JP4036428B2 - 椅子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、背もたれを備えた椅子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
背もたれが後傾するロッキング椅子の場合、座の後方にバックフレーム(背支柱)を立ち上げて、このバックフレームに背もたれ板を取付けていることが多い。
【0003】
その場合、バックフレームと背もたれ板との関係を見ると、背もたれ板の下部をバックフレームにねじ止めや嵌め込みなどの手段で固定していることが多い。
【0004】
他方、特許第3038174号公報には、背もたれ板をバックフレーム(公報の名称では背支稈)に固定すると共に、バックフレームに側面視前向き凸で緩く湾曲した突出部材を上下動自在に設ける一方、背もたれ板のうち前記突出部材に当たる部分を撓み変形可能とすることにより、ランバーサポート機構を設けることが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
背もたれ板の下部をバックフレームに固定する構造では、背もたれ板の取付け強度を高めるにはバックフレームの高さを高くしなければならず、そうすると、バックフレームが背もたれ板の裏側に大きく露出して美感を損なう問題がある。
【0006】
また、裏カバーの上部にバックフレームの下部を固定して、この裏カバーの前面に背もたれ板を取付けることも行われているが、この場合は、バックフレームや裏カバーが特別の構造になるため、製造に手間が掛かるのみならず、ヘッドレストやランバーサポート機構を取付けるのが難しいという問題がある。
【0007】
他方、ランバーサポート機構を設ける場合、背もたれ板のうち着座した人の腰に当たる部分は側面視で山形に湾曲させる必要があり、このため、前記特許第3038174号公報の構成では、背もたれ板を座板と一体の構造として、背もたれ板のうち着座した人の腰に当たる部分に横長のスリットを多段に形成することにより、当該スリットを設けた部分がバックフレームの突出部に倣った状態で変形するようにしている。
【0008】
しかし、この特許第3038174号公報のように背もたれ板を座板と一体に連設した構造では、背もたれが座板とは独立した状態で後傾するタイプのロッキング椅子には適用できない問題がある。
【0009】
本発明は、このような現状を改善することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る椅子は、座と背もたれとを備えており、前記背もたれは、座の後方に立ち上がったバックフレームと、このバックフレームの手前側に配置した背もたれ板と、バックフレームの裏側に配置した裏カバーとの三層構造になっており、前記裏カバーはバックフレームに固定されている。
【0011】
前記背もたれ板の上部の裏面には、裏カバーの上部の前面に設けた上受け部に上方から嵌合する上取付け部と、前記裏カバーの上受け部への上方からの嵌め込みにて当該受け部に係合して上向き抜け不能となる係合爪が設けられている。
【0012】
一方、前記背もたれ板の下部の裏面には、バックフレームに設けた水平状の横長部材と裏カバーとの間の空間に上方から嵌入する下取付け部が形成されており、この下取付け部の下端には、前記バックフレームの横長部材に下方から引っ掛かる爪を設けており、前記背もたれ板の下取付け部がバックフレームの横長部材に対して前後離反不能で上下動可能に取付けられており、更に、前記バックフレームに、背もたれ板を前向きに押圧して撓み変形させるランバーサポート機構を取付けている。
【0013】
【0014】
請求項2の発明では、前記背もたれ板の下部の裏面には、バックフレームに設けた水平状の横長部材と裏カバーとの間の空間に上方から嵌入する下取付け部が形成されており、この下取付け部の下端には、前記バックフレームの横長部材に下方から引っ掛かる爪を設けており、前記背もたれ板の下取付け部がバックフレームの横長部材によって前後離反不能で上下動可能に保持されている。
【0015】
【0016】
【発明の作用・効果】
本発明のように背もたれをバックフレームと背もたれ板と裏カバーとの三層構造にすると、バックフレームは背もたれの上部まで延長することができるため、背もたれを全体として頑丈な構造にすることができる。
【0017】
特に、裏カバーをバックフレームに固定することにより、裏カバーの取付け強度を向上することが可能となる。
【0018】
【0019】
【0020】
また、背もたれ板と裏カバーとの間にランバーサポート機構を配置したり、ヘッドレストの支柱を差し込む受け部を形成したりすることも容易に実現できる。
【0021】
