JP4035365B2 - 交互重合体型ポリイミドおよび交互重合体型ポリイミドの製造方法 - Google Patents
交互重合体型ポリイミドおよび交互重合体型ポリイミドの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、交互重合体型ポリイミドおよび交互重合体型ポリイミドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ポリイミドは、例えば、テトラカルボン酸無水物とジアミン化合物とを反応させて縮合重合することにより製造されるものであり、熱安定性が極めて高く、例えば電気絶縁材、耐熱性被覆膜材などとして有用な高分子物質である。
【0003】
また、有用な特性を発現させる2種以上のモノマーを用いて、ポリイミドの共重合体を得ることができる。
中でも交互共重合体は、例えば、2種のモノマーのうちの一方を機能性基を有するものとしながら他方をスペーサーとすることなどにより、機能性基を任意の密度で有するポリイミドの調製が可能になり、また2種類の機能性を有するポリイミドの調製が可能となるなどの点で非常に有用であるが、交互重合体型ポリイミドの製造方法は簡便なものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであって、本発明の第1の目的は、新規な交互重合体型ポリイミドを提供することにある。
本発明の第2の目的は、交互重合体型ポリイミドを簡便に製造することのできる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の交互重合体型ポリイミドは、下記一般式(1)で表される繰り返し単位により構成されている。
【0006】
【化8】
【0007】
(式中、XおよびYは、互いに異なる2価の有機基を示す。nは繰り返し数であって2以上の整数である。)
【0008】
上記の交互重合体型ポリイミドは、下記一般式(2)乃至一般式(4)のいずれかで表される繰り返し単位により構成されている交互重合体型ポリアミック酸から得られる。
【0009】
【化9】
【0010】
(式中、XおよびYは、互いに異なる2価の有機基を示す。kは繰り返し数である。)
【0011】
【化10】
【0012】
(式中、XおよびYは、互いに異なる2価の有機基を示す。lは繰り返し数である。)
【0013】
【化11】
【0014】
(式中、XおよびYは、互いに異なる2価の有機基を示す。mは繰り返し数である。)
【0015】
本発明の交互重合体型ポリイミドの製造方法は、下記一般式(5)で表されるスピロ二酸無水物に対して0.5モル当量の下記一般式(6)で表される第1のジアミン化合物を反応させ、次いで、0.5モル当量の下記一般式(7)で表される第2のジアミン化合物を反応させて交互重合体型ポリアミック酸を得る工程を含むことを特徴とする。
【0016】
【化12】
【0017】
【化13】
一般式(6)
H2 N−X−NH2
【0018】
(式中、Xは2価の有機基を示す。)
【0019】
【化14】
一般式(7)
H2 N−Y−NH2
【0020】
(式中、Yは上記一般式(6)中のXと互いに異なる2価の有機基を示す。)
【0021】
【作用】
本発明の交互重合体型ポリイミドおよび上記の交互重合体型ポリアミック酸は、二種のジアミン化合物に由来する成分が交互に結合した、交互共重合体である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0023】
<交互重合体型ポリイミド>
本発明の交互重合体型ポリイミドは、上記一般式(5)で表されるスピロ二酸無水物(以下、「特定のスピロ二酸無水物」という。)に、第1のジアミン化合物および第2のジアミン化合物を順次に反応させることにより得られる交互重合体型ポリイミドである。
【0024】
本発明の交互重合体型ポリイミドにおいて、先に反応させる第1のジアミン化合物に由来する2価の有機基Xは、必ず、交互重合体型ポリイミドを構成するスピロ構造の7員環構造に結合しており、後に反応させる第2のジアミン化合物に由来する2価の有機基Yは、必ず、スピロ構造の5員環構造に結合しているという特徴を有する。
【0025】
本発明の交互重合体型ポリイミドは、下記構造式(イ)または下記構造式(ロ)で表される繰り返し単位を有するポリイミドである。nは繰り返し数であって2以上の整数である。
【0026】
【化15】
【0027】
【化16】
【0028】
<交互重合体型ポリアミック酸>
上記の一般式(2)乃至一般式(4)のいずれかで表される繰り返し単位よりなる構造を有する交互重合体型ポリアミック酸を脱水閉環させることにより、本発明の交互重合体型ポリイミドが得られる。
【0029】
<特定のスピロ二酸無水物>
