JP4031293B2 - 亜酸化窒素の回収精製法および回収精製装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、亜酸化窒素の回収精製法および回収精製装置に関する。さらに詳しくは、大気中に放出される廃ガス中に含まれる亜酸化窒素の回収精製法および回収精製装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、亜酸化窒素が二酸化炭素とともに地球温暖化現象の原因物質となっていること、亜酸化窒素が成層圏で分解されて有害物質に変換されること、亜酸化窒素がオゾン層の破壊原因物質となっていることなどが指摘されている。したがって、大気中に放出される廃ガス中の亜酸化窒素を回収し、リサイクルまたは無害化処理する必要がある。
【0003】
廃ガス中の亜酸化窒素を回収して利用するに際し、例えば、アジピン酸、硝酸、亜酸化窒素、ヒドロキシルアミンなどの製造設備などから大気中に放出される亜酸化窒素を含む廃ガスには、一酸化窒素などが含まれている場合があり、亜酸化窒素を一酸化窒素などと分離する必要がある。
【0004】
従来、亜酸化窒素と一酸化窒素とを分離する方法としては、前記廃ガスを、ゼオライトを含む吸着部に導入し、亜酸化窒素を吸着させて一酸化窒素と分離する方法が知られている(特開昭59−109226号公報)。しかしながら、この分離方法では、少量の一酸化窒素もゼオライトに吸着しているため、ゼオライトから亜酸化窒素を脱着させる際に、微量の一酸化窒素がともに脱着されて混入するという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、亜酸化窒素と一酸化窒素とを含む混合ガスから高純度の亜酸化窒素を工業的に安価に回収精製する方法を提供することを課題とする。本発明の別の課題は、亜酸化窒素と一酸化窒素とを含む混合ガスから高純度の亜酸化窒素を工業的に安価に回収精製できる装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明では、前記した課題を解決すべく、次の技術的手段を講じている。
【0007】
すなわち、本発明の第1の側面により提供される亜酸化窒素の回収精製法は、亜酸化窒素と一酸化窒素とを含む混合ガスからゼオライトを用いて亜酸化窒素を回収精製する方法であって、亜酸化窒素と一酸化窒素とを吸着させたゼオライトから選択的に一酸化窒素を脱着させる一酸化窒素脱着工程と、一酸化窒素脱着工程を経たゼオライトから亜酸化窒素を脱着させる亜酸化窒素脱着工程と、を含むことを特徴としている。
【0008】
本発明の方法は、亜酸化窒素より一酸化窒素の方がゼオライトから脱着しやすい性質を利用する。すなわち、先に行われる一酸化窒素脱着工程では、一酸化窒素は脱着されるが亜酸化窒素は脱着されない環境に亜酸化窒素と一酸化窒素とを吸着させたゼオライトを置くことにより一酸化窒素を選択的に脱着させる。次いで、亜酸化窒素脱着工程では、一酸化窒素脱着工程を経たゼオライトを亜酸化窒素が脱着可能な環境に置くことにより、亜酸化窒素を脱着させる。これにより、高純度の亜酸化窒素を回収することができる。このようにして回収された亜酸化窒素は、たとえば麻酔などで使用される笑気ガスの原料として使用することができるので、ゼロエミッションの観点においても優れていると言える。
【0009】
好ましい実施の形態において、一酸化窒素脱着工程では、亜酸化窒素と一酸化窒素とを吸着させたゼオライトから一酸化窒素を選択的に脱着することができる第1の温度範囲に保持し、亜酸化窒素脱着工程では、一酸化窒素脱着工程を経たゼオライトから亜酸化窒素を脱着することができる、前記第1の温度範囲よりも高い第2の温度範囲に保持する。好ましくは、前記第1の温度範囲は、−40〜80℃の範囲で、前記第2の温度範囲は、80〜250℃の範囲である。
【0010】
