JP4010669B2 - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は湿熱疲労性及び面衝撃性に優れた繊維状充填材を含有した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関する。更に詳しくは、芳香族ポリカーボネート樹脂が本来有する特性を生かし、且つ繊維状充填材を加えることで剛性等の特性を向上させた上、湿熱疲労性や面衝撃性に優れた繊維状充填材を含有した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性などの機械的特性に優れ、しかも耐熱性、透明性などにも優れており、広く用いられている。このような芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法としては、ビスフェノールAなどの二価フェノールにホスゲンを直接反応させる方法(界面重合法)、あるいはビスフェノールなどの二価フェノールとジフェニルカーボネートなどのジアリルカーボネートとを溶融状態でエステル交換反応させ重合する方法(以下、溶融法と称することがある。)などが知られている。このような製造方法のなかで、二価フェノールとジアリルカーボネートとのエステル交換反応させる方法は、界面重合法による製造に比べて、ホスゲンやメチレンクロライド等のハロゲン化合物を使用する問題がなく、環境に対する負荷が少なく且つ安価に製造できる利点があり、有望な技術である。
【0003】
芳香族ポリカーボネート樹脂とガラスフィラーを用いた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が、特許2683662号公報に記載されている。この芳香族ポリカーボネート樹脂は実質的に溶融法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂である。この組成物は溶液法の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物よりアイゾット耐衝撃性に優れていることが開示されている。しかしながら、かかる組成物に使用されている溶融法芳香族ポリカーボネート樹脂は相対蛍光強度が考慮されておらず湿熱疲労性や面衝撃性に劣る欠点を有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、芳香族ポリカーボネート樹脂が本来有する特性を生かし、且つ繊維状充填材を加えることで剛性等の特性を向上させた上、湿熱疲労性や面衝撃性に優れた繊維状充填材を含有した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物をを提供することにある。
【0005】
我々はかかる樹脂組成物を鋭意検討した結果、溶融法の芳香族ポリカーボネート樹脂の相対蛍光強度を特定の範囲にし、この芳香族ポリカーボネート樹脂を用いることで、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)蛍光スペクトルを測定したとき(励起波長320nm)、基準物質に対する465nmにおける相対蛍光強度が4×10−3以下であり、且つ二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶融法で反応させて得られた芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部、(B)繊維状充填材がガラス繊維、カーボン繊維またはワラストナイトである繊維状充填材5〜200重量部、ならびに亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステルから選ばれる単独もしくは2種以上の熱安定剤0.0001〜1重量部からなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。
【0007】
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶融法で反応させて得られるものである。ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、1,6−ジヒドロキシナフタリン、2,6−ジヒドロキシナフタリン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−ブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−クロロ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、4−ブロモレゾルシノール、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−フェニル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−エチル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−n−プロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−メトキシ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジブロモ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス{(3−フェノキシ−4−ヒドロキシ)フェニル}エチレン、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス{(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステルなどがあげられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0008】
なかでもビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス{(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、および4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトンからなる群より選ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単独重合体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノールAの単独重合体が好ましく使用される。
【0009】
カーボネート前駆体としては、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用される。具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m―クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどを使用し、より好ましくは、ジフェニルカーボネートを使用する。これら炭酸エステルもまた、単独で用いても良く、また二種以上を組み合わせて用いても良い。
【0010】
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を溶融法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0011】