ところで、人が背もたれにもたれ掛かった、座り心地の点からは、背もたれ板が人の体型に倣うように撓み変形してフィット性を向上させるのが好ましい。この点、本願発明では、背もたれ板は撓み変形を許容した状態になっているため、座り心地を向上することができる。
【0022】
また、本願発明では、ランバーサポート機構で背もたれ板を押すことにより、着座した人の体格や好みに応じてフィット感を得ることができるため、特に好適であるが、この場合、背もたれ板は、上取付け部を裏カバーの受け部に上方から嵌め込むと共に、下取付け部をバックフレームの横長部材と裏カバーとの間に差し込めば良いため、背もたれ板の取付けをごく簡単に行うことができる。
【0023】
また、ランバーサポート機構の押圧部はバックフレームに取付けられているため、ランバーサポート機構の押圧部が裏側に露出することを防止して安全性を向上することができる。
【0024】
【発明の実施形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
(1).概要(図1〜図6)
先ず、図1〜図5に基づいて椅子の概要を説明する。図1は右側面図、図2は正面図、図3(A)は背面図、図4は部材の分離斜視図、図5は部分的な縦断側面図である。
【0026】
椅子は、脚支柱(ガスシリンダ)1を立設した脚2と、座3と、肘掛け装置4と、背もたれ5と、ヘッドレスト6とを備えている。脚支柱1の上端には上向きに開口したベース7が固定されており、ベース7の上方に正面視で翼状に広がる中間部材8と、座3とが配置されている。
【0027】
詳細は省略するが、座3は、合成樹脂製の座板(座インナー部材)にクッションを張った構造になっており、座板の左右両側部を中間部材8に対して前後動自在に装着している。
【0028】
中間部材8の前部と後部とには、左右一対ずつのブラケット部8a,8bを下向きに突設しており、前ブラケット部8aを左右長手の第1軸9でベース7に連結している。第1軸9がベース7に嵌まる穴10は前後長手の長穴になっている。
【0029】
ベース7の前後略中間部には、揺動フレーム11の前部が左右長手の第2軸12によって連結されている。また、揺動フレーム11の前後中途部には、中間部材8の後部ブラケット部8bが左右長手の第3軸13によって連結されている。図4及び図5に示すように、第2軸12のうちベース7の内部に位置した部位には、弾性支持手段の一例として左右2本のねじりばね(キックばね)14が振り分けて配置されており、これらねじりばね14の一端部が受け部材15で上方から支持され、ねじりばね14の他端には中間部材8の後部ブラケット8bが上方から当たっている。
【0030】
従って、揺動フレーム11はねじりばね14の弾性に抗して後傾し、かつ、中間部材8及び座3は揺動フレーム11の後傾動に連動して後傾しつつ後退する(すなわち、座3が背もたれ5にシンクロする)。ねじりばね14の初期弾性力は、受け部材15に係合したつまみ16で調節できる。
【0031】
揺動フレーム11は、後部に立ち上がり部11aを有する側面視略L字状に形成されており、本実施形態では、アルミのような軽合金(鉄のような他の金属でも良い)のダイキャストや合成樹脂の成形によって製造されている。
【0032】
そして、揺動フレーム11の後ろ向き傾斜部は断面略三角形状で内向きに開口しており、内部に補強リブ17を設けている。また、立ち上がり部11aは傾斜部とスムースに連続するように平面視で三角形状(或いは涙滴状)に形成されており、その前後両面に凹所18を形成し、凹所18にリブ19を多段に設けている。
【0033】
背もたれ5は、揺動フレーム11に取付けたバックフレーム20(背支柱)20と、バックフレーム20の手前側に配置した背もたれ板(背インナー部材)21と、バックフレーム20の裏側に配置した裏カバー(背アウター部材)22とを備えている。背もたれ板21の前面にはクッション23を張っている。
【0034】
図3(A)(B)に示すように、バックフレーム20の裏面には多数の小さな凹み24を形成している。通常の裏カバーは平滑状や梨地状が多いが、これでは変化に乏しいばかりか、成形時の収縮によるヒケが目立つ場合がある。
【0035】
これに対して本実施形態のように裏カバー22の背面に多数の凹み24を設けると、天井からの照明をメリハリ良く反射・吸収するため、アクセント効果によって体裁が良いと共に、成形時のヒケやキズを吸収できる利点を備えている。
【0036】
以下、図6以下の図面に基づいて背もたれ5の詳細を説明する。図6は背もたれ板21を省略した状態での背もたれ5の正面図、図7は背もたれの縦断側面図、図8はクッション23を省略した状態での縦断側面図、図9(A)はバックフレーム20と揺動フレーム11の分離正面図、図10はバックフレーム20と背もたれ板21と裏カバー22との分離側断面図、図11及び図12は背もたれ板21の取付け状態を示す斜視図、図13のうち(A)は平面図、(B)は背もたれ板21と裏カバー22との分離平面図である。
