JP4033766B2 - 建築物表面の化粧構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に建築物内装面に適用することができる建築物表面の化粧構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築物の内壁材料としては、漆喰、壁土、石膏、モルタル等が使用されているが、これらの材料は吸湿性があったとしても、十分な放湿性をもつものではない。
これに対し、吸放湿性を有する材料として、珪藻土等の吸放湿性成分を構成成分とする塗材が注目されている。例えば、特許文献1では、特定粒子径の合成樹脂エマルションと珪藻土とを必須成分とする塗料が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、該公報に記載されたような塗料によって形成された塗膜面は、一般に、水分を吸収する性質を有している。このため、塗膜面に水分が付着すると、早期に塗膜内に水分が吸収拡散される。水分中に水溶性成分や分散成分等が含まれる場合は、これらの成分も塗膜内に吸収拡散される。さらに、水分中の物質が変色性や着色性を有する場合は、水分が付着した部分の塗膜の変色や、染みの発生が問題となる。
これに対し、吸放湿性塗膜の上にクリヤー塗料を塗装する方法があるが、この方法では、吸放湿性塗膜の質感が損われたり、吸放湿性が阻害されたり、あるいは塗膜の膨れが発生しやすくなる等の問題が生じる。
特許文献2では、吸放湿性基材に対して適用可能な上塗塗料が記載されている。しかしながら、該公報に記載の上塗塗料は、クレーや炭酸カルシウム等の体質顔料を多量に含むため、吸放湿性基材の色彩を隠ぺいし、意匠性を低下させるものである。また、形成された塗膜は、水分を吸収しやすく、塗膜変色を引き起こすおそれもある。
アルコキシシラン化合物等のモノマーやオリゴマーを主成分とする撥水剤を塗付する方法は、モルタル等のアルカリ性基材に対しては効果的である。しかし、中性の塗膜に適用した場合は、アルコキシシラン化合物が反応し難く、アルコキシシラン化合物が塗膜中に固定化されないため、長期にわたり撥水効果を維持することができない。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みされたものであり、優れた吸放湿性能を有するとともに、吸水防止性、汚れ防止性等の性能を併せもつ建築物表面の化粧構造を提供することを目的とするものである。
【0005】
【特許文献1】
特公昭62−15108号公報
【特許文献2】
特開平9−136366号公報
【0006】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するため、本発明者は鋭意検討を行い、吸放湿層及び上塗層が順に積層された化粧構造において、上塗層を形成する上塗塗料として、特定の複数の樹脂を組合わせた塗料を用いることに想到し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.建築物の基材に対し、吸放湿層及び上塗層が順に積層された化粧構造であって、該上塗層が、(A)シリコーンエマルション、及び(B)前記(A)以外の合成樹脂エマルション、を含有し、(A)成分と(B)成分との固形分比率が95:5〜5:95である上塗塗料によって形成されたものであることを特徴とする建築物表面の化粧構造。
2.吸放湿層が、結合剤、吸放湿性成分、及び骨材を含有する吸放湿性塗材によって形成されたものであることを特徴とする1.に記載の建築物表面の化粧構造。
3.吸放湿特性値が50g/m2以上であることを特徴とする1.または2.に記載の建築物表面の化粧構造。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態とともに詳細に説明する。
【0009】
(1)建築物の基材
本発明は、建築物の基材表面に対して適用することができる。具体的にその基材としては、例えば、石膏ボード、合板、コンクリート、モルタル、磁器タイル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、石綿セメント板、ALC板、サイディング板、押出成形板、鋼板、プラスチック板等が挙げられる。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、シーラー、サーフェーサー、フィラー等)が施されたものや、既に塗膜が形成されたものでもよく、また、壁紙が貼り付けられたものでもよい。
【0010】
(2)吸放湿層
本発明における吸放湿層は、吸放湿性を有する限り特に限定されず、公知の吸放湿性塗材によって形成されるものも使用できる。このうち、本発明では、下記の方法によって測定される吸放湿特性値が、50g/m2以上であるものが好適である。
【0011】
(吸放湿特性値)
作製した試験体の重量WD0を測定した後、これを温度20℃・湿度90%下で24時間放置後、重量WW1を測定し、続いて、温度20℃・湿度45%下で24時間放置し、重量WD1を測定する。同様の操作をもう1回繰り返し、湿潤状態での重量WW2と乾燥状態での重量WD2とを測定する。
次に、図1に示すように横軸に時間、縦軸に重量をとり、吸放湿曲線を作成し、下式により吸放湿特性値を算出して、その平均値を求める。
吸湿量W1(g)=WW1−WD0
放湿量W2(g)=WW1−WD1
吸湿量W3(g)=WW2−WD1
放湿量W4(g)=WW2−WD2
