JP4031899B2 - 電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は電子部品を実装するためにデバイスホールが形成された電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造する方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
プリント配線板にICあるいはLSIなどの電子部品を実装する方法としてフィルムキャリアが使用されている。このフィルムキャリアは、例えば、絶縁フィルムの表面に導電性金属箔を貼着し、この導電性金属箔の表面にフォトレジストを塗布して、このフォトレジストに所望のパターンを露光現像して、この現像されたフォトレジストにより形成されたパターンをマスキング材として用いて導電性金属箔をエッチングした後、電子部品を実装する部分(インナーリード)およびこのフィルムキャリアが外部の配線と接合する部分(アウターリード)を残して絶縁性の樹脂(ソルダーレジスト)を塗布硬化させ、次いでソルダーレジストから露出している部分をメッキ処理することにより製造されている。ここで使用される絶縁フィルムは、ポリイミドフィルムなどであり、導電性金属箔は銅箔等である。また、インナーリードおよびアウターリードには、スズメッキなどが施されることが多い。
【0003】
このようなフィルムキャリアに電子部品を搭載する際には、電子部品の接合点であるバンプとインナーリードとの位置合わせを行った後、バンプが接触していないリード面からボンディングツールを用いてバンプおよびリードを加圧しながら加熱することにより、バンプ形成金属とリードから供給される金属との共晶物(例えば金スズ共晶物)を形成させて実装するという方法が採用されている。また、このバンプとリードとの接触を確保するために導電性微粒子を含有する異方導電性接着剤を使用することもある。
【0004】
そして、このボンディングツールによる加圧および加熱をより効率的に行うために、絶縁フィルムには電子部品の形状に対応したデバイスホールが形成されており、インナーリードは、このデバイスホールの縁から中央に向かって延設されており、通常は、このデバイスホール内に延設されたインナーリードの裏面には絶縁フィルムは存在していない。
【0005】
従来、電子部品実装用フィルムキャリアテープでは導電性金属箔として、主として70μm以上の平均厚さを有する銅箔等が使用されており、こうした平均厚さの導電性金属箔は、それ自体で相当の強度があることから、こうした厚さの導電性金属箔から形成されたインナーリードが電子部品を搭載する前に変形あるいは破損することは希であった。
【0006】
しかしながら、昨今の電子機器の軽量小型化に伴って、電子部品実装用フィルムキャリアテープに使用される導電性金属箔も次第に薄くなってきており、また形成されるインナーリードのピッチ幅も次第に狭くなってきており、インナーリードの強度が非常に低くなってきている。例えば、導電性金属箔の厚さが18μmよりも薄くなり、ピッチ幅が50μmよりも狭い非常にファインピッチの電子部品実装用フィルムキャリアテープも製造されており、こうしたファインピッチの電子部品実装用フィルムキャリアテープでは、搭載された電子部品をリードの強度だけで保持することは難しくなってきており、また、電子部品を搭載した後に接合部を封止するための封止樹脂が硬化する際の収縮応力によってリードが破断することがある。
【0007】
こうしたリードの変形あるいは破断を防止するために、例えば特開昭53-42556号公報には、デバイスホールに延設されたインナーリードの先端が互いに短絡することなく保持されるように絶縁薄膜を設けて保護したテープキャリア方式半導体装置装着フィルム基板が開示されている。このようにインナーリードの先端部を絶縁薄膜で保持することにより、インナーリードの変形などは防止できるが、インナーリード自体の強度は高くはならないので、例えば上述のような非常に薄い導電性金属箔から形成されたインナーリードの破断等を防止する方法としてはさらに改良の余地があった。
【0008】
また、特開平63-197347号公報、特公平3-21088号公報および特開平6-252215号公報には、デバイスホール内に形成されるリードを裏面から耐熱性樹脂で補強したフィルムキャリアテープが開示されている。具体的には、これらの公報には、デバイスホール内にポリイミドワニスなどを流し込み加熱硬化させた後、エッチングにより配線パターンを形成してデバイスホール内に形成されたインナーリードを裏面から補強することが開示されている。このようにデバイスホール内に延設されたインナーリードを裏面から熱硬化性樹脂薄膜で補強することにより、例えば搭載された電子部品の自重によってインナーリードが破断するといった問題は解消される。しかしながら、こうしてデバイスホール内に形成された補強薄膜は、絶縁フィルムに導電性金属箔を貼着した後配線パターンが形成される前に熱硬化性樹脂を塗布して加熱硬化することにより形成されるため、この樹脂が硬化する際に硬化収縮等によって生ずる応力が形成された補強薄膜内に残存する。そして、このように硬化収縮等によって生じ薄膜内に残存する内部応力は、導電性金属箔が存在する間は、この連続した導電性金属箔の連続性が規制力となって表在化することはないが、この内部応力を規制している導電性金属箔がエッチングにより配線パターン(インナーリード)になって連続性がなくなると、補強薄膜の内部に残存する応力に抗することができなくなり、この内部応力が表在化することがある。具体的には、配線パターンを形成した後の、加熱(例えば、ソルダーレジストを硬化の際の加熱、ボンディングの際の加熱)などによって、デバイスホールに裏面から塗設された補強薄膜がその内部応力によってインナーリードと共に変形することがある。従って、デバイスホール内にインナーリードを補強するために形成した補強薄膜が、インナーリードを変形させる一要因になってしまうことがあることがわかった。導電性金属箔の厚さが厚くインナーリードのピッチ幅が広い場合、即ち、ファインピッチ化が昨今要求されているような厳しい状況に至る前であれば、多少のインナーリードのずれがボンディング不良をもたらすといった事態は生じ得ないし、また、そこまでのファインピッチ化が要求されないのであれば、デバイスホール内に補強薄膜を形成することが必要になるほどの極薄の導電性金属箔を使用する必要性も生じない。
【0009】
しかしながら、電子材料における高密度化、軽量小型化は、さらに進むと考えられ、補強薄膜を形成することによってその内部応力によって生ずるインナーリードの僅かな変形もさらに高密度化した電子部品を接続する際に新たな障害につながることが考えられる。従って、こうした補強樹脂による僅かなリード位置の変化も是正するための技術が必要になる。
【0010】
