JP4030749B2 - 芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は芳香族ポリカーボネートおよびジエンゴム成分に芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物をグラフトしてなるグラフト共重合体(以下、しばしばグラフト共重合体と略記する)およびガラス繊維とからなる芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、成形性と機械的強度に優れ、金型汚染が少ない芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリカーボネートは、耐熱性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプラスチックスとして多くの分野において幅広く用いられているが、非晶性で溶融粘度が高く、成形加工性に劣る欠点がある(ポリカーボネート樹脂ハンドブック 1992年 日刊工業新聞社刊 以下ハンドブックと略記する)。すなわち、成形加工時の流動性が不足してしまうため、過酷な成形条件、具体的には高温での成形を指向せざるを得ず、成形品にひずみが残留したり、高温に曝されることに起因する黄変物や黒変物(いわゆるヤケ)が発生して成形品の外観などの品質を低下させるなどの欠点も有していた。
この点を改良する目的で、ジエンゴム成分に芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物をグラフトしてなるグラフト共重合体、なかでもブタジエン−アクリロニトリル−スチレングラフト共重合体(ABS樹脂)を混合して成形物性を改善した樹脂組成物(以下PC/ABSと略記する)は、耐衝撃性、高強度、高流動性のバランスに優れた樹脂組成物として、極めて広い分野で用いられている。
【0003】
さて、芳香族ポリカーボネート、あるいはこれとABS樹脂との混合物であるPC/ABSの重要な用途展開先であるOA機器あるいは家電機器のハウジング分野では、近年、内部部品を密に配置し小型化するために形状が複雑化しており、また同時に、樹脂の使用量を低減することによってコストダウンと軽量化を図るために、製品肉厚を薄肉化する傾向が加速している。
その為、高い溶融流動性と耐衝撃性を保ったまま、さらなる高強度を有するPC/ABSが要求されており、その一つの解決方法として、ガラス繊維を混合する方法が挙げられる。ガラス繊維を混合したPC/ABSからなる樹脂組成物(以下、PC/ABS/ガラス繊維組成物と略記する)は、高強度、高剛性、寸法安定性に優れ、コスト競争力もあるため、これらPC/ABS/ガラス繊維組成物のOA機器分野などでの応用も精力的に進んでいる。
【0004】
しかしながら、ガラス繊維を混合してしまうと、ベースポリマーであるPC/ABSの持つ高い耐衝撃性や高流動性という優れた物性が損なわれてしまうため、この改善が強く求められていた。
このPC/ABS/ガラス繊維組成物の衝撃強度を改良するために種々の提案がなされている。例えば、カルボン酸無水物グループおよび/またはカルボキシルグループを有するオレフィン系ワックスおよびオレフィン系重合体(特開平8−188708号公報)、あるいはゴム成分(特開平7−238213号公報)をブレンドする方法が知られているが、これらの方法では、耐衝撃性は改良されるるものの、外観不良が発生したり弾性率が低下するという問題点があった。
【0005】
他方、流動性を改良する目的では、ポリエステル樹脂などの第3成分を混合して樹脂組成物の性状を改良する方法(特開平1−271456号公報)、ABS以外のアクリル系グラフト共重合体などを混合する方法(特公昭43−18611号公報)なども提案されている。あるいは、ワックス成分や低分子量成分の添加によって流動性を改善する方法も良く知られている。しかしながら、熱安定性が低いこれら樹脂類の添加は、高温での成形中に金型を汚染することから、定期的な金型清掃が必要となり、作業性、生産性の点から好ましくなかった。また、金型を汚染する黄変物や黒変物あるいはいわゆる“ヤケ”などが外観不良の原因になるなどの問題もあった。
すなわち、耐衝撃性、機械的強度、流動性(成形性)に優れ、金型汚染の少ないPC/ABS/ガラス繊維組成物が強く求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、芳香族ポリカーボネートと、ジエンゴム成分に芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物をグラフトしてなるグラフト共重合体と、ガラス繊維とからなる組成物の耐衝撃性、高強度、高流動性及び低金型汚染の全ての特性を改善した芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、芳香族ポリカーボネートの化学構造そのものに立ち戻り、その構造がPC/ABS/ガラス繊維組成物の物性に及ぼす影響を詳細に検討したところ、思いもよらなかったことに、エステル交換法で製造したある特定のエステル基構造を特定の割合で含有する芳香族ポリカーボネートとABS樹脂を混合して用いたところ、従来の技術で説明したような多種多様な添加剤や他の樹脂を用いることなく、ガラス繊維との混合により引き起こされる流動性の低下を補えたばかりではなく、当該樹脂組成物が良好な耐衝撃性をも維持していることを見出し本発明の端緒を得た。
【0008】
従来エステル交換法では、一般に重合過程で副反応としてコルベ−シュミット型反応が進行して、下記式(6)の構造が生成することから、耐衝撃性が大きく低下することが知られていた。このような状況下で、本発明のように特定の構造を特定量有するポリカーボネートを用いることで、しかも、それが極めて微量であっても、耐衝撃性をはじめとして、高強度、高流動性の全ての特性が改善されることは全く予想すらできないものであった。
【0009】
【化6】
【0010】
しかもさらに驚くべきことには、この樹脂組成物を実際にOA機器向け金型を用いて成形して評価したところ、成形品として優れた性能が得られたのみならず、成形時の金型汚染が非常に少ないことを見出した。
金型汚染が少ないという特徴は、定期的な金型清掃が少なくて済み、作業性、生産性の点から極めて好ましいのみならず、金型を汚染する黄変物や黒変物あるいはいわゆる「ヤケ」などが少ないため外観不良も低減し、美観に優れ不純物の少ない高品質な成形品を高い生産性で製造できるという実用上極めて重要な利点を有する。
【0011】
すなわち、ある特定のエステル基の構造を特定の割合で含有する芳香族ポリカーボネートが持つ優れた特性を利用して、特定の分子量範囲の芳香族ポリカーボネートとABS樹脂とガラス繊維の樹脂組成物において、耐衝撃性、高強度、高流動性、低金型汚染のすべての特性に優れた樹脂組成物を得ることに成功し、本発明を完成させることができた。