三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2,2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、又はトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸及びこれらの酸クロライド、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3’−フェノキシカルボニル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3’−カルボキシ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0012】
溶融法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には系を10〜0.1Torr程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0013】
また、溶融法において重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば(i)アルカリ金属化合物および/または(ii)含窒素塩基性化合物よりなる触媒を用いて縮合される。
【0014】
触媒として用いられるアルカリ金属化合物としては、例えばアルカリ金属の水酸化物、炭化水素化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜流酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、水素化ホウ素塩、安息香酸塩、リン酸水素化物、ビスフェノール、フェノールの塩等が挙げられる。
【0015】
具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム、シアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、水酸化ホウ素ナトリウム、水酸化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素ジカリウム、リン酸水素ジリチウム、ビスフェノールAのジナトリウム塩、ジカリウム塩、ジリチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などが挙げられる。
【0016】
触媒としてのアルカリ金属化合物は、二価フェノール1モルに対し10-8〜10-5モルの範囲で使用しうる。上記使用範囲を逸脱すると、得られるポリカーボネートの諸物性に悪影響を及ぼしたり、また、エステル交換反応が充分に進行せず高分子量のポリカーボネートが得られない等の問題があり好ましくない。
【0017】
また、触媒としての含窒素塩基性化合物としては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Me4NOH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(Et4NOH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(Bu4NOH)、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(φ―CH2(Me)3NOH)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有するアンモニウムヒドロオキシド類、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ヘキサデシルジメチルアミンなどの3級アミン類、あるいはテトラメチルアンモニウムボロハイドライド(Me4NBH4)、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド(Bu4NBH4)、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート(Bu4NBPh4)、テトラメチルアンモニウムテトラフェニルボレート(Me4NBPh4)などの塩基性塩などを挙げることができる。これらの中で、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Me4NOH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(Et4NOH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(Bu4NOH)が好ましく、特にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Me4NOH)が好ましい。
【0018】
上記含窒素塩基性化合物は、含窒素塩基性化合物中のアンモニウム窒素原子が二価フェノール1モル当り1×10-5〜1×10-3当量となる割合で用いるのが好ましい。より好ましい割合は同じ基準に対し2×10-5〜7×10-4当量となる割合である。特に好ましい割合は同じ基準に対し5×10-5〜5×10-4当量となる割合である。本発明においては所望により、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類、マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせ使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-9〜1×10-5当量、より好ましくは1×10-8〜5×10-6当量の範囲で選ばれる。
【0019】
また、かかる重合反応において、フェノール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるいは終了後に、例えばフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−ブチルフェニルフェニルカーボネート、p−t−ブチルフェニルカーボネート、p−クミルフェノール、p−クミルフェニルフェニルカーボネート、p−クミルフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニトロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネート、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート、2,2,4−トリメチル−4−(4−ヒドロキシフェニル)クロマン2,4,4−トリメチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)クロマンおよびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることが好ましい。なかでも2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく使用される。
【0020】
