JP4032960B2 - 光ファイバ融着接続装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1の光ファイバ及び第2の光ファイバそれぞれの端面を互いに融着接続する光ファイバ融着接続装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
2本の光ファイバそれぞれの端面を互いに接続する方法として、光コネクタによる接続の他、融着による接続がある。融着接続は、2本の光ファイバそれぞれの端面を放電等により加熱して融着することで、2本の光ファイバを互いに接続するものである。
【0003】
光ファイバをこのように融着接続する際には、接続部分における光損失が極力小さくなるような接続条件を設定する必要がある。例えば、特許文献1に開示された光ファイバの融着接続方法では、光ファイバの接続部分を撮像して得られた画像にもとづいて、2本の光ファイバを融着接続する際の接続条件を設定している。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−150131号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年の光ファイバは多品種化が進んでおり、光ファイバを融着接続する際の組み合わせは複雑化している。このような複雑な組み合わせに応じた接続条件を管理する有効な手段はこれまで存在しなかったため、作業者が接続条件を誤って設定する危険性があった。また、作業者が接続条件を設定できない場合があった。
【0006】
本発明はこのような問題点を鑑みてなされたものであり、多品種である光ファイバを融着接続する際に適切に接続条件を設定できる光ファイバ融着接続装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による光ファイバ融着接続装置は、第1及び第2の光ファイバを互いに融着接続する光ファイバ融着接続装置であって、光ファイバをその構造により複数のカテゴリに分類したカテゴリ情報、及びカテゴリの組み合わせに応じた接続条件を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶されたカテゴリ情報に基づいて、第1及び第2の光ファイバに適用される接続条件を記憶手段から読み出し、設定する条件設定手段と、条件設定手段により設定された接続条件に基づいて、第1及び第2の光ファイバの端面同士を融着接続する接続手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明による光ファイバ融着接続装置では、光ファイバをその構造により複数のカテゴリに分類して記憶手段に記憶させる。そして、第1及び第2の光ファイバそれぞれのカテゴリに応じた接続条件が条件設定手段により設定され、接続手段により融着接続される。これにより、カテゴリに応じた適切な接続条件を作業者が容易に管理し、設定することができる。
【0009】
また、光ファイバ融着接続装置は、記憶手段が、少なくとも、階段型プロファイルを有する分散シフト光ファイバを含むカテゴリと、分割型プロファイルを有する分散シフト光ファイバを含む他のカテゴリとを記憶することを特徴としてもよい。これにより、特性の差が著しいこれらの光ファイバの接続条件を作業者が容易に管理し設定することができる。
【0010】
また、光ファイバ融着接続装置は、記憶手段が、カテゴリ情報に対応づけられたプロファイル情報をさらに記憶しており、第1及び第2の光ファイバ側面に光を照射して、第1及び第2の光ファイバを透過した光を観察する観察手段と、カテゴリ情報に基づいて、第1及び第2の光ファイバのカテゴリに対応するプロファイル情報を記憶手段から読み出すとともに、当該プロファイル情報と観察手段における観察結果とに基づいて、第1及び第2の光ファイバのコア領域情報を検出するコア検出手段とをさらに備えることを特徴としてもよい。この光ファイバ融着接続装置では、コア検出手段が、記憶手段に記憶された、第1及び第2の光ファイバのカテゴリに対応するプロファイル情報と観察手段における観察結果とを照合して観察結果が正確か否かを判断する。これにより、作業者は、多品種である光ファイバのプロファイル情報を数種類のカテゴリに応じて用意すればよく、プロファイル情報を容易に管理できる。また、カテゴリ情報と対応づけられたプロファイル情報を利用することにより、例えば第1及び第2の光ファイバのコア領域の外径や位置、軸ずれ量や角度ずれ量などのコア領域情報を正確に検出できる。
【0011】
また、光ファイバ融着接続装置は、第1及び第2の光ファイバが接続手段により融着接続される前にコア検出手段により検出されたコア領域情報に基づいて、第1及び第2の光ファイバそれぞれのコア領域の位置が互いに整合するように第1及び第2の光ファイバそれぞれを移動する調心手段をさらに備えることを特徴としてもよい。この光ファイバ融着接続装置では、調心手段がコア領域情報に基づいて第1及び第2の光ファイバそれぞれを移動してコア領域の位置を整合させる。これにより、第1及び第2の光ファイバを融着接続する際に、互いのコア領域を整合して光損失を小さくできる。
【0012】