【0037】
(2).背もたれの基本構造
既述のとおり、背もたれ5は、金属製のバックフレーム20と合成樹脂製の背もたれ板21と同じく合成樹脂製の裏カバー22とを備えており、バックフレーム20にはランバーサポート機構25を上下動自在に取付けている。
【0038】
例えば図9や図10に示すように、バックフレーム20は左右の支柱20aを備えており、左右の支柱20aは上部横長部材20bと下部横長部材(下係合部)20cとで連結されている。上部横長部材20bは断面コ字状で下部横長部材20cは丸パイプになっているが、他の断面形状でも良い。また、更に中間横長部材を配置しても良い。
【0039】
バックフレーム20の左右支柱20aの下端部は、揺動フレーム11の立ち上がり部11aに設けた穴に嵌め込まれており、ねじ26で固定されている。この場合、凹所18の箇所においてねじ26をねじ込んでおり、このため、ねじ26の頭が目立たずに体裁が良い。
【0040】
例えば図6に示すように、裏カバー22の上部には前向きに突出した左右長手の水平リブ27を形成しており、この水平リブ27に連設した状態で左右一対の下向き開口筒部28が形成されており、この下向き開口筒部28に、バックフレーム20の支柱20aの上端を嵌め込み、ねじ29で固定している。
【0041】
また、図6〜8、図10に示すように、裏カバー22の下部には、バックフレーム20の下部横長部材20cに上方から嵌合するブラケット部30を一体に設け、ブラケット部30を下部横長部材20cにねじ31で固定している。
【0042】
このように、バックフレーム20は背もたれ5の上部まで延びており、かつ、裏カバー22の前面の箇所をバックフレーム20に固定するものであるため、裏カバー22をバックフレーム20に対して強固に固定できる。
【0043】
既述の通り、背もたれ板21の前面にはクッション23が張られており、クッション23の表面はクロス(布等の表皮材)32で覆われている。
【0044】
また、例えば図7,8,10,11に示すように、背もたれ板21の上部には、裏カバー22の水平リブ27よりも上方に位置する左右長手の水平片35を後ろ向きに突設しており、水平片35の左右両端部に、円柱状の上取付け部34を下向きに突設し、これを、裏カバー22の水平リブ27に連設した円筒状の上受け部35に上方から嵌め込んでいる。
【0045】
この場合、上取付け部34と背もたれ板21とは補強のために板状部34aによって一体に接続されている一方、裏カバー22の上受け部35には、板状部34aが嵌合するスリット36を形成している。
【0046】
また、上取付け部34の先端には、上受け部35の下端面に引っ掛かり係合する上係合爪37を一体に設けている。このため、上取付け部34を上受け部35に嵌め込むと、背もたれ板21は上向き抜け不能に保持される。図11に黒抜き矢印で示すように、係合爪37を外側から内側に押しやった状態で背もたれ板21を上向きに押し上げると、背もたれ板21を取り外すことができる。
【0047】
裏カバー22の左右両側部には、背もたれ板21の裏面に向けて突出する縦リブ38が形成されているが、係合爪37の箇所では縦リブ38は高さがごく低い切り欠き部38aとなっていて、係合爪37の押し曲げ操作に支障が無いように配慮されている(完全に途切れても良い)。
【0048】
背もたれ5を三層構造にして、背もたれ板21と裏カバー22との間に隙間を設けたことにより、係合爪37のような背もたれ板21の抜け防止用係合手段を外側から操作することが可能となり、その結果、背もたれ板21の取付け・取り外しを簡単に行えるのである。
【0049】
背もたれ板21の下部には、バックフレーム20の下部横長部材20cと裏カバー22との間の空間に上方から入る下取付け部39を一体に形成している。下取付け部39は、背もたれ板21が手前側に移動し得るように上下方向に長く延びており、その下端に、バックフレーム20の下部横長部材20cに引っ掛かることによって背もたれ板21の前向き移動限度を規制する爪39cを設けている。
【0050】
また、図12に示すように、背もたれ板21には下取付け部39の上部を囲うようなスリット40が形成されており、このため、下取付け部39を前後移動させるように容易に変形させることができる。換言すると、下取付け部39を下部横長部材20cに係合させた状態で、背もたれ板21の下部を手前に押しやるように容易に撓み変形させることができる。
【0051】