すなわち本発明は、
1.上記式(1)で表される繰り返し単位を持つ芳香族ポリカーボネートの分子中に、主鎖に直接結合したエステル基を0.015〜0.5wt%含有し、重量平均分子量が10,000〜30,000、フェノール性水酸基末端の割合が該芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量に対して0.004〜0.17wt%である芳香族ポリカーボネート100質量部と、ジエンゴム成分に芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物をグラフトしてなるグラフト共重合体5〜200質量部と、ガラス繊維5〜200質量部とからなることを特徴とする芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物に係る。
【0012】
2.該芳香族ポリカーボネート分子中の主鎖に直接結合したエステル基が、上記式(2)〜式(5)の各式で表される特定の構造のエステル基から選ばれた1種または2種以上のエステル基であることを特徴とする上記1記載の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物に係る。
3.該芳香族ポリカーボネートが芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルからエステル交換法で製造されたものであることを特徴とする上記1又は2に記載の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物に係る。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、上記式(1)で表される繰り返し単位からなる主鎖を有する。
式(1)中、Arは、二価の炭素数5〜200の芳香族基であり、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレンやピリジレンであり、それらは非置換又は置換されていてもよく、あるいはまた、下記式(7)で表されるものが挙げられる。
【0014】
【化7】
【0015】
(式中、Ar1及びAr2は、それぞれアリーレン基である。例えばフェニレン、ナフチン、ビフェニレン、ピリジレン等の基を表し、それらは非置換又は置換されていてもよく、Zは下記式(8)で表されるアルキレン基または置換アルキレン基である。)
【0016】
【化8】
【0017】
(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、C1〜C6低級アルキル基、C5〜C10シクロアルキル基、C6〜C30アリール基、C7〜C31アラルキル基であって、場合によりハロゲン原子、C1〜C10アルコキシ基で置換されていてもよく、kは3〜11の整数であり、R5及びR6は、各Xについて個々に選択され、お互いに独立に水素原子、またはC1〜C6低級アルキル基、C6〜C30アリール基であって、場合によりハロゲン原子、C1〜C10アルコキシ基で置換されていてもよく、Xは炭素原子を表す。)
また、下記式(9)で示される二価の芳香族基を共重合体成分として含有していても良い。
【0018】
【化9】
【0019】
(式中、Ar1、Ar2は前記と同じ。Z´は 単結合、または、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−CO2−、−CON(R1)−(R1は前記と同じ)等の二価の基である。)
これら二価の芳香族基の具体例として は、下記式(10)および式(11)で表されるもの等が挙げられる。
【0020】
【化10】
【0021】
【化11】
【0022】
(式中、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C10アルキル基、C1〜C10アルコキシ基、C5〜C10シクロアルキル基またはC6〜C30アリール基である。m及びnは1〜4の整数 で、mが2〜4の場合には各R7はそれぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4の場合は各R8はそれぞれ同一でも異なるものであっても良い。)
なかでも下記式(12)で表される構造を持つ樹脂が好ましい一例である。
【0023】
【化12】
【0024】
ポリマー末端の分子構造は、フェノール性水酸基(OH末端)、アリールカーボネート基、アルキルカーボネート基から選ばれた1種以上の末端基を結合することができる。アリールカーボネート末端基は下記式(13)で表され、例えば、式(14)で表されるものが例示できる。
【0025】
【化13】
【0026】
(式中、Ar9は一価の炭素数6〜30の芳香族基であり、芳香環は置換されていても良い。)
【0027】
【化14】
【0028】
アルキルカーボネート末端基は下記式(15)で表され、例えば、式(16)で表されるものが例示される。
【0029】
【化15】
【0030】
(式中、R9 は炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐アルキル基を表す。)
【0031】
【化16】
【0032】
本発明の組成物における芳香族ポリカーボネートは、公知の方法で製造したものが使用できる。具体的には、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(例えばホスゲン)を水酸化ナトリウム水溶液及び塩化メチレン溶媒の存在下に反応させる界面重合法(例えばホスゲン法あるいは溶液法 ハンドブック)、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(例えばジフェニルカーボネート)等を反応させるエステル交換法(溶融法あるいはメルト法 米国特許5596067号公報、米国特許5589664号公報、ハンドブック)、ホスゲン法又はエステル交換法で得られた結晶化カーボネートプレポリマーを固相重合する方法(特開平1−158033号公報、特開平1−271426号公報、特開平3−68627号公報、米国特許4948871号公報、米国 特許5204377号公報)等の方法により製造されたものが用いられる。
【0033】
