JP4034266B2 - 被覆化合物を結合させた高分子繊維材料 - Google Patents

被覆化合物を結合させた高分子繊維材料 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、その表面に配位結合又は水素結合により被覆化合物を結合させている高分子繊維材料、及びその製造方法に関する。
背景技術
羊毛、カシミヤ、アルパカ、モヘアなどの天然繊維;ナイロン、アクリル、ポリエステルなどの合成繊維;レーヨン、アセテート、キュプラなどを含む各種高分子からなる材料の表面を、肌触り、風合いを改善したり、防水性、防縮性を付与したり、吸水、保湿などの目的で、コラーゲン、セリシンなどのタンパク質;アルギン酸、コンドロイチン、キチン、キトサンなどの多糖類;ポリビニルアルコール、ポリウレタンなどのポリマー;アクリル樹脂、メラミン樹脂などの被覆材で被覆することは従来行われていたが、従来の被覆法では、各種高分子繊維材料の表面の水酸基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基などの官能基と、被覆化合物の酸素原子、窒素原子、塩素原子、フッ素原子などとの間のクーロン力、ファンデルワールス力などの物理的分子間力により結合させて、各種高分子繊維材料の表面を被覆材で被覆していた。しかしこの方法では高分子繊維材料表面に対する被覆材の結合が弱く、高分子繊維材料から製造した各種物品を長期にわたって使用するうちに被覆材が剥がれ落ちたりして、その耐久性が低い、また被覆された高分子繊維材料の風合いが硬いなどの問題があった。また、繊維表面の官能基を利用することによって、被覆化合物を繊維と化学結合させる方法もあるが、化学反応操作が煩雑であり、また再現性も悪く、さらには化学反応により繊維高分子のバルクの性質が損われる場合が多い。そこで、バルクの性質を変化させることなく、簡便に各種高分子繊維材料を堅固に被覆するとともに、その被覆が長期間安定に保持されている高分子繊維材料の被覆方法の開発が求められていた。また、このことが可能となれば繊維材料を用いた細胞の分離あるいは増殖、分化の制御のための細胞培養基材の開発、生体組織、臓器の再生のための足場材料の表面改質、機能向上を図ることができる。
本発明者は、上記のような高分子繊維材料を開発すべく鋭意研究を行なった結果、高分子繊維材料の表面と被覆化合物とを、高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と配位結合を形成し得る電子対受容体を介して配位結合により結合させる、又は高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と水素結合を形成し得る化合物を介して水素結合により結合させることによって、高分子繊維材料に被覆化合物が強固に結合するとともに、長期の使用によっても結合が保持されることを発見して本発明を完成するに至った。
発明の開示
したがって、本発明は、その表面に、高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と配位結合を形成し得る電子対受容体を介して配位結合により、又は高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と水素結合を形成し得る化合物を介して水素結合により、被覆化合物を結合させている高分子繊維材料に関する。
発明を実施するための最良の形態
本発明の被覆化合物を結合させている高分子繊維材料においては、高分子繊維材料としては、電子対受容体と配位結合を形成し得る官能基を有する高分子繊維材料;又は水素結合を形成し得る高分子繊維材料、つまり水素結合に寄与し得る水素原子を含む官能基を有する高分子繊維材料又は水素原子との水素結合に寄与し得る原子を有する高分子繊維材料;あるいはこれらの官能基もしくは原子を導入し得る高分子繊維材料であればいかなる高分子繊維材料も使用することができる。
電子対受容体と配位結合を形成し得る官能基としては、高分子繊維材料が本来有している、又は高分子繊維材料に導入することができ、かつ配位結合を形成し得る官能基であればいかなる基も用いることができるが、例えばカルボニル基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、イミダゾリル基、メルカプト基、水酸基などを挙げることができ、なかでもカルボニル、カルボキシル、シアノ、メルカプト、アミノ及び水酸基を好ましく挙げることができる。また水素結合に寄与し得る水素原子を含む官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基などを挙げることができる。また水素原子との水素結合に寄与し得る原子としては、水酸基などに含まれる酸素原子、アミノ基などに含まれる窒素原子、メルカプト基に含まれる硫黄原子、塩素、フッ素などのハロゲン原子などを挙げることができる。