吸放湿特性値(g/m2)=(W1+W2+W3+W4)/{4×(試験体面積)}
【0012】
吸放湿層を形成する塗材(以下「吸放湿性塗材」という)として、結合剤、吸放湿性成分、及び骨材を含むものを使用すれば、意匠性の高い化粧面を形成することが可能となる。
【0013】
結合剤としては、水溶性樹脂及び水分散性樹脂から選ばれる1種以上が好適である。樹脂の種類としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコール、エチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。
結合剤としては、樹脂中に反応性官能基を含むものを使用することもできる。このような反応性官能基含有結合剤を使用する場合は、該反応性官能基と反応可能な官能基を有する架橋剤(以下単に「架橋剤」という)との併用により、形成塗膜の耐水性、耐湿性、強度、密着性、さらには吸放湿性を向上させることができる。このような官能基の組み合わせとしては、例えば、カルボキシル基と金属イオン、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基、水酸基とイソシアネート基、カルボニル基とヒドラジド基、エポキシ基とアミノ基、等があげられる。特に、結合剤の反応性官能基としてはカルボキシル基が望ましく、これに対する架橋剤としては、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物等が好適に用いられる。
【0014】
吸放湿性成分としては、例えば、シリカゲル、ゼオライト、硫酸ナトリウム、アルミナ、珪藻土、珪質頁岩、アロフェン、セピオライト、アタバルジャイト、モンモリロナイト、ゾノライト、イモゴライト、大谷石粉、活性白土、炭、活性炭、木粉、合成樹脂微粒子等が挙げられ、これらから選ばれる1種または2種以上を使用することができる。本発明では、特に、シリカゲルを用いた場合、耐水性の低下を抑えることができ好ましい。
吸放湿性成分の粒子径としては、特に限定されないが、0.05〜100μm、好ましくは0.1〜50μm、さらに好ましくは0.2〜20μm程度のものを使用することができる。
吸放湿性成分は、温度20℃・湿度65%における吸湿率(以下、単に「吸湿率」という)が10重量%以上、さらには20重量%以上であるものが好適である。なお、本発明における吸湿率とは、吸放湿性成分を120℃にて1時間乾燥した後、温度20℃・湿度65%の恒温恒湿器にて24時間吸湿させたときの重量変化より求められる値である。即ち、下記式によって算出される値である。
(式) 吸湿率(重量%)={(吸湿時の重量−乾燥時の重量)/乾燥時の重量}×100
【0015】
本発明における吸放湿性成分としては合成樹脂微粒子も好適である。合成樹脂微粒子を用いることにより、鮮映性の高い外観を表出することが可能となる。特に、カルボキシル基含有合成樹脂微粒子を使用すれば、上述の架橋剤との反応性により、耐水性、耐湿性、吸放湿性等を高めることが可能となる。さらに、合成樹脂微粒子は、吸放湿性向上の点から、架橋構造を有するものであることが望ましい。このような架橋構造は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド等の架橋性単量体や、ヒドラジン系化合物等の架橋性化合物を用いることにより導入することができる。吸放湿性成分として合成樹脂微粒子を用いた場合、合成樹脂微粒子の平均粒子径は、通常20μm以下、好ましくは0.05〜5μmである。
吸放湿性成分は、結合剤の固形分100重量部に対し、通常1〜150重量部、5〜100重量部、好ましくは10〜60重量部の比率で混合する。
【0016】
骨材は、様々な意匠性を付与することができる成分であり、自然石、自然石の粉砕物等の天然骨材、及び着色骨材等の人工骨材から選ばれる少なくとも一種以上が使用可能である。具体的には、例えば、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、蛍石、寒水石、長石、珪石、珪砂、及びこれらの粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ、樹脂粉砕物、樹脂ビーズ、金属粒等や、それらの表面を着色コーティングしたもの等が挙げられる。骨材の粒径は、通常0.01mm〜2.0mm、好ましくは0.1〜1.0mmである。
これら骨材は、結合剤の固形分100重量部に対し、通常30〜3000重量部、好ましくは100〜2500重量部の比率で混合する。
【0017】
上述の吸放湿性塗材を基材上に塗付することによって、吸放湿層を形成することができる。塗付方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、鏝、スプレー、ローラー、刷毛等の塗装器具を用いて塗付することができる。吸放湿性塗材の塗付量は、特に限定されないが、通常1〜6kg/m2である。
【0018】
(3)上塗層
本発明における上塗層は、(A)シリコーンエマルションと、(B)前記(A)以外の合成樹脂エマルションとを含む上塗塗料によって形成されるものである。このような上塗層を積層することにより、吸放湿層の質感や吸放湿性能を損うことなく、吸水防止性、汚れ防止性等の性能に優れる化粧面が得られる。
【0019】
