JP4032503B2 - 疎水性オルガノシリカゾルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒子表面のシラノール基の一部がシリル化処理されたコロイド状シリカが疎水性有機溶媒に安定に分散している疎水性オルガノシリカゾルの効率的な製造方法に関する。特にケトンやエステルなどにコロイド状シリカが分散したシリカゾルの製造に有用である。
【0002】
【従来の技術】
米国特許第2,433,776号明細書には、無機塩を含む水性シリカゾルに水溶性溶媒を加えて塩析、抽出して、オルガノシリカゾルを生成させる技術が開示されている。例えば実施例2には珪酸ナトリウム水溶液に硫酸を添加後、n−プロパノールを加えて有機層を分離し、ある程度脱水後、塩を除去して更に脱水し、プロパノール分散ゾルが得られること、またその実施例6には上記プロパノールゾルを、更に酢酸ブチルで置換できることが記載されている。
【0003】
米国特許第2,786,042号明細書には、平均粒子径が10〜150nmで、粒子表面に炭化水素置換シラノールを反応させ、表面Si原子の少なくとも5%に炭素数1〜20のシリル基が結合した疎水性シリカゾルの製法が開示されている。炭化水素置換シラノールを生成させる化合物としてはハロゲン、アルコキシ、ナトリウム化合物が例示されている。例えば水性シリカゾルにアルカリシリコネート水溶液を添加し、ぎ酸で中和した後、t−ブチルアルコールと塩化ナトリウムを加えて塩析し、含水オルガノシリカゾルが得られている。
【0004】
米国特許第2,801,185号明細書には、平均粒子径が5〜150nm、シリカ表面に化学的に結合したアルコール又はオルガノシリル基で疎水化され、メチルレッド吸着法により測定した水酸基表面が1g当たり10m2 以下の、有機溶媒に再分散可能なシリカコロイドが記載されている。例えばリン酸トリエチルを分散媒とするシリカゾルに、ジメチルジクロルシランを添加し、反応後、塩化水素(塩酸)、溶媒、過剰のジメチルジクロルシランなどを留去すると、ベンゼン又はクロロホルムに分散可能な固体が得られる。
【0005】
特開昭57−196717号公報には、炭素数2〜18のアルコールに分散したシリカゾルを170〜300℃で加熱した後アルコールを留去し、表面がエステル化された、有機溶媒に分散可能なシリカ粉末が得られることが記載されている。例えばエチルアルコールシリカゾルを200℃で加熱後、液相を除去してメチルエチルケトンなどに再分散可能なシリカ粉末が得られている。
【0006】
特開昭58−145614号公報には、水分が10%以下のオルガノシリカゾルにシリル化剤を添加し、反応させた後溶媒を留去し、コロイド状シリカ粒子表面に炭素数1〜36のシリル基が1〜100/10nm2結合した、有機溶媒に再分散可能なシリカ粉末が得られることが記載されている。シリル化剤としてクロルシラン化合物、アルコキシシラン化合物、シラザン化合物、ヒドロキシシラン化合物などが例示されている。再分散性を得るために必要な結合シリル基量は、シリル基の炭素数によって異なり、炭素数3の場合は、25/10nm2 以上であると記載されている。例えばn−ブチルアルコールシリカゾルにトリメチルクロルシランを添加し、反応後減圧下で乾燥し、疎水性シリカ粉末を得ている。この粉末は10nm2 当たり32.8個の結合シリル基を有し、この粉末10gをトルエン100ccに分散させた分散液を遠心分離したときの沈殿量は0.1gであった。また原料である水分が10%以下のオルガノシリカゾルの媒体は、親水性有機溶媒であり、これと相互溶解する疎水性有機溶媒を併用できるとしている。但し、親水性溶媒として、炭素数3以下のアルコールはシリル化剤と直接反応するため好ましくないとしている。
【0007】
特開平3−187913号公報には、メタノール中でアルキルシリケートを加水分解して得られたメタノールゾルに、シリカとしてSiO2 1モルに対し5モル%以上のトリメチルシリル化剤を添加し反応させた後、余剰のトリメチルシリル化剤及び分散溶媒を留去し、表面がシリル化処理された、分散性に優れたシリカ粉末が得られることが記載されている。例えばテトラメトキシシランをメタノール中でアンモニア水存在下加水分解して得られたシリカ粒子メタノール分散液に、シリカとしてSiO2 1モルに対し20モル%のメトキシトリメチルシランを添加し、過剰のシリル化剤を回収した後、乾燥して疎水化シリカ粉末を得ている。
【0008】
米国特許第5,651,921号明細書(対応日本特許公報:特開平4−108606号公報、特開平4−170313号公報)には、非極性有機溶媒分散シリカゾルのシリカ表面をシリル化処理することを特徴とする撥水性シリカゾルの製造方法が開示されている。その非極性有機溶媒分散シリカゾルは、アルコール分散シリカゾルに非極性有機溶媒を添加し、蒸留にて溶媒置換することにより得られることが開示されている。並びに水性シリカゾルに非極性有機溶媒、カチオン界面活性剤及びシリル化剤を添加し、エマルジョン化した後共沸脱水を行う方法による撥水性シリカゾルの製造方法が開示されている。
【0009】
特開平6−298519号公報には、水性シリカゾルに非極性有機溶媒、水溶性アルコール、カチオン界面活性剤及びシリル化剤を添加し水層を分離後、有機層を還流脱水する撥水性シリカゾルの製造方法が開示されている。
欧州公開特許第768351号明細書(対応:国際公開特許WO96/34063号明細書)には水系無機酸化物ゾルに含まれる水を水との共沸溶剤によって共沸蒸留脱水した後に、シランカップリング剤で表面処理をすることを特徴とする、溶剤分散無機酸化物ゾルの分散体の製造方法、及びその溶剤分散無機酸化物ゾルの分散体を更に他の溶剤にて置換する方法が開示されている。無機酸化物としては、シリカゾル等が挙げられている。シランカップリング剤としては、モノアルキルトリメトキシシラン化合物、モノアルキルトリエトキシシラン化合物、ジアルキルジメトキシシラン化合物などが挙げられている。共沸溶媒としては、水に可溶なアルコール等が挙げられている。溶剤分散無機酸化物ゾルの分散体を更に置換できる溶剤として、アルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルアセトアミドなどの例示されている。そして、同明細書の製造例17には、20nmの平均粒子径を有する水性シリカゾルをイソプロピルアルコールで溶媒置換後、メチルトリメトキシシランで表面処理し、更にシクロヘキサノンで溶媒置換して、30nmの平均粒子径を有するシクロヘキサノンに分散したシリカゾルの製造方法が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来、水性シリカゾルを原料として疎水性有機溶媒に分散したオルガノシリカゾルを生成させる方法として、まず水性シリカゾルを水溶性溶媒で置換した後、更に疎水性有機溶媒で置換する方法が知られている。しかし、この方法で得られるオルガノシリカゾルは、最終的に分散媒となる溶媒の親水性が低いためにゾルが不安定である。このため、溶媒置換の工程中、あるいは得られたゾルの保存期間中に粒子の凝集が起こり、増粘や凝集沈降をしばしば起こして、高濃度、低粘度及び長期保存性の安定なゾルは得られていない。
