JP4033928B2 - ニゲロオリゴ糖含有シラップの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低甘味で、上品な甘さであり、保水性に優れ、加熱により適度に着色する等の特性を有する甘味料であるニゲロオリゴ糖を糖固形分中に30重量%以上含有するニゲロオリゴ糖含有シラップの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、食生活が多様化し、飲食物中に添加する甘味料に対しても、ただ甘いだけでなく、低甘味、さわやかな甘さ、低粘度、保水性、耐熱性等の種々の要素が要求されるようになってきている。これらのうち、低甘味化に対しては、例えば砂糖を用いて単に飲食物への添加量を減少させるだけでは、コク味が低下してしまうため、糖濃度を保ったまま甘さを低下させるために、従来は各種デキストリン等の比較的高分子の澱粉糖が用いられ、近年はそれに加えて種々のオリゴ糖も用いられるようになっている。
【0003】
しかしながら、上記したように、甘味料に対する要求は、ただ低甘味であればよいだけでなく、様々なものであるため、これらの要求をすべて満たすことはできず、更に新しい甘味料の開発が待たれている。
【0004】
このようなオリゴ糖の一つとして、ニゲロオリゴ糖が注目され始めている。このニゲロオリゴ糖の製造法としては、次のような方法が知られている。例えば、(M.Stacey and J.M.Webber: Methods in Carbohydrate Chemistory, I, 339-341, Academic Press 1962 )には、微生物の生産する多糖類であるニゲラン、エルシナン等を基質とし、酵素又は酸類などを用いて加水分解してニゲロオリゴ糖を製造する方法が提案されている。
【0005】
また、公知のα−グルコシダーゼの糖転移・縮合反応を用いてニゲロースを調製する方法も知られている。
【0006】
更に、特開平3-22958 号には、澱粉加水分解物に、サイクロデキストリン生成酵素を作用させてニゲロースを製造する方法が開示されている。
【0007】
更にまた、特開平7-59559 号には、α−1、4−グルコシド結合したポリサッカライドまたはオリゴサッカライドを含む基質に、α−1、3−結合をもたらす糖転移酵素のうち1種または2種以上を作用させてニゲロオリゴ糖を製造する方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、(M.Stacey and J.M.Webber: Methods in Carbohydrate Chemistory, I, 339-341, Academic Press 1962 )に記載された方法は、ニゲラン、エルシナン等が非常に高価であることから、工業的に安価に大量生産する方法としては好ましくなかった。
【0009】
また、α−グルコシダーゼを用いる方法においては、ニゲロオリゴ糖の生成量が非常に少量であった。
【0010】
更に、特開平3-22958 号に開示された方法は、通常の50倍以上のサイクロデキストリン生成酵素が必要であり、しかもニゲロオリゴ糖の生成量は少なかった。
【0011】
更にまた、特開平7-59559 号に開示された方法においても、同公報に記載された実施例によれば、ニゲロオリゴ糖の生成量は、糖固形分当たり26.1重量%であり、十分なものではなかった。
【0012】
このように従来のいずれの方法においても、ニゲロオリゴ糖を工業的に、安価に大量生産されるには至っておらず、飲食物等の甘味料として利用するために更なる改善が求められていた。
