JP3674694B2 - タンデム型触媒コンバータおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車のエンジンなどから排出される排気ガスを浄化するのに好適なタンデム型の触媒コンバータおよびその製造方法に係わり、特にコンバータの触媒ケース内における触媒担体の保持構造に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、自動車用エンジンの排気通路に設けられる触媒コンバータとしては、例えば特開平9−303141号公報に記載された構造が知られている。当該公報に記載された触媒コンバータは、排気ガス中に含まれるCO,HC,NOX等の有害成分を無害な気体や水に変換するための貴金属触媒が担持されたコーディエライト等からなるセラミックス製の担体と、該担体を収納する外筒(コンテナ)と、アルミナ繊維などからなり担体と外筒との間に設けられるマット状の担体保持材とから構成されている。そして、このマット状の担体保持材を担体の周囲に巻き回し、これを筒状の触媒ケースの一方の開口側からケース内に圧入することによって、セラミックス製の担体を緩衝状態に保持するようになっている。
【0003】
ところで、最近の自動車の排気浄化用の触媒コンバータにおいては、環境に対する排気ガスの影響を考慮して、排気浄化性能を従来よりもさらに向上させるという要請があるが、従来のように単独のハニカム体からなる担体を排気系に使用した場合には、エンジンの始動時にハニカム担体の昇温が十分になされなかったり、触媒の活性化に遅れを生じたり、また浄化効率を十分に向上できなかったりする問題が発生することがあった。そこで、このような問題に対処するために、特開平6−241036号公報や特開平9−155203号公報に記載されているように、複数のハニカム担体を同一触媒ケース内に直列に配置することによって排ガスの浄化効率を向上させるようにした複合担体、いわゆるタンデム化を図った触媒担体が多く用いられるようになってきている。
【0004】
このようなタンデム化を図った触媒担体においても、1個の担体を用いる場合と同様に、マット状の担体保持材を担体の周囲に巻き回し、これを筒状の触媒ケース内に一方向から圧入することによって、セラミック製の担体を触媒ケース内に緩衝的に保持する必要がある。したがって、全長の短い担体をタンデムに触媒ケース内に収納しようとする場合には、マット状担体保持材を個々の担体の周囲にそれぞれ巻き回した状態で、一方向から圧入する方法、あるいは、複数の担体を1つのマット状担体保持材によってその周囲に巻き回し、これを筒状の触媒ケース内に一方向から圧入する方法のいずれかが採用されている。
【0005】
しかしながら、上述したように全長の短い各々の担体の周囲にマット状担体保持材を巻き回して筒状の触媒ケース内に一方向から圧入する方法においては、巻回することによって担体外周面上で突き合わせられる両端縁に、例えば図6に示すように、圧入方向Pと直角をなす方向(円周方向)に延出する係合片21a,21b,21cを備え、凹凸状、あるいはL字状をなし、互いに嵌合して合わせ目となる係合部(合わせ形状部)21が形成されたマット状担体保持材20を用いており、しかもこの担体保持材20の全長Lが短い上に、係合片21aおよび21bの幅寸法WaおよびWbが同じであることから、マット状担体保持材20全体の剛性が低く、当該マット状担体保持材20の長さ方向および幅方向における面比重の不均一さに基づく面圧の不均一などにより、触媒ケース内への圧入時の摩擦力が部分的に変化し、これに起因して上記のような凹凸状あるいはL字状の係合部21、あるいは他の部位の圧入方向後方側において、図7あるいは図8に示すように、マット状担体保持材20に部分的な異常変形が生じることがある。そして、この結果として、圧入不良や担体保持材20の破損が生じて、担体保持材としての本来の機能が発揮できなくなるという問題点がある。また、タンデム化によって個々の触媒担体の全長が短くなり、これに伴ってマット状担体保持材20の長さ寸法Lが小さくなるため、ガスのシール部分の形状、強度およびシール性にも問題がある。
【0006】
一方、複数の触媒担体を1つのマット状担体保持材でその周囲に巻き回し、これを筒状の触媒ケース内に一方向から圧入する方法においては、マット状担体保持材の両担体間に相当する部分が高温の排気ガスに直接晒されることになり、走行中にこの部分の保持材が大気中に放出されるという問題点がある。
