JP4035332B2 - シクロヘキセノン長鎖アルコールの製造法 - Google Patents

シクロヘキセノン長鎖アルコールの製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反応工程が少なく簡便で工業的に有利なシクロヘキセノン長鎖アルコールの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
神経成長因子(NGF)は、脳内の海馬、大脳皮質に特に多く存在し、神経細胞の分化、成長を促進し、機能維持、生存に必須な栄養因子であって、脳でコリン作動性ニューロンに作用する因子である。アルツハイマー痴呆症は、コリン作動性ニューロンの変性脱落が主要病変とされ、神経成長因子を脳内に投与してアルツハイマー痴呆症の治療が試みられている。
しかしながら、この神経成長因子は、分子量が12,000の蛋白質であるため、血液脳関門を通過できず、アルツハイマー痴呆症の治療法としては現実的でない。
これに対し低分子量のシクロヘキセン長鎖アルコールは、経口投与で脳内に移行し、血流脳関門を通過し、低濃度で優れた神経成長促進作用を有し、直接的に神経突起に作用して伸展させ、痴呆症等の脳疾患予防、治療薬として有用であることが知られている(特表2001−515058)。
【0003】
シクロヘキセノン長鎖アルコールは、従来、シクロヘキサノン又はメチル置換2−シクロヘキセン−1−オンに、ベンゼンスルフィン酸塩を酸の存在下で反応させ、次いでエチレングリコールと反応しケタール体を合成し、更にω−ハロゲノアルカノールを反応させてから、酸処理して保護基を脱離して製造する方法等の複雑な反応工程で製造されている。例えば、3−メチルシクロヘキセノンを出発物質として3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オンを製造する場合、7つの反応工程が必要であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のシクロヘキセノン長鎖アルコールの製造法は、反応工程が複雑で多く、煩雑であって、また製造コストも高く工業的に不利であった。
従って、本発明の目的は、反応工程が少なく簡便であって、製造コストも低く工業的に有利なシクロヘキセノン長鎖アルコールの製造法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、公知物質を出発物質とした反応工程が少なく、簡便なシクロヘキセノン長鎖アルコールの製造法を鋭意探索したところ、公知の1,3−シクロヘキサンジオンから容易に製造されるシクロヘキセノンのエノール体を、水酸基をシリル化保護したω−ハロゲノ長鎖アルコールを用いてグリニャール反応に付すことにより、反応工程が少なく簡便で、製造コストが低く工業的に有利にシクロヘキセノン長鎖アルコールが得られることを見い出し本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、次の一般式(2)
【0007】
【化3】
Figure 0004035332
【0008】
(式中、R1、R2及びR3は各々独立して水素原子又はメチル基を示し、R4は炭素数1〜5のアルキル基を示す)で表わされる3−アルコキシ−2−シクロヘキセン−1−オン誘導体に、水酸基をシリル化保護した炭素数10〜18のω−ハロゲノアルコールのグリニャール試薬を反応させ、次いで加水分解することを特徴とする一般式(1)
【0009】
【化4】
Figure 0004035332
【0010】
(式中、Aは炭素数10〜18のアルキレン基又はアルケニレン基を示し、R1、R2及びR3は前記と同じものを示す)で表わされるシクロヘキセノン長鎖アルコールの製造法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の原料である一般式(2)で表わされる化合物(以下、化合物(2)という)において、R1、R2及びR3は各々独立して水素原子を示すが、これらのうち少なくとも1個はメチル基であるのが好ましい。具体的には、R1=CH3、R2=R3=Hである場合、及びR1=R2=R3=CH3である場合が特に好ましい。また、R4は炭素数1〜5のアルキル基を示すが、エチル基が特に好ましい。
【0012】
当該原料化合物(2)としては、3−エトキシ−6−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3−エトキシ−2,6−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3−メトキシ−2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン等が好ましい。
【0013】
当該原料化合物(2)は、例えば安価に入手可能な1,3−シクロヘキサンジオンをエノール化及びメチル化することにより得られる。このエノール化及びメチル化の順序は、いずれが先でもよいが、R1、R2及びR3が全て水素原子の場合は、メチル化を必要としない。
【0014】
エノール化は、例えば、必要に応じてメチル化された1,3−シクロヘキサンジオン(例えば、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジオン)に、酸触媒の存在下、アルコール(R4OH)を反応させることにより行なわれる。酸触媒としては、p−トルエンスルホン酸、硫酸等が挙げられる。反応は、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール等の溶媒中で、60〜150℃の温度で、2〜10時間行なえばよい。