【0013】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、飲食物等の甘味料として利用することが可能な程度に、工業的に、安価に大量生産することができるニゲロオリゴ糖含有シラップの製造法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のニゲロオリゴ糖含有シラップの製造法は、澱粉液化液に、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、オリゴ糖生成アミラーゼ、枝切り酵素から選ばれた1種又は2種以上を作用させて得られる糖水溶液であって、マルトース〜マルトペンタオースを主成分とするグルコース重合度2以上の糖を糖固形分中に50重量%以上含有し、糖濃度が10〜75重量%である糖水溶液からなる基質に、糖転移・縮合反応によりニゲロオリゴ糖を生成する酵素を作用させて、ニゲロオリゴ糖を糖固形分中に30重量%以上生成させることを特徴とする。
【0016】
上記発明の好ましい態様においては、更に、澱粉液化液に、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、オリゴ糖生成アミラーゼ、枝切り酵素から選ばれた1種又は2種以上と、糖転移・縮合反応によりニゲロオリゴ糖を生成する酵素とを同時に作用させて、ニゲロオリゴ糖を糖固形分中に30重量%以上生成させる。
【0017】
本発明のニゲロオリゴ糖含有シラップの製造法においては、澱粉液化液に、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、オリゴ糖生成アミラーゼ、枝切り酵素から選ばれた1種又は2種以上を作用させて得られる糖水溶液であって、マルトース〜マルトペンタオースを主成分とするグルコース重合度2以上の糖を糖固形分中に50重量%以上含有し、糖濃度が10〜75重量%である糖水溶液を基質として用い、糖転移・縮合反応によりニゲロオリゴ糖を生成する酵素を作用させるので、ニゲロオリゴ糖を糖固形分中に30重量%以上という高い含量で含むニゲロオリゴ糖含有シラップを得ることができる。
【0018】
澱粉液化液に、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、オリゴ糖生成アミラーゼ、枝切り酵素から選ばれた1種又は2種以上を作用させて、マルトース〜マルトペンタオースを主成分とするグルコース重合度2以上の糖を糖固形分中に50重量%以上含有し、糖濃度が10〜75重量%である糖水溶液を調製する場合には、ニゲロオリゴ糖含有シラップを安価に得ることができる。
【0019】
更にまた、上記発明の好ましい態様においては、澱粉液化液に、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、オリゴ糖生成アミラーゼ、枝切り酵素から選ばれた1種又は2種以上と、糖転移・縮合反応によりニゲロオリゴ糖を生成する酵素とを同時に作用させることにより、より簡単な工程で、ニゲロオリゴ糖を糖固形分中に30重量%以上という高い含量で含むニゲロオリゴ糖含有シラップを得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明においてニゲロオリゴ糖とは、α−1,3−グルコシド結合を含む、グルコース重合度2以上のオリゴ糖を意味し、α−1,3−グルコシド結合のみからなるオリゴ糖の他、α−1,3−グルコシド結合とそれ以外の結合とからなるオリゴ糖も含むものである。
【0021】
本発明の特徴の一つは、基質として、マルトース〜マルトペンタオースを主成分とするグルコース重合度2以上の糖を糖固形分中に50重量%以上含有し、糖濃度が10〜75重量%である糖水溶液を用いることにある。糖固形分中のグルコース重合度2以上の糖の含量が50重量%未満の場合には、得られるニゲロオリゴ糖含有シラップの糖固形分中のニゲロオリゴ糖含量を30重量%以上とすることが困難である。
【0022】
本発明において、基質となるグルコース重合度2以上の糖としては、マルトース〜マルトペンタオースを主成分とする糖が好ましい。
【0023】
