JP4032483B2 - 分光測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は分光測定装置に関し、特に、分光測定装置自身が本来持つS/N比や波長分解能等の基本性能を常時、最大限に引き出すために、特定波長の輝線を用いて分光測定装置内のスリットの保持位置を最適な位置に自動調整できる分光測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、計測器分野におけるユーザーのニーズは多種多様化してきており、各ニーズに対応できる汎用性の高い装置の開発が、資源を有効活用する上でも重要な課題となっている。
【0003】
分光測定装置の分野においても、S/N比の良い信号を得たい場合には波長分解能を犠牲にして幅の広いスリットを使用したり、逆に、波長分解能の良い信号を得たい場合にはS/N比を犠牲にして幅の狭いスリットを使用する等の、ユーザー側の目的用途に応じてスリット幅を可変にできる汎用型の装置の開発が取り組まれている。
【0004】
分光測定装置のスリット幅を変える方式には、スリット刃を動かしてスリット幅を変える方式と、幅の異なる固定幅のスリットを複数種用意しておいて切り換える方式とがあるが、固定幅のスリットを切り換える後者の方式の方が、スリット幅の再現性において優れている。
【0005】
上記の固定幅スリットの切り換え方式においては、切り換え後のスリット位置が分光測定装置自身の基本性能を左右するため、スリットの切り換えは極めて正確に、且つ再現性良く行われる必要がある。スリット位置の正確さは、加工精度の向上、高分解能パルスモータの使用、および切り換えに要するパルス数の十分な調査と実験により高めることができる。また、スリット位置の再現性は、パルスモータの回転方向とスタート位置検出時の回転方向とを常に等しくすることで向上させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の固定幅スリットの切り換え方式においては、切り換える際のスリットの移動量が、あらかじめスリット位置に合わせて定められた量しか移動することはなく、長期間使用したことによる駆動部の摩耗や劣化、輸送時等の振動による部品のゆるみ、加工不良や加工精度不足、切り換えに要する移動量の調査不足や誤り、その他何らかの要因によってスリット切り換え時におけるスリット位置にずれが生ずると、何ら対策ができず、スリット通過後の光量が減少してS/N比が低下したり、実質上のスリット幅が広がって波長分解能が悪化してしまい、装置本来の性能が保証できなくなるという致命的な問題を抱えていた。
【0007】
ここで、従来のスリット切り換え型の分光測定装置において、スリット位置にずれが生じた場合の悪影響について、図6,図7を用いて更に詳しく説明する。
図6(a)はスリット切り換えの際、所定のスリットが正しい位置に保持された例であり、スリットに集光された光21の中心とスリット19の中心が一致している。この場合は図7に示すように、スリットを通過する光の強度は、最大のIa、スペクトル半値幅は最小のΔλaとなり、分光測定装置が本来持つ性能は最大限に引き出される。
【0008】
これに対し、図6(b)は所定のスリットが正しい位置からずれて保持されてしまった例であり、正しい位置に保持された場合に比べ、スリットを通過できる光の面積(斜線部)はSaからSbに減少し、実質上のスリット幅はWaからWbに広がってしまう。その結果、図7に示すように、スリットを通過する光の強度はIaからIbに減少し、またスペクトル半値幅はΔλaからΔλbに広がってしまい、装置は本来の性能を満足することができない。
【0009】
本発明の目的は、上記の問題点を解決するために、特定波長の輝線を用いて、分光測定装置内のスリット位置を最適な位置に自動調整することにより、装置自身が本来持つS/N比や波長分解能等の基本性能を常時最大限に引き出すことのできる分光測定装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の特徴は、特定波長の輝線を含んだ光を発する測定用光源と、測定試料を保持する試料室と、固定幅のスリットを設けたスリット部材と、前記スリット部材の配置を変化させる位置駆動手段と、前記スリット部材を通過した前記光を波長毎に分散する光分散素子と、当該光分散素子により分散された前記光の光強度を検出する光検出素子とを有する分光測定装置において、前記スリット部材の配置位置に応じて得られる複数の前記光検出素子の出力を比較する比較手段と、当該比較手段の結果に基づき前記位置駆動手段によって前記スリット部材の配置位置を変更する制御手段とを備えたことである。