特定のスピロ二酸無水物は、[1SR,5RS,6SR]−3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、[1S,5R,6S]−3−オキサビシクロ−[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオンおよび[1R,5S,6R]−3−オキサビシクロ−[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオンである。これらの化合物は、光学活性を有していてもよい。
【0030】
これらの特定のスピロ二酸無水物は、分子内において、7員環における橋かけ構造に係る2つの炭素原子および当該7員環と5員環とに共有される炭素原子の合計3個の不斉炭素原子を有する。
このスピロ二酸無水物は、エキソ形の立体構造を有する。
【0031】
また、特定のスピロ二酸無水物は、7員環構造を有する酸無水物基と、5員環構造を有する酸無水物基とを有し、両者の反応性が異なるため、二種の求核剤を位置特異的に導入することができる点で有利である。
【0032】
このようなスピロ二酸無水物は、共役二重結合含有化合物であるシクロペンタジエンと、不飽和カルボン酸とを、ディールス−アルダー反応させた後、炭素−炭素二重結合を酸化的に開裂し、さらに脱水閉環させることにより、生成することができる。
【0033】
<ジアミン化合物>
本発明で用いられる上記一般式(6)で表される第1のジアミン化合物および上記一般式(7)で表される第2のジアミン化合物は、それぞれの式中のXとYが互いに異なる2価の有機基である二種のジアミン化合物である。
【0034】
ジアミン化合物の具体例としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル、ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2’−ジメチルプロパンなどの芳香族ジアミン化合物;
【0035】
ジアミノテトラフェニルチオフェンなどのヘテロ原子を有する芳香族ジアミン化合物;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7 ]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などの脂肪族または環状脂肪族ジアミン化合物;ジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができる。
【0036】
これらのジアミン化合物のうちでは、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどが好ましい。
【0037】
<交互重合体型ポリイミドの製造方法>
本発明の交互重合体型ポリイミドは、下記の製造方法により得られる。
【0038】
(第1の工程:特定のスピロ二酸無水物と第1のジアミン化合物との反応)
特定のスピロ二酸無水物と第1のジアミン化合物とを、溶剤の存在下で反応させる。この反応においては、第1のジアミン化合物の量は、スピロ二酸無水物に対して、0.5モル当量となる量とされる。
【0039】
溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトンなどの極性溶媒を使用することができ、使用量は、ジアミン化合物1ミリモルに対して0.5〜1ミリリットルであることが好ましい。また、反応温度は、通常、−15〜80℃、好ましくは0〜40℃であり、反応時間は、通常、0.5〜72時間、好ましくは0.5〜48時間である。
【0040】
(第2の工程:特定のスピロ二酸無水物と第2のジアミン化合物との反応)
上記第1の工程で得られた生成物に、第2のジアミン化合物を加えて反応させる。この反応においては、第2のジアミン化合物の量は、用いたスピロ二酸無水物に対して0.5モル当量になる量とされる。
反応温度は、通常、−15〜80℃、好ましくは0〜40℃であり、反応時間は、通常、0.5〜72時間、好ましくは0.5〜48時間である。
第2の工程を行うことにより、第1のジアミン化合物に由来する単位と第2のジアミン化合物に由来する単位とが交互に結合された、本発明の交互重合体型ポリアミック酸が得られる。この交互重合体型ポリアミック酸は、交互重合体型ポリイミドの前駆体である。
【0041】
(第3の工程:イミド化処理)
イミド化処理は、具体的には、交互重合体型ポリアミック酸を加熱することにより、または交互重合体型ポリアミック酸を有機溶媒に溶解して得られる溶液中に、脱水剤およびイミド化触媒を添加し、必要に応じて加熱し、当該交互重合体型ポリアミック酸を脱水閉環させることによって行われる。
【0042】
加熱によるイミド化処理は、通常、300℃以下、好ましくは200〜280℃で行われる。この加熱処理温度が300℃を超えると、熱分解反応が起こってしまう場合がある。
【0043】