【0007】
さらに、マット状担体保持材を各々の担体の周囲に巻き回し、触媒ケース内に一方向から圧入して所定の位置にセットしようとする場合には、あらかじめ定められた位置にセットできるように、距離の測定が可能な治具によって1固ずつ圧入するようにしていたが、複数の担体を1つのマット状担体保持材により周囲に巻き回した上で触媒ケースに圧入する場合には、このような治具を使用することができないという問題があり、これら問題点を解消して複数の触媒担体を担体保持材を介して触媒ケース内に確実に緩衝保持することが上記した従来のタンデム型触媒コンバータにおける課題となっていた。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、従来のタンデム型触媒コンバータにおける上記課題に鑑みてなされたものであって、タンデム化による排ガス浄化性能の向上を図った触媒コンバータにおいて、複数の触媒担体をマット状の担体保持材を介して触媒ケース内に収納するに際して、圧入不良や担体保持材破損の発生を防止することができ、走行中にマット状担体保持材が飛散して大気中に放出されるようなことがなく、しかも複数の触媒担体間の距離をあらかじめ定められた値とすることができるタンデム型触媒コンバータと、このような触媒コンバータの製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために、マット状担体保持材の材質、形状、圧入方法などについて鋭意研究を重ねた結果、凹凸状あるいはL字状の係合部(合わせ形状部)を構成する係合片の幅寸法を調整したり、担体保持材の外周側に連続する可燃性フィルムをさらに巻回し、複数の触媒担体を所定の距離を隔てて一体化した状態で圧入したりすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】
本発明は、上記知見に基づくものであって、本発明に係わるタンデム型触媒コンバータは、触媒担体と、一定の厚みを有するマット状をなし前記触媒担体の外周部に巻回された担体保持材と、該担体保持材を外周部に巻回した複数個の触媒担体を直列に圧入した状態に収納する触媒ケースからなるタンデム型触媒コンバータであって、前記担体保持材は、巻回状態において突き合される両端縁に、圧入方向に直交する方向に延出して互いに係合する複数の矩形状係合片からなる合わせ形状部を有し、前記係合片のうちの圧入方向前方側に位置する係合片の圧入方向幅が圧入方向後方側に位置する係合片の幅寸法よりも小さく形成されている構成、あるいは同様のタンデム型触媒コンバータにおいて、複数の担体保持材が該担体保持材の外周側に位置する可燃性フィルムを介して一体化された状態で所定距離を隔てた複数の触媒担体の外周部に巻回してある構成、さらには、上記の構成を併せ持つ構成としたことを特徴としており、タンデム型触媒コンバータにおけるこのような構成を上記課題を解決するための手段としている。
【0011】
本発明に係わる触媒コンバータの好適形態としては、隣り合う担体保持材の距離が、隣り合う触媒担体間の距離に等しいか、隣り合う触媒担体間の距離よりも大きい構成とし、さらに他の好適形態としては、隣り合う触媒担体の間に、これら触媒担体間を所定の距離に保持する可燃性スペーサーが配設されている構成としたことを特徴としている。
【0012】
本発明に係わるタンデム型触媒コンバータの製造方法は、触媒担体と、一定の厚みを有するマット状をなし前記触媒担体の外周部に巻回された担体保持材と、該担体保持材を外周部に巻回した複数個の触媒担体を直列に圧入した状態に収納する触媒ケースからなるタンデム型触媒コンバータの触媒ケースに前記触媒担体を圧入するに際して、外周側に位置する可燃性フィルムを介して一体化された複数の担体保持材を複数の触媒担体の外周部に巻回し、複数の触媒担体を所定の距離を隔てて一体化した状態で触媒ケース内に圧入する構成とし、当該製造方法の好適形態としては、上記複数の触媒担体を一体化した状態で触媒ケース内に圧入するに当たり、隣り合う触媒担体の間に可燃性スペーサーを介在させた状態で触媒ケース内に圧入する構成としたことを特徴としている。
【0013】
【発明の作用】