本発明において末端封鎖剤を用いて芳香族ポリカーボネート樹脂の末端を封鎖することが好ましい。また、末端封鎖剤を添加する前の芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度を全末端に対して20モル%以上、好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上に制御することが好ましい。かくすることにより、特定の末端基を高い割合で導入でき、芳香族ポリカーボネート樹脂の改質効果を高めることができる。通常は、芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度が、全末端のうち水酸基が30〜95モル%の範囲の芳香族ポリカーボネート樹脂に末端封鎖剤を用いることが有利である。また、末端封鎖剤を添加する前の芳香族ポリカーボネート樹脂水酸基の末端割合は、原料である二価フェノールとジフェニルカーボネートの仕込み比によってコントロールすることができる。ここで芳香族ポリカーボネート樹脂の一定量における末端水酸基濃度のモル数は、常法により1H―NMRにより決定できる。
【0021】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は、全末端に対して0〜40モル%、好ましくは0〜18モル%、さらに好ましくは0〜9モル%、最も好ましくは0〜7モル%に制御することが好ましい。ここで0モル%とは1H―NMR法で測定した時、検出不可能を表す。末端水酸基濃度がかかる範囲にあると、湿熱疲労性、面衝撃性が更に向上する。
【0022】
本発明では、芳香族ポリカーボネート樹脂中の触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好ましい。この失活剤の具体例としては、例えばベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニルなどのスルホン酸エステル;さらに、トリフルオロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホン化ポリスチレン、アクリル酸メチル‐スルホン化スチレン共重合体、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−ブチル、オクチルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、デシルアンモニウムブチルサルフェート、デシルアンモニウムデシルサルフェート、ドデシルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルジメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、テトラデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、テトラメチルアンモニウムヘキシルサルフェート、デシルトリメチルアンモニウムヘキサデシルサルフェート、テトラブチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラメチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート等の化合物を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの化合物を二種以上併用することもできる。
【0023】
失活剤の中でホスホニウムもしくはアンモニウム塩型の失活剤はそれ自身200℃以上でも特に安定である。そしてその失活剤を芳香族ポリカーボネート樹脂に添加した場合すみやかに重縮合反応触媒を中和し、目的とする芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることができる。即ち、重合封鎖反応後に生成するポリカーボネートに対し、失活剤を好ましくは0.01〜500ppmの割合で、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用される。
【0024】
また、かかる失活剤は、重縮合反応触媒に対する割合では、重縮合反応触媒1モル当り0.5〜50モルの割合で用いるのが好ましい。失活剤を末端封鎖後の芳香族ポリカーボネート樹脂に添加する方法には特に限定されない。例えば、反応生成物である芳香族ポリカーボネート樹脂が溶融状態にある間にこれらを添加してもよいし、一旦芳香族ポリカーボネート樹脂をペレタイズした後再溶融して添加してもよい。前者においては、末端封鎖反応が終了して得られる溶融状態にある反応器内または押出機内の反応生成物である芳香族ポリカーボネート樹脂が溶融状態にある間に、これらを添加して芳香族ポリカーボネート樹脂を形成した後、押出機を通してペレタイズしてもよいし、また、重合封鎖反応で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂が反応器から押出機を通ってペレタイズされる間に、失活剤を添加して混練することによって芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることができる。
【0025】
本発明の溶融重合された芳香族ポリカーボネート樹脂では、その反応を促進するために重合触媒を用いた場合は、重合反応後にも重合触媒が残存することが多い。この残存した触媒を重合反応終了後、そのまま放置すると重合触媒の触媒活性により芳香族ポリカーボネート樹脂の分解や再反応が起こる弊害がある。更にかかる残存触媒活性のある芳香族ポリカーボネート樹脂と繊維状充填材との芳香族ポリカーボネート樹脂組成物ではその影響が拡大される上に、面衝撃性の低下等の新たな問題が発生することがあり、かかる残存触媒活性を抑制することが好ましい。
【0026】
残存触媒活性を抑制する指標として残存触媒活性指数を用いて、以下の要領で測定する。測定機器として、測定対象となるサンプルの溶融粘度範囲の測定が可能な回転型のレオメーターを使用し、サンプルが外部の酸素により酸化しないよう、十分な窒素気流中、測定する樹脂が溶融する一定温度の条件下で、サンプルを一定方向かつ一定の角速度で回転させ、その際の溶融粘度変化を観察する。サンプルを測定する際の粘弾性測定器の治具は、サンプル全体の歪みが一定となるよう、すなわち剪断速度が一定となるよう円錐円板形のものを使用する。即ち、下記式(i)により計算した1分間当たりの溶融粘度変化を残存触媒活性指数とした。
【0027】
【数1】
Figure 0004010669
【0028】
この残存触媒活性指数は、2%以下で好ましく、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.2%以下である。残存触媒活性指数がこの範囲であると芳香族ポリカーボネート樹脂が経時変化が少なく、好ましい。
【0029】
本発明の溶融重合された芳香族ポリカーボネート樹脂では、その相対蛍光強度を4×10-3以下に抑えることが肝要である。この相対蛍光強度が4×10-3を越えると、芳香族ポリカーボネート樹脂と繊維状充填材との芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では、面衝撃性の低下等の新たな問題が発生する。この相対蛍光強度は3×10-3以下が好ましく、最も好ましくは2×10-3以下である。
【0030】
このような芳香族ポリカーボネート樹脂の熱分解、および機械的分解が少ない蛍光強度が特定値以下の芳香族ポリカーボネートを得るためには、下記のようにエステル交換触媒の量を規定すること、該エステル交換触媒をスルホン酸系化合物により失活すること、ポリカーボネートの分子末端についてヒドロキシ基の全分子末端にしめる割合を規定すること、および芳香族ポリカーボネートの分子末端を封止することが好ましい。
【0031】
また溶融重縮合反応における芳香族ポリカーボネート樹脂温度を常に255℃以下に保つことが、熱分解、および機械的分解が少ない蛍光強度が特定値以下の芳香族ポリカーボネートを得るために好ましい。
【0032】
また重合釜撹拌翼の撹拌について、下記式