亜酸化窒素より一酸化窒素の方がゼオライトから脱着しやすい性質、およびゼオライトに吸着されたものは、温度が高いほど脱着しやすく、温度が低いほど脱着しにくいという性質を利用して、一酸化窒素脱着工程では、亜酸化窒素と一酸化窒素とを吸着させたゼオライトを、一酸化窒素は脱着されるが亜酸化窒素は脱着されない相対的に低い第1の温度範囲に制御することにより、一酸化窒素を選択的に脱着させる。次いで、亜酸化窒素脱着工程では、一酸化窒素を脱着したゼオライトを亜酸化窒素が脱着可能な相対的に高い第2の温度範囲に制御することにより、亜酸化窒素を脱着させる。これにより、高純度の亜酸化窒素を回収することができる。状態変数の中でも温度は、一定の値に制御しやすいため、第1および第2の温度範囲といった一定の範囲内に維持することが容易である。したがって、一酸化窒素の選択的な脱着を容易に行うことができるので、より容易に高純度の亜酸化窒素の回収が行える。また、温度制御だけで亜酸化窒素と一酸化窒素とを分離脱着できるので、複雑な設備が必要なく、経済的である。
【0011】
好ましい実施の形態において、温度制御は、恒温槽を用いて行われる。恒温槽は、恒温に保持される対象物の温度変化の緩和効果が高いので、前記対象物の急激な温度変化を抑制することができ、温度を一定範囲内に保持する能力に優れている。したがって、温度範囲を区切ることにより、選択的な脱着を可能にする本発明において有効である。
【0012】
好ましくは、各脱着工程においては、減圧手段による減圧の最低圧力が一定になるように行われる。このようにすれば、両脱着工程を通じて、減圧手段(たとえば、真空ポンプ)による減圧に変化をつけさせる必要はなく、脱着工程における操作は温度制御のみでよいため、選択的脱着操作が容易になる。
【0013】
本発明の第2の側面においては、ゼオライトを収容した吸着ユニットと、前記吸着ユニットを減圧する減圧手段と、前記吸着ユニットの温度を、一酸化窒素脱着工程では、亜酸化窒素と一酸化窒素とを吸着させたゼオライトから一酸化窒素を選択的に脱着することができる第1の温度範囲に保持し、亜酸化窒素脱着工程では、一酸化窒素脱着工程を経たゼオライトから亜酸化窒素を脱着することができる、前記第1の温度範囲よりも高い第2の温度範囲に保持する温度保持手段と、を含んで構成されていることを特徴とする、亜酸化窒素の回収精製装置が提供される。
【0014】
この亜酸化窒素の回収精製装置では、前記温度保持手段を有しているので、確実に温度制御を行うことができるようになる。したがって、確実に高純度の亜酸化窒素の回収が図れる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
図1は、本発明にかかる目的ガスの回収精製を行うための装置Xの概略図である。図1に示したように、装置Xは、目的ガスの吸着を行う吸着ユニット1と、吸着ユニット1内を減圧させる減圧ポンプ2(減圧手段)と、吸着ユニット1の温度を制御するための恒温槽3(温度保持手段)と、を有している。
【0017】
吸着ユニット1には、ゼオライトが充填されている。ゼオライトとしては、たとえば一般にガス精製用途に使用されるA型ゼオライト、X型ゼオライト、ハイシリカゼオライト、シャバサイトなどが挙げられる。好ましくは、取扱易さや入手し易さの観点からA型ゼオライト、X型ゼオライトが用いられる。
【0018】
ゼオライトの粒子径は、1〜5mmであることが好ましい。粒子径が1mm未満の場合、圧力損失が大きくなるおそれがあり、粒子径が5mmを超える場合、細孔への拡散速度が律速となり、吸着速度が遅くなるおそれがある。
【0019】
ゼオライトの孔径は、4〜10Åの範囲内であることが好ましい。前記範囲外では、亜酸化窒素が吸着されにくくなるおそれがある。
【0020】
ゼオライトの充填量は、ゼオライトの種類、混合ガスの流速など各条件により異なるが、通常、亜酸化窒素1cm3に対して、0.01〜1gであることが好ましい。
【0021】
