JP4034001B2 - 円筒構造を有する有機無機複合体、中空糸状金属酸化物、およびそれらの製造方法 - Google Patents
円筒構造を有する有機無機複合体、中空糸状金属酸化物、およびそれらの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒またはその支持体、吸着剤、半導体材料およびその他の各種機能性材料として利用することができる新規な構造の有機無機複合体および金属酸化物、ならびにそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
シリカに代表される無機多孔材料はその表面積の大きさおよび孔径に起因する分子の選択性から、触媒やその支持材料または吸着材料、クロマトグラフ用材料等として多用され、更なる改良が試みられている。これらの多孔材料の調製には何らかの鋳型を用いる方法が使われておりゼオライト等のマイクロポーラス材料の調製には有機低分子化合物、メソポーラス材料では界面活性剤やブロック共重合体、またマクロポーラス材料ではエマルジョンをそれぞれ用いた例がある。また多孔材料のなかでも繊維状もしくは中空状の無機材料が酒石酸の分子状会合体やカーボンファイバー、カーボンナノチューブを鋳型として合成されている。一方、生体物質(Biomaterial)の機能を利用する所謂Biomineralizationに関する研究においても生体物質を鋳型にして様々な形態の無機材料を作り出す試みが試されており、自己組織化した脂質チューブ(self-assembled lipid tubules)を用いた円筒状の有機無機複合体(tubular inorganic-organic composites)等も得られている。しかしながら、これまで、有機低分子ゲルを鋳型にして有機無機複合材料や無機材料を調製した例はない。多様な形態を示すこれらのゲル構造を反映した材料は特異な形態に基づく異方性を持った材料として各種の応用展開が期待される。例えば、繊維状のゲル、すなわち、直線状またはヘリックス状の細長い糸状のゲルを鋳型とすることにより、新しいタイプの機能性有機ゲルと無機物質との複合材料や多孔性無機材料が得られるものと期待されるが、そのような材料を具現化した技術は見当たらない。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、有機溶媒中でゲルを形成する各種の有機低分子のゲル化特性に関する研究を進めるうちに、繊維状の有機低分子ゲルを鋳型として、これまでに見られないミクロ構造を有する有機無機複合体および無機材料(金属酸化物)を製造することができる技術を見出し、本発明を導き出した。
【0004】
かくして、本発明は、
(1)イ.イオン性部位を有し、有機溶媒または有機溶媒と水との混合溶媒の中でゲルを形成し得る有機低分子、
ロ.金属酸化物の前駆体、該金属酸化物の前駆体からゾルゲル反応により金属酸化物重合体を生成するための触媒、水、および、必要により該金属酸化物の前駆体、触媒、水を溶解し得る溶媒から成るゾルゲル反応溶液、ならびに、
ハ.必要により前記有機低分子と前記ゾルゲル反応溶液とを溶解し得る有機溶媒、を含有する均一混合液を調製する工程、
(2)イ.前記均一混合液から前記有機溶媒を除去するか、
ロ.前記均一混合液を加熱した後、冷却するか、または
ハ.前記均一混合液を冷却する、
ことにより前記有機低分子のゲルを形成させる工程、ならびに
(3)前記ゲル形成した系を保持して、金属酸化物の重合を進行させる工程、
を含むことを特徴とする、繊維状有機分子の表面に金属酸化物が付着した有機無機複合体の製造方法を提供する。
【0005】
このような本発明の有機無機複合体の製造方法の好ましい例においては、イオン性部位を有しゲルを形成する有機低分子としてアゾベンゼン部位を有するコレステロール誘導体を用い、金属酸化物の前駆体としてシリカの前駆体を用いる。さらに、別の好ましい例においては、上記のごときイオン性部位を有する有機低分子に加えて、アゾベンゼン部位を含むノニオン性のコレステロール誘導体を併存させる。また別の好ましい1例においては、コレステロール誘導体として、ゾルゲル反応により金属酸化物重合体を生成するための金属とは別異の金属の金属イオンを包接することによりイオン性部位を有するものを用いる。
【0006】
本発明は、さらに、以上のような方法により得られた有機無機複合体から有機低分子を除去することを特徴とする中空糸状金属酸化物の製造方法も提供する。本発明に従う中空状金属酸化物の製造方法の好ましい例においては、焼成により有機低分子を除去する。
【0007】