本発明において、マルトース〜マルトペンタオースを主成分とするグルコース重合度2以上の糖を糖固形分中に50重量%以上含有する糖水溶液は、澱粉液化液に、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、オリゴ糖生成アミラーゼ、枝切り酵素から選ばれた1種又は2種以上を作用させて調製することが好ましい。具体的には、例えば、グルコース当量0.5 〜20となるように調製した澱粉液化液に、β−アミラーゼ(EC 3.2.1.2)及び枝切り酵素を作用させると、マルトースを主成分とする糖水溶液を得ることができる。また、この方法において、β−アミラーゼをオリゴ糖生成アミラーゼに代えると、オリゴ糖生成アミラーゼの種類に応じた重合度のマルトオリゴ糖を主成分とする糖水溶液を得ることができる。更に、澱粉液化液を、α−アミラーゼで分解した後、クロマト分画等の常法の分離・除去操作を行って、マルトース〜マルトペンタオースを主成分とするグルコース重合度2以上の糖を糖固形分中に50重量%以上含有する糖水溶液を得ることもできる。
【0024】
なお、澱粉液化液の原料となる澱粉は、例えば、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、キャッサバ澱粉等いずれのものを用いてもよい。また、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、オリゴ糖生成アミラーゼ、枝切り酵素は、周知のものを用いることができる。
【0025】
本発明において、糖転移・縮合反応によりニゲロオリゴ糖を生成する酵素は、糖転移・縮合反応によりα−1,3−グルコシド結合を生成する酵素であればよく、例えば、特開平7-59559 号公報に開示されているアクレモニウムに属する菌株が生産するニゲロオリゴ糖生成酵素を用いることが好ましい。上記アクレモニウムに属する菌株としては、例えばアクレモニウムsp.S4G13株(Acremonium sp. S4G13、FERM BP−4373)が好ましく採用される。ニゲロオリゴ糖生成酵素は、例えば上記菌株を好気的に培養して、培養物中にニゲロオリゴ糖生成酵素を蓄積させ、これを採取することにより得ることができる。
【0026】
糖転移・縮合反応によりニゲロオリゴ糖を生成する酵素を基質に反応させる条件は、それぞれの酵素に応じた条件とすることが好ましい。例えば、上記アクレモニウムに属する菌株が生産するニゲロオリゴ糖生成酵素を基質に作用させる場合、ニゲロオリゴ糖生成酵素0.01〜5単位/g基質を、基質に添加し、pH4〜10、30〜70℃の条件下に作用させることが好ましい。なお、ニゲロオリゴ糖生成酵素の酵素活性は、pH7.0 の20mMリン酸緩衝液に、マルトースを0.66重量%濃度で溶解させたマルトース溶液0.75mlに、0.25mlの酵素溶液を加えて、37℃で反応させた際に、基質のマルトースから、1分間に1μmol のグルコースを生成する酵素量を1単位と定義する。
【0027】
本発明のニゲロオリゴ糖含有シラップの製造法においては、例えば、澱粉液化液に、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、オリゴ糖生成アミラーゼ、枝切り酵素から選ばれた1種又は2種以上を作用させて調製した、マルトース〜マルトペンタオースを主成分とするグルコース重合度2以上の糖を糖固形分中に50重量%以上含有し、糖濃度が10〜75重量%である糖水溶液からなる基質に、糖転移・縮合反応によりニゲロオリゴ糖を生成する酵素を作用させるが、澱粉液化液に、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、オリゴ糖生成アミラーゼ、枝切り酵素から選ばれた1種又は2種以上と、糖転移・縮合反応によりニゲロオリゴ糖を生成する酵素とを同時に作用させてもよい。その場合には、ニゲロオリゴ糖生成酵素の反応と並行して、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、オリゴ糖生成アミラーゼ、枝切り酵素から選ばれた1種又は2種以上の酵素による糖化反応が進行し、基質であるマルトース〜マルトペンタオースを主成分とするグルコース重合度2以上の糖が十分に供給されるので、ニゲロオリゴ糖を糖固形分中に30重量%以上含有するニゲロオリゴ糖含有シラップを得ることができる。なお、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、オリゴ糖生成アミラーゼ、枝切り酵素から選ばれた1種又は2種以上と、糖転移・縮合反応によりニゲロオリゴ糖を生成する酵素とを同時に作用させる場合、それぞれの酵素の反応条件において一致する条件の範囲で反応させることが好ましい。