【0015】
メチル化は、例えば、必要によりエノール化された1,3−シクロヘキサンジオンに、例えばアルキルリチウムとジイソプロピルアミンから得られるリチウムジイソプロピルアミド等のリチウム化試薬を反応させ、次いでヨウ化メチル等のメチル化剤を反応させることにより行なわれる。ここでリチウム化反応は、例えば、リチウムジイソプロピルアミンのテトラヒドロフラン、ヘキサン等の溶液を、−80〜0℃(例えば、−78℃)に冷却し、テトラヒドロフラン、ヘキサン等に溶解した必要によりエノール化された1,3−シクロヘキサンジオン(好ましくは、3−エトキシ−2−シクロヘキセン−1−オン)を加えて行なうのが好ましい。またメチル化反応は、この反応混合物にヨウ化メチルを加えてから、5〜30℃(例えば、室温)まで昇温し、5〜12時間撹拌して行なうのが好ましい。
【0016】
このようにして得られた化合物(2)に、水酸基をシリル化保護した炭素数10〜18のω−ハロゲノアルカノールのグリニャール試薬を反応させ、次いで加水分解することによりシクロヘキセノン長鎖アルコール(1)を製造する。ここで、シリル化保護した炭素数10〜18のω−ハロゲノアルカノールとしては、例えば、次式(3)
【0017】
【化5】
Figure 0004035332
【0018】
(式中、Xはハロゲン原子を、Aは炭素数10〜18のアルキレン基又はアルケニレン基を、R5、R6及びR7は各々独立して炭素数1〜8のアルキル基を示す)で表わされる化合物が挙げられる。ここでXとしては塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられるが、臭素原子が好ましい。Aとしては炭素数10〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基又はアルケニレン基が挙げられるが、炭素数12〜16の直鎖又は分岐鎖アルキレン基が好ましく、更に炭素数12〜16の直鎖アルキレン基が好ましく、特にテトラデシレン基、ペンタデシレン基が好ましい。R5、R6及びR7としては、それぞれメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0019】
本発明で用いるグリニャール試薬は、常法に従いシリル化保護したω−ハロゲノアルカノールとマグネシウムを反応させることにより得られる。
【0020】
化合物(2)とグリニャール試薬との反応は、通常のグリニャール反応と同様に、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の無水溶媒中で、40〜80℃で0.5〜3時間行なうのが好ましい。
【0021】
続いて行なう加水分解反応は、例えば、p−トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸等の酸の存在下に行なうのが好ましい。この加水分解反応により、R4基、グリニャール試薬及びシリル化保護基の三者が脱離する。
【0022】
本発明の各反応において、中間体は単離してから次の反応に付してもよいが、単離することなく次の反応に付してもよい。また、本発明において反応混合物から中間体又は目的物を単離するには、洗浄、抽出、再結晶、各種クロマトグラフィー等を単独で又は組み合せて行なうのが好ましい。
【0023】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1 3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンの合成
【0024】
(1) 3−エトキシ−2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オンの合成
2−メチル−1,3−シクロヘキサンジオン3g(23.8mmol)をエタノール30mLとトルエン56mLとの混合液に溶解し、パラトルエンスルホン酸92mg(0.47mmol)を加えた。混合液を加熱還流して反応させた後、水/エタノール/トルエン共沸物(沸点:78℃)を留去し、次いで残ったトルエンを減圧下で留去した。粗生成物をシリカゲルカラムフラッシュクロマトグラフィー(エチルエーテル/ヘキサン:8/2)で精製し、3−エトキシ−2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン2.7g(17.4mmol)を得た。
【0025】
収率 73%
f(エチルエーテル/ヘキサン:80/20)=0.37
1H-NMR(200MHz,CDCl3)δ:1.32(t,3J=7.00Hz,3H,H-9), 1.67(t,4J=1.49Hz,3H,H-7), 1.94(qn,3J=6.33Hz,2H,H-5), 2.31(t,3J=6.62Hz,2H,H-6), 2.51(td,3J=6.12Hz,4J=1.44Hz,2H,H-4), 4.03(q,3J=7.00Hz,2H,H-8).
13C-NMR(50MHz,CDCl3)δ:7.4(C-7), 15.4(C-9), 21.1(C-5), 25.4(C-4), 36.4(C-6), 63.5(C-8), 115.1(C-2), 171.4(C-3), 198.9(C-1).