【0011】
本発明では、スリット部材の配置位置に応じて得られる複数の前記光検出素子の出力を比較することで、分光測定装置内のスリットの保持位置を最適な位置に自動調整し、装置自身が本来持つS/N比や波長分解能等の基本性能を常時、最大限に引き出すことができる。従って、定期的な点検および調整を行わなくとも、高い測定精度を長期に渡って維持することを可能とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0013】
図1は分光測定装置の構成例の一例である。
【0014】
重水素ランプ1から発せられた光は、レンズ2で測定試料を保持するセル3に集光され、レンズ4で再び入射スリット5に集光された後、凹面回折格子6上に投影され、回折光が出射スリット25を透過して単色光として取り出された後、フォトダイオード7に導かれる。凹面ミラー17はパルスモータ9によって回転可能であって、水銀ランプ8から発せられた光は凹面ミラー17にて反射され、入射スリット5に集光される。パルスモータ9,10,11,26は制御部 (CPU,メモリを含む)13からの信号によって制御され、CRT表示装置 15,プリンタ16等の出力装置に結果が出力される。
【0015】
図2は、上記構成例の入射スリット5におけるスリット部材の一例である。尚、図2のスリット部材の構成は、出射スリット25においても適用されるものであるが、これらのスリット部材の構成は、以下図2を用いて入射スリット側の例で説明する。
【0016】
スリット部材は、図2に示すような、幅の異なる複数のスリット19が周辺部に配置された円板であり、スリット円板18をパルスモータ10を用いて回転させることによって所定のスリットを選択することができる。スリット円板18の外周上には一箇所切り掻き20が設けられており、スリット円板18を挟んでフォトカプラ12が配置してあって、このフォトカプラ12により切り掻き20のエッヂが検出される位置が、パルスモータ10のスタート位置となる。スリット切り換え時には、入射スリット5および出射スリット25の各々に対して、指定されたスリットに対するスタート位置からのパルス数が制御部(CPU,メモリを含む)13のメモリから読み出され、スリット円板18がスタート位置検出時と同じ方向に読み出したパルス数だけ回転したところで、パルスモータが停止する。
【0017】
上記の構成におけるスリット位置の自動調整を行う際の動作概要を示したフローチャートを図13に示す。
【0018】
まず、キーボード14から制御部13へ特定のスリットを指定した切り換え信号が入力されると、制御部13は、凹面ミラー17をパルスモータ9により回転させ、水銀ランプ8から発せられる光を入射スリット5へ導く(131)。
【0019】
次に、フォトダイオード7が水銀ランプ8の253.7nm の輝線の光強度を検出できる角度に凹面回折格子6を回転させる(132)。
【0020】
次に、指定されたスリットに対するパルス数を制御部13から読み出し、パルスモータ26の回転によって出射スリット25を規定位置に固定する(133)。
【0021】
次に、入射スリット5について、指定スリットに対する最適位置自動調整を行う(134)。
【0022】
最後に、入射スリット5を最適位置に固定した状態で、出射スリット25の最適位置自動調整を行う(135)。
【0023】
次に、上記各スリットにおける最適位置自動調整の制御動作について詳細に説明する。尚、ここでは図1の構成例における自動調整について、以下に3つの実施例を説明するが、何れも入射スリット及び出射スリットにおいて共通して用いられる動作である。
【0024】
図3は、スリット最適位置自動調整の第1の実施例について示したフローチャートである。
【0025】
各スリットの自動調整段階では、まず、スリット円板18を回転させ、切り掻き20を基にスタート位置を検出する。
【0026】
そして、キーボード14からの指定スリットに対するパルス数を制御部13内のメモリ上から読み出し、スタート位置から読み出したパルス数だけパルスモータ10を右回転させ、あらかじめ指定スリット位置として規定された位置へスリット円板18を回転させる。この時、flag=0とする。そして、フォトダイオード7により出力電圧を検出を行い、この段階でのフォトダイオード7の出力電圧Vf を初期値として変数Vmax に代入する。
