒアルロニダーゼによる重合反応が進行するヒアロビウロネートオキサゾリン基本構造を有しておれば本発明に含まれる。
例えば、前記一般式(I)のRで水素あるいはメチルのかわりにエチル、プロピル、ブチル等のアルキル基あるいはフェニル基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換フェニル基等が使用可能である。
【0016】
また、基質モノマーは、フリーの酸、ナトリウム,カリウム等の金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩等の形であれば特に限定されない。生成したヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体は基質モノマーのグルクロン酸の塩の形態に依存し、フリーな酸あるいはナトリウム,カリウム等の金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩などの形態が含まれる。
【0017】
上記条件下でバッチ反応を開始した場合、条件によって一概に規定できないが、数時間〜数日で反応は完了する。反応終了後、反応液を遠心分離、限外濾過、精密濾過、各種吸着カラム、溶媒沈殿及びクロマト分離などの公知精製手段を組み合わせることで高純度のヒアルロン酸を単離精製することが出来る。かくして得られたヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体は化粧品、医薬品あるいは医用材料として幅広く利用できる。
【0018】
以下に本発明の詳細な内容について実施例で説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
ベンジル2−アセトアミド−2−デオキシ−4,6−O−イソプロピリデン−3−O−(メチル2’,3’,4’−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−β−D−グルコピラノシド(3)の合成
遮光二口ナスフラスコ中に、ベンジル2−アセトアミド−2−デオキシ−4,6−O−イソプロピリデン−β−D−グルコピラノシド(1.067g,3.04mmol)をとり、ジクロロメタン(30ml)を加え溶解させた。これにトリフルオロメタンスルホン酸銀(1.16g,4.51mmol)と粉末MS4Aを加えた。その溶液をアルゴン雰囲気下、撹拌しながら−40℃に冷却し、続いてメチル(臭化2,3,4−トリ−O−アセチル−α−グルコピラノシド)ウロネート(1.70g,4.28mmol)をジクロロメタン(10ml)に溶解させた溶液及び1,1,3,3−テトラメチル尿素(0.5ml,4.17mmol)を滴下した。その後30分間−40℃で撹拌し、続いて徐々に室温に戻した後22時間撹拌した。TLCによる反応終了の確認後、反応溶液をセライト(No.545)濾過することにより不溶物を除去し、濾液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1回)、冷却飽和食塩水(3回)で分液洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥した。この後、硫酸マグネシウムをガラスフィルターで除去し、この濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出混合溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1:2,1:1,2:1)にて精製させ、展開後の溶媒を減圧乾燥した。これをさらにSephadexTMLH−20サイズ排除カラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール)にて単離精製し、展開後の溶媒を減圧乾燥することで、ベンジル2−アセトアミド−2−デオキシ−4,6−O−イソプロピリデン−3−O−(メチル2’,3’,4’−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−β−D−グルコピラノシド(583mg,0.873mmol,29%)を得た。
【0019】
NMRのスペクトラムの帰属は、以下の通りである。
H NMR(400MHz,CDCl,TMS):δ(ppm):7.34−7.26(5H,m,aromatic),5.70(1H,d,J2,N−H=7.15Hz,NH),5.24−5.15(3H,m,H−3’,H−1,H−4’),4.95(1H,t,J1’,2’=J2’,3’=8.09Hz,H−2’),4.86−4.83(2H,m,H−1’,CHPh),4.55−4.49(2H,m,CHPh,H−3),3.96−3.92(2H,m,H−5’,H−6),3.81−3.71(5H,m,H−6,H−4,CHO of methyl ester),3.38(1H,m,H−5),3.04(1H,m,H−2),2.09−2.00(12H,m,Ac),1.58(3H,s,(CHC),1.41(3H,s,(CHC)
13C NMR(100MHz,CDCl,TMS):δ(ppm):170.35−169.48(CHCO),167.29(C−6’),136.61−128.06(aromatic),99.64(C−1’),99.42((CHC),98.59(C−1),77.00(C−3),73.87(C−4),72.66(C−5’),72.34(C−3’),71.71,71.65(C−2’,CHPh),69.47(C−4’),66.51(C−5),62.08(C−6),58.39(C−2),52.85(CHO),29.08((CHC),23.59(NHCOCH),20.75−20.49(OCOCH),18.51((CHC)
【0020】
実施例2
2−アセトアミド−2−デオキシ−3−O−(メチル2’,3’,4’−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−D−グルコピラノース(4)の合成
ナスフラスコ中で、ベンジル2−アセトアミド−2−デオキシ−4,6−O−イソプロピリデン−3−O−(メチル2’,3’,4’−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−β−D−グルコピラノシド(488mg,0.731mmol)をジクロロメタン−メタノール(1:1,v/v)混合溶媒(180ml)に溶解させ、これに10%パラジウム炭素(190mg)を加え、水素雰囲気下、室温で72時間反応させた。TLCにより反応終了を確認後、セライト濾過でパラジウム炭素を除去し、濾液を減圧濃縮した。これをジイソプロピルエーテルにより再沈殿し減圧乾燥することで2−アセトアミド−2−デオキシ−3−O−(メチル2’,3’,4’−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−D−グルコピラノース(383mg,0.713mmol,98%)を得た。