イミド化処理を、交互重合体型ポリアミック酸の溶液中に脱水剤およびイミド化触媒を添加して行う場合に、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、反応に供するポリアミック酸1gに対して2〜4ミリリットルであることが好ましい。
【0044】
イミド化触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができるが、これらに限定されるものではない。イミド化触媒の使用量は、例えば使用する脱水剤3ミリリットルに対して0.5〜1.5ミリリットルであることが好ましい。
このイミド化処理に用いられる有機溶媒としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトンなどの極性溶媒など挙げることができ、また、このイミド化処理の脱水閉環の反応温度は、通常、40〜150℃、好ましくは60〜140℃とされる。
【0045】
以上の製造方法によれば、特定のスピロニ酸無水物の分子内において、反応性の異なる7員環構造を有する酸無水物基と5員環構造を有する酸無水物基に、互いに異なるジアミン化合物を順次に反応させることによって位置特異的に導入し、縮合重合することで二種のジアミン化合物に由来する成分が交互に配列された交互共重合体の構成を有する交互重合体型ポリアミック酸を得、この交互重合体型ポリアミック酸をイミド化処理することにより、簡便に、交互重合体型ポリイミドを得ることができる。
【0046】
交互重合体型ポリイミドは、例えば、光学分割用分離膜、光学分割のための高速液体クロマトグラフィー用カラム、電気絶縁材、耐熱性被覆膜、表面保護膜、液晶配向膜形成剤などの材料として好適に用いることができる可能性がある。
【0047】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、以下に示す例中の生成物の特性の記述における「 1H−NMRスペクトル」および「13C−NMRスペクトル」は、それぞれプロトン核磁気共鳴スペクトルおよび炭素数13核磁共鳴スペクトルを表し、「IR」は赤外線吸収スペクトルを表す。
【0048】
〔合成例1:特定のスピロ二酸無水物の合成〕
無水イタコン酸320g(2.86モル)をベンゼン400ミリリットルに溶かし、これにシクロペンタジエン400ミリリットル(4.87モル)を少しづつ加えた。5時間の還流の後、混合液をろ過し、ろ液を濃縮してドライアイス−メタノールからなる冷却媒体で冷却したところ、レモン色の塊状物が得られた。この塊状物を細かく砕いてヘキサン2000ミリリットルで洗浄して30℃で真空乾燥を一晩行い、収率96%で付加物▲1▼484gを白色粉末として得た。この付加物▲1▼は、下記構造式(a)で表されるエキソ体と下記構造式(b)で表されるエンド体の1:4の混合物であった。
【0049】
【化17】
【0050】
60%硝酸300ミリリットルにバナジン酸アンモニウムを1.512g加え、60℃で30分間攪拌したところ、バナジン酸アンモニウムが溶けて淡黄色溶液となった。これに、得られた付加物▲1▼64gを10分間隔で3gづつ添加した。添加した後、2.5時間激しく攪拌した。反応により発生したNOX は水酸化ナトリウム水溶液に通じて吸収処理した。一晩室温で放置すると白い粉末状の固体が得られ、これをガラスフィルターを用いてろ過した。ろ液を冷蔵庫で冷却したところ、さらに沈殿物が得られた。上記固体と沈殿物を合わせて減圧乾燥し、収率30%で下記の構造式(c)で表されるテトラカルボン酸▲2▼28.1gを白色固体として得た。
【0051】
【化18】
【0052】
無水酢酸100g(0.980モル)と得られたテトラカルボン酸▲2▼20.9gをトルエン161ミリリットルに加え、4時間加熱還流を行った。一晩放置して析出した結晶をろ取した。トルエンと無水酢酸を7:5の比率で混合した溶液で再結晶を行い、収率46%で下記の構造式(d)で表される特定のスピロ二酸無水物9.00gを白色固体として得た。この物質の分析結果を下記に示す。
【0053】
【化19】
【0054】
(1) 1H−NMRスペクトル(acetone−d6 );δ=3.77(1H,d,J=4Hz),3.46(1H,dd,J=4,7Hz),3.45(1H,d,J=19Hz),3.17(1H,d,J=19Hz),2.95(1H,dd,J=7,15Hz),2.67(1H,dd,J=1,13Hz),2.59(1H,ddd,J=4,4,13Hz),2.48(1H,dd,J=1,15Hz).
(2)13C−NMR(acetone−d6 );δ=176.6,169.5,169.3,167.1,51.4,51.0,43.0,40.5,39.0,31.0.
(3)MS(CI,isobutane,m/z);225(MH+ )
(4)Mp 208.9℃(DSC)
(5)IR(KBr);1867,1821,1775cm-1
C10H8 O6 について、理論値は右記のように計算される:C,53.58%:H,3.60%.
実測値は右記の通りである:C,53.65%;H,3.83%.