本発明の高分子繊維材料においては、高分子繊維材料としては、例えば、羊毛、カシミヤ、アルパカ、モヘア、アンゴラ、綿、麻、絹などの天然繊維;ナイロン、ポリエステル、アクリルなどの合成繊維;レーヨン、キュプラなどの再生繊維;及びアセテートなどの半合成繊維など;そしてその繊維径、モノフィラメント、マルチフィラメントなどの形状に関係なくあらゆる生体吸収性及び生体非吸収性繊維を使用することができる。
例えば羊毛、カシミヤ、アルパカ、モヘア、アンゴラなどの天然の動物性繊維は、本来メルカプト基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基を有するため、特に官能基を導入することなくそのまま用いることができる。また綿、麻などの天然の植物性繊維は、本来水酸基を有するため、これもまた特に官能基を導入することなくそのまま用いることができる。一方、ポリアミノ酸、ポリアクリル酸、及び多糖類などの高分子繊維材料は、その化学組成によっては配位結合や水素結合の形成能が弱いため、これらを使用する場合には、あらかじめ配位結合や水素結合を形成しうる上述のような官能基や原子を導入しておくのが望ましい。これら以外の高分子繊維材料も、電子対受容体と配位結合を形成し得る官能基、水素結合に寄与し得る水素原子を含む官能基、又は水素原子との水素結合に寄与し得る原子を有するものであればそのままそれを用い、有しないものであれば、導入可能な官能基又は原子を導入して使用することができる。
本発明の高分子繊維材料において、高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と配位結合を形成し得る電子対受容体としては、電子対の受容体として機能して、リガンドである高分子繊維材料及び被覆化合物と安定な配位結合を形成し得るものであればいかなるものも使用することができる。例えば、銅、亜鉛、マンガン、鉄、カルシウム、ナトリウム、プラチナ、モリブデン、コバルト、銀、ニッケル、アルミニウム、クロム、マグネシウムなどの各種金属のイオン(塩化物、硫酸塩、酢酸塩などの各種塩)、特に、銅、亜鉛、銀、ナトリウム、アルミニウム、クロム、鉄及びマグネシウムイオンを挙げることができる。なかでも、各種高分子繊維材料に対して高い配位能を有する、硫酸塩である銅イオン(Cu2+)及び亜鉛イオン(Zn2+)を好ましく用いることができる。
本発明の高分子繊維材料において、高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と安定な水素結合を形成し得る化合物としては、所望の高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と安定な水素結合を形成し得るいかなる化合物も使用することができるが、例えばホウ酸、ホウ砂などを挙げることができる。
本発明の高分子繊維材料においては、被覆化合物としては、被覆を希望する化合物であって配位結合又は水素結合を形成し得る化合物であればいかなる化合物も使用することができ、高分子繊維材料を被覆する目的に応じて適宜選択することができる。このような被覆化合物としては、例えば、コラーゲン、セリシン、絹、羊毛、細胞増殖因子、細胞接着因子、サイトカインなど、あるいはそれらの部分配列を持つタンパク質;生理活性を持つペプチド及び低分子物質;アルギン酸、キチン、キトサンなどの多糖類;コンドロイチン、ヒアルロン酸などのグリコサミノグリカン、あるいはそれらの部分配列をもつ物質;クエン酸、リンゴ酸などのα−ヒドロキシカルボン酸;レチノールなどのビタミン類;ポリビニルアルコール;ポリフェノール;サリチル酸エステル;アクリル酸ナトリウム塩重合体、デンプン系重合体などの吸水性ポリマー;有機又は無機抗菌剤、抗生剤などの低分子薬物を挙げることができる。また上述の物質の混合物、複合物なども用いることができる。なかでもコラーゲン、セリシン、絹、羊毛などのタンパク質;及びアルギン酸、キチン、キトサンなどの多糖類を好ましく使用することができる。
各種高分子繊維材料に所望の被覆化合物を結合させるために使用する、高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と配位結合を形成し得る電子対受容体、又は高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と水素結合を形成し得る化合物は、高分子繊維材料及び被覆化合物の特性によって選択することができる。例えば、羊毛、カシミヤ、アルパカ、モヘア、アンゴラ、綿、絹などの天然繊維をコラーゲン、セリシン、アルギン酸などで被覆する場合には、硫酸銅、ホウ酸、ホウ砂などを;ナイロン、ポリエステル、アクリルなどの合成繊維をコラーゲン、セリシンなどで被覆する場合には、硫酸銅、硫酸亜鉛、ホウ砂などを;レーヨン、キュプラなどの再生繊維をコラーゲン、セリシンなどで被覆する場合には、ホウ酸、ホウ砂、硫酸銅、硫酸亜鉛などを;アセテートなどの半合成繊維をコラーゲン、セリシンなどで被覆する場合にはホウ酸、ホウ砂、硫酸銅、硫酸亜鉛などを、高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と配位結合を形成し得る電子対受容体、又は高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と水素結合を形成し得る化合物として選択することができる。