【0021】
NMRのスペクトラムの帰属は、以下の通りである。
H NMR(400MHz,CDOD):δ(ppm):5.29(1H,t,J2’,3’=J3’,4’=9.32Hz,H−3’),5.10(1H,t,J3’,4’=J4’,5’=9.71Hz,H−4’),4.99(1H,d,J1,2=3.49Hz,H−1α),4.95(1H,t,J1’,2’=J2’,3’=8.68Hz,H−2’),4.84(1H,d,J1’,2’=7.98Hz,H−1’),4.25(1H,d,J4’,5’=9.96Hz,H−5’),3.98(1H,m,H−2α),3.84−3.77(3H,m,H−3α,H−6α,H−5α),3.72(3H,s,CHO of methyl ester),3.71−3.68(1H,m,H−6α),3.45(1H,t,J3’,4’=J4’,5’=9.18Hz,H−4α),2.04−1.95(12H,m,Ac)
13C NMR(100MHz,CDOD):δ(ppm):175−171(CHCO),168.83(C−6’)101.01(C−1’),92.34(C−1α),81.94(C−3α),73.07(C−3’),72.42,72.25,72.00(C−5α,C−2’,C−5’),70.42(C−4’),69.98(C−4α),62.59(C−6α),53.73,53.63(C−2α,CHO of methyl ester),23.14(NHCOCH),20.86−20.76(OCOCH
【0022】
実施例3
2−アセトアミド−4,6−ジ−O−アセチル−2−デオキシ−3−O−(メチル2’,3’,4’−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−D−グル コピラノシルアセテート(5)の合成
二口ナスフラスコ中で2−アセトアミド−2−デオキシ−3−O−(メチル2’,3’,4’−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−D−グルコピラノース(447mg,0.832mmol)を4−ジメチルアミノピリジン(13.6mg,0.111mmol)を溶解させたピリジン(10ml)に溶解させ、乾燥雰囲気下、無水酢酸(5ml,53.0mmol)を滴下し、0℃で6時間撹拌した。TLCにより反応終了を確認した後、反応溶液を減圧濃縮し、残渣をクロロホルムで希釈し、0.1M塩酸(1回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1回)、飽和食塩水(3回)で分液洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥した。続いて硫酸マグネシウムをガラスフィルターで濾去し、濾液を減圧濃縮し、これを酢酸エチルに溶解させ、ジイソプロピルエーテルにより再沈殿し減圧乾燥することで4,6−ジ−O−アセチル−2−アセトアミド−2−デオキシ−3−O−(メチル2’,3’,4’−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−D−グルコピラノシルアセテート(543mg,0.818mmol,98%)を得た。
【0023】
NMRのスペクトラムの帰属は、以下の通りである。
H NMR(400MHz,CDCl,TMS):δ(ppm):6.06(1H,d,J1,2=3.63Hz,H−1α),5.32(1H,d,J2,N−H=9.74Hz,NH),5.26(1H,t,J2’,3’=J3’,4’=9.34Hz,H−3’),5.16−5.06(2H,m,H−4’,H−4α),4.82(1H,t,J1’,2’=J2’,3’=8.52Hz,H−2’),4.73(1H,d,J1’2’=7.79Hz,H−1’),4.55(1H,m,H−2α),4.20(1H,dd,H−6α),4.06(1H,dd,H−6α),4.03(1H,d,J4’,5’=10.00Hz,H−5’),3.97(1H,m,H−5α),3.94(1H,t,J2,3=J3,4=9.81Hz,H−3α),3.75(3H,s,CHO of methyl ester),2.20−2.01(21H,m,CHCO of acetate and acetamide)
13C NMR(100MHz,CDCl,TMS):δ(ppm):170.82−168.67(CHCO),167.00(C−6’),100.39(C−1’),91.34(C−1α),76.42(C−3α),72.60(C−5’),71.84(C−3’),71.57(C−2’),69.87(C−5α),69.54(C−4’),67.63(C−4α),61.69(C−6α),52.88(CHO),51.12(C−2α),23.42(NHCOCH),21.04−20.48(OCOCH
【0024】
実施例4
2−メチル−[4,6−ジ−O−アセチル−1,2−ジデオキシ−3−O−(メチル2’,3’,4’−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−α−D−グルコピラノ]−[2,1−d]−2−オキサゾリン(6)の合成
二口ナスフラスコ中で、アルゴン雰囲気下、2−アセトアミド−4,6−ジ−O−アセチル−2−デオキシ−3−O−(メチル2’,3’,4’−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−D−グルコピラノシルアセテート(343mg,0.517mmol)を1,2−ジクロロエタン(120ml)に溶解させ、1,2−ジクロロエタン(0.5ml)で希釈したトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(0.14ml,0.843mmol)を滴下し、50℃で7時間反応させた。TLCで反応終了を確認した後、氷冷下でトリエチルアミン(0.12ml,0.889mmol)を滴下し、その後室温で30分間撹拌することで反応を停止させた。続いて反応溶液を減圧濃縮し、残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出混合溶媒:クロロホルム/メタノール=20:1,15:1,10:1)にて精製させ、展開後の溶媒を減圧濃縮させ、得られた無色油状物を減圧乾固させた。これをさらにSephadex
