JP4033517B2 - シリコン系薄膜光電変換装置 - Google Patents

シリコン系薄膜光電変換装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は薄膜光電変換装置に関し、特に、シリコン系薄膜光電変換装置の性能改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、たとえば多結晶シリコンや微結晶シリコンのような結晶質シリコンを含む薄膜を利用した光電変換装置の開発が精力的に行なわれている。これらの開発は、安価な基板上に低温プロセスで良質の結晶質シリコン薄膜を形成することによって光電変換装置の低コスト化と高性能化を両立させようという試みであり、太陽電池だけでなく光センサ等の様々な光電変換装置への応用が期待されている。
【0003】
このような良質の結晶質シリコン薄膜を形成する方法としては、基板上に大結晶粒径のシリコン薄膜の下地層を何らかのプロセスで形成した後に、この下地層をシード層または結晶化制御層として用いることによって、結晶粒界や粒内欠陥が少なくて一方向に強く結晶配向した良質の光電変換層となる結晶質シリコン薄膜をその下地層上に堆積させるという手法が知られている。より具体的には、基板上に堆積されたシリコン膜をゾーンメルト法によって大結晶粒径化したものを下地層に用いる方法がSolar Energy Materials and Solar Cells, Vol.34, 1994, p.285 に記載されており、また、基板上に堆積されたシリコン膜を固相成長法によって大粒径化したものを下地層に用いる方法がSolar Energy Materials and Solar Cells, Vol.34, 1994, p.257 に記載されている。しかし、これらのいずれにおいても、下地層または光電変換層の形成に500℃以上の比較的に高温度のプロセスを含んでいることから、用いられ得る基板の種類に制約がある。
【0004】
また、結晶質シリコン系光電変換層の下地層として非晶質シリコン系薄膜を用いた光電変換装置が、特開平7−263732に記載されている。この非晶質シリコン系薄膜は基板材料と結晶質シリコン系薄膜との熱膨張係数の相違による歪を緩和させることを目的としているが、この技術も500℃以上の高温度のプロセスにおける熱応力に対処するために必要とされるものであり、また、このような形成方法によって高い光電変換特性が得られたという事例は未だ存在していない。
【0005】
他方、安価な低融点ガラスの基板を用いることができかつ熱膨張係数の差異に基づく積層膜内の応力や歪が生じにくい比較的低温のプロセスのみを用いる方法であって、優れた光電変換効率の結晶質シリコン系薄膜光電変換装置を形成し得る方法が近年脚光を浴びている。たとえば、微結晶シリコンのpin接合からなる光電変換ユニットを含む光電変換装置がAppl.Phys.Lett.,Vol.65,1994,p.860 に記載されている。この光電変換ユニットは、簡便にプラズマCVD法で順次積層されたp型半導体層、光電変換層たるi型半導体層およびn型半導体層からなり、これらの半導体層のすべてが微結晶シリコンであることを特徴としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
光電変換ユニットを構成するシリコン系薄膜のすべてを低温プロセスのみで形成しようとする場合、光電変換層のための下地層として、シード層となり得る大粒径結晶質シリコン薄膜を形成することは非常に困難である。しかしながら、上述の先行技術中で、微結晶シリコンのpin接合をプラズマCVD法にて低温で形成する光電変換ユニットでは、導電型微結晶シリコンが光電変換層の下地層となっているものの、これは単に光電変換層との材料的類似性を考慮したものであって、光電変換層の結晶性を積極的に制御しようとするためのものではない。また、この下地層の導電型微結晶シリコン膜は小粒径の結晶シリコンが多数存在する膜であるので、この上に形成される結晶質シリコン系光電変換層はその成長初期過程で多数の結晶核を生じ、結果として光電変換特性に悪影響を及ぼす結晶粒界や粒内欠陥の多い膜になりやすいという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、上述のような先行技術の課題に鑑み、安価な基板が使用可能な低温プロセスのみを用いて形成されるシリコン系光電変換装置において、結晶質シリコン系薄膜光電変換層中の結晶粒界や粒内欠陥を低減させて光電変換特性を改善することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によるシリコン系薄膜光電変換装置は、基板上に形成された少なくとも1つの光電変換ユニットを含み、その光電変換ユニットは、プラズマCVD法によって順次積層された1導電型半導体層と、結晶質を含むシリコン系薄膜の光電変換層と、逆導電型半導体層とを含み、1導電型半導体層は、0.01原子%以上の導電型決定不純物原子を含む結晶質シリコン系薄膜および非晶質シリコン系薄膜を含みかつこの非晶質シリコン系薄膜が光電変換層と直接接しており、光電変換層は400℃以下の下地温度のもとで形成されたものであって、80%以上の体積結晶化分率と、2〜30原子%の範囲内の水素含有量と、0.5〜20μmの範囲内の厚さとを有していることを特徴としている。
【0009】
すなわち、本発明者らは、上述の先行技術における課題を解決すべく検討を重ねた結果、光電変換ユニットに含まれる半導体層のすべてをプラズマCVD法にて低温で形成するシリコン系薄膜光電変換装置の場合に、光電変換層の下地となる導電型層において、結晶質シリコン系光電変換層の結晶核発生の要因となる小粒径の結晶シリコンの密度を少なくすること、すなわちその極限として光電変換層と隣接する界面部分を結晶粒の存在しない非晶質状態にすることにより、光電変換層の成長初期過程における結晶核発生密度が適度に抑制されて、結晶粒界や粒内欠陥が少なくかつ一方向に強く結晶配向した良質の光電変換層が得られることを見出したのである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明に密接に関連する参考実施形態とともに、本発明による実施形態が説明される。
【0011】
図1は、本発明に密接に関連する参考実施形態1によるシリコン系薄膜光電変換装置を模式的な斜視図で図解している。この装置の基板101にはステンレス等の金属、有機フィルム、または低融点の安価なガラス等が用いられ得る。
【0012】
基板101上の裏面電極110は、下記の薄膜(A)と(B)のうちの1以上を含み、たとえば蒸着法やスパッタ法によって形成され得る。
(A) Ti、Cr、Al、Ag、Au、CuおよびPtから選択された少なくとも1以上の金属またはこれらの合金からなる金属薄膜。
(B) ITO、SnO2 およびZnOから選択された少なくとも1以上の酸化物からなる透明導電性薄膜。
【0013】
裏面電極110上には光電変換ユニット111のうちの1導電型半導体層104がプラズマCVD法にて堆積される。この1導電型半導体層104としては、たとえば導電型決定不純物原子であるリンが0.01原子%以上ドープされたn型非晶質シリコン層、またはボロンが0.01原子%以上ドープされたp型非晶質シリコン層などが用いられ得る。しかし、1導電型半導体層104に関するこれらの条件は限定的なものではなく、不純物原子としてはたとえばp型非晶質シリコンにおいてはアルミニウム等でもよく、また非晶質シリコンカーバイドや非晶質シリコンゲルマニウム等の合金材料の層を用いてもよい。導電型非晶質シリコン系薄膜104の厚さは1〜50nmの範囲内に設定され、より好ましくは2〜10nmの範囲内に設定される。
【0014】
下地となる1導電型半導体層104上には、光電変換層105として、結晶質を含むシリコン系薄膜がプラズマCVD法によって400℃以下の下地温度のもとで形成される。この光電変換層105としては、ノンドープのi型多結晶シリコン薄膜や体積結晶化分率80%以上のi型微結晶シリコン薄膜、あるいは微量の不純物を含む弱p型または弱n型で光電変換機能を十分に備えている結晶質シリコン系薄膜が使用され得る。また、光電変換層105はこれらに限定されず、合金材料であるシリコンカーバイドやシリコンゲルマニウム等の膜を用いてもよい。
【0015】
光電変換層105の膜厚は0.5〜20μmの範囲内で、より好ましくは1〜10μmの範囲内に設定され、結晶質を含むシリコン系薄膜光電変換層として必要かつ十分な厚さである。光電変換層105は400℃以下という低温で形成されるので、結晶粒界や粒内における欠陥を終端または不活性化させる水素原子を多く含み、その好ましい水素含有量は2〜30原子%の範囲内であり、より好ましは4〜20原子%の範囲内にある。
【0016】
シリコン系薄膜光電変換層105に含まれる結晶粒の多くは、下地層から上方に柱状に延びて成長している。それらの多くの結晶粒は膜面に平行に(110)の優先結晶配向面を有し、X線回折で求めた(220)回折ピークに対する(111)回折ピークの強度比が1/5以下であることが好ましく、1/10以下であることがより好ましい。
【0017】
