JP4032678B2 - 触媒用担体ユニット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気通路に排気浄化用の触媒コンバータとして配置される触媒用担体ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
触媒用担体ユニット、特にメタル担体ユニットは、特開平11−210452号公報に示されるように、金属製の平板と波板とを交互に積層してなる円筒状の担体と、これを収納する金属製の外筒とからなる。
より具体的には、金属製の平板と波板とを交互に積層して円筒状の担体を形成し、これを金属製の外筒に圧入する。そして、この状態で熱処理して、平板と波板とを拡散接合すると共に、これらを外筒の内周に接合している。そして、この後に、前記担体に触媒をコーティングしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の触媒用担体ユニットにあっては、次のような問題点があった。
(1)外筒の中に担体を圧入するのが容易ではない。
(2)担体と外筒とは、排気流れ方向下流側でのみ固着し、高温となる排気流れ方向上流側をフリー状態にして、熱負荷を可及的に低減するのが望ましいが、排気流れ方向上流側で、外筒を排気マニホールド側のディフューザに溶接する際に、外筒にディフューザの拡径部を被せて溶接するので、溶接部と担体との距離が近くなり、溶接部の裏側に出る溶接ビードで担体が固定されて、フリー状態でなくなってしまう恐れがあり、溶接作業が容易ではない。
【0004】
(3)排気浄化性能向上のため、複数の触媒用担体ユニットを多段に組み合わせてタンデム触媒化を行う場合に、同径の外筒同士を突き合わせ、この突き合わせ部分を跨ぐように外周側に筒状のパッチを被せ、このパッチを介して溶接するが、パッチが必要で、また全周溶接を2箇所行う必要があるため、タンデム触媒化が容易ではない。
【0005】
(4)生産性向上のため、複数の触媒用担体ユニットを多段に組み合わせて同時触媒コーティングを行う場合に、触媒用担体ユニットを組み合わせにくく、気密性の確保も難しいため、同時触媒コーティングが困難である。
本発明は、このような従来の問題点を解決し得る触媒用担体ユニット及び触媒コーティング方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1の発明では、排気浄化用の触媒を担持させる担体と、これを収納する外筒とからなる触媒用担体ユニットにおいて、前記担体と前記外筒とは、排気流れ方向下流側で固着し、排気流れ方向上流側はフリー状態とし、前記外筒の排気流れ方向上流側である一方の端部を拡径して、その径で延在する拡径ストレート部を形成してなる。そして、排気マニホールド側のディフューザの拡径部外周に、前記外筒の前記拡径ストレート部を被せ、外側から、前記外筒と前記ディフューザとを前記拡径ストレート部の端面の位置で、全周溶接するようにしたことを特徴とする。
請求項2の発明では、前記外筒の一方の端部の前記拡径する部分には、その内面にアールを付けることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明では、前記外筒の一方の端部の前記拡径ストレート部の内径を前記外筒の他方の端部の外径とほぼ等しくして、複数の触媒用担体ユニットを連結可能としたことを特徴とする。
請求項4の発明では、特に請求項3の発明において、前記複数の触媒用担体ユニットを連結した状態で、車両に搭載することを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明では、特に請求項4の発明において、前記複数の触媒用担体ユニットの各担体にはそれぞれ異なる触媒を担持させることを特徴とする。
請求項6の発明では、特に請求項3の発明において、前記複数の触媒用担体ユニットを連結した状態で、複数の担体に触媒を同時にコーティングすることを特徴とする。
【0010】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、触媒用担体ユニットにおける外筒の一方の端部を拡径して、その径で延在する拡径ストレート部を形成することで、外筒とディフューザとを溶接する際に、拡径ストレート部内にディフューザの端部を挿入して溶接することができるので、溶接部と担体との距離が遠くなり、溶接の影響が担体に及ばないようにすることができる。
また、前記一方の端部(拡径ストレート部)を排気流れ方向上流側とするので、外筒と排気マニホールド側のディフューザとの溶接が容易となり、更には、拡径ストレート部の存在で触媒に流入する排気の分布の均一化を図り、排気浄化性能の向上にも寄与できる。
また、担体と外筒とは、排気流れ方向下流側で固着され、高温となる排気流れ方向上流側ではフリー状態であるので、熱負荷の低減を図ることができ、この場合に、排気流れ方向上流側を拡径ストレート部とすることで、排気マニホールド側のディフューザとの溶接により、フリー状態でなくなる恐れを解消できる。
【0011】