ここで使用される芳香族ヒドロキシ化合物の代表例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4'−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1− ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノール−Aという)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ ス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4'−(m−フェニ レンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4'−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイドおよびビス (4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどが挙げられる。特に好ましいのは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノール−A)を主成分とするポリカーボネートである。フェニル基がハロゲンで置換された、例えば、臭素化ビスフェノール−A、ビスフェノール−Aのプロパン部分がほかの脂肪族アルカン、脂環式アルカンになっている芳香族ヒドロキシ化合物等も好適に用いられる。
【0034】
カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメートなどが使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネート、二価フェノールのジハロホルメートなどが挙げられる。カーボネート前駆体としては、溶液法ではホスゲンが、エステル交換法ではジフェニルカーボネートが好ましく用いられる。
また、芳香族ヒドロキシ化合物の一部を、本発明の効果が損なわれない範囲において、フェノール性水酸基を3つ以上持つ多官能芳香族ヒドロキシ化合物で置き換えて製造した一般に分岐ポリカーボネートと呼ばれる芳香族ポリカーボネート樹脂を用いることもできる。
【0035】
さらに、後述するように、ビスフェノール−Aの一部を、カルボキシル基が芳香族基に結合している芳香族ヒドロキシ化合物で置き換えて共重合させた芳香族ポリカーボネートも好ましく用いられる。
芳香族ヒドロキシ化合物は単独で用いてもまたは2種以上を併用してもよく、また芳香族ポリカーボネート樹脂は フェノール性水酸基を3つ以上持つ多官能芳香族ヒドロキシ化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂(米国特許 4677162号公報、4562242号公報、ドイツ 国特許3149812号公報)であっても、2種以上の芳香族ポリカーボネート樹脂の混合物であってもよい。
【0036】
芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当っては必要に応じて適当な分子量調節剤、分岐剤、酸化防止剤、反応を促進するための触媒なども使用できる。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は10,000〜30,000の樹脂が必要である。重量平均分子量が10,000を下回ると、本発明の効果を以ってしても補えない程度まで衝撃強度が低下してしまううえに、いわゆるオリゴマー成分による金型汚染の悪化も顕著となってしまい好ましくない。重量平均分子量が30,000を超える場合には樹脂の流動性が極端に低下してしまい、ガラス繊維を混合したために引き起こされる流動性の低下とあいまって事実上成形が不可能となり、やはり好ましくない。
【0037】
該芳香族ポリカーボネートの分子量分布についても特に限定はなく、ユニモーダルあるいはバイモーダルな分子量分布を持つ樹脂、いくつかの分子量分布のピークを持つ樹脂、あるいは所望の分子量分布を持つようそれらを混合した樹脂も用いることもできる。
本発明者らが詳細に検討したところ、本発明の効果を得るうえで、エステル交換法で該芳香族ポリカーボネートを得る方法が好ましく、さらに、不活性ガスを原料であるジフェニルカーボネートやビスフェノール−A、あるいはこれらをすこし重合させたオリゴマーに吸収させたうえで、内部にガイドを有する重合器を用いてこれら原料やオリゴマーをガイドに沿わせて落下させながら重合させる方法(特開平7−2925097号公報、特開平10−251396公報、特開平10−324742号公報)が特に好ましいことが判明した。
【0038】
この理由はいまだ明らかではないのだが、上記方法により製造された芳香族ポリカーボネートは分子量分布が狭く、金型汚染の原因となる低分子量成分や流動性を低下させる高分子量成分が少ないためと、本発明者らは推定している。
本発明で使用されるポリカーボネートは、前記の式(1)で表される繰り返し単位を持つ芳香族ポリカーボネートで、主鎖に直接結合したエステル基を含有する芳香族ポリカーボネートであり、当該エステル基が前記の式(2)〜式(5)で示される構造(以下 この構造をエステル分岐構造と略記する)を有する芳香族ポリカーボネートが好ましい。
そのなかでも、主鎖構造が下記式(17)で、エステル基が下記式(18)〜式(21)表される、エステル分岐構造を有する芳香族ポリカーボネートが特に好ましい。
【0039】
【化17】
【0040】
【化18】
【0041】
【化19】
【0042】
【化20】
【0043】
【化21】
【0044】
(式(18)〜式(21)中、XおよびYは式(3)に準じる。)
これらのエステル分岐構造は、芳香族ポリカーボネート樹脂を250℃程度以上の高温状態に保持することで、一般にフリース転移として知られる反応により、もとになる芳香族ポリカーボネートが変成して構成されたものと推定される。したがって、これらのエステル分岐構造は、重合段階で芳香族ポリカーボネート樹脂が上記のような高温状態にさらされるエステル交換法により製造された芳香族ポリカーボネート樹脂に特徴的な構造と言うことができ、本発明の主たる構成要件に挙げられるものである。
しかしながら、ホスゲン法など他の方法により製造されて当該エステル分岐構造を持たないあるいはほとんど持たない芳香族ポリカーボネート樹脂であっても、上記理由により、当該エステル分岐構造を持つ芳香族ポリカーボネートに変成したポリマーであれば良いし、後に詳述するように、初めから相当するエステル分岐構造を持ったモノマーを用いて本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂を得ても良い。
【0045】
一般にプレポリマーと呼ばれる重量平均分子量500〜2500程度の低重合物を用意しておき、さらに一般に固相重合と呼ばれる重合方法に供して芳香族ポリカーボネートを得る方法も良く知られているが、当該エステル分岐構造によって特徴付けられる本発明の芳香族ポリカーボネートを固相重合法から得ても良い。上に挙げた方法を含めて、エステル交換法以外の種々の芳香族ポリカーボネート製造方法によって当該ポリマーを得ても、本発明の効果を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物をなんら差し支えなく得ることができる。