なお、特開平10-173003号公報の請求項1には、「半導体チップが、開口部を有する絶縁基材テープと、上記絶縁基材テープの1主面に形成され、上記開口部において上記半導体チップに電気的に接続されるインナーリード部を有する導電配線とからなるフィルムキャリアに実装された半導体装置において、上記フィルムキャリアには、上記絶縁基材テープとは異なる有機絶縁膜が、上記導電配線板と上記インナーリード部とを被覆してインナーリード部を支持するように形成されていることを特徴とする半導体装置」の発明が開示されている。また、請求項8には、「開口部を有する絶縁基材テープと、上記絶縁基材の1主面に形成され、上記開口部において実装される半導体チップに電気的に接続されるインナーリード部を有する導電配線とからなるフィルムキャリアテープの製造方法において、上記絶縁テープに半導体チップ実装のための開口部を形成する第1工程と、上記絶縁基材テープの1主面に、上記開口部にインナーリード部が突出するようにパターンニングされた導電配線を形成する第2工程と、上記インナーリードを支持するように、該インナーリード部を含む導電配線を有機絶縁膜で覆う第3工程とを含むことを特徴とするフィルムキャリアテープの製造方法。」が開示されている。
【0011】
また、この公報の段落番号[0006]には、「上記のように、半導体チップ110が、絶縁基材テープ134の導電配線の形成面とは逆方向から接続されたものを、順ボンド構造の半導体装置と称する。」と記載されており、この公報に記載のフィルムキャリアテープは、半導体チップを、導電配線の形成された面からではなく、デバイスホールの配線パターンが形成されていない面からデバイスホールに挿入して、インナーリードの裏面からボンディングするためのフィルムキャリアテープである。そして、このように電子部品をデバイスホールの配線パターンが形成される側の裏面側からデバイスホールに挿入して実装することから、このデバイスホールに延設されたインナーリードを補強するのに用いられている樹脂は、絶縁フィルムに形成された配線パターンの表面に塗布して配線パターンを保護するために従来から使用されていたソルダーレジストである。従来は、配線パターンが形成された側から電子部品をボンディングするために、デバイスホール近傍のインナーリード部分にはソルダーレジストは塗布しないのが一般的であったが、デバイスホールの裏面側から電子部品を挿入して所謂「順ボンディング」することにより、この公報に記載の発明では、配線パターンが形成された面にインナーリードが形成されているデバイスホールの部分を含めて配線パターンの全域(アウターリード部を除く)にソルダーレジストを一体的に塗布して硬化させてこのソルダーレジストによりインナーリードを表面(上面)から補強しているのである。従って、この公報記載のフィルムキャリアテープは、デバイスホール内から電子部品を挿入して実装する順ボンディングを行うためのテープであり、デバイス内に延設されたインナーリードのデバイスホール側である裏面には補強するための樹脂は塗布されていない。
【0012】
【発明の目的】
本発明は、デバイスホールを有する絶縁フィルムの表面に配線パターンを形成する電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法であって、配線パターンが形成された絶縁フィルムの側から電子部品を搭載することができると共に、インナーリードを形成する導電性金属箔を薄い場合であっても、電子部品をボンディングしてもインナーリードが変形あるいは破断することによる不良が発生しにくい電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造する方法を提供することを目的としている。
【0013】
【発明の概要】
本発明は、 可撓性絶縁フィルムの一方の面に導電性金属からなる配線パターンが形成され、電子部品が実装される部分の可撓性絶縁フィルムにデバイスホールが形成され、かつ該デバイスホールの縁部から中央方向に向かってインナーリードが延設されている電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造するに際して、該デバイスホール内から、少なくとも該デバイスホールの縁部から中央に延設形成されるインナーリードを形成する導電性金属の裏面に、熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を塗布し、120℃未満の温度に10〜120分間保持して該熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を部分的に硬化させた後、該部分的に硬化した熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を該部分硬化温度よりも高い温度に保持して該熱硬化性耐熱樹脂形成組成物全体を実質的に加熱硬化させる多段階加熱硬化工程を経た後、該導電性金属の表面に塗布されたフォトレジストにより形成された配線パターンをマスキング材として該導電性金属をエッチングして導電性金属箔からなる配線パターンを形成する工程を経て、デバイスホール内に延設されたインナーリードが裏面から硬化した耐熱樹脂で補強された電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造する方法である。
【0014】
さらに好適には本発明は、可撓性絶縁フィルムの一方の面に導電性金属からなる配線パターンが形成され、電子部品が実装される部分の可撓性絶縁フィルムにデバイスホールが形成され、かつ該デバイスホールの縁部から中央方向に向かってインナーリードが延設されている電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造するに際して、該デバイスホール内から、少なくとも該デバイスホールの縁部から中央に延設形成されるインナーリードを形成する導電性金属の裏面に、熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を塗布し、120℃未満の温度に10〜120分間保持して該熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を部分的に硬化させた後、該部分的に硬化した熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を120〜200℃の温度に10〜120分間保持して該熱硬化性耐熱樹脂形成組成物全体を実質的に加熱硬化させる多段階加熱硬化工程を経た後、該導電性金属の表面に塗布されたフォトレジストにより形成された配線パターンをマスキング材として該導電性金属をエッチングして導電性金属箔からなる配線パターンを形成する工程を経て、デバイスホール内に延設されたインナーリードが裏面から硬化した耐熱樹脂で補強された電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造する方法にある。
【0015】