LH−20サイズ排除カラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール)に供し、展開後の溶媒をエバポレートにより濃縮し減圧乾燥することで、無色アモルファス状の2−メチル−[4,6−ジ−O−アセチル−1,2−ジデオキシ−3−O−(メチル2’,3’,4’−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−α−D−グルコピラノ]−[2,1−d]−2−オキサゾリン(311mg,0.515mmol)を定量的に得た。
【0025】
分析データは、以下の通りである。
H NMR(400MHz,CDCl,TMS):δ(ppm):5.96(1H,d,J1,2=6.69Hz,H−1),5.30−5.19(3H,m,H−3’,H−4’,H−4),5.00(1H,t,J1’,2’=J2’,3’=8.31Hz,H−2’),4.92(1H,d,J1’,2’=7.24Hz,H−1’),4.18−4.15(3H,m,H−6,H−6,H−5’),4.13(1H,s,H−3),4.06(1H,m,H−2),3.75(3H,s,CHO of methyl ester),3.61(1H,m,H−5),2.12−2.02(18H,m,Ac and CHC of oxazoline)
13C NMR(100MHz,CDCl,TMS):δ(ppm):170.81−169.18(OCOCH),167.08−166.59(CHC of oxazoline,C−6’),100.77(C−1’),99.70(C−1),78.37(C−3),72.28(C−5’),72.17(C−3’),71.14(C−2’),69.11(C−4’),67.75(C−4),47.41(C−5),65.52(C−2),63.56(C−6),52.81(CHO),20.93−20.50(OCOCH),14.05(CHC of oxazoline)
High resolusion FAB Mass
計算値:[M+H]=604.1878m/z(C2534NO16
測定値:604.1851m/z(−4.5ppm)
【0026】
実施例5
2−メチル−[1,2−ジデオキシ−3−O−(ソディウムβ−D−グルコピラノシルウロネート)]−α−D−グルコピラノ−[2,1−d]−2−オキサゾリン(8)の合成
二口ナスフラスコ中で、アルゴン雰囲気下、2−メチル[4,6−ジ−O−アセチル−1,2−ジデオキシ−3−O−(メチル2’,3’,4’−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−α−D−グルコピラノ[2,1−d]−2−オキサゾリン(72.4mg,0.120mmol)をメタノール(5.0ml)に溶解させ、0.1Mナトリウムメトキシド−メタノール溶液(0.3ml,0.0300mmol)を氷冷下、ゆっくりと滴下し、続いて室温で30分間撹拌した。TLCで反応終了を確認した後、反応溶液をエバポレートにより濃縮し、減圧乾固させた。これを50mM炭酸緩衝溶液(1.080ml,pH10.6)に溶解させ、室温で30分間撹拌することで、2−メチル−[1,2−ジデオキシ−3−O−(ソディウムβ−D−グルコピラノシルウロネート)−α−D−グルコピラノ[2,1−d]−2−オキサゾリンを得た。
【0027】
分析データは、以下の通りである。
H NMR(400MHz,50mM炭酸緩衝重水溶液(pH10.6):δ(ppm):6.07(1H,d,J1,2=7.14Hz,H−1),4.62(1H,d,J1’,2’=7.36Hz,H−1’),5.30−5.19(3H,m,H−3’,H−4’,H−4),5.00(1H,t,J1’,2’=J2’,3’=8.31Hz,H−2’),4.92(1H,d,J1’,2’=7.36Hz,H−1’),4.26(1H,m,H−2),4.10(1H,s,H−3),3.82−3.71(3H,m,H−4,H−6,H−5’),3.64(1H,dd,J5,6=6.31Hz,J ,6=12.29Hz,H−6),3.49−3.47(2H,m,H−3’,H−4’),3.33−3.26(2H,m,H−5,H−2’),2.02(3H,s,CHC of oxazoline)
13C NMR(100MHz,50mM炭酸緩衝重水溶液(pH10.6):δ(ppm):175.97(C−6’),168.52(CHC of oxazoline),101.84(C−1’),100.39(C−1),79.19(C−3),75.99(C−5’),75.47(C−3’),72.86(C−2’),72.33(C−5),71.85(C−4’),67.79(C−4),64.14(C−2),61.61(C−6),13.15(CHC of oxazoline)
High resolusion FAB Mass
計算値:[M+H]=402.1012m/z(C2534NO16
測定値:402.1014m/z(+0.5ppm)
【0028】
実施例6
酵素触媒重合によるヒアルロン酸の合成
重水炭酸緩衝溶液(1.080ml)に基質モノマーである実施例5で得た2−メチル−[1,2−ジデオキシ−3−O−(ソディウムβ−D−グルコピラノシルウロネート)−α−D−グルコピラノ[2,1−d]−2−オキサゾリン(48.2mg,0.12mmol)が溶解している溶液をDCl重水溶液(1.0mol/l、0.5mol/l、0.1mol/l)によりpHを7.1に調整した。この溶液を360μlづつNMRサンプル管に移し(Entry1〜3)、30℃における経時変化をH NMRにより測定した。Entry1には重水(40μl)、Entry2にはBovine testicular hyaluronidase(1.6mg)(SIGMA,Lot No.77H7065,330units/mg)を重水(40μl)に溶解させた溶液、Entry3にはOvine testicular hyaluronidase(1.6mg)(ICN Biomedicals Inc.,Lot No.9303B,560units/mg)を重水(40μl)に溶解させた溶液を加え、よく撹拌した後、再び30℃における経時変化をH NMRにより測定した。基質モノマー濃度の経時変化はアセトアミド基のメチルプロトンを内部標準とし、その積分値とオキサゾリンモノマーの還元末端1位プロトンの積分値の比を求めることにより算出した。