減圧ポンプ2は、ゼオライトのような吸着材には、低圧ほど脱着しやすく、高圧ほど吸着しやすい性質があるので、それを利用して吸着ユニット1内のゼオライトから混合ガスの脱着を行う際、系内(特に吸着ユニット1内)を減圧するために用いられる。好ましくは、減圧ポンプ2による減圧の最低圧力が一定になるようにして行われる。このようにすれば、選択的な脱着を行う際に圧力ポンプ2に特別な制御を行う必要がなくなるため、選択的な脱着操作が容易になる。
【0022】
恒温槽3は、吸着ユニット1に充填されているゼオライトへの混合ガスの吸着あるいはゼオライトからの脱着時に生じる吸熱もしくは放熱や吸着ユニット1内の減圧などによるゼオライトの温度変化を抑制することができ、温度を一定範囲内に保持する能力に優れている。したがって、温度範囲を区切ることにより、選択的な脱着を可能にする本実施の形態において有効である。
【0023】
また、装置Xは、吸着ユニット1へ供給される混合ガスを蓄えた原料タンク4と、原料タンク4から供給される混合ガスの流量をチェックする流量計5と、ガスの分析を行う分析装置6と、回収された目的ガスを蓄える目的ガス用タンク7と、目的ガスを回収精製する過程において排出される排出ガスを蓄える排出ガス用タンク8と、を有している。
【0024】
原料タンク4より供給される混合ガスは、亜酸化窒素と一酸化窒素とを含んでいる。混合ガス中に含まれる亜酸化窒素および一酸化窒素以外の成分としては、特に限定されず、たとえば水素、窒素、ヘリウムなどが挙げられる。また、混合ガス中に含まれる亜酸化窒素および一酸化窒素の濃度は、特に限定されない。
【0025】
装置Xを構成する各要素1〜8は、図1に示すように、吸着ユニット1などへ原料タンク4から混合ガスを供給するための混合ガス供給用配管20と、吸着ユニット1へ混合ガスを供給する混合ガス入口配管21と、吸着ユニット1からガスを排出するガス排出管22と、減圧ポンプ2へガスを引き込むガス引込管23と、減圧ポンプ2からガスを排出するガス排出管24と、混合ガス供給用配管20から供給される混合ガスなどを吸着ユニット1および減圧ポンプ2を経由させずに分析装置6に送入でき、かつ配管21,22,23,24とは接続点30a,30b,30c,30dで接続されている中継配管25と、分析装置6からガスを排出するガス排出管26と、目的ガス用タンク7への引込管27と、排出ガス用タンク8への引込管28と、を有している。
【0026】
また、図1に示したように、ガス排出管26を除く各配管20,21,22,23,24,25,27,28には、各配管の導通状態または非導通状態を選択可能とする選択手段としての弁40a,40b,40c,40d,40e,40f,40g,40h,40iが設けられている。なお、中継配管25には、接続点30aと接続点30bとの間および接続点30cと接続点30dとの間の2箇所に、それぞれ弁40f,40gが設けられている。
【0027】
本実施の形態においては、以上のように構成された装置Xを用いて、混合ガスから亜酸化窒素が回収精製される。まず、原料タンク4から供給される亜酸化窒素と一酸化窒素とを含む混合ガスを吸着ユニット1に供給し、吸着ユニット1に充填されたゼオライトに吸着させる吸着工程を行う。次いで、一酸化窒素および亜酸化窒素が吸着されたゼオライトから一酸化窒素を選択的に脱着可能な温度および圧力に維持することにより一酸化窒素をゼオライトから脱着する一酸化窒素脱着工程を行い、その後、一酸化窒素脱着工程を経たゼオライトを亜酸化窒素が脱着可能な温度および圧力に維持することにより亜酸化窒素をゼオライトから脱着する亜酸化窒素脱着工程を行うことにより高純度の亜酸化窒素を回収精製することができる。
【0028】