本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造する方法では、絶縁フィルムに導電性金属箔を貼着した後、デバイスホール内に導電体金属箔を貼着した表面とは反対の表面から、熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物を塗布して、多段階で加熱硬化させることにより、この熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物が徐々に硬化してこの熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物が硬化する際に生ずる収縮応力が多段階で硬化する過程で解消され、最終的に多段階加熱硬化工程を終了した補強薄膜に硬化反応に伴う内部応力は存在しない。従って、こうしてデバイスホールに補強薄膜を形成することにより、エッチングにより配線パターンを形成した場合であっても補強薄膜と一体に形成されたインナーリードに変形が生ずることを有効に防止することができる。しかもこの補強薄膜によってインナーリードは強固に補強されることから、例えば導電性金属箔として厚さが18μmあるいはそれ以下の非常に薄い導電性金属箔を使用してインナーリードを形成した場合であっても電子部品を確実にボンディングすることができる。
【0016】
【発明の具体的な説明】
次の本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法について図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明の方法で製造される電子部品実装用フィルムキャリアテープの例を模式的に示す図であり、図1(a)〜(i)は、本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造する各工程における電子部品実装用フィルムキャリアテープの断面図であり、図2(a)は、図2(b)におけるX−X断面図であり、図2(b)は電子部品実装用フィルムキャリアテープの平面図であり、図2(c)はデバイスホール付近を拡大して示す説明図である。
【0017】
図1(a)に示すように、本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法では、まず絶縁フィルム10を用意する。この絶縁フィルム10は、可撓性を有し、かつ絶縁性を有する樹脂フィルムからなる。また、この絶縁フィルム10は、エッチングの際に酸などと接触することからこうした薬品に侵されない耐薬品性、および、ボンディングする際の加熱によっても変質しないような耐熱性を有している。このような可撓性樹脂フィルムを形成する樹脂の例としては、ガラスエポキシ、BTレジン、ポリエステル、ポリアミドおよびポリイミドなどを挙げることができる。特に本発明ではポリイミドからなるフィルムを用いることが好ましい。
【0018】
絶縁フィルム10を構成するポリイミドフィルムの例としては、ピロメリット酸2無水物と芳香族ジアミンとから合成される全芳香族ポリアミド、ビフェニルテトラカルボン酸2無水物と芳香族ジアミンとから合成されるビフェニル骨格を有する全芳香族ポリアミドを挙げることができる。特に本発明ではビフェニル骨格を有する全芳香族ポリアミド(例;商品名:ユーピレックス、宇部興産(株)製)が好ましく使用される。このような絶縁フィルム10の厚さは、通常は25〜125μm、好ましくは50〜75μmの範囲内にある。なお、図1(a)には示していないが、この絶縁フィルム10の一方の面には、予め接着剤層が形成されていてもよい。
【0019】
次いで、図1(b)に示すように、このような絶縁フィルム10に、デバイスホール14を形成すると共に、スプロケットホール15およびアウターリードの切断孔16など必要な孔を穿設する。こうした孔の穿設は、パンチングによって行うこともできるし、また、レーザ等を使用することもできる。こうしてデバイスホール14および所定の孔が穿設された絶縁フィルム10の表面に、接着剤層12を介してあるいは接着剤を用いることなく導電性金属箔31を積層する。接着剤を用いて導電性金属箔31を積層する場合に使用される接着剤は、耐熱性、耐薬品性、接着力、可撓性等の特性を有しているものが好適に使用される。このような特性を有する接着剤の例としては、エポキシ系接着剤およびフェノール系接着剤を挙げることができる。このような接着剤は、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂などで変性されていてもよく、またエポキシ樹脂自体がゴム変性されていてもよい。このような接着剤は加熱硬化性である。このような接着剤層の厚さは、通常は8〜23μm、好ましくは10〜21μmの範囲内にある。このような接着剤からなる接着剤層12は、絶縁フィルム10の表面に塗布して設けても良いし、また導電性金属箔側に塗布して設けても良い。
【0020】
絶縁フィルム10に積層される導電性金属31としては、アルミニウム箔、銅箔等を挙げることができ、特に本発明では銅箔を使用することが好ましい。本発明で好適に使用される銅箔には、電解銅箔、圧延銅箔があり、本発明ではいずれの銅箔を使用することもできるが、昨今のファインピッチ化に対応可能な電解銅箔を使用することが好ましい。また、ここで使用される電解銅箔としては、ファインピッチの電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造するためには、平均厚さが通常は6〜25μmの範囲内、好ましくは6〜18μmの範囲内にある電解銅箔を使用することが望ましい。このような薄い電解銅箔を使用することにより、狭ピッチ幅のインナーリードを形成することが容易になる。そして、本発明の方法では、薄い電解銅箔を使用した場合であっても、最も強度の低くなるデバイスホール内に張り出して形成されたインナーリードが、裏面(デバイスホール側)から補強されることから、非常に薄い電解銅箔を使用した場合であってもフィルムキャリアテープの製造の際、あるいは、電子部品の実装の際などのように、デバイスホール14内のインナーリードに外部応力がかかる場合であっても、こうした外部応力によってインナーリードに変形あるいは破断しにくい。こうした理由から本発明の方法は、導電性金属箔31の平均厚さが18μm以下、好ましくは10μm以下、特に好ましくは8μm以下の電解銅箔を使用する場合に特に有効性が高い。
【0021】
導電性金属箔は、通常は加熱下に加圧して絶縁フィルムと積層して、図1(c)に示されるようなベースフィルムを形成する。
上記のようにデバイスホール14を有する絶縁フィルム10に導電性金属31を積層して、ベースフィルムを形成した後、図1(d)に示すように、デバイスホール14内に熱硬化性耐熱樹脂形成組成物23を塗布する。
【0022】