その結果を以下の表1及び図2に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0004036755
【0030】
上記表1及び図2に示す結果からBovine及びOvine Testicular Hyaluronidaseを添加した系では添加していない系と比較して有意にモノマー消費が促進されていることが明らかとなり、ヒアルロビウロネートオキサゾリン誘導体が両酵素により認識され、オキサゾリン環の開環反応が起こっていることが明らかとなった。
【0031】
Hyaluronidaseを添加した系(Entry2、3)で、モノマー消費が完結したことを確認した後、重合溶液を90℃の湯浴に3分間浸し、酵素を失活させることで反応を停止した。この溶液にTHF(5.0ml)を加え、析出した沈殿物を遠心分離により分離させ、これを減圧乾燥させることで生成物を得た。得られた生成物は蒸留水に溶解させ、サイズ排除クロマトグラフィー(SephadexTMG−10)にて精製し、展開後の溶媒を凍結乾燥することで生成物を得た。得られた生成物はH NMR、13C NMR、GPC測定により分析を行った。図3にH NMRスペクトル、図4に13C NMRスペクトル、表2にGPC測定による結果を示す。なお、NMR管はSHIGEMI社製水溶液用対称形ミクロ試験管BMS−005Bを用いた。H NMR測定はサンプル約5.0mgを重水(200μl)に溶解させ、25℃にて測定を行なった。13C NMR測定は生成物約5.0mg、重水(100μl)の濃度で40℃にて測定を行なった。内部標準物質にはアセトン(2μl)を用い、H NMRでは2.225ppm、13C NMRでは31.07ppmに補正した。
H NMR(400MHz,DO,Acetone):δ(ppm):4.55(1H,d,J1,2=7.48Hz,H−1),4.47(1H,d,J1’,2’=6.96Hz,H−1’),3.92−3.70(6H,m,H−6,H−2,H−6,H−4’,H−3,H−5’),3.58−3.50(3H,m,H−3’,H−4,H−5),3.34(1H,t,H−2’),2.02(3H,s,NHCOCH
13C NMR(100MHz,DO,Acetone):δ(ppm):175.70(C−6’),174.53(NHCOCH),103.89(C−1’),101.34(C−1),83.43(C−3),80.79(C−4’),76.98(C−5’),76.25(C−5),74.46(C−3’),73.31(C−2’),69.33(C−4),61.43(C−6),55.11(C−2),23.31(NHCOCH
GPC測定の標準物質はヒアルロン酸ナトリウム塩(Mn=800、2000、4000、Mv=50000*、100000*)を用いた。測定条件は以下に示す。
{液体クロマトグラフ条件}
検出器:示差検出計
カラム:Shodex Ohpak SB−803HQ
ガードカラム:Shodex Ohpak SB−G
カラム温度:40℃
移動相:0.1M硝酸ナトリウム
流量:0.5ml/min
注入量:20μl
*Mv=50000、100000のヒアルロン酸ナトリウム塩についてはGPC測定によりそのMnを算出した。
【0032】
【表2】
Figure 0004036755
【0033】
実施例7
酵素触媒重合挙動の追跡
炭酸緩衝溶液(2.0ml)に基質モノマーである実施例5で得た2−メチル−[1,2−ジデオキシ−3−O−(ソディウムβ−D−グルコピラノシルウロネート)−α−D−グルコピラノ[2,1−d]−2−オキサゾリン(84.4mg,0.21mmol)が溶解している溶液をHCl水溶液(1.0mol/l、0.5mol/l、0.1mol/l)によりpHを7.1(Entry1,2)、8.0(Entry3,4)、9.0(Entry5,6)に調整し、それぞれ630μlづつエッペンドルフチューブに移した。これをさらに210μlづつエッペンドルフチューブに移し、それぞれBovine testicular hyaluronidase(0.9mg)を蒸留水(10μl)に溶解させた溶液(Entry1,3,5)、Ovine testicular hyaluronidase(0.9mg)を重水(10μl)に溶解させた溶液(Entry2,4,6)を加え、30℃で反応を開始した。各Entryとも反応開始より0、3、6、9、12、24、36、48、72、96、120時間後に反応溶液20μlを採取し、これを蒸留水40μlで希釈した溶液をGPC分析に供した。
その結果を表3と表4及び図5に示す。
【0034】
【表3】
Figure 0004036755
【0035】
【表4】
Figure 0004036755
【0036】
実施例8
ベンジル2−アジド−4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−3−O−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−β−D−グルコピラノシドの合成
遮光二口フラスコ中で、メチル(2,3,4−トリ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシルトリクロロアセトイミデート)ウロネート(502mg,1.05mmol)とベンジル2−アジド−4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド(200mg,0.522mmol)をジクロロメタン(3.00ml)に溶解させ、活性化したモレキュラーシーブス4A(MS4A;360mg)を加えた後、アルゴン雰囲気下−20℃でトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(TMSOTf;188μl,0.939mmol)を徐々に加え、40分撹拌した。反応終了後、−20℃でトリエチルアミン(0.200ml,1.48mmol)を加えた後、セライト濾過により不溶物を除去した。続いて濾液をクロロホルムで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順に洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、続いてセライト濾過により不溶物を除去した。ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル5/1−3/1)、続いてSephadex LH−20サイズ排除クロマトグラフィーにて精製し、白色粉末状のベンジル2−アジド−4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−3−O−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−β−D−グルコピラノシド(117mg,0.167mmol,32%)を得た。