光電変換層105上には、その下地層104とは逆タイプの導電型半導体層106としての微結晶シリコン系薄膜がプラズマCVD法によって堆積される。この逆導電型微結晶シリコン系薄膜106としては、たとえば導電型決定不純物原子であるボロンが0.01原子%以上ドープされたp型微結晶シリコン薄膜、またはリンが0.01原子%以上ドープされたn型微結晶シリコン薄膜などが用いられ得る。しかし、逆導電型半導体層106についてのこれらの条件は限定的なものではなく、不純物原子としてはたとえばp型微結晶シリコンにおいてはアルミニウム等でもよく、また微結晶シリコンカーバイドや微結晶シリコンゲルマニウム等の合金材料の膜を用いてもよい。なお、逆導電型微結晶シリコン系薄膜106の厚さは3〜100nmの範囲内に設定され、より好ましくは5〜50nmの範囲内に設定される。
【0018】
光電変換ユニット111上には、ITO、SnO2 、ZnO等から選択された少なくとも1以上の層からなる透明導電性酸化膜が形成され、さらにこの上にグリッド電極としてAl、Ag、Au、Cu、Pt等から選択された少なくとも1以上の金属またはこれらの合金の層を含む櫛形状の金属電極108がスパッタ法または蒸着法により形成され、これによって図1に示されているような光電変換装置が完成する。
【0019】
図3は、本発明の一実施形態によるシリコン系薄膜光電変換装置を模式的な斜視図で図解している。図3の光電変換装置においては、図1の場合と同様に基板301上に裏面電極310が形成されるが、裏面電極310上には、1導電型微結晶シリコン系薄膜304aがプラズマCVD法で堆積された後に同一導電型の非晶質シリコン系薄膜304bがプラズマCVD法で堆積される。
【0020】
1導電型微結晶シリコン系薄膜304aとしては、たとえば導電型決定不純物原子であるリンが0.01原子%以上ドープされたn型微結晶シリコン薄膜、またはボロンが0.01原子%以上ドープされたp型微結晶シリコン薄膜などが用いられ得る。しかし、1導電型微結晶シリコン層304aについてのこれらの条件は限定的なものではなく、不純物原子としてはたとえばp型微結晶シリコンにおいてはアルミニウム等でもよく、また微結晶シリコンカーバイドや微結晶シリコンゲルマニウム等の合金材料の膜を用いてもよい。1導電型微結晶シリコン系薄膜304aの厚さは3〜100nmの範囲内に設定され、より好ましくは5〜50nmの範囲内に設定される。
【0021】
1導電型微結晶シリコン薄膜304a上には、非晶質シリコン系薄膜304b、光電変換層305、逆導電型半導体層306、透明前面電極307、および櫛形状金属電極308が、図1中のそれぞれ対応する要素104〜108と同様に形成され、これによって本発明の一実施形態による図3の光電変換装置が完成する。
【0022】
図5は、本発明に密接に関連する参考実施形態2によるタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置を模式的な斜視図で図解している。図5のタンデム型光電変換装置においては、図1の場合と同様に基板501上の複数の半導体層502〜506が、図1の基板101上の複数の半導体層102〜106に対応して同様に形成される。
【0023】
しかし、図5のタンデム型光電変換装置においては、第1の光電変換ユニット511上に重ねて第2の光電変換ユニット512がさらに形成される。第2の光電変換ユニット512は、第1の光電変換ユニット511上に順次積層された1導電型の微結晶または非晶質のシリコン系薄膜513、実質的に真正半導体である非晶質シリコン系薄膜光電変換層514、および逆導電型の微結晶または非晶質のシリコン系薄膜515を含んでる。
【0024】
第2の光電変換ユニット512上には、前面透明電極507および櫛形状金属電極508が図1中の対応する要素107および108と同様に形成され、これによって図5のタンデム型光電変換装置が完成する。
【0025】
【実施例】
以下において、本発明に密接に関連する参考例および本発明の実施例によるシリコン系薄膜光電変換装置としてのシリコン系薄膜太陽電池が、比較例による太陽電池とともに説明される。
【0026】
(比較例1)
図2に示されているような多結晶シリコン薄膜太陽電池が、比較例1として作製された。まず、ガラス基板201上に、裏面電極210として、厚さ300nmのAg膜202とその上の厚さ100nmのZnO膜203のそれぞれがスパッタ法にて形成された。裏面電極210上には、厚さ30nmでリンドープされたn型微結晶シリコン層204、厚さ3μmでノンドープの多結晶シリコン光電変換層205、および厚さ15nmでボロンドープされたp型微結晶シリコン層206がそれぞれプラズマCVD法により成膜され、nip光電変換ユニット211が形成された。光電変換ユニット211上には、前面電極207として、厚さ80nmの透明導電性ITO膜がスパッタ法にて堆積され、その上に電流取出のための櫛形Ag電極208が蒸着法にて形成された。