ここで使用される熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物は、加熱することによって硬化してインナーリードを裏面から補強することができる耐熱性の樹脂を主成分とするものであり、このような組成物は、耐熱性樹脂硬化体を形成可能な熱硬化性を有する樹脂を含有している。このような耐熱性樹脂硬化体を形成可能な熱硬化性樹脂の例としては、ポリイミド、ポリイミド前駆体、エポキシ樹脂硬化前駆体、ウレタン樹脂硬化前駆体およびポリアミド硬化前駆体などを挙げることができる。特に本発明で使用される熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物は、熱硬化性樹脂として、ポリイミドおよび/またはポリイミド前駆体と、エポキシ樹脂硬化前駆体とを含有していることが好ましい。
【0023】
このような熱硬化する樹脂の前駆体は、加熱することにより優れた耐熱性を有する樹脂硬化体を形成するが、加熱硬化する際に硬化収縮しやすい。そして、こうした樹脂の加熱硬化速度が速すぎると硬化の際に生じた収縮応力が是正されることなく硬化体内に内在する。デバイス14の表面に導電性金属箔31が存在する間は、熱硬化性樹脂の硬化体は、導電性金属箔31と緊密に接着されており、エッチングする前にはこの導電性金属箔31の形態保持力によって、内在する樹脂硬化体の内部応力が表在化することはないが、この導電性金属箔31は続く工程によってエッチングされて配線パターンとなり、その一体性を失うと、樹脂硬化体中に大きな応力が内在していると、この樹脂硬化体中の内部応力が表在化する。この内在する応力の表在化は、主として形成されたインナーリードの変形という具体的な形態変化として表れることが多い。従って、本発明で使用する熱硬化性樹脂としては、硬化による内部応力が蓄積されにくいように段階的にある程度長い硬化時間で硬化する樹脂を使用することが好ましい。このように内部応力を蓄積しない程度に硬化の過程で流動性を有するために、ポリイミド(あるいはポリイミド前駆体)と、エポキシ樹脂前駆体とを組み合わせ使用することが好ましい。
【0024】
また、この熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物には、無機充填材を含有することが好ましく、ここで使用される無機充填材は、絶縁性を有する無機微粉末であり、具体的には、酸化ケイ素粉末、酸化チタン粉末および珪酸マグネシウムなどを挙げることができる。このような無機充填材は、例えばスクリーン印刷などを採用して熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物を塗布することができる程度の平均粒子径を有していることが好ましく、従って、この無機充填材の平均粒子径は、通常は比表面積で30〜300m2/g、好ましくは50〜200m2/g程度である。このような無機充填材を配合することにより、熱硬化性樹脂が硬化する際に内部に生ずる歪を緩和することができる。
【0025】
また、この熱硬化性耐熱樹脂形成組成物は、塗布温度において例えばスクリーン印刷により塗布可能な程度の粘度、通常は10〜2000ps、好ましくは50〜400psを有しており、この組成物をこのような粘度に調整するために、通常は有機溶媒を含有している。
本発明では、このような熱硬化性耐熱性形成樹脂形成組成物中の樹脂形成成分100重量部中におけるポリイミドの含有量が、通常は20〜80重量部、好ましくは40〜60重量部の範囲内にあると共に、ポリイミド以外の熱硬化性耐熱樹脂形成成分の含有量が通常は80〜20重量部、好ましくは60〜40重量部の範囲内にある組成物を好適に使用することができる。このような組成物は、比較的硬化収縮が小さく、また、硬化にある程度の時間を要するので、硬化反応に伴う収縮応力が内部に蓄積されにくい。
【0026】
また、本発明で使用される熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物が無機充填材を含有している場合において、この組成物の固形分中における無機充填材の含有量は、樹脂形成成分100重量部に対して通常は1〜60重量部、好ましくは15〜40重量部の範囲内にある。このような量の無機充填材を含有することにより、この熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物が加熱硬化する際の硬化収縮による内部歪を有効に緩和することができる。
【0027】
このような熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物23は、デバイスホール14内に露出している導電性金属箔31面に、硬化後の平均の厚さにして、通常は5〜50μm、好ましくは10〜40μmの範囲内の厚さで塗布される。なお、デバイスホールの縁部では、この熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物23がデバイスホール縁部にかかって塗布されることがあり、この縁部近傍における熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物23の塗布厚は、他の部分よりも若干厚くなることがある。
【0028】
この熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物の塗布には種々の方法が採用可能であるが、特に本発明では熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物の塗布位置がデバイスホール内であり、こうした塗布位置に特定量の熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物を正確に塗布するためには、スクリーン印刷による塗布が好ましい。
本発明では、このようにデバイスホール内に塗布された熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物を多段階加熱硬化工程で硬化させる。
【0029】
本発明では、熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を塗布し、まず120℃未満、好ましくは60〜100℃の温度に10〜120分間、好ましくは20〜60分間保持して熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を部分的に硬化させた後、この部分的に硬化した熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を120〜200℃、好ましくは120〜160℃の温度に10〜120分間、好ましくは20〜90分間保持して熱硬化性耐熱樹脂形成組成物全体を実質的に加熱硬化させる多段階加熱硬化工程によって硬化させることが望ましい。このようにして多段階加熱硬化工程によって熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を硬化させた補強樹脂中に硬化に伴う内部応力が残存しにくくなる。ただし、低温硬化性樹脂を使用する場合、上記のように多段階加熱硬化工程で、この耐熱性樹脂形成組成物を硬化させるが、最初の部分硬化の温度を同様に、通常は120℃未満、好ましくは60〜100℃の温度に10〜120分間、好ましくは20〜60分間保持して熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を部分的に硬化させると共にこの部分硬化の際の加熱温度よりも若干高い温度、例えば120℃前後、好ましくは120℃±15℃程度の温度に加熱して硬化させることもできる。このような加熱温度における硬化時間は、上記と同様に通常は10〜120分間、好ましくは20〜90分間である。