【0026】
(2) 3−エトキシ−2,6−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オンの合成
テトラヒドロフラン8mLに溶解したジイソプロピルアミン2.35mL(19.45mmol)を−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム12.96mL(19.45mmol)を加えた後、0℃まで昇温した。0℃で2時間撹拌後、反応液を−78℃に冷却し、テトラヒドロフラン5mLに溶解した3−エトキシ−2−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン2g(12.96mmol)を加え、1時間後にヨウ化メチル1.21mL(19.45mmol)を加えた後、室温まで昇温した。反応液を一夜撹拌し、次いで水100mLで希釈した後、エチルエーテルで3回抽出した。有機層を集め、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物は、シリカに吸収し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(エチルエーテル/ヘキサン:4/6)で精製し、3−エトキシ−2,6−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン1.72g(10.24mmol)を得た。
【0027】
収率 79%
f(エチルエーテル/ヘキサン:40/60)=0.9
1H-NMR(200MHz,CDCl3)δ:1.12(d,3H,H-8), 1.33(t,3J=7.00Hz,3H,H-10), 1.54-1.74(m,4H,H-5,H-7), 1.98-2.11(m,1H,H-5'), 2.19-2.31(m,1H,H-6), 2.51-2.60(m,2H,H-4), 4.04(qd,J=4.68Hz,J=2.33Hz,2H,H-9).
13C-NMR(50MHz,CDCl3)δ:7.4(C-7), 15.3 and 15.7(C-8,C-10), 24.5(C-5), 28.9(C-4), 39.5(C-6), 63.3(C-9), 114.3(C-2), 170.2(C-3), 201.2(C-1).
【0028】
(3) 3−エトキシ−2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンの合成
テトラヒドロフラン3mLに溶解したジイソプロピルアミン1.45mL(10.34mmol)を−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム8.7mL(10.46mmol)を加えた後、0℃まで昇温した。0℃で2時間撹拌後、反応液を−78℃に冷却し、テトラヒドロフラン6mLに溶解した3−エトキシ−2,6−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン1.47g(8.72mmol)を加え、1時間後にヨウ化メチル1.59mL(10.46mmol)を加えた後、室温まで昇温した。反応液を一夜撹拌し、次いで水100mLで希釈した後、エチルエーテルで3回抽出した。有機層を集め、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(エチル−エーテル/ヘキサン:4/6)で精製し、3−エトキシ−2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン1.46g(8.04mmol)を得た。
【0029】
収率 92.2%
f(エチルエーテル/ヘキサン:40/60)=0.31
1H-NMR(200MHz,CDCl3)δ:1.03(s,6H,H-8,H-9), 1.30(t,3J=7.01Hz,3H,H-11), 1.64(t,4J=1.6Hz,3H,H-7), 1.75(t,3J=6.27Hz,2H,H-5), 2.51(tq,3J=6.29Hz,4J=1.56Hz,2H,H-4), 4.01(q,3J=6.97Hz,2H,H-10).
13C-NMR(50MHz,CDCl3)δ:8.0(C-7), 15.4(C-11), 22.6(C-4), 24.7(C-8,C-9), 34.7(C-5), 39.5(C-6), 63.2(C-10), 113.1(C-2), 169.0(C-3), 203.6(C-1).
【0030】
(4) 15−ブロモ−1−(t−ブチルジメチルシロキシ)ペンタデカンの合成
(イ) 1,15−ペンタデカンジオールの合成
テトラヒドロフラン150mLに溶解したペンタデカノリド5g(20.8mmol)を0℃に冷却した後、水素化アルミニウムリチウム1.2g(31.2mmol)を徐々に加えた後、室温まで昇温した。反応液を室温で3日間撹拌後、0℃で酒石酸飽和水溶液200mLを加え、次いでエチルエーテルで3回抽出した。有機層を集め、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して1,15−ペンタデカンジオール5.01g(20.5mmol)を得た。
【0031】
収率 98.6%
f(ヘキサン/酢酸エチル:10/90)=0.44
融点 84〜85℃
1H-NMR(200MHz,CDCl3)δ:1.28(s large,22H,H-3 to H-13), 1.56(qn,3J=6.6Hz,4H,H-2,14), 3.64(t,3J=6.6Hz,4H,H-1,15).
13C-NMR(50MHz,CDCl3)δ:26.5(C-3,13), 29.9(C-4 to C-12), 33.7(C-2,C-14), 62.1(C-1,15).
