JP3852153B2 - 黒色感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
液晶ディスプレイ等に用いるカラーフィルタを製造するための材料に関するもので、特にブラックマトリクスの形成に用いる黒色感光性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、カラーフィルタは液晶ディスプレイ装置を始めとする多くの分野にて広く用いられている。通常、カラーフィルタは赤、緑、青等の複数色の画素を透明基板上に配列したものである。
カラーフィルタにおいては、良好なコントラストの画像を得るために、各画素間に黒色のブラックマトリクスを形成することが行なわれている。このブラックマトリクスは、TFT駆動方式の液晶表示に用いられるトランジスターの誤動作を防ぐ効果も発揮する。
【0003】
通常、ブラックマトリクスはガラス基板上に微細パターンからなる金属薄膜で形成される。例えば、まず、クロム、ニッケル、アルミニウム等の金属あるいは金属化合物からなる薄膜を蒸着法やスパッタ法などの真空成膜法等で成膜する。その後、フォトリソグラフィ法、例えば、その薄膜上にフォトレジストを塗布、乾燥し、フォトマスクを介して紫外線を照射し、現像することによりレジストパターンを形成した後、エッチング工程、レジスト剥離工程を経て、微細なパターン状のブラックマトリクスを形成する方法が一般的である。
しかしながら、上記工程にて製造されたブラックマトリクスはその工程の複雑さから製造コストが非常に高く、その結果、これを用いるカラーフィルタのコストも高くなるという問題点がある。
【0004】
また、金属薄膜として一般的に使用されている金属は、その表面の反射率が高いので、透過型の液晶ディスプレイに、この金属薄膜を用いたカラーフィルタを搭載した場合、強い外光がカラーフィルタに入射したときに、例えば、クロム薄膜の場合等は反射光が強いために、表示品位が著しく低下してしまうという問題がある。
そこで、このような金属薄膜を用いたブラックマトリクスの問題点を改善すべく、種々の方法が検討されており、例えば、感光性樹脂組成物に黒色顔料と必要に応じて有機顔料を分散し、これを用いてブラックマトリクスを形成する方法が提案されている。
この黒色感光性樹脂組成物を用いる方法であると、製造過程が簡略化してコストダウンを図れる上、反射による表示品位の低下がないという利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、黒色顔料のみで十分な遮光性を得るためには、約1μm以上の膜厚を必要としてしまう。その結果、位置合わせのマージンである複数色画素との重なりの部分に、所謂つの状の突起が形成されてしまい、表示ムラの原因になっていた。
【0006】
特開平6−59119号公報には、所定位置に配置した複数色からなる各画素の間隙および上部に黒色感光性の樹脂層を設けた後、複数色画素をマスクとして基板の裏面側から全面露光することにより、複数色画素の間隙にのみ選択的にブラックマトリクスを設ける方法およびその為の材料が提案されている。
この所謂、裏露光法を用いると、つの状の突起の発生がないという利点がある。しかし、黒色ブラックマトリクスの膜厚を十分に確保し、かつ、複数色画素上に黒色層が残存しないようにする為には、黒色感光性樹脂組成物の感光波長域における複数色画素の遮光性が十分に高くなければならない。そのため、マスクとなる複数色画素中に、酸化チタン、酸化亜鉛、ベンゾトリアゾール系化合物、クマリン系化合物等の紫外線吸収剤や蛍光増白剤等の添加剤を添加しなければならなかった。しかしながら、複数色画素へのこれらの紫外線吸収剤等の添加は、カラーフィルタとしての光学特性、即ち透明性およびコントラスト比を著しく損ねてしまうという問題があった。
また、光重合系感光性樹脂においては、感光特性曲線が比較的なだらかでγ値が小さいために、十分な膜厚を得るためには、十分に大きな露光量(150〜200mJ/cm2)が必要とされる。しかし、十分な露光処理を施すために、複数色画素にさらに高い遮光性が要求される。
【0007】
また、黒色顔料は、紫外線照射時に光重合系感光性樹脂が用いる光重合開始剤が発生させたラジカルを捕捉してしまう性質を有する。したがって、黒色顔料は光重合を阻害し、経済的な露光量における充分な画素形成を困難なものとしており、現像時にパターンが剥離する等の問題点があった。
