JP3896626B2 - 黒色感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は黒色の感光性樹脂組成物に関するもので、特に、液晶ディスプレイ等に用いるカラーフィルタのブラックマトリクスに用いられるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、カラーフィルタを液晶パネル化した際に、パネル外周部からのバックライト光の漏れを防止するのに、カラーフィルタパターンの外周部に黒色感光性樹脂を用いて2〜5mm程度の額縁状のパターンを形成している。
さらに、この額縁状のパターンにエポキシ系接着剤を塗布し対向基板との接着を行っている。
しかし、この黒色樹脂とガラス基板との密着性が弱いために、ガラス界面から黒色樹脂が剥離してしまうことがあった。
【0003】
また、液晶ディスプレイ装置等において広く用いられているカラーフィルタは赤、緑、青等の複数色画素を透明基板上に配列したものであるが、そのコントラストを高めるために、これらの画素間に黒色のブラックマトリクスを形成することが行なわれている。
また、このブラックマトリクスは、TFT駆動方式の液晶表示に用いられるトランジスターの誤動作を防ぐ目的でも使用される。
【0004】
通常、上記ブラックマトリクスはガラス基板上に微細パターンからなる金属薄膜で形成される場合が多い。例えば、クロム、ニッケル、アルミニウム等の金属あるいは金属化合物を蒸着法、スパッタ法等の真空成膜法等で薄膜を形成し、これをフォトリソグラフィ法で、微細パターンを形成する方法が一般的である。
より具体的には、金属等の薄膜上にフォトレジストを塗布、乾燥し、フォトマスクを介して紫外線を照射し、現像することによりレジストパターンを形成後、エッチング工程、レジスト剥離工程を経て、ブラックマトリクスを形成する。
しかしながら、上記工程にて製造されたブラックマトリクスはその工程の複雑さから製造コストが非常に高く、また、これを用いるカラーフィルタのコストも高くなるという問題点がある。
また、金属薄膜として一般的に使用されている金属(例えば、クロム薄膜)の表面は反射率が高いので、透過型の液晶ディスプレイに、この金属薄膜を用いたカラーフィルタを搭載した場合、強い外光がカラーフィルタに入射したときに、表示品位が著しく低下する問題点がある。
【0005】
そこで、このような金属薄膜を用いたブラックマトリクスの問題点を改善すべく、種々の方法が検討されている。例えば、感光性樹脂組成物に黒色顔料と必要に応じて有機顔料を分散し、これを用いてブラックマトリクスを形成する方法が提案されている。この黒色感光性樹脂組成物を使用するものであれば、表面の反射率は低いので、表示品位が著しく低下することはなく、また製造プロセスの簡略化を図ることができるので、コストを削減することができる。
しかし、黒色顔料のみで十分な遮光性を得るためには、約1μm以上の厚い膜厚を必要とし、その為、位置合わせのマージンである複数色画素との重なりの部分に、所謂つの状の突起が生じ、表示ムラの原因になっていた。
【0006】
そこで、特開平6−59119号公報には、黒色感光性の樹脂層を複数色画素上及び間隙に設けた後、複数色画素をマスクとして、基板側から全面露光することにより複数色画素の間隙にのみ選択的にブラックマトリクスを設ける方法および材料が提案されている。このいわゆる裏露光法を用いると、つの状の突起が生じないという利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、黒色ブラックマトリクスの膜厚を十分なものとし、かつ、複数色画素上に黒色層が残らないようにするためには、マスクとして用いる複数色画素に、黒色感光性樹脂組成物の感光波長域での十分に高い遮光性が必要であった。特に、黒色感光性樹脂においては、その感光特性曲線が比較的なだらかでγ値が小さいために、十分な膜厚を得るためには十分に大きな露光量(約150〜200mJ/cm2)が必要であり、その分、複数色画素にはより高い遮光性が必要とされる。
そのため、マスクとなる複数色画素中に酸化チタン、酸化亜鉛、ベンゾトリアゾール系化合物、クマリン系化合物等の紫外線吸収剤や蛍光増白剤を添加しなければならなかった。しかし、このような紫外線吸収剤の添加は、複数色画素のカラーフィルタとしての光学特性、即ち透明性およびコントラスト比を損ねてしまうという問題があった。
【0008】