例えば羊毛などの天然繊維をコラーゲンで被覆するには、コラーゲンを羊毛に堅固に結合させるホウ酸、ホウ砂、亜鉛イオン及び銅イオンを好ましく使用することができる。
本発明の高分子繊維材料においては、上記のように、各種高分子繊維材料を各種の被覆化合物で被覆した材料とすることによって、被覆化合物の特性に応じて様々な効果が得られる。例えば、羊毛、カシミヤ、アルパカ、モヘア、アンゴラ、綿、絹などの天然繊維;ナイロン、ポリエステル、アクリルなどの合成繊維;レーヨン、キュプラなどの再生繊維;アセテートなどの半合成繊維をコラーゲンで被覆すると、繊維の肌触りが改善され、また防縮効果が得られ;アルギン酸で被覆すると、柔らかく、ふくらみのある感触が得られ;セリシンで被覆すると、繊維のハリ、コシが改善される。
なかでも羊毛、カシミヤ、アルパカ、モヘア、アンゴラなどの天然の動物性繊維をコラーゲンで被覆すると、形態安定性、耐洗濯性が付与され、毛ヌケ防止、軽量化、肌触りがソフトになるなどの効果が得られ、例えば羊毛が本来持っている、ちくちくした感じが解消され、肌に優しい感じが得られる。また綿をコラーゲンで被覆すると、耐洗濯性(洗濯しても風合いが堅くならない)、保湿効果、肌触りの改善などの効果が得られる。また絹や、レーヨンなどの再生繊維をコラーゲンで被覆すると、耐洗濯性、フィブリル化防止などの効果が得られ、例えば絹が本来持っていた、耐久性に劣るという欠点が解消される。アクリルなどの合成繊維をコラーゲンで被覆すると、吸水性が改善されて吸汗性を有するようになり、よりウールに近い特性を有するようになる。このように被覆する高分子繊維材料、及び被覆化合物の種類に応じて、各種の効果が得られ、天然繊維及び合成繊維の欠点が解消される。
したがって、上記のように用途に応じて各種被覆化合物で被覆された本発明の材料は、例えば各種衣料(各種衣服、肌着、セーターなどのニット類など)、医用材料(包帯、保護パッド、サポーター、細胞の分離あるいは増殖、分化の制御のための細胞培養基材、生体組織、臓器の再生のための足場材料など)、衣料雑貨(マフラー、手袋、靴下、マスク、靴のインソールなど)、寝装具(シーツ、布団カバー、枕カバーなど)などとして利用することができるが、これらに限定されず、各種用途に使用し得ることは明らかである。この際、あらかじめ高分子繊維に被覆処理をした後、その繊維を上記のような加工品とすることも可能であるが、加工品としたものに対して被覆処理を行なうこともできる。
本発明はまた、被覆化合物を、高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と配位結合を形成し得る電子対受容体を介して配位結合により結合させている高分子繊維材料を製造する方法であって、
1.高分子繊維材料を、高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と配位結合を形成し得る電子対受容体で処理して、配位結合により該受容体を結合させ;
2.次いで被覆化合物で処理して、配位結合により該被覆化合物を該電子対受容体と結合させる;
ことを特徴とする方法に関する。
第1の工程において、高分子繊維材料を、高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と配位結合を形成し得る電子対受容体で処理するには、高分子繊維材料を、該電子対受容体を含む溶液と、例えば浸漬、塗布、吹付などの任意の方法で接触させる。この接触させる方法及びその条件は、用いる高分子繊維材料及び受容体に応じて適宜選択することができる。
例えば高分子繊維材料として羊毛のウールトップを用いる場合、電子対受容体としては亜鉛イオン及び銅イオン(好ましくは硫酸塩)を好ましく用いることができ、この場合ウールトップを、硫酸亜鉛又は硫酸銅の約1〜10重量%、好ましくは約5重量%の水溶液に、常温〜約90℃、好ましくは約50℃で、約10分〜約1時間、好ましくは約30分間、撹拌しながら浸漬することにより処理する。
第2の工程において、第1の工程で得られた電子対受容体を結合させた高分子繊維材料を被覆化合物で処理するには、第1の工程と同様に、高分子繊維材料を、被覆化合物を含む溶液に、例えば浸漬、塗布、吹付などの任意の方法で接触させる。この接触させる方法は、用いる高分子繊維材料及び被覆化合物に応じて適宜選択することができる。必要であれば、第1の工程で得られた受容体を結合させた高分子繊維材料を、第2の工程に付す前に水洗して、結合しなかった受容体を洗い落としてもよい。