吸着工程は、弁40a,40b,40c,40g,40iを導通状態にし、その他の弁40d,40e,40f,40hは非導通状態にして行われる。吸着工程におけるゼオライトの温度は、−40〜80℃、好ましくは−10〜70℃であることが望ましい。ゼオライトに吸着させる際の温度が−40℃未満の場合、冷却に要するエネルギーコストが高く、経済的でないおそれがある。また、ゼオライトに吸着させる際の温度が80℃を超える場合、ゼオライトに吸着する亜酸化窒素の量が減少するおそれがある。
【0029】
一酸化窒素脱着工程において、一酸化窒素をゼオライトから脱着させる方法としては、特に限定されず、たとえば窒素ガスまたは不活性ガスを吸着ユニット1に送入して一酸化窒素を脱着させる方法や、減圧下で一酸化窒素を脱着させる方法などが挙げられる。好ましくは、設備が簡便で経済的である観点より、減圧下で一酸化窒素を脱着させる方法が用いられる。この方法を用いた場合、一酸化窒素脱着工程は、弁40c,40d,40e,40iを導通状態にし、その他の弁40a,40b,40f,40g,40hは非導通状態にして行われ、減圧条件としては、5〜100kPaの減圧下で行うことが望ましい。圧力を5kPa未満にすることは、減圧ポンプ2の性能上困難であり、圧力が100kPaを超える場合は、一酸化窒素の脱着効率および回収率が悪い。
【0030】
一酸化窒素脱着工程におけるゼオライトの温度は、−40〜80℃、好ましくは−10〜70℃であることが望ましい。一酸化窒素をゼオライトから脱着させる際の温度が−40℃未満の場合、一酸化窒素がゼオライトから脱着しにくくなり、得られる亜酸化窒素の純度が低下するおそれがある。また、一酸化窒素をゼオライトから脱着させる際の温度が80℃を超える場合、一酸化窒素とともに亜酸化窒素が脱着し、亜酸化窒素の回収量が減少するおそれがある。
【0031】
一酸化窒素脱着工程の所要時間は、温度、圧力等により異なるが、通常、5分〜2時間であることが望ましい。一酸化窒素をゼオライトから脱着させる際の時間が5分未満の場合、一酸化窒素を十分に脱着させることができず、得られる亜酸化窒素の純度が低下するおそれがある。また、一酸化窒素をゼオライトから脱着させる際の時間が2時間を超える場合、すでに、ゼオライトからの一酸化窒素の脱着が十分に行われており、経済性の観点から望ましくない。
【0032】
亜酸化窒素脱着工程において、亜酸化窒素をゼオライトから脱着させる方法としては、特に限定されず、たとえば窒素ガスまたは不活性ガスを吸着ユニット1に送入して亜酸化窒素を脱着させる方法や、減圧下で亜酸化窒素を脱着させる方法などが挙げられる。好ましくは、設備が簡便で経済的である点より、減圧下で亜酸化窒素を脱着させる方法が用いられる。この方法を用いた場合、亜酸化窒素脱着工程は、弁40c,40d,40e,40hを導通状態にし、その他の弁40a,40b,40f,40g,40iは非導通状態にして行われ、減圧条件としては、5〜100kPaの減圧下で行うことが望ましい。圧力を5kPa未満にすることは、減圧ポンプ2の性能上困難であり、圧力が100kPaを超える場合は、亜酸化窒素の脱着効率および回収率が悪い。
【0033】
亜酸化窒素脱着工程におけるゼオライトの温度は、80〜250℃、好ましくは80〜200℃であることが望ましい。亜酸化窒素をゼオライトから脱着させる際の温度が80℃未満の場合、亜酸化窒素がゼオライトから脱着しにくくなり、亜酸化窒素が回収されにくくなるおそれがある。また、亜酸化窒素をゼオライトから脱着させる際の温度が250℃を超える場合、加熱に要するエネルギーコストが高く、経済的でないおそれがある。
【0034】
亜酸化窒素脱着工程の所要時間は、温度、圧力等により異なるが、通常、5分〜2時間であることが望ましい。亜酸化窒素をゼオライトから脱着させる際の時間が5分未満の場合、亜酸化窒素を十分に脱着させることができず、亜酸化窒素の回収率が低下するおそれがある。また、亜酸化窒素をゼオライトから脱着させる際の時間が2時間を超える場合、すでに、ゼオライトからの亜酸化窒素の脱着が十分に行われており、経済性の観点から望ましくない。
【0035】