【0046】
また、フリース転移は、紫外線などの照射によって転移させても良く、光フリース転移とも呼ばれる。たとえば長期間屋外に暴露させて太陽光線などの照射を受けさせ当該エステル分岐構造を持たせた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物も有用である。
また、下記式(22)で表される化合物で芳香族ジヒドロキシ化合物の一部または全部を置き換えて重合させる方法も好ましく、具体的には、式(23)、式(24)、式(25)で例示されるサリチル酸誘導体化合物などが好ましい。
【0047】
【化22】
【0048】
(式中nは1か2で、Ar´は、nが1のときは三価、nが2のときは四価の炭素数5〜200の芳香族基を示す。)
【0049】
【化23】
【0050】
【化24】
【0051】
【化25】
【0052】
当該エステル分岐構造の含有割合は、エステル基のwt%として、もとになる芳香族ポリカーボネート分子の重量平均分子量に対して、当該芳香族ポリカーボネート分子に含まれる当該エステル構造−O(CO)−の数の平均値にこの分子量を乗じた重量の百分率で計算される。
本発明におけるエステル分岐構造の割合は、エステル基のwt%として下限は0.015wt%であり、0.015wt%未満では本発明の効果を得られない。
【0053】
本発明におけるエステル分岐構造の割合は、エステル基のwt%として上限は0.5wt%である。
エステル分岐構造の含有割合が大きくなると一般に衝撃強度や引張伸度がわずかにではあるが低下する傾向が見られるが、ガラス繊維による強度向上効果はこの低下を補って余りある優れた効果であり、エステル分岐構造の含有割合の上限に関して制限する必要は無い。
【0054】
また、式(22)で表される化合物でビスフェノール−Aの一部または全部を置き換えて重合させることにより当該エステル分岐構造を持った芳香族ポリカーボネートを得ようとする場合には、エステル分岐構造の割合を請求項1の範囲を超えて幅広く自由に選択することができる。
しかしながら、上述したように、当該エステル分岐構造を熱変成によって得るためには芳香族ポリカーボネートを長時間高温にさらす必要があるため、エステル分岐構造の含有割合がエステル基のwt%として0.5wt%を超える芳香族ポリカーボネートを、熱変成のみによって、エステル分岐構造を全く持たない樹脂から得ようとする場合には、長時間の加熱により樹脂が黄変したりいわゆるヤケが発生したりして、これら黄変物やヤケが製品に混入して外観不良を生じせしめたり金型汚染のもとになったりするため好ましくない。
【0055】
また、式(22)で表される化合物で芳香族ジヒドロキシ化合物の一部または全部を置き換えて重合させることにより当該エステル分岐構造を持った芳香族ポリカーボネートを得ようとする場合も、式(22)で表される化合物を調達するための原料コスト、共重合させるための付帯設備費用などの経済性まで勘案するならば、当該エステル基のwt%は0.5wt%以下が好ましい。
このエステル分岐構造の割合は、同等の効果を例えば後述するような他の樹脂や添加剤によって得ようとする場合に比べると極めて微量であり、これほど微量のエステル分岐構造でも、該芳香族ポリカーボネートの物性に著しく影響を与える理由については、いまだ推測の域を出ないが、エステル分岐構造とガラス繊維の表面との相互作用が安定であるためと、本発明者らは推定している。
【0056】
エステル分岐構造の割合は、微量であっても芳香族ポリカーボネートの物性に及ぼす影響は極めて顕著であり、その割合の制御は非常に重要である。しかしながら、制御するべきエステル分岐構造の割合の範囲があまりに微量であるため、製造段階で所望のエステル分岐構造の割合を持った芳香族ポリカーボネートを得られない場合も危惧される。
その場合は、エステル分岐構造の割合の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネートを混合すれば良く、例えば、エステル交換法で製造されたエステル分岐構造を比較的高い割合で持つ芳香族ポリカーボネート樹脂と、ホスゲン法などによって製造されたエステル分岐構造を持たないあるいはほとんど持たない芳香族ポリカーボネート樹脂を混合して、所望のエステル分岐構造の割合を持つ樹脂を得てもなんら差し支えない。
【0057】
所望のエステル分岐構造の割合からずれてしまった芳香族ポリカーボネートであれば、これを正確に所望の割合に制御する方法としての熱変成は簡便で実用的な方法であり、溶融した樹脂を撹拌しながら加熱する方法、溶融した樹脂を金網やワイヤーなどのガイドに沿わせて自然落下させながら加熱する方法、芳香族ポリカーボネートのシートやフィルムを所定の温度に熱した板や回転ドラムに押し当てる方法、金型を所定の温度に熱して成形品を加熱する方法など種々の加熱方法を用いることができる。
【0058】
加熱に際しては、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウムなどの樹脂に対して不活性なガス、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレンなどの低級炭化水素、炭素数5〜20の環状炭化水素、 炭素数4〜18の直鎖または分岐鎖飽和炭化水素、または炭素数4〜18の低度不飽和炭化水素、あるいは、これらの混合物の存在下に行うことが好ましい。
芳香族炭化水素や含酸素化合物の存在下に行うことも好ましく、芳香族化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、ジプロピルベンゼン、ブチルベンゼン、メチルスチレン、イソプロピルベンゼン、イソブチルベンゼン、シメン、テトラメチルベンゼン、テルフェニルなどが挙げられる。含酸素化合物としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、フェネトール、フランなどのエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ペンタノンなどのケトン類などが挙げられる。
【0059】
フロン、クロロメタン、塩化メチレン、トリクロロエタンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素類、クロロベンゼンなどの芳香族ハロゲン化炭化水素類も用いることはできるが、高品質のポリマーを得るためには、ハロゲンを含まない物質が好ましい。
なお、これら物質は必ずしもガス状で存在する必要はなく、例えば、加圧条件下で液体で存在していても構わない。熱変成条件下で超臨界状態になる物質は、熱伝導度が気体よりも優れ液体とほぼ同等でより均一な加熱が期待でき、熱処理後の乾燥工程も室温で液体の物質を用いた場合に比べて簡略化できるため(NTS出版 超臨界流体利用技術 1988年)、例えば超臨界状態の二酸化炭素などが加熱媒体として好ましい。