また、光ファイバ融着接続装置は、記憶手段が、光ファイバの識別情報と、当該光ファイバの識別情報に対応する光学特性情報とをさらに記憶しており、第1及び第2の光ファイバが接続手段により融着接続された後にコア検出手段により検出されたコア領域情報と、記憶手段に記憶された第1及び第2の光ファイバに該当する識別情報に対応する光学特性情報とに基づいて、第1及び第2の光ファイバの接続部分における光損失を推定する損失推定手段をさらに備えることを特徴としてもよい。この光ファイバ融着接続装置では、損失推定手段が、コア検出手段により検出された正確なコア領域情報と、記憶手段に記憶された光学特性情報とに基づいて光損失を推定する。これにより、第1及び第2の光ファイバの接続部分における光損失を適切に推定することができる。
【0013】
また、光ファイバ融着接続装置は、記憶手段が、カテゴリ情報に基づくカテゴリの組み合わせに応じた補正情報をさらに記憶しており、損失推定手段が、補正情報に基づいて接続部分における光損失の推定結果を補正することを特徴としてもよい。この光ファイバ融着接続装置では、実験等により得られた補正情報に基づいて、カテゴリ組み合わせ次第で不正確となり得る光損失の推定結果を補正する。これにより、第1及び第2の光ファイバの接続部分における光損失をさらに適切に推定することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明による光ファイバ融着接続装置の実施形態を示すブロック図である。本実施形態の光ファイバ融着装置1は、第1の光ファイバ3aと第2の光ファイバ3bとを放電加熱により互いに融着接続する装置である。
【0016】
光ファイバ融着接続装置1は、記憶手段としてメモリ5を、演算処理手段としてCPU7を、それぞれ備えている。また、光ファイバ融着接続装置1は、観察手段9、電極11、支持台13a及び13b、操作手段15、表示手段17、並びに放電回路19を備えている。
【0017】
メモリ5は、データベース記憶領域31を備えている。データベース記憶領域31は、第1の記憶領域33、第2の記憶領域35、及び第3の記憶領域37が設けられた構造となっている。第1の記憶領域33は、カテゴリリスト39及びプロファイル情報41を記憶している。第2の記憶領域35は、接続条件データ43及び補正情報45を記憶している。第3の記憶領域37は、ファイバリスト47及びMFDデータ49を記憶している。
【0018】
カテゴリリスト39は、多品種の光ファイバをその構造により複数のカテゴリに分類したカテゴリ情報である。本実施形態における第1の記憶領域33は、カテゴリリスト39における複数のカテゴリとして、ステップ型シングルモード光ファイバ(Single Mode Fiber、以下SMFという)を含むカテゴリと、階段型プロファイルを有する分散シフト光ファイバ(Dispersion Shifted Fiber、以下DSFという)を含むカテゴリと、及び分割型プロファイルを有する実効断面積拡大型の分散シフト光ファイバ(Large Core Fiber、以下LCFという)を含むカテゴリとを記憶している。カテゴリリスト39は、操作手段15から作業者により入力された、光ファイバ3a及び3bに対応する識別情報S1に基づいて、光ファイバ3a及び3bをカテゴリ分類するために使用される。
【0019】
また、プロファイル情報41は、カテゴリリスト39と対応づけられた、光ファイバの構造に関する情報である。プロファイル情報41は、光ファイバの外径、コア径、屈折率差、添加物などの情報を含んでいる。また、プロファイル情報41は、外径とコア径と屈折率差とを複合したような情報を含んでもよい。プロファイル情報41は、カテゴリリスト39により分類された光ファイバ3a及び3bのカテゴリに基づいて、光ファイバ3a及び3bそれぞれのファイバ構造に関する情報を得るために使用される。
【0020】
なお、一般的な分散シフト光ファイバであるDSFは、その断面構造において階段型の屈折率分布を有しており、モードフィールド径(Mode Field Diameter、以下MFDという)が8〜9μmである。一方、実効断面積拡大型の分散シフト光ファイバであるLCFは、その断面構造において分割型の屈折率分布を有しており、MFDが9〜10μmであり、DSFより大きい。DSF及びLCFにはこのような断面構造の違いがあるので、メモリ5の第1の記憶領域33は、カテゴリリスト39に含まれる複数のカテゴリとして、少なくともDSFを含むカテゴリ及びLCFを含むカテゴリを記憶していることが好ましい。
【0021】
また、接続条件データ43は、光ファイバを融着接続する際の接続条件を設定するためのデータである。接続条件データ43は、接続される光ファイバのカテゴリの組み合わせに応じて用意される。本実施形態による光ファイバ融着接続装置1は光ファイバ同士を放電加熱により融着接続するので、接続条件データ43は主に放電条件を含んでいる。放電条件は、光ファイバ融着接続装置1の製造時に実験等により求められる。接続条件データ43は、光ファイバ3a及び3bそれぞれのカテゴリの組み合わせに応じて、光ファイバ3a及び3bの融着接続時に接続条件を設定するために使用される。
【0022】
また、補正情報45は、後述する損失推定手段29が光ファイバ3a及び3bの接続部分3cにおける光損失をより正確に推定するための情報である。補正情報45は、接続される光ファイバのカテゴリの組み合わせに応じて用意される。補正情報45については、後述する実施例において詳細に説明する。
【0023】
また、ファイバリスト47は、多品種の光ファイバを例えば品番ごとに識別するための識別情報である。ファイバリスト47は、操作手段15から作業者により入力された、光ファイバ3a及び3bの識別情報S1に基づいて、光ファイバ3a及び3bを識別するために使用される。
【0024】