また、黒色感光性樹脂組成物は、その中に含有されている光重合開始剤が紫外線照射によって発生するラジカルに起因して架橋するものであるが、黒色顔料がそのラジカルを捕捉してしまう性質を有するため、光重合が阻害され、経済的な露光量では架橋反応が不十分となりやすく、現像時にパターンが剥離することがあり、良好な画素形成が困難である等の問題点があった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、光を遮断するのに充分な濃度をもち、反射率が低いブラックマトリクスを形成でき、且つ、ブラックマトリクスとガラス基板との密着性を向上させ膜強度の高いカラーフィルタを作製することのできる黒色感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、樹脂系材料20〜45重量%、架橋剤5〜20重量%、光酸発生剤2〜15重量%、黒色顔料20〜60重量%を含有する黒色感光性樹脂組成物において、前記樹脂系材料に対して、炭素数が3〜12のアルキル基を側鎖に持つ高分子化合物が5〜80重量%添加されていることを特徴とするものである。
さらに、その樹脂系材料としては、架橋点となり得るOH基を含有し、かつ、アルカリ水溶液可溶性である高分子化合物が好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
ブラックマトリクスに使用され得る本発明の黒色感光性樹脂組成物は、樹脂系材料と、炭素数3〜12のアルキル基を側鎖に持つ高分子化合物と、架橋剤と、光酸発生剤と、黒色顔料とを含有して構成される。
樹脂系材料については、架橋点となりうるOH基を含有しかつアルカリ性水溶液可溶性である高分子化合物が適用される。樹脂系材料としては、フェノールノボラック、p−ヒドロキシスチレンに代表されるフェノール類、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等のOH基を含むモノマーのホモポリマーあるいは共重合体が用いられる。共重合に使用できる他のモノマーとしては、スチレン、フェニルマレイミド、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ベンジルなどが挙げられる。
露光により発生した酸の存在下での加熱処理において、架橋剤のN−メチロール構造の部分と、OH基構造の部分とが脱水架橋反応を起こす。その結果、樹脂どうしの架橋により架橋密度が向上し、形成されたパターンの耐薬品性が大幅に向上する。
これらの樹脂系材料は20〜45重量%、より好ましくは25〜35重量%の範囲内で使用される。少なすぎると、感光機能が劣化すること、カーボンの凝集によりパターン形状が劣化すること、膜強度や密着性が不足するなどの問題が生じ、多過ぎると遮光性が不足するからである。
【0011】
本発明においては、炭素数3〜12のアルキル基を側鎖に持つ高分子化合物が必須である。そのような高分子化合物としては、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート2−エチルヘキシルメタクリレートなどを単量体としたものが挙げられる。
側鎖のアルキル基の炭素数は3〜12であり、より好ましくは炭素数4〜8である。炭素数が2以下であると密着性が不十分となって好ましくなく、13以上であると、柔軟性が低下して好ましくない。
また、このアルキル基を側鎖に持つ高分子化合物は、上述した樹脂系材料に対して、5〜80重量%より好ましくは10〜30重量%の範囲内で使用される。少なすぎると、ブラックマトリクス自体の柔軟性が得られず密着性が不十分となり、多すぎると柔軟性が増大しすぎてアルカリ現像時に剥離してしまうからである。
【0012】
架橋剤としては、メチロール化尿素、尿素樹脂、メチロール化メラミン、ブチロール化メラミン、メチロール化グアナミンあるいはこれらの化合物のアルキルエーテルを用いることが可能である。熱安定性が優れている点からアルキルエーテル化物がより好ましい。このアルキルエーテルのアルキル基としては炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。特に、このアルキルエーテル化合物としては感度の点で優れているヘキサメチロールメラミンのアルキルエーテル化物がより好ましい。また、エポキシ基を2つ以上持つ化合物も用いることができる。
これらの架橋剤は5〜20重量%の範囲内で使用される。少ないと感光特性に支障をきたし、多すぎると遮光性が不足する。
【0013】
光酸発生剤としては、光源の発光に含まれる波長域において吸収がありかつ、光吸収により酸を発生するトリハロメチル基含有トリアジン誘導体またはオニウム塩類が使用できる。特に高感度にする点から、トリハロメチル基含有トリアジン誘導体が好ましい。
トリハロメチル基含有トリアジン誘導体としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4'−メトキシ−1'−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メチルチオフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどを挙げることができる。
【0014】