【0030】
なお、上記の多段階硬化工程は、2段階で加熱硬化する例を示したが、本発明の方法では、2段階の加熱硬化に限定されるものではなく、さらにその加熱硬化を3段階以上に設定して硬化させることも可能である。
このようにして熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を多段階硬化工程で硬化させた後、図1(e)に示すようにベースフィルムの導電性金属箔31の表面にフォトレジスト32を塗布し、図1(f)に示すように所望のパターンを露光して現像してフォトレジストからなるパターン33を形成する。
【0031】
そして、図1(g)に示すように、こうして形成されたフォトレジストからなるパターン33をマスキング材として導電性金属箔31をエッチングしてパターン33に対応した配線パターン37を形成する。こうして形成された配線パターン37のデバイスホール14内に形成されたインナーリード35は裏面が熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を多段階硬化工程で硬化させた補強樹脂38で裏打ちされているので、例えばエッチングの際のエッチング液流、あるいは、洗浄の際の水流などの外部からの応力によって変形することはない。また、この補強樹脂38として、ポリイミドとエポキシ樹脂前駆体の多段階硬化によって硬化した樹脂を用いることにより、ポリイミドを単独で使用した場合と比較して吸湿膨張など他の要因による寸法変動も少なくなる。
【0032】
なお、配線パターンを形成した後、フォトレジストからなるマスキング材は、アルカリ溶液などで洗浄することにより除去することができる。
こうして導電性金属31から形成されたインナーリード35およびアウターリード36からなる配線パターン37は、図1(h)に示すように、インナーリード35およびアウターリード36などの接合部を除いてソルダーレジスト39を塗布する。このソルダーレジスト39は絶縁性の熱硬化性樹脂からなり、通常はスクリーン印刷などによって塗布した後、加熱することにより硬化して、配線パターン37を保護する。
【0033】
こうしてソルダーレジスト39を硬化させた後、インナーリード35およびアウターリード36を含めてこのソルダーレジスト39によって被覆されていない部分の配線パターン37をメッキ処理する。
本発明において、配線パターンに施されるメッキの種類に特に制限はないが、通常は、無電解スズメッキ、電解スズメッキ、ニッケルメッキ、ハンダメッキ、金メッキ、ニッケル-金メッキなどを挙げることができる。特に、このインナーリードにボンディングされる電子部品に形成されているバンプ金属、ボンディング方法などによってことなるが、例えば電子部品に形成されているバンプが金であり、インナーリードからスズを供給して金-スズ共晶物を形成して電子部品をボンディングする際には、無電解スズメッキ層を形成することが好ましい。
【0034】
メッキ層がスズメッキ層である場合、このメッキ層の厚さが、通常は0.01〜0.6μm、好ましくは0.01〜0.5μmの範囲内になるようにメッキする。
なお、上記はソルダーレジストを塗布した後にメッキする例を示したが、ソルダーレジストを塗布する前に配線パターンの表面に薄い第1のメッキ層を形成し、次いでソルダーレジストを塗布、硬化させた後、再び第2のメッキ層を形成しても良い。
【0035】
こうしてメッキ処理が行われた後、電子部品実装用フィルムキャリアテープは、図1(i)に示すように絶縁フィルム10の配線パターン37が形成された側からデバイスホール14内のインナーリード35にデバイス40のバンプ電極41が当接するように載置し上方から加圧すると共に、デバイスホール14内にボンディングツール50を挿入して補強樹脂38を介してインナーリード35とバンプ電極41とを加圧下に加熱することにより、インナーリード35と電子部品のインナーリード41とが、例えば共晶物を形成して電気的に接続される。
【0036】
このように本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープでは、実装する電子部品40のバンプ電極41を絶縁フィルム10の配線パターン37が形成されている側からインナーリード35に当接して、ボンディングツール50をデバイスホール14内に挿入すると共に上方から加圧して電子部品40のバンプ電極とインナーリード35とを加熱圧着することから、補強樹脂38の平均厚さを通常は5〜50μm、好ましくは10〜40μmの範囲内にすることにより、ボンディングツール50からインナーリード35およびバンプ電極41を有効に加熱することができる。また、このような厚さにすることにより、ボンディングの際の圧力の拡散を有効に防止できるので、ボンディング圧力を低く抑えることができ、実装される電子部品40の実装時の破損などを防止することができる。
【0037】
このような補強樹脂38は、デバイスホール14の縁部から中央方向に延設されたインナーリード35をデバイスホール14の内側から、裏打ちして補強するものであり、電子部品実装用フィルムキャリアテープを形成する絶縁フィルム10よりも薄く形成されている。絶縁フィルム10の厚さは、上述のように通常は25〜125μm、好ましくは50〜75μmの範囲内であるが、本発明の方法により形成された補強樹脂38は、この絶縁フィルム10よりも薄く、絶縁フィルム10と補強樹脂38との厚さの比は、通常は2:3〜1:15、好ましくは4:5〜1:15、特に好ましくは4:5〜1:7.5の範囲内にある。このような厚さ比を採用することにより、デバイスホール14に絶縁フィルム10が存在しないことによるこの電子部品実装用フィルムキャリアテープの物性の部分的変動によるテープの変形を低減することができる。殊に、本発明の方法ではデバイスホール14内の補強樹脂を多段階加熱硬化工程によって内部歪をできるだけ発生させないように硬化させているので、デバイスホール14を設けたことによる電子部品実装用フィルムキャリアテープの変形が少なくなるとの効果も奏する。
【0038】
本発明の製造方法により形成された電子部品実装用フィルムキャリアテープの代表的な例を図2(a)および(b)に示す。また、図2(c)にデバイスホール部分の模式的な拡大断面図を示す。