撹拌剪断速度=撹拌翼の周速/反応釜と撹拌翼の隙間の長さ
[ここで撹拌剪断速度の単位は1/sec、撹拌翼の周速の単位はcm/sec撹拌翼の隙間の長さの単位はcmである]
で表される重合釜撹拌翼の撹拌剪断速度(単位:1/sec)を撹拌翼半径(単位;cm)の2乗で割った数値を0.1〜0.001(1/sec×cm2)とすることが、熱分解、および機械的分解が少ない蛍光強度が特定値以下の芳香族ポリカーボネートを得るために好ましい。
【0033】
これらの芳香族ポリカーボネートの製造における触媒系については、塩基性窒素化合物と、アルカリ金属化合物を併用し、アルカリ金属化合物の使用量をビスフェノールA1モル当り5.0×10-6モル以下に抑えることによりエステル交換反応も、工業的に有利に進み、流動性、色調良好なポリカーボネートを得ることができる。
【0034】
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で12,000〜30,000が好ましく、14,000〜27,000がより好ましく、15,000〜25,000が特に好ましい。かかる粘度平均分子量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂は、組成物として十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好であり成形歪みが発生せず好ましい。本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mLにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
【0035】
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に用いる繊維状充填材としては、ガラス繊維、ワラストナイト、カーボン繊維である。
【0036】
本発明で使用するガラス繊維は、Aガラス、Cガラス、Eガラス等のガラス組成を特に限定するものでなく、場合によりTiO2、Zr2O、BeO、CeO2、SO3、P25等の成分を含有するものであってもよい。但しより好ましくは、Eガラス(無アルカリガラス)が芳香族ポリカーボネート樹脂に悪影響を及ぼさない点で好ましい。かかるガラス組成については、以下に示すガラスミルドファイバーにおいても同様である。本発明のガラス繊維は溶融ガラスを種々の方法にて延伸しながら急冷し、所定の繊維状にしたものである。かかる場合の急冷および延伸条件についても特に限定されるものでない。また断面の形状は一般的な真円状の他に、真円状の繊維を平行に重ね合わせたものに代表される各種の異形断面形状のものを使用してもよい。さらに真円状と異形断面形状の混合したガラス繊維であってもよい。かかるガラス繊維は、平均繊維径が1〜25μm、好ましくは5〜17μmである。平均繊維径が1μm未満のガラス繊維を使用したのでは、成形加工性がそこなわれ、平均繊維径が25μmより大きいガラス繊維を使用したのでは、外観が損なわれ、補強効果も十分ではない。
【0037】
かかるガラス繊維に導電性等を付与するために、繊維表面に金属コートを施しうる。この金属コートガラス繊維の直径は6〜20μmが特に好ましい。金属コートガラス繊維は、ガラス繊維に公知のメッキ法及び蒸着法等でニッケル、銅、コバルト、銀、アルミニウム、鉄等及びこれらの合金等の金属をコーティングしたものである。かかる金属は導電性、耐食性、生産性、更に経済性の観点からニッケル、銅及びコバルトから選ばれる1種または2種以上の金属が好ましい。
【0038】
これらの繊維は、現在公知のエポキシ系、ウレタン系、アクリル系などの各種化合物により集束処理することができ、また後述するシランカップリング剤等で表面処理されたものが好ましい。またこれら繊維の成形品中の平均繊維長は200〜400μm程度である。
【0040】
本発明でいうワラストナイトとは、珪酸カルシウムを主成分とする繊維状無機充填材は針状結晶をもつ天然白色鉱物であり、実質的に化学式CaSiO3で表わされ、通常SiO2が約50重量%、CaOが約47重量%、その他Fe23、Al23等を含有しており、比重は約2.9である。本発明において用いるワラストナイトとしては、粒子径分布において3μm以上が75%以上、10μm以上が5%以下で且つアスペクト比L/Dが3以上、特にL/Dが8以上であるものが好ましい。粒子径分布において3μm以上が75%以上の場合、補強効果が十分であり、剛性がより高くなり易い。また10μm以上が5%以下の場合は、良好な衝撃強度を有する一方、得られる成形品の表面外観もより良好となり易い。特にアスペクト比が8以上の場合は、補強効果が十分であり、より高い剛性が得られる。但し作業環境面を考慮し、アスペクト比が50以下であるものがより好ましい。また、かかるワラストナイトには、通常の表面処理剤、例えば後述するシラン系カップリング剤や、チタネート系カップリング剤等のカップリング剤で表面処理を施しても差し支えない。
【0041】
本発明で使用するカーボン繊維は、特に制限がなく公知の各種炭素繊維、例えばポリアクリロニトリル、ピッチ、レーヨン、リグニン、炭化水素ガス等を用いて製造される炭素質繊維や黒鉛質繊維であり、特に繊維強度に優れるポリアクリロニトリル系の炭素繊維が好ましい。また炭素繊維は繊維表面をオゾン、プラズマ、硝酸、電解等に代表される現在公知の方法により酸化処理することも可能であり、樹脂成分との密着性を増加するため好ましく行われる。炭素繊維は通常チョップドストランド、ロービングストランド、ミルドファイバーなどの形状である。
【0042】
かかる炭素繊維に導電性等を付与するために、繊維表面に金属コートを施しうる。金属コート炭素繊維の直径は6〜20μmが特に好ましい。金属コート炭素繊維は、炭素繊維に公知のメッキ法及び蒸着法等でニッケル、銅、コバルト、銀、アルミニウム、鉄等及びこれらの合金等の金属をコーティングしたものである。かかる金属は導電性、耐食性、生産性、更に経済性の観点からニッケル、銅及びコバルトから選ばれる1種または2種以上の金属が好ましく、特に好ましくはニッケルコート炭素繊維である。
【0043】
またこれらの炭素繊維は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等の各種のサイジング剤で集束されたものが好適に使用でき、好ましくはエポキシ樹脂および/またはウレタン樹脂が挙げられる。
【0044】
本発明で使用する金属系導電性繊維は、特に制限する必要はなく、金属繊維や金属コート繊維をいい、例えばステンレス繊維、アルミニウム繊維、銅繊維、黄銅繊維等の金属繊維等があげられる。これらは二種以上併用することもできる。金属繊維の直径は4〜80μmが好ましく、6〜60μmが特に好ましい。かかる導電性繊維はシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等で表面処理されていてもよい。またオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等で集束処理されていてもよい。これらの繊維状充填材は単独でまたは2種以上を併用してもよい。
【0045】
かかる繊維状充填材はシランカップリング剤等で表面処理されているものが好ましい。この表面処理により、芳香族ポリカーボネート樹脂の分解が抑制されるとともに、密着性をより向上させることにより、本発明の目的である湿熱疲労性や面衝撃性をより良好なものとすることができる。ここでいうシランカップリング剤とは下記式
【0046】
【化1】
Figure 0004010669
【0047】
