JP2000169687A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2000169687A
JP2000169687A JP10343980A JP34398098A JP2000169687A JP 2000169687 A JP2000169687 A JP 2000169687A JP 10343980 A JP10343980 A JP 10343980A JP 34398098 A JP34398098 A JP 34398098A JP 2000169687 A JP2000169687 A JP 2000169687A
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Japan
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bis
component
copolymer
styrene
hydroxyphenyl
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JP10343980A
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English (en)
Inventor
Toshimasa Tokuda
俊正 徳田
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリカーボネート共重合体とスチレン系樹脂
が本来有する耐衝撃性、成形加工性などの特性を生か
し、且つ、湿熱疲労性、湿熱強度保持率に優れたポリカ
ーボネート共重合体とスチレン系樹脂からなる熱可塑性
樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 (A)全芳香族ジヒドロキシ成分の少な
くとも80モル%が(a)1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
(成分a)および(b)4,4’−(m−フェニレンジ
イソプロピリデン)ジフェノールおよび/または2,2
−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパ
ン(成分b)からなり、且つ成分aと成分bの割合が、
モル比で99:1〜20:80の範囲で構成されたポリ
カーボネート共重合体1〜99重量%および(B)スチ
レン系樹脂99〜1重量%からなる熱可塑性樹脂組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は湿熱疲労性、湿熱強
度保持率、成形加工性に優れたポリカーボネート共重合
体とスチレン系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物に関す
る。更に詳しくは、ポリカーボネート共重合体とスチレ
ン系樹脂が本来有する耐衝撃性、成形加工性などの特性
を維持し、且つ、湿熱疲労性、湿熱強度保持率に優れた
ポリカーボネート共重合体とスチレン系樹脂からなる熱
可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃
性などの機械的特性に優れ、しかも耐熱性、透明性など
にも優れており、広く用いられている。このような芳香
族ポリカーボネート樹脂の製造方法としては、ビスフェ
ノールAなどの二価フェノールにホスゲンを直接反応さ
せる方法(界面重合法)、あるいはビスフェノールなど
の二価フェノールとジフェニルカーボネートなどのジア
リルカーボネートとを溶融状態でエステル交換反応させ
重合する方法(以下、溶融法と称することがある。)な
どが知られている。
【0003】また、芳香族ポリカーボネート樹脂とスチ
レン系樹脂とからなる熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃
性、成形加工性に優れる材料として種々の研究がなさ
れ、自動車分野、OA分野などの種々の分野に幅広く使
用されている。かかる芳香族ポリカーボネート樹脂とし
てはビスフェノールAからのポリカーボートが一般的に
実用化されている。
【0004】特公平7−98892号公報には芳香族ポ
リカーボネート樹脂とABS樹脂から熱可塑性樹脂組成
物が記載されている。該特許で使用の芳香族ポリカーボ
ネート樹脂は実質的にビスフェノールAからの芳香族ポ
リカーボネート樹脂でありウエルド強度に優れているこ
とが開示されている。しかしながら、かかる組成物に使
用されているビスフェノールAからの芳香族ポリカーボ
ネート樹脂は吸水率が高く溶融安定性も十分とは言い難
いものであり、湿熱疲労性に劣る欠点を有していた。よ
って機械的強度、湿熱疲労性などが要求される自動車部
品(アウタードアハンドル、インナードアハンドルな
ど)や機械部品(電動工具カバーなど)等への使用には
十分な注意が必要であり、かかる要求を満足する材料は
これまで得られていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
カーボネート共重合体とスチレン系樹脂が本来有する耐
衝撃性などの特性を維持し、且つ、湿熱疲労性、湿熱強
度保持率に優れたポリカーボネート共重合体とスチレン
系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物を提供することにあ
る。我々はかかる樹脂組成物を鋭意検討した結果、特定
のポリカーボネート共重合体を用いることで、本発明を
完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)全芳香
族ジヒドロキシ成分の少なくとも80モル%が(a)
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサン(成分a)および(b)
4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフ
ェノールおよび/または2,2−ビス(4−ヒドロキシ
−3−メチルフェニル)プロパン(成分b)からなり、
且つ成分aと成分bの割合がモル比で99:1〜20:
80の範囲で構成されたポリカーボネート共重合体1〜
99重量%および(B)スチレン系樹脂99〜1重量%
からなる熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0007】本発明で使用される(A)ポリカーボネー
ト共重合体は、全芳香族ジヒドロキシ成分の少なくとも
80モル%が(a)1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビス
フェノールTMCと略称)(成分a)および(b)4,
4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノ
ール(ビスフェノールMと略称)および/または2,2
−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパ
ン(ビスフェノールCと略称)(成分b)からなり、且
つ成分aと成分bの割合がモル比で99:1〜20:8
0の範囲で構成されたポリカーボネート共重合体であ
る。本発明のポリカーボネート共重合体は芳香族ジヒド
ロキシ成分として前記ビスフェノールTMCを一定割合
使用することが必要であり、特に吸水率を0.2重量%
以下、好ましくは0.18重量%以下とするために、前
記ビスフェノールTMCに対して特定のジヒドロキシ成
分を組み合わせてポリカーボネート共重合体とすること
であり、末端基にある特定構造の末端改質剤を導入して
もよい。
【0008】本発明者の研究によれば、前記ビスフェノ
ールTMCに対して、ある特定のジヒドロキシ成分を組
み合わせて得られたポリカーボネート共重合体とスチレ
ン系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物は、特に湿熱疲労
性に優れていることが見出された。このことは特定のポ
リカーボネート樹脂の吸水率が低く、且つ曲げ弾性率が
高いことに由来すると考えられる。前記ポリカーボネー
ト共重合体の好ましい態様の1つは、成分aがビスフェ
ノールTMCであり、且つ成分bがビスフェノールMで
ある組み合わせであり、その場合成分a:成分bの割合
がモル比で99:1〜80:20であり、20:80〜
80:20が好ましく、更に好ましくは30:70〜8
0:20、特に40:60〜70:30の範囲であるの
がより好ましい。また好ましい他の態様は、成分aがビ
スフェノールTMCであり、且つ成分bがビスフェノー
ルCの組み合わせであり、その場合成分a:成分bの割
合がモル比で99:1〜80:20であり、20:80