【0027】
その後、パルスモータ10を1パルス数だけ右回転させてフォトダイオード7の出力電圧Vfを求め、Vmax と比較を行い、Vmax<Vfであれば、Vmax=Vf,flag=1とし、1パルス数だけ右回転させてVfを求め、再びVmax との比較を行う。尚、1パルスの回転によるスリット円板18の回転角は、約0.3° 程度である。
【0028】
Vmax≧Vfとなれば、バックラッシュ補正(パルスモータのギアの遊びの補正)を行い、1パルス数だけ左回転させ、flagの確認を行う。flag=1であれば、その時のVmax がフォトダイオード7の最大出力電圧であるとし、この時点でのパルスモータのスタート位置からのパルス数がメモリ上に記憶される。
【0029】
また、flag=0であれば、パルスモータ10を1パルス数だけ左回転させる。そして、フォトダイオード7の出力電圧Vfを求め、Vmaxと比較を行い、Vmax<Vf であれば、Vmax=Vfとし、1パルス数だけ左回転させてVf を求め、再びVmax との比較を行う。
【0030】
最終的にVmax≧Vfとなれば、バックラッシュ補正を行い、1パルス数だけ右回転させ、この時点でのパルスモータのスタート位置からのパルス数がメモリ上に記憶される。
【0031】
本実施例の特徴は、メモリ上のパルス数とフォトダイオードの出力電圧が最大となるパルス数、即ち輝線の光強度が最大となるパルス数とがほぼ一致していれば、制御時間が極めて短く済むことにある。即ち、経時変化等による位置ずれの量に比例した制御時間で調整が行えるものである。
【0032】
図4は、図1の構成例におけるスリット最適位置自動調整の第2の実施例を示したフローチャートである。
【0033】
スリットの自動調整段階では、まず、スリット円板18を回転させ、切り掻き20を基にスタート位置を検出する。ただし、本実施例においては、スタート位置検出は右回転のみで行う。そして、指定スリットのパルス数(ここでは“n”とする)をメモリから読み出し、検出範囲を決定づける任意のパルス数mを減算、即ちパルス数(n−m)を算出し、(n−m)だけパルスモータを右回転させる。ここで、任意のパルス数mは、元々規定されているスリット位置の前後の光強度を検出する範囲を定めるための数値であり、パルス数“2m”分の移動量の範囲が検出範囲とされる。“m”の数値は、少なくとも1つのスリット高さ分の移動量乃至スリット高さの半分の移動量となるパルス数であれば十分である。
【0034】
その後、各変数Vmax,cnt,cntmaxに初期値として0を代入する。そして、フォトダイオード7の出力電圧Vfを求め、Vmax と比較を行う。
【0035】
比較の結果Vmax≧Vfであれば、Vmax,cntmaxは変化させず、cntをインクリメントする。Vmax<Vfであれば、Vmax=Vf ,cntmax=cntとして、cntをインクリメントする。
【0036】
その後、1パルス数だけ右回転を行い、cntと2m(任意のパルス数の2倍)の比較を行う。比較の結果、cnt≦2mであれば、再びフォトダイオード7の出力電圧Vf を求め、Vmax と比較を行う処理に戻る。cnt>2mであれば、パルスモータを回転させ、切り掻き20を基に再びスタート位置を検出する。そして、cntmax 分のパルス数だけモータを右回転させ、スタート位置からのパルス数、即ちcntmax と同一のパルス数が、輝線の光強度が最大となる位置としてメモリに記憶される。
【0037】
本実施例の特徴は、スリット円板18の回転方向は、スタート位置検出時も含めて右方向のみとし、指定スリットのパルス数nに対して±mパルスの範囲で輝線の光強度をサーチし、その検出範囲内で光強度が最大となる位置を検出するようにしていることである。
【0038】
本実施例においては、スリットの位置ずれ量に依らず常に一定の制御時間で調整が行われるため、調整に要する時間をあらかじめ知ることができる。また、バックラッシュ補正も行わないため(バックラッシュ補正は、完全な補正を行うことが難しい。)、スリット円板18の回転方向が常に同一であり、スリット位置の再現性に優れた調整を実現することが可能となる。
【0039】
図5は、図1の構成例におけるスリット最適位置自動調整の第3の実施例を示したフローチャートである。
【0040】
スリットの自動調整段階では、まず、スリット円板18を回転させ、切り掻き20を基にスタート位置を検出する。次に、指定スリットのパルス数をメモリから読み出し、スリット円板18を読み出したパルス数だけ右回転させる。