オニウム塩類としては、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロアセテート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム−p−トルエンスルホナート等のジアリールヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム−p−トリエンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルテトラフルオロボレート、4−フェニルチオフェニルジフェニルヘキサフルオロホスホネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルヘキサフルオロアルセネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロメタンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロアセテート、4−フェニルチオフェニルジフェニル−p−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシナフチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等のトリアールスルホニウム塩等が挙げられる。
【0015】
これらの光酸発生剤は2〜15重量%の範囲内で使用される。15重量%を越えて添加した場合は、酸発生量が多すぎパターン露光後の加熱によって未露光部にも酸が拡散し架橋反応を起こし、解像性が低下してしまう原因となる。また、添加量が2重量%より少ない場合においては、酸発生量が乏しく、架橋反応が十分進行せず、パターンが形成できない。
【0016】
黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、鉄黒、アニリンブラック、有機顔料の混合品が使用可能であり、必要に応じて顔料の分散性を向上させるため分散媒としてアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等を加えることも可能である。また、分散剤として高分子系分散剤や有機色素の誘導体等を加えてもよい。更に高分子化合物によりグラフト化されたポリマーグラフト化カーボンブラックを用いてもよい。これらの黒色顔料は20〜60重量%、好ましくは40〜50重量%の範囲内で使用される。少なすぎると充分な遮光性を得ることが出来ず、多すぎると感光性樹脂としての機能を保持することが出来ない。
【0017】
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、これらの材料を、2本ロールミル、3本ロールミル、サンドミル、ペイントコンディショナー等の分散機を用いて混練することで得られる。更に分散時の作業性を向上させるため希釈溶剤として、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エステル類等の有機溶剤を用いてもよい。
【0018】
本発明の黒色感光性樹脂組成物を用いてカラーフィルタのブラックマトリクスを形成する一例を説明する。まず、図2に示すように、所定位置に所定の複数色画素2,2,・・・の形成された透明な基板1に対して、その上方からスピンナー法、バーコート法、ロールコート法、カーテンコート法等を用いて黒色感光性樹脂組成物を均一に塗布し、各複数色画素2の間隙部4ならびに各複数色画素2上に黒色感光性樹脂組成物からなる黒色樹脂層3を形成する。
複数色画素2の形成方法としては、周知の染色法、顔料分散法、印刷法、電着法等の現在実用化されている方法を用いればよい。
また、黒色樹脂層3と透明基板1をより密着させる為に、70℃〜100℃程度の熱を加えてもかまわない。
【0019】
次に、透明基板1の裏面(図2の下方)から紫外線を照射し露光を行い、黒色樹脂層の各複数色画素2の間隙部4に位置する部分にのみ酸を発生させる。露光に用いる光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯等を用いる。黒色感光性組成物の感光波長域が400nm以上にもある場合には、複数色画素中を通過した光により複数色画素上に黒色感光性樹脂が残渣として形成されるので、可視光カットフィルターを通して露光することが好ましい。
そして、90℃〜150℃、時間15秒〜5分の加熱処理にて酸の触媒反応を利用して、黒色樹脂層3の、複数色画素2の間隙部4のみに架橋反応を起こさせる。
次に、現像液を用いて、複数色画素2上の未架橋部の黒色樹脂を除去し、図1に示すように、各複数色画素2の間隙に黒色樹脂からなるブラックマトリクス5が形成されたカラーフィルタが作成される。尚、ブラックマトリクス5が複数色画素2よりも厚い場合には研削処理を施せばよい。現像液には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機アルカリ溶液、トリエチルアミン等のアルキルアミン類、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド等の第4級アンモニウム塩等が使用できる。