本発明の第1のタンデム型触媒コンバータにおいては、触媒担体に巻回された状態で触媒ケースに圧入されることによって触媒担体と触媒ケースの間に介在し、当該触媒担体を緩衝状態に保持するマット状の担体保持材の巻回方向の両端縁、すなわち触媒担体に巻回された状態で担体外周面上で突き合わせられる両端縁に形成される合わせ形状部の形状・寸法について、圧入方向と直角をなす方向(円周方向)に延出して互いに係合する複数の矩形状係合片の圧入方向幅寸法が圧入方向前方側よりも後方側の方が大きく(すなわち、図6においてWa>Wb)形成されているので、係合片の幅寸法が同じであった従来のものに較べて、担体保持材の合わせ目部分における圧入方向後方側の剛性が高くなることから、触媒ケース内にマット状担体保持材を巻回した触媒担体を圧入するに際して、マット状担体保持材の合わせ目部分における圧入方向後方側に異常変形や破損が生じることがなく、したがって触媒担体が触媒ケース内にスムーズに圧入され、担体保持材としての緩衝作用が十分に発揮されることになる。また、担体保持材が金属製の触媒ケースの熱膨張・収縮に十分に追従することから、触媒担体がケース内において破損するようなこともなく長期間にわたって安定に保持されることになる。
【0014】
本発明の第2のタンデム型触媒コンバータにおいては、複数のマット状担体保持材が該担体保持材の外周側に位置する可燃性フィルムを介して一体化された状態で所定距離を隔てた複数の触媒担体の外周部に巻回してあることから、マット状担体保持材の剛性が全体的に向上し、触媒担体を担体保持材と共にケース内に圧入するに際して、担体保持材全体が歪みにくくなり、これによって担体保持材の合わせ目部分のシール面がずれるようなことがなくなり、ずれに起因する排気バイパスの形成が防止されることになる。また、担体保持材の部分的な異常変形や破損も生じなくなる。さらに、複数の担体保持材を連結するのに可燃性フィルムを用いていることから、エンジンの排気系に搭載されたのち、最初のエンジン作動時に焼失するので、触媒性能上全く問題を生じることがない。
【0015】
また、本発明の第3のタンデム型触媒コンバータにおいては、マット状担体保持材の合わせ目部分における矩形状係合片の圧入方向幅寸法について、圧入方向後方側の係合片の幅寸法が前方側係合片のそれよりも大きく形成されていると共に、外周側に位置する可燃性フィルムを介して複数のマット状担体保持材が一体化された状態で所定距離を隔てた複数の触媒担体の外周部に巻回してあることから、すなわち本発明に係わる上記第1および第2の触媒コンバータの構成を併せ持つものであるから、合わせ目部分における圧入方向後方側の剛性が高くなり、しかも担体保持材全体が歪みにくくなることから、触媒担体の圧入に際して、合わせ目部分の圧入方向後方側を含めてマット状担体保持材に異常変形や破損を生じることなく、触媒担体が保持材と共に触媒ケース内にスムーズに圧入され、担体保持材の合わせ目部分のシール面のずれによる排気バイパスの形成が防止され、担体保持材が金属製の触媒ケースの熱膨張・収縮に追従するので、触媒担体が長期間にわたって安全に保持されることになる。
【0016】
本発明に係わる触媒コンバータの好適形態においては、隣り合う担体保持材の距離を隣り合う触媒担体間の距離に等しいか、あるいはそれよりも大きなものとすることができ、これによって、各触媒担体の間にマット状担体保持材が露出しないようになるので、走行中においても高温の排気ガスが担体保持材に接触することがなく、担体保持材が飛散せず大気中に放出されることがなくなるので大気汚染が未然に防止されることとなる。また、他の好適形態においては、隣り合う触媒担体の間に触媒担体間を所定の距離に保持する可燃性スペーサーを配設したものとすることができ、これによって複数の触媒担体が所定の距離を隔てた一体のものとなるので、従来の圧入治具を使用して複数の触媒担体を一度で触媒ケース内に圧入することができるようになり、触媒間の距離が常に所定の値となることから、タンデム化による浄化性能の向上効果が確実なものとなる。また、当該スペーサーを可燃性のものとしているので、上記した可燃性フィルム同様に、エンジンの作動によって焼失することから、触媒性能に影響を与えることがない。
【0017】
本発明に係わるタンデム型触媒コンバータの製造方法においては、上記した構造のタンデム型触媒コンバータの触媒ケース内に、マット状担体保持材と共に触媒担体を圧入するに際して、外周側に位置する可燃性フィルムにより一体化された複数の担体保持材を複数の触媒担体の外周部に巻回することによって複数の触媒担体を所定の距離を隔てて一体化した状態でケース内に圧入するようにしているので、担体保持材全体が歪みにくくなり、担体保持材の合わせ目部分のシール面がずれたり、部分的な異常変形や破損が生じたりすることなく、触媒担体が触媒ケース内にスムーズに圧入されることになる。