シリコーンエマルション(以下「(A)成分」という)としては、例えば、ジメチルポリシロキサン等のジアルキルポリシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等のポリアリールシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のポリアルキルアリールシロキサンからなるシリコーンオイルやシリコーン樹脂、あるいは、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等の変性シリコーンオイルや変性シリコーン樹脂等をエマルション化したものを使用することができる。
【0020】
合成樹脂エマルション(以下「(B)成分」という)としては、上記(A)成分以外の合成樹脂エマルションを使用することができる。このような(B)成分としては、例えば、エチレン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、ポリエステル樹脂エマルション、アルキッド樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション等、あるいはこれらの複合系等が挙げられる。
【0021】
(B)成分のガラス転移温度は、5〜100℃であることが望ましい。ガラス転移温度が5℃より低い場合は、塗膜の粘着性が強くなり、汚れが付着しやすくなる。100℃より高い場合は、常温で造膜させるために多量の造膜助剤が必要となる。
【0022】
(B)成分の製造方法は特に限定されないが、例えば乳化重合法として、バッチ重合、モノマー滴下重合、乳化モノマー滴下重合等の方法により製造することができる。重合に用いる乳化剤としては、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤から選ばれる1種または2種以上を組合わせて用いることができる。このうち、不飽和二重結合を有する反応性乳化剤を使用した場合は、上塗塗料の貯蔵安定性を高めることができる点、さらには耐水性、耐湿性等に優れた塗膜が形成できる点で好適である。
【0023】
(A)成分と(B)成分との固形分比率は、95:5〜5:95であり、好ましくは80:20〜20:80、さらに好ましくは75:25〜25:75である。(A)成分がこの比率より少ない場合は、吸放湿性が低下してしまう。また、吸放湿層の質感が損なわれるおそれがある。(B)成分が少ない場合は、造膜性が低下し、吸水防止性や汚れ防止性が低下してしまう。
【0024】
上塗塗料としては、着色顔料や体質顔料を含まないものが好適であるが、最終的な仕上り等を勘案して、差し支えのない範囲でこれら顔料を使用することもできる。顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化第二鉄(べんがら)、クロム酸鉛(モリブデートオレンジ)、黄鉛、黄色酸化鉄、群青、コバルトグリーン等の無機系着色顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンツイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機系着色顔料、重質炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、ホワイトカーボン等の体質顔料が挙げられる。
また上塗塗料には、ワックス成分を混合することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体の低分子量ポリオレフィン系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、重合ワックス、密ロウ、綿ロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコールアセテート、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、脂肪酸クリセリド、硬化ヒマシ油、ワセリン、ポリオキシエチレン水素添加ラノリンアルコールエーテル等、あるいはそれらのカルボン酸変性物あるいは共重合物のカルボン酸変性物、又は高級脂肪酸あるいはその金属塩、エステル、アミド含有物等を挙げることができる。このようなワックス成分は上塗塗料の吸水防止性や汚れ防止性等をより向上させることができる。本発明では、特に、ポリエチレン系ワックスが好ましい。
その他、通常塗料に使用可能な添加剤、例えば、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、分散剤、抗菌剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を使用することもできる。
上塗塗料は、上述のような成分を適宜混合することにより製造することができるが、塗りムラ防止性や乾燥性等の塗装作業性を考慮すると、上塗塗料の固形分は概ね5〜40重量%(好ましくは10〜35重量%)とすることが望ましい。固形分の調整には主に水を用いればよい。
【0025】
上塗層は、上述の上塗塗料を吸放湿層上に塗付することによって形成することができる。この際、吸放湿性塗材が未硬化状態または硬化状態のいずれの状態においても、上塗塗料を塗付することができる。塗付方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、スプレー、ローラー、刷毛等の塗装器具を用いて塗付することができる。上塗層の塗付量は、特に限定されないが、通常0.01〜0.5kg/m2、好ましくは0.05〜0.3kg/m2である。