本発明は、さらに、別の視点として、上記のような方法により製造される有機無機複合体であって、内側が有機分子、外側が金属酸化物から成る直径がナノメータのオーダーの円筒状構造を有することを特徴とする有機無機複合体を提供する。本発明の有機無機複合体の特に好ましい例においては、有機分子はアゾベンゼン部位を含むコレステロール誘導体であり、金属酸化物はシリカである。
【0008】
さらに、本発明は、上記のような方法により製造されることができ、内径がナノメータのオーダーの円筒状金属酸化物から成ることを特徴とする中空糸状金属酸化物(金属酸化物から成る中空糸)も提供する。このような本発明の円筒状金属酸化物には、真の円筒状、すなわち、横断面が円環状を呈しているもののみならず、渦巻状の横断面形状を有し、該円筒状金属酸化物の内側表面および外側表面に該金属酸化物を構成する金属とは別異の金属の微粒子が存在していることを特徴とするものも含まれる。本発明に従う中空糸状金属酸化物の特に好ましい態様においては、金属酸化物がシリカであるもの、すなわち、中空糸状シリカである。
【0009】
【発明の実施の形態】
金属のアルコキシドなどのゾルが触媒により重合し架橋しながら金属酸化物重合体を生成してゲル化することはよく知られている。本発明は、このようなゾルゲル反応が特定の有機低分子のゲルを鋳型として該有機低分子ゲル上で起こり、ゾルゲル反応終了後も有機低分子ゲルの構造が保持され得るような条件を見出し、これを利用することにより、新しいタイプの有機無機複合体および中空糸状金属酸化物の製造を可能にしたものである。
【0010】
以下、本発明の有機無機複合体および金属酸化物の製造方法(調製方法)、それらを構成する各要素、およびそれらの特性、ならびに、本発明の特に好ましい態様としてコレステロール誘導体を用いる例に沿って本発明の特徴を詳述する。
【0011】
製造方法(調製方法)
本発明に従い有機無機複合体および中空糸状金属酸化物を製造するには、先ず、有機低分子とゾルゲル反応溶液とを混合して、それらを含有する均一な混合液を調製する。
ここで、本発明において用いる有機低分子の特性については後述する。一方、ゾルゲル反応溶液は、目的のゾルゲル反応系にもよるが、ゾルゲル反応が進行するような当初のゾルが形成されるように、少なくとも、金属酸化物(無機材料)の前駆体(金属酸化物の出発原料:金属アルコキシド、金属クロリド、金属ジケトネート等)、該金属酸化物の前駆体からゾルゲル反応により金属酸化物を生成するための触媒(酸、アルカリ、アミン等)、および水(金属酸化物の前駆体の加水分解に必要であり、少量でよい)を含まなければならない。但し、これだけではゾルゲル反応系の溶解性が充分でない場合には、それらの前駆体、触媒、水を溶解し得るような溶媒を使用する。
さらに、必要により、混合を円滑にするため、有機低分子とゾルゲル反応溶液とを溶解し得る有機溶媒を用いる。
【0012】
本発明の方法においては、このようにして得られた混合液中において有機低分子のゲルを形成させる。ここで、本発明に関連して用いるゲルという語は、一般的には、溶媒を完全に束縛して固まっている状態を指称するが、系を傾け軽い衝撃を与えると流動する程度に有機低分子が互いに結合して繊維を形成している状態も含むものとする。このゲル形成の工程は以下のようにして行う。
【0013】
有機低分子のゲル形成の生じる温度が室温またはそれ以上である場合には、混合を円滑に行うために有機分子とゾルゲル反応溶液との両者を溶解する有機溶媒を添加して調製した均一混合液から、溶解するために加えた有機溶媒を除去することによりゲルを形成させる。この有機溶媒の除去は、一般に、減圧乾燥により行う。また、有機低分子が加熱に耐えられる場合は、上記の均一混合液を加熱した後、室温に冷却してゲルを形成する。さらに、ゲル形成温度が室温以下の場合には、有機分子とゾルゲル反応溶液とを室温で混合し、系を冷却することによりゲルを形成する。この工程中に、一般に繊維状構造の有機低分子のゲルが先行して形成され、金属酸化物のゾルゲル反応が一部進行する。
【0014】
本発明に従い有機無機複合体を製造するには、次に、上記のようにゲルが形成した系を、該ゲルが壊れないような条件下に保持しながら、金属酸化物の重合を更に進行させる。すなわち、室温でゲル形成が生じたような系は室温下に、また、冷却によってゲルが形成したような系は、その冷却温度に、適当時間(一般に、数日間以上)保持すれば、金属酸化物のゾルゲル反応により加水分解、重縮合が進行し、金属酸化物の重合度が上がり溶液中に溶解し得なくなった金属酸化物が繊維状構造の有機分子表面に付着、析出する。ここで、後述するように、表面への付着を静電力によって効果的に進めるために有機低分子はイオン性を有する必要がある。