【0027】
n型微結晶シリコン層204は、RFプラズマCVD法により、以下に示す条件にて堆積された。すなわち、反応ガスの流量としてはシランが5sccm、水素が200sccm、そしてホスフィンが0.05sccmであり、反応室内圧力は1Torrに設定された。また、RFパワー密度は150mW/cm2 であり、成膜温度は200℃であった。これと同一の成膜条件でガラス基板上に直接堆積した厚さ300nmのn型微結晶シリコン膜の暗導電率は、10S/cmであった。さらに、このn型微結晶シリコン層204上に形成される多結晶シリコン光電変換層205は、成膜温度300℃のもとでRFプラズマCVD法により堆積された。多結晶シリコン光電変換層205において、2次イオン質量分析法から求めた水素含有量は5原子%であり、X線回折における(220)回折ピークに対する(111)回折ピークの強度比は1/4であった。
【0028】
この比較例1の太陽電池に入射光209としてAM1.5の光を100mW/cm2 の光量で照射したときの出力特性においては、開放端電圧が0.461V、短絡電流密度が26.8mA/cm2 、曲線因子が74.5%、そして変換効率が9.2%であった。
【0029】
参考例1)
図1の参考実施形態1に対応して、参考例1としての多結晶シリコン薄膜太陽電池が作製された。この参考例1の太陽電池は、n型微結晶シリコン層204の代わりに厚さ30nmのn型非晶質シリコン層104を含んでいることのみにおいて比較例1の太陽電池と異なっている。すなわち、参考例1による図1の太陽電池中の要素101〜103および105〜108は、比較例1による図2の太陽電池中の要素201〜203および205〜208のそれぞれに対応した同じ方法と条件によって形成されたものである。
【0030】
図1中のn型非晶質シリコン層104は、RFプラズマCVD法により、以下に示す条件にて堆積された。すなわち、反応ガスの流量としては、シランが10sccm、水素が10sccm、そしてホスフィンが0.05sccmであり、反応室内圧力は1Torrに設定された。RFパワー密度は15mW/cm2 であり、成膜温度は150℃であった。これと同一の成膜条件でガラス基板上に直接堆積した厚さ300nmのn型非晶質シリコン膜の暗導電率は5×10-6S/cmであった。このn型非晶質シリコンの下地層104上に形成された多結晶シリコン光電変換層105において、2次イオン質量分析法から求めた水素含有量は比較例1とほぼ同じ5原子%であったが、X線回折における(220)回折ピークに対する(111)回折ピークの強度比は1/9に減少した。
【0031】
このような参考例1の太陽電池に入射光109としてAM1.5の光を100mW/cm2 の光量で照射したときの出力特性においては、開放端電圧が0.540V、短絡電流密度が27.0mA/cm2 、曲線因子が64.8%、そして変換効率が9.4%であった。
【0032】
(実施例
図3の実施形態に対応して、本発明の実施例としての多結晶シリコン薄膜太陽電池が作製された。この実施例の太陽電池は、n型微結晶シリコン層204の代わりに厚さ30nmのn型微結晶シリコン層304aとその上に積層された厚さ5nmのn型非晶質シリコン層304bを含んでいることのみにおいて比較例1の太陽電池と異なっている。すなわち、実施例による図3の太陽電池中の要素301〜303および305〜308は、比較例1による図2の太陽電池中の要素201〜203および205〜208のそれぞれに対応した同じ方法と条件によって形成されたものである。
【0033】
この実施例におけるn型微結晶シリコン層304aおよびn型非晶質シリコン層304bは、それぞれ、比較例1のn型微結晶シリコン層204および参考例1のn型非晶質シリコン層104と同様に成膜された。このn型非晶質シリコン層304b上に形成された多結晶シリコン光電変換層305についてのX線回折における(220)回折ピークに対する(111)回折ピークの強度比は1/12であった。
【0034】
このような実施例の太陽電池に入射光309としてAM1.5の光を100mW/cm2 の光量で照射したときの出力特性においては、開放端電圧が0.544V、短絡電流密度が27.2mA/cm2 、曲線因子が74.4%、そして変換効率が11.0%であった。