【0037】
分析データは、以下の通りである。
H NMR(400MHz,CDCl,TMS):δ(ppm);7.43−7.31(10H,m,aromatics),5.52(1H,s,CHPh),5.21(1H,t,J=9.29Hz,H−3’),5.16(1H,t,J=9.29Hz,H−4’),5.04(1H,t,J=8.53Hz,H−2’),4.93(1H,d,J=11.55Hz,CHPh),4.78(1H,d,J=7.53Hz,H−1’),4.69(1H,d,J=12.05Hz,CHPh),4.46(1H,d,J=8.03Hz,H−1),4.34(1H,dd,J=5.02,10.54Hz,H−6a),3.84−3.77(2H,m,H−6b,H−5’),3.72(1H,t,J=9.04Hz,H−4),3.62(1H,t,J=9.29Hz,H−3),3.58(3H,s,COOCH),3.46(1H,dd,J=8.03,9.53Hz,H−2),3.36(1H,dt,J=5.02,9.54Hz,H−5),2.06(3H,s,Ac),2.00(3H,s,Ac),1.98(3H,s,Ac)
High resolution FAB MS
計算値:[M+H]=699.67m/z(C333714
測定値:700m/z
【0038】
実施例9
ベンジル2−アジド−2−デオキシ−3−O−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−β−D−グルコピラノシドの合成
ナスフラスコ中で、ベンジル2−アジド−4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−3−O−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−β−D−グルコピラノシド(199mg,0.285mmol)を90%酢酸水溶液(5.00ml)に溶解させ、70℃で3時間反応させることによりベンジリデン基を脱保護した。反応終了後、酢酸エチルで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で分液洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、セライト濾過により不溶物を除去した。濾液を減圧濃縮した後、残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル1/1−1/4)にて精製し、白色粉末状のベンジル2−アジド−2−デオキシ−3−O−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−β−D−グルコピラノシド(107mg,0.175mmol,61%)を得た。
【0039】
分析データは、以下の通りである。
H NMR(400MHz,CDCl,TMS):δ(ppm);7.38−7.27(5H,m,aromatics),5.30(1H,t,J=9.53Hz,H−3’),5.20(1H,t,J=9.54Hz,H−4’),5.04(1H,dd,J=8.03,9.53Hz,H−2’),4.91(1H,d,J=12.05Hz,CHPh),4.72(1H,d,J=12.05Hz,CHPh),4.68(1H,d,J=8.03Hz,H−1’),4.39(1H,d,J=8.03Hz,H−1),4.07(1H,d,J=10.04Hz,H−5’),3.97−3.91(1H,m,H−6a),3.90(1H,s,4−OH),3.81−3.74(4H,m,H−6b,COOCH),3.56(1H,bt,J=9.29Hz,H−4),3.38(1H,dd,J=8.03,9.54Hz,H−2),3.30−3.27(1H,m,H−5),3.23(1H,t,J=9.29Hz,H−3),2.09(3H,s,Ac),2.04(3H,s,Ac),2.03(3H,s,Ac),1.98(1H,bt,J=6.78Hz,6−OH)
High resolution FAB MS
計算値:[M+H]=611.56m/z(C263314
測定値:612m/z
【0040】
実施例10
4,6−ジ−O−アセチル−2−デオキシ−3−O−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−2−プロパンアミド−D−グルコピラノシルアセテートの合成
二口ナスフラスコ中で、ベンジル2−アジド−2−デオキシ−3−O−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−β−D−グルコピラノシド(101mg,0.165mmol)をメタノール(6.00ml)に溶解させ、20%水酸化パラジウム活性炭(100mg)を加えて水素雰囲気下、27時間接触水素還元することによりベンジル基の脱保護及びアジド基のアミノ基への変換を行った。反応終了後、セライト濾過により不溶物を除去し、セライトベッドをメタノール(12.0ml)で洗浄した。濾液にトリエチルアミン(0.100ml,0.741mmol)を加え、乾燥雰囲気下、0℃で塩化プロピオニル(22.0μl,0.252mmol)を加え3時間反応させた。反応終了後、ピリジン(4.00ml)を加え減圧濃縮することでメタノールを除去し、続いて無水酢酸(3.00ml,31.5mmol)を加え0℃で1時間、続いて室温で8時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に氷水を加え過剰量の無水酢酸を分解し、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルで抽出し、1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順に分液洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、セライト濾過により不溶物を除去後、濾液を減圧濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル1/1−0/1)にて精製し無色油状物の4,6−ジ−O−アセチル−2−デオキシ−3−O−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−2−プロパンアミド−D−グルコピラノシルアセテート(54.0mg,0.0790mmol,48%,α/β=73/27)を得た。