また、MFDデータ49は、ファイバリスト47に対応したMFDなどの光学特性情報である。MFDデータ49は、接続される光ファイバの識別ごとに用意される。MFDデータ49は、後述する損失推定手段29が接続部分3cにおける光損失を推定する際に使用される。
【0025】
なお、メモリ5の第1の記憶領域33、第2の記憶領域35、及び第3の記憶領域37に記憶される各情報は、光ファイバ3a及び3bを接続する前に作業者があらかじめ入力して記憶させておくとよい。
【0026】
CPU7は、コア検出手段21、調心制御手段23、条件設定手段27、及び損失推定手段29を備えている。これらの手段は、CPU7の内部または外部の記憶デバイスに記憶されているプログラムをCPU7が読み込み、実行することにより実現される。
【0027】
CPU7が備えるコア検出手段21は、光ファイバ3a及び3bのコア領域情報を検出する手段である。ここで、コア領域情報は、コア領域の外径、位置、軸ずれ量、及び角度ずれ量などの情報を含んでいる。コア検出手段21は、後述する観察手段9から入力する観察データS5に基づいて、コア領域情報を検出する。このとき、コア検出手段21は、メモリ5の第1の記憶領域33に記憶されているプロファイル情報41にさらに基づいてコア領域を検出する。すなわち、プロファイル情報41と観察データ5とを照合することにより、コア領域を正確に検出する。使用されるプロファイル情報41は、作業者が操作手段15から入力した光ファイバ3a及び3bの識別情報に基づいて、光ファイバ3a及び3bそれぞれのカテゴリに応じて読み出される。コア検出手段21は、コア領域情報のうち、光ファイバ3a及び3bそれぞれのコア領域の外径及び位置を融着接続前に検出して、第1のコア領域情報S6として調心制御手段23に送る。また、コア検出手段21は、光ファイバ3a及び3bそれぞれのコア領域同士の互いの軸ずれ量及び角度ずれ量を融着接続後に検出して、第2のコア領域情報S7として損失推定手段29に送る。
【0028】
観察手段9は、光ファイバ3a及び3bの側面に光を照射して、光ファイバ3a及び3bを透過した光を観察する手段である。すなわち、観察手段9はLEDなどの光源と、レンズと、透過した光を受光するCCDなどの撮像装置とを含んでいる。光ファイバ3a及び3bは、光源から照射された光を透過するときに、光ファイバ断面の屈折率分布に応じて光を屈折させる。このようにして透過した光を撮像装置が受光し、観察結果である観察データS5を生成する。観察手段9は、生成した観察データS5をコア検出手段21に送る。
【0029】
CPU5が備える調心制御手段23は、支持台13a及び13bとともに、光ファイバ3a及び3bそれぞれのコア領域が互いに整合するように光ファイバ3a及び3bそれぞれを移動する調心手段を構成する。支持台13a及び13bは、光ファイバ3a及び3bを支持している。また、支持台13a及び13bは移動可能に設けられている。調心制御手段23は、光ファイバ3a及び3bの融着接続前に、光ファイバ3a及び3bそれぞれのコア領域の位置が互いに整合するように支持台13a及び13bの移動を制御するための制御信号S3及びS4それぞれを支持台13a及び13bそれぞれに送る。このとき、コア領域の位置は、融着接続前にコア検出手段21により検出された第1のコア領域情報S6に基づいて認識される。支持台13a及び13bは、制御信号S3及びS4に従って移動し、光ファイバ3a及び3bのコア領域を整合させる。
【0030】
CPU7が備える条件設定手段27は、光ファイバ3a及び3bに適用される接続条件を第2の記憶領域35に記憶されている接続条件データ43から読み出し、設定する手段である。条件設定手段27は、操作手段15から作業者により入力された光ファイバ3a及び3bの識別情報S1を認識する。そして、条件設定手段27は、認識した識別情報が属するカテゴリを、カテゴリリスト39に基づいて認識する。そして、条件設定手段27は、光ファイバ3a及び3bそれぞれのカテゴリ組み合わせに応じた接続条件を接続条件データ43から読み出して設定する。すなわち、条件設定手段27は、読み出した接続条件に基づいて融着接続過程を制御するための接続制御信号S2を放電回路19へ送る。
【0031】
放電回路19及び電極11は、条件設定手段27により設定された接続条件に基づいて、光ファイバ3a及び3bの端面同士を融着接続する接続手段を構成する。放電回路19は、電極11に放電電圧V1を印加する手段である。電極11は2つの電極からなり、光ファイバ3a及び3bそれぞれの端面を挟んで2つの電極同士が対向するように設けられている。電極11に放電回路19から接続制御信号S2に基づいた放電電圧V1が印加されると、2つの電極11の間に放電が起こり、光ファイバ3a及び3bそれぞれの端面が融着接続されて接続部分3cが形成される。
【0032】
CPU7が備える損失推定手段29は、接続部分3cにおける光損失を推定する手段である。損失推定手段29は、光ファイバ3a及び3bの融着接続後にコア検出手段21により検出された第2のコア領域情報S7に基づいて、光損失を推定する。また、損失推定手段29は、操作手段15から作業者により入力された光ファイバ3a及び3bの識別情報S1を認識し、メモリ5の第3の記憶領域37に記憶されているファイバリスト47の中から光ファイバ3a及び3bの識別情報を選択する。そして、損失推定手段29は、選択した識別情報に対応するMFDデータ49を読み出す。損失推定手段29は、接続部分3cにおける光損失を推定する際に、MFDデータ49を使用する。
【0033】