【0011】
また、疎水性有機溶媒に分散させるため、シリカ表面を疎水化処理する方法が提案されてきた。
疎水化処理の一法として、ゾルを過剰のアルコールの共存下加熱することにより、シリカ粒子表面のシラノール基をエステル化する方法が知られている。この反応には高温を要するため、低沸点のアルコールの場合はオートクレーブ等で加熱する必要がある。又は、高沸点のアルコール中で加熱する方法によっても良い。しかし、高沸点のアルコールは、反応後過剰のアルコールを除去するのが困難である。そして、このエステル化法により得られた疎水化シリカは、アルコキシ基の加水分解により疎水性が失われやすいという欠点を持つ。
【0012】
疎水化処理の別の方法として、シリル化剤又はシランカップリング剤でシリカ表面を処理する方法も知られている。この方法はエステル化法と比較すると、比較的穏やかな条件で反応させることができ、幾つかの方法が提案されている。
シリカゾルをトリアルコキシシラン化合物又はジアルコキシシラン化合物を用いて処理し、有機溶媒や塗料への分散性を改良する方法は広く行われているが、疎水性有機溶媒に分散させる為にはかなり多くのアルコキシシラン化合物を使用しなければならず、必ずしも効率的ではない。またトリアルコキシシラン化合物又はジアルコキシシラン化合物は多官能性のため、シリカゾルとの反応のみならず、アルコキシシラン化合物同士の縮合反応も起きやすく、この縮合反応によりゲル化や粒子間の架橋が起こることもあり、分散性の良い疎水性オルガノシリカゾルを得るのは困難である。加えてシリカゾルと結合しない残余アルコキシシラン化合物の縮合物を除去するのは困難であり、その疎水性オルガノシリカゾルの塗料等への使用時に残余アルコキシシラン化合物の縮合物が悪い影響を与えることがある。
【0013】
クロルシラン化合物も、従来疎水化に多く用いられている。これらは反応性は高いが、副生する塩酸の為装置の腐食、反応時のコロイド状シリカの凝集などの問題があった。また処理後のシリカゾルから塩酸を完全に除去するのが困難である。
また、アルカリシリコネート化合物を用いた場合には副生するアルカリを、シラザン化合物を用いた場合にも副生するアンモニアを除去するのが難しく、これらが最終製品であるゾルの性能を損なうことが多い。
【0014】
また、従来行われていた疎水化反応後、乾燥粉末化して他の有機溶媒に分散する方法は、疎水化反応により副生したアルコール、塩酸、アンモニアなどの除去には有利な方法であるが、乾燥の際の粒子の凝集、結合が起こりやすい。これを防ぐためにはシリカ表面の疎水基による被覆率を高くしなければならないが、それでもなお凝集結合を完全に防止することは困難であった。例えば、特開昭58−145614号公報の実施例に示すように疎水化粉末を再分散した際には粉末当たり1%以上の沈殿が生じている。よって、乾燥中の粒子間の結合を防止するためには、シリカ表面を高度に被覆しなければならない。このため、得られたゾルは乾燥しても結合性がなく、また未反応のシラノール基を更にシランカップリング剤等の他の試薬と反応させることが困難であった。
【0015】
シリル化剤又はシランカップリング剤で表面処理を行った後、溶媒置換を行う方法も知られているが、従来の方法では表面処理後のゾルの粘度が高くなることがあり、後工程の溶媒置換を高濃度で行うことが困難であった。また溶媒置換時に、凝集物を生じたり、シランカップリング剤の重合によりゲル化することもあった。
【0016】
米国特許第5,651,921号明細書のように非極性有機溶媒中でシリカ表面を直接シリル化処理する方法では、非極性有機溶媒分散シリカゾルの凝集が起きやすく、表面処理後も十分に分散した低粘度のシリカゾルを得ることができない。また、シリカ濃度を高くすることもできず、限られた用途にしか用いることができない。
【0017】
いずれの方法によっても、シリカ粒子の分散が充分でなく、そのため多量の表面処理剤の添加、又は高温での反応が必要であって、工業的に効率の良い方法ではない。
本発明は、疎水性有機溶媒に安定に分散し、凝集物等を含まず高濃度においても低粘度のシリカゾルを、工業的に効率よく製造する方法を提供するものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、5.5〜550m2 /gの比表面積を有する親水性コロイド状シリカを5〜55重量%のSiO2 濃度で含有し、ジシロキサン化合物及び/又はモノアルコキシラン化合物であるシリル化剤を、当該親水性コロイド状シリカの表面積100m2 当たりSi原子として0.03〜2ミリモル量比に含有し、且つその残余として0.1〜12重量%の水溶解度を有する疎水性有機溶媒に対して炭素数1〜3のアルコールは0.05〜20の重量比である混合溶媒と媒体中15重量%以下の水とからなる媒体を含有する反応混合物を、反応混合物中に存在するアルカリが除去され又は当量以上の酸で中和された状態で、0〜100℃で熟成することにより、疎水性コロイド状シリカが分散したシリル化処理シリカゾルを生成させることを含む疎水性オルガノシリカゾルの製造方法である。
【0019】
本発明の第一実施態様は、下記の工程(A)及び(B):
(A)5.5〜550m2/gの比表面積を有する親水性コロイド状シリカを5〜55重量%のSiO2 濃度で含有し、一般式(I)
【0020】
【化5】
【0021】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基及びフェニル基からなる群から選ばれた1種の置換基で任意に置換されていて良い。〕及び/又は一般式(II)
【0022】
【化6】
【0023】
〔式中、R7、R8及びR9 は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基及びフェニル基からなる群から選ばれた1種の置換基で任意に置換されていて良い。Qは炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選ばれた1種の置換基で任意に置換されていて良い。〕で表されるシリル化剤を、当該親水性コロイド状シリカの表面積100m2 当たりSi原子として0.05〜2ミリモル量比に含有し、且つその残余として0.1〜12重量%の水溶解度を有する疎水性有機溶媒に対して炭素数1〜3のアルコールは0.05〜20の重量比である混合溶媒と媒体中15重量%以下の水とからなる媒体を含有する反応混合物を、反応混合物中に存在するアルカリが除去され、又は当量以上の酸で中和された状態で、0〜100℃で熟成することにより、疎水性コロイド状シリカが分散したシリル化処理シリカゾルを生成させる工程、及び
(B)(A)工程で生成した当該シリル化処理シリカゾルを蒸留することにより、当該シリル化処理シリカゾルの媒体が当該疎水性有機溶媒に置換された疎水性オルガノシリカゾルを生成させる工程、
からなる疎水性オルガノシリカゾルの製造方法である。
【0024】
本発明の第二実施態様は、下記の工程(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)5.5〜550m2 /gの比表面積を有する親水性コロイド状シリカを5〜55重量%のSiO2 濃度で含有し、一般式(I)
【0025】