【0060】
250℃以上という高温でそれ自身が安定であって、樹脂に対して実質的に不活性であれば、熱変成温度条件下で液体状の物質も媒体として使用可能であり、炭化水素系やシリコン系の熱媒オイルなどが例示される。
なお、実質的に酸素や水分を含むガスや液体や超臨界流体は、芳香族ポリカーボネートの黄変や黒変をもたらしたり、熱分解を促進するため好ましくない。加熱用の金型、ドラム、鉄板なども、水分は除去し不活性ガスなどで置換しておくことが好ましい。
【0061】
光フリース転移による変成も有効な方法である。芳香族ポリカーボネートは紫外線領域に良好な吸収を持つため、変成を目的とする場合は紫外線、特に短波長紫外線が有効である。紫外線により変成した樹脂は紫外線透過率が低下するため、表面が変成されるとそれ以上内部への変成は進み難くなる。従って、表層のみ変成させたい場合などに光フリース転移は好ましい方法である。
光フリース転移を行う場合も、酸素や水分が実質的に存在しない条件下で行うことが前述した理由により好ましく、減圧下あるいは真空中で行うことも同じ理由で好ましい。酸素や水分が実質的に存在しない条件としては、上述した熱変成の場合と同様であり、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス存在下、低級炭化水素や芳香族炭化水素の存在下、樹脂に対して不活性な液体中、あるいは超臨界状態の二酸化炭素などが挙げられる。
【0062】
光フリース転移を行う温度については特に限定はなく、室温から樹脂が安定である350度程度の高温まで幅広く取ることができる。加熱溶融させながら光を照射して、フリース転移と光フリース転移を併用することも可能である。
光フリース転移を行う照射時間は、光の強度、樹脂の温度、得ようとするエステル分岐構造の割合などのさまざまな条件に大きく依存するため、一義的に決めることはできない。ある程度条件を振って試行したうえで処理条件を決定すれば良い。
【0063】
本発明の効果を得るには、該芳香族ポリカーボネートのOH末端の割合を制御することが重要である。
本発明におけるOH末端の割合は、該芳香族ポリカーボネート分子の重量平均分子量に対して、該芳香族ポリカーボネート分子中に含まれるOH末端の数の平均値にこれの分子量を乗じた重量の百分率で計算される。
OH末端の比率の測定方法としては、一般にNMRを用いて測定する方法(NMR法)や、チタンを用いて測定する方法(チタン法)や、UVもしくはIRを用いて測定する方法が知られている。
【0064】
芳香族ポリカーボネートのOH末端の割合の調節は、エステル交換法によって芳香族ポリカーボネートを製造する場合は、原料のジフェニルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物(たとえばビスフェノール−A)のモル比を変えることによって容易に行うことができる。例えばビスフェノール−Aと ジフェニルカーボネートをエステル交換させる場合には、ポリカーボネートの末端は、ビスフェノール−Aに由来するフェノール性残基またはジフェニルカーボネートに由来するフェニル基である。従って、エステル交換反応の際に、ビスフェノール−Aのモル比を高めると生成芳香族ポリカーボネートにおいてOH末端の割合が高くなる。逆に、ビスフェノール−Aのモル比を低めると生成芳香族ポリカーボネートにおいてOH末端の割合が低くなる。
【0065】
溶液法によって芳香族ポリカーボネートを製造する場合は、原料中または反応途中に少量のフェノールやt−ブチルフェノールを加えることによりポリマー末端をフェノールで封止(ヒドロキシル基が反応)しているため、一般にOH末端の割合はエステル交換法に比べて小さく、およそ0.004wt%未満である。本発明においては、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法について、OH末端の割合を容易に調整し得るために上記エステル交換法が本発明の効果を得るうえで好ましく、主たる構成要件に挙げられるものである。
【0066】
本発明においては、芳香族ポリカーボネートのOH末端は、0.004〜0.17wt%と極わずかあれば良く、好ましくは、0.008〜0.17wt%である。これほど微量であっても、OH末端比率が当該芳香族ポリカーボネートの物性に及ぼす影響は顕著であり、その制御は極めて重要である。
OH末端比率が0.004wt%より小さいときは 芳香族ポリカーボネートとガラス繊維との成形品の耐衝撃性が低くなり好ましくない。OH末端比率が0.17wt%を超える芳香族ポリカーボネート樹脂の場合、耐加水分解性が低下してしまうため好ましくない。
【0067】
OH末端比率の影響は、極微量であっても極めて顕著であるため、その制御は非常に重要である。しかしながら、制御するべきOH末端比率の範囲があまりに微量なために製造段階で所望の値に制御できなくなる場合も危惧され、異なるOH末端比率を持つ2種類以上の芳香族ポリカーボネートを混合することで所望の値に調整する方法も工業的に重要な方法である。例えば、エステル交換法でOH末端比率の比較的高い樹脂が得られた場合、これをホスゲン法などにより得られたOH末端比率の低い樹脂と混合して、所望のOH末端比率を持つ樹脂を得てもなんら差し支えない。
【0068】
これほど微量のOH末端でも、該芳香族ポリカーボネートの物性に著しく影響を与える理由については、いまだ推測の域をでないが、OH末端とガラス繊維との相互作用が安定であるためと、本発明者らは推定している。
次ぎに本発明の樹脂組成物には、ジエンゴム成分に芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物をグラフトしてなるグラフト共重合体が必須である。なかでも、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)を好ましく列挙することができる。
【0069】
該グラフト共重合体は、ジエンゴム成分を幹とし、それにグラフト共重合可能な芳香族ビニル化合物成分およびシアン化ビニル化合物成分をグラフト重合させた共重合体である。ジエンゴム成分としては、例えばポリブタジエン、ポリイソプレンおよびスチレン−ブタジエン共重合体などが挙げられ、なかでもポリブタジエンが好ましく使用される。これらのジエンゴム成分にグラフトされる芳香族ビニル化合物成分としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのアルキル置換スチレンなどが挙げられ、なかでもスチレンが好ましく用いられる。また、シアン化ビニル化合物成分としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびクロロアクリロニトリルなどが挙げられ、なかでもアクリロニトリルが好ましく用いられる。さらに、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸オクチルなどを使用することができる。これらのグラフト共重合体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合のいずれの重合法で製造しても良く、また、グラフトの方式としては一段グラフトでも多段グラフトでも良い。