損失推定手段29は、前述のように第2のコア領域情報S7及びMFDデータ49に基づいて接続部分3cにおける光損失を推定する。光損失を推定する際には、例えば以下に示すMARCUSEによる理論式(1)を用いる。
【数1】
Figure 0004032960
この理論式(1)において、α1は光損失、dは軸ずれ量、w1は光ファイバ3aのスポットサイズ、w2は光ファイバ3bのスポットサイズである。ここで、スポットサイズは、MFDを2で割って求めることができる。なお、角度ずれ量に関する項を理論式(1)の右辺に設けることにより、角度ずれ量も加味した光損失を推定することが可能である。
【0034】
また、損失推定手段29は、メモリ5の第2の記憶領域35に記憶されている補正情報45に基づいて接続部分3cにおける光損失の推定結果を補正する機能を備えている。損失推定手段29は、操作手段15から作業者により入力された光ファイバ3a及び3bの識別情報S1を認識する。そして、損失推定手段29は、認識した識別情報が属するカテゴリを、カテゴリリスト39に基づいて認識する。そして、損失推定手段29は、光ファイバ3a及び3bそれぞれのカテゴリ組み合わせに応じた補正情報45を読み出し、推定結果の補正に使用する。
【0035】
ここで、補正情報45の一例を説明する。次式(2)は、上記したMARCUSEによる理論式(1)により求めた光損失α1を補正するための補正式である。
【数2】
Figure 0004032960
この補正式(2)において、α2は補正後の光損失、Kは傾き係数、Dは加算係数である。傾き係数Kおよび加算係数Dは、カテゴリ組み合わせに応じて、MARCUSEによる理論式(1)により求めた光損失α1と実験等により求めた実際の光損失とを比較することにより求めることができる。補正情報45は、例えばカテゴリ組み合わせに応じた傾き係数K及び加算係数Dを含んでいる。なお、これらの係数については、後述する実施例において詳細に説明する。
【0036】
損失推定手段29は、補正後の光損失α2を光損失に関する推定情報S8として表示手段17に送る。表示手段17は、損失推定手段29から入力した推定情報S8を画面に表示する。作業者は、画面に表示された推定情報S8により、接合が適切に行われたか否かを判断する。
【0037】
上記した実施形態に係る光ファイバ融着接続装置1の動作について説明する。図2は、メモリ5内部のデータ構造を示す図である。まず、図2を参照して、メモリ5における情報管理について説明する。すなわち、作業者は、メモリ5の情報を管理し、不足している情報を記憶させる。作業者は、まず光ファイバ3a及び3bそれぞれのカテゴリを第1の記憶領域33に記憶されているカテゴリリスト39から探す。該当するカテゴリがカテゴリリスト39になければ、新たに登録するとともに、当該カテゴリに応じたプロファイル情報41を第1の記憶領域33に記憶させる。こうして、第1の記憶領域33にはカテゴリリスト39と、カテゴリリスト39に含まれるカテゴリの数と同数のプロファイル情報41が記憶される。
【0038】
次に、作業者は、光ファイバ3a及び3bそれぞれの識別情報を第3の記憶領域37に記憶されているファイバリスト47から探す。該当する識別情報がファイバリスト47になければ、新たに登録するとともに、当該識別に応じたMFDデータ49を第3の記憶領域37に記憶させる。こうして、第3の記憶領域37にはファイバリスト47と、ファイバリスト47に含まれる識別情報の数と同数のMFDデータ49が記憶される。
【0039】
続いて、作業者は、光ファイバを接続する際に、光ファイバ3a及び3bの識別情報をファイバリスト47の中から選択する。また、作業者は、光ファイバ3a及び3bそれぞれのカテゴリ組み合わせに応じた接続条件データ43及び補正情報45を第2の記憶領域35から探す。該当する接続条件データ43及び補正情報45がなければ、新たに作成し、記憶させる。なお、この段階で、光ファイバ3a及び3bそれぞれの識別情報、カテゴリ、及び互いの接続条件を含む接続条件リスト51を作成してもよい。
【0040】
以上のようにして、作業者はメモリ5に記憶される情報を管理する。続いて、光ファイバ3a及び3bを接続する際の光ファイバ融着接続装置1の動作を以下に説明する。
【0041】
まず、作業者は、光ファイバ3a及び3bそれぞれを支持台13a及び13bそれぞれに固定する。そして、作業者は、操作手段15を用いて光ファイバ3a及び3bそれぞれの識別情報S1を入力する。
【0042】
次に、観察手段9が光ファイバ3a及び3bそれぞれを観察した観察データS5をコア検出手段21に送る。コア検出手段21は、メモリ5の第1の記憶領域33からプロファイル情報41を読み出す。コア検出手段21は、観察データS5及びプロファイル情報41に基づいて、コア領域の位置や外径などを検出する。コア検出手段21は、コア領域の位置や外径などの情報を第1のコア領域情報S6として調心制御手段23に送る。
【0043】
調心制御手段23は第1のコア領域情報S6に基づいて、光ファイバ3a及び3bのコア領域が整合されるように支持台13a及び13bを移動させるための制御信号S3及びS4それぞれを生成し、支持台13a及び13bそれぞれに送る。支持台13a及び13bそれぞれは、制御信号S3及びS4それぞれに従って移動する。こうして、光ファイバ3a及び3bのコア領域の位置が互いに整合される。
【0044】