【0035】
(比較例1、参考例1および実施例の比較)
参考例1と比較例1とを比べれば明らかなように、参考例1では太陽電池出力特性の中で開放端電圧が0.540Vであって、比較例1の0.461Vに比べて顕著に高くなっている。これは、参考例1においてn型非晶質シリコン層104を下地としているので、その上の光電変換層105の成長初期において発生する結晶核密度が適度に抑制され、結晶粒界や粒内欠陥が少なくて結晶配向軸の揃った良質の光電変換層105が得られたことによる。このことは、光電変換層105についてのX線回折における(220)回折ピークに対する(111)回折ピークの強度比が1/9のように小さな値であることによって裏付けられている。また、比較例1では、n型微結晶シリコン層204と光電変換層205とが実質的に結晶材料同士の接合を形成しているのに対して、参考例1では非晶質層104と結晶質層105とのヘテロ接合を形成しているので、このヘテロ接合も開放端電圧を向上させるように作用している。
【0036】
他方、参考例1においては、低導電率のn型非晶質シリコン層104が比較例1におけるn型微結晶シリコン層204と同じ膜厚を有しているので直列抵抗が大きくなって、曲線因子が比較例1の74.5%に比べて64.8%に低下している。その結果、開放端電圧の向上の効果が曲線因子の低下の効果によって相殺されてしまい、参考例1の変換効率9.4%と比較例1の変換効率9.2%との間には、わずかな改善しかみられない。
【0037】
実施例は、このような参考例1の出力特性をさらに改善したものである。すなわち、実施例においては、参考例1の比較的厚い非晶質シリコン層204の代わりとして、高導電率のn型微結晶シリコン層304aを堆積した後に膜厚の薄いn型非晶質シリコン層304bが堆積されているので、直列抵抗の増大が抑制されて比較例1の場合とほぼ同等の曲線因子74.4%が維持されている。しかも、実施例においては、光電変換層305がn型非晶質シリコン層304b上に堆積されているので、参考例1の場合と同様の効果によって同様の高い開放端電圧0.544Vが得られ、その結果として11.0%の高い光電変換効率が得られている。
【0038】
(比較例2)
図4に示されているようなタンデム型太陽電池が比較例2として作製された。この比較例2の太陽電池においては、要素401〜406が比較例1の対応する要素201〜206と同様に形成された。しかし、この比較例2においては、第1の光電変換ユニット411上に、さらに非晶質シリコン光電変換ユニット412が積層された。この第2の光電変換ユニット412は、それぞれが非晶質のn層413、i層414、およびp層415を含んでいる。非晶質光電変換層414の厚さは、0.4μmにされた。このような第2の光電変換セル412上に前面透明電極407および櫛形金属電極408を比較例1の対応する要素207および208と同様に形成することによって、図4に示されているような比較例2のタンデム型太陽電池が作製された。
【0039】
このような比較例2による非晶質シリコン薄膜/多結晶シリコン薄膜型のタンデム型太陽電池に対して入射光409としてAM1.5の光を100mW/cm2 の光量で照射したときの出力特性においては、開放端電圧が1.34V、短絡電流密度が13.3mA/cm2 、曲線因子が73.3%、そして変換効率が13.0%であった。
【0040】
参考例2
図5の参考実施形態2に対応して、参考例2としてタンデム型太陽電池が作製された。この参考例2のタンデム型太陽電池においては、その要素501〜506が、参考例1の対応する要素101〜106と同様に形成された。しかし、この参考例2のタンデム型太陽電池においては、第1の光電変換ユニット511上に、図4の比較例2の半導体層413〜415と同様の半導体層513〜515が形成された。すなわち、参考例2における第2の光電変換ユニット512は、図4の比較例2における非晶質シリコン光電変換ユニット412と同じ条件で形成されている。このような第2の光電変換ユニット512上に、さらに前面透明電極507および櫛形金属電極508を比較例2の対応する要素407および408と同様に形成することによって、図5に示されているような参考例2のタンデム型太陽電池セルが作製された。
【0041】
この参考例2による非晶質シリコン薄膜/多結晶シリコン薄膜型のタンデム型太陽電池に対して入射光509としてAM1.5の光を100mW/cm2 の光量で照射したときの出力特性としては、開放端電圧が1.42V、短絡電流密度が13.5mA/cm2 、曲線因子が73.1%、そして変換効率が14.0%であった。
【0042】