【0020】
従来の透明基板裏側からの露光方法であると、多量の紫外線で黒色樹脂層の内部まで硬化させる必要があったが、本発明の黒色感光性樹脂組成物であると、感度が高く、少量の露光量によって酸が発生し架橋硬化反応が生じるので、複数色画素の紫外域の吸収や黒色樹脂層の光学濃度に依存することなく、少ない露光量でブラックマトリクスを形成することが可能となる。その結果、光を遮断するのに十分な黒色濃度とすることができる上、複数色画素に紫外線吸収剤などを添加する必要がないので光学特性が劣化することなく、複数色画素上の黒色樹脂を除去することができる。
また、本発明の黒色感光性樹脂組成物であると、炭素数3〜12のアルキル基を側鎖に持つ高分子化合物が添加されていることから、ブラックマトリクス自体の柔軟性が向上し、ガラス基板との密着性が高まる。
【0021】
【実施例】
図2に示すように、透明なガラス基板(コーニング社製:「7059」)1上に、常法により赤、緑、青の各画素の着色パターンを形成した。各色の画素にはそれぞれ「カラーモザイクCRY7000」、「カラーモザイクCGY7000」、「カラーモザイクCBV7000」フジハント社製を用いた。これらの複数色画素の膜厚は1.5μmであった。
表1に示す各成分と、ガラスビーズを100gをガラス瓶に入れ、ペイントシェーカーを用いて2時間分散し、黒色感光性樹脂組成物の分散液を調製した。
【0022】
【表1】
Figure 0003896626
【0023】
この黒色感光性樹脂分散液を複数色画素にて形成された赤、緑、青の着色パターン上にスピンナーにより760rpm、5秒で塗布し、乾燥して図2に示すような黒色樹脂層3を形成した。
3kW超高圧水銀灯により60mJ/cm2の露光量で、複数色画素2をマスクとして透明基板1側より全面露光を行った。
その後、ホットプレートを用いて、90℃で1分間加熱を行った。
1.25%の水酸化ナトリウム水溶液を用いて、基板を回転させながらシャワー噴霧する方式を用いて30秒間現像を行い、黒色樹脂層3の、複数色画素上の未露光部を除去した。最後にクリーンオーブン中にて230℃で1時間加熱しカラーフィルタを得た。
【0024】
(密着性評価)
上記実施例にて作製したカラーフィルタについて、120℃、100%RH、2気圧の条件で50時間放置後、ブラックマトリクスをプレシャークッカー試験器を用いてJIS K5400に準じた基盤目付着性試験方法にて密着性の評価を行った。 その結果、ブラックマトリクスにおける剥離個数は、0/100であった。
〔比較例〕
ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)を添加しないこと以外は上記実施例と同様にして黒色感光性樹脂組成物ないしブラックマトリクスの形成されたカラーフィルタを作製し、上記同様に、密着性評価を行なった。その結果、ブラックマトリクスにおける剥離個数は、100/100であり、密着性を得ることが出来なかった。
【0025】
【発明の効果】
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、表面の光反射率が高い樹脂組成物である上に、それ自体が高感度レジストで、γ値が高いので、実用的かつ経済的レベルであって複数色画素上にカブリを生じない露光量で十分に所定パターン状のブラックマトリクスを形成できる。また、マスクとなる各複数色画素中に紫外線吸収剤や蛍光増白剤等の添加剤を添加することなく、裏露光法を適用できるので、つの状の突起を生じさせることなく、また、透明性やコントラスト比等の光学特性の劣化を伴うこともない。
さらに、本発明の黒色感光性樹脂組成物は柔軟性に優れているので、ガラス基板との密着性が高く、黒色樹脂が基板から剥離しにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 カラーフィルタの一例の断面図である。
【図2】 カラーフィルタの製造例の一過程を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 複数色画素
3 黒色樹脂層
5 ブラックマトリクス

Claims (1)

  1. 架橋点となり得るOH基を含有し、かつ、アルカリ水溶液可溶性の高分子化合物である樹脂系材料20〜45重量%、架橋剤5〜20重量%、光酸発生剤2〜15重量%、黒色顔料20〜60重量%を含有する黒色感光性樹脂組成物において、前記樹脂系材料に対して、炭素数が3〜12のアルキル基を側鎖に持つ(メタ)アクリレートからなる高分子化合物(前記架橋点となり得るOH基を含有し、かつ、アルカリ水溶液可溶性の高分子化合物を除く)が10〜30重量%添加されていることを特徴とする黒色感光性樹脂組成物。
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