続いて、条件設定手段27がメモリ5の第2の記憶領域35から接続条件データ43を読み出す。条件設定手段27は、接続条件データ43に基づいて放電条件などの接続条件を設定し、設定した接続条件に基づいて融着接続過程を制御するための接続制御信号S2を放電回路19へ送る。放電回路19は接続制御信号S2に基づいた放電電圧V1を2つの電極11の間に印加する。そして、2つの電極11の間に放電が起こり、光ファイバ3a及び3bそれぞれの端面が融着接続されて接続部分3cが形成される。
【0045】
続いて、観察手段9が光ファイバ3a及び3bそれぞれの接続部分3c付近を観察した観察データS5をコア検出手段21に送る。コア検出手段21は、メモリ5の第1の記憶領域からプロファイル情報41を読み出す。コア検出手段21は、観察データS5及びプロファイル情報41に基づいて、コア領域の軸ずれ量や角度ずれ量などを検出する。コア検出手段21は、コア領域の軸ずれ量や角度ずれ量などの情報を第2のコア領域情報S7として損失推定手段29に送る。
【0046】
損失推定手段29は、メモリ5の第3の記憶領域37からMFDデータ49を読み出す。損失推定手段29は、第2のコア領域情報S7及びMFDデータ49に基づいて、光損失を推定する。さらに、損失推定手段29は、メモリ5の第2の記憶領域35に記憶されている補正情報45を読み出す。損失推定手段29は、補正情報45に基づいて光損失の推定結果を補正し、補正後の光損失推定結果を推定情報S8として表示手段17に送る。推定情報S8は、表示手段17の画面に表示される。
【0047】
本実施形態による光ファイバ融着接続装置1は、以上に説明した構成及び動作により光ファイバ3a及び3bを融着接続するとともに、接続部分3cの光損失を推定する。
【0048】
本実施形態による光ファイバ融着接続装置1は、以下に説明する効果を得る。すなわち、光ファイバ融着接続装置1においては、光ファイバをその構造により複数のカテゴリに分類してメモリ5の第1の記憶領域33に記憶させる。そして、光ファイバ3a及び3bそれぞれのカテゴリに応じた接続条件が条件設定手段27により設定され、放電手段19及び電極11を有する接続手段により融着接続される。光ファイバは、その構造が似ていれば融着接続時の特性においても似た傾向を示すので、光ファイバをその構造によりカテゴリ分類し、カテゴリ組み合わせに応じて接続条件を設定することにより光ファイバを好適に融着接続できる。
【0049】
また、光ファイバ融着接続装置1は、カテゴリリスト39を記憶する第1の記憶領域33を備えることにより、接続しようとする光ファイバのカテゴリを容易に管理することができる。さらに、光ファイバ融着接続装置1は、接続条件データ43を記憶する第2の記憶領域35を備えることにより、カテゴリに応じた適切な接続条件を作業者が容易に管理し、設定することができる。また、光ファイバ融着接続装置1は、作業者が識別できない光ファイバであっても、そのカテゴリがわかっていれば適切な接続条件を設定することが可能である。
【0050】
また、光ファイバ融着接続装置1において、メモリ5の第1の記憶領域33は、カテゴリリスト39に含まれる複数のカテゴリとして、DSFを含むカテゴリ及びLCFを含むカテゴリを記憶している。これにより、特性の差が著しいこれらの光ファイバの接続条件を作業者が容易に管理し、設定することができる。
【0051】
また、光ファイバ融着接続装置1においては、光ファイバの構造に関するプロファイル情報41がカテゴリリスト39と対応づけられている。これにより、作業者は多品種である光ファイバのプロファイル情報41を数種類のカテゴリに応じて用意すればよく、プロファイル情報41を容易に管理できる。
【0052】
ここで、コア調心型の光ファイバ融着接続装置においては、コア領域情報を正確に検出することが重要である。しかし、例えばLCFは中心のコア領域の両側に高屈折率部分を有するため、これが観察データS5に現れる。このような高屈折率部分は中心のコア領域と紛らわしく、コア領域情報の検出を誤る可能性がある。これに対し、予め光ファイバのカテゴリと当該カテゴリのプロファイル情報とがわかっていれば、コア領域のおよその構造がわかるので、観察データS5においてコア領域を探す範囲を限定できる。本光ファイバ融着接続装置では、コア検出手段21が、メモリ5の第1の領域33に記憶された、光ファイバ3a及び3bのカテゴリに対応するプロファイル情報41と観察手段9における観察データS5とを照合して観察結果が正確か否かを判断する。このように、カテゴリリスト39と対応づけられたプロファイル情報41を利用することにより、光ファイバ3a及び3bのコア領域の外径、位置、軸ずれ量、角度ずれ量といったコア領域情報を正確に検出できる。
【0053】
また、光ファイバ融着接続装置1においては、調心手段が、コア検出手段21からのコア領域情報のうちコア領域の位置及び外径などに関する第1のコア領域情報S6に基づいて、光ファイバ3a及び3bのコア領域同士を整合させている。これにより、光ファイバ3a及び3bを融着接続する際に、互いのコア領域を整合して接続部分3cにおける光損失を小さくできる。また、コア検出手段21が生成したコア領域情報は正確なので、調心手段も正確にコア領域を整合することができる。
【0054】
また、光ファイバ融着接続装置1において、損失推定手段29は、コア検出手段21からの第2のコア領域情報S7に基づいて、接続部分3cにおける光損失を推定している。コア検出手段21によって正確に検出された第2のコア領域情報S7に基づいて光損失を推定することによって、損失推定手段29は接続部分3cにおける光損失を適切に推定することができる。さらに、損失推定手段29は、MFDデータ49にさらに基づいて接続部分3cにおける光損失を推定している。予めメモリ5の第3の記憶領域37に記憶されているMFDデータ49を使用することにより、損失推定手段29は接続部分3cにおける光損失をさらに適切に推定することができる。