【化7】
【0026】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基及びフェニル基からなる群から選ばれた1種の置換基で任意に置換されていて良い。〕及び/又は一般式(II)
【0027】
【化8】
【0028】
〔式中、R7、R8及びR9 は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基及びフェニル基からなる群から選ばれた1種の置換基で任意に置換されていて良い。Qは炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選ばれた1種の置換基で任意に置換されていて良い。〕で表されるシリル化剤を、当該親水性コロイド状シリカの表面積100m2 当たりSi原子として0.03〜1.5ミリモル量比に含有し、且つその残余として0.1〜12重量%の水溶解度を有する疎水性有機溶媒に対して炭素数1〜3のアルコールは0.05〜20の重量比である混合溶媒と媒体中15重量%以下の水とからなる媒体を含有する反応混合物を、反応混合物中に存在するアルカリが除去され又は当量以上の酸で中和された状態で、0〜100℃で熟成することにより、疎水性コロイド状シリカが分散したシリル化予備処理シリカゾルを生成させる工程、
(B)(A)工程で生成した当該シリル化予備処理シリカゾルを蒸留することにより、当該シリル化予備処理シリカゾルの媒体が0.1〜12重量%の水溶解度を有する疎水性有機溶媒に対して炭素数1〜3のアルコールが0.05〜5重量比となるまで当該疎水性有機溶媒に置換されたアルコール含有疎水性オルガノシリカゾルを生成させる工程、
(C)(B)工程で生成したアルコール含有疎水性オルガノシリカゾルに、前記一般式(I)及び/又は前記一般式(II)で表されるシリル化剤の(A)工程と(C)工程とでの添加含有量を、当該アルコール含有疎水性オルガノシリカゾル中の疎水性コロイド状シリカの原料である親水性コロイド状シリカの表面積100m2 当たりSi原子として0.05〜2ミリモル量比に含有し、且つその残余として0.1〜12重量%の水溶解度を有する疎水性有機溶媒に対して炭素数1〜3のアルコールは0.05〜5の重量比である混合溶媒と媒体中15重量%以下の水とからなる媒体を含有する反応混合物を生成させ、0〜100℃で熟成することにより、疎水性コロイド状シリカが分散したシリル化処理シリカゾルを生成させる工程、及び
(D)(C)工程で生成した当該シリル化処理シリカゾルを蒸留することにより、当該シリル化処理シリカゾルの媒体が当該疎水性有機溶媒に置換された疎水性オルガノシリカゾルを生成させる工程、
からなる疎水性オルガノシリカゾルの製造方法である。
【0029】
本発明の第三実施態様は、第一実施態様又は第二実施態様において、シリル化剤として、ヘキサメチルジシロキサンを用いることを特徴とする好ましい疎水性オルガノシリカゾルの製造方法である。
本発明の第四実施態様は、第一実施態様又は第二実施態様において、シリル化剤として、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン及びトリメチルプロポキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることを特徴とする好ましい疎水性オルガノシリカゾルの製造方法である。
【0030】
ここで本発明の第一実施態様及び第二実施態様の(A)工程における反応混合物の生成方法は以下の三実施態様(第五実施態様ないし第七実施態様)が挙げられる。
第五実施態様は、下記の工程(a)、(b)及び(c):
(a)5.5〜550m2 /gの比表面積を有する親水性コロイド状シリカを含有する酸性水性シリカゾルに、炭素数1〜3のアルコールを添加し、炭素数1〜3のアルコールが添加された当該酸性水性シリカゾルを蒸留することにより酸性水性シリカゾルの水性媒体を当該アルコールで置換して、6〜55重量%のSiO2 濃度のシリカと15重量%以下の水を含有するアルコールシリカゾルを生成させる工程、及び
(b)(a)工程で生成したアルコールシリカゾルに、0.1〜12重量%の水溶解度を有する疎水性有機溶媒を添加することにより、5〜55重量%のSiO2 濃度のシリカと、その残余として0.1〜12重量%の水溶解度を有する疎水性有機溶媒に対して炭素数1〜3のアルコールは0.05〜20の重量比である混合溶媒と媒体に対して15重量%以下の水とからなる媒体とを含有する、混合有機溶媒シリカゾルを生成させる工程、及び
(c)(b)工程で生成した当該混合有機溶媒シリカゾルに、前記一般式(I)
及び/又は前記一般式(II)で表されるシリル化剤を添加後混合して、反応混合物を生成させる工程、
からなる反応混合物の生成方法である。
【0031】
第六実施態様は、下記の工程(a)及び(b):
(a)5.5〜550m2 /gの比表面積を有する親水性コロイド状シリカを含有する酸性水性シリカゾルに、炭素数1〜3のアルコールと0.1〜12重量%の水溶解度を有する疎水性有機溶媒とを添加し、当該アルコール及び当該疎水性有機溶媒が添加された当該酸性水性シリカゾルを蒸留することにより、酸性水性シリカゾルの水性媒体を当該アルコールと当該疎水性有機溶媒で置換して、5〜55重量%のSiO2 濃度のシリカと、その残余として0.1〜12重量%の水溶解度を有する疎水性有機溶媒に対して炭素数1〜3のアルコールは0.05〜20の重量比である混合溶媒と媒体に対して15重量%以下の水とからなる媒体を含有する、混合有機溶媒シリカゾルを生成させる工程。
【0032】
(b)(a)工程で生成した当該混合媒体シリカゾルに、前記一般式(I)及び/又は前記一般式(II)で表されるシリル化剤を添加後混合して、反応混合物を生成させ工程、
からなる反応混合物の生成方法である。
第七実施態様は、下記の工程(a)及び(b):
(a)5.5〜550m2 /gの比表面積を有する親水性コロイド状シリカを含有する酸性水性シリカゾルに、炭素数1〜3のアルコールを添加し、炭素数1〜3のアルコールが添加された当該酸性水性シリカゾルを蒸留することにより酸性水性シリカゾルの水性媒体を当該アルコールで置換して、5〜55重量%のSiO2 濃度のシリカと、その残余として媒体中当該アルコールと、媒体に対して15重量%以下の水とからなる媒体とを含有するアルコールシリカゾルを生成させる工程、及び
(b)(a)工程で生成したアルコールシリカゾルに、前記一般式(I)及び/又は前記一般式(II)で表されるシリル化剤を、当該アルコールシリカゾルの媒体中の当該アルコールに対して0.05〜20の重量比となる0.1〜12重量%の水溶解度を有する疎水性有機溶媒に添加した溶解液を添加後混合して、反応混合物を生成させる工程、
からなる反応混合物の生成方法である。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の反応混合物の親水性コロイド状シリカは、5.5〜550m2 /gの比表面積を有する非凝集性のシリカの微粒子である。そして、例えば、水性シリカゾル及びオルガノシリカゾルに見られるように、媒体中に安定に分散している非凝集性のシリカの微粒子である。そのシリカの微粒子表面には自由なシラノール基を有しており、一部のシラノール基は炭素数1〜3のアルコールとエステル結合していても良い。