【0015】
但し、本発明者は、ゲル形成剤(ゲル化剤)として、イオン性部位を有する有機低分子に加えて、ノニオン性(非イオン性)の有機低分子を併存させても本発明に従う有機無機複合体が得られることも見出している。そのようなノニオン性有機低分子から成るゲル形成剤は、イオン性有機低分子と相溶性がある(一般的には、非イオン性部位を除けばイオン性部位を有する有機低分子と骨格構造が同じかまたは類似である)ものを用いる。この場合は、有機無機複合体の基本構造となる繊維構造(ファイバー構造)はノニオン性有機低分子によって構成され、その表面にイオン性部位を有する有機低分子が付着し、その上でゾルゲル反応が進行するものと推測される。
【0016】
次いで、これを適当な条件で乾燥、余分な溶媒を除去し、ゲル構造の有機分子を残せば有機無機複合体が得られ、さらに、有機分子を除去すれば中空糸状金属酸化物となる。この有機分子の除去は、溶媒を用いて溶出させることにより可能な場合もあるが、一般に、本発明の複合体における有機分子は金属酸化物の外壁により強く保護され耐溶剤性を有するので、焼成により行うのが好ましい。
【0017】
有機低分子(鋳型分子)
有機溶媒および/または水の中でゲル形成することができ、さらに、ゾルゲル反応溶液をゲル化することができるような有機低分子は、これまでも幾つか知られている。しかしながら、本発明者は、有機低分子が、金属酸化物のゾルゲル反応の鋳型として機能するようなゲル構造を形成しゾルゲル反応後も該ゲル構造を維持するには、これだけでは不充分であることを見出している。すなわち、本発明において使用される有機低分子は、ゲルを形成し得るとともに、イオン性部位を含むような分子構造を有することが必要である。
【0018】
イオン性部位を含む分子構造の好ましい例としては、第四級アンモニウム塩、イオン性の原子や分子を包接した包接化合物、さらには、脂肪酸など有機酸の金属塩等が挙げられる。また、アミノ基、カルボキシル基等の解離性の官能基を有する化合物をこれらがイオン化する適当なpHで用いることによってもイオン性部位を有する有機低分子として使用できる。本発明において用いられる有機分子としては、上記のようなイオン性部位を含むとともに、イオン性部位以外の構造として、例えば、コレステロール誘導体、ソルビトール、グルコース等の糖誘導体、ヒドロキシ脂肪酸誘導体、アミノ酸誘導体、ステロイド誘導体、シクロヘキサン誘導体、アントラセン誘導体、フェノール誘導体、環状ペプチド誘導体、アルキルアミド誘導体、グルタミン酸誘導体等の分子構造を有する有機低分子が挙げられるが、上記のようなゲル形成能とイオン性が備わっていれば、これらに制限されるものではない。
【0019】
ゲル形成剤として包接化合物を用いイオン性の原子を包接することによりイオン性部位が付与される場合、イオン性の原子としては一般的には金属イオン(ゾルゲル反応により金属酸化物重合体を生成するための金属とは別異の金属の金属イオン)が用いられるが、酸性溶媒中、すなわち、プロトン(水素イオン)が包接されることによっても本発明の有機無機複合体を調製することもできる。なお、コレステロール誘導体を用いる系についても後に詳述するように、金属イオンを包接する包接化合物をゲル形成剤として用いると、該金属の微粒子が円筒状金属酸化物の表面に分散して存在する中空糸状金属酸化物が得られるという利点がある。
【0020】
金属酸化物(無機材料)
ゾルゲル反応の進行過程における金属酸化物の表面電荷は金属の種類と溶液のpHによって変化するので、有機分子表面に静電的に付着しやすいように金属の種類とpHを選ぶ必要があるが、本発明において用いられ得る金属酸化物の種類に基本的に制限はない。例えば、シリカ、アルミナ、ボレイトの他、チタニア、ジルコニア、ヘマタイト等の遷移金属酸化物が挙げられる。
金属酸化物を与えるゾルゲル反応の前駆体(出発物質)としてはこれらの金属のアルコキシドおよびクロリド、ジケトネート等が挙げられる。具体的にはシリカでは、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラクロロシラン、アルミナではアルミニウムトリ−sec−ブトキシド、アルミニウム(III)2,4−ペンタンジオネート、ボレイトではトリメトキシボラン、チタニアではチタンエトキサイド、ジルコニアではジルコニウムテトラ−n−ブトキサイド等である。
【0021】
ゾルゲル反応溶液
ゲル状態の繊維状有機分子表面への金属酸化物の付着を効率的に進めるために、溶液の組成は金属酸化物重合体が低重合度のうちに析出する組成が望ましい。すなわち、アルコールやTHF等の金属酸化物に対する溶解度の大きな有機溶媒を多く含まない組成でなければならない。