また、各複数色画素の端部における形状は垂直形状ではなく傾斜した形状となることがあるが、そのような場合に、図3に示すように、複数色画素12,12,・・・をマスクとして裏露光法を用いてブラックマトリクスを形成すると、黒色樹脂層16の、各画素12の端部の傾斜面14,14,・・・上に位置している部分は、その傾斜面14,14,・・・を形成する各画素12により遮光されて十分に露光されない。その結果、現像すると、図4に示すように、各画素12の端部の傾斜面14,14,・・・上にはブラックマトリクスを形成できず、平坦性を損なうという問題がある。特に、透過型カラーフィルタの青色画素は、黒色感光性樹脂組成物の感光波長域である365nm近辺の光吸収が高いため、画素端部12,12,・・・の傾斜面14,14,・・・上にブラックマトリクスを形成することはよりいっそう困難である。
【0008】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、低コストで、表示ムラがなく光学特性が良好で表示品位に優れ、なおかつ、平坦で、光漏れのないカラーフィルタを実現するブラックマトリクスの形成を可能とする黒色感光性樹脂組成物を目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、樹脂系材料20〜45重量%、架橋剤5〜20重量%、光酸発生剤2〜15重量%、黒色顔料20〜60重量%とを含有し、光酸発生剤は、吸収波長が340nm以下にある光酸発生剤と吸収波長が340〜380nmにある光酸発生剤とからなることを特徴とするものである。
さらには、そのような光酸発生剤としては、できるだけ約400nm以上に吸収波長をもたないものが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
ブラックマトリクスとなる本発明の黒色感光性樹脂組成物は、少なくとも樹脂系材料と架橋剤と光酸発生剤と黒色顔料とを含有してなる。
【0011】
樹脂系材料については、架橋点となりうるOH基を含有しかつアルカリ性水溶液可溶性である高分子化合物が適用される。そのような樹脂系材料としては、例えば、フェノールノボラック、p−ヒドロキシスチレンに代表されるフェノール類、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等のOH基を含むモノマーのホモポリマーあるいは共重合体が挙げられる。共重合に使用できる他のモノマーとしては、スチレン、フェニルマレイミド、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ベンジルなどが挙げられる。これらの樹脂系材料は20〜45重量%、好ましくは25〜35重量%の範囲内で使用される。少なすぎると、感光機能が劣化すること、カーボンの凝集によりパターン形状が劣化すること、膜強度や密着性が不足するなどの問題が生じ、多すぎると、遮光性が不足する。
【0012】
架橋剤としては、メチロール化尿素、尿素樹脂、メチロール化メラミン、ブチロール化メラミン、メチロール化グアナミンあるいはこれらの化合物のアルキルエーテルを用いることが可能である。熱安定性が優れている点からアルキルエーテル化物がより好ましい。このアルキルエーテルのアルキル基としては炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。特に、このアルキルエーテル化合物としては感度の点で優れているヘキサメチロールメラミンのアルキルエーテル化物がより好ましい。また、エポキシ基を2つ以上持つ化合物も用いることができる。これらの架橋剤は5〜20重量%の範囲内で使用される。少なすぎると、感光特性に支障をきたし、多すぎると遮光性が不足する。
【0013】
本発明においては、光酸発生剤として、吸収波長が340nm以下にある光酸発生剤と340〜380nmにある光酸発生剤とを組合せて用いる。
吸収波長が340nm以下にある光酸発生剤としては、吸収波長が290〜340nmであることがより望ましい。
また、光酸発生剤としては、光源の発光に含まれる波長域において吸収がありかつ、光吸収により酸を発生するトリハロメチル基含有トリアジン誘導体またはオニウム塩類が望ましい。
【0014】
そのような吸収波長が340nm以下にある光酸発生剤として、例えば、トリハロメチル基含有トリアジン誘導体としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどを挙げることができる。