【0070】
グラフト共重合体と該芳香族ポリカーボネート樹脂の好ましい混合態様は芳香族ポリカーボネート樹脂とのポリマーアロイであるが、グラフト共重合体が芳香族ポリカーボネート中に微分散している組成物、芳香族ポリカーボネートがグラフト共重合体に微分散している組成物、サラミ状、粒状、粒状凝集体、縞状などの様態で混合している組成物であっても、当該ガラス繊維と当該樹脂混合物が接触していて良好な接着性を発現し得る限りにおいて、いかなる混合様態の組成物であっても用いることができる。その配合割合は、芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、グラフト共重合体が5〜200質量部となるように選ぶのが好ましい。かかるグラフト共重合体は1種類でも、2種以上を混合しても使用することができる。
【0071】
本発明に使用するガラス繊維はその種類、形状共に特に限定されるものではないが、一般にガラスフィラーと呼ばれるものも含めて芳香族ポリカーボネート樹脂強化用ガラス繊維として市販されているロービングガラス、チョップドストランドガラス、ミルドガラスなどを用いることができ、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、 ガラス粉など一般に芳香族ポリカーボネート樹脂に配合する形状のものであればよい。また、これらガラス繊維に使用されるガラスは無アルカリガラス又はこれに近い組成のものが好ましい。これらガラス繊維は1種類でも、2種類以上を混合しても使用できる。
【0072】
ガラス繊維としては、プラスチック強化用の表面処理や集束剤処理をしたものも好ましい。
これらのガラス繊維の表面処理としてはシランカップリング剤等で表面処理されたものが好ましい。シランカップリング剤としては、アミノシラン系、エポキシシラン系、アリルシラン系、ビニルシラン系、チタン系化合物などを使用できる。この表面処理はあらかじめ該繊維に施しておいても、また、組成物の配合時に表面処理剤を添加するなどの方法によってでも良い。
【0073】
また、ガラス繊維とポリカーボネート樹脂とのコンパウンドを行う際、該繊維がばらばらになったり綿状になったりなどの作業性の悪さを改善するなどの目的もあって、ガラス繊維をウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂などで集束させることも、本発明の効果を得る上で有効で、工業的に重要な手段である。
例えば、具体的には、適当なフィラメント数を有する実質的に乾燥したガラス繊維を、メチルエチルケトンに0.5〜5wt%溶解したポリウレタン樹脂溶液に連続的に浸漬し、次いで80℃の熱風乾燥機に通して脱溶媒し、その後カッターで適当な大きさに切断することによって得られる。
【0074】
これらガラス繊維の表面改質や集束に用いられるオレフィン系樹脂やウレタン系樹脂は、従来技術の項で説明したように一般に耐熱性が低く金型を汚染しやすいため、本発明の効果とは逆効果になってしまうわけであるが、オレフィン系樹脂やウレタン系樹脂の使用量は、ガラス繊維の修飾に用いる場合は、ベースポリマーの改質に用いる場合に比べて圧倒的に少量であり(通常、ガラス繊維に対して1wt%以下である。)本発明の障害となるものではない。
【0075】
本発明において用いるガラス繊維は、金属コートしたものも好適に用いることができる。これは、ガラス繊維に、公知のメッキ法および蒸着法などでニッケル、銅、コバルト、銀、アルミニウム、鉄などおよびこれらの合金などの金属をコーティングしたものであり、導電性、耐食性、生産性および経済性に優れたニッケル、銅およびコバルトなどが好ましく使用される。
ガラス繊維の配合量は、当該芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部とグラフト共重合体5〜200質量部の混合物に対して、5〜200質量部、好ましくは10〜100質量部になる量である。
【0076】
ガラス繊維の配合量が5質量部未満では、成形品に充分な剛性を持たせることができなくなり、200質量部を越えると、流動性が極端に低下して成形そのものが困難になり良好な成形品が得られ難い。
当該ガラス繊維において、繊維の長さには特に限定はなく、また、一般に繊維と樹脂を押出し機などで混合すると混合の過程で繊維が折れてしまうことも知られており、繊維の長さを限定する必要性はあまりないのであるが、作業性の観点から0.3〜10mm、望ましくは3〜6mmが好ましい。かかるガラス繊維の太さも特に限定はないのであるが、直径6〜20μm のものが一般に好ましく使用される。ガラス繊維の断面形状についても特に限定は無く、円形、まゆ型、ひょうたん型、だ円型、円筒形など幅広く用いることができる。
【0077】
ガラス繊維強化芳香族ポリカーボネートにおいては、ガラス繊維の長さや太さのみならず、アスペクト比(平均繊維長/繊維直径)が樹脂組成物の強度に大きく影響することが知られているが、本発明の樹脂組成物においても、通常一般に採用されている範囲のアスペクト比と同様3〜20程度のものが好ましく用いられ、5〜10程度に制御することで高精度成形品を得ることもできる。
一般に、ガラス繊維のアスペクト比は1に近づくと成形性は良くなるが強度の向上効果が小さくなるため好ましくなく、アスペクト比が大きいと強度は向上されるものの、繊維の並んでいる方向とそれに垂直な方向での成形性が著しく異なるためにやはり好ましくないとされている。しかしながら、異なるアスペクト比のガラス繊維を適当な比率で混合して用いて強度の向上効果と良好な成形性を両立させる方法も当該技術分野では良く知られしばしば用いられるため(ハンドブック)、本発明においてもアスペクト比を限定する必要は無い。
【0078】
さらに本発明の樹脂組成物には、本発明の目的および効果を損なわない限りにおいて、樹脂の混合時、成形時に他の樹脂、添加剤、たとえば顔料、染料、ガラス繊維以外の強化剤や充填剤、難燃剤、耐熱剤、酸化劣化防止剤、離型剤、耐候剤、光劣化防止剤、帯電防止剤、滑剤、結晶核剤、可塑剤、流動性改良剤などを添加することができる。
他の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)、ポリブチレンテレフタレート(PBT樹脂)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA樹脂)、6−ナイロン、6、6−ナイロンなどのポリアミド樹脂、ポリカプロラクトン、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリ4フッ化エチレン(PTFE樹脂)など、極めて幅広い種類の樹脂を添加することができる。