[ここでYはアミノ基、エポキシ基、カルボン酸基、ビニル基、メルカプト基、ハロゲン原子等の樹脂マトリックスと反応性または親和性を有する基、R1、R2、R3はそれぞれ単結合または炭素数1〜7のアルキレン基を表わし、そのアルキレン分子鎖中に、アミド結合、エステル結合、エーテル結合あるいはイミノ結合が介在してもよく、X1、X2、X3はそれぞれアルコキシ基好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子]で表わされるシラン化合物をいい、具体的には、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランおよびγ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0048】
本発明における繊維状充填材の配合割合は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重両部に対して、5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部である。5重量部未満だと、組成物の剛性が不十分であり、200重量部を超えると、得られる組成物の押出が困難であり、実用的でない。
【0049】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、成形時における分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトおよびベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。これらの熱安定剤は、単独でもしくは2種以上混合して用いてもよい。かかる熱安定剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.1重量部が更に好ましい。
【0050】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配合することもできる。かかる酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.0001〜0.05重量部が好ましい。
【0051】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。かかる離型剤としては、オレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル、パラフィンワックス、蜜蝋等が挙げられる。かかる離型剤の配合量は、A成分の芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.01〜2重量部が好ましい。
【0052】
オレフィン系ワックスとしては、特にポリエチレンワックスおよび/または1−アルケン重合体の使用が好ましくきわめて良好な離型効果が得られる。ポリエチレンワックスとしては現在一般に広く知られているものが使用でき、エチレンを高温高圧下で重合したもの、ポリエチレンを熱分解したもの、ポリエチレン重合物より低分子量成分を分離精製したもの等が挙げられる。また分子量、分岐度等は特に制限されるものではないが、分子量としては数平均分子量で1,000以上が好ましい。更にポリエチレンワックスをマレイン酸および/または無水マレイン酸で変性したタイプも使用できる。1−アルケン重合体としては炭素数5〜40の1−アルケンを重合したものが使用でき、更にマレイン酸および/または無水マレイン酸を同時に共重合したタイプも使用できる。マレイン酸および/または無水マレイン酸を同時に共重合したタイプでは摺動性向上効果と共に、衝撃強度が向上する特徴がある。1−アルケン重合体の分子量としては数平均分子量で1,000以上が好ましい。かかる場合には強度を維持しながら良好な離型性が得られる。
【0053】
高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価又は多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルであるのが好ましい。かかる一価又は多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられ、なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレートが好ましく用いられる。
【0054】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、光安定剤を配合することができる。かかる光安定剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)等が挙げられる。かかる光安定剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部が好ましい。
【0055】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、帯電防止剤を配合することができる。かかる帯電防止剤としては、例えばポリエーテルエステルアミド、グリセリンモノステアレート、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、無水マレイン酸モノグリセライド、無水マレイン酸ジグリセライド等が挙げられる。
【0056】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない量の難燃剤を配合することができる。難燃剤としては、ハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤、有機塩系難燃剤、芳香族リン酸エステル系難燃剤、あるいは、ハロゲン化芳香族リン酸エステル型難燃剤等があげられ、それらを一種以上配合することができる。具体的にハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤は、テトラクロロビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤、テトラクロロビスフェノールAとビスフェノールAとの共重合ポリカーボネート型難燃剤テトラブロモビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤、テトラブロモビスフェノールAとビスフェノールAとの共重合ポリカーボネート型難燃剤等である。具体的に有機塩系難燃剤は、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸カリウム、ビス(2,6−ジブロモ−4−クミルフェニル)リン酸カリウム、ビス(4−クミルフェニル)リン酸ナトリウム、ビス(p−トルエンスルホン)イミドカリウム、ビス(ジフェニルリン酸)イミドカリウム、ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)リン酸カリウム、ビス(2,4−ジブロモフェニル)リン酸カリウム、ビス(4−ブロモフェニル)リン酸カリウム、ジフェニルリン酸カリウム、ジフェニルリン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウムあるいはカリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウムあるいはカリウム等である。具体的にハロゲン化芳香族リン酸エステル型難燃剤は、トリス(2,4,6−トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(2,4−ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(4−ブロモフェニル)ホスフェート等である。