【0022】
また金属酸化物の表面電荷はその金属の電気陰性度と溶液のpHによって決まるので、鋳型分子を効率的に付着する符号になるpHを金属の種類に応じて変化する必要がある。後記の実施例では、鋳型である有機低分子のゲルがカチオン、酢酸主体のゾルゲル溶液中(pH≒5)でのシリカ表面はアニオンと考えられる。この場合には鋳型分子であるゲルの繊維構造表面に金属酸化物が静電引力的に付着し成長したと考えられる。
【0023】
金属酸化物の含有量が有機分子に比べ多すぎると乾燥時の金属酸化物の収縮によって有機分子が圧縮され中空状構造をとりにくくなるし、金属酸化物同士の融合が生じ独立した繊維状構造にならないので望ましくなく、また少なすぎると金属酸化物の中空状構造が脆弱になる。従って最終的に得られる有機無機複合体に対し金属酸化物の量は重量比で20〜90%であることが望ましい。(後記の実施例では重量比で有機低分子1に対しシリカ源であるTEOS(テトラエトキシシラン)が9となっている。しかし、TEOSは完全に加水分解、重縮合が進むとその重量は元の29%に減少するので、この例では最終的に得られた有機無機複合体に対し金属酸化物の量は72%である)
【0024】
有機無機複合体と中空糸金属酸化物の特性
本発明の有機無機複合体は、繊維状有機分子(ゲル)の表面に金属酸化物が付着した構造、すなわち、内側が有機分子であり、外側が金属酸化物である円筒状構造から成る。該円筒の直径(最外径)はナノメータのオーダー、すなわち、一般的には数nmから数百nm(後記の実施例に示す有機無機複合体の場合、約30〜150nm)である。なお、ここで円筒状構造とは、真の円筒状、すなわち、横断面が円環状を呈しているもののみならず、シートがクルクルと連続的に丸まったような形状、すなわち、渦巻状の横断面を形成するものも指称する。
【0025】
このような有機無機複合体から既述のように有機分子(有機低分子ゲル構造)を除去すると、有機低分子ゲル構造の大きさに対応する内径を有する円筒状構造(上記から理解されるように、渦巻状の横断面形状を有するものを含む)、すなわち、内径がナノメータのオーダー(後記の実施例の場合、約10〜100nm)の中空糸状金属酸化物が得られる。
【0026】
このように本発明に従う有機無機複合体は、中空糸状金属酸化物の前駆体として有用であるが、それ自身も各種の用途への適用が期待される。すなわち、金属酸化物だけからなる中空糸もかなり力学的強度は高いが、中空糸の芯の部分に有機物が残っていると更に力学強度が上昇し、取扱いの過程で破壊される中空糸の割合が減少する。金属酸化物からなる中空糸表面は微細な粒子状の構造が見られ、この表面を触媒あるいはその支持体として、また吸着剤として利用する場合には、有機無機複合体である方が有利である。
【0027】
また、芯となる有機分子の機能や性質に応じた用途も可能である。例えば、後記の実施例に示すように有機低分子としてアゾベンゼンを持つコレステロール誘導体を用いる場合は、アゾベンゼン部分のトランス−シスの構造変化によりフォトクロミックな性質が発現される。このとき、中空糸状の構造をとるこの有機無機複合体では芯の部分のコレステロール誘導体を外壁の金属酸化物が外界から遮断するため、耐溶剤性、耐熱性に優れたフォトクロミック材料を与える。実際、このコレステロール誘導体の良溶媒であるクロロホルム中に複合体を2ヶ月浸漬していてもコレステロールの溶解はほとんど見られない。
【0028】
他方、本発明の中空糸状金属酸化物は、中空糸の外表面、内表面のいずれをも利用して触媒、吸着剤等への応用が可能である。さらに、この中空糸状金属酸化物は、繊維状態であるため嵩高く、これに加えて中空構造のため断熱効果が高く、金属酸化物の耐熱性が高いことから断熱材としても優れている。また、ゲル形成剤として金属イオンを包接した包接化合物を用いることにより、該金属の微粒子がシリカのような中空糸状金属酸化物の表面に存在する構造体が得られるが、これは金属微粒子により高性能の触媒として、あるいは、金属超微粒子が半導体微粒子であれば量子効果(発光の波長変化)を有する半導体材料等としての用途が期待される。
【0029】
コレステロール誘導体
本発明において用いる有機低分子として好ましい例は、次の式(1)で示されるコレステリル基を含むコレステロール誘導体である。
【0030】
【化1】
【0031】
このような有機低分子は、既述したようなゲル形成能とイオン性を有するとともに、それ自身が何らかの機能性を発揮するような官能基や分子団を含むような分子構造から成ることが好ましい。例えば、本発明において用いるのに特に好ましい有機低分子として下記の式(2)で表わされるアゾベンゼン部位を含みフォトクロミックな性質を発現し得るコレステロール誘導体が挙げられる。