【0079】
他の樹脂として、芳香族ポリカーボネートの分子鎖中に脂肪鎖を組み込んだポリエステルカーボネートも好適に用いることができる。
これら他の樹脂と、該芳香族ポリカーボネート樹脂とグラフト共重合体の混合物との好ましい混合態様は、当該混合物とのポリマーアロイであるが、他の樹脂が当該混合物中に微分散している組成物、当該混合物が他の樹脂中に微分散している組成物、粒状、粒状凝集体、縞状、サラミ状などの様態で混合している組成物であっても、当該ガラス繊維と当該混合物が接触していて良好な接着性を発現し得る限りにおいて、いかなる混合様態の組成物であっても用いることができる。
【0080】
かかる樹脂の添加割合は該芳香族ポリカーボネートとグラフト共重合体の混合物100質量部に対して、5〜200質量部であり、好ましくは10〜100質量部、さらに好ましくは20〜80質量部である。かかる他の樹脂は1種類でも、2種以上を混合しても使用することができる。
顔料、染料としては、チタンホワイト、チタンイエロー、ベンガラ、群青、スピネルグリーンなどの無機系顔料、キナクリドン系、ペリレン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系などの有機系顔料など、幅広く用いることが可能である。
【0081】
強化充填剤としては炭素繊維が好適に用いられ、例えばアクリル系、レーヨン系、ピッチ系などの各種炭素繊維、カーボンブラック、炭素フィラメント、炭素質、カーボンナノチューブ等、幅広く使用することができ、アクリル系、ピッチ系いずれの炭素繊維も好ましく用いることができる。これら炭素繊維は1種類でも、2種類以上を混合しても使用できる。該炭素繊維の長さは一般に100〜1000μmの長さの繊維が機械的強度を増すうえにおいて好ましく用いられる。
【0082】
強化充填剤は、強化作用を呈し得る量使用すればよいのであるが、普通組成物の総重量の1〜60wt%である。好適な範囲は5〜50wt%である。
他にも、強化剤や充填剤として、例えば微粉砕のアルミニウム、鉄またはニッケルなどの金属酸化物および非金属、例えば、珪酸塩、例えば雲母、珪酸アルミニウム(粘土)、タルク、石綿、二酸化チタン、珪灰石、ノバキュライト、チタン酸カリウムおよびチタン酸塩ウイスカー、ポリマー繊維等が挙げられる。
【0083】
ハロゲンで置換されたビスフェノール、特に上記に述べた臭素化ビスフェノールは、本発明の構成要件である芳香族ポリカーボネートの原料として用いることができるのみならず、難燃剤としても機能し得るため、好適に用いることができる。
さらに、この難燃効果を相乗的に高めるために、無機または有機アンチモン化合物を樹脂組成物中に配合することも、本発明の好ましい様態である。
【0084】
アンチモン化合物としては種々の化合物が挙げられ、無機化合物としては、酸化アンチモン(Sb2O3)、燐酸アンチモン、水酸化物、弗化物、硫化物などが挙げられる。有機化合物としては、有機酸とのアンチモンエステル、環式アルキル亜アンチモン酸エステル、アリールアンチモン酸化合物、トリフェニルアンチモンなどが挙げられる。アンチモン化合物としては酸化アンチモンが好ましい。また、熱安定剤、酸化防止剤として、ヒンダードフェノール、ホスファイト、リン酸金属塩、亜リン酸金属塩等を混入することができる。
【0085】
本発明は芳香族ポリカーボネートのOH末端の割合を制御することを特徴とするが、一般にOH末端比率を低減させると芳香族ポリカーボネート樹脂自身の熱安定性、耐加水分解性が向上する。逆に、OH末端比率を増加させると熱安定性、耐加水分解性は低下してしまう。
そのため、これら添加剤の添加量についてはOH末端比率に依存し、一概に決めることはできないが、本発明の効果を損なわない範囲で幅広くとることが可能である。たとえば、通常、リン系酸化防止剤は0.01〜5質量部の範囲で好ましく用いられる。0.01質量部より少ないと酸化防止効果が得にくくなり、5質量部よりも多いと加熱成形時に発泡したり、押出成形時の安定性が劣ったりするため好ましくない。
【0086】
離型剤としては、カルボン酸エステル、ポリシロキサン、パラフィンワックス、ポリカプロラクトンなどが用いられる。
耐候剤、光劣化防止剤としては、ベンゾトリアゾール系(例えば、商品名チヌビン)、ベンゾフェノン系が一般に用いられる。
本発明の樹脂組成物を製造するに際しては、従来から公知の方法で各成分を混合、成形することができる。例えば、芳香族ポリカーボネート、グラフト共重合体、ガラス繊維、各種添加剤の混合物を、ターンブルミキサーやヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサーで代表される高速ミキサーで分散混合後、単軸あるいは2軸押出機で押出成形する方法、バンバリーミキサー、加熱ロール等で混練する方法、あるいは直接射出成形機で射出成形する方法などが挙げられる。
【0087】
各成分の混合様式としては、芳香族ポリカーボネート、グラフト共重合体、ガラス繊維、各種添加剤の1種あるいは2種以上を予め混合しておき、残りを混練する方法も好適に用いることができ、このような混合の順番の組み合わせとして挙げられるいずれの方法でも、本発明の効果を得られる。このようにして得られた樹脂組成物は射出成形、圧縮成形、押出成形、回転成形などの既知の種々の方法により成形される。
【0088】
【発明の実施の形態】
以下、実施例をもって本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明の実施例における測定方法は以下の通りである。
(1)MD発生ショット数
金型汚染性は以下に示す方法によりMD(モールドデポジット Mold Deposit)発生ショット数として評価した。
実施例ならびに比較例の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を、シリンダー温度280℃、金型温度90℃、スクリュー回転数80rpm、射出速度50mm/秒、射出保圧時間10秒、冷却時間15秒に設定された射出成型機(オートショット 50D、ファナック社製)を用いて成形し、試験片を得た。
さらに、上記条件で連続成形を行ない500ショット成形ごとに金型を外して、外観を検査し汚染の有無を確認し、汚染が見出された時点のショット数をMD発生ショット数とした。
すなわち、表中MD発生ショット数2500ショットとは、2000ショットまでは外観上金型に汚染は見られず、2500ショット成形した時点で目視で汚染が確認されたことを示す。表中500ショットとは、最初に金型を外した時点ですでに金型が汚染されていたことを示す。
【0089】
(2)分子量の測定