具体的に芳香族リン酸エステル系難燃剤は、トリフェニルホスフェート、トリス(2,6−キシリル)ホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)レゾルシンジホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)ヒドロキノンジホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)−4,4’−ビフェノールジホスフェート、テトラフェニルレゾルシンジホスフェート、テトラフェニルヒドロキノンジホスフェート、テトラフェニル−4,4’−ビフェノールジホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンとフェノールでありフェノール性OH基を含まない芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンとフェノールでありフェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがヒドロキノンとフェノールでありフェノール性OH基を含まない芳香族ポリホスフェート、同様のフェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェート、(以下に示す「芳香族ポリホスフェート」は、フェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェートと含まない芳香族ポリホスフェートの両方を意味するものとする)芳香環ソースがビスフェノールAとフェノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがテトラブロモビスフェノールAとフェノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがヒドロキノンと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがビスフェノールAと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがテトラブロモビスフェノールAと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート等である。
【0057】
これらの難燃剤の中で、ハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤として、テトラブロモビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤、テトラブロモビスフェノールAとビスフェノールAとの共重合ポリカーボネートが好ましく、更にテトラブロモビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤が好ましい。有機塩系難燃剤としてはジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。芳香族リン酸エステル系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルフスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、レズルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ビス(2,3ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(2,3ジブロモプロピル)ホスフェートが好ましい。これらの中でも、オゾン層破壊しない芳香族リン酸エステル系難燃剤であるトリフェニルホスフェート、トリクレジルフスフェート、レズルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)が最も好ましい。
【0058】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、他の樹脂やエラストマーを本発明の目的が損なわれない範囲で、すなわち極めて少割合であれば配合することもできる。
【0059】
かかる他の樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
【0060】
また、エラストマーとしては、例えばイソブチレン/イソプレンゴム、スチレン/ブタジエンゴム、エチレン/プロピレンゴム、アクリル系エラストマー、シリコーンゴム、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、コアシェル型のエラストマーであるMBS(メタクリル酸メチル/スチレン/ブタジエン)ゴム、MAS(メタクリル酸メチル/アクリロニトリル/スチレン)ゴム等が挙げられる。
【0061】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法が適宜用いられる。こうして得られる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、そのまま又は溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等の通常知られている方法で成形品にすることができる。なお、芳香族ポリカーボネート樹脂への配合成分の分散を高めて安定した離型性や各物性を得るためには、溶融押出において二軸押出機を使用するのが好ましい。更に本発明の繊維状充填材は直接押出機ホッパー口あるいは押出機途中から投入する方法、芳香族ポリカーボネート樹脂と予め混合する方法、一部の芳香族ポリカーボネート樹脂と予め混合してマスターを作成し投入する方法、かかるマスターを押出機途中から投入する方法のいずれの方法も取ることができる。
【0062】
かくして得られた本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、パソコン、ワープロ、ファクス、コピー機、プリンター等のOA機器のハウジング及びシャーシ、CD−ROMのトレー、シャーシー、ターンテーブル、ピックアップシャーシ、各種ギア等のOA内部部品、テレビ、ビデオ、電気洗濯機、電気乾燥機、電気掃除機等の家庭電器製品のハウジングや部品、電気鋸、電動ドリル等の電動工具、望遠鏡鏡筒、顕微鏡鏡筒、カメラボディ、カメラハウジング、カメラ鏡筒等の光学機器部品、ドアーハンドル、ピラー、バンパー、計器パネル等の自動車用部品に有用である。
【0063】
中でも本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂とガラス繊維からなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、その強度、剛性、寸法精度の良さの点でパソコン、ワープロ、ファクス、コピー機、プリンター等のOA機器のハウジング及びシャーシ、CD−ROMのトレー、シャーシー、ターンテーブル等のOA内部部品、テレビ、ビデオ、電気洗濯機、電気乾燥機、電気掃除機等の家庭電器製品のハウジングや部品、電動ドリル等の電動工具、望遠鏡鏡筒、顕微鏡鏡筒、カメラボディ、カメラハウジング、カメラ鏡筒等の光学機器部品に有用である。
【0064】