【0041】
そして、パルスモータ11により、凹面回折格子6を回転させることにより、図12に示すように、水銀ランプの輝線波長253.7nm 前後付近の波長走査を行ってフォトダイオード7の出力電圧を検出し、最大出力電圧Vmax の半分の出力、即ちVmax/2 となる波長λ1,λ2を求め、λ1からλ2の波長範囲(半値幅)を算出し、初期値として変数Δλに代入する(Δλ=λ2−λ1)。
【0042】
その後、1パルス数だけパルスモータ10を右回転し、再び凹面回折格子6を回転させることで水銀ランプの輝線波長253.7nm 前後付近の走査を行ってフォトダイオード7の出力電圧Vr を検出し、走査範囲内での最大出力電圧の半分の出力となる時の波長λ1r,λ2rを求め、λ1rからλ2rの半値幅を算出し、変数Δλrに代入する(Δλr =λ2r−λ1r)。
【0043】
そして、変数ΔλとΔλr を比較し、Δλ>Δλr であれば、Δλ=Δλr として、1パルス数だけパルスモータ10を右回転し、再びΔλr =λ2r−λ1rを算出するようにする。
【0044】
Δλ≦Δλr であれば、バックラッシュ補正を行い、2パルス数だけパルスモータを左回転する。そして、凹面回折格子6を回転させることで水銀ランプの輝線波長253.7nm 前後付近の走査を行ってフォトダイオード7の出力電圧 Vl を検出し、最大出力電圧の半分の出力となる波長λ1l,λ2lを求め、λ1lからλ2lの半値幅を算出し、変数Δλl に代入する(Δλl=λ2l−λ1l)。
【0045】
そして、変数ΔλとΔλl を比較し、Δλ>Δλlであれば、Δλ=Δλlとして、1パルス数だけパルスモータ10を左回転し、再びΔλl =λ2l−λ1lを算出するようにする。
【0046】
Δλ≦Δλl であれば、バックラッシュ補正を行い、1パルス数だけパルスモータ10を左回転し、この時のスタート位置からのパルス数をメモリに記憶させ、処理を終了する。
【0047】
本実施例の特徴は、スリット円板18の回転時に、波長走査を行って水銀ランプの輝線波長253.7nm 付近のスペクトルを求め、輝線のスペクトル半値幅Δλが最小となる位置にパルスモータを静止させている点であり、第1の実施例に比べて多少の時間を必要とするが、スリット位置の正確さにおいて優れた調整を行うことができる。
【0048】
上記の図1に示す構成例における各実施例において、特定波長の輝線を含んだ光を発する水銀ランプ8を光源に用いる理由は、輝線を含まない連続スペクトル光源では、光強度が極大となる波長が逐次変化しているため、スリットの保持位置は最適位置からずれる恐れがあるため、特定波長の輝線であれば、その波長で光強度が極大値を持ち、且つ常時不変であること、また、輝線の波長が特定であれば、スリット切り換え時に何らかの波長走査を合わせて実施できるためである。
【0049】
また、特定波長の輝線を含んだ光を発する光源を装置内に内蔵することにより、スリット位置の最適自動調整時における光源の取り換え作業は不要となり、装置の電源投入後なら任意にスリット位置の最適自動調整が実施できる。さらに、同様の特定波長の輝線を用いて、装置自身の波長校正も行えるものである。
【0050】
また更に、特定波長の輝線を含んだ光を試料室を通さずにスリットに入射する構成により、試料室内に何らかの物質が存在していても、輝線が物質に吸収されることなく、また吸収に伴う燐光,蛍光の悪影響を受けることなく、スリット位置の最適自動調整を実施することができる。従って、スリット位置の最適自動調整時に、試料室から試料を撤去する必要がない。
【0051】
さらに、規定値としてスリットの基準位置からのパルス数を、あらかじめ任意に調査してメモリ上に記憶する際、最適位置とは異なるパルス数を誤ってメモリ上に記憶してしまった場合でも、本実施例の調整を行うことにより、スリット位置を最適な位置に調整可能である。
【0052】
図8に、図1の分光測定装置とは異なる構成例について示す。
【0053】
本構成例においては、図1におけるフォトダイオード7の代わりにフォトダイオードアレイ23を使用し、重水素ランプ1から発せられる光の一部を光ファイバ22中を伝搬させて凹面ミラー17に導く構成としている。
【0054】
図9は、図8の構成例におけるスリット切り換え時の入射スリット円板18の回転制御を示したフローチャートである。
【0055】