尚、担体ユニットを形成する際に外筒の中に担体を圧入して形成する場合には、圧入の際に拡径ストレート部をガイドとすることができ、圧入作業の容易化を図ることもできる。
請求項2の発明によれば、外筒の一方の端部の拡径する部分には、その内面にアールを付けることで、圧入作業を更に容易にすることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、外筒の一方の端部の拡径ストレート部の内径を外筒の他方の端部の外径とほぼ等しくして、複数の触媒用担体ユニットを連結可能とすることで、触媒タンデム化や同時触媒コーティングが容易となる。
請求項4の発明によれば、複数の触媒用担体ユニットを連結した状態で、車両に搭載することで、触媒タンデム化を実現でき、更に請求項5の発明によれば、複数の触媒用担体ユニットの各担体にはそれぞれ異なる触媒を担持させることで、触媒性能の多様化により、排気浄化性能を向上させることができる。
【0014】
請求項6の発明によれば、複数の触媒用担体ユニットを連結した状態で、複数の担体に触媒を同時にコーティングすることで、同時触媒コーティングを容易に実現でき、生産性を向上させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す触媒用担体ユニットの概略断面図である。
触媒用担体ユニット(メタル担体ユニット)1は、図6(A)に示すような排気浄化用の触媒を担持させるため金属製の平板2Aと波板2Bとを交互に積層してなる円筒状のメタル担体2と、これを収納する金属製の外筒3とからなる。
【0016】
また、外筒3における担体2の端面より突出している両端部のうち、排気流れ方向上流側となる一方の端部は、広口しぼりにより、拡径し、その径で延在する拡径ストレート部4を形成してある。
また、外筒3の一方の端部の前記拡径する部分には、その内面に図示R1のようにしぼり成形によるアールを付し、更にこれに続く部分にも図示R2のようにしぼり成形によるアールを付してある。但し、図2に変形例を示すように、R1のみ設け、R2はなくてもよい。
【0017】
また、外筒3の一方の端部の拡径ストレート部4の内径D1は、外筒3の他方の端部の外径D2とほぼ等しくしてある(D1≒D2)。
担体2と外筒3との一体化に際しては、金属製の平板2Aと波板2Bとを交互に積層して円筒状の担体2を形成し、この担体2の排気流れ方向下流側となる部分の外周にろう箔材(図示K)を巻いてから、この担体2を金属製の外筒3に圧入する。このとき、拡径ストレート部4をガイドとすることができ、また、前記アール(R1)により、圧入作業の容易化を図ることができる。
【0018】
そして、この圧入状態で、熱処理して、担体2内部で平板2Aと波板2Bとを拡散接合すると共に、ろう箔材により担体2の外周と外筒3の内周とを排気流れ方向下流側となる部分(図示K部分)で固着する。
この後、外筒3内の担体2に排気浄化用の触媒をコーティングするが、これは次のような方法で行って、生産性を向上させることができる。
【0019】
図3に示すように、複数(この例では3個)のメタル担体ユニット1A、1B、1Cを連結する。すなわち、メタル担体ユニット1Aの一方の端部の拡径ストレート部4とは反対側の他方の端部に、メタル担体ユニット1Bの一方の端部の拡径ストレート部4を被せて嵌合することで、両者を連結する。同様にして、メタル担体ユニット1Bとメタル担体ユニット1Cとを連結する。このとき、各連結部の外周にテーピング(図示T)を施すことで、触媒コーティング時の気密性を確保する。
【0020】
そして、複数連結したメタル担体ユニット1A〜1Cを触媒コーティング装置にセットする。すなわち、メタル担体ユニット1Aの一方の端部(拡径ストレート部4)を上側にして、負圧吸引装置11に接続し、メタル担体ユニット1Cの他方の端部を下側にして、触媒スラリー槽12内に浸漬する。
そして、この状態で、負圧により触媒スラリーを吸引することで、触媒スラリーをメタル担体ユニット1A〜1Cの各外筒3内の各担体2に付着させる。尚、この例では負圧吸引方式で触媒スラリーを付着させるようにしているが、ポンプを用いて上側から下側へ触媒スラリーを供給する方式としてもよい。
【0021】
触媒スラリーを付着させた連結状態のメタル担体ユニット1A、1Bは、例えば120℃で乾燥させた後、例えば400℃にて焼成することで、触媒層を得る。
焼成工程で気密保持用のテープは焼損するため、焼成工程後、容易に3個の触媒付きメタル担体ユニット1A、1B、1Cに分割することができ、これにより3個の触媒コンバータを同時に得ることができる。もちろん、3個に限るものではなく、2個でもよいし、更に多数のメタル担体ユニットを連結して、同時触媒コーティングを行うこともできる。
【0022】
セラミック担体の場合には触媒コーティング後にカットする工法が採用できるが、メタル担体の場合はコーティング後のカットが難しく、比較的小容量のメタル担体を多数生産するような場合は、上記のような同時触媒コーティング工法が特に有効である。
触媒コーティング後のメタル担体ユニットは、次のようにして、ディフューザと溶接する。
【0023】