本発明において、ポリカーボネートの重量平均分子量(Mw)の測定はGPCを用いて行い、測定条件は下記の通りである。即ち、テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレ ンの較正曲線から下式を用いる計算によって得られた換 算分子量較正曲線を用いて求めた。
MPC=0.3591×MPS1.0388
(MPCはポリカーボネートの分子量、MPSはポリスチレンの分子量)
【0090】
(3)エステル基のwt%の測定
芳香族ポリカーボネート55mgをテトラヒドロフラン 2mlに溶解した後、5規定の水酸化カリウムメタノー ル溶液を0.5ml添加し、室温で2時間攪拌して完全に加水分解した。
その後、濃塩酸0.3mlを加え、逆相液体クロマトグラフィーで測定した。逆相液体クロマトグラフィーは、UV検知器として991L型機(米国、ウォーターズ社製)、Inertsil ODS−3カラ ム(ジーエルサイエンス社製)、溶解液としてメタノールと0.1%リン酸水溶液からなる混合溶解液を用い、カラム温度40℃、メタノール/0.1%リン酸水溶液比率を20/80からスタートし、100/0までグラジェントする条件下で測定し、検出は波長300nmのUV検出器を用いて行い、標準物質の吸光係数から定量した。(標準物質としては、式(18)、式(19)、式(20)、式(21)の構造単位を加水分解した構造に相当するヒドロキシ化合物を用いた。)
【0091】
(4)OH末端のwt%の測定
本発明においては、NMR法で求めた。
(5)MFR
ASTM D1238に従って、温度220℃、荷重10kgで測定した。
単位:g/10分として、20以上を○、10〜20を△、10未満を×とした。
(6)Izod衝撃強度
ASTM D256に従って、射出成形された1/8インチ厚さの試験片を用いてノッチ付きで測定した。測定にあたっては、温度23℃、湿度50%RHに保たれた恒温槽に試験片を2時間以上静置した後、素早く測定した。
単位:kg・cm/cmとして、10以上を○、10〜5を△、5未満を×とした。
【0092】
(7) 曲げ弾性率
ASTM D790に準拠して、測定した(試験片厚み 1/4インチ)。
単位:kg/cm2として、60,000以上を○、60,000〜30,000を△、30,000未満を×とした。
芳香族ポリカーボネート、ABS樹脂、ガラス繊維は以下のものを用いた。
(PC−1)
溶融エステル交換法で製造されたビスフェノール−A系ポリカーボネート
Mw=19,500、エステル基のwt%=0.016%。OH末端のwt%=0.076%
【0093】
(PC−2)
溶融エステル交換法で製造されたビスフェノール−A系ポリカーボネート
Mw=25,000、エステル基のwt%=0.017%、 OH末端のwt%=0.031%
(PC−3)
溶融エステル交換法で製造されたビスフェノール−A系ポリカーボネート
Mw=35,000、エステル基のwt%=0.069%、 OH末端のwt%=0.021%
【0094】
(PC−4)
ホスゲン法で製造されたビスフェノール−A系ポリカーボネート
Mw=15,000、エステル基のwt%=検出されず。 OH末端のwt%=0.0044%
(PC−5)
ホスゲン法で製造されたビスフェノール−A系ポリカーボネート
Mw=25,000、エステル基のwt%=検出されず。 OH末端のwt%=0.0026%
【0095】
(PC−6)
PC−2を二酸化炭素加圧下、実質的に酸素の無い条件で280℃、1時間加熱処理した。Mw=24,000、エステル基のwt%=0.059%、OH末端のwt%=0.035%
(PC−7)
前記式(23)で表される化合物のうち、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3´カルボキシル−4´ヒドロキシフェニル)プロパンをビスフェノール−Aに対して2モル%混合してPC−1と同様に溶融エステル交換法で製造されたビスフェノール−A系ポリカーボネート。
Mw=19,500、エステル基のwt%=0.035%、OH末端のwt%=0.096%
【0096】
(ABS樹脂)
ABSレジン RC (三菱レイヨン株式会社製)
(GF)
ガラス繊維:旭ファイバー製アミノシラン処理ガラス繊維ロービング (商品名:ER740)(太さ:13μm)
【0097】
【実施例1】
PC−1の芳香族ポリカーボネート100質量部に対して、ABS樹脂とガラス繊維を表記の質量部で用いて、ドラムブレンダーで5分間ドライブレンドした後、シリンダー温度280℃に設定した2軸押出機(ZSK−25 Werner&Pfleiderer社製)で回転数300rpmで溶融混練し、造粒し、ペレットを得た。得られたペレットを用いて、MD発生ショット数、Izod衝撃強度、曲げ弾性率、流動性(MFR)を測定した。結果を比較例とともに表1にまとめた。
【0098】
【実施例2】
PC−1の代わりにPC−2を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0099】
【比較例1】
PC−1の代わりにPC−3を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0100】
【比較例2】
PC−1の代わりにPC−4を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0101】
【比較例3】
PC−1の代わりにPC−5を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0102】
【実施例3】
PC−1の代わりにPC−6を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0103】
【実施例4】
表1記載の質量部にてPC−2、ABS樹脂、ガラス繊維を用いた以外は実施例1と同様に行なった。
【0104】
【実施例5】
PC−7を用いた以外は実施例4と同様に行なった。
【0105】
【表1】
【0106】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物を用いた成形品は著しく改善された耐衝撃性を有する。しかも、ベースポリマーである芳香族ポリカーボネート樹脂自身が持つ高強度、高流動性に加えて、成形時の金型汚染も少ないという実用上極めて重要な特徴も有し、その用途は広く、有用性は高い。
Claims (3)
- 該芳香族ポリカーボネートが芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルからエステル交換法で製造されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物。
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