上述した本発明の実施形態においては、より扱い易い状態変数として温度を採用し、温度による選択的な脱着の制御を行う方法について説明したが、必ずしも温度により制御をする必要性はなく、たとえば圧力の程度を制御することにより選択的な脱着の制御を行うことも可能であるし、温度と圧力の両方を制御することにより行ってもよい。
【0036】
本発明においては、ゼオライトを繰り返し使用することができる。繰り返し使用する際においては、ゼオライトに吸着している亜酸化窒素の全量を脱着させた後、繰り返し使用しても良いし、亜酸化窒素の一部がゼオライトに吸着されたまま、繰り返し使用しても良い。
【0037】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。亜酸化窒素の回収精製には、図1で示す装置Xを使用した。吸着ユニット1は、内径7.5mm、長さ50cmの円筒状で密閉可能なステンレス製であり、この吸着ユニット1にゼオライトを充填した。また、恒温槽3により、吸着ユニット1の温度管理を行った。分析装置6は、一酸化窒素、亜酸化窒素を検出するガスクロマトグラフ装置(株式会社島津製作所の商品名;GC−14A)である。
【0038】
【実施例1】
(吸着工程)
A型ゼオライト(東ソー株式会社の商品名;ゼオラムA−5、粒子径:1.5mm、孔径:5Å)14.5gを充填した吸着ユニット1を、恒温槽3で温度制御ができるように設置し、この恒温槽3を用いて吸着ユニット1の温度を40℃に保持した。組成が、亜酸化窒素7.02体積%、一酸化窒素10.08体積%、ヘリウム82.9体積%の混合ガスを69cm3/分(標準状態換算)で64分間、吸着ユニット1に送入し、混合ガス中の亜酸化窒素と一酸化窒素の一部を吸着させた。送入された亜酸化窒素は310cm3、一酸化窒素は445cm3であった。
【0039】
その結果、ゼオライトに吸着された一酸化窒素は12cm3、吸着されずに回収された一酸化窒素は433cm3であった。このときの、吸着された亜酸化窒素は、310cm3であった。
【0040】
(一酸化窒素脱着工程)
次いで、恒温槽3を用いて、吸着ユニット1の温度を55℃に上昇させ、かつ保持するとともに、減圧ポンプ2を用いて、6.7kPaに20分間減圧することにより、一酸化窒素12cm3を脱着、回収した。
【0041】
(亜酸化窒素脱着工程)
引き続き、吸着ユニット1の温度を120℃に上昇させ、かつ保持するとともに、減圧ポンプ2を用いて、6.7kPaに60分間減圧することにより、亜酸化窒素253cm3を脱着、回収した。
【0042】
【実施例2】
(吸着工程)
実施例1で使用した、亜酸化窒素を57cm3吸着したままの状態であるA型ゼオライト14.5gを充填した吸着ユニット1を、再び装置Xに装着し、恒温槽3を用いて吸着ユニット1の温度を40℃に保持した。組成が、亜酸化窒素7.02体積%、一酸化窒素10.08体積%、ヘリウム82.9体積%の混合ガスを69cm3/分(標準状態換算)で66分間、吸着ユニット1に送入し、混合ガス中の亜酸化窒素と一酸化窒素の一部を吸着させた。送入された亜酸化窒素は320cm3、一酸化窒素は459cm3であった。
【0043】
その結果、ゼオライトに吸着された一酸化窒素は12cm3、吸着されずに回収された一酸化窒素は447cm3であった。このときの、吸着された亜酸化窒素は、377cm3であった。
【0044】
(一酸化窒素脱着工程)
次いで、吸着ユニット1の温度を55℃に保持し、6.7kPaで20分間減圧して、一酸化窒素12cm3を脱着、回収した。
【0045】
(亜酸化窒素脱着工程)
引き続き、吸着ユニット1の温度を120℃に保持し、6.7kPaで60分間減圧して亜酸化窒素を脱着し、亜酸化窒素322cm3を回収した。
【0046】
【比較例1】