【0028】
以上のようにして得られたニゲロオリゴ糖を糖固形分中に30重量%以上含有するニゲロオリゴ糖含有シラップは、そのままシラップとして利用することもできるが、必要に応じて更に精製して、ニゲロオリゴ糖含量を更に高くすることもできる。精製の方法としては、例えば、シラップにアルコール類等の有機溶媒を添加してオリゴ糖類を沈殿分別する方法、活性炭カラム、ゲル濾過等の分子量による分離法を採用したクロマトグラフィー、あるいはイオン交換樹脂を用いたクロマト分画によりニゲロオリゴ糖以外の糖類を除去する方法、シラップに酵母を添加して発酵性糖類を資化させる方法等が挙げられる。
【0029】
本発明により得られる糖固形分中にニゲロオリゴ糖を30重量%以上含有するシラップは、低甘味で上品な甘さを有し、加熱により適度に着色し、保水性に優れる等、優れた性質を備えているので、各種飲食物等に添加して、種々の効果を付与することができる。
【0030】
また、本発明により得られるニゲロオリゴ糖含有シラップは、他の甘味成分と併用することもできる。例えば、ショ糖、水飴、粉飴、ブドウ糖、果糖、マルトース、異性化糖、乳糖、蜂蜜、カップリングシュガー、フラクトシルオリゴ糖等の各種糖類、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、マンニトール、ラクチトール、還元キシロオリゴ糖、還元グルコースシラップ等の糖アルコール、アスパルテーム、アリテーム、サッカリン、グリチルリチン、ステビオシド、レバウディオシド、スクラロース等の高甘味度甘味料から選ばれた1種又は2種以上と組み合わせて用いることができる。また、必要ならば、デキストリン、澱粉などのような増量剤と混合して使用することもできる。
【0031】
更に、通常の飲食物の甘味付けや呈味改良、品質改良等の効果の他、塩味や他の旨味をまろやかにしつつ引き立てる効果も有しているので、例えば、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、各種ふりかけ、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、麺つゆ、ソース、ケチャップ、焼肉等のタレ、カレールウ、シチューの素、だしの素、各種複合調味料、みりん、新みりん、テーブルトップシュガー、コーヒーシュガー、中華の素、天つゆ等の各種調味料に有効に使用することができる。
【0032】
また、低甘味で非常に上品な甘味を有し、甘味付けとしてだけでなく、甘味質、味質の改善効果も有し、更に、艶出し効果や蛋白質変性防止効果、賦コク等の効果も有しているので、煎餅、あられ、かりん糖、おこし、餅類、饅頭、求肥、餡類、羊羮、ゼリー、カステラ、飴玉、パン、パイ、クラッカー、ビスケット、プリン、ワッフル、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、スポンジケーキ、ドーナツ、アイスクリーム、シャーベット等の各種飲食物や、フラワーペースト、ピーナッツペースト、フルーツペースト等のペースト類、ジャム、マーマレード等の各種ジャム類、福神漬、千枚漬、らっきょう漬等の漬物類、ハム、ソーセージ、蒲鉾、ちくわ等の水産練製品及びその原材料のすり身、各種珍味類、佃煮等に用いることができる。
【0033】
本発明のニゲロオリゴ糖含有シラップは、上記したような効果の他に、飲食品成分の結晶化防止、酵素の安定化等の効果も有している。
【0034】
なお、本発明のニゲロオリゴ糖含有シラップは、飼料、各種化粧品、医薬品等にも適用できる。
【0035】
本発明のニゲロオリゴ糖含有シラップを、上記のような飲食物等に含有させるには、その飲食物等の製造工程の任意の工程において、例えば、混和、混捏、溶解、融解、浸漬、浸透、散布、被覆、噴霧、注入、晶出、固化、造粒等の公知の方法を適宜選択して行うことができる。
【0036】
【実施例】