背もたれ板21を取付ける場合は、先に下取付け部39を下部横長部材20cと裏カバー22との間に挿入してから、上部取付け部34を裏カバー22の上受け部35に弾性に抗して嵌め込むことになる。取り外しは逆の手順で行う。
【0052】
背もたれ板21の背面と下取付け部39との間の間隔はバックフレーム20の下部横長部材20cの直径よりも大きいため、背もたれ板20がその下部において前後動することが許容されており、このため、背もたれ板20は側面視でも撓み変形が可能なっており、その結果、着座した人に対するフィット感が高い利点がある。
【0053】
クッション23を覆うクロス32は背もたれ板21の裏面の全体を覆うように袋状に形成されており、クロス32から水平リブ27や下取付け部39が露出した状態になっている。また、背もたれ板21の水平片35には左右に長いスリット41が形成されており、このスリット41に、クロス32の縁部32aを差し込むことにより、水平片35の箇所でクロス32を美麗に処理している。
【0054】
ヘッドレスト6は左右の支柱42を備えており、左右の支柱42は、裏カバー22の前面に設けた上下一対ずつの受け筒部45に差し込み装着されており、ねじで固定されている。背もたれ5を三層構造にしたことにより、ヘッドレスト6の取付けも簡単に行えるのである。
【0055】
(3).ランバーサポート機構の構造
次に、図14以下の図面も参照してランバーサポート機構25について説明する。
【0056】
図14のうち(A)は部分平面図、(B)は部分正面図,(C)は部分的な右側面図、図15は要部の正面図、図16は背もたれ板21の側縁部の正面図、図17は図15のXVII-XVII 視断面図、図18のうち(A)は図15の XVIII-XVIII視断面図、(B)は部材の分離図、(C)は(A)の部分的な破断図、図19は図18のXIX-XIX 視断面図、図20は図18のXX−XX視断面図、図21のうち(A)は図19の XXI-XXI視断面図、(B)は作用を示す概略図である。
【0057】
ランバーサポート機構25は、背もたれ板21のうち特に着座した人の腰に当たる部分を前向き突出させることにより、着座した人に、その体格に応じた正しい姿勢を採れるようにするためのものである。
【0058】
本実施形態のランバーサポート機構25は、バックフレーム20の支柱20aに上下動自在に装着したスライドケース(昇降手段の一例)45と、左右のスライドケース45を一体に連結する連結体(連結手段の一例)46と、スライドケース45に設けた押圧アーム(押圧手段の一例)47と、左右の押圧アーム47を一緒に回動させるための連動軸(連動手段の一例)48と、左右の押圧アーム47を同時に操作する操作手段の一例であるハンドル49とを備えている。
【0059】
図19に示すように、スライドケース45の内部には合成樹脂製の2つ割り式のスライダー50が装着されている。また、図15及び図17に示すように、スライダー50には下向き(上向きでも良い)に延びる片持ち梁状で先端が側断面山形に形成された撓み爪51を設ける一方、裏カバー22のうちスライドケース45の後方位置に設けたリブ52に、前記撓み爪51が係合する側面視鋸歯状の凹凸部52aを形成している。
【0060】
従って、スライドケース45に対して上向き又は下向きのある程度の力を掛けると、撓み爪51を弾性変形させてランバーサポート機構25を上下動させることができ、かつ、上下方向の外力がなくなると、ランバーサポート機構25はその高さに停止する。これにより、身長の違いに関係なく、着座した人の腰を的確に支持することができる。
【0061】
スライドケース45及びスライダー50には、連動軸48の左右端部が回転可能に貫通している。連動軸48は左右スライドケース45の間でクランク状に曲げられており、図18(C)に示すように、連動軸48のクランク部を連結板46に当てることにより、一方方向の回転限度が規制されている。
【0062】
図21に示すように、スライドケース45の左右側面部には、平断面略コ字状で上下に延びる受けケース53が固定されており、この受けケース53に平断面略コ字状の前記押圧アーム47が前方から被さっている。そして、押圧アーム47の上部に前記連動軸48の左右端部が貫通しており、連動軸48に押圧アーム47を固定している。
【0063】
従って、押圧アーム47は連動軸48と一体に回動する。連動軸48の端部は受けケース53に貫通しており、受けケース53は連動軸48に対する軸受けの役割も果たしている。
【0064】
受けケース53の上下中途部には、左右長手の支軸54により、歯車55とカム56とが回転自在に支持されている。支軸54と歯車55とカム56と一体に回転するようになっている。
【0065】