スリットの自動調整段階では、まず、パルスモータ9により凹面ミラー17を回転させる。そして、スリット円板18を回転させ、切り掻き20を基にスタート位置を検出する。
【0056】
そして、キーボード14からの指定スリットに対するパルス数をメモリ上から読み出し、スタート位置から読み出したパルス数だけパルスモータ10を右回転させ、あらかじめ指定スリット位置として規定された位置へスリット円板18を回転させる。この時、flag=0とする。そして、フォトダイオードアレイ23により重水素ランプ1の輝線波長656.3nm に対応する出力を検出を行い、この段階でのフォトダイオードアレイ23の出力電圧Vf を初期値として変数
Vmax に代入する。
【0057】
その後、パルスモータ10を1パルス数だけ右回転させて、重水素ランプ1の輝線波長に対応するフォトダイオードアレイ23の出力電圧Vf を求め、Vmax と比較を行い、Vmax<Vfであれば、Vmax=Vf,flag=1とし、1パルス数だけ右回転させてVf を求め、再び出力電圧Vfを検出しVmax との比較を行う。尚、本構成例においても1パルスの回転によるスリット円板18の回転角は、約0.3°程度である。
【0058】
Vmax≧Vfとなれば、バックラッシュ補正を行い、1パルス数だけ左回転させ、flagの確認を行う。flag=1であれば、その時のVmax がフォトダイオード7の最大の出力電圧であるとし、この時点でのパルスモータのスタート位置からのパルス数がメモリ上に記憶される。
【0059】
また、flag=0であれば、パルスモータ10を1パルス数だけ左回転させる。そして、フォトダイオードアレイ23の出力電圧Vf を求め、Vmax と比較を行い、Vmax<Vfであれば、Vmax=Vfとし、1パルス数だけ左回転させて出力電圧Vf を求め、再びVmax との比較を行う。
【0060】
最終的にVmax≧Vfとなれば、バックラッシュ補正を行い、1パルス数だけ右回転させ、この時点でのパルスモータのスタート位置からのパルス数がメモリ上に記憶される。
【0061】
本構成例の特徴は、スリット切り換え時には重水素ランプ1の656.3nm の輝線を用いてスリット位置の制御を行うことで水銀ランプを不要とし、また、フォトダイオードアレイ23の各フォトダイオード毎に検出波長を対応させることで凹面回折格子6の回転制御部,出射スリットおよび出射スリットの回転制御部は不要となり、更に迅速な最適位置調整が安価で実現できることにある。また、凹面回折格子6の代わりにプリズムを用いても良い。
【0062】
図10,図11に、上記2つの分光分析装置で用いられたスリット部材の他の例を示したものである。図10の例では、図2で示したスリット19の幅,高さ方向を入れ替えた例である。また、図11の例は、スリット19の数を減らし、スリット円板24を扇形に形成した例である。
【0063】
上記の図10,図11の2つのスリット部材においても前述の拡張性処理において、問題なく使用することが可能である。
【0064】
以上に示した本発明の分光測定装置においては、スリット切り換え時における分光測定装置内のスリット位置を常に最適な位置に保持できるため、装置自体の性能は最大限に引き出される。従って、定期的な点検および調整を行わなくとも、高い測定精度を長期に渡って維持できるため、アフターサービス作業を容易にすることができる。
【0065】
また、本発明は、最適自動調整後のスリット位置を記憶し、再度、同スリットの最適位置自動調整を行う際は、その記憶位置に基づいて実施することで調整時間を短縮できる。さらに、装置のイニシャルセット時に、全スリットに対して最適位置自動調整を行って各々の位置を記憶すれば、更なる調整時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0066】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、分光測定装置内のスリットの保持位置を最適な位置に自動調整することができ、装置自身が本来持つS/N比や波長分解能等の基本性能を常時、最大限に引き出すことができ、高い測定精度を長期に渡って維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による分光測定装置のブロック構成図である。
【図2】複数の固定幅スリットを有したスリット部材の一実施例である。