【0041】
分析データは、以下の通りである。
H NMR for α form(400MHz,CDCl,TMS):δ(ppm);6.05(1H,d,J=4.02Hz,H−1),5.25−5.02(4H,m,NH,H−4,H−3’,H−4’),4.84(1H,dd,J=7.53,9.54Hz,H−2’),4.68(1H,d,J=7.53Hz,H−1’),4.57(1H,ddd,J=4.02,10.04,10.29Hz,H−2),4.20(1H,dd,J=4.02,12.55Hz,H−6a),4.07(1H,m,H−6b),4.02(1H,d,J=10.04Hz,H−5’),3.98(1H,m,H−5),3.92(1H,dd,J=10.04Hz,H−3),3.75(3H,s,COOCH),2.22(2H,q,J=7.53Hz,−CHCH),2.20−2.00(18H,m,Ac),1.26(3H,t,J=7.53Hz,−CHCH
High resolution FAB MS
計算値:[M+H]=677.61m/z(C2839NO18
測定値:678m/z
【0042】
実施例11
2−エチル−[4,6−ジ−O−アセチル−1,2−ジ−デオキシ−3−O−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−α−D−グルコピラノ]−[2,1−d]−2−オキサゾリンの合成
二口フラスコを用いアルゴン雰囲気下、1,2−ジクロロエタン(3.00ml)中、4,6−ジ−O−アセチル−2−デオキシ−3−O−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−2−プロパンアミド−D−グルコピラノシルアセテート(54.0mg,0.0790mmol)に50℃でTMSOTf(20.0μl,0.120mmol)を作用させた。4.5時間後、反応終了を確認し、0℃に冷却してトリエチルアミン(40.0μl,0.300mmol)を加えた。続いて反応溶液を減圧濃縮し、残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルム/メタノール40/1)、続いてSephadex LH−20サイズ排除クロマトグラフィーにて精製し、無色油状物の2−エチル−[4,6−ジ−O−アセチル−1,2−ジ−デオキシ−3−O−メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート]−α−D−グルコピラノ]−[2,1−d]−2−オキサゾリン(27.0mg,0.0440mmol,55%)を得た。
【0043】
NMRのスペクトラムの帰属は、以下の通りである。
H NMR(400MHz,CDCl,TMS):δ(ppm);5.96(1H,d,J=7.52Hz,H−1),5.30−5.18(3H,m,H−4,H−3’,H−4’),5.01(1H,t,J=8.53Hz,H−2’),4.92(1H,d,J=8.04Hz,H−1’),4.18−4.10(4H,m,H−3,H−6a,H−6b,H−5’),4.08(1H,m,H−2),3.75(3H,s,COOCH),3.60(1H,m,H−5),2.39(2H,q,J=7.53Hz,−CHCH),2.11−2.01(18H,m,Ac),1.23(3H,t,J=7.53Hz,−CHCH
【0044】
実施例12
2−エチル−[1,2−ジ−デオキシ−3−O−(ソディウムβ−D−グルコピラノシルウロネート)−α−D−グルコピラノ]−[2,1−d]−2−オキサゾリンの合成
二口フラスコ中で、アルゴン雰囲気下、2−エチル−[4,6−ジ−O−アセチル−1,2−ジ−デオキシ−3−O−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−α−D−グルコピラノ]−[2,1−d]−2−オキサゾリン(54.0mg,0.0790mmol)をメタノール(2.00ml)に溶解させ、室温でナトリウムメトキシドのメタノール溶液(108μl,0.0108mmol)を加え1時間撹拌することによりアセチル基を脱保護した。この溶液を減圧濃縮し、続いて50mM炭酸緩衝溶液(150μl,pH10.6)に溶解させ30分撹拌することによりメチルエステルを加水分解した。この溶液を減圧濃縮することにより無色油状物の2−エチル−[1,2−ジ−デオキシ−3−O−(ソディウムβ−D−グルコピラノシルウロネート)−α−D−グルコピラノ]−[2,1−d]−2−オキサゾリンを得た。
【0045】
NMRのスペクトラムの帰属は、以下の通りである。
H NMR(400MHz,DO):δ(ppm);6.20(1H,d,J=7.53Hz,H−1),4.75(1H,d,J=8.03Hz,H−1’),4.40(1H,m,H−2),4.24(1H,m,H−3),3.96−3.83(3H,m,H−4,H−6a,H−5’),3.77(1H,dd,J=6.02,12.05Hz,H−6b),3.70−3.60(2H,m,H−3’,H−4’),3.50−3.40(2H,m,H−5,H−2’),2.50(2H,q,J=7.53Hz,−CHCH),1.26(3H,t,J=7.53Hz,−CHCH
実施例13
4,6−ジ−O−アセチル−2−デオキシ−3−O−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−2−(2−メチルプロパンアミド)−D−グルコピラノシルアセテートの合成