また、オニウム塩類としては、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロアセテート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム−p−トルエンスルホナート等のジアリールヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム−p−トリエンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルテトラフルオロボレート、4−フェニルチオフェニルジフェニルヘキサフルオロホスホネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルヘキサフルオロアルセネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロメタンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロアセテート、4−フェニルチオフェニルジフェニル−p−トルエンスルホナート等のトリアールスルホニウム塩等が挙げられる。
【0015】
また、吸収波長が340〜380nmにある光酸発生剤として、例えば、トリハロメチル基含有トリアジン誘導体としては、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−メトキシ−1’−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メチルチオフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどを挙げることができる。
また、オニウム塩類としては、4−ヒドロキシナフチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等のトリアールスルホニウム塩等が挙げられる。
【0016】
なかでも、吸収波長域が340nm以下である4−フェニルチオフェニルジフェニルヘキサフルオロホスホネート、または2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンのいずれかと、吸収波長が340〜380nmである2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、または2−(p−メチルチオフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンのいずれかとを組合わせて使用することが好ましい。
また、青色画素は約400nm以上の波長の光をほとんど吸収せず、透過させるので、光酸発生剤が400nm以上に吸収波長があると、画素上の黒色感光性樹脂組成物が感光し、残存するおそれがあるので、上記2種類の光酸発生剤を組合わせてなる光酸発生剤は400nm以上の領域に吸収波長域をもたないことが好ましい。そのようなものであれば、可視光カットフィルタを要しない。
【0017】
吸収波長域が340nm以下にある光酸発生剤は、主として感度の向上に寄与する。吸収波長が340〜380nmにある光酸発生剤は、画素によって完全には遮られることのない波長域の光で感光するので、画素の傾斜面上においても感光し、傾斜面上において酸を発生させることができる。しかし、この吸収波長が340〜380nmにある光酸発生剤において感度の高いものは、400nm以上にも感度を有してしまうので、上述した不具合を生じやすくなり、感度の高いものはあまり望ましくない。その為、高感度化と、画素の傾斜面上にもブラックマトリクスを形成させ得ることの両作用を兼ね備えさせるべく、本発明では少なくとも2種の特定の光酸発生剤からなる。
【0018】
光酸発生剤の組合せ比率においては、吸収波長域が340nm以下にある光酸発生剤に対して、340〜380nmにある光酸発生剤を50〜150重量%、より好ましくは75〜125重量%の範囲内で使用される。340〜380nmの光酸発生剤が少な過ぎると、複数色画素端部の傾斜した形状上にブラックマトリクスを形成することができず、多過ぎると、感度が低くなり、必要な露光量が増大し、複数色画素上にも黒色感光性樹脂が残ってしまうからである。
これらを組合わせてなる光酸発生剤は全体に対して2〜15重量%の範囲内で使用される。15重量%を越えて添加した場合は、酸発生量が多すぎてパターン露光後の加熱によって未露光部にも酸が拡散し架橋反応を起こし、解像性が低下してしまう原因となる。また、添加量が2重量%より少ない場合においては、酸発生量が乏しく、架橋反応が十分進行せず、パターンが形成できない。
【0019】
黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、鉄黒、アニリンブラック、有機顔料の混合品が使用可能であり、必要に応じて顔料の分散性を向上させるため分散媒としてアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等を加えることも可能である。また、分散剤として高分子系分散剤や有機色素の誘導体等を加えてもよい。更に高分子化合物によりグラフト化されたポリマーグラフト化カーボンブラックを用いてもよい。これらの黒色顔料は20〜60重量%、好ましくは40〜50重量%の範囲内で使用される。少なすぎると、充分な遮光性を得ることが出来ず、多すぎると感光性樹脂としての機能を保持することが出来ない。
【0020】
本発明の黒色感光樹脂組成物は、上述したこれらの材料を、例えば2本ロールミル、3本ロールミル、サンドミル、ペイントコンディショナー等の分散機を用いて混練することにより容易に得られる。更に分散時の作業性を向上させるため希釈溶剤として、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エステル類等の有機溶剤を用いてもよい。
【0021】
以下、本発明のカラーフィルタの製造方法の工程の一例を図面に基づき説明する。まず、図3に示すように、基板10上の所定位置に青、赤または緑色の複数色画素12,12,・・・を設け、この各複数色画素12,12,・・・の上方ならびに各複数色画素12,12,・・・の間隙に本発明の黒色感光性樹脂組成物をスピンナー法、バーコート法、ロールコート法、カーテンコート法等を用いて均一に塗布し黒色樹脂層16を形成する。
複数色画素の形成方法としては、従来技術である染色法、顔料分散法、印刷法、電着法等の現在実用化されているいずれの方法を用いても良く、また、黒色樹脂層と透明基板をより密着させる場合には、70℃〜100℃程度の熱を加えてもかまわない。
【0022】
次に、透明基板10の裏面から紫外線を照射し露光を行い、複数色画素12の各間隙部18,18,・・・に位置する部分の黒色樹脂層16にのみ酸を発生させる。
露光に用いる光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯等を用いる。
黒色感光性樹脂組成物の感光波長域が400nm以上にもある場合には、複数色画素12中を通過した光を黒色樹脂層16が吸収し、複数色画素12上に黒色樹脂層16が残渣として形成されてしまうので、可視光カットフィルタを通して露光することが好ましい。
次に、加熱温度90℃〜150℃、時間15秒〜5分にて酸の触媒反応を利用して、黒色樹脂層16の複数色画素12の間隙部18の部分のみに架橋反応を起こさせる。
次に、現像液を用いて、複数色画素12,12,・・・上の未架橋部の黒色樹脂を除去して、図2に示すようなカラーフィルタを得る。尚、黒色樹脂層16が複数色画素12よりも厚い場合には研削処理を施せばよい。現像液には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機アルカリ溶液、トリエチルアミン等のアルキルアミン類、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド等の第4級アンモニウム塩等が使用できる。
【0023】
本発明においては、特定の光酸発生剤を用いることにより、300〜400nm波長の光を効率よく吸収し、高感度に酸を発生させる作用が発現する。しかも、、各複数色画素の端部に形成される傾斜面上にも架橋硬化させてブラックマトリクスを形成することが可能となり、複数色画素の表面とブラックマトリクスの表面とが平坦となる。また、透明基板の裏側からの露光方法を用いる際にも従来のような多量の紫外線で黒色樹脂層の内部まで硬化させる必要がなく、複数色画素の紫外域の吸収、黒色樹脂層の光学濃度によらず、透明基板裏側から少量の紫外線による露光によって、複数色画素上への遮光膜の重なりがないカラーフィルタを形成することが可能となる。
【0024】
【実施例】
図3に示すように、透明なガラス基板(コーニング社製:「7059」)10上に、常法により赤、緑、青の各画素14,14,・・・の着色パターンを形成した。各色の画素にはそれぞれ「カラーモザイクCRY7000」、「カラーモザイクCGY7000」、「カラーモザイクCBV7000」フジハント社製を用いた。これらの複数色画素の膜厚は1.5μmであった。
黒色感光性樹脂組成物は、表1に示す各成分と、ガラスビーズを100gをガラス瓶に入れ、ペイントシェーカーを用いて2時間分散して調製した。
【0025】
【表1】