図2(a)および(b)に示した電子部品実装用フィルムキャリアテープ1は、絶縁フィルム10の長手方向の両端部に多数のスプロケットホール15が形成されており、このスプロケットホール15の幅方向の内側にはアウターリード36の切断穴16が形成されている。また、この絶縁フィルム10の幅方向の中央部には、デバイスホール14が形成されており、このデバイスホール14の縁部からは多数のインナーリード35が、このデバイスホール14の中央方向に延設されている。この絶縁フィルム10の表面には、導電性金属箔をエッチングすることにより形成された配線パターン37が形成されており、この配線パターン37は、一方の端部がデバイスホール14内に配置される電子部品のバンプ電極と接続するためのインナーリード35となっており、他端部は外部と接続するためのアウターリード36となっている。
【0039】
デバイスホール内に延設されたインナーリード35は、図2(c)に示すように、デバイスホール側から熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を塗布して段階的に加熱して内部応力を除去しながら硬化させた補強樹脂38によって裏打ちされて補強されている。
また、デバイスホール14とアウターリードの切断孔16との間に形成されている配線パターン37の表面は、絶縁性を有する樹脂からなるソルダーレジスト39が塗布され、加熱硬化されて、配線パターン37を保護している。
【0040】
本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法では、上述のようにデバイスホール14内に延設されたインナーリード35の裏面に熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を塗布して加熱温度を段階的に変化させた多段階加熱硬化工程で硬化させることにより製造されるが、この熱硬化性耐熱樹脂形成組成物23は、デバイスホール14内全体に塗布することを特に必要とするものではなく、この熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物23が硬化してデバイスホール14内に延設されたインナーリード14を裏面から裏打ちして補強するものであるから、貼着された導電性金属をエッチングしてインナーリード35が形成される部分に塗布すればよい。即ち、図3に示すように、デバイスホール14の全体に熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物を塗布する代わりに、デバイスホール14の縁部近傍53に熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物を塗布して硬化させ、裏面からインナーリード35を補強すればよく、従ってデバイスホール14の中心部に組成物不塗布部52を形成して、縁部近傍53にのみ熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物を塗布して、この組成物を多段階加熱硬化工程で段階的に加熱硬化させてもよい。
【0041】
また、図1〜3に記載した電子部品実装用フィルムキャリアテープでは、デバイスホール14内に比較的短いインナーリード35が形成され、その裏面を熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物を多段階加熱硬化工程で徐々に硬化させた態様が示されており、従って、この電子部品実装用フィルムキャリアテープは、縁部にのみバンプ電極を有する電子部品を実装するためのものであるが、電子部品には、裏面の縁部だけでなく、裏面全体にバンプ電極が形成されたもの、あるいは、電子部品の縁部に2列、3列、さらに4列以上バンプ電極が形成されたものもあり、このように縁部にのみバンプ電極が形成された電子部品だけではなく、インナーリード35の長さを変えることにより、電子部品の裏面全体、あるいは、縁部に複数列のバンプ電極が形成された電子部品に対しても本発明の方法により製造された電子部品実装用フィルムキャリアテープを使用してボンディングすることができる。特にインナーリード35が長い場合に熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物を多段階加熱硬化工程で硬化収縮歪を除去しながら硬化させる本発明の方法によれば、インナーリード35の位置が補強樹脂が硬化することによって変動することがないので、より確実なボンディングを行うことができる。
【0042】
また、上記の説明では、インナーリード35とバンプ電極とは、ボンディングツールを用いて共晶物などを形成することにより接合されているが、こうしたボンディングのほかに、例えば導電性微粉末を含有する異方導電性接着剤を用いてインナーリード35とバンプ電極41とをボンディングすることもできる。
こうしてインナーリード35とバンプ電極41とを電気的に接合した後、この接合部分を含めて電子部品とフィルムキャリアテープとが一体化するように封止樹脂を塗布し、この封止樹脂を硬化させる。
【0043】
このようにして封止樹脂で電子部品およびフィルムキャリアテープを一体化する際あるいは一体化した後も補強樹脂に内部応力が残存していないために、インナーリードとバンプ電極との接合部分およびインナーリードが断線することが殆どない。
なお、上記はデバイスホール内に延設されたインナーリードを、上述のような熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物を多段階加熱硬化工程で内部応力が残存しないように硬化させて裏打ち補強する例にして説明したが、同様の方法をアウターリードの切断孔に適用してアウターリードを裏打ち補強することもできる。
【0044】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、導電性金属箔が貼着されたデバイスホール内に熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物を塗布し、多段階加熱硬化工程により樹脂が硬化する各段階において硬化収縮に伴う内部応力を徐々に放出させながら硬化させているので、導電性金属をエッチングして配線パターンを形成した際に、この配線パターンがデバイスホール内部側から補強されており、しかもこの補強樹脂中には内部応力が残存していないので、形成されたインナーリードが補強樹脂に内在する応力によって変形することがない。このような補強樹脂に内在する応力によるインナーリードの変形は、導電性金属箔の平均厚さが10μm以下、好ましくは8μm以下と非常に薄い電解銅箔を使用した場合に生じやすいが、本発明の方法を採用することにより、非常に薄い導電性金属箔を使用した場合であってもインナーリードを裏面から補強することによるリード変形は生じない。また、こうして硬化された補強樹脂中には歪が殆ど残存していないので、例えば封止樹脂などで封止後にもこうしたリードとバンプ電極との接触が損なわれることがなく、さらにインナーリード自体が樹脂歪によって破断することもない。また、搭載される電子部品の自重が大きい場合であっても、補強樹脂によって補強されたインナーリードに確実にボンディングすることができる。