二口ナスフラスコ中で、ベンジル2−アジド−2−デオキシ−3−O−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−β−D−グルコピラノシド(107mg,0.175mmol)をメタノール(6.00ml)に溶解させ、20%水酸化パラジウム活性炭(100mg)を加えて水素雰囲気下、24時間接触水素還元することによりベンジル基の脱保護及びアジド基のアミノ基への変換を行った。反応終了後、不溶物をセライト濾過により除去し、セライトベッドをメタノール(12.0ml)で洗浄した。濾液にトリエチルアミン(0.100ml,0.741mmol)を加え、乾燥雰囲気下、0℃で塩化イソブチリル(28.0μl,0.265mmol)を加え、0℃で3時間撹拌した。反応終了後、ピリジン(4.00ml)を加え減圧濃縮することによりメタノールを除去し、無水酢酸(3.00ml,31.5mmol)を加え0℃で1時間、続いて室温で9時間反応させた。反応終了後、氷水を加えて過剰量の無水酢酸を分解させ、続いて減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルで抽出し、1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順に分液洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、セライト濾過により不溶物を除去後、濾液を減圧濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1−0/1)にて精製し、無色油状物の4,6−ジ−O−アセチル−2−デオキシ−3−O−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−2−(2−メチルプロパンアミド)−D−グルコピラノシルアセテート(53.0mg,0.0770mmol,44%,α/β=88/12)を得た。
【0046】
分析データは、以下の通りである。
H NMR for α form(400MHz,CDCl,TMS):δ(ppm);6.05(1H,d,J=3.52Hz,H−1),5.41(1H,d,J=9.53Hz,NH),5.21−5.10(2H,m,H−3’,4’),5.06(1H,dd,J=9.54,10.04Hz,H−4),4.88(1H,dd,J=7.53,9.03Hz,H−2’),4.68(1H,d,J=7.53Hz,H−1’),4.52(1H,ddd,J=3.52,9.53,10.04Hz,H−2),4.19(1H,dd,J=4.52,12.55Hz,H−6a),4.08(1H,dd,J=2.01,12.55Hz,H−6b),4.03(1H,d,J=9.04Hz,H−5’),3.96(1H,dd,J=9.04,10.04Hz,H−3),3.76(1H,m,H−5),3.75(3H,s,COOCH),2.38(H,dq,J=6.53,7.03Hz,−CH(CH),2.20−2.00(18H,m,Ac),1.19(3H,d,J=6.53Hz,−CH(CH),1.15(3H,d,J=7.03Hz,−CH(CH
High resolution FAB MS
計算値:[M+H]=691.64m/z(C2941NO18
測定値:692m/z
【0047】
実施例14
2−(2−メチルエチル)−[4,6−ジ−O−アセチル−1,2−ジ−デオキシ−3−O−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−α−D−グルコピラノ]−[2,1−d]−オキサゾリンの合成
二口フラスコを用いアルゴン雰囲気下、1,2−ジクロロエタン(3.00ml)中、4,6−ジ−O−アセチル−2−デオキシ−3−O−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−2−(2−メチルプロパンアミド)−D−グルコピラノシルアセテート(51.2mg,0.0740mmol)に、1,2−ジクロロエタン(3.00ml)中、50℃でTMSOTf(23.0μl,0.125mmol)を作用させた。3時間後、反応終了を確認し、0℃に冷却してトリエチルアミン(40.0μl,0.296mmol)を加えた。続いて反応溶液を減圧濃縮し、残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルム/メタノール40/1)、続いてSephadex
LH−20サイズ排除クロマトグラフィーにて精製し、無色油状物の2−(2−メチルエチル)−[4,6−ジ−O−アセチル−1,2−ジ−デオキシ−3−O−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−α−D−グルコピラノ]−[2,1−d]−オキサゾリン(26.4mg,0.0417mmol,56%)を得た。
【0048】
NMRのスペクトラムの帰属は、以下の通りである。
H NMR(400MHz,CDCl,TMS):δ(ppm);5.97(1H,d,J=7.53Hz,H−1),5.30−5.18(3H,m,H−4,H−3’,H−4’),5.01(1H,dd,J=8.03,9.03Hz,H−2’),4.92(1H,d,J=8.03Hz,H−1’),4.20−4.08(5H,m,H−2,3,6,5’),3.75(3H,s,COOCH),3.59(1H,m,H−5),2.66(1H,dq,J=6.53,7.03Hz,−CH(CH),2.10(3H,s,Ac),2.07(3H,s,Ac),2.04(3H,s,Ac),2.03(3H,s,Ac),2.02(3H,s,Ac),1.24(3H,d,J=7.03Hz,−CH(CH),1.23(3H,d,J=6.53Hz,−CH(CH
実施例15
2−(2−メチルエチル)−[1,2−ジ−デオキシ−3−O−(ソディウムβ−D−グルコピラノシルウロネート)−α−D−グルコピラノ]−[2,1−d]−オキサゾリンの合成
二口フラスコ中で、アルゴン雰囲気下、2−(2−メチルエチル)−[4,6−ジ−O−アセチル−1,2−ジ−デオキシ−3−O−(メチル2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−α−D−グルコピラノ]−[2,1−d]−オキサゾリン(26.4mg,0.0417mmol)をメタノール(2.00ml)に溶解させ、室温でナトリウムメトキシドのメタノール溶液(104μl,0.0104mmol)を加え1時間撹拌することによりアセチル基を脱保護した。この溶液を減圧濃縮し、続いて50mM炭酸緩衝溶液(300μl,pH10.6)に溶解させ1時間撹拌することによりメチルエステルを加水分解した。この溶液を減圧濃縮することにより無色油状物の2−(2−メチルエチル)−[1,2−ジ−デオキシ−3−O−(ソディウムβ−D−グルコピラノシルウロネート)−α−D−グルコピラノ]−[2,1−d]−オキサゾリンを得た。
【0049】
NMRのスペクトラムの帰属は、以下の通りである。
H NMR(400MHz,DO):δ(ppm);6.20(1H,d,J=7.53Hz,H−1),4.75(1H,d,J=8.03Hz,H−1’),4.40(1H,m,H−2),4.24(1H,m,H−3),3.96−3.83(3H,m,H−4,6,5’),3.77(1H,dd,J=6.02,12.05Hz,H−6),3.70−3.60(2H,m,H−3’,4’),3.50−3.40(2H,m,H−5,2’),2.50(2H,q,J=7.53Hz,−CHCH),1.26(3H,t,J=7.53Hz,−CHCH