【0032】
【化2】
【0033】
さらに、本発明において用いられるのに好適な有機低分子の別の例として、アゾベンゼン部位を含むとともに、一端にイオン性原子や分子(代表的には金属カチオン)を包接することのできるクラウン環(クラウンエーテル)を有する下記の式(3)、(4)、(5)および(6)で表わされるようなコレステロール誘導体が挙げられる。これらのコレステロール誘導体は、例えば図1に示すような反応スキームに従って簡単に合成することができる。
【0034】
【化3】
【0035】
【化4】
【0036】
【化5】
【0037】
【化6】
【0038】
本発明者は、式(2)において末端の第四級アミンを有しないコレステロール誘導体は、それ自身が各種の有機溶媒中でゲル化し得るとともに、TEOS(テトラエトキシシラン)のようなシリカ前駆体をゲル化させてシリカを形成させることはできるが、最終的に得られるシリカにはコレステロール誘導体のゲル構造が保持されていないことを確認している。これに対して、本発明に従い式(2)のコレステロール誘導体を用いてTEOSを含むゾルゲル反応を行わせると、後記のシリカが付着された有機無機複合体が得られる(図2参照)とともに、その繊維状部分を除去することにより中空糸状(円筒状)のシリカが得られる(図3参照)。
【0039】
さらに本発明者は、式(2)で示されるようなイオン性(カチオン性)部位を有するコレステロール誘導体に、下記の式(7)で示されるようなノニオン性コレステロール誘導体を併存させて同様のゾルゲル反応を行うことによっても、コレステロールに由来する繊維状構造にシリカが付着された有機無機複合体が得られ、その繊維状部分を除去することによって中空糸状(円筒状)のシリカが得られることも見出している。得られるシリカはヘリックス状の中空糸状シリカとなり、内径も10nm前後の比較的と小さく、均一であることが特徴である(実施例3参照)。
【0040】
【化7】
【0041】
また、式(3)、(4)および(5)のようなクラウン環を有するコレステロール誘導体を用いると、該クラウン環を介して十分量の金属カチオン等を包接してイオン性部位を供する場合には、コレステロールに由来する繊維状構造(有機低分子のゲル)の周りにシリカが円筒状に付着した有機無機複合体が得られ、したがってその繊維状構造を除去することにより円筒状(中空糸状)のシリカを得ることができる。これに対して、そのようなクラウン環を有しないコレステロール誘導体を用いた場合、あるいはクラウン環によるイオン性原子や分子の包接が十分でない場合には、上記のような有機無機複合体や円筒状構造のシリカを得ることができないことも確認している(実施例5参照)。
【0042】
特に、式(4)および(5)で表わされるようなアザクラウン環を有するコレステロール誘導体を用いると、円筒状金属酸化物が渦巻状の横断面形状を有し、該円筒状金属酸化物の内側表面および外側表面に該金属酸化物の金属とは別異の金属(アザクラウン環に包接された金属イオンに由来する金属)の微粒子が存在しているという特異な構造の中空糸状金属酸化物が得られる(実施例6参照)。
【0043】
【実施例】
以下に本発明に特徴をさらに明かにするため実施例を示すが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
実施例1:コレステロール誘導体の合成
図1に示す反応スキームに従って、式(2)のコレステロール誘導体を合成した。すなわち、(A)をKOHの存在下にエタノール溶媒中で1,4−ジブロモブタンと還流条件下に反応させ、収率15%で(B)を得た(工程i)。次に、この(B)を、トリフェニルホスフィン、およびアゾジカルボン酸ジエチルエステルの存在下に、THF溶媒中でコレステロールと20℃において反応させ、収率18%で(C)を得た(工程ii)。この(C)をTHF中でトリメチルアミンと20℃において反応させ、収率69%でコレステロール誘導体(2)を得た(工程iii)。コレステロール誘導体(2)の同定:質量分析(SIMS、ポジティブ)M+724;1H NMR(CDCl3) δ0.7022(s, 3H, Me), 0.8547(d, 6H, Me), 0.8767(d, 3H, Me), 3.4762(s, 9H, Me), 3.8401(t, 2H, CH2), 4.1659(t, 2H, CH2), 5.2807(m, 1H), 5.3346(m, 1H), 7.0102(d, 2H), 7.9164(q, 4H), 8.1138(d, 2H)。
【0044】
実施例2:有機無機複合体および円筒状金属酸化物の調製