例えば第1の工程において例示した、亜鉛イオン又は銅イオンを結合させたウールトップを第2の工程に付してコラーゲンで被覆する場合、亜鉛イオン又は銅イオンを結合させたウールトップを、コラーゲンの約1〜10重量%、好ましくは約5重量%の水溶液に、常温〜約90℃、好ましくは約50℃で、約10分〜約1時間、好ましくは約60分間、撹拌しながら浸漬することにより処理する。
本発明はまた、被覆化合物を、高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と水素結合を形成し得る化合物を介して水素結合により結合させている高分子繊維材料の製造方法であって、
1.高分子繊維材料を、高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と水素結合を形成し得る化合物で処理して、水素結合により該化合物を結合させ;
2.次いで被覆化合物で処理することによって、水素結合により該被覆化合物を結合させる;
ことを特徴とする方法にも関する。
第1の工程において、高分子繊維材料を、高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と水素結合を形成し得る化合物で処理するには、高分子繊維材料を、高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と水素結合を形成し得る化合物を含む溶液と、例えば浸漬、塗布、吹付などの任意の方法で接触させる。この接触させる方法及びその条件は、用いる高分子繊維材料、ならびに高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と水素結合を形成し得る化合物に応じて適宜選択することができる。
例えば高分子繊維材料として羊毛のウールトップを用いる場合、高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と水素結合を形成し得る化合物としてはホウ酸及びホウ砂を好ましく用いることができ、この場合ウールトップを、ホウ酸又はホウ砂の約1〜10重量%、好ましくは約5重量%の水溶液に、約0〜80℃、好ましくは約50℃で、約10分〜約1時間、好ましくは約30分間、撹拌しながら浸漬することにより処理する。
第2の工程において、第1の工程で得られた高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と水素結合を形成し得る化合物を結合させた高分子繊維材料を被覆化合物で処理するには、第1の工程と同様に、高分子繊維材料を、被覆化合物を含む溶液に、例えば浸漬、塗布、吹付などの任意の方法で接触させる。この接触させる方法は、用いる高分子繊維材料及び被覆化合物に応じて適宜選択することができる。必要であれば、第1の工程で得られた高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と水素結合を形成し得る化合物を結合させた高分子繊維材料を、第2の工程に付す前に水洗して、結合しなかった化合物を洗い落としてもよい。
例えば第1の工程において例示した、ホウ酸又はホウ砂を結合させた高分子繊維材料を第2の工程に付してコラーゲンで被覆する場合、ホウ酸又はホウ砂を結合させたウールトップを、コラーゲンの約1〜10重量%、好ましくは約5重量%の水溶液に、約0〜80℃、好ましくは約50℃で、約10分〜約1時間、好ましくは約60分間、撹拌しながら浸漬することにより処理する。
上述の本発明の被覆化合物を結合させている高分子繊維材料を製造する際に、上述の各第1の工程に付す前に、必要であれば、高分子繊維材料に、電子対受容体と配位結合を形成し得る官能基、水素結合に寄与し得る水素原子を含む官能基、又は水素原子との水素結合に寄与し得る原子を導入することができる。例えばカルボニル基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、イミダゾリル基、メルカプト基などの官能基の高分子繊維への導入反応は、通常の有機化学的反応によって行なうことができる。例えば水酸基−アミノ基、水酸基−水酸基の結合では、塩化シアヌル、ジエポキシ化合物、ジイソシアナート化合物、カルボジイミダゾールなどを用いることができる。カルボキシル基−アミノ基、カルボキシル基−水酸基の間の結合では、カルボジイミド化合物などを使用することができる。アミノ基−アミノ基間の反応では、グルタルアルデヒド、ホルマリンなどのカルボニル化合物などによる縮合反応を行なうことができる。