【0045】
従って、本発明の方法で製造された電子部品実装用フィルムキャリアテープを用いて電子部品を実装することにより、インナーリードの断線あるいは電子部品のバンプ電極とインナーリードとの接合不良などが生じにくくなる。
また、デバイスホールを形成した電子部品実装用フィルムキャリアテープは、デバイスホール内に基材である絶縁フィルムが存在しないことから、フィルムキャリアテープの製造の際の加熱、エッチング液などの水性媒体との接触などによって変形が生じやすく、絶縁フィルムが存在しないこのデバイスホール周囲における変形傾向が、他の部分とは異なる傾向を示し、こうした複雑に変形した電子部品実装用フィルムキャリアテープの変形を是正することは非常に困難であるが、デバイスホール内に熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物を塗布して多段階加熱硬化工程によって歪を除去しながら硬化させることにより、デバイスホール付近における変形の程度が他の部分とあまり変わらなくなり、従って、本発明の方法で製造された電子部品実装用フィルムキャリアテープに生じた変形(例えば反り変形)を全体として均一に矯正することが可能になるとの利点もある。
【0046】
【実施例】
次に本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0047】
【実施例1】
図1に示すように、幅70mm、長さ60m、厚さ75μmのポリイミドフィルム(商品名:ユーピレックスS、宇部興産(株)製)の長手方向の縁部に所定間隔で多数のスプロケットホールを穿設すると共に、フィルムの幅方向の中央部に20×20mmのデバイスホール、さらにアウターリードの切断孔を形成した。このように所定の孔が形成されたポリイミドフィルムの表面にエポキシ系接着剤を用いて平均厚さ9μmの電解銅箔を加熱圧着して積層してベースフィルムを製造した。
【0048】
このようにして電解銅箔を積層することにより形成されたベースフィルムのデバイスホール内に、ポリイミド樹脂:55重量部、エポキシ樹脂前駆体:9重量部、無機フィラー(平均粒子径:比表面積50〜200m2/g)36重量部を含有し、これらが有機溶媒に分散している熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物(商品名;FS100−L−07,宇部興産(株)製、25℃における粘度80ps)をスクリーン印刷でデバイスホール内に塗布した。この熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物の塗布厚は、硬化後の厚さで30μmになるように調整した。
【0049】
このベースフィルムを、ベースフィルム温度が90℃になるように設定された第1の加熱炉で90℃×1時間加熱硬化させた後、この第1の加熱炉から取り出して、ベースフィルムの温度が160℃になるように設定した第2の加熱炉に入れ、160℃×1時間加熱して、熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物を硬化させた。こうして硬化した組成物の平均厚さは31.0μmであった。
【0050】
次いで、このベースフィルムに積層されている電解銅箔の表面にフォトレジストを塗布して、所定のパターンを露光現像することにより形成し、余剰のフォトレジストを除去した後、エッチング液にこのベースフィルムを接触させて、電解銅箔からなる配線パターンを形成した。この配線パターンに形成されているインナーリードのピッチ幅は40μmであり、リード間隔は20μmであった。また、インナーリードは、デバイスホールの縁部から1.0mmデバイスホール内に延出して形成されており、このインナーリードの裏面は、デバイスホールの裏面から塗布した熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物を多段階加熱硬化工程によって硬化して補強薄膜によって裏打ちされて補強されていた。絶縁フィルムの厚さと補強薄膜の厚さとの比は5:2であった。
【0051】
次いで、インナーリード部およびアウターリード部を残して配線パターンの表面にソルダーレジストを塗布し160℃の温度で1時間加熱することにより、このソルダーレジストを加熱硬化させた。
こうしてソルダーレジストを硬化させた後、ソルダーレジストから露出しているインナーリードおよびアウターリードに平均厚さ1.45μmのスズメッキ層を形成した。
【0052】
こうしてスズメッキ層を形成した後、この補強薄膜で裏打ちされたインナーリードを光学顕微鏡で観察したところ、破断、変形などは見られなかった。また、裏打ちされている補強薄膜の硬化収縮によると思われるインナーリードの変形も見られなかった。
上記のようにして本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープに金バンプを有する電子部品を、絶縁フィルムの配線パターンが形成され、ソルダーレジストが塗布された側からデバイスホール内に延設されたインナーリードと電子部品の金バンプとが接触するように位置決めして当接し、一方デバイスホール内に下部からボンディングツールを挿入して、電子部品の上側から圧力を加えると共に、ボンディングツールを上昇させて加圧すると共に通常のボンディング条件と同様に470℃に加熱して、インナーリードから供給されるスズと金バンプから供給される金とによって共晶物を形成して電子部品をフィルムキャリアに搭載した。こうしたボンディングツールの通常と同様の加熱によって良好に共晶物が形成され、電子部品はインナーリードに良好にボンディングされていた。
【0053】
インナーリードとバンプとの接合部を含む領域に熱硬化性樹脂を流し込み加熱硬化して樹脂を硬化させて接合部分を硬化した樹脂で封止した。
こうして電子部品が搭載されたフィルムキャリアについて、断線の有無などを電気的に調べた結果、ボンディング不良に起因すると思われる通電不良は生じなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法の各工程におけるフィルムキャリアテープの断面を模式的に示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の製造方法によって形成された電子部品実装用フィルムキャリアテープの例を模式的に示す図である。
【図3】図3は、本発明の製造方法の他の態様によって形成された電子部品実装用フィルムキャリアテープの例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1・・・電子部品実装用フィルムキャリアテープ