【0032】
(ロ) 15−ブロモ−ペンタデカン−1−オールの合成
48%臭化水素50mLを徐々に1,15−ペンタデカンジオール5.08g(20.8mmol)とシクロヘキサン50mLとの混合物に加え、加熱して6時間還流後、2層に分離し、水層をヘキサンで3回抽出した。有機層を集め、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物は、シリカに吸収させシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル:7/3)で精製し、15−ブロモ−ペンタデカン−1−オール4.33g(14.08mmol)を得た。
【0033】
収率 68%
f(ヘキサン/酢酸エチル:60/40)=0.47
融点 61〜63℃
1H-NMR(200MHz,CDCl3)δ:1.28(s large,22H,H-3 to H-13), 1.57(qn,3J=6.7Hz,2H,H-2), 1.86(qn,3J=6.8Hz,2H,H-14), 3.41(t,3J=6.8Hz,2H,H-15), 3.65(t,3J=6.6Hz,2H,H-1).
13C-NMR(50MHz,CDCl3)δ:25.5(C-3), 28.1(C-13), 28.5(C-12), 29.4(C-4 to C-11), 32.7(C-2,C-15), 33.8(C-14), 62.9(C-1).
【0034】
(ハ) 15−ブロモ−1−(t−ブチルジメチルシロキシ)−ペンタデカンの合成
塩化メチレン23mLに溶解した15−ブロモ−ペンタデカン−1−オール2.3g(7.49mmol)を、トリメチルアミン2.1mL(14.98mmol)、t−ブチルジメチルシリルクロライド2.03g(13.48mmol)及びジメチルアミノピリジン457.6mg(3.74mmol)と混合し、室温で1時間撹拌した。次いで、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて塩化メチレン層(200mL)と水層(200mL)に分離した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物は、シリカゲルカラムフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル:99/1)で精製し、15−ブロモ−1−(t−ブチルジメチルシロキシ)−ペンタデカン2.98g(7.07mmol)を得た。
【0035】
収率 94.4%
f(ヘキサン:100)=0.43
1H-NMR(200MHz,CDCl3)δ:0.00(s,6H,Me), 0.85(s,9H,tBu), 1.21(s large,22H,H-3 to H-13), 1.33-1.46(m,2H,H-2), 1.74-1.88(m,2H,H-14), 3.36(t,3J=6.89Hz,2H,H-15), 3.55(t,3J=6.52Hz,2H,H-1).
13C-NMR(50MHz,CDCl3)δ:-5.2(Me), 26(tBu), 28.2-29.7(C-3 to C-13), 33(C-15), 35(C-2,C-14), 63(C-1).
【0036】
(5) 3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンの合成
無水エチルエーテル3mLに溶解した15−ブロモ−1−(t−ブチルジメチルシロキシ)−ペンタデカン1g(2.36mmol)とマグネシウム0.115gを混合し、還流を40分間行なった後、テトラヒドロフラン2mLに溶解した3−エトキシ−2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン287.5mg(1.57mmol)を加えた。4時間撹拌後、10%塩酸3mLを加え、更に17時間撹拌し反応させた。反応液を炭酸水素ナトリウムで中和し、エチルエーテルで3回抽出した。有機層を集め、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後、減圧下で濃縮した。粗生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル:9/1〜6/4、濃度勾配5%)で精製し、3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン222.7mg(0.61mmol)を得た。
【0037】
収率 39%
f(ヘキサン/酢酸エチル:70/30)=0.26
融点 29〜30℃
1H-NMR(200MHz,CDCl3)δ:1.06(s,6H,H-22,23), 1.17(m,24H,H-8 a H-19), 1.47(m,2H,H-20), 1.68(s,3H,H-24), 1.72(t,J=7.14Hz,2H,H-5), 2.07(m,2H,H-7), 2.33(t,J=6.9Hz,2H,H-6), 3.55(t,J=6.64Hz,2H,H-21).
13C-NMR(50MHz,CDCl3)δ:11.4(C-24), 25.8(C-19), 26.8(C-22,23), 28.8(C-8), 29.2-29.6(C-10 a C-18), 30.5(C-7), 30.9(C-9), 32.7(C-20), 34.2(C-5), 36.2(C-4), 37.4(C-6), 62.8(C-21), 130.5(C-2), 165.6(C-3), 199.1(C-1).