図21に示すように、カム56の外周面で押圧アーム47を支持するようになっているが、カム56の外周面に軸心からの距離が異なる複数(6個)のカム面56aを形成することにより、カム56が回転すると押圧アーム47が連動軸48の端部を中心にして回動するように設定している。
【0066】
押圧アーム47の下端には、背もたれ板21の背面に当たるローラ57を設けている。背もたれ板21は平面視で前向き凹状に湾曲しているため、図20に示すように、ローラ57はテーパ状に形成されている。また、図16に示すように、背もたれ板21の左右側部には階段状に屈曲したスリット58が多段に形成されており、スリット58のうち階段状の部分がローラ57に当たるように設定している。
【0067】
図18に示すように、受けケース53の内部には、連動軸48の端部に固定されたシーソー式回動部材59が配置されており、回動部材59に、歯車55に噛合する爪材60を取付けている。従って、回動部材59を回動させると、歯車55とカム56とを回転させることができる。
【0068】
この場合、回動部材59を白抜き矢印方向に回動させると歯車55が右側面視で半時計回り方向のみに間欠的に回転するように、歯車55の歯を非対称状台形に形成しており、かつ、受けケース53に、歯車55の逆転を阻止する弾性ストッパー61を取付けている。
【0069】
そして、左右の回動部材59にハンドル49の左右端部49bをねじ62で固定している。ハンドル49は裏カバー22を後ろ側から覆うように形成されている。また、ハンドル49の左右端部に立ち上がり部49aを設け、立ち上がり部49aの上端49bが回動部材59に固定されている。ハンドル49と裏カバー22との間には、当該ハンドル49を人が握ったり、ハンドル49に服やタオルなどを掛けたりすることのできる程度の空間が空いている。
【0070】
(4).ランバーサポート機構の動き
ハンドル49を手で持って手前側に回動させると、回動部材59が回動してカム56が位置方向に間欠的に回転するため、すなわち、カム56はロータリー式になっているため、押圧アーム47が回動することによって背もたれ板21を少しずつ押し出せると共に、背もたれ板21を最大突出位置まで押し出してから次にハンドル49を回動させると、背もたれ板21は最も後退している位置に戻る。
【0071】
また、ハンドル49を手で持ってある程度の力を掛けて上下方向に押し引きすると、前記した撓み爪51と凹凸部52aとの作用により、ランバーサポート機構25をごく細かいピッチで上下動させることができる。
【0072】
本実施形態のようにハンドル49の左右端部に立ち上がり部(端部49bから見ると垂下部となる)49aを設けると、着座した状態でハンドル49を簡単に掴むことができるため、着座した状態のままでランバーサポート機構25の高さ調節や突出量調節を簡単に行うことができる利点がある。なお、本実施形態では、ハンドル49の操作は、上半身を背もたれ5から浮かした状態で行う。
【0073】
前記特許第3038174号の場合、背もたれ板の左右中間部が突起で支持されているため、背もたれ板が撓み変形することは殆どなく、このためフィット背もたれ板に乏しいという問題があるが、本実施形態では、背もたれ板21の左右両端部を押圧アーム47で押し出すものであるため、背もたれ板21は平面視で後ろ向きに突出するように撓み変形することができ、このため、フィット性とクッション性とに優れている。
【0074】
本実施形態のように背もたれ板21のうちローラ57が当たる部分にスリット58を設けると、背もたれ板21の撓みを容易ならしめて、ランバーサポート機能を向上できる。この場合、スリット58を階段状に形成して、段違い部をローラ57で支持しているため、スリット58を設けたものでありながら、背もたれ板21がローラ57で押し破られるような状態になることを防止して、背もたれ板21を的確に押し出すことができる。
【0075】
(5).実施形態の利点
本実施形態のように、裏カバー22と背もたれ板21とのうち少なくともいずれか一方に水平リブ27又は水平片33を設けると、内部に物が落ち込むことを防止できる利点がある。
【0076】
また、左右縦リブ38の切り欠き部38aは、縦リブ38がハンドル49の水平端部49bと干渉しないように、ハンドル49の水平端部49bが上下動する範囲に延びている。このようにすると、ハンドル49の上下動操作機能を損なうことなく、背もたれ板21と裏カバー22との間の空間が外側に過度に露出することを防止して、体裁を向上できると共に、安全性も確保できる。
【0077】
図18から容易に理解できるように、ローラ57を押圧アーム47に取付けるに当たっては、押圧アーム47の左右側板に形成したくびれ状穴63にボス64を強制的に嵌め込んでおり、このため、ローラ57をワンタッチ的に取付けることができる。