〜80:20が好ましく、更に好ましくは30:70〜
80:20、特に40:60〜70:30の範囲である
のがより好ましい。これらの好ましい態様において、成
分aと成分bの合計は、全芳香族ジヒドロキシ成分中、
少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも90モル
%であるのが有利である。すなわち他のジヒドロキシ成
分(成分c)を全芳香族ジヒドロキシ成分当たり20モ
ル%未満、好ましくは10モル%未満含有していても特
に差し支えない。
【0009】かかる成分cとしては、通常芳香族ポリカ
ーボネート樹脂のジヒドロキシ成分として使用されてい
る成分aおよび成分b以外の成分であればよく、例え
ば、ハイドロキノン、レゾルシノール、1,6−ジヒド
ロキシナフタリン、2,6−ジヒドロキシナフタリン、
4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−1−フェニルメタン、ビス{(4−ヒドロ
キシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルメタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通
称ビスフェノールA)、2−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,
2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェ
ニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−
4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス
{(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ)フェニル}プ
ロパン、2,2−ビス{(3−ブロモ−4−ヒドロキ
シ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−クロロ
−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、4−ブロモレ
ゾルシノール、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4
−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス
{(3−フェニル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス{(3−エチル−4−ヒドロキシ)フ
ェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−n−プロピル
−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス
{(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシ)フェニル}
プロパン、2,2−ビス{(3−tert−ブチル−4
−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス
{(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ)フェニル}
プロパン、2,2−ビス{(3−メトキシ−4−ヒドロ
キシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジブ
ロモ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレ
ン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス{(3−フェノキ
シ−4−ヒドロキシ)フェニル}エチレン、エチレング
リコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3
−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)イソブタン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−4−メチルペンタン、3,3−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロ
ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シ
クロドデカン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3
−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼ
ン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−
ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス{(3,
5−ジメチル−4−ヒドロキシ)フェニル}スルホン、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキ
シジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジ
フェニルエステルなどがあげられ、これらは単独または
2種以上を混合して使用できる。
【0010】本発明のポリカーボネート共重合体は、通
常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公
知の反応手段、例えば芳香族ジヒドロキシ成分にホスゲ
ンや炭酸ジエステル等のカーボネート前駆物質を反応さ
せる方法により製造される。次にこれらの製造方法につ
いて基本的な手段を簡単に説明する。
【0011】カーボネート前駆物質として例えばホスゲ
ンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存在
下に反応を行う。酸結合剤としては例えば水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物または
ピリジン等のアミン化合物が用いられる。溶媒としては
例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭
化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三
級アミンまたは第四級アンモニウム塩等の触媒を用いる
こともできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であ
り、反応時間は数分〜5時間である。
【0012】カーボネート前駆物質として炭酸ジエステ
ルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所
定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加
熱しながら攪拌して、生成するアルコールまたはフェノ
ール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生
成するアルコールまたはフェノール類の沸点等により異
なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はそ
の初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノ
ール類を留出させながら反応を完結させる。また反応を
促進するために通常エステル交換反応に使用される触媒
を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用
される炭酸ジエステルとしては、例えばカーボネートエ
ステルまたはハロホルメート等が使用される。具体的に
は、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、
ビス(クロロフェニル)カーボネート、m―クレジルカ
ーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニ
ル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカ
ーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシル
カーボネートなどが挙げられるが、これらに限定されな
い。好ましくは、ジフェニルカーボネートまたは二価フ