A型ゼオライト(東ソー株式会社の商品名;ゼオラムA−5、粒子径:1.5mm、孔径:5Å)14.5gを充填した吸着ユニット1を、装置Xに装着し、恒温槽3を用いて吸着ユニット1の温度を40℃に保持した。組成が、亜酸化窒素7.02体積%、一酸化窒素10.08体積%、ヘリウム82.9体積%の混合ガスを69cm3/分(標準状態換算)で64分間、吸着ユニット1に送入し、混合ガス中の亜酸化窒素と一酸化窒素の一部を吸着させた。送入された亜酸化窒素は310cm3、一酸化窒素は445cm3であった。
【0047】
その結果、ゼオライトに吸着された一酸化窒素は12cm3、吸着されずに回収された一酸化窒素は433cm3であった。このときの、吸着された亜酸化窒素は、310cm3であった。
【0048】
(脱着工程)
次いで、吸着ユニット1の温度を120℃に保持し、6.7kPaで80分間減圧して、一酸化窒素12cm3とともに亜酸化窒素255cm3を脱着、回収した。
【0049】
実施例1および2より、吸着ユニット1に充填されたゼオライトは、全量脱着しなくても性能が低下することなく、繰り返し使用可能なことが確認された。また、実施例1および2と比較例1とを比較した場合、ゼオライトの温度を制御しながら選択的に脱着を行うことにより、亜酸化窒素を高純度で回収できることが確認された。
【0050】
【発明の効果】
本発明によると、亜酸化窒素と一酸化窒素を含む混合ガスから亜酸化窒素を工業的に安価に回収精製することができる。また、かくして得られた亜酸化窒素は、高純度であり、例えば、医療用麻酔薬の原料として使用すればゼロエミッションの観点からも好ましく、また、公知の方法により無害化処理し、大気中に放出することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例および比較例で使用した亜酸化窒素を回収精製する装置の概略図である。
【符号の説明】
1 吸着ユニット
2 減圧ポンプ(減圧手段)
3 恒温槽(温度保持手段)
4 原料タンク
5 流量計
6 分析装置
7 目的ガス用タンク
8 排出ガス用タンク
Claims (6)
- 亜酸化窒素と一酸化窒素とを含む混合ガスからゼオライトを用いて亜酸化窒素を回収精製する方法であって、
亜酸化窒素と一酸化窒素とを吸着させたゼオライトから選択的に一酸化窒素を脱着させる一酸化窒素脱着工程と、
一酸化窒素脱着工程を経たゼオライトから亜酸化窒素を脱着させる亜酸化窒素脱着工程と、を含むことを特徴とする、亜酸化窒素の回収精製法。 - 前記一酸化窒素脱着工程では、亜酸化窒素と一酸化窒素とを吸着させたゼオライトから一酸化窒素を選択的に脱着することができる第1の温度範囲に保持し、
前記亜酸化窒素脱着工程では、一酸化窒素脱着工程を経たゼオライトから亜酸化窒素を脱着することができる、前記第1の温度範囲よりも高い第2の温度範囲に保持する、請求項1に記載の亜酸化窒素の回収精製法。 - 前記第1の温度範囲は、−40〜80℃の範囲で、前記第2の温度範囲は、80〜250℃の範囲である、請求項2に記載の亜酸化窒素の回収精製法。
- 前記第1および第2の温度範囲での保持は、恒温槽を用いて行われる、請求項2または3に記載の亜酸化窒素の回収精製法。
- 前記各脱着工程においては、減圧手段による減圧の最低圧力が一定になるように行われる、請求項1ないし4のいずれかに記載の亜酸化窒素の回収精製法。
- ゼオライトを収容した吸着ユニットと、
前記吸着ユニットを減圧する減圧手段と、
前記吸着ユニットの温度を、一酸化窒素脱着工程では、亜酸化窒素と一酸化窒素とを吸着させたゼオライトから一酸化窒素を選択的に脱着することができる第1の温度範囲に保持し、亜酸化窒素脱着工程では、一酸化窒素脱着工程を経たゼオライトから亜酸化窒素を脱着することができる、前記第1の温度範囲よりも高い第2の温度範囲に保持する温度保持手段と、を含んで構成されていることを特徴とする、亜酸化窒素の回収精製装置。
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