【0038】
実施例2 3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オンの合成
【0039】
(1) 3−エトキシ−6−メチル−2−シクロヘキセン−1−オンの合成
テトラヒドロフラン50mLに溶解したジイソプロピルアミン3.4mL(24.4mmol)を−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム8.2mL(12.3mmol)を加えた後、0℃まで昇温した。0℃で2時間撹拌後、反応液を−78℃に冷却し、テトラヒドロフラン3mLに溶解した3−エトキシ−2−シクロヘキセン−1−オン1.54g(11mmol)を加え、2時間反応を続けた後、ヨウ化メチル0.77mL(12.4mmol)を加えた後、室温まで昇温した。室温で18時間撹拌後、水100mLを加え、次いでエチルエーテル100mLで3回抽出した。有機層を集め、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で溶媒を留去し濃縮した。粗生成物は、フラッシュクロマトグラフィー(エチルエーテル/ヘキサン:40/60)で精製し、3−エトキシ−6−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン1.19g(7.7mmol)を得た。
【0040】
収率 73%
f(エチルエーテル/ヘキサン:70/30)=0.41
1H-NMR(200MHz,CDCl3)δ:1.13(d,3J=6.87Hz,3H,H-7), 1.33(t,3J=7.01Hz,3H,OCH2CH 3), 1.68(m,1H,H-5), 2.03(m,1H,H-5'), 2.26(m,1H,H-6), 2.39(m,2H,H-4), 3.85(q,3J=7.04Hz,2H,OCH 2CH3), 5.28(s,1H,H-2).
13C-NMR(50MHz,CDCl3)δ:15.03(C-7), 16.28(OCH2 CH3), 29.33(C-4), 30.18(C-5), 41.03(C-6), 65.06(OCH2CH3), 102.92(C-2), 177.75(C-3), 202.86(C-1).
【0041】
(2) 3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オンの合成
無水エチルエーテル4mLに溶解した14−ブロモ−1−(t−ブチルジメチルシロキシ)−テトラデカン1.814g(4.45mmol)とマグネシウム0.216g(8.9mmol)を混合し、二臭化エタンを滴下し、グリニャール反応を開始し、30分間反応させた。テトラヒドロフラン4mLに溶解した3−エトキシ−6−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン0.825g(5.32mmol)を加えた。室温て24時間撹拌後、10%塩酸10mLを加え、更に24時間撹拌し反応させた。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液10mLで中和し、エチルエーテル15mLで3回抽出した。有機層を集め、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後、減圧下で濃縮した。粗生成物は、フラッシュクロマトグラフィー(エチルエーテル/ヘキサン:70/30)で精製し、3−(14−ヒドロキシテトラデシル)−4−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン0.768g(2.74mmol)を得た。
【0042】
収率 55%
f(エチルエーテル/ヘキサン:70/30)=0.30
融点 37〜38℃
1H-NMR(200MHz,CDCl3)δ:1.18(d,3J=7.13Hz,3H,H-21), 1.25-1.59(m,24H,H-8 to H-19), 1.69-1.84(m,1H,H-5), 2.01-2.57(m,6H,H-5'/H-7/H-6/H-7'/H-4/H-6'), 3.63(t,3J=6.50Hz,2H,H-20), 5.80(s,1H,H-2).
13C-NMR(50MHz,CDCl3)δ:17.82(C-21), 25.76(C-5), 27.20-32.82(C-8 to C-19), 33.07(C-4), 34.23(C-7), 35.67(C-6), 63.07(C-20), 124.92(C-2), 170.72(C-3), 199.82(C-1).
【0043】
【発明の効果】
本発明のシクロヘキセノン長鎖アルコールの製造法は、反応工程が少なく簡便で、製造コストが低く、工業的に有利である。

Claims (1)

  1. 次の一般式(2)
    Figure 0004035332
    (式中、R1、R2及びR3は各々独立して水素原子又はメチル基を示し、R4は炭素数1〜5のアルキル基を示す)で表わされる3−アルコキシ−2−シクロヘキセン−1−オン誘導体に、水酸基をシリル化保護した炭素数10〜18のω−ハロゲノアルコールのグリニャール試薬を反応させ、次いで加水分解することを特徴とする一般式(1)
    Figure 0004035332
    (式中、Aは炭素数10〜18のアルキレン基又はアルケニレン基を示し、R1、R2及びR3は前記と同じものを示す)で表わされるシクロヘキセノン長鎖アルコールの製造法。
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