また、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂とカーボン繊維からなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、ガラス繊維と比べて高剛性、軽量性(低比重)及び高い寸法精度の点からパソコン、ワープロ、ファクス、コピー機、プリンター等のOA機器のハウジング及びシャーシ、カメラボディ、カメラ鏡筒、レーザービームプリンターの内部部品等の光学機器部品等に有用である。
【0065】
更に、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂とワラストナイトからなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、ガラス繊維と比べて適度な剛性、寸法安定性、表面外観性(平滑性)の点でパソコン、ワープロ、ファクス、コピー機、プリンター等のOA機器のハウジング、CD−ROMのトレー、シャーシー、ターンテーブル、等のOA内部部品、テレビ、ビデオ、電気洗濯機、電気乾燥機、電気掃除機等の家庭電器製品のハウジングや部品、望遠鏡鏡筒、顕微鏡鏡筒、カメラボディ、カメラハウジング、カメラ鏡筒等の光学機器部品、ドアーハンドル、ピラー、バンパー、計器パネル等の自動車用部品に有用である。
【0066】
【実施例】
以下に実施例をあげて更に説明する。実施例中の「部」または「%」は重量部または重量%を示し、また評価項目および組成物中の各成分の記号は下記の内容を意味する。
【0067】
(I)評価項目
(1)相対蛍光強度
下記条件により測定した芳香族ポリカーボネート樹脂の465nmにおける蛍光強度を基準物質の蛍光強度を測定し、その比(相対蛍光強度=芳香族ポリカーボネート樹脂の蛍光強度/基準物質の蛍光強度)を計算した。
Figure 0004010669
【0068】
(2)残存触媒活性指数
残存触媒活性量は以下のように測定した。サンプルは測定前に120℃、4時間の減圧乾燥を行い測定に供した。測定機としてレオメトリックス(株)製RDA−II型粘弾性測定器を使用し、直径25mmの円錐円板型の治具を装着し、測定中サンプルの本機器の適正条件を満足した窒素気流中、測定温度である270℃に設定した。測定温度はオーブン内の温度を測定することにより設定した。その後乾燥した測定用サンプルをセットし、サンプル全体が十分に測定温度となるよう静置の後、その後角速度1rad/秒の回転をすることで測定を開始し、これを30分間続け、その間の溶融粘度の変化を観察した。この測定より回転開始後5分後及び30分後の溶融粘度を求め、それらの値を下記式(i)より計算することにより、1分間当たりの溶融粘度変化を残存触媒活性指数として表した。
【0069】
【数2】
Figure 0004010669
【0070】
(3)末端水酸基濃度
サンプル0.02gを0.4mlのクロロホルムに溶解し、20℃で1H−NMR(日本電子社製EX−270)を用いて末端水酸基および末端フェニル基を測定し、下記式(ii)により末端水酸基濃度を測定した。
末端水酸基濃度(モル%)=(末端水酸基数/全末端数)×100 …(ii)
【0071】
(4)湿熱疲労性
図1に示したいわゆるC型の測定用サンプルを用いて、80℃、90%RHの雰囲気で、正弦波で振動数1Hz、最大荷重5kgの条件で、以下の疲労試験機[(株)島津製作所製 島津サーボパルサー EHF−EC5型]を用いて、測定用サンプルが破断するまでの回数を測定した。
【0072】
(5)面衝撃性
縦15cm、横15cm、厚み2mmの測定用の角板を用いて、JIS K−7211の試験方法に従い、以下の条件にて測定した。
おもり:直径約63mm、重量1kgの球形
試験温度:40℃
5cm間隔でおもりの落下させる高さを上げて、測定用の角板におもりを落下させ試験片にクラックが発生する高さ(cm)を測定した。
【0073】
(6)剛性
ASTM D790により、曲げ弾性率を測定した。
(7)引張強度
ASTM D638に従い、引張試験を実施し、引張破断強度を測定した。
(8)ノッチ付衝撃値
ASTM D256により厚み3.2mmの試験片を用いノッチ側からおもりを衝撃させ衝撃値を測定した。
(9)比重
JIS K7112に従い、比重を測定した。
【0074】
(II)組成物中の各成分の記号
(a)芳香族ポリカーボネート樹脂
▲1▼EX−PC(本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造)
ビスフェノールA、228重量部、ジフェニルカーボネート220重量部及びエステル交換触媒;ビスフェノールAのNa2塩(1.36×10-5重量部;Naとして0.1μmol/1molビスフェノールA)及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(9.1×10-3重量部;100μmol/1molビスフェノールA)を撹拌装置、蒸留塔及び減圧装置を備えた反応槽に仕込み窒素置換した後、140℃で溶解した.30分間撹拌後、内温を180℃に昇温し、内圧100mmHg30分間反応させ、生成するフェノールを溜去した。ついで内温を200℃に昇温しつつ徐々に減圧し50mmHgで30分間フェノールを溜去しつつ反応させた。更に220℃、30mmHgまで徐々に昇温、減圧し、同温度、同圧下で30分間、更に、240℃、10mmHg、250℃、1mmHgまで上記と同じ手順で昇温、減圧を繰り返し反応を続行した.
最終的に250〜255℃で(常に255℃以下に保つよう留意した)、また重合釜撹拌翼の撹拌剪断速度(単位:1/sec)を撹拌翼半径(単位;cm)の2乗で割った数値を0.001(1/sec×cm2)に保ちつつポリカーボネートの重縮合を継続した。
【0075】
重縮合終了後末端停止剤として2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート3.1部を添加した。その後255℃、1Torr以下で10分間末端封鎖反応を行った。次に溶融状態のままで、触媒失活剤としてドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を0.00029部(5×10-7モル/ビスフェノール1モル)添加して255℃、10Torr以下で反応を継続し、粘度平均分子量23300、末端水酸基濃度6モル%、相対蛍光強度1×10-3及び触媒失活指数0.03の芳香族ポリカーボネート樹脂を得た。この芳香族ポリカーボネート樹脂をギアポンプでエクストルーダーに送った。エクストルーダー途中でトリスノニルフェニルホスファイトを0.003重量%、トリメチルホスフェートを0.05重量%加え、芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを得た。
【0076】
▲2▼CEX−PC(比較のための芳香族ポリカーボネート樹脂の製造)
ビスフェノールA、228重量部、ジフェニルカーボネート220重量部及びエステル交換触媒;ビスフェノールAのNa2塩(1.36×10-3重量部;Naとして10μmol/1molビスフェノールA)及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(9.1×10-3重量部;100μmol/1molビスフェノールA)を撹拌装置、蒸留塔及び減圧装置を備えた反応槽に仕込み窒素置換した後、140℃で溶解した.30分間撹拌後、内温を180℃に昇温し、内圧100mmHg30分間反応させ、生成するフェノールを溜去した。ついで内温を200℃に昇温しつつ徐々に減圧し50mmHgで30分間フェノールを溜去しつつ反応させた。更に220℃、30mmHgまで徐々に昇温、減圧し、同温度、同圧下で30分間、更に、240℃、10mmHg、250℃、1mmHgまで上記と同じ手順で昇温、減圧を繰り返し反応を続行した.