始めに、実施例1で合成したコレステロール誘導体を塩化メチレンに溶解し、次いで、酢酸、TEOS,水をこの順番に加え攪拌し橙色透明溶液を得た。重量組成は、コレステロール誘導体/酢酸/TEOS/水=1/64/9/3.2(重量比)であり、塩化メチレンは酢酸と同量加えた。このゾルゲル溶液(TEOS/酢酸/水)においては、酢酸(触媒)自身が高い溶解性を有するので、特に追加の溶媒は用いていない。
【0045】
その後、得られた混合液を室温で減圧乾燥し、最も蒸発速度の早い塩化メチレンを主体に除去し、全重量が塩化メチレン相当量だけ減少した時点で取り出すと系は白濁した状態でゲル化していた。これを密封し、室温で10日間保存する。対照サンプルとして、コレステロール誘導体(2)を加えなかった以外全て上記と同様な条件で調製したサンプルはシリケートのゾルゲル反応により3日後白濁固化するので、上記の10日間保存したサンプルにおいてもシリケートのゾルゲル反応が進み、系中のTEOSは充分反応したと考えられる。
【0046】
次いで、これを室温で開放した条件で2日間乾燥後、真空下60℃で5時間乾燥し二重円筒状構造の有機無機複合体を得た。図2に、この複合体のSEM(走査電子顕微鏡)写真を示す。この写真から円筒状構造の外径は30〜150nmであることが分かる。
更に、窒素気流下200℃で6時間乾燥し、次いで500℃で2時間、最後に空気気流下で500℃、4時間焼成し中空糸状金属酸化物(シリカ)を得た。図3に、このシリカのTEM(透過電子顕微鏡)写真を示す。この写真から分かるように、得られたシリカは、内径が約10〜100nmの円筒状を呈し、この内径は図2に示されるコレステロール誘導体ゲルに起因する繊維状構造に対応するものと解される。
【0047】
実施例3:イオン性/ノニオン性ゲル化剤混合物を用いる円筒状金属酸化物の調製
ゲル化剤として、上記の式(2)のカチオン部位を有するコレステロール誘導体と、上記の式(7)のノニオン性コレステロール誘導体の混合物を用いて実施例2と同様のゾルゲル反応を行わせた。ゾルゲル溶液の組成は、コレステロール誘導体混合物/酢酸/水/TEOS/塩化メチレン=2.48×10−6mol/128.0/6.2/18.0/120.0(mg)とした。コレステロール誘導体混合物中のカチオン性およびノニオン性コレステロール誘導体の比率は、カチオン性コレステロール誘導体が75、50、25、10、5、2、0.2mol%と変化させた。
【0048】
ゾルゲル反応後、実施例2と同様に乾燥および焼成を行い、焼成体の顕微鏡観察を行った。図4および図5に、それぞれ、SEM写真およびTEM写真の1例(カチオン性コレステロール誘導体10mol%の場合)の1例を示す。これらの写真にも示されるように、イオン性(カチオン性)ゲル化剤が2〜10mol%の場合にヘリックス状シリカとなり、内径も実施例2のようにカチオン性コレステロール誘導体のみを用いる場合に比べて10nm前後と小さく、比較的揃っていることが認められた。
【0049】
実施例4:クラウン環を有するコレステロール誘導体の合成
上記の式(3)で表わされるコレステロール誘導体、すなわち、4−((4−(((コレステリルオキシ)カルボニル)メトキシ)フェニル)アゾ)ベンゼン−18−クラウン−6(以下、4Cr6と略称する)を以下のように合成した:4−(((カルボメトキシ)フェニル)アゾ)ベンゾ−18−クラウン−6(0.82g、1.67mmol)と脱水ピリジン(0.16g、1.9mmol)を50mlの脱水ベンゼンに溶解した。この溶液に塩化チオニル(0.4g、3.3mmol)を滴下し、環流下で4時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、得られた酸クロリドを40mlの脱水ベンゼンに溶解させた。この溶液を10mlの脱水ベンゼンとコレステロール(0.65g、1.67mmol)と脱水ピリジン(0.16g、1.9mmol)から成る溶液内に滴下させた。環流下で9時間攪拌した後、溶媒を減圧留去し、シリカゲルのカラムクロマトグラフで分離・精製を行い誘導体4Cr6(収率63%)を得た。
【0050】
融点130〜137℃(DSC);1H‐NMR(CDDl3) δ0.60-2.40(m, 43H, コレステロール)、3.60-4.36(m, 20H, クラウン環)、4.50-4.83(m, 3H, 3-HとOCH2CO)、5.32-5.50(m, 1H, コレステロール6-H)、6.60-7.14(m, 3H, ArH)、7.40-7.96(m, 4H, Ar-H);IR (Nujol) 1755 (νC=0)cm-1 ;元素分析計算値(C51H74O9N2として):C, 71.30 ; H, 8.68 ; N, 3.26、実測値:C, 71.20 ; H, 8.68 ; N, 3.13。