【0034】
そして、その親水性コロイド状シリカは、水性シリカゾルから得られる。水性シリカゾルは、水ガラスを原料として公知の方法により製造することができる。また親水性コロイド状シリカは、アルコキシシラン化合物をアンモニア等のアルカリ性触媒存在下で加水分解して生成したアルコール含有水性シリカゾルからも得られる。
【0035】
本発明の第一実施態様の(A)工程及び第二実施態様の(A)工程では、反応混合物中に遊離するアルカリが存在すると、本発明のシリル化剤と親水性コロイド状シリカ表面のシラノール基とが反応しない。そのため、熟成において、反応混合物中に存在するアルカリが除去され又は当量以上の酸で中和されていなければならない。そのため予め、アルカリを除去した酸性水性シリカゾルを反応混合物の原料とすることが好ましい。そのアルカリを除去した酸性水性シリカゾルを反応混合物の原料とする反応混合物の生成方法が第五実施態様、第六実施態様、第七実施態様などである。
【0036】
水ガラスを原料とした酸性水性シリカゾルのpHとしては、2〜4.5がより好ましい。例えばアルカリ性シリカゾルから、イオン交換等の方法で遊離の陽イオンを除去し酸性ゾルとしたもの、そして陽イオン、及び大部分もしくは全量の陰イオンを除去したものを用いることが好ましい。またイオン交換したゾルに、少量の硫酸やカルボン酸などの酸を加えてpH調整を行っても良い。酸の添加は、反応混合物の生成前であれば、前もって行って良い。酸性水性シリカゾルの溶媒の一部又はほとんどを他の溶媒に置換した後でも良い。
【0037】
また、アルコキシシラン化合物をアンモニア等のアルカリ性触媒存在下で加水分解して生成したアルコール含有水性シリカゾルでは、陽イオン交換処理によりアンモニア等のアルカリ性触媒を除去したアルコール含有酸性水性シリカゾルを用いることができる。このアルコール含有酸性水性シリカゾルの場合、本発明ではアルコール溶媒の添加を省略しても良い。
【0038】
反応混合物中に存在するアルカリを当量以上の酸で中和するには、反応混合物の生成前であれば、硫酸やカルボン酸などの酸を加えて中和を行って良い。酸性水性シリカゾルの溶媒の一部又はほとんどを他の溶媒に置換した後でも良い。
酸性水性シリカゾルのpHが4.5を超えると、本発明の第一実施態様の(A)工程、並びに第二実施態様の(A)及び(C)工程において、シリル化反応が進行し難い。一方、pHを2未満にするとゾルの安定性が損なわれやすい。
【0039】
本発明に用いる炭素数1〜3のアルコールとは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール及びこれらの混合溶媒を表す。また、特に好ましいアルコールはメタノール及びエタノールであり、これらのアルコールを用いると、溶媒置換やシリル化反応工程において増粘が起きにくく、高濃度での反応及び溶媒置換が可能となる。
【0040】
酸性水性シリカゾルのSiO2 濃度としては5〜55重量%のものが好ましい。
親水性コロイド状シリカの比表面積は5.5〜550m2 /gであり、27〜550m2 /gがより好ましく、90〜550m2 /gが最も好ましい。そして、親水性コロイド状シリカの粒子径はBET法により求めた比表面積S(m2 /g)からD(nm)=2720/Sの式で計算される。
【0041】
よって、親水性コロイド状シリカの粒子径は5〜500nmであり、5〜100nmがより好ましく、5〜30nmが最も好ましい。粒子径が5nm以下のゾルでは高濃度化が困難であり、更にその表面処理にはシリカ単位重量当たり多くのシリル化剤を必要とする。500nm以上のゾルでは沈降性が大きく、貯蔵安定性が悪い。
【0042】
本発明における0.1〜12重量%の水溶解度を有する疎水性有機溶媒とは、水と均一に混合せず、20℃において水と混合し二相を形成させた時の、有機相中の水の含有率が、0.1〜12重量%のものを表す。例としては1−ペンタノール(水溶解度6.8重量%)、メチルエチルケトン(9.9重量%)、メチルイソブチルケトン(1.8重量%)、シクロヘキサノン(8重量%)、酢酸エチル(2.9重量%)、酢酸n−ブチル(1.9重量%)、メタクリル酸メチル(1.1重量%)、ジイソプロピルエーテル(0.55重量%)、ジブチルエーテル(0.2重量%)などが挙げられる。なお、0.1重量%未満の水溶解度を有する疎水性有機溶媒としてトルエン(0.05重量%)等が挙げられる。
【0043】
分散溶媒の種類によるシリカゾルの分散性の差は、特にその溶媒中に水を溶解する能力の影響が大きいことがわかった。水に対する溶媒の溶解度はあまり重要でない。0.1〜12重量%の水溶解度を有する疎水性有機溶媒では、表面処理を行わずに溶媒置換すると、シリカゾルの粘度が著しく高い値を示すか、あるいは安定性に乏しくなりゲル化し易い。
【0044】
水と均一混合はしないが、12重量%を超える水溶解度を有する疎水性有機溶媒では、この溶媒に分散したゾルは、表面処理を行わずに親水性溶媒ゾルの置換によって生成させることができる。また本発明の第一実施態様の(A)工程、並びに第二実施態様の(A)及び(C)工程において、これらの溶媒ではシリル化反応における粘度の増加を抑制することができない。このような溶媒の例としては、n−ブタノール(16.4重量%)、イソブタノール(20重量%)などが挙げられる。
【0045】
一方、水溶解度が0.1重量%以下の疎水性有機溶媒では、疎水性が高いため、シリル化率を高くしなければならず、かなり多くのシリル化剤を必要とする。
本発明の方法によって得られるオルガノシリカゾルの溶媒として特に好ましいものは、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン化合物、酢酸エチル、酢酸ブチル、アクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、カルビトールアセテートなどのカルボン酸エステル化合物、ジブチルエーテルなどのエーテル化合物である。また、上記溶媒の混合溶媒も好ましく用いることができる。
【0046】
本発明の第一実施態様及び第二実施態様の(A)工程における反応混合物の生成方法として、第五実施態様、第六実施態様、第七実施態様などが挙げられる。
また、第五実施態様、第六実施態様及び第七実施態様において、溶媒置換として溶媒蒸留置換法を採用しているが、溶媒限外濾過置換法、溶媒パーベーパレーション置換法などの公知の溶媒置換方法が採用できる。
【0047】
反応混合物のSiO2 濃度は5〜55重量%が好ましく、10〜45重量%がより好ましい。5重量%以下では製造効率が低くなるとともに、溶媒中のシリル化剤濃度の低下のためシリカの表面積当たりのシリル化剤の必要量も多くなり好ましくない。また、55重量%以上ではゾルの安定性が不充分となり、分散性の良いゾルが得難い。
【0048】
反応混合物の媒体中の水が多くなると、ゾルの粘度が上昇することがある。また、シリル化反応が阻害されることもあるため、反応混合物の媒体中の水は15重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。