【0050】
実施例16
酵素触媒重合によるヒアルロン酸誘導体の合成
重水炭酸緩衝溶液(300μl)に基質モノマーである実施例12で得た2−エチル−[1,2−ジ−デオキシ−3−O−(ソディウムβ−D−グルコピラノシルウロネート)−α−D−グルコピラノ]−[2,1−d]−2−オキサゾリン(基質モノマーAとする,18mg,0.044mmol)が溶解している溶液をDCl重水溶液(1.0M,0.5M,0.1M)によりpHを7.1に調整した。この溶液を160μlずつNMRサンプル管に移した。(Entry1,2)Entry1には重水(50.0μl)、Entry2にはOvine testicular hyaluronidase(0.9mg)(ICN Biomedicals Inc.,Lot No.9303B,560units/mg)を重水(50.0μl)に溶解させた溶液を加え、よく撹拌した後、30℃における経時変化をH NMRにより測定した。基質モノマー濃度の経時変化はオキサゾリンの2位エチル基のメチルプロトンを内部標準とし、その積分値とオキサゾリンモノマーの還元末端1位プロトンの積分値の比を求めることにより算出した。その結果を表5及び図6に示す。
別の基質モノマーである実施例15で得た2−(2−メチルエチル)−[1,2−ジ−デオキシ−3−O−(ソディウムβ−D−グルコピラノシルウロネート)−α−D−グルコピラノ]−[2,1−d]−オキサゾリン(基質モノマーBとする,18mg,0.042mmol)を用いて同様の実験を行った。その結果を表6に示す。
【0051】
【表5】
Figure 0004036755
【0052】
【表6】
Figure 0004036755
【0053】
上記表5,図6及び表6に示す結果から、Ovine Testicular Hyaluronidaseを添加した系では添加していない系と比較して有意に基質モノマーA及びBの消費が促進されていることが明らかとなり、基質モノマーA及びBが両酵素により認識され、オキサゾリン環の開環反応が起こっていることが明らかとなった。
【0054】
Hyaluronidaseを添加した系(Entry2)で、モノマー消費が完結したことを確認した後、重合溶液を90℃の湯浴に3分間浸し、酵素を失活させることで反応を停止した。この溶液をGPC分析に供し、ピーク面積から重合生成物の収率を求めた。次に、サイズ排除クロマトグラフィー(SephadexTMG−10)にて精製し、展開後の溶媒を凍結乾燥することで生成物を得た。得られた生成物はH NMR、GPC測定により分析を行った。図7に基質モノマーAを用いた場合に得られたプロパンアミド誘導体の
NMRスペクトル、表7にプロパンアミド誘導体(基質モノマーAからの生成物)と2−メチルプロパンアミド誘導体(基質モノマーBからの生成物)のGPC測定による結果を示す。GPC測定は、実施例6に記載の標準物質及び測定条件にて行った。
【0055】
NMRのスペクトラムの帰属は、以下の通りである。
H NMR(400MHz,DO):δ(ppm);4.59(1H,d,J=7.03Hz,H−1),4.47(1H,d,J=6.53Hz,H−1’),3.93−3.71(6H,m,H−2,H−3,H−6,H−4’,H−5’),3.87(1H,m,H−2),3.57(1H,m,H−3’),3.53−3.50(2H,m,H−4,5),3.37(1H,m,H−2’),2.31(2H,q,J=7.53Hz,−CHCH),1.12(3H,t,J=7.53Hz,−CHCH
【0056】
【表7】
Figure 0004036755
【0057】
【産業上の利用可能性】
本発明の酵素化学的ヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体の製造法は従来より工業的に用いられてきた鶏冠抽出法や、発酵法に比較して、簡便な合成法であり且つ反応液からの生成物の単離精製が容易なヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体の製造法を提供するものである。採取されたヒアルロン酸は化粧品、医薬品および医療用等の材料として工業的に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成スキームを示す。
【図2】反応液中モノマー基質の経時変化を示す。
【図3】生成ヒアルロン酸のH NMRスペクトラムを示す。
【図4】生成ヒアルロン酸の13C NMRスペクトラムを示す。
【図5】ウシ睾丸ヒアルロニダーゼの場合と羊睾丸ヒアルロニダーゼの場合のpHの影響を示す。
【図6】反応液中モノマー基質Aの経時変化を示す。
【図7】生成プロパンアミド誘導体のH NMRスペクトラムを示す。

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)で表されるオキサゾリン誘導体に、ウシ睾丸由来ヒアルロニダーゼ又は羊睾丸由来ヒアルロニダーゼからなるヒアルロン酸分解酵素を作用せしめることを特徴とするヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体の製造法。
    Figure 0004036755
    (上式中Rは水素、アルキル基、置換されたアルキル基、フェニル基、又は置換されたフェニル基を表す。)
  2. 前記一般式(I)で表されるオキサゾリン誘導体が2−メチル−[1,2−ジデオキシ−3−O−(ソディウム−D−グルコピラノシルウロネート)]−α−D−グルコピラノ−[2,1−d]−2−オキサゾリンであることを特徴とする請求項1記載のヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体の製造法。
  3. 前記2−メチル−[1,2−ジデオキシ−3−O−(ソディウム−D−グルコピラノシルウロネート)]−α−D−グルコピラノ−[2,1−d]−2−オキサゾリンにヒアルロン酸分解酵素を作用せしめるにあたり、pHを5〜10に調整することを特徴とする請求項1又は2に記載のヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体の製造法。
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