【0051】
実施例5:円筒状金属酸化物の調製
(1)4Cr6への金属カチオン包接
実施例1で合成した4Cr6を表1に示すようにKClO4の濃度を変え、一晩攪拌し透明液とした後、室温で乾燥し溶媒を除去することによりK+イオンを包接するようにした。K0試料の調製にこの工程はないが組成のみ記す。
【0052】
【表1】
【0053】
(2)ゲル化およびシリケートのゾルゲル反応
上記試料のうちK8〜K2は各々次のゾルゲル反応出発溶液と加熱混合した後、室温に静置した:1−ブタノール/TEOS/H2O/ベンジルアミン=95.0/15.0/5.7/5.6(mg)
室温に冷却するとともにいずれも不透明化するがK8およびK4はゲル化し、K2はかなり柔らかいがゲル化した。K+イオンを包接していない4Cr6が上記溶液をゲル化しないことからK0は次の溶液と加熱混合し、室温に静置し透明なゲルを得た:アニリン/TEOS/H2O/ベンジルアミン=95.0/10.0/5.7/5.6(mg)
【0054】
また、クラウンエーテルを持たない以外分子構造のほぼ同じの下記の式(8)で表わされるコレステロール誘導体を用い、次の組成で上記工程1)、2)を経てシリカを調製した。この組成ではコレステロール誘導体(4)が十分溶解せず相分離した形でシリカによる固化が起きる。これをK(1)とする:KClO4/(4)/1−ブタノール/TEOS/H2O/ベンジルアミン=1.2/5.0/95.0/15.0/5.7/5.6(mg)
【0055】
【化8】
【0056】
更に、ゲル化剤(コレステロール誘導体)を含まない次の組成の試料を調製した(S0とする)。シリカによる半透明ゲルが生成した:KClO4/1−ブタノール/TEOS/H2O/ベンジルアミン=0.8/95.0/15.0/5.7/5.6(mg)
【0057】
(3)焼成
上記の各試料を、窒素流通下200℃において1時間過熱後、窒素流通(1リットル/分)下500℃において2時間加熱し、さらに、空気流通(1リットル/分)下500℃のおいて4時間加熱することにより焼成し、SEM(走査型電子顕微鏡)およびTEM(透過型電子顕微鏡)による観察を行った。
【0058】
(4)結果
SEMおよびTEMによる観察結果より、K8およびK4には円筒状シリカが生成し、K2、K0、K(1)、S0には微粒子状のシリカが生成した。K8から得られた円筒状シリカは外径50nm、内径10nmであり、その繊維同士は束状に凝集している。一方、K4から得られた円筒状シリカは外径100nm〜200nm、内径50nmであり、繊維の凝集状態はK8と異なり無配向に絡み合った形態を示した。これは4級アミン化したアゾ化コレステロールを用いて生成した実施例2の円筒状シリカと大変似た形態である。
【0059】
以上の結果よりK+イオンを一定量以上包接した4Cr6を含む試料には円筒状(中空糸状)シリカが生成し(K8およびK4)、その包接量が少ない試料(K2)、または包接させなかった試料(K0およびK(1))には生成しないことがわかる。すなわち、K+イオンを十分包接した4Cr6がシリカアニオンを静電引力によって吸着しゲルの繊維構造の周囲にシリカの壁を形成したと考えられる。
【0060】
4Cr6におけるK+イオンの包接量はシリケートアニオンとの相互作用に影響を与えるほかに溶液のゲル化挙動(有機低分子ゲル)にも影響を与えるものと考えられる。事実、K8とK4とでは前者の方がゲル化(有機ゲル)速度が速く、生成するゲルも前者の量が多くゲル表面に浮いた溶液量(ゲルが保持できない余分な溶液と考えられる)も少ない。これは、有機低分子ゲルにおいてはゲル繊維と溶媒との表面張力によって溶媒を保持していると考えられていることから、K8中に大きな表面積を有するゲル繊維が生成し、K4、K2はそれより少なく、K0にはほとんど生成しなかったためと考えてよいと思われる。したがってK8から繊維径の細い円筒状シリカが得られ、K4からそれより太い円筒状シリカが得られたのは、K8に繊維径の細い有機ゲル繊維が大量に生成し、K4に繊維径の太い有機ゲル繊維が生成したためと考えられる。
【0061】
実施例6:アザクラウン環を有するコレステロール誘導体を用いる円筒状金属酸化物の調製
ゲル化剤として上記の式(4)または(5)で示されるアザクラウン環を有するコレステロール誘導体を用い、それらのコレステロール誘導体が金属イオン(Ag+)を包接するようにして、前記の実施例と同様に、ゾルゲル重合、反応を行わせた後、焼成を行うことにより円筒状金属酸化物を調製した。
【0062】