実施例1
特開平7-59559 号に記載の方法に従って、アクレモニウムsp.S4G13株(Acremonium sp. S4G13、FERM BP−4373)を好気的に培養し、その培養液中からニゲロオリゴ糖生成酵素を採取した。固形分30重量%のマルトース溶液を基質とし、上記ニゲロオリゴ糖生成酵素を、1単位/g基質の量で添加して、pH7、55℃の条件下に48時間反応させて、ニゲロオリゴ糖含有シラップを得た。得られたニゲロオリゴ糖含有シラップの糖組成を分析し、その結果を、表1に示した。
【0037】
実施例2
実施例1において、基質を、固形分中のマルトースとグルコースの量比が5:5である固形分30重量%の溶液に代え、あとは実施例1と同様にして、ニゲロオリゴ糖含有シラップを得た。このシラップの糖組成を分析し、その結果を表1に示した。
【0038】
比較例
実施例1において、基質を、固形分中のマルトースとグルコースの量比が3:7である固形分30重量%の溶液に代え、あとは実施例1と同様にして、ニゲロオリゴ糖含有シラップを得た。このシラップの糖組成を分析し、その結果を表1に示した。
【0039】
実施例3
コーンスターチを、常法によりα−アミラーゼを用いて液化させ、濃度30重量%、グルコース当量7の澱粉液化液を得た。
【0040】
次いで、この澱粉液化液をpH5に調整した後、原料とした澱粉1重量部に対して0.001 量部のβ−アミラーゼ(商品名「β−アミラーゼ1500」、ナガセ生化学産業株式会社製)と、0.0001量部のイソアミラーゼ(林原生化学研究所株式会社製)とを添加して、55℃下に、24時間反応させて基質を得た。
【0041】
その後、この基質に、特開平7-59559 号に記載の方法で調製したアクレモニウム属の菌株が生産するニゲロオリゴ糖生成酵素を0.8 単位/g基質の量で添加して、55℃下に48時間反応させてニゲロオリゴ糖含有シラップを得た。このシラップの糖組成を分析し、その結果を表1に示した。
【0042】
実施例4
コーンスターチを実施例3と同様に処理して、澱粉液化液を得た。
次いで、この澱粉液化液をpH5に調整した後、実施例3と同じβ−アミラーゼ及びイソアミラーゼを実施例3と同じ量で、かつ、前記と同じニゲロオリゴ糖生成酵素を1.2 単位/g基質の量で、同時に添加して、55℃下に72時間反応させて、ニゲロオリゴ糖含有シラップを得た。このシラップの糖組成を分析し、その結果を表1に示した。
【0043】
【表1】
(表中の数値は、それぞれ糖固形分当たりの重量%を示す。また、三糖類、四糖類以上の糖類中の括弧内は、それぞれ糖固形分当たりの三糖類、四糖類以上のニゲロオリゴ糖量を示す。したがって、ニゲロオリゴ糖合計は、ニゲロース量と、三糖類、四糖類以上の糖類の括弧内の量との合計量である。)
【0044】
表1の結果から、基質として、グルコース重合度2以上の糖を糖固形分中に50重量%以上含有する糖水溶液を用いて、アクレモニウム属の菌株が生成するニゲロオリゴ糖生成酵素を反応させた実施例1、2、3、4のシラップは、糖固形分中のニゲロオリゴ糖量が30重量%以上であるが、グルコース重合度2以上の糖を糖固形分中に30重量%しか含有しない糖水溶液を用いて得られた比較例のシラップは、糖固形分中のニゲロオリゴ糖量が14.3重量%と少ないことがわかる。
【0045】
実施例5
馬鈴薯澱粉を、常法によりα−アミラーゼを用いて液化させ、濃度25重量%、グルコース当量5の澱粉液化液を得た。
【0046】
次いで、この澱粉液化液をpH6に調整した後、シュードモナス起源のマルトテトラオース生成酵素(日本食品化工株式会社製)4単位/g基質と、プルラナーゼ(商品名「プルラナーゼアマノ3」、天野製薬株式会社製)1単位/g基質とを添加して、55℃下に、24時間反応させて、基質を得た。なお、マルトテトラオース生成酵素及びプルラナーゼの力価の測定方法は、「生物化学実験法25 澱粉・関連糖質酵素実験法」、中村道徳、貝沼圭二編、学会出版センター、1989年に記載の方法による。
【0047】