配位結合が可能な官能基を一方の末端に、もう一方の末端に水酸基、カルボキシル基、アミノ基などを有する化合物を用いて、高分子繊維表面の水酸基、アミノ基、カルボキシル基などとの間で上述の縮合試薬により化学結合を行なわせることができる。カルボニル基を有する化合物を利用して繊維の水酸基、アミノ基と結合させることもできる。また配位結合性官能基を直接、繊維に導入するだけではなく、繊維と官能基化合物との間にスペーサー分子、高分子グラフト鎖を介入させることもできる。水素結合に寄与する官能基を繊維に導入する反応も、基本的には、上述の反応と同様の方法で可能である。つまり水素結合に寄与するカルボニル基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、イミダゾリル基、メルカプト基などの官能基又は塩素、フッ素などのハロゲン原子を有する残基、あるいは水素原子を分子内に含み、繊維の種々の官能基と化学結合できる官能基を有する化合物を用いて実現することができる。
以下の実施例において、本発明について詳細に説明する。
実施例1
高分子繊維材料として紡糸する前の羊毛であるウールトップを用い、高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と配位結合を形成し得る電子対受容体として亜鉛イオン又は銅イオン、又は高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と水素結合を形成し得る化合物としてホウ砂又はホウ酸を用いてコラーゲンを結合させた、本発明の高分子繊維材料を製造した。
硫酸亜鉛・7HO(ZnSO・7HO)、ホウ砂・10HO(Na・10HO)、ホウ酸(HBO)、又は硫酸銅・5HO(CuSO・5HO)の10重量%水溶液を別々に調製し、調製した各水溶液200mlにウールトップ約10gを撹拌しながら50℃で30分間浸漬した。その後、ウールトップを水洗して、結合しなかった各化合物を洗い落とした。次にコラーゲンの約10重量%水溶液を調製し、この水溶液各200mlに、先の工程で各化合物を結合させたウールトップを、撹拌しながら50℃で30分間浸漬した。その後、ウールトップを水洗し、脱水、乾燥した。コラーゲンを結合させた各ウールトップの外観は、電子対受容体として硫酸銅を用いたウールトップが淡い青色を呈した以外はいずれにおいてもウールの生成りの色が示された。またマイクロスコープでウールトップの表面を観察すると、ウール表面のスケールにコラーゲンが付着しているのが観察された。またウールトップをトルイジンブルーによりpH7で染色すると、ウール表面に染色されたコラーゲンが観察され、ウール表面がコラーゲンで被覆されたのが認められた。
実施例2
高分子繊維材料として綿布及びアクリル布を用い、高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と配位結合を形成し得る電子対受容体として銅イオン、又は高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と水素結合を形成し得る化合物としてホウ砂を用いてコラーゲンを結合させた、本発明の高分子繊維材料を製造した。
綿布(金巾3号、目付け:100g/m)、及びアクリル布(紡績糸織物、目付け:95g/m)各10gを、界面活性剤トライポンA水溶液(1g/l)200mlで60℃で10分間処理することにより精練し、次にホウ砂水溶液(0.5g/l)200ml又は硫酸銅水溶液(0.5g/l)200mlに50℃で30分間浸漬することによって、綿布及びアクリル布にホウ砂又は硫酸銅をそれぞれ結合させた(結合量:10%owf)。次に、ホウ砂又は硫酸銅を結合させた綿布及びアクリル布をコラーゲン水溶液(0.5g/l)200mlに50℃で60分間浸漬することにより、コラーゲンを綿布及びアクリル布に結合させた(結合量:10%owf)。その後、吸光度計(波長:570nm)によりコラーゲンの吸着結合量を測定した。なお、ホウ砂又は硫酸銅溶液に浸漬せずに、精練した綿布及びアクリル布に直接コラーゲンを結合させたものも、参考のために調製した。なお、各結合の工程の後は、水洗して、未結合のホウ砂又は硫酸銅、未結合のコラーゲンを洗い落とした。処理方法及び結果を以下の表に示す。
Figure 0004034266
上記の結果から、綿布には、ホウ砂、硫酸銅のいずれを介しても、コラーゲンが有意に多量に結合することが示された。またアクリル布の場合は、硫酸銅を介してコラーゲンが多量に結合することが示された。
実施例3
高分子繊維材料として紡糸する前の羊毛であるウールトップを用い、高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と水素結合を形成し得る化合物としてホウ砂を用いてアルギン酸を結合させた、本発明の高分子繊維材料を製造した。