【0026】
【実施例】
以下に試験例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0027】
[吸放湿性塗材の製造]
表1に示す混合比率にて吸放湿性塗材を製造した。なお、原料としては下記に示すものを使用した。
・結合剤:アクリル系樹脂エマルション(モノマー組成:MMA,2EHA,MAA,AAm)、固形分50重量%、ガラス転移温度25℃
・吸放湿性成分1:MA−AN共重合体のヒドラジン・NaOH処理品、吸湿率(湿度65%下):55重量%、カルボキシル基量:7mmol/g、平均粒子径:0.4μm
・吸放湿性成分2:シリカゲル、吸湿率(湿度65%下):12%、ヒドロキシル基量:1mmol/g、平均粒子径:20μm
・吸放湿性成分3:珪藻土、吸湿率(湿度65%下):8%、平均粒子径:28μm
・架橋剤:オキサゾリン系架橋剤(組成:2−イソプロペニルー2−オキサゾリン,MMA,EA)、固形分:10重量%
・造膜助剤:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
・増粘剤:ヒドロキシエチルセルロース
・消泡剤:鉱物油系消泡剤
・骨材:平均粒子径0.2mmの茶色系着色骨材と平均粒子径0.3mmの黄色系着色骨材との混合物(重量比率=2:1)
【0028】
但し、MMA:メチルメタクリレート、MA:メチルアクリレート、2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート、MAA:メタクリル酸、AAm:アクリルアミド、AN:アクリロニトリル
【0029】
【表1】
【0030】
[上塗塗料の製造]
表2に示す混合比率にて上塗塗料を製造した。なお、原料としては下記に示すものを使用した。
・シリコーンエマルション:ジメチルポリシロキサンのポリオキシエチレンアルキルエーテル乳化物、固形分50重量%
・合成樹脂エマルション:アクリル系樹脂エマルション(モノマー組成:MMA,2EHA,MAA)、固形分50重量%、ガラス転移温度25℃
・造膜助剤:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
・消泡剤:鉱物油系消泡剤
【0031】
【表2】
【0032】
[試験体作製]
予め裏面及び側面をウレタン系樹脂塗料でシールし、さらに表面にアクリル系樹脂シーラーを塗装した300mm×300mm×6mmのスレート板を用意し、このスレート板の表面に、吸放湿性塗材を塗付量3kg/m2で鏝塗りした。温度23℃・湿度50%下(以下「標準状態」という)で24時間乾燥後、上塗塗料を塗付量0.15kg/m2でスプレー塗装し、標準状態にて14日間乾燥させたものを試験体とした。
【0033】
[試験方法]
1.吸放湿性
作製した試験体の重量WD0を測定した後、これを温度20℃・湿度90%下で24時間放置後、重量WW1を測定し、続いて、温度20℃・湿度45%下で24時間放置し、重量WD1を測定した。同様の操作をもう1回繰り返し、湿潤状態での重量WW2と乾燥状態での重量WD2とを測定した。
次に、図1に示すように横軸に時間、縦軸に重量をとり、吸放湿曲線を作成し、下式により吸放湿特性値を算出して、その平均値を求めた。
吸湿量W1(g)=WW1−WD0
放湿量W2(g)=WW1−WD1
吸湿量W3(g)=WW2−WD1
放湿量W4(g)=WW2−WD2
吸放湿特性値(g/m2)=(W1+W2+W3+W4)/{4×(試験体面積)}
【0034】
2.汚れ防止性
試験体の表面を上向きにして水平に静置し、スポイドを用いて、試験体の中央付近に市販の飲料用コーヒーを2cc滴下した。5分放置後、塗膜表面に水を流してコーヒーを除去して、乾燥したガーゼで軽く拭いた。このときの塗膜表面の状態を目視にて確認した。評価は、○:色・艶の変化が認められない、△:色・艶の軽微な変化が認められる、×:色・艶の大きな変化が認められる、とした。
【0035】
[試験結果]
吸放湿性塗材と上塗塗料の組み合わせ、及びその試験結果を表3に示す。
試験例1〜9は、上塗塗料を塗付しても吸放湿層の吸放湿性が阻害されず、汚れ防止性にも優れていた。特に、試験例1〜7は、高い吸放湿性能を示した。また、試験例1〜9では、上塗塗料を塗付しても質感の変化は認められなかった。
試験例10は、吸放湿性に劣る結果となった。また、上塗塗料を塗付することにより、塗膜表面に光沢が出て、質感が変化してしまった。
試験例11〜12は、汚れ防止性に劣る結果となった。
【0036】
【表3】
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた吸放湿性能を有するとともに、吸水防止性、汚れ防止性等の性能を併せもつ建築物表面の化粧構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】吸放湿特性値の測定方法を示すグラフである
【符号の説明】
1:吸放湿曲線
2:WD0
3:WW1
4:WD1
5:WW2
6:WD2
Claims (1)
- 建築物の基材に対し、吸放湿層及び上塗層が順に積層された化粧構造であって、該上塗層が、(A)シリコーンエマルション、及び(B)前記(A)以外の合成樹脂エマルション、を含有し、(A)成分と(B)成分との固形分比率が95:5〜5:95である上塗塗料によって形成されたものであることを特徴とする建築物表面の化粧構造。
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