その後、この基質に、アクレモニウム属の菌株が生産するニゲロオリゴ糖生成酵素を0.8 単位/g基質添加して、55℃下に48時間反応させて、ニゲロオリゴ糖含有シラップを得た。このシラップの糖組成を分析し、その結果を表2に示した。
【0048】
【表2】
(表中の数値は、それぞれ糖固形分当たりの重量%を示す。また、三糖類、四糖類、五糖類以上の糖類中の括弧内は、それぞれ糖固形分当たりの三糖類、四糖類、五糖類以上のニゲロオリゴ糖量を示す。したがって、ニゲロオリゴ糖合計は、ニゲロース量と、三糖類、四糖類、五糖類以上の糖類の括弧内の量との合計量である。)
【0049】
表2の結果から、馬鈴薯澱粉を液化させた後、この澱粉液化液に、マルトテトラオース生成酵素と、プルラナーゼとを作用させて得られる糖水溶液を基質として、ニゲロオリゴ糖生成酵素を作用させた場合にも、ニゲロオリゴ糖を糖固形分中に30.0重量%含有するシラップが得られることがわかる。
【0050】
実施例6
実施例3で得られたニゲロオリゴ糖含有シラップを、活性炭と、イオン交換樹脂とを用いて精製した後、固形分量が50重量%となるまで濃縮した。
【0051】
次いで、この濃縮液25mlを、イオン交換樹脂「Dowex88 」(商品名、ダウケミカル社製)を充填した、2.6 φ×100cm のカラムを用いて、60℃、空間速度0.1 で、精製水により分画して、ニゲロオリゴ糖の含有率を上げたシラップを得た。このシラップの糖組成を分析し、その結果を表3に示した。
【0052】
実施例7
実施例1で得られたニゲロオリゴ糖含有シラップを、水で3倍量に希釈した後、パン酵母「YFイースト」(商品名、旭化成工業株式会社製)を2重量%添加し、常温で2日間発酵させた。
【0053】
その後、得られた発酵液を、活性炭と、イオン交換樹脂とを用いて精製して、ニゲロオリゴ糖の含有率を上げたシラップを得た。このシラップの糖組成を分析し、その結果を表3に示した。
【0054】
【表3】
(表中の数値は、それぞれ糖固形分当たりの重量%を示す。また、三糖類、四糖類以上の糖類中の括弧内は、それぞれ糖固形分当たりの三糖類、四糖類以上のニゲロオリゴ糖量を示す。したがって、ニゲロオリゴ糖合計は、ニゲロース量と、三糖類、四糖類以上の糖類の括弧内の量との合計量である。)
【0055】
表3の結果から、本発明のニゲロオリゴ糖含有シラップの製造法により得られたシラップを、活性炭、イオン交換樹脂で精製したり、酵母を添加して発酵性糖類を資化させることにより、ニゲロオリゴ糖含量を更に高くすることができることがわかる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のニゲロオリゴ糖含有シラップの製造法によれば、ニゲロオリゴ糖を糖固形分中に30重量%以上と高含量に含むシラップを、安価に大量生産することができる。したがって、低甘味で、上品な甘さであり、保水性に優れ、加熱により適度に着色する等の特性を有するニゲロオリゴ糖を工業的に製造して、飲食物等の甘味料などとして利用することが可能になる。
Claims (2)
- 澱粉液化液に、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、オリゴ糖生成アミラーゼ、枝切り酵素から選ばれた1種又は2種以上を作用させて得られる糖水溶液であって、マルトース〜マルトペンタオースを主成分とするグルコース重合度2以上の糖を糖固形分中に50重量%以上含有し、糖濃度が10〜75重量%である糖水溶液からなる基質に、糖転移・縮合反応によりニゲロオリゴ糖を生成する酵素を作用させて、ニゲロオリゴ糖を糖固形分中に30重量%以上生成させることを特徴とするニゲロオリゴ糖含有シラップの製造法。
- 前記澱粉液化液に、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、オリゴ糖生成アミラーゼ、枝切り酵素から選ばれた1種又は2種以上と、糖転移・縮合反応によりニゲロオリゴ糖を生成する酵素とを同時に作用させて、ニゲロオリゴ糖を糖固形分中に30重量%以上生成させる請求項1記載のニゲロオリゴ糖含有シラップの製造法。
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