このような低水分の反応混合物を生成させるには、上記の方法のなかでも溶媒蒸留置換法により水を除去する方法が特に適している。
【0049】
反応混合物における媒体中の混合溶媒としては、0.1〜12重量%の水溶解度を有する疎水性有機溶媒に対して炭素数1〜3のアルコールは0.05〜20の重量比の範囲が好ましい。更に第一実施態様の(A)工程において0.1〜2の重量比がより好ましく、第二実施態様では、(A)工程において0.5〜20の重量比及び(C)工程において0.05〜1重量比がより好ましい。
【0050】
疎水性有機溶媒に対して、アルコールが20の重量比を超えると、シリル化反応を行った際、反応の進行につれて顕著な増粘が起きやすい。特にシリル化反応率を上げる程、この増粘が激しくなる。そのため、反応が系内で均一に起こらず、次工程での溶媒置換が困難となる。一方、疎水性有機溶媒に対して、アルコールが0.05の重量比未満では、反応混合物のシリル化剤の表面処理を行う前に増粘やゲル化が起きる。
【0051】
上記のより好ましい溶媒の比率は、使用するアルコール及び疎水性有機溶媒の種類によって異なる。例えば水溶解度の小さい疎水性有機溶媒の場合は、疎水性有機溶媒に対して、アルコールが0.05の重量比よりアルコールが多くても増粘することがある。そのアルコールの種類としては例えばプロパノールよりメタノールの方が疎水性有機溶媒の割合が少なくても、シリル化反応が進行した際の増粘が起きにくい。シリル化剤の種類や、その反応性によっても影響を受ける。
【0052】
本発明の第一実施態様の(A)工程、並びに第二実施態様の(A)及び(C)工程において、反応混合物にジシロキサン化合物及び/又はモノアルコキシシラン化合物を含有させて、シリル化反応を行う。
本発明で用いるシリル剤としてのジシロキサン化合物は、一般式(I)
【0053】
【化9】
【0054】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基及びフェニル基からなる群から選ばれた1種の置換基で任意に置換されていて良い。〕で表される。
このジシロキサン化合物は、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジブチルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、3−グリシドキシプロピルペンタメチルジシロキサンなどが挙げられる。特に、ヘキサメチルジシロキサンが好ましい。
そして、シリル化剤としてのモノアルコキシシラン化合物は、一般式(II)
【0055】
【化10】
【0056】
〔式中、R7、R8及びR9 は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基及びフェニル基からなる群から選ばれた1種の置換基で任意に置換されていて良い。Qは炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選ばれた1種の置換基で任意に置換されていて良い。〕で表される。
このモノアルコキシシラン化合物は、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、クロロプロピルジメチルメトキシシランなどが挙げられる。特に、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン及びトリメチルプロポキシシランが好ましい。
【0057】
これらのシリル化剤は単独で用いても、二種類以上併用しても良い。
無機粒子の表面処理にしばしば用いられているトリアルコキシシラン化合物は結合基を3つ持つので反応性が高い反面、自己重合や粒子間の縮合を引き起こし、分散性の良いゾルを得るのが困難である。またアルコキシ基から生じた未結合のシラノール基も多く残りやすく、粒子の分散効果も不充分である。本発明で用いるシリル化剤は単官能性であって、それ自体の重合やシリカ粒子間の架橋をおこさない。
【0058】
また、通常シリル化処理に用いられるハロゲン化シランやシラザン化合物は反応時にハロゲン化水素やアンモニアを副生し、これらがゾルの凝集を引き起こす。一方、本発明で用いる上記のシリル化剤の反応副生物としては水又は炭素数1〜3のアルコールであり、シリカ粒子の凝集等を引き起こす心配はない。更に後工程である本発明の第一実施態様における(B)工程、並びに第二実施態様における(B)工程及び(D)工程において、これらの副生物は容易に除去できる。
【0059】
特に、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン及びトリメチルプロポキシシランは反応性が高く、低価格であり、蒸留操作による除去・回収も容易であるため好ましい。
ヘキサメチルジシロキサンは珪酸鉱物の構造決定のためのシリル化剤として用いられていたが、通常反応性が低く、pH1以下の塩酸水溶液等により加水分解して用いられていた。しかし、弱酸性の反応混合物にに含有させることにより、親水性コロイド状シリカ表面に吸着後、反応しシラノール基をシリル化し、少量の水を生成することを見いだした。反応混合物のpHが4.5を越えるとこの反応は著しく遅くなる。また、pH2未満にするにはゾルに多くの酸を添加しなければならずシリカゾル自体の安定性も損なわれるため好ましくない。ここで、反応混合物中のpHとは、反応混合物と等重量の純水を混合して、ガラス電極法にて測定したpHである。
【0060】
疎水性有機溶媒に安定に分散させるためには、親水性コロイド状シリカ表面へのシリル基の結合量をシリカの表面積1nm2 当たり0.3〜3個、より好ましくは0.5〜3個とするのが良い。シリカ表面に結合したシリル基が0.3個/nm2 未満では安定性の付与に不充分であり、溶媒置換の過程で増粘が起きたり、できあがった疎水性ゾルの安定性が不充分となる。一方、3個/nm2 以上結合させるには大過剰のシリル化剤を添加しなければならないため好ましくない。ゾルの分散媒の疎水性の程度や使用する目的により必要とするシリル基の量は異なる。粒子間の結合性が必要な場合、あるいは粒子表面のシラノール基と他の試薬との反応性が必要な場合は結合量を少なくし、より疎水性にしたい場合には多くすると良い。そして、疎水性の樹脂溶液との相溶性も一般には結合量が多い方が良くなる。
【0061】
シリカ表面へのシリル基の結合量は、ゾルを減圧下で乾燥し得られたシリカ粉末の炭素含有量を測定する等の方法で知ることができる。また単位面積当たりのシリル基の結合量は、上記結合量をBET法により求めたシリカの比表面積で割ることにより計算できる。
