JP4035857B2 - カラーフィルタ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶ディスプレイ等に用いるカラーフィルタ及びその製造方法に関し、特に遮光層の材料として黒色感光性樹脂組成物を用いるカラーフィルタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラーフィルタは液晶ディスプレイ装置の分野にて広く用いられるようになってきている。このカラーフィルタは通常赤、緑、青等の複数色画素を透明基板上に配列したものであるが、さらにコントラストの良好な画像を得るためにこれらの画素間に黒色の遮光層を形成する。この遮光層は、TFT駆動方式の液晶表示ではトランジスターの誤動作を防ぐ効果も有する。
【0003】
この遮光層は通常ガラス基板上に微細パターンからなる金属薄膜で形成される場合が多い。その具体例としては、クロム、ニッケル、アルミニウム等の金属あるいは金属化合物を蒸着法、スパッタ法などの真空成膜法等で薄膜を形成し、これをフォトリソグラフィ法で、微細パターンを形成する方法が一般的である。
【0004】
具体的には、金属等の薄膜上にフォトレジストを塗布、乾燥し、フォトマスクを介して紫外線を照射し、現像することによりレジストパターンを形成し、その後、エッチング工程、レジスト剥離工程を経て、遮光層を形成する。しかし、その工程が複雑であり、製造コストが非常に高くなるという問題があった。
【0005】
さらに、透過型の液晶ディスプレイにこの金属薄膜で形成した遮光膜を有するカラーフィルタを用いた場合、金属表面の反射率が高く、強い外光がカラーフィルタに入射した場合、反射光が強く、表示品位が著しく低下してしまう。
【0006】
この様な金属薄膜を用いた遮光層の問題点を改善すべく、種々の方法が検討されている。例えば、感光性樹脂組成物に黒色顔料と必要に応じて有機顔料を分散し、これを用いて遮光層を形成する方法が提案されている。しかし、黒色顔料のみで十分な遮光性を得るためには、約1μm以上の膜厚を必要とする。このため、位置合わせのマージンである複数色画素との重なりの部分が、つの状の突起となり、表示ムラの原因になっていた。
【0007】
この問題を改善するため、特開平6−59119号公報において、黒色感光性樹脂層を複数色画素上及び間に設けた後、複数色画素をマスクとして、基板側から全面露光することにより複数色画素の隙間にのみ選択的に遮光層を設ける方法および材料が提案されている。このいわゆる裏露光法を用いると、つの状の突起はなくなる。しかしながら透明基板と黒色感光性樹脂層との密着性が悪く、カラーフィルタの現像工程時や対向基板の貼り合わせ工程時に透明基板から黒色感光性樹脂層が剥離しやすいという問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、透過光を遮断するのに充分な濃度を持ち、反射率が低い遮光層が形成でき、且つ遮光層とガラス基板との密着性を向上させ膜強度の高いカラーフィルター及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明はこの課題を解決するため、基板上に複数色画素を設け、その複数色画素上と複数色画素の間隙の色画素側面及び基板上に有機ケイ素化合物層を設け、前記有機ケイ素化合物層上に黒色樹脂組成物からなる遮光層を設けてなることを特徴とするカラーフィルタを提供する。さらには、前記黒色樹脂組成物にカーボンブラックを含むことを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0010】
またその製造方法として、複数色画素を有する基板上に有機ケイ素化合物、黒色感光性樹脂組成物を順次塗布し、前記複数色画素をマスクとして透明基板側から露光し、現像により、複数色画素間の黒色感光性樹脂組成物を残して、複数色画素上の有機ケイ素化合物と黒色感光性樹脂組成物を除去してなることを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態につき説明する。
遮光層となる黒色感光性樹脂組成物は、樹脂系材料、架橋剤、光開始剤、黒色顔料等からなるものが使用可能である。
樹脂系材料としては、架橋点となりうるOH基を含有しかつアルカリ性水溶液可溶性である高分子化合物が適用される。このような樹脂系材料としては、フェーノルノボラック、p−ヒドロキシスチレンに代表されるフェノール類、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等のOH基を含むモノマーのホモポリマーあるいは共重合体が用いられる。共重合に使用できる他のモノマーとしては、スチレン、フェニルマレイミド、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ベンジルなどが挙げられる。
これらの樹脂系材料は20〜45重量%の範囲内で使用される。少なすぎると、感光機能が劣化すること、カーボンの凝集によりパターン形状が劣化すること、膜強度や密着性が不足し、多すぎると遮光性が不足する。
【0012】
架橋剤としては、メチロール化尿素、尿素樹脂、メチロール化メラミン、ブチロール化メラミン、メチロール化グアナミンあるいはこれらの化合物のアルキルエーテルを用いることが可能である。熱安定性が優れている点からアルキルエーテル化物がより好ましい。このアルキルエーテルのアルキル基としては炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。特に、このアルキルエーテル化合物としては感度の点で優れているヘキサメチロールメラミンのアルキルエーテル化物がより好ましい。また、エポキシ基を2つ以上持つ化合物も用いることができる。これらの架橋剤は5〜20重量%の範囲内で使用される。少なすぎると、感光特性に支障をきたし、多すぎると遮光性が不足する。