【0018】
本発明に係わるタンデム型触媒コンバータの製造方法における好適形態としては、可燃性フィルムにより一体化された複数の担体保持材を複数の触媒担体の外周部に巻回することによって複数の触媒担体を所定の距離を隔てて一体化するに際して、隣り合う触媒担体の間に可燃性スペーサーを介在させるようにしているので、従来の圧入治具を使用して複数の触媒担体を一度で触媒ケース内に圧入することができるようになると共に、触媒間の距離が常に所望の値となって浄化性能が向上することになる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は、これら実施例のみに限定されるものではない。
【0020】
(実施例1)
触媒担体として、Pt,Rh,Pdなどからなる所定の触媒貴金属を担持した直径100mm、長さ60mm、容量0.47リットルのコーディエライト製モノリスハニカム担体を2個準備した。次いで、密度1240g/mm2、厚さ8mmのアルミナ繊維を用いて、図1に示すように、矩形状係合片3a,3bからなるL字状の合わせ形状部3を備えた第1のマット状担体保持材2と、この第1のマット状担体保持材2と線対称をなす形状を備え、矩形状係合片5a,5bからなる合わせ形状部5を備えた第2のマット状担体保持材4を切り出した。このとき、図中に示した圧入方向Pに対して、第1のマット状担体保持材2の圧入方向後方側係合片3aの幅寸法L1を40mm、前方側係合片3bの幅寸法L2を20mmとした。また、第2のマット状担体保持材4における圧入方向後方側係合片5aの幅寸法L3を40mm、前方側係合片5bの幅寸法L4を20mmとした。なお、これら矩形状係合片3a,3b,5a,5bの突出長さL5については、いずれも30mmとした。
【0021】
そして、これら第1および第2のマット状担体保持材2および4を図のように間隔dが5mmとなるように平行にセットし、厚さ100μmのポリプロピレンフィルムを用いて、上記5mmの間隔をも含めて、これら2枚のマット状担体保持材2および4と一体形状となるように切り出して可燃性フィルム6とすると共に、段ボールを用いて直径50mm、高さ5mmの円筒形状に形成し、可燃性スペーサー7とした。
【0022】
そして、ポリプロピレンフィルムからなる上記可燃性フィルム6の上にセットしたマット状担体保持材2および4を、段ボールからなる可燃性スペーサー7を中央部に位置させた状態の第1および第2の触媒担体8および9の周囲に巻回し、合わせ目部分3,5を接着テープにより固定することによって、図2に示すように、第1および第2の触媒担体8および9が一体tなったタンデム型触媒担体を作成した。
【0023】
次に、このようにして作成した上記タンデム型触媒担体を所定の治具を用いて、鋳鉄製の触媒ケース10の中に圧入することによって、図3に示すようなタンデム型触媒コンバータ1を得た。このとき、圧入後のマット状担体保持材2,4の厚さは4mmとなっていた。なお、図3において、符号11は、触媒担体の圧入後にセットされるフランジ材である。
【0024】
そして、当該実施例においては、圧入に際してマット状担体保持材2,4に異常変形や破損は、一切認められなかった。なお、当該実施例においては、可燃性フィルム6として、ポリプロピレンフィルムを用いた例を示したが、触媒担体8,9の圧入時の摩擦を少なくする観点から樹脂フィルムを使用することが好ましいが、これ以外にも厚さが100μm程度で、マット状担体保持材が固定可能な可燃性のものであれば、適宜使用することができる。同様に、可燃性スペーサー7について、当該実施例においてはコストの安い段ボール製のものを用いたが、他の材料を適宜用いることができる。
【0025】
(実施例2)
実施例1における第2のマット状担体保持材4の形状を第1のマット状担体保持材2と同一にしたことを除いて、上記実施例1と同様の要領により、図4に示すような担体保持材2,4と一体形状の可燃性フィルム6を作製し、同様の方法によって触媒担体8,9に巻回した上で触媒ケース10内に圧入した。この実施例においても、圧入に際して、マット状担体保持材2,4に異常変形や破損は、全く認められなかった。