【図3】本発明の一実施例によるスリット位置を最適調整する制御方法を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の一実施例によるスリット位置を最適調整する制御方法を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の一実施例によるスリット位置を最適調整する制御方法を説明するフローチャートである。
【図6】スリット切り換え時に位置ずれが生じた例である。
【図7】スリット切り換え時に生じた位置ずれによる影響を示した例である。
【図8】本発明の一実施例による分光測定装置のブロック構成図である。
【図9】本発明の一実施例によるスリット切り換え時のスリット位置を最適調整する制御方法を説明するフローチャートである。
【図10】複数の固定幅スリットを有したスリット部材の一実施例である。
【図11】複数の固定幅スリットを有したスリット部材の一実施例である。
【図12】水銀ランプの輝線波長253.7nm 付近のスペクトルである。
【図13】本発明の一実施例によるスリット切り換え時の制御方法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…重水素ランプ、2,4…レンズ、3…セル、5…入射スリット、6…凹面回折格子、7…フォトダイオード、8…水銀ランプ、9,10,11,26…パルスモータ、12,27…フォトカプラ、13…制御部、14…キーボード、 15…CRT表示装置、16…プリンタ、17…凹面ミラー、25…出射スリット。
Claims (10)
- 測定試料を保持するための試料室と、前記試料室に照射される光を発する第1の光源と、固定幅のスリットを有し前記試料室を通過した前記光が該スリットを通過するように構成されたスリット部材と、当該スリット部材の配置位置を変化させる位置駆動手段と、前記スリット部材を通過して入射した前記光を波長毎に分散する光分散素子と、当該光分散素子により分散された前記光が入射し、入射した光の光強度を検出する光検出素子と、前記スリット部材の配置位置を調整するための第2の光源とを有し、
前記第2の光源からの光は、前記スリット部材の前記スリットを通過し、前記光分散素子において波長毎に分散され、分散された前記光は前記光検出素子に入射し、
前記スリット部材の配置位置に応じて前記第2の光源からの光に基づいて得られる複数の前記光検出素子の出力を比較する比較手段と、当該比較手段の結果に基づき前記位置駆動手段によって前記スリット部材の配置位置を変更する制御手段とを備えたことを特徴とする分光測定装置。 - 請求項1記載の分光測定装置において、前記スリット部材の配置位置情報を格納する記憶手段を備え、測定を行う際に当該記憶手段に格納された配置位置情報に基づく位置に前記スリット部材を移動することを特徴とする分光測定装置。
- 請求項1記載の分光測定装置において、特定波長の輝線を含む光を発する前記第2の光源と、前記試料室と前記スリット部材間に配置され前記第2の光源の光を前記スリット部材へと導く光路切り換え手段とを備えたことを特徴とする分光測定装置。
- 請求項1記載の分光測定装置において、前記第2の光源が、前記第1の光源と前記第1の光源の光を前記試料室を通さずに前記スリット部材へと導く導入手段とを具備して構成されることを特徴とする分光測定装置。
- 請求項3または4記載の分光測定装置において、前記位置駆動手段はパルスモータであり、前記比較手段は前記パルスモータが1パルス分移動する毎に比較を行うことを特徴とする分光測定装置。
- 請求項3記載の分光測定装置において、前記位置駆動手段はパルスモータであり、前記比較手段は少なくとも前記パルスモータが前記スリットの高さ分移動する範囲において比較を行うことを特徴とする分光測定装置。
- 請求項3記載の分光測定装置において、前記比較手段が比較を行う毎に、前記光検出素子によって前記第2の光源の特定波長近傍の光強度を検出することを特徴とする分光測定装置。
- 請求項7記載の分光測定装置において、前記第2の光源の特定波長近傍の光強度を検出する毎に、検出範囲内での半値幅を算出し、半値幅が最小の位置に前記スリット部材を配置することを特徴とする分光測定装置。
- 請求項1記載の分光測定装置において、前記スリット部材は固定幅の異なる複数のスリットを設けていることを特徴とする分光測定装置。
- 請求項9記載の分光測定装置において、前記スリット部材は円板形状であり、周辺部に前記複数のスリットを配置することを特徴とする分光測定装置。
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