添加するシリル化剤の量は、必要なシリル基量や反応条件などにより変わるが、通常ゾル中の親水性コロイド状シリカの比表面積100m2 当たりSi原子として0.03〜2ミリモル、好ましくは0.05〜2ミリモルとなる量含有させれば良い。反応条件にもよるが、結合させたい量よりもやや過剰(通常1から3倍)に添加するのが望ましい。特にヘキサメチルジシロキサンやトリメチルメトキシシランなどの様に低沸点のシリル化剤の場合には、続く(B)工程の蒸留によって過剰のシリル化剤の除去が容易であるため、やや過剰に添加して反応時間を短縮するのが効率的である。またシリル基の表面被覆率を高くしたい場合には、既にシリカ表面に結合したシリル基の立体障害により徐々に反応速度が低下するため、シリル化剤を過剰に用いるか、反応時間を充分にとる必要がある。また混合有機溶媒シリカゾル中の水やアルコール量が少ない方が反応率を上げることができる。反応混合物の媒体中に、水やアルコールが多量に共存するとシリル化収率が低下する傾向があるため、疎水化に必要な結合量に対し、やや過剰に添加するのが好ましい。シリル化剤が不足したり、反応が不充分であると、本発明の第一実施態様の(B)工程、並びに第二実施態様の(B)及び(D)工程において、疎水性有機溶媒による溶媒置換の過程で増粘を起こすことがある。
【0062】
本発明のシリル化剤をシリカゾルに含有させる方法は特に限定しないが、ゾルを撹拌したなかに、原液もしくは適切な溶媒で希釈したシリル化剤を添加し、均一になるまで撹拌を行うのが好ましい。
また、シリル化剤の添加を二度以上に分割して行っても良い。シリル化処理後、溶媒置換を行った後、再度シリル化処理する方法も可能である。この方法によれば最終的なゾルのシリル化率をかなり高めることも可能となる。
【0063】
シリル化反応はシリル化剤添加後、常温でも進行するが加温によって促進することができる。常温の場合は1日以上反応させることが好ましい。加熱による反応時間は通常数時間以内で良い。加熱は反応溶媒の沸点より低い温度が好ましいが、40〜100℃で行うのがより好ましい。
メタノール、エタノールなどが多く共存する条件下で、ジシロキサン化合物を比較的低温(常温付近)でゆっくり反応させると、アルコキシシラン化合物の副生を抑制でき、反応率を高くすることができる。
【0064】
本発明の第一実施態様の(B)工程、並びに第二実施態様の(B)及び(D)工程において、シリル化処理シリカゾルを蒸留し、水及びアルコールを留出させることにより、疎水性有機溶媒に分散したオルガノシリカゾルを生成させる。このとき必要に応じて、疎水性有機溶媒の供給を同時に行ってSiO2 濃度を55重量%以下に保つのが、好ましい方法である。そして、本発明の第一実施態様の(B)工程、及びに第二実施態様の(D)工程において、水分は0.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下になるまで蒸留を行うのが良い。水を充分除去することにより、保存中の安定性が更に良くなる。
【0065】
蒸留は常圧でも減圧でも良いが、高沸点溶媒の場合は減圧で行うのが好ましい。
また、本発明の第一実施態様の(B)工程、並びに第二実施態様の(B)及び(D)工程で使用した疎水性有機溶媒を留出させて別の疎水性有機溶媒を添加しながら蒸留を行っても良い。
【0066】
この発明の方法により、分散性に優れ低粘度のゾルが得られる。粘度は20重量%のSiO2 濃度のシリカを含有したたときに、分散媒である疎水性有機溶媒の粘度にたいして5倍以下(比粘度5以下)である。
ここで本発明の第一実施態様及び第二態様の(A)工程における反応混合物の生成方法は第五実施態様、第六実施態様及び第七実施態様が挙げられる。
【0067】
第五実施態様の(a)工程における炭素数1〜3のアルコールの添加と、(b)工程における疎水性有機溶媒の添加を同時に行うことも可能である。この方法が第六実施態様である。
第五実施態様の(b)工程における疎水性有機溶媒の添加と、(c)工程のシリル化剤の添加を同時に行うことも可能である。シリル化反応が充分進行しない内であれば疎水性有機溶媒がなくても増粘は起こらないので、シリル化剤を必要量の疎水性有機溶媒で希釈して添加する等の方法でも良い。この方法が第七実施態様である。
【0068】
本発明の第一実施態様の(A)工程の反応混合物にシリル化剤を含有させ、熟成を行うことは二度以上に分けて行うこともできる。この方法にて、蒸留を行って疎水性有機溶媒の比率を高めることもできる。より水溶解度の小さな疎水性有機溶媒のオルガノゾルの製造や、シリカ表面のシリル化率を高めたい時には有効な方法である。この方法が第二実施態様である。
【0069】
【実施例】
実施例1
市販の酸性水性シリカゾル(スノーテックス−O(登録商標)、SiO2 濃度20重量%、pH3.0、粒子径12nm)450gをロータリーエバポレーターで200gまで減圧蒸留により濃縮した。続いて、この濃縮酸性水性シリカゾルに、イソプロピルアルコール(IPA)160gとメチルエチルケトン(MEK)800gとを添加して、混合有機溶媒シリカゾル(SiO2 濃度7.8重量%、水分9.5重量%、IPA:MEK=1:5(重量比))を得た。
【0070】
この混合有機溶媒シリカゾルにヘキサメチルジシロキサン10g(0.6ミリモル/親水性コロイド状シリカの表面積100m2 )を加え撹拌して、反応混合物を生成した後、室温で7日間の静置により熟成して、シリル化処理シリカゾルを得た。このシリル化処理シリカゾルを圧力100Torr(0.013MPa)で減圧蒸留し、総液量が300mlになるまで濃縮した。続いて総液量が300mlで一定となるようにMEK500gを添加しながら減圧蒸留により溶媒置換して、MEK分散疎水性オルガノシリカゾル300g(SiO2 濃度30重量%、20℃における比重1.004、20℃における粘度1.1mPa・s、水分0.2重量%、IPA濃度0.3重量%)を得た。得られたゾルをMEKでSiO2 濃度が20重量%になるよう希釈し、粘度を測定したところ20℃における粘度は0.76mPa・sであり、溶媒に対する比粘度は1.8であった。
【0071】
また、このMEK分散疎水性オルガノシリカゾルを50℃で減圧乾燥後、粉砕し更に110℃で1時間乾燥後元素分析を行ったところ炭素含有量は1.22重量%であった。これはトリメチルシリル基結合量としてシリカ表面積1nm2 当たり0.9個に相当した。
比較例1
実施例1と同様にして混合有機溶媒シリカゾルを作製し、シリル化剤を添加することなく蒸留を行ったところ、混合有機溶媒シリカゾルが圧力100Torr(0.013MPa)の減圧蒸留濃縮の途中で著しく粘度が増加し、目的とするメチルエチルケトン(MEK)分散オルガノシリカゾルは得られなかった。
【0072】
比較例2
シリル化剤としてヘキサメチルジシロキサンのかわりにメチルトリメトキシシラン16.8g(0.6ミリモル/親水性コロイド状シリカの表面積100m2 )を添加した以外は実施例1と同様の操作を行ったところ、シリル化処理シリカゾルを圧力100Torr(0.013MPa)で300mlまで減圧蒸留濃縮した。続いて、メチルエチルケトン(MEK)を添加しながら減圧蒸留する途中で著しく粘度が増加し、目的とするゾルは得られなかった。
【0073】
実施例2