【0055】
また、光ファイバ融着接続装置1は、メモリ5の第2の領域35が、カテゴリリスト39におけるカテゴリの組み合わせに応じた補正情報45をさらに記憶している。そして、損失推定手段29が、カテゴリ組み合わせ次第で不正確となり得る接続部分3cにおける光損失の推定結果を補正情報45に基づいて補正している。これにより、接続部分3cにおける光損失をさらに適切に推定することができる。なお、カテゴリ組み合わせに応じた推定結果の補正について、後述する実施例において詳細に説明する。
【0056】
また、光ファイバ融着接続装置1は、メモリ5が第1の記憶領域33、第2の記憶領域35、及び第3の記憶領域37を備えている。そして、第1の記憶領域33にはカテゴリリスト39及びプロファイル情報41が記憶されている。第2の記憶領域35には接続条件データ43及び補正情報45が記憶されており、第3の記憶領域37にはファイバリスト47及びMFDデータ49が記憶されている。このように、(1)カテゴリに基づく情報、(2)カテゴリ組み合わせに基づく情報、(3)光ファイバの識別に基づく情報をそれぞれ階層別にメモリ5に記憶させることにより、作業者にとって情報の管理が容易になる。
【0057】
ここで、図3(a)及び(b)、並びに図4(a)及び(b)は、各カテゴリの光ファイバ断面の屈折率分布を示す図である。以下に説明する内容は、メモリ5の第1の記憶領域33に記憶されるプロファイル情報41が含む光ファイバに関する情報の一例である。
【0058】
図3(a)は、SMFの断面における屈折率分布を示している。図中のa1はコア領域A1の外径、a2は光ファイバの外径を示している。また、b1はコア領域A1とクラッド領域A2との屈折率差を示している。図3(a)に示されるとおり、SMFはステップ型の屈折率分布を有している。また、図3(b)は、DSFの断面における屈折率分布を示している。DSFは、階段状の屈折率分布、すなわちコア領域として中心部分の第1のコア領域A3と、第1のコア領域A3の周囲に第1のコア領域A3よりも屈折率が小さい第2のコア領域A4とを有している。図中のa3は第1のコア領域A3の外径を、a4は第2のコア領域A4の外径を、a5は光ファイバの外径を、それぞれ示している。また、b2は第2のコア領域A4とクラッド領域A5との屈折率差を、b3は第1のコア領域A3と第2のコア領域Aとの屈折率差を、それぞれ示している。
【0059】
図4(a)は、LCFの断面における屈折率分布を示している。LCFは、分割型の屈折率分布、すなわち高屈折率部分が分割されて中心コア領域A6と、中心コア領域A6の周囲に低屈折率部分であるディップ領域A7をはさんで設けられたリングコア領域A8とを有している。図中のa6は中心コア領域A6の外径を、a7はディップ領域A7の外径を、a8はリングコア領域A8の外径を、a9は光ファイバの外径を、それぞれ示している。また、b4はリングコア領域A8とクラッド領域A9との屈折率差を、b5は中心コア領域A6とディップ領域A7との屈折率差を、それぞれ示している。また、図4(b)は、図4(a)に示されたLCFの変形例である。図4(b)に示されたLCFでは、ディップ領域A7の屈折率がクラッド領域A9の屈折率よりも小さくなっている。図中のb6はリングコア領域A8とディップ領域A7との屈折率差を示している。
【0060】
メモリ5の第1の記憶領域33に記憶されるプロファイル情報41は、コア領域の外径に関する情報として例えば以上に説明したa1〜a9のような情報を含むとよい。また、プロファイル情報41は、光ファイバの屈折率差に関する情報として、例えばb1〜b6のような情報を含むとよい。
【0061】
また、図5(a)及び(b)は、コア検出手段21におけるコア検出方法の一例を説明するための図である。図5(a)は、LCFの軸に垂直な方向の断面に関する観察データS5の一例を示す輝度波形である。図5(a)では、縦軸に輝度、横軸にLCFの径方向の位置が示されている。図5(a)に示された輝度波形B1を参照すると、LCFの観察データS5には中心コア領域、リングコア領域などの高屈折率部分が複数存在する集光明部Cが現れる。このような観察データS5からコア領域情報を正確に検出するために、コア検出手段21において、図5(a)に示された輝度波形を微分した微分波形を求めるとよい。このような微分波形の一例を、図5(b)に示す。図5(b)において、微分波形B2が0となる回数を求めることにより、コア領域近傍の高屈折率部分の数を知ることができる。また、複数の高屈折率部分が存在しても、コア領域はその屈折率の高さにより微分波形中において際立っているので、微分波形B2の最大値D1、最小値D2の径方向位置を求めることによりコア領域情報を得ることができる。なお、コア領域が偏心している場合も同様にコア領域情報を得ることができる。
【0062】
しかし、輝度波形B1及び微分波形B2においてコア領域が際立っておらず、コア領域を明瞭に判別できない場合もあり得る。このような場合には、光ファイバの構造に関するプロファイル情報41を参照することにより正確にコア領域を判別できる。すなわち、得られたコア領域情報が、光ファイバのカテゴリに応じたプロファイル情報41から予測されるコア領域情報とは大きく異なる場合、得られたコア領域情報は誤ったものであると判断される。そして、適正な径方向位置において再度検出される。あるいは、最初から適正な径方向位置にあるコア領域候補を優先して判定してもよい。以上のようにコア領域情報を検出することによって、コア領域情報を正確に検出することができる。