ェノールのジハロホルメートなどを使用し、より好まし
くは、ジフェニルカーボネートを使用する。これら炭酸
エステルもまた、単独で用いても良く、また二種以上を
組み合わせて用いても良い。
【0013】本発明の芳香族ポカーボネート共重合体
は、その重合反応において、末端停止剤として通常使用
される単官能フェノール類を使用することができる。特
にカーボネート前駆物質としてホスゲンを使用する反応
の場合、単官能フェノール類は末端停止剤として分子量
調節のために一般的に使用され、また得られたポリカー
ボネート共重合体は、末端が単官能フェノール類に基づ
く基によって封鎖されているので、そうでないものと比
べて熱安定性に優れている。
【0014】かかる単官能フェノール類としては、芳香
族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤として使用される
ものであればよく、一般にはフェノールあるいは低級ア
ルキル置換フェノールであって、下記一般式で表わされ
る単官能フェノール類を示すことができる。
【0015】
【化1】
【0016】[式中、Aは水素原子、炭素数1〜9の直
鎖又は分岐のアルキル基、或いはフェニル基置換アルキ
ル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数であ
る。]
【0017】前記単官能フェノール類の具体例として
は、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノー
ル、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノー
ルが挙げられる。これら単官能フェノールは、得られた
ポリカーボネート共重合体の全末端に対して少なくとも
5モル%、好ましくは少なくとも10モル%に導入され
ることが望ましい。
【0018】また、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポ
リエステル基を置換基として有するフェノール類、また
は安息香酸クロライド類もしくは長鎖のアルキルカルボ
ン酸クロライド類(以下これらを前記単官能フェノール
類と区別するために末端改質剤と略称することがあ
る。)は、ポリカーボネート共重合体の末端に結合する
ことによって、樹脂の溶融流動性が改良され、成形加工
が容易となるばかりでなく、樹脂の吸水率も低くする効
果がある。また前記末端改質剤は、当然のことながら単
官能性化合物であるから、末端停止剤あるいは分子量調
節剤としての機能も有している。かかる末端改質剤は、
ポリカーボネート共重合体の組成によってその割合は一
定ではないが、全末端に対して少なくとも5モル%、好
ましくは少なくとも10モル%末端に結合するように使
用される。末端改質剤は前記単官能性フェノール類と組
み合わせて使用することができる。
【0019】前記末端改質剤としては下記一般式[I−
a]〜[I−h]で表わされる化合物を使用することが
できる。
【0020】
【化2】
【0021】前記一般式[I−a]〜[I−h]中Xは
−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−CO−
である。ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ま
しくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、Tは単
結合または上記Xと同様の結合を示し、nは10〜50
の整数を示す。
【0022】Qはハロゲン原子または炭素数1〜10、
好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基を示し、p
は0〜4整数を示し、Yは炭素数1〜10、好ましくは
1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、W1は水素原
子、−CO−R1、−CO−R2またはR3である。ここ
でR1、R2およびR3はそれぞれ炭素数1〜10、好ま
しくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜
8、好ましくは5〜6の一価の脂環族炭化水素基または
炭素数6〜15、好ましくは6〜12の一価の芳香族炭
化水素基を示す。
【0023】aは4〜20、好ましくは5〜10の整数
を示し、mは1〜100、好ましくは3〜60、特に好
ましくは4〜50の整数を示し、Zは単結合または炭素
数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素
基を示し、W2は水素原子、炭素数1〜10、好ましく
は1〜5の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜8、好
ましくは5〜6の一価の脂環族炭化水素基または炭素数
6〜15、好ましくは6〜12の一価の芳香族炭化水素
基を示す。
【0024】前記した末端改質剤[I−a]〜[I−
h]のうち好ましいのは、[I−a]および[I−b]
の置換フェノール類である。[I−a]の置換フェノー
ル類としてはnが10〜30、特に10〜26のものが
好ましく、その具体例としては、例えばデシルフェノー
ル、ドデシルフェノール、トリデシルフェノール、テト
ラデシルフェノール、ペンタデシルフェノール、オクタ
デシルフェノール、ノナデシルフェノール、エイコシル
フェノール、ヘンエイコシルフェノール、ドコシルフェ
ノール、トリコシルフェノール、テトラコシルフェノー
ル、ペンタコシルフェノール、ヘキサコシルフェノー
ル、ヘプタコシルフェノール、オクタコシルフェノー
ル、ノナコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノ
ール等を挙げる事ができる。
【0025】また、[I−b]の置換フェノール類とし
てはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化
合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26の
ものが好適であって、その具体例としては、例えばヒド
ロキシ安息香酸デシル、ひドロキシ安息香酸ドデシル、
ヒドロキシ安息香酸トリデシル、ヒドロキシ安息香酸テ
トラデシル、ヒドロキシ安息香酸ペンタデシル、ヒドロ
キシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘプタ
デシル、ヒドロキシ安息香酸オクタデシル、ヒドロキシ
安息香酸ノナデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、
ヒドロキシ安息香酸ヘンエイコシル、ヒドロキシ安息香
酸ドコシル、ヒドロキシ安息香酸トリコシル、ヒドロキ
シ安息香酸テトラコシル、ヒドロキシ安息香酸ペンタコ
シル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサコシル、ヒドロキシ安
息香酸ヘプタコシル、ヒドロキシ安息香酸オクタコシ
ル、ヒドロキシ安息香酸ノナコシル、ヒドロキシ安息香
酸トリアコンチル等を挙げることができる。
【0026】前記一般式[I−a]〜[I−g]で示さ
れる置換フェノール類または置換安息香酸クロライドに
おいて置換基の位置は、p位またはo位が一般的に好ま
しく、その両者の混合物が好ましい。
【0027】前記した末端改質剤のうち[I−a]及び
[I−b]は特に優れている。その理由は、これらはポ
リカーボネート共重合体中に末端基として導入される
と、その溶融流動性が改善されるばかりでなく、吸水率
を低下させる効果もあるからである。ポリカーボネート
共重合体を構成する全芳香族ジヒドロキシ成分中のビス
フェノールTMCの割合が高く、80モル%以上、特に
90モル%以上の場合には樹脂の吸水性が0.2重量%
を越える場合があるが、そのような場合には前記[I−
a]及び[I−b]の末端改質剤の使用により、0.2
重量%以下に吸水率を低下することが可能である。
【0028】またポリカーボネート共重合体は三官能以
上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボ
ネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボ
ネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよ
い。
【0029】三官能以上の多官能性芳香族化合物として
は、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−
ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニ
ル)ヘプテン−2,2,4,6−トリメチル−2,4,
6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,
3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキ
シ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4
−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
チル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノー
ル等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)
ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェ
ニルメチル)ベンゼン、又はトリメリット酸、ピロメリ
ット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸及びこれらの
酸クロライド、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−
(3’−フェノキシカルボニル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2
−(3’−カルボキシ−4’−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−
ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン
が好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタンが好ましい。
【0030】ポリカーボネート共重合体の分子量は、粘
度平均分子量(M)で12,000〜30,000が好
ましく、14,000〜27,000がより好ましく、
15,000〜25,000が特に好ましい。かかる粘
度平均分子量を有するポリカーボネート共重合体は、組
成物として十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流
動性も良好であり成形歪みが発生せず好ましい。本発明
でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mLにポリ
カーボネート共重合体0.7gを20℃で溶解した溶液
から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたも
のである。 ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し
[η]は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0031】本発明で用いる(B)スチレン系樹脂成分
とは、スチレン系単量体と必要に応じてこれらと共重合
可能な他のビニル単量体およびゴム質重合体より選ばれ
る1種以上を重合して得られるスチレン系樹脂である。
【0032】前記スチレン系樹脂成分に用いられるスチ
レン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレ
ン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニル
キシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p‐t
ert‐ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシ
スチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フ
ルオロスチレン、トリブロムスチレン等のスチレン誘導
体であり、特にスチレンが好ましい。さらにこれらは単
独または2種以上用いることができる。
【0033】前記スチレン系単量体と共重合可能な他の
ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル等のシアン化ビニル化合物、フェニルアクリレ
ート、ベンジルアクリレート等のアクリル酸のアリール
エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、
プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルア
クリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシ
ルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシ
ルアクリレート、ドデシルアクリレート等のアクリル酸
のアルキルエステル、フェニルメタクリレート、ベンジ
ルメタクリレート等のメタクリル酸アリールエステル、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピ
ルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタ
クリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキ
シルメタクリレート、オクチルメタクリレート、シクロ
ヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート等の
メタクリル酸アルキルエステル、グリシジルメタクリレ
ート等のエポキシ基含有メタクリル酸エステル、マレイ
ミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド
等のマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、
マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等
のα,β−不飽和カルボン酸及びその無水物があげられ
る。
【0034】前記スチレン系単量体と共重合可能なゴム
質重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、
スチレン・ブタジエンのランダム共重合体およびブロッ
ク共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、
アクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキル
エステル及びブタジエンの共重合体、ブタジエン・イソ
プレン共重合体等のジエン系共重合体、エチレン・プロ
ピレンランダム共重合体およびブロック共重合体、エチ
レン・ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合
体等のエチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレ
ン・メタクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリ
レート共重合体等のエチレンと不飽和カルボン酸エステ
ルとの共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のエ
チレンと脂肪族ビニルとの共重合体、エチレン・プロピ
レン・ヘキサジエン共重合体等のエチレンとプロピレン
と非共役ジエンターポリマー、ポリアクリル酸ブチル等
のアクリル系ゴム、及びポリオルガノシロキサンゴム成
分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とが分
離できないように相互に絡み合った構造を有している複
合ゴム(以下IPN型ゴム)等が挙げられる。
【0035】かかるスチレン系樹脂としては、例えばポ
リスチレン、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体
(SBS)、水添スチレン・ブタジエン・スチレン共重
合体(水添SBS)、水添スチレン・イソプレン・スチ
レン共重合体(SEPS)、耐衝撃性ポリスチレン(H
IPS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS
樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重
合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエ
ン・スチレン共重合体(MBS樹脂)、メチルメタクリ
レート・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重
合体(MABS樹脂)、アクリロニトリル・アクリルゴ
ム・スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリ
ル・エチレンプロピレン系ゴム・スチレン共重合体(A
ES樹脂)及びスチレン・IPN型ゴム共重合体等の樹
脂、又はこれらの混合物が挙げられる。尚かかるスチレ
ン系熱可塑性樹脂はその製造時にメタロセン触媒等の触
媒使用により、シンジオタクチックポリスチレン等の高
い立体規則性を有するものであってもよい。更に場合に
よっては、アニオンリビング重合、ラジカルリビング重
合等の方法により得られる、分子量分布の狭い重合体及
び共重合体、ブロック共重合体、及び立体規則性の高い
重合体、共重合体を使用することも可能である。これら
の中でもポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポリスチレン
(HIPS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体
(AS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・ス
チレン共重合体(MBS樹脂)、アクリロニトリル・ブ
タジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)が好まし
く、ABS樹脂が最も好ましい。また、スチレン系樹脂
を2種以上混合して使用することも可能である。
【0036】かかるABS樹脂とは、ジエン系ゴム成分
にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物をグラフ
ト重合した熱可塑性グラフト共重合体とシアン化ビニル
化合物と芳香族ビニル化合物の共重合体の混合物であ
る。このABS樹脂を形成するジエン系ゴム成分として
は、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン及びスチレ
ン−ブタジエン共重合体等のガラス転移点が10℃以下
のゴムが用いられ、その割合はABS樹脂成分100重
量%中5〜80重量%であるのが好ましく、特に好まし
くは10〜50重量%である。ジエン系ゴム成分にグラ
フトされるシアン化ビニル化合物としては、前記記載の
ものをあげることができ、特にアクリロニトリルが好ま
しく使用できる。またジエン系ゴム成分にグラフトされ
る芳香族ビニル化合物としては、同様に前記記載のもの
を使用できるが、特にスチレン及びα−メチルスチレン
が好ましく使用できる。かかるジエン系ゴム成分にグラ
フトされる成分の割合は、ABS樹脂成分100重量%
中95〜20重量%が好ましく、特に好ましくは50〜
90重量%である。更にかかるシアン化ビニル化合物及
び芳香族ビニル化合物の合計量100重量%に対して、
シアン化ビニル化合物が5〜50重量%、芳香族ビニル
化合物が95〜50重量%であることが好ましい。更に
上記のジエン系ゴム成分にグラフトされる成分の一部に
ついてメチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレー
ト、無水マレイン酸、N置換マレイミド等を混合使用す
ることもでき、これらの含有割合はABS樹脂成分中1
5重量%以下であるものが好ましい。更に反応で使用す
る開始剤、連載移動剤、乳化剤等は必要に応じて、従来
公知の各種のものが使用可能である。
【0037】本発明のABS樹脂においては、ゴム粒子
径は0.1〜5.0μmが好ましく、より好ましくは
0.3〜3.0μm、特に好ましくは0.4〜1.5μ
mである。かかるゴム粒子径の分布は単一の分布である
もの及び2山以上の複数の山を有するもののいずれもが
使用可能であり、更にそのモルフォロジーにおいてもゴ
ム粒子が単一の相をなすものであっても、ゴム粒子の周
りにオクルード相を含有することによりサラミ構造を有
するものであってもよいが、好ましくは単一相をなすゴ
ム粒子の割合が多いものである。
【0038】またABS樹脂がジエン系ゴム成分にグラ
フトされないシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化
合物を含有することは従来からよく知られているところ
であり、本発明のABS樹脂においてもかかる重合の際
に発生するフリーの重合体成分を含有するものであって
もよい。かかるフリーのシアン化ビニル化合物及び芳香
族ビニル化合物からなる共重合体の分子量は、好ましく
は固有粘度で0.2〜1.0、より好ましくは0.25
〜0.5であるものである。
【0039】またグラフトされたシアン化ビニル化合物
及び芳香族ビニル化合物の割合はジエン系ゴム成分に対
して20〜200%が好ましく、より好ましくは20〜
70%のグラフト率のものである。
【0040】このABS樹脂は塊状重合、懸濁重合、乳
化重合のいずれの方法で製造されたものでもよく、また
共重合の方法も一段で共重合しても、多段で共重合して
もよい。また、かかる製造法により得られたABS樹脂
に芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル成分とを別途共
重合して得られるビニル化合物重合体をブレンドしたも
のも好ましく使用できる。
【0041】本発明の熱可塑性樹脂組成物における
(A)ポリカーボネート共重合体と(B)スチレン系樹
脂との配合割合は、(A)ポリカーボネート共重合体と
(B)スチレン系樹脂の合計100重量%とした時に、
(A)ポリカーボネート共重合体1〜99重量%、好ま
しくは10〜90重量%、(B)スチレン系樹脂99〜
1重量%、好ましくは90〜10重量%である。(A)
ポリカーボネート共重合体の配合割合が1重量%未満、
即ち(B)スチレン系樹脂の配合割合が99重量%より
も多くなると耐衝撃性が不十分となり、(A)ポリカー
ボネート共重合体の配合割合が99重量%よりも多くな
る、即ち(B)スチレン系樹脂の配合割合が1重量%未
満になると成形加工性が不十分となり好ましくない。
【0042】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、
成形時等における分子量の低下や色相の悪化を防止する
ために熱安定剤を配合することができる。かかる熱安定
剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホ
ン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的に
は、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニ
ル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブ
チルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイ
ト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホス
ファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオク
チルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフ
ェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイ
ト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチル
ジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert
−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール
ジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−
tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビ
ス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファ
イト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペ
ンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフ
ェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェ
ート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオル
ソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオ
クチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、
4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼン
ホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベ
ンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかで
も、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホ
スフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフ
ェニル)ホスファイトおよびベンゼンホスホン酸ジメチ
ルが好ましく使用される。これらの熱安定剤は、単独で
もしくは2種以上混合して用いてもよい。かかる熱安定
剤の配合量は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100重量
部に対して0.0001〜1重量部が好ましく、0.0
005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜
0.1重量部が更に好ましい。
【0043】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、
酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配合するこ
ともできる。かかる酸化防止剤としては、例えばペンタ
エリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネ
ート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリ
ルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリ
ルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス
[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサン
ジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタ
エリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼ
ン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、
3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベン
ジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イ
ソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスホスフ
ィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェ
ニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−
(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル
フェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,
8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等
が挙げられる。これら酸化防止剤の配合量は、本発明の
熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して0.0001
〜0.5重量部が好ましい。
【0044】更に、本発明の熱可塑性樹脂組成物に本発
明の目的を損なわない範囲で、剛性などを改良する為に
無機充填材を配合することが可能である。かかる無機充
填材のとしてはタルク、マイカ、ガラスフレーク、ガラ
スビーズ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の板状または
粒状の無機充填材やガラス繊維、ガラスミルドファイバ
ー、ワラストナイト、カーボン繊維、金属系導電性繊維
等の繊維状充填材を挙げることができる。これら無機充
填材の配合量は本発明の熱可塑性樹脂組成物100重量
部に対して1〜100重量部が好ましく、3〜70重量
部が更に好ましい。
【0045】また、本発明で使用可能な無機充填材はシ
ランカップリング剤等で表面処理されていてもよい。こ
の表面処理により、ポリカーボネート共重合体の分解が
抑制されるなど本発明の目的である湿熱疲労性をより良
好なものとすることができる。ここでいうシランカップ
リング剤とは下記式
【0046】
【化3】
【0047】[ここでYはアミノ基、エポキシ基、カル
ボン酸基、ビニル基、メルカプト基、ハロゲン原子等の
樹脂マトリックスと反応性または親和性を有する基、R
1、R2、R3はそれぞれ単結合または炭素数1〜7のア
ルキレン基を表わし、そのアルキレン分子鎖中に、アミ
ド結合、エステル結合、エーテル結合あるいはイミノ結
合が介在してもよく、X1、X2、X3はそれぞれアルコ
キシ基好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基またはハ
ロゲン原子]で表わされるシラン化合物をいい、具体的
には、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシ
シクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノ
エチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリメトキシシランおよびγ−クロロプロピル
トリメトキシシランなどが挙げられる。
【0048】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には溶
融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、
本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合すること
も可能である。かかる離型剤としては、オレフィン系ワ
ックス、カルボキシル基及び/またはカルボン酸無水物
基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイ
ル、オルガノポリシロキサン、一価又は多価アルコール
の高級脂肪酸エステル、パラフィンワックス、蜜蝋等が
挙げられる。かかる離型剤の配合量は、本発明の熱可塑
性樹脂組成物100重量部に対し、0.01〜5重量部
が好ましい。
【0049】オレフィン系ワックスとしては、特にポリ
エチレンワックスおよび/または1−アルケン重合体の
使用が好ましくきわめて良好な離型効果が得られる。ポ
リエチレンワックスとしては現在一般に広く知られてい
るものが使用でき、エチレンを高温高圧下で重合したも
の、ポリエチレンを熱分解したもの、ポリエチレン重合
物より低分子量成分を分離精製したもの等が挙げられ
る。また分子量、分岐度等は特に制限されるものではな
いが、分子量としては数平均分子量で1,000以上が
好ましい。
【0050】1−アルケン重合体としては炭素数5〜4
0の1−アルケンを重合したものが使用できる。1−ア
ルケン重合体の分子量としては数平均分子量で1,00
0以上が好ましい。
【0051】カルボキシル基及び/またはカルボン酸無
水物基を含有するオレフィン系ワックスとは、オレフィ
ン系ワックスを後処理により、カルボキシル基及び/ま
たはカルボン酸無水物基を含有させた化合物、好ましく
はマレイン酸及び/または無水マレイン酸で後処理によ
り変性したものが挙げられる。更にエチレン及び/また
は1−アルケンを重合または共重合する際にかかるモノ
マー類と共重合可能なカルボキシル基及び/またはカル
ボン酸無水物基を含有する化合物、好ましくはマレイン
酸及び/または無水マレイン酸を共重合したものも挙げ
られ、かかる共重合をしたものはカルボキシル基及び/
またはカルボン酸無水物基が高濃度かつ安定して含まれ
るので好ましい。このカルボキシル基やカルボン酸無水