Figure 0003852153
【0026】
尚、この実施例で用いた光酸発生剤は、図1に示すように、「TAZ−104」は、331nmに吸収ピークをもつものであり、「TAZ−107」は357nmに吸収ピークをもつものである。
【0027】
この黒色感光性樹脂分散液を形成された赤、緑、青の着色パターンの複数色画素14,14,・・・上にスピンナーにより760rpm、5秒で塗布し、乾燥して図3に示すような黒色樹脂層16を形成した。
3kW超高圧水銀灯(発光波長域:300〜450nm)により60mJ/cm2の露光量で、前記複数色画素をマスクとして透明基板10の下方から全面露光を行った。
その後、ホットプレートを用いて、90℃で1分間加熱を行った。
1.25%の水酸化ナトリウム水溶液を用いて、基板を回転させながらシャワー噴霧する方式を用いて30秒間現像を行い、複数色画素である赤、緑、青の着色パターン上の未露光部の黒色樹脂層を除去した。最後にクリーンオーブン中にて230℃で1時間加熱しカラーフィルタを得た。
得られたカラーフィルタは、図2に示すように、各画素12,12,・・・の傾斜面14,14,・・・上にも黒色樹脂層16が形成されて、平坦性の優れたものであり、また、光の漏れがなく、コントラストの良好なものであった。
【0028】
〔比較例〕
光酸発生剤として上記「TAZ−104」のみを用い、それ以外は実施例と同様にしてブラックマトリクスの作成を行なった。
その結果、複数色画素の特に青画素の端部における傾斜面上にブラックマトリクスを形成することができなかった。このため、複数色画素以外から光が漏れ、良好なコントラストを得ることができなかった。また、複数色画素端部における傾斜した形状上にブラックマトリクスの形成ができないため、平坦性の良好なカラーフィルタを得ることができなかった。
【0029】
【発明の効果】
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、それ自体が高感度レジストでγ値が高いため、少ない露光量で十分に架橋硬化することができる。したがって、裏露光法を用いてカラーフィルタを作成する際にも、露光量を少なくして、マスクとして用いる各色の複数色画素に紫外線吸収剤等の添加物を添加せずとも、複数色画素上にカブリを生じることがなく、適性な現像処理を行なうことができる。よって、透明性およびコントラスト比等の光学特性に優れたカラーフィルタを得ることができる。
また、画素に形成された傾斜面上に位置する黒色感光性樹脂組成物に対しても十分に架橋硬化させることができるので、各複数色画素の間隙をブラックマトリクスで埋め尽くすことができ、平坦で、光漏れのないカラーフィルタを得ることができる。また、このように不都合なく裏露光法を使用し得ることから、各複数色画素とブラックマトリックスとの重なりによるつの状の突起の生成を防ぐことができ、カラーフィルタを用いた液晶表示ディスプレイ等における表示ムラを防止できる。したがって、反射率の低い黒色樹脂からなる膜厚の厚いブラックマトリクスの形成されたカラーフィルタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で用いた光酸発生剤の吸収波長を示すグラフである。
【図2】 カラーフィルタの一例を示す側断面図である。
【図3】 カラーフィルタの製造過程を示す側断面図である。
【図4】 従来例のカラーフィルタを示す側断面図である。
【符号の説明】
10 基板
12 複数色画素
16 黒色樹脂層

Claims (3)

  1. 架橋点となりうるOH基を含有しかつアルカリ性水溶液可溶性の高分子化合物である樹脂系材料20〜45重量%、架橋剤5〜20重量%、光酸発生剤2〜15重量%、黒色顔料20〜60重量%とを含有し、前記光酸発生剤は、吸収波長のピークが340nm以下にある光酸発生剤と吸収波長のピークが340〜380nmにある光酸発生剤とからなることを特徴とする黒色感光性樹脂組成物。
  2. 前記吸収波長のピークが340 nm 以下にある光酸発生剤と吸収波長のピークが340〜380 nm にある光酸発生剤の両方について、それらの吸収波長が400nm以上にないことを特徴とする請求項1記載の黒色感光性樹脂組成物。
  3. 前記吸収波長のピークが340 nm 以下にある光酸発生剤と吸収波長のピークが340〜380 nm にある光酸発生剤のいずれもがトリハロメチル基含有トリアジン誘導体であることを特徴とする請求項1または2に記載の黒色感光性樹脂組成物。
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