具体的には、先ず、THF(1g)に式(4)または(5)のコレステロール誘導体(5.8×10−6mol)とAgNO3(AgNO3/(4)または(5)のモル比は、1/1)を溶解させ、この溶液を蒸発乾固し、得られた固体化合物を次の組成のゾルゲル重合溶液に溶解した:1−ブタノール(98mg)/TEOS(16mg)/水(5.7mg)/ベンジルアミン(5.6mg)。
【0063】
ゾルゲル反応後、実施例5と同様に焼成を行い、焼成後の顕微鏡観察を行った。図6および図7に、それぞれ、SEM写真およびTEM写真の1例(式(4)の場合)を示す。図6のSEM写真からも理解されるように、アザクラウン環を有するコレステロール誘導体を用いることにより、単純な円筒状ではなく、あたかもシートが渦巻状に巻かれたような横断面形状を呈し、内径が200nm位までで厚みが20〜30nm程度の円筒状(中空糸)シリカが得られる。そして、図7のTEM写真に示すように、このシリカの内側表面および外側表面に4〜20nm程度の大きさのAgの微粒子が存在している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において用いられる有機低分子として好適なコレステロール誘導体を合成するための反応スキームを示す。
【図2】本発明の有機無機複合体の1例の結晶構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明の中空糸状金属酸化物の1例の結晶構造を示す透過電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明の金属酸化物の1例の結晶構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図5】本発明の金属酸化物の1例の結晶構造を示す透過電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明の金属酸化物の1例の結晶構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図7】本発明の金属酸化物の1例の結晶構造を示す透過電子顕微鏡写真である。
Claims (7)
- (1)イ.イオン性部位を有し、有機溶媒または有機溶媒と水との混合溶媒の中でゲルを形成し得る有機低分子、
ロ.金属酸化物の前駆体、該金属酸化物の前駆体からゾルゲル反応により金属酸化物重合体を生成するための触媒、水、および、必要により該金属酸化物の前駆体、触媒、水を溶解し得る溶媒から成るゾルゲル反応溶液、ならびに、
ハ.必要により前記有機低分子と前記ゾルゲル反応溶液とを溶解し得る有機溶媒、
を含有する均一混合液を調製する工程、
(2)イ.前記均一混合液から前記有機溶媒を除去するか、
ロ.前記均一混合液を加熱した後、冷却するか、または
ハ.前記均一混合液を冷却する、
ことにより前記有機低分子のゲルを形成させる工程、ならびに
(3)前記ゲル形成した系を保持して、金属酸化物の重合を進行させる工程、
を含み、
前記イオン性部位を有しゲルを形成する有機低分子としてアゾベンゼン部位を有するコレステロール誘導体を用い、前記金属酸化物の前駆体としてシリカの前駆体を用いることを特徴とする、繊維状有機分子の表面に金属酸化物が付着した有機無機複合体の製造方法。 - アゾベンゼン部位を含みノニオン性のコレステロール誘導体を併存させることを特徴とする請求項1の有機無機複合体の製造方法。
- コレステロール誘導体として、ゾルゲル反応により金属酸化物重合体を生成するための金属とは別異の金属の金属イオンを包接することによりイオン性部位を有するものを用いることを特徴とする請求項1の有機無機複合体の製造方法。
- 請求項1〜請求項3のいずれかの方法により得られた有機無機複合体から有機低分子を除去することを特徴とする中空糸状金属酸化物の製造方法。
- 焼成により有機低分子を除去することを特徴とする請求項4の中空状金属酸化物の製造方法。
- 内側が有機分子、外側が金属酸化物から成る直径がナノメータのオーダーの円筒構造を有し、前記有機分子がアゾベンゼン部位を含むコレステロール誘導体であり、前記金属酸化物がシリカであることを特徴とする有機無機複合体。
- 内径がナノメータのオーダーの円筒状金属酸化物から成る中空糸状金属酸化物であって、前記円筒状金属酸化物が渦巻状の横断面形状を有し、該円筒状金属酸化物の内側表面および外側表面に該金属酸化物の金属とは別異の金属の微粒子が存在しており、前記金属酸化物がシリカであることを特徴とする中空糸状金属酸化物。
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