図4に示すように、排気マニホールド側のディフューザ21の拡径部外周に、メタル担体ユニット1の外筒3の一方の端部の拡径ストレート部4を被せ、外側から図示X1部分を全周溶接して、一体化する。
このとき、拡径ストレート部4の存在により、溶接部(X1)と担体2との距離が遠くなるので、溶接の影響が担体2に及ばないようにすることができる。すなわち、担体2と外筒3とは、排気流れ方向下流側(図示K部分)でのみ固着され、高温となる排気流れ方向上流側ではフリー状態となって、熱負荷を低減しているが、溶接箇所が遠いので、フリー状態を維持することが容易となる。
【0024】
また、メタル担体ユニット1の外筒3の他方の端部には、出口側(フロントチューブ側)のディフューザ22の拡径部を被せ、外側から図示X2部分を全周溶接して、一体化する。こちら側は、担体2と外筒3との固着側であるので、溶接による影響は特に考える必要はない。
次に触媒タンデム化を行う場合について説明する。
【0025】
図5に示すように、複数(この例では2個)のメタル担体ユニット1A、1Bを連結する。すなわち、メタル担体ユニット1Aの一方の端部の拡径ストレート部4とは反対側の他方の端部に、メタル担体ユニット1Bの一方の端部の拡径ストレート部4を被せて嵌合することで、両者を連結する。そして、連結部の外側から、図示X3部分を全周溶接して、一体化する。この場合、従来の方法と比較すると、パッチが不要となり、全周溶接も1箇所で済む利点がある。
【0026】
そして、これを図4で説明したと同様に、ディフューザ21、22と接続して、車両に搭載する。
このような触媒タンデム化を行う場合は、各メタル担体ユニット1A、1Bの各担体3にはそれぞれ異なる触媒を担持させることで、触媒性能の多様化により排気浄化性能の向上を図ることができる。1つの例としては、一方(1A)をPd/Rh触媒、他方(1B)をPt/Rh触媒とする。
【0027】
また、触媒全体としての容量は増加させずに排気浄化性能を向上するため、各担体ユニットの大きさを小さくして、前記のようにそれぞれ異なる触媒を担持させた複数の種類の担体ユニットを触媒タンデム化することが考えられる。このように、容量を小さく抑えつつ、異なる担体をそれぞれ担持した複数の担体ユニットを多数生産するような場合は、特に、図3に示すような、複数のメタル担体ユニットを多数連結した同時触媒コーティング工法を行うことが、生産性の向上にさらに有効となる。
【0028】
尚、本実施形態における担体2は、断面形状が図6に示すように金属製の平板2Aと波板2Bとを重ねて巻回した円、楕円あるいはレーストラック型となるものでもよいし、単に金属製の平板2Aと波板2Bとを積層した直方体形状の担体でもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示す触媒用担体ユニットの概略断面図
【図2】 変形例を示す触媒用担体ユニットの概略断面図
【図3】 触媒用担体ユニットを連結して触媒コーティングする方法を示す図
【図4】 ディフューザとの接続例を示す図
【図5】 触媒用担体ユニットを連結してタンデム触媒化する例を示す図
【図6】 メタル担体の断面形状例を示す図
【符号の説明】
1 触媒用担体ユニット(メタル担体ユニット)
2 担体
3 外筒
4 拡径ストレート部
11 負圧吸引装置
12 触媒スラリー槽
21 排気マニホールド側のディフューザ
22 出口側のディフューザ

Claims (6)

  1. 排気浄化用の触媒を担持させる担体と、これを収納する外筒とからなる触媒用担体ユニットにおいて、
    前記担体と前記外筒とは、排気流れ方向下流側で固着し、排気流れ方向上流側はフリー状態とし、
    前記外筒の排気流れ方向上流側である一方の端部を拡径して、その径で延在する拡径ストレート部を形成してなり、
    排気マニホールド側のディフューザの拡径部外周に、前記外筒の前記拡径ストレート部を被せ、外側から、前記外筒と前記ディフューザとを前記拡径ストレート部の端面の位置で、全周溶接するようにしたことを特徴とする触媒用担体ユニット。
  2. 前記外筒の一方の端部の前記拡径する部分には、その内面にアールを付けることを特徴とする請求項1記載の触媒用担体ユニット。
  3. 前記外筒の一方の端部の前記拡径ストレート部の内径を前記外筒の他方の端部の外径とほぼ等しくして、複数の触媒用担体ユニットを連結可能としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の触媒用担体ユニット。
  4. 前記複数の触媒用担体ユニットを連結した状態で、車両に搭載することを特徴とする請求項3記載の触媒用担体ユニット。
  5. 前記複数の触媒用担体ユニットの各担体にはそれぞれ異なる触媒を担持させることを特徴とする請求項4記載の触媒用担体ユニット。
  6. 前記複数の触媒用担体ユニットを連結した状態で、複数の担体に触媒を同時にコーティングすることを特徴とする請求項3記載の触媒用担体ユニット。
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