【0063】
次に、本発明による光ファイバ融着接続装置の損失推定に関わる実施例を説明する。
【0064】
図6〜図12は、本発明による光ファイバ融着接続装置の実施例を示す図である。本実施例では、光ファイバ(SMF、DSF、LCF)を用意し、上記したMARCUSEによる理論式(1)から算出された光損失の推定値と、実際に測定された光損失とを比較することによって得られた、補正情報の一例を示す。
【0065】
図6は、本実施例において使用した光ファイバの識別、カテゴリ、及びMFDを示す図表である。図6に示されるとおり、本実施例では識別の異なる7種類の光ファイバを用い、識別情報はそれぞれSMF1〜3、DSF1及び2、LCF1及び2とした。SMF1〜3のカテゴリはステップ型の断面屈折率分布を有するSMFであり、MFDはそれぞれ10.0μm、10.2μm、10.0μmである。DSF1及び2のカテゴリは階段型の断面屈折率分布を有するDSFであり、MFDはそれぞれ8.7μm、8.4μmである。LCF1及び2のカテゴリは分割型の断面屈折率分布を有するLCFであり、MFDはそれぞれ9.5μm、9.4μmである。
【0066】
図7〜図12は、光損失の推定値(理論計算ロス)を横軸に、光損失の実測値(実測ロス)を縦軸にとり、光ファイバの組み合わせ毎にプロットしたグラフである。光損失の推定値と実測値とが略等しい場合には、傾きが1の直線付近にプロットされる。
【0067】
図7は、SMF1〜3の6通りの組み合わせ(同じ識別の光ファイバ同士の組み合わせを含む)のそれぞれにおいて光損失の推定値及び実測値に基づいてプロットしたグラフである。このグラフでは、傾きが1の直線E付近にプロットされているので、光損失の推定値と実測値とがほぼ等しいことがわかる。
【0068】
図8は、DSF1及び2の3通りの組み合わせ(同じ識別の光ファイバ同士の組み合わせを含む)のそれぞれにおいて光損失の推定値及び実測値に基づいてプロットしたグラフである。このグラフでは、プロットされた点が傾き2の直線F1に近似されるので、光損失の実測値は推定値のほぼ2倍であることがわかる。また、プロットされた点は傾き1.5の直線F2と傾き2.5の直線F3との間にほぼ収まっている。
【0069】
図9は、LCF1及び2の3通りの組み合わせ(同じ識別の光ファイバ同士の組み合わせを含む)のそれぞれにおいて光損失の推定値及び実測値に基づいてプロットしたグラフである。このグラフでは、プロットされた点が傾き3の直線F4に近似されるので、光損失の実測値は推定値のほぼ3倍であることがわかる。また、プロットされた点は傾き2.5の直線F5と傾き3.5の直線F6との間にほぼ収まっている。
【0070】
図10は、DSF1及び2とSMF1〜3との6通りの組み合わせのそれぞれにおいて光損失の推定値及び実測値に基づいてプロットしたグラフである。このグラフでは、傾きが1の直線E付近にプロットされているので、光損失の推定値と実測値とがほぼ等しいことがわかる。ただし、プロットされた点は、直線Eと直線Eを実測値方向に0.05dB移動した直線F7との間に多く集まっている。
【0071】
図11は、LCF1及び2とSMF1〜3との6通りの組み合わせのそれぞれにおいて光損失の推定値及び実測値に基づいてプロットしたグラフである。このグラフでは、傾きが1であり、実測値方向の切片が0.2dBである直線F8付近にプロットされている。また、プロットされた点は、傾きが1であり実測値方向の切片が0.18dBの直線F9と、傾きが1であり実測値方向の切片が0.25dBの直線F10との間に多く集まっている。
【0072】
図12は、LCF1及び2とDSF1及び2との4通りの組み合わせのそれぞれにおいて光損失の推定値及び実測値に基づいてプロットしたグラフである。このグラフでは、傾きが1.3であり、実測値方向の切片が0.1dBである直線F11付近にプロットされている。また、プロットされた点は、傾きが1.2であり実測値方向の切片が0.07dBの直線F12と、傾きが2であり実測値方向の切片が0.12dBの直線F13との間に多く集まっている。
【0073】
図13は、本実施例により得られた補正情報を示す図表である。SMF、DSF、及びLCFそれぞれのカテゴリ組み合わせは、図13に示されるように6パターンの組み合わせが存在する。これらのパターンについては、既に図7〜図12に基づいて説明した。そして、上記した実施形態における数式(2)の傾き係数K及び加算係数Dは、直線F1〜F13に基づいて図13のように設定するとよい。なお、図13において括弧内の数値は、好適な範囲を示している。
【0074】
従来より、MARCUSEによる理論式(1)などにより光損失を推定することは行われてきた。しかしながら、発明者は、このような理論式により求められた光損失の推定値と実際の光損失とが合致しないケースが存在し、それは光ファイバのカテゴリ組み合わせに関係があることを見出した。そして、本実施例において、上記したようにカテゴリ組み合わせに応じた傾き係数Kや加算係数Dといった補正情報を求め、光損失の推定値を好適に補正して正確な推定情報を得ることができた。
【0075】
本発明による光ファイバ融着接続装置は、上記した実施形態及び実施例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記した実施形態ではメモリ5に記憶される情報を作業者が入力しているが、光ファイバ融着接続装置の製造時に予め記憶させておいてもよい。