【0078】
なお、必ずしもローラ57を設ける必要はなく、押圧アーム47を背もたれ板21に当てるだけでも良いが、ローラ47を使用すると上下高さ調節をスムースに行える利点がある。
【0079】
(6).その他
本発明は上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えばバックフレーム20は、例えば全体を板金製にしたりするなど、様々の形態・構造を採用できる。バックフレーム20と揺動ハンドルとを一体化しても良いのである。
【0080】
裏カバー及び背もたれ板も、デザイン等の必要に応じて様々に具体化することができる。ランバーサポート機構を設ける場合、その構造は図示のものに限定されるものではなく、例えば片側だけにハンドルを設けるなど、様々に具体化することができる。
【0081】
【0082】
背もたれ板の下部を裏カバー又はバックフレームに取付ける手段としては、裏カバー又はバックフレームに側面視で上向きの鉤状受け部を設ける一方、背もたれ板の裏面に、前記受け部に嵌まる平面視門型の下取付け部を設けるなどしても良い。もちろん、他の遊び付き係合手段を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】椅子の右側面図である。
【図2】椅子の正面図である。
【図3】 (A)は椅子の背面図、 (B)は裏カバーの部分背面図、 (C)は (B)の C-C視断面図である。
【図4】ベースと中間部材との分離斜視図である。
【図5】部分的な縦断側面図である。
【図6】背もたれ板を省略した状態での背もたれの正面図である。
【図7】背もたれの縦断側面図である。
【図8】クッションを省略した状態での縦断側面図である。
【図9】 (A)はバックフレーム20と揺動ハンドルの分離正面図、 (B)は (A)の B-B視断面図である。
【図10】背もたれの分離側断面図である。
【図11】背もたれ板の上部の取付け状態を示す斜視図である。
【図12】背もたれ板の下部の取付け状態を示す斜視図である。
【図13】 (A)は背もたれの概略平面図、 (B)は背もたれ板と裏カバーとの分離平面である。
【図14】 (A)は部分平面図、 (B)は部分正面図、 (C)は部分的な右側面図である。
【図15】ランバーサポート機構の要部の正面図である。
【図16】背もたれ板の側縁部の正面図である。
【図17】図15のXVII−XVII視断面図である。
【図18】 (A)は図15の XVIII-XVIII視断面図、 (B)は部材の分離図、 (C)は (A)の部分的な破断図である。
【図19】図18のXIX-XIX視断面図である。
【図20】図18のXX−XX視断面図である。
【図21】 (A)は図19の XXI-XXI視断面図、 (B)は作用を示す概略図である。
【符号の簡単な説明】
5 背もたれ
7 ベース
11 揺動フレーム
20 バックフレーム
20c 下部横長部材
21 背もたれ板
22 裏カバー
25 ランバーサポート機構
28 下向き筒部
34 上取り付け部
35 上受け部
37 係合爪
39 下取付け部
39a 爪
45 スライドケース
46 連結板
47 押圧アーム
48 連動軸
49 ハンドル
55 歯車
56 カム
57 ローラ
Claims (2)
- 座と背もたれとを備えており、前記背もたれは、座の後方に立ち上がったバックフレームと、このバックフレームの手前側に配置した背もたれ板と、バックフレームの裏側に配置した裏カバーとの三層構造になっており、前記裏カバーはバックフレームに固定されている、
という椅子であって、
前記背もたれ板の上部の裏面には、裏カバーの上部の前面に設けた上受け部に上方から嵌合する上取付け部と、前記裏カバーの上受け部への上方からの嵌め込みにて当該受け部に係合して上向き抜け不能となる係合爪が設けられている一方、前記背もたれ板の下部はバックフレーム又は裏カバーに対して前後離反不能でかつ上下動可能な状態に取付けられており、これにより、背もたれ板は下部が手前に押しやられるように撓み変形することが許容されており、
更に、前記バックフレームに、背もたれ板を前向きに押圧して撓み変形させるランバーサポート機構を取付けている、
椅子。 - 前記背もたれ板の下部の裏面には、バックフレームに設けた水平状の横長部材と裏カバーとの間の空間に上方から嵌入する下取付け部が形成されており、この下取付け部の下端には、前記バックフレームの横長部材に下方から引っ掛かる爪を設けており、前記背もたれ板の下取付け部がバックフレームの横長部材によって前後離反不能で上下動可能に保持されている、
請求項1に記載した椅子。
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