【0026】
(実施例3)
上記実施例と同じアルミナ繊維を用いて、図5に示すように、矩形状係合片3a,3b,3cからなる凹凸状の合わせ形状部3を備えた第1のマット状担体保持材2と、この第1のマット状担体保持材2と同一形状をなす第2のマット状担体保持材4を切り出した。このとき、図中に示した圧入方向Pに対して、圧入方向後方側係合片3aの幅寸法L6を30mm、前方側係合片3bの幅寸法L7を15mm、図中右側の係合片3cの幅寸法L8を15mmとした。そして、上記以外は実施例1と同様の要領により担体保持材2,4と一体形状の可燃性フィルム6を作製し、同様に触媒担体8,9の外周部に巻回したのち、これを触媒ケース10内に圧入した。当該実施例においても、圧入に際して、マット状担体保持材2,4に異常変形や破損は、全く発生しなかった。
【0027】
(比較例1)
上記実施例1において、第1および第2のマット状担体保持材の圧入方向後方側である矩形状係合片の幅寸法L1およびL3をそれぞれ20mm、前方側に位置する矩形状係合片の幅寸法L2およびL4をそれぞれ40mmとしたこと以外は、実施例1と同様の要領により担体保持材と一体形状の可燃性フィルムを作製し、触媒担体8,9に巻回して触媒ケース10内に圧入した。しかし、圧入の際にマット状担体保持材に異常変形が発生し、触媒ケース10の圧入方向後方側における保持材の合わせ目部分に捲くれが発生して破損する結果となった。
【0028】
(比較例2)
上記実施例3において、第1および第2のマット状担体保持材の圧入方向後方側に位置する矩形状係合片の幅寸法L6を15mm、前方側に位置する矩形状係合片の幅寸法L7をそれぞれ30mmとしたことを除いて、実施例1と同様の要領により担体保持材と一体形状の可燃性フィルムを作製し、触媒担体8,9に巻回しタ状態で触媒ケース10内に圧入した。しかし、圧入の際にマット状担体保持材に異常変形が発生し、比較例1と同様に触媒ケース10の圧入方向後方側における保持材の合わせ目部分に捲くれが発生して破損した。
【0029】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明に係わるタンデム型触媒コンバータにおいては、触媒担体に巻回された状態で触媒ケースに圧入されるマット状の担体保持材の両端縁に形成される合わせ形状部の複数の矩形状係合片幅寸法が圧入方向前方側よりも後方側の方が大きく形成されている構成、あるいは複数のマット状担体保持材がその外周側に位置する可燃性フィルムを介して一体化された状態で所定距離を隔てた複数の触媒担体の外周部に巻回してある構成としたものであるから、担体保持材の合わせ目部分における圧入方向後方側の剛性が高くなったり、担体保持材全体が歪みにくくなったりすることから、マット状担体保持材に異常変形や破損を生じることがなく、触媒担体を保持材と共に触媒ケース内にスムーズに圧入することができ、複数の担体保持材を触媒ケース内に長期間にわたって安全に保持することができるという極めて優れた効果がもたらされる。
【0030】
また、本発明に係わるタンデム型触媒コンバータの製造方法においては、タンデム型触媒コンバータの触媒ケース内に、マット状担体保持材と共に触媒担体を圧入するに際して、外周側に位置する可燃性フィルムにより一体化された複数の担体保持材を複数の触媒担体の外周部に巻回して複数の触媒担体を所定の距離を隔てて一体化した状態で圧入するようにしていることから、担体保持材全体が歪みにくくなり、担体保持材の合わせ目部分のシール面がずれたり、局部的な異常変形や破損を発生させることなく、触媒担体を触媒ケース内に容易に圧入することができ、当該製造方法の好適形態においては、タンデム型触媒コンバータの触媒ケース内に一体化した上記複数の触媒担体を圧入するに際して、隣り合う触媒担体の間に可燃性スペーサーを介在させた状態で圧入するようにしていることから、従来の圧入治具を使用することによって複数の触媒担体を容易に触媒ケース内に圧入することができると共に、触媒間の距離を所望の値に保持してタンデム型の触媒コンバータとしての浄化性能を確保することができるという優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるタンデム型触媒コンバータに用いるマット状担体保持材および可燃性フィルムの形状例を示す平面図および断面図である。