最終的に280℃〜285℃でカボネートの重縮合を継続しつつポリマーを得た。この芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量23000、末端水酸基濃度50モル%、相対蛍光強度6×10-3及び触媒失活指数3.1であった。
【0077】
(b)充填材
▲1▼ガラス繊維:チョップドストランドECS−03T−511;日本電気硝子(株)製、ウレタン集束処理、繊維径13μm。
【0078】
▲2▼カーボン繊維:ベスファイトHTA−C6−U;東邦レーヨン(株)製、PAN系、エポキシ集束処理、繊維系7μm。
【0079】
▲3▼ワラストナイト:サイカテックNN−4;巴工業(株)製、平均粒径D=4μm、3μm以上の粒子系分布が82.5%及び10μm以上の粒子系分布が0.7%、アスペクト比L/D=20
【0080】
[実施例1〜3、比較例1及び2]
上記で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂及び表1記載の各成分を、タンブラーを使用して均一に混合した後、30mmφベント付き二軸押出機(神戸製鋼(株)製KTX−30)により、シリンダー温度270℃、10mmHgの真空度で脱気しながらペレット化し、得られたペレットを120℃で5時間乾燥後、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG150U型)を使用して、シリンダー温度330℃、金型温度100℃の条件で測定用の成形板を作成した。
【0081】
表1から明らかな如く本発明の実施例である相対蛍光強度を有する芳香族ポリカーボネート樹脂とガラス繊維からなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、比較例の相対蛍光強度の高い芳香族ポリカーボネート樹脂を用いたものに比較して、ガラス繊維を含有した樹脂組成物本来期待される特性が優る上に更に湿熱疲労性、面衝撃性が特に優れている。
【0082】
【表1】
Figure 0004010669
【0083】
[実施例4〜6、比較例3及び4]
上記で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂及び表2記載の各成分を、タンブラーを使用して均一に混合した後、以下実施例1と同様な方法で測定用の成形板を作成した。
【0084】
表2から明らかな如く本発明の実施例である相対蛍光強度を有する芳香族ポリカーボネート樹脂とカーボン繊維からなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、比較例の相対蛍光強度の高い芳香族ポリカーボネート樹脂を用いたものに比較して、カーボン繊維を含有した樹脂組成物本来期待される特性が優る上に更に湿熱疲労性、面衝撃性が特に優れている。
【0085】
【表2】
Figure 0004010669
【0086】
[実施例7〜9、比較例5及び6]
上記で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂及び表3記載の各成分を、タンブラーを使用して均一に混合した後、以下実施例1と同様な方法で測定用の成形板を作成した。
【0087】
表3から明らかな如く本発明の実施例である相対蛍光強度を有する芳香族ポリカーボネート樹脂とワラストナイトからなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、比較例の相対蛍光強度の高い芳香族ポリカーボネート樹脂を用いたものに比較して、ワラストナイトを含有した樹脂組成物本来期待される特性が優る上に更に湿熱疲労性、面衝撃性が特に優れている。
【0088】
【表3】
Figure 0004010669
【0089】
【発明の効果】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂が本来有する特性を生かし、且つ繊維状充填材を加えることで剛性等の特性を向上させた上、湿熱疲労性や面衝撃性に優れた繊維状充填材を含有した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】湿熱疲労性を評価するために使用した、いわゆるC型サンプルの正面図である。なおサンプルの厚みは3mmである。符号6で示される孔の部分に試験機の治具を通し、符号7で示される垂直方向に所定の荷重をかけて試験を行う。
【符号の説明】
1 C型形状の二重円の中心
2 二重円の内側円の半径(20mm)
3 二重円の外側円の半径(30mm)
4 治具装着用孔の位置を示す中心角(60°)
5 サンプル端面の間隙(13mm)
6 治具装着用孔(直径4mmの円であり、サンプル幅の中央に位置する)
7 疲労試験時におけるサンプルに課される荷重の方向

Claims (5)

  1. (A)蛍光スペクトルを測定したとき(励起波長320nm)、基準物質に対する465nmにおける相対蛍光強度が4×10−3以下であり、且つ二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶融法で反応させて得られた芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部、(B)繊維状充填材がガラス繊維、カーボン繊維またはワラストナイトである繊維状充填材5〜200重量部、ならびに亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステルから選ばれる単独もしくは2種以上の熱安定剤0.0001〜1重量部からなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. カーボネート前駆体がジフェニルカーボネートである請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度が、全末端に対して0〜40モル%である請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 二価フェノールとカーボネート前駆体とを、アルカリ金属化合物および/または含窒素塩基性化合物よりなる重合触媒を用いて、重合釜内で下記条件を満足するように撹拌して溶融反応させる方法により、蛍光スペクトルを測定したとき(励起波長320nm)、基準物質に対する465nmにおける相対蛍光強度が4×10 −3 以下である芳香族ポリカーボネート樹脂を得て、該芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、繊維状充填材がガラス繊維、カーボン繊維またはワラストナイトである繊維状充填材5〜200重量部、ならびに亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステルから選ばれる単独もしくは2種以上の熱安定剤0.0001〜1重量部を配合することを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
    重合釜撹拌翼の撹拌条件;撹拌剪断速度=撹拌翼の周速/反応釜と撹拌翼の隙間の長さ[ここで撹拌剪断速度の単位は1/sec、撹拌翼の周速の単位はcm/sec、撹拌翼の隙間の長さの単位はcmである]で表される重合釜撹拌翼の撹拌剪断速度(単位:1/sec)を撹拌翼半径(単位 ; cm)の2乗で割った数値が0.1〜0.001(1/sec×cm )の範囲
  5. 二価フェノールとカーボネート前駆体との溶融反応温度を255℃以下とする請求項4記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
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