ウールトップ10gを、界面活性剤トライポンA水溶液(1g/l)200mlで60℃で10分間処理することにより精練し、次にホウ砂水溶液(0.5g/l)200mlに50℃で30分間浸漬することによって、ウールトップにホウ砂を結合させた(結合量:10%owf)。次に、ホウ砂を結合させたウールトップをアルギン酸ナトリウム水溶液(0.5g/l)200mlに50℃で60分間浸漬することにより、アルギン酸をウールトップに結合させ(結合量:10%owf)、更にトライポンA水溶液(1g/l)200mlで、80℃で20分間処理することにより湯洗した。その後、アルギン酸の結合量を判定するために、ウールトップをメチレンブルーの中性浴で染色した(ウールトップに対してメチレンブルー1.0%owfを含む水浴中、1:20の浴比で、20〜25℃の常温で30分間染色後、水洗した)。この場合、アルギン酸がウールトップに結合していれば、ウールトップは、メチレンブルーに染色されにくい。なお、ホウ砂溶液に浸漬せずにアルギン酸ナトリウムを直接結合させたもの、ホウ砂溶液に浸漬したが、アルギン酸ナトリウムを結合させなかったものも参考のために調製した。なお、各結合の工程の後は、水洗して、未結合のホウ砂及びアルギン酸を洗い落とした。処理方法及び結果を以下の表に示す。また、それぞれのウールトップのメチレンブルーによる染色の結果を図1に示す。
Figure 0004034266
図1に示すとおり、ホウ砂溶液に浸漬し、ついでアルギン酸ナトリウム溶液に浸漬した、本願発明の高分子繊維材料(No.4)は、No.1〜No.3の材料に比べて、メチレンブルー染色でより淡い色に染色された。このことは、本発明の高分子繊維材料では、ホウ砂との水素結合を介してアルギン酸がウールトップと多く結合していることを示している。
産業上の利用可能性
本発明の被覆化合物を結合させている高分子繊維材料においては、高分子繊維材料の表面の官能基と被覆化合物とを、高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と配位結合を形成し得る電子対受容体を介しての配位結合により結合させる、又は高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と水素結合を形成し得る化合物を介しての水素結合により結合させることによって、高分子繊維材料に被覆化合物が強固に結合するとともに、長期の使用によっても結合が保持されるため、被覆効果がより強力に長く持続する。
【図面の簡単な説明】
ウールトップのメチレンブルーによる染色の結果を示す。

Claims (3)

  1. その表面に、高分子繊維材料(羊毛、カシミヤ、アルパカ、モヘア、アンゴラ、綿、麻、絹から選択される天然繊維;ナイロン、ポリエステル、アクリルから選択される合成繊維;レーヨン、キュプラから選択される再生繊維;及びアセテートから選択される半合成繊維;から選択される)及び被覆化合物(コラーゲン、セリシン、絹、羊毛から選択されるタンパク質;及びアルギン酸、キチン、キトサンから選択される多糖類;から選択される)の両方と水素結合を形成し得る化合物(ホウ酸、ホウ砂から選択される)を介して水素結合により、前記被覆化合物を結合させている前記高分子繊維材料。
  2. その表面に、高分子繊維材料(羊毛、カシミヤ、アルパカ、モヘア、アンゴラ、綿、麻、絹から選択される天然繊維;ナイロン、ポリエステル、アクリルから選択される合成繊維;レーヨン、キュプラから選択される再生繊維;及びアセテートから選択される半合成繊維;から選択される)及び被覆化合物(コラーゲン、セリシン、絹、羊毛から選択されるタンパク質;及びアルギン酸、キチン、キトサンから選択される多糖類;から選択される)の両方と水素結合を形成し得る化合物(ホウ酸、ホウ砂から選択される)を介して水素結合により、前記被覆化合物を結合させている前記高分子繊維材料、から製造された衣類、医用材料、又は寝装具。
  3. その表面に、高分子繊維材料(羊毛、カシミヤ、アルパカ、モヘア、アンゴラ、綿、麻、絹から選択される天然繊維;ナイロン、ポリエステル、アクリルから選択される合成繊維;レーヨン、キュプラから選択される再生繊維;及びアセテートから選択される半合成繊維;から選択される)及び被覆化合物(コラーゲン、セリシン、絹、羊毛から選択されるタンパク質;及びアルギン酸、キチン、キトサンから選択される多糖類;から選択される)の両方と水素結合を形成し得る化合物(ホウ酸、ホウ砂から選択される)を介して水素結合により、前記被覆化合物を結合させている前記高分子繊維材料を製造する方法であって、
    1.高分子繊維材料を、高分子繊維材料及び被覆化合物の両方と水素結合を形成し得る化合物で処理して、水素結合により該化合物を結合させ;
    2.次いで被覆化合物で処理することによって、水素結合により該被覆化合物を結合させる;
    ことを特徴とする方法。
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