(比較例2と参考例2の比較)
比較例1と参考例1との比較において述べたように、単一の光電変換ユニット111を含む参考例1の多結晶シリコン薄膜太陽電池においては、開放端電圧の向上の効果が曲線因子の低下の効果によって相殺されたために、変換効率には大きな改善がみられなかった。しかし、非晶質シリコン光電変換ユニット512を含む参考例2のタンデム型太陽電池においては、光電変換効率が14.0%であって、比較例2の光電変換効率13.0%に比べてかなり高くなっている。これは、タンデム化によって第1光電変換ユニット511の低曲線因子の影響を少なくできることによるものである。すなわち、曲線因子が低くても開放端電圧が高い参考例1のような薄膜多結晶シリコン太陽電池であっても、非晶質シリコン系光電変換ユニットと組合せてタンデム化することによって、優れた光電変換効率を得ることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、結晶質を含むシリコン系光電変換層を高品質化することができ、それによってシリコン系薄膜光電変換装置の高性能化に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に密接に関連する参考実施形態1による結晶質シリコン系薄膜光電変換装置を示す模式的な斜視図である。
【図2】 先行技術による比較例1としての結晶質シリコン系薄膜光電変換装置を示す模式的な斜視図である。
【図3】 本発明の一実施形態による結晶質シリコン系薄膜光電変換装置を示す模式的な斜視図である。
【図4】 先行技術による比較例2としての非晶質シリコン薄膜/結晶質シリコン薄膜型のタンデム型光電変換装置を示す模式的な斜視図である。
【図5】 本発明に密接に関連する参考実施形態2による非晶質シリコン薄膜/結晶質シリコン薄膜型のタンデム型光電変換装置を示す模式的な斜視図である。
【符号の説明】
101、201、301、401、501:ガラス等の基板
102、202、302、402、502:Ag等の膜
103、203、303、403、503:ZnO等の膜
204、304a、404:たとえばn型の1導電型微結晶シリコン層
104、304b、504:たとえばn型の1導電型非晶質シリコン層
105、205、305、405、505:結晶質シリコン光電変換層
106、206、306、406、506:たとえばp型の逆導電型微結晶シリコン層
107、207、307、407、507:ITO等の透明導電膜
108、208、308、408、508:Ag等の櫛形電極
109、209、309、409、509:照射光
110、210、310、410、510:裏面電極
111、211、311、411、511:結晶質シリコン光電変換ユニット
412、512:非晶質シリコン光電変換ユニット

Claims (4)

  1. 基板上に形成された少なくとも1つの光電変換ユニットを含み、
    前記光電変換ユニットは、プラズマCVD法によって順次積層された1導電型半導体層と、結晶質を含むシリコン系薄膜光電変換層と、逆導電型半導体層とを含み、
    前記1導電型半導体層は、0.01原子%以上の導電型決定不純物原子を含む結晶質シリコン系薄膜および非晶質シリコン系薄膜を含みかつこの非晶質シリコン系薄膜が前記光電変換層と直接接しており、
    前記光電変換層は400℃以下の下地温度のもとで形成されたものであって、80%以上の体積結晶化分率と、2〜30原子%の範囲内の水素含有量と、0.5〜20μmの範囲内の厚さとを有していることを特徴とするシリコン系薄膜光電変換装置。
  2. 前記1導電型非晶質シリコン系薄膜の厚さが1〜50nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のシリコン系薄膜光電変換装置。
  3. 前記光電変換層はその膜面に平行に(110)の優先結晶配向面を有し、そのX線回折における(220)回折ピークに対する(111)回折ピークの強度比が1/5以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のシリコン系薄膜光電変換装置。
  4. 前記シリコン系薄膜光電変換装置は前記基板上で前記光電変換ユニット上にさらに積層された非晶質シリコン系光電変換ユニットを含むタンデム型であることを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に記載のシリコン系薄膜光電変換装置。
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