【0013】
光開始剤としては、トリハロメチル基含有トリアジン誘導体またはオニウム塩類などが使用できる。たとえば、トリハロメチル基含有トリアジン誘導体としては、たとえば2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−メトキシ−1’−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メチルチオフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどを挙げることができる。
【0014】
その他オニウム塩類としては、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、4-メトキシフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、ビス(4−tert−ブチルフェニル) ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(4−tert−ブチルフェニル) ヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、ビス( 4−tert−ブチルフェニル) ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル) ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(4−tert−ブチルフェニル) ヨードニウムトリフルオロアセテート、ビス(4−tert−ブチルフェニル) ヨードニウム−p−トルエンスルホナート等のジアリールヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム−p−トリエンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルテトラフルオロボレート、4−フェニルチオフェニルジフェニルヘキサフルオロホスホネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルヘキサフルオロアルセネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロメタンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロアセテート、4−フェニルチオフェニルジフェニル−p−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシナフチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等のトリアリールスルホニウム塩等が挙げられる。
【0015】
これらの光酸発生剤は2〜15重量%の範囲内で使用される。これは、15重量%を越えて添加した場合は、酸発生量が多すぎパターン露光後の加熱によって未露光部にも酸が拡散し架橋反応を起こし、解像性が低下してしまう原因となる。また、添加量が2重量%より少ない場合においては、酸発生量が乏しく、架橋反応が十分進行せず、パターンが形成できない。
【0016】
黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、鉄黒、アニリンブラック、有機顔料の混合品が使用可能であり、必要に応じて顔料の分散性を向上させるため分散媒としてアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等を加えることも可能である。また、分散剤として高分子系分散剤や有機色素の誘導体等を加えてもよい。更に高分子化合物によりグラフト化されたポリマーグラフト化カーボンブラックを用いてもよい。これらの黒色顔料は20〜60重量%の範囲内で使用される。少なすぎると、充分な遮光性を得ることが出来ず、多すぎると感光性樹脂としての機能を保持することが出来ない。
【0017】
これらの材料を、2本ロールミル、3本ロールミル、サンドミル、ペイントコンディショナー等の分散機を用いて混練し、黒色感光性樹脂組成物とする。更に分散時の作業性を向上させるため希釈溶剤として、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジグライム、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エステル類等の有機溶剤を用いてもよい。
【0018】
本発明における有機ケイ素化合物としては、2重結合を有するγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が使用可能であり、これらをエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等の溶剤により約10倍に希釈して用いる。
【0019】
以下、本発明のカラーフィルタの製造方法の工程の一例を図面に基づき説明する。透明基板1上に複数色画素2を設け、この上及び間に有機ケイ素化合物3を複数色画素上にスピンナー法、バーコート法、ロールコート法、カーテンコート法等を用いて図2に示すように均一に塗布し、70〜100℃程度の熱を加えて溶剤分を除去し乾燥する。次に、黒色感光性樹脂組成物4を有機ケイ素化合物層の上にスピンナー法、バーコート法、ロールコート法、カーテンコート法等を用いて図3に示すように均一に塗布し黒色樹脂層を形成する。