10・・・絶縁フィルム
12・・・接着剤層
14・・・デバイスホール
15・・・スプロケットホール
16・・・アウターリードの切断孔
23・・・熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物
31・・・導電性金属箔
32・・・フォトレジスト
33・・・パターン
35・・・インナーリード
36・・・アウターリード
37・・・配線パターン
38・・・補強樹脂
39・・・ソルダーレジスト
40・・・電子部品
41・・・バンプ電極
50・・・ボンディングツール

Claims (12)

  1. 可撓性絶縁フィルムの一方の面に導電性金属からなる配線パターンが形成され、電子部品が実装される部分の可撓性絶縁フィルムにデバイスホールが形成され、かつ該デバイスホールの縁部から中央方向に向かってインナーリードが延設されている電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造するに際して、該デバイスホール内から、少なくとも該デバイスホールの縁部から中央に延設形成されるインナーリードを形成する導電性金属の裏面に、熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を塗布し、120℃未満の温度に10〜120分間保持して該熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を部分的に硬化させた後、該部分的に硬化した熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を該部分硬化温度よりも高い温度に保持して該熱硬化性耐熱樹脂形成組成物全体を実質的に加熱硬化させる多段階加熱硬化工程を経た後、該導電性金属の表面に塗布されたフォトレジストにより形成された配線パターンをマスキング材として該導電性金属をエッチングして導電性金属箔からなる配線パターンを形成する工程を経て、デバイスホール内に延設されたインナーリードが裏面から硬化した耐熱樹脂で補強された電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法
  2. 上記熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を120℃未満の温度に10〜120分間保持して該熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を部分的に硬化させた後、該部分的に硬化した熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を120〜200℃の温度に10〜120分間保持して該熱硬化性耐熱樹脂形成組成物全体を実質的に加熱硬化させる多段階加熱硬化工程を経て硬化させることを特徴とする請求項第1項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。
  3. 上記熱硬化性耐熱樹脂形成組成物が、ポリイミドとポリイミド以外の熱硬化性耐熱樹脂形成成分とを含有することを特徴とする請求項第1項または第2項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。
  4. 上記熱硬化性耐熱樹脂形成組成物が、さらに無機充填材を含有することを特徴とする請求項第1項乃至第3項のいずれかの項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。
  5. 上記熱硬化性耐熱樹脂形成組成物に含有されるポリイミド以外の熱硬化性耐熱樹脂形成成分が、エポキシ樹脂前駆体であることを特徴とする請求項第3項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。
  6. 上記熱硬化性耐熱性形成樹脂形成組成物中の樹脂形成成分100重量部中におけるポリイミドの含有量が20〜80重量部の範囲内にあると共に、ポリイミド以外の熱硬化性耐熱樹脂形成成分の含有量が80〜20重量部の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項乃至第4項のいずれかの項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。
  7. 上記熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物の固形分中における無機充填材の含有量が、樹脂形成成分100重量部に対して1〜60重量部の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項または第4項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。
  8. 上記熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物の塗布厚が、硬化後の厚さで5〜50μmの範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。
  9. 上記デバイスホールに裏面から塗布される熱硬化性耐熱樹脂形成組成物の硬化後の平均厚さと、可撓性絶縁フィルムの平均厚さとが、2:3〜1:15の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。
  10. 上記熱硬化性耐熱性樹脂形成組成物の塗布温度における塗布粘度が10〜2000psの範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。
  11. 上記デバイスホールが形成された絶縁フィルムの一方の面に該デバイスホールを覆うように導電性金属箔を積層した後、熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を、デバイスホール内に露出している導電性金属箔の全域を被覆するようにデバイスホール側から塗布した後、多段階加熱硬化工程で段階的に加熱硬化させることを特徴とする請求項第 1 項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。
  12. 上記デバイスホールが形成された絶縁フィルムの一方の面に該デバイスホールを覆うように導電性金属箔を積層した後、熱硬化性耐熱樹脂形成組成物を、デバイスホール内の縁部近傍の少なくともインナーリードを形成する部分の導電性金属箔を被覆するようにデバイスホール側から塗布した後、多段階加熱硬化工程で段階的に加熱硬化させることを特徴とする請求項第 1 項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。
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