メタノールシリカゾル500g(SiO2 濃度30重量%、水分1.7重量%、メタノールシリカゾルと等量の蒸留水で希釈した時のpH3.4、粒子径12nm)にほぼSiO2 濃度が一定となる量の酢酸エチルを添加しながらロータリーエバポレーターを用いて圧力150Torr(0.020MPa)で減圧蒸留を行い、ゾルの媒体において酢酸エチルに対するメタノールの重量比が1となったところで減圧蒸留による溶媒置換を中断して、混合有機溶媒シリカゾルを得た。この混合有機溶媒シリカゾルに撹拌しながらトリメチルメトキシシランを12.8g(0.36ミリモル/親水性コロイド状シリカの表面積100m2)添加し、液温60℃で2時間の加熱により熟成して、シリル化処理シリカゾルを得た。このシリル化処理シリカゾルに酢酸エチルを添加しながら減圧蒸留により溶媒置換して、酢酸エチル分散疎水性オルガノシリカゾル(SiO2 濃度30.8重量%、20℃における比重1.100、20℃における粘度1.9mPa・s、水分0.06重量%、メタノール濃度0.2重量%)を得た。また、このゾルを酢酸エチルでSiO2 濃度が20重量%になるよう希釈し、粘度を測定したところ20℃における粘度は0.78mPa・sで溶媒に対する比粘度は1.73であった。
【0074】
また、この酢酸エチル分散疎水性オルガノシリカゾルのトリメチルシリル基の結合量を実施例1と同様にして求めたところ、シリカ表面積1nm2 当たり1.2個であった。
比較例3
実施例2と同じメタノールシリカゾル500gに、SiO2 濃度がほぼ一定となるように酢酸エチルを添加しながら圧力150Torr(0.020MPa)で減圧蒸留し、途中でトリメチルメトキシシランの添加を行わずに圧力150Torr(0.020MPa)で減圧蒸留による溶媒置換を続けた。ゾル中のメタノールの含有量が30重量%まで減少したところで白濁し著しく増粘し、目的とする酢酸エチル分散疎水性オルガノゾルは得られなかった。
【0075】
比較例4
実施例2と同じメタノールシリカゾル500gに、SiO2 濃度がほぼ一定となるようにn−ブタノールを添加しながら圧力150Torr(0.020MPa)で減圧蒸留による溶媒置換を行い、ゾルの媒体においてブタノールに対するメタノールの重量比が1となった時点で加熱を中断して、混合アルコールシリカゾルを得た。得られた混合アルコールシリカゾルにトリメチルメトキシシラン12.8g(0.36ミリモル/親水性コロイド状シリカの表面積100m2 )を添加し、液温60℃で2時間の加熱により熟成し、シリル化処理シリカゾルを得た。このシリル化処理シリカゾルは熟成中に次第に粘度が増加して粘度は高くなった。得れたシリル化処理シリカゾルにn−ブタノールを加えながら更に圧力150Torr(0.020MPa)で減圧蒸留を行ったところ、著しく粘度が増加して、目的とするブタノール分散疎水性オルガノゾルは得られなかった。
【0076】
比較例5
実施例2と同じメタノールシリカゾル500gに、ほぼSiO2 濃度が一定となる量の酢酸エチルを添加しながら圧力150Torr(0.020MPa)で減圧蒸留による溶媒置換を行い、ゾルの媒体において酢酸エチルに対するメタノールの重量比が1となったところで中断して、混合有機溶媒シリカゾルを得た。この混合有機溶媒シリカゾルに撹拌しながらトリメチルクロルシラン13.4g(0.36ミリモル/親水性コロイド状シリカの表面積100m2 )を添加したところ、直ちに白濁し凝集物が生じた。60℃で2時間加熱したが、白濁増粘したままであった。
【0077】
実施例3
実施例2と同じメタノールシリカゾル500gにメチルエチルケトン(MEK)60g及びヘキサメチルジシロキサン10g(0.36ミリモル/親水性コロイド状シリカの表面積100m2 )を添加し撹拌後、室温で7日間の静置により熟成して、シリル化処理シリカゾルを得た。このシリル化処理シリカゾルを圧力150Torr(0.020MPa)で減圧蒸留を行って、SiO2 濃度を約30重量%まで濃縮した。続いて、メチルメタアクリレート554gをゾル中のSiO2 濃度がほぼ一定となるように添加しながら圧力150Torr(0.020MPa)で減圧蒸留を続け、メチルメタクリレート分散疎水性オルガノシリカゾル(SiO2 濃度 30重量%、比重 1.148、粘度 5.0mPa・s、水分 0.2重量%、メタノール濃度 0.9重量%)を得た。得られたシリカゾルをメチルメタクリレートでSiO2 濃度が20重量%になるよう希釈し、粘度を測定したところ25℃における粘度は3.5mPa・sで溶媒に対する比粘度は2.65であった。
【0078】
比較例6
実施例2と同じメタノールシリカゾルに600gに10重量%アンモニア水を0.2g添加した。このゾルの一部をとり、このメタノールゾルと等量の水で希釈して測定したpHは5.1であった。このゾル500gに実施例3と同様に、メチルエチルケトン(MEK)とヘキサメチルジシロキサンを添加し、室温で7日間の静置により熟成して、シリル化処理シリカゾルを得た。続いて、このシリル化処理シリカゾルにメチルメタクリレートを添加して圧力150Torr(0.020MPa)で減圧蒸留することにより、溶媒置換を行ったところ、溶媒置換途中で著しく増粘して、目的とするメチルメタクリレート分散疎水性オルガノシリカゾルは得られなかった。
【0079】
比較例7
実施例2と同じメタノールシリカゾル500gにヘキサメチルジシロキサン10g(0.36ミリモル/親水性コロイド状シリカの表面積100m2 )を添加し撹拌後、室温で7日間の静置により熟成して、25℃における粘度として100mPa・sを有するシリル化処理シリカゾルを得た。
【0080】
次に、このシリル化処理シリカゾルにメチルエチルケトン(MEK)をゾル中のSiO2 濃度がほぼ一定となるように添加しながら圧力150Torr(0.020MPa)で減圧蒸留を行って、MEK分散疎水性オルガノシリカゾル(SiO2 濃度30重量%、比重1.060、粘度9.0mPa・s、水分0.2重量%、メタノール濃度 0.3重量%)を得た。得られたシリカゾルをMEKでSiO2 濃度が20重量%になるよう希釈し、粘度を測定したところ25℃における粘度は5.5mPa・sで溶媒に対する比粘度は13であった。また、減圧蒸留による溶媒置換中に、ロータリーエバポレーターの加熱容器の内壁にゲル状物が付着して、収率は低下した。そして、得られたゾルには、ミクロゲルが混入して、外観は白濁していた。
【0081】
実施例4
市販の酸性水性シリカゾル(スノーテックス−OL(登録商標)、SiO2 濃度20重量%、粒子径46nm)をロータリーエバポレーターで圧力150Torr(0.020MPa)で減圧濃縮後、メタノールで常圧蒸留にて溶媒置換してメタノールシリカゾル(SiO2 濃度40.6重量%、水分1.4重量%、メタノールシリカゾルを等量の蒸留水で希釈した時のpH3.4)を得た。このメタノールゾル1560gにヘキサメチルジシロキサン15.6g(0.51ミリモル/親水性コロイド状シリカの表面積100m2 )をメチルイソブチルケトン(MIBK)250gに溶解した溶液を撹拌下に添加し、撹拌しながら加熱して液温60℃で1時間の熟成で、シリル化予備処理シリカゾルを得た。続いて、シリル化予備処理シリカゾルに、ほぼSiO2 濃度が一定となるように、MIBKを添加しながら常圧蒸留を行い、ゾルの媒体においてMIBKに対するメタノールの重量比が0.9となったところで常圧蒸留を中断して、アルコール含有疎水性オルガノシリカゾルを得た。このアルコール含有疎水性オルガノシリカゾルに撹拌しながらヘキサメチルジシロキサンを7.8g(0.26ミリモル/親水性コロイド状シリカの表面積100m2 )をMIBK72gに溶解した液を添加し、撹拌しながら加熱して液温60℃で1時間の加熱により熟成して、シリル化処理シリカゾルを得た。続いて、得られたシリル化処理シリカゾルにMIBKを添加しながら圧力150Torr(0.020MPa)で減圧蒸留にて溶媒置換を行って、MIBK分散疎水性オルガノシリカゾル(SiO2 濃度30.5重量%、20℃における比重1.000、20℃における粘度3.0mPa・s、水分0.05重量%、メタノール濃度0.1重量%)を得た。また、このゾルをMIBKでSiO2 濃度が20重量%になるよう希釈し、粘度を測定したところ20℃における粘度は1.3mPa・sであり、溶媒に対する比粘度は2.64であった。