【0020】
複数色画素の形成方法としては、従来技術である染色法、顔料分散法、印刷法、電着法等の現在実用化されているいずれの方法を用いても良く、また、黒色感光性樹脂層と透明基板を密着させる場合には、70〜100℃程度の熱を加えてもかまわない。
【0021】
次に、透明基板の裏面から紫外線を照射し露光を行う。露光に用いる光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯等を用いる。黒色感光性樹脂組成物の感光波長域が400nm以上にも伸びている場合には、可視光カットフィルターを通して露光することが好ましい。その後加熱温度90〜150℃、時間15秒〜5分にて黒色感光性樹脂層の複数色画素間隙部のみ架橋反応を起こさせる。
【0022】
次に、現像液を用いて、複数色画素上の未架橋部の黒色樹脂と有機ケイ素化合物層を除去して、図1に示すようにカラーフィルタを得る。現像液には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機アルカリ溶液やトリエチルアミン等のアルキルアミン類、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド等の第4級アンモニウム塩等を用いることが出来る。
【0023】
【実施例】
基板としてコーニング社製:「7059」を用い、この上にフジハント社製:「カラーモザイクCRY7000、CGY7000、CBV7000」を用いて常法により赤、緑、青の着色パターンを形成した。これらの複数色画素の膜厚は1.5μmであった。
【0024】
有機ケイ素化合物として、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランをエタノールを用いて10倍に希釈し、これを前記複数色画素上にスピンナーにより1000rpm、30秒で塗布し、ホットプレートを用いて90℃、1 分間乾燥して有機ケイ素化合物層を形成した。
【0025】
黒色顔料として三菱化学(株)製:「#20ブラック」を11.6g、分散剤としてゼネカ(株)製:「ソルスパース2400GR、5000(1:1配合)」を0.6g、樹脂系材料として住友ベークライト(株)製:「フェノールノボラック樹脂」を6.7g、架橋剤として三和ケミカル(株)製:「ニッカラックMW−30M」を2.0g、光開始剤としてはみどり化学(株)製:「TAZ−104、TAZ−107(1:1.25配合)」を1.4g、溶剤としてシクロヘキサノンを80g、ガラスビーズを100gをガラス瓶に入れ、ペイントシェーカーを用いて2時間分散し、黒色感光性樹脂組成物とした。
【0026】
これを前記有機ケイ素化合物層上にスピンナーにより760rpm、5秒で塗布し、乾燥後、3kw超高圧水銀灯により60mJ/cm2 の露光量で、前記複数色画素をマスクとして透明基板側より全面露光を行ない、その後、ホットプレートを用いて、90℃で1分間加熱を行った。
【0027】
その後、1.25%の水酸化ナトリウム水溶液を用いて、基板を回転させながらシャワー噴霧する方式を用いて30秒間現像を行い、複数色画素上の有機ケイ素化合物層と黒色感光性樹脂組成物を除去した。最後にクリーンオーブン中にて23℃で1時間加熱しカラーフィルタを得た。
【0028】
<密着性評価>
このカラーフィルタをプレシャークッカー試験器を用いて120℃、100%RH、2気圧の条件にて50時間放置後、「JIS K 5400」記載の基盤目付着性試験方法にて密着性の評価を行った。その結果、黒色樹脂組成物層の剥離は発生しなかった。
比較例として、有機ケイ素化合物層を設けなかった以外は実施例と同様にしてカラーフィルタを得たものに同様の評価を行ったが、すべて剥離してしまい、密着性を得ることができなかった。
【0029】
【発明の効果】
以上に示した様に本発明においては、基板と、基板上の複数色画素間に設ける遮光層と間に有機ケイ素化合物層を設けることにより、ガラス基板との密着性を向上させる作用が発現する。
これにより、遮光層とガラス基板との密着性を向上させ膜強度の高いカラーフィルターを得ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラーフィルタの一実施例の断面の構造を示す説明図である。
【図2】本発明のカラーフィルタの製造方法の途中工程を示す説明図である。
【図3】本発明のカラーフィルタの製造方法の途中工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1…基板
2…複数色画素
3…有機ケイ素化合物層
4…黒色感光性樹脂組成物
Claims (3)
- 基板上に複数色画素を設け、その複数色画素上と複数色画素の間隙の色画素側面及び基板上に有機ケイ素化合物層を設け、前記有機ケイ素化合物層上に黒色樹脂組成物からなる遮光層を設けてなることを特徴とするカラーフィルタ。
- 前記黒色樹脂組成物にカーボンブラックを含むことを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
- 複数色画素を有する基板上に有機ケイ素化合物、黒色感光性樹脂組成物を順次塗布し、前記複数色画素をマスクとして透明基板側から露光し、現像により、複数色画素間の黒色感光性樹脂組成物を残して、複数色画素上の有機ケイ素化合物と黒色感光性樹脂組成物を除去してなることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
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