【0055】
〔実施例1〕
2口フラスコ内に、合成例1で得られた特定のスピロ二酸無水物0.6721g(3.000ミリモル)をN,N−ジメチルホルムアミド3gに溶解させ、第1のジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン0.1621g(1.500ミリモル)を加え、アルゴンの雰囲気下において0℃で60分間攪拌した。その後、第2のジアミン化合物として4,4’−ジアミノジフェニルエーテル0.3006g(1.500ミリモル)を加え、アルゴンの雰囲気下において室温で24時間攪拌した。この反応系をアセトン中に注いで沈殿させて得られた白色固体を、60℃で真空下にて24時間乾燥させることにより、透明なポリマーを得た。得られた反応生成物の 1H−NMRスペクトルを測定したところ、図1に示す結果が得られ、交互重合体型ポリアミック酸であることが確認された。 1H−NMRの測定条件は、400MHz、DMSO−d6(溶媒)である。(以下において同じ。)
【0056】
得られた交互重合体型ポリアミック酸のN,N−ジメチルホルムアミド溶液に、脱水剤として無水酢酸3ミリリットルと、イミド化触媒としてピリジン1ミリリットルとをアルゴンガス雰囲気中にて130℃で5時間加熱攪拌した。この反応系を室温まで冷却した後、水中に注いで沈殿させて得られた白色固体を、110℃で真空下にて24時間乾燥させることにより、固有粘度0.32dL/g、ガラス転位温度275℃、分解温度411℃、重量平均分子量(Mw)が43,000、数平均分子量(Mn)が25,000、比(Mw/Mn)が1.7の透明なポリマーを得た。
得られたポリマーの 1H−NMRスペクトルを測定したところ、図2に示す結果が得られ、下記構造式(イ)で表される繰り返し単位よりなる交互重合体型ポリイミドであることが確認された。
【0057】
【化20】
【0058】
〔実施例2〕
実施例1において、第1のジアミン化合物として4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用い、第2のジアミン化合物としてp−フェニレンジアミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、交互重合体型ポリアミック酸を得、さらに実施例1と同様にして、下記構造式(ロ)で表される交互重合体型ポリイミドを得た。
【0059】
この交互重合体型ポリイミドは、固有粘度0.28dL/g、ガラス転位温度290℃、分解温度404℃、重量平均分子量(Mw)が33,000、数平均分子量(Mn)が15,000、比(Mw/Mn)が2.2の透明なポリマーであった。
得られた交互重合体型ポリアミック酸の 1H−NMRスペクトルを図3に、得られた交互重合体型ポリイミドの 1H−NMRスペクトルを図4に示す。
【0060】
【化21】
【0061】
〔比較例1〕
実施例1においては順次に添加したp−フェニレンジアミンと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを、同時に添加し、アルゴンの雰囲気下において室温で24時間攪拌したこと以外は実施例1と同様にして、ポリアミック酸を得、さらに実施例1と同様にして、下記構造式(ハ)で表されるポリイミドを得た。
【0062】
このポリイミドは、固有粘度0.28dL/g、ガラス転位温度303℃、分解温度394℃、重量平均分子量(Mw)が36,000、数平均分子量(Mn)が18,000、比(Mw/Mn)が2.0の透明なポリマーであった。
得られたポリアミック酸とポリイミドの 1H−NMRスペクトルを測定したところ、それぞれ図5および図6に示す結果が得られた。ポリアミック酸の 1H−NMRスペクトルから、このポリマーは頭−頭結合型の、定序性を持つが交互性のない共重合体であることが確認された。
【0063】
【化22】
【0064】
実施例1および実施例2に係る交互重合体型ポリイミドは、電気絶縁材としてフィルム単体、耐熱性被覆膜や表面保護膜として各種基材(補強基材、ITO付ガラス基板など)に塗布されたフィルム、液晶配向膜形成剤としてシリカゲル粒子などへのコート材、粒子単体などとして用いることができることが確認された。
【0065】
【発明の効果】
本発明の交互重合体型ポリイミドは、繰り返し単位内にキラルなスピロ構造を有し、異なる機能性基を交互に配列した構成を持つことができる。
本発明の交互重合体型ポリイミドの製造方法によれば、特定のスピロ二酸無水物を用いることにより、交互重合体型ポリイミドを容易に製造することができ、光学活性を有する特定のスピロ二酸無水物を用いることにより、光学活性を有する交互重合体型ポリイミドを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた交互重合体型ポリアミック酸の 1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図2】実施例1で得られた交互重合体型ポリイミドの 1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図3】実施例2で得られた交互重合体型ポリアミック酸の 1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図4】実施例2で得られた交互重合体型ポリイミドの 1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図5】比較例で得られたポリアミック酸の 1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図6】比較例で得られたポリイミドの 1H−NMRスペクトルを示す図である。
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