【0082】
実施例5
実施例2と同じメタノールシリカゾル500gに1,3−ジ(n−ブチル)テトラメチルジシロキサン7.9g(0.19ミリモル/親水性コロイド状シリカの表面積100m2 )を20gのジイソプロピルエーテルに溶解して添加し、撹拌後室温で10日間の静置により熟成して、シリル化処理シリカゾルを得た。このシリル化処理シリカゾルを圧力120Torr(0.015MPa)で減圧蒸留を行いSiO2 濃度が約30重量%となるまで濃縮した。続いて、酢酸n−ブチル420gを添加して、ゾル中のSiO2 濃度がほぼ一定となるように添加しながら圧力120Torr(0.015MPa)で減圧蒸留を続け、酢酸ブチル分散疎水性オルガノシリカゾル(SiO2 濃度30重量%、比重1.077、粘度1.47mPa・s、水分0.2重量%、メタノール濃度0.8重量%)を得た。また、この酢酸ブチル分散疎水性オルガノシリカゾルを酢酸ブチルでSiO2 濃度が20重量%になるよう希釈し、粘度を測定したところ20℃における粘度は0.90mPa・sであり、溶媒に対する比粘度は1.2であった。
【0083】
【発明の効果】
本発明は、親水性コロイド状シリカ表面のシリル化処理を、ジシロキサン化合物及び/又はモノアルコキシシラン化合物のシリル化剤を、当該親水性コロイド状シリカの表面積100m2 当たりSi原子として0.05〜2ミリモル量比に含有し、且つその残余として0.1〜12重量%の水溶解度を有する疎水性有機溶媒に対して炭素数1〜3のアルコールは0.05〜20の重量比である混合溶媒と媒体中15重量%以下の水とからなる媒体を含有する反応混合物を、反応混合物中に存在するアルカリが除去され又は当量以上の酸で中和された状態で、0〜100℃で熟成することを特徴とする疎水性オルガノシリカゾルの製造方法である。そして、20重量%のSiO2 濃度のシリカを含有する当該疎水性オルガノシリカゾルでは5以下の比粘度を有することを特徴とする低粘度の疎水性オルガノゾルとなっている。
【0084】
本発明は粒子表面のシラノール基の1部がシリル化処理された疎水性コロイド状シリカが有機溶媒に安定に分散した疎水性オルガノシリカゾルの製造方法に関する。特にメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトンや酢酸エチル、酢酸ブチル、メタクリル酸メチルなどのエステルなどの水と相互溶解しにくい溶媒に分散し、安定性の優れたオルガノシリカゾルの製造に適している。本発明の方法によれば、酸やアルカリなどのゾルの性質を損なうシリル化剤よりの副生物を含まず、分散性の優れたオルガノシリカゾルが効率よく得られる。また従来より少ないシリル基量で安定化ができ、用途に応じて疎水化レベルをコントロールすることも可能である。
【0085】
また本発明の方法により得られたオルガノシリカゾルは、分散性が良く低粘度で透明性に優れ、樹脂溶液との相溶性も良いため、コーティング剤、塗料バインダーに添加し、耐擦傷、密着性、耐熱性などを付与するマイクロフィラーとして特に有用である。
Claims (5)
- 5.5〜550m2/gの比表面積を有する親水性コロイド状シリカを5〜55重量%のSiO2濃度で含有し、ジシロキサン化合物及び/又はモノアルコキシラン化合物であるシリル化剤を、当該親水性コロイド状シリカの表面積100m2 当たりSi原子として0.03〜2ミリモル量比に含有し、且つその残余として0.1〜12重量%の水溶解度を有する疎水性有機溶媒に対して炭素数1〜3のアルコールは0.05〜20の重量比である混合溶媒と媒体中15重量%以下の水とからなる媒体を含有する反応混合物を、反応混合物中に存在するアルカリが除去され又は当量以上の酸で中和された状態で、0〜100℃で熟成することにより、疎水性コロイド状シリカが分散したシリル化処理シリカゾルを生成させることを含む疎水性オルガノシリカゾルの製造方法。
- 下記の工程(A)及び(B):
(A)5.5〜550m2/gの比表面積を有する親水性コロイド状シリカを5〜55重量%のSiO2濃度で含有し、一般式(I)
(B)(A)工程で生成した当該シリル化処理シリカゾルを蒸留することにより、当該シリル化処理シリカゾルの媒体が当該疎水性有機溶媒に置換された疎水性オルガノシリカゾルを生成させる工程、
からなる疎水性オルガノシリカゾルの製造方法。 - 下記の工程(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)5.5〜550m2/gの比表面積を有する親水性コロイド状シリカを5〜55重量%のSiO2濃度で含有し、一般式(I)
(B)(A)工程で生成した当該シリル化予備処理シリカゾルを蒸留することにより、当該シリル化予備処理シリカゾルの媒体が0.1〜12重量%の水溶解度を有する疎水性有機溶媒に対して炭素数1〜3のアルコールが0.05〜5重量比となるまで当該疎水性有機溶媒に置換されたアルコール含有疎水性オルガノシリカゾルを生成させる工程、
(C)(B)工程で生成したアルコール含有疎水性オルガノシリカゾルに、前記一般式(I)及び/又は前記一般式(II)で表されるシリル化剤の(A)工程と(C)工程とでの添加含有量を、当該アルコール含有疎水性オルガノシリカゾル中の疎水性コロイド状シリカの原料である親水性コロイド状シリカの表面積100m2 当たりSi原子として0.05〜2ミリモル量比に含有し、且つその残余として0.1〜12重量%の水溶解度を有する疎水性有機溶媒に対して炭素数1〜3のアルコールは0.05〜5の重量比である混合溶媒と媒体中15重量%以下の水とからなる媒体を含有する反応混合物を生成させ、0〜100℃で熟成することにより、疎水性コロイド状シリカが分散したシリル化処理シリカゾルを生成させる工程、及び
(D)(C)工程で生成した当該シリル化処理シリカゾルを蒸留することにより、当該シリル化処理シリカゾルの媒体が当該疎水性有機溶媒に置換された疎水性オルガノシリカゾルを生成させる工程、
からなる疎水性オルガノシリカゾルの製造方法。 - シリル化剤として、ヘキサメチルジシロキサンを用いることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の疎水性オルガノシリカゾルの製造方法。
- シリル化剤として、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン及びトリメチルプロポキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の疎水性オルガノシリカゾルの製造方法。
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