【0076】
また、カテゴリ情報に含まれる光ファイバのカテゴリはSMF、DSF、及びLCFに限るものではない。例えば、今後新たに開発されたプロファイル構造を有する光ファイバを、新たなカテゴリとして登録することも可能である。
【0077】
【発明の効果】
本発明による光ファイバ融着接続装置は、光ファイバをその構造によりカテゴリ分類し、カテゴリ組み合わせに応じて接続条件を設定することにより、多品種である光ファイバを融着接続する際に適切に接続条件を設定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光ファイバ融着接続装置の実施形態を示すブロック図である。
【図2】実施形態における、メモリ内部のデータ構造を示す図である。
【図3】各カテゴリの光ファイバ断面の屈折率分布を示す図である。
【図4】各カテゴリの光ファイバ断面の屈折率分布を示す図である。
【図5】コア検出手段におけるコア検出方法の一例を説明するための図である。
【図6】実施例において使用した光ファイバの識別、カテゴリ、及びMFDを示す図表である。
【図7】カテゴリ組み合わせのそれぞれにおいて光損失の推定値及び実測値に基づいてプロットしたグラフである。
【図8】カテゴリ組み合わせのそれぞれにおいて光損失の推定値及び実測値に基づいてプロットしたグラフである。
【図9】カテゴリ組み合わせのそれぞれにおいて光損失の推定値及び実測値に基づいてプロットしたグラフである。
【図10】カテゴリ組み合わせのそれぞれにおいて光損失の推定値及び実測値に基づいてプロットしたグラフである。
【図11】カテゴリ組み合わせのそれぞれにおいて光損失の推定値及び実測値に基づいてプロットしたグラフである。
【図12】カテゴリ組み合わせのそれぞれにおいて光損失の推定値及び実測値に基づいてプロットしたグラフである。
【図13】実施例により得られた補正情報を示す図表である。
【符号の説明】
1…光ファイバ融着接続装置、3a…第1の光ファイバ、3b…第2の光ファイバ、5…メモリ、7…CPU、9…観察手段、11…電極、13a、13b…支持台、15…操作手段、17…表示手段、19…放電回路、21…コア検出手段、23…調心制御手段、27…条件設定手段、29…損失推定手段、31…データベース領域、33…第1の記憶領域、35…第2の記憶領域、37…第3の記憶領域、39…カテゴリリスト、41…プロファイル情報、43…接続条件データ、45…補正情報、47…ファイバリスト、49…MFDデータ。

Claims (4)

  1. 第1及び第2の光ファイバを互いに融着接続する光ファイバ融着接続装置であって、
    光ファイバをその構造により複数のカテゴリに分類したカテゴリ情報前記カテゴリの組み合わせに応じた接続条件、前記カテゴリ情報に対応づけられたプロファイル情報、光ファイバの識別情報、及び当該光ファイバの識別情報に対応する光学特性情報を記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された前記カテゴリ情報に基づいて、前記第1及び第2の光ファイバに適用される前記接続条件を前記記憶手段から読み出し、設定する条件設定手段と、
    前記条件設定手段により設定された前記接続条件に基づいて、前記第1及び第2の光ファイバの端面同士を融着接続する接続手段と
    前記第1及び第2の光ファイバに光を照射して、前記第1及び第2の光ファイバを透過した光を観察する観察手段と、
    前記カテゴリ情報に基づいて、前記第1及び第2の光ファイバの前記カテゴリに対応する前記プロファイル情報を前記記憶手段から読み出すとともに、当該プロファイル情報と前記観察手段における観察結果とに基づいて、前記第1及び第2の光ファイバのコア領域情報を検出するコア検出手段と、
    前記第1及び第2の光ファイバが前記接続手段により融着接続された後に前記コア検出手段により検出された前記コア領域情報、並びに前記記憶手段に記憶された前記第1及び第2の光ファイバに該当する識別情報に対応する前記光学特性情報に基づいて、前記第1及び第2の光ファイバの接続部分における光損失を推定する損失推定手段と
    を備えることを特徴とする光ファイバ融着接続装置。
  2. 前記記憶手段が、少なくとも、階段型プロファイルを有する分散シフト光ファイバを含むカテゴリと、分割型プロファイルを有する分散シフト光ファイバを含む他のカテゴリとを記憶することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ融着接続装置。
  3. 前記第1及び第2の光ファイバが前記接続手段により融着接続される前に前記コア検出手段により検出された前記コア領域情報に基づいて、前記第1及び第2の光ファイバそれぞれのコア領域の位置が互いに整合するように前記第1及び第2の光ファイバそれぞれを移動する調心手段をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の光ファイバ融着接続装置。
  4. 前記記憶手段が、前記カテゴリ情報に基づく前記カテゴリの組み合わせに応じた補正情報をさらに記憶しており、
    前記損失推定手段が、前記補正情報に基づいて前記接続部分における光損失の推定結果を補正することを特徴とする請求項に記載の光ファイバ融着接続装置。
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