【図2】図1に示したマット状担体保持材を可燃性フィルムと共に2個の触媒担体に巻回した状態を示す斜視図である。
【図3】図2に示した触媒担体をマット状担体保持材と共に触媒ケース内に圧入したタンデム型触媒コンバータの完成状態を示す断面図である。
【図4】本発明に係わるタンデム型触媒コンバータに用いるマット状担体保持材および可燃性フィルムの他の形状例を示す平面図および断面図である。
【図5】本発明に係わるタンデム型触媒コンバータに用いるマット状担体保持材および可燃性フィルムのさらに他の形状例を示す平面図および断面図である。
【図6】(a)および(b)は従来のマット状担体保持材の突合せ部の形状例を示す斜視図である。
【図7】従来のマット状担体保持材の凹凸状合わせ形状部における変形状況を説明する斜視図である。
【図8】従来のマット状担体保持材の変形および破損状況を説明する斜視図である。
【符号の説明】
1 タンデム型触媒コンバータ
2,4 マット状担体保持材
3,5 合わせ形状部
3a,3b,3c,5a,5b,5c 矩形状係合片
6 可燃性フィルム
7 可燃性スペーサー
8,9 触媒担体
10 触媒ケース
Claims (7)
- 触媒担体と、一定の厚みを有するマット状をなし前記触媒担体の外周部に巻回された担体保持材と、該担体保持材を外周部に巻回した複数個の触媒担体を直列に圧入した状態に収納する触媒ケースからなるタンデム型触媒コンバータであって、
前記担体保持材は、巻回状態において突き合される両端縁に、圧入方向に直交する方向に延出して互いに係合する複数の矩形状係合片からなる合わせ形状部を有し、前記係合片のうちの圧入方向前方側に位置する係合片の圧入方向幅が圧入方向後方側に位置する係合片の幅寸法よりも小さく形成されていることを特徴とするタンデム型触媒コンバータ。 - 触媒担体と、一定の厚みを有するマット状をなし前記触媒担体の外周部に巻回された担体保持材と、該担体保持材を外周部に巻回した複数個の触媒担体を直列に圧入した状態に収納する触媒ケースからなるタンデム型触媒コンバータであって、
複数の担体保持材が該担体保持材の外周側に位置する可燃性フィルムを介して一体化された状態で所定距離を隔てた複数の触媒担体の外周部に巻回してあることを特徴とするタンデム型触媒コンバータ。 - 触媒担体と、一定の厚みを有するマット状をなし前記触媒担体の外周部に巻回された担体保持材と、該担体保持材を外周部に巻回した複数個の触媒担体を直列に圧入した状態に収納する触媒ケースからなるタンデム型触媒コンバータであって、
前記担体保持材は、巻回状態において突き合される両端縁に、圧入方向に直交する方向に延出して互いに係合する複数の矩形状係合片からなる合わせ形状部を有し、前記係合片のうちの圧入方向前方側に位置する係合片の圧入方向幅が圧入方向後方側に位置する係合片の幅寸法よりも小さく形成されていると共に、複数の担体保持材が該担体保持材の外周側に位置する可燃性フィルムを介して一体化された状態で所定距離を隔てた複数の触媒担体の外周部に巻回してあることを特徴とするタンデム型触媒コンバータ。 - 隣り合う担体保持材の距離が、隣り合う触媒担体間の距離に等しいか、隣り合う触媒担体間の距離よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のタンデム型触媒コンバータ。
- 隣り合う触媒担体の間に、これら触媒担体間を所定の距離に保持する可燃性スペーサーが配設されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のタンデム型触媒コンバータ。
- 触媒担体と、一定の厚みを有するマット状をなし前記触媒担体の外周部に巻回された担体保持材と、該担体保持材を外周部に巻回した複数個の触媒担体を直列に圧入した状態に収納する触媒ケースからなるタンデム型触媒コンバータの触媒ケースに前記触媒担体を圧入するに際して、
外周側に位置する可燃性フィルムを介して一体化された複数の担体保持材を複数の触媒担体の外周部に巻回し、複数の触媒担体を所定の距離を隔てて一体化した状態で触媒ケース内に圧入することを特徴とするタンデム型触媒コンバータの製造方法。 - 隣り合う触媒担体の間に可燃性スペーサーを介在させた状態で触媒ケース内に圧入することを特徴とする請求項6に記載のタンデム型触媒コンバータの製造方法。
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