物基は、このオレフィン系ワックスのどの部分に結合し
てもよく、またその濃度は特に限定されないが、オレフ
ィン系ワックス1g当り0.1〜6meq/gの範囲が
好ましい。かかるカルボキシル基及び/またはカルボン
酸無水物基を含有するオレフィン系オレフィン系ワック
スは、市販品としては例えばダイヤカルナ−PA30
[三菱化学(株)の商品名]、ハイワックス酸処理タイ
プの2203A、1105A[三井石油化学(株)の商
品名]等が挙げられ、これら単独でまたは二種以上の混
合物として用いられる。
【0052】本発明において無機充填材を配合する場合
には、カルボキシル基及び/またはカルボン酸無水物基
を含有するオレフィン系ワックスを添加することは、溶
融成形時の金型からの離型性をより向上させる為だけで
はなく、無機充填材配合による衝撃強度低下を抑制する
効果も発現し好ましく使用できるものである。
【0053】高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数
1〜20の一価又は多価アルコールと炭素原子数10〜
30の飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルであ
るのが好ましい。かかる一価又は多価アルコールと飽和
脂肪酸との部分エステル又は全エステルとしては、ステ
アリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、
ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビ
テート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリト
ールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラス
テアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネー
ト、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリ
ルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステ
アレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテー
ト、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレ
ート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられ、
なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸
トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレ
ートが好ましく用いられる。
【0054】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明
の目的を損なわない範囲で、光安定剤を配合することが
できる。かかる光安定剤としては、例えば2−(2’−
ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベン
ゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メ
チル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾト
リアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,
5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2
H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4
−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,
2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン
−4−オン)等が挙げられる。かかる光安定剤の配合量
は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して
0.01〜2重量部が好ましい。
【0055】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明
の目的を損なわない範囲で、帯電防止剤を配合すること
ができる。かかる帯電防止剤としては、例えばポリエー
テルエステルアミド、グリセリンモノステアレート、ド
デシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、アルキルスルホン酸
ナトリウム塩、無水マレイン酸モノグリセライド、無水
マレイン酸ジグリセライド等が挙げられる。
【0056】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明
の目的が損なわれない量の難燃剤を配合することができ
る。難燃剤としては、ハロゲン化ビスフェノールAのポ
リカーボネート型難燃剤、有機塩系難燃剤、芳香族リン
酸エステル系難燃剤、あるいは、ハロゲン化芳香族リン
酸エステル型難燃剤等があげられ、それらを一種以上配
合することができる。具体的にハロゲン化ビスフェノー
ルAのポリカーボネート型難燃剤は、テトラクロロビス
フェノールAのポリカーボネート型難燃剤、テトラクロ
ロビスフェノールAとビスフェノールAとの共重合ポリ
カーボネート型難燃剤テトラブロモビスフェノールAの
ポリカーボネート型難燃剤、テトラブロモビスフェノー
ルAとビスフェノールAとの共重合ポリカーボネート型
難燃剤等である。具体的に有機塩系難燃剤は、ジフェニ
ルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフ
ェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、2,4,5
−トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,4,
5−トリクロロベンゼンスルホン酸カリウム、ビス
(2,6−ジブロモ−4−クミルフェニル)リン酸カリ
ウム、ビス(4−クミルフェニル)リン酸ナトリウム、
ビス(p−トルエンスルホン)イミドカリウム、ビス
(ジフェニルリン酸)イミドカリウム、ビス(2,4,
6−トリブロモフェニル)リン酸カリウム、ビス(2,
4−ジブロモフェニル)リン酸カリウム、ビス(4−ブ
ロモフェニル)リン酸カリウム、ジフェニルリン酸カリ
ウム、ジフェニルリン酸ナトリウム、パーフルオロブタ
ンスルホン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウムあるい
はカリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウムあるいはカリ
ウム等である。具体的にハロゲン化芳香族リン酸エステ
ル型難燃剤は、トリス(2,4,6−トリブロモフェニ
ル)ホスフェート、トリス(2,4−ジブロモフェニ
ル)ホスフェート、トリス(4−ブロモフェニル)ホス
フェート等である。具体的に芳香族リン酸エステル系難
燃剤は、トリフェニルホスフェート、トリス(2,6−
キシリル)ホスフェート、テトラキス(2,6−キシリ
ル)レゾルシンジホスフェート、テトラキス(2,6−
キシリル)ヒドロキノンジホスフェート、テトラキス
(2,6−キシリル)−4,4’−ビフェノールジホス
フェート、テトラフェニルレゾルシンジホスフェート、
テトラフェニルヒドロキノンジホスフェート、テトラフ
ェニル−4,4’−ビフェノールジホスフェート、芳香
環ソースがレゾルシンとフェノールでありフェノール性
OH基を含まない芳香族ポリホスフェート、芳香環ソー
スがレゾルシンとフェノールでありフェノール性OH基
を含む芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがヒドロ
キノンとフェノールでありフェノール性OH基を含まな
い芳香族ポリホスフェート、同様のフェノール性OH基
を含む芳香族ポリホスフェート、(以下に示す「芳香族
ポリホスフェート」は、フェノール性OH基を含む芳香
族ポリホスフェートと含まない芳香族ポリホスフェート
の両方を意味するものとする)芳香環ソースがビスフェ
ノールAとフェノールである芳香族ポリホスフェート、
芳香環ソースがテトラブロモビスフェノールAとフェノ
ールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがレ
ゾルシンと2,6−キシレノールである芳香族ポリホス
フェート、芳香環ソースがヒドロキノンと2,6−キシ
レノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソース
がビスフェノールAと2,6−キシレノールである芳香
族ポリホスフェート、芳香環ソースがテトラブロモビス
フェノールAと2,6−キシレノールである芳香族ポリ
ホスフェート等である。
【0057】これらの難燃剤の中で、ハロゲン化ビスフ
ェノールAのポリカーボネート型難燃剤として、テトラ
ブロモビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤、
テトラブロモビスフェノールAとビスフェノールAとの
共重合ポリカーボネートが好ましく、更にテトラブロモ
ビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤が好まし
い。有機塩系難燃剤としてはジフェニルスルホン−3,
3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−
3−スルホン酸カリウム、2,4,5−トリクロロベン
ゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。芳香族リン酸エ
ステル系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート、
トリクレジルフスフェート、クレジルジフェニルホスフ
ェート、レズルシノールビス(ジキシレニルホスフェー
ト)、ビス(2,3ジブロモプロピル)ホスフェート、
トリス(2,3ジブロモプロピル)ホスフェートが好ま
しい。これらの中でも、オゾン層破壊しない芳香族リン
酸エステル系難燃剤であるトリフェニルホスフェート、
トリクレジルフスフェート、レズルシノールビス(ジキ
シレニルホスフェート)が最も好ましい。
【0058】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、他の樹
脂を本発明の目的が損なわれない範囲であれば配合する
こともできる。
【0059】かかる他の樹脂としては、例えば、ポリア
ミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、
ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ
フェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエ
チレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、
ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂等の樹脂が挙げられる。
【0060】本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造するに
は、任意の方法が採用される。例えばタンブラー、V型
ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バ
ンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方
法が適宜用いられる。こうして得られる熱可塑性樹脂組
成物は、そのまま又は溶融押出機で一旦ペレット状にし
てから、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等の通常
知られている方法で成形品にすることができる。なお、
本発明の熱可塑性樹脂組成物の混和性を高めて安定した
離型性や各物性を得るためには、溶融押出において二軸
押出機を使用するのが好ましい。更に無機充填材を配合
する場合には直接押出機ホッパー口あるいは押出機途中
から投入する方法、ポリカーボネート共重合体やスチレ
ン系樹脂と予め混合する方法、一部のポリカーボネート
共重合体やスチレン系樹脂と予め混合してマスターを作
成し投入する方法、かかるマスターを押出機途中から投
入する方法のいずれの方法も取ることができる。
【0061】かくして得られた本発明の熱可塑性樹脂組
成物は、パソコン、ワープロ、ファクス、コピー機、プ
リンター等のOA機器のハウジング及びシャーシ、CD
−ROMのトレー、シャーシー、ターンテーブル、ピッ
クアップシャーシ、各種ギア等のOA内部部品、テレ
ビ、ビデオ、電気洗濯機、電気乾燥機、電気掃除機等の
家庭電器製品のハウジングや部品、電気鋸、電動ドリル
等の電動工具、望遠鏡鏡筒、顕微鏡鏡筒、カメラボデ
ィ、カメラハウジング、カメラ鏡筒等の光学機器部品、
ドアーハンドル、ピラー、バンパー、計器パネル等の自
動車用部品に有用である。特に機械的強度、成形加工
性、湿熱疲労性、湿熱強度保持率などが要求される自動
車部品(アウタードアハンドル、インナードアハンドル
など)や機械部品(電動工具カバーなど)に有用であ
る。
【0062】
【実施例】以下に実施例をあげて更に説明する。実施例
中の「部」または「%」は重量部または重量%を示し、
また評価項目および組成物中の各成分の記号は下記の内
容を意味する。
【0063】(I)評価項目 (1)湿熱疲労性 図1に示したいわゆるC型の測定用サンプルを用いて、
80℃、90%RHの雰囲気で、正弦波で振動数1H
z、最大荷重2kgの条件で、以下の疲労試験機
[(株)島津製作所製 島津サーボパルサー EHF−
EC5型]を用いて、測定用サンプルが破断するまでの
回数を測定した。 (2)湿熱強度保持率 ASTM D638にて使用する引っ張り試験片を環境
試験機(タバイ エスペック(株) ブラチナスPSL
−2FPH)で、80℃、90%RHで1000時間湿
熱処理した後、引っ張り強度を測定し、下記式により保
持率を算出した。 保持率(%)=(湿熱処理サンプルの強度/未処理サン
プルの強度)×100 (3)剛性 ASTM D790により、曲げ弾性率を測定した。 (4)流動性 シリンダー温度270℃、金型温度80℃、射出圧力1
200kgf/cm2でアルキメデス型スパイラルフロ
ー(厚さ2mm、幅8mm)により流動性を測定した。
【0064】(II)組成物中の各成分の記号 (a)ポリカーボネート樹脂 EX−PC(本発明のポリカーボネート共重合体の製
造) 温度計、攪拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水
3022部、48%カセイソーダ水溶液251.6部を
入れ、ハイドロサルファイト0.8部、ビスフェノール
TMC171.1部、ビスフェノールM215.4部を
溶解し、次いで48%カセイソーダ水溶液136.5部
を追加して後、塩化メチレン1762.6部を加え攪拌
下15〜20℃でホスゲン150部を60分を要して吹
き込んだ。ホスゲン吹込み終了後、p−tert−ブチ
ルフェノール5.28部を塩化メチレン40部に溶解し
て添加し、48%カセイソーダ水溶液48.6部を加え
て乳化後、トリエチルアミン0.3部を添加して28〜
33℃で約1時間攪拌して反応を終了した。反応終了
後、生成物を塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸
性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同
じになったところで塩化メチレンを蒸発して無色のポリ
マー407.7部を得た(収率98%)。このポリマー
の粘度平均分子量は24000であった。このポリマー
の二価フェノール成分の組成は、ビスフェノールTMC
成分が47モル%、ビスフェノールM成分が53モル%
であった。このポリカーボネート共重合体にトリスノニ
ルフェニルホスファイトを0.003重量%、トリメチ
ルホスフェートを0.05重量%加え、押出し機で28
0℃で押出しポリカーボネート共重合体ペレットを得
た。
【0065】CEX−PC(比較のための芳香族ポリ
カーボネート樹脂の製造) 上記EX−PC製造時、ビスフェノールTMCおよびビ
スフェノールMに代えてビスフェノールA267.8部
を用いた以外はEX−PC製造時と同様にして無色のポ
リマー295.3部を得た(収率99%)。このポリマ
ーの粘度平均分子量は24200であった。このものを
EX−PC製造時と同様にして芳香族ポリカーボネート
樹脂ペレットを得た。
【0066】(b)スチレン系樹脂 スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体:
サンタックUT−61;三井化学(株)製(以下ABS
と称す) スチレン−アクリロニトリル共重合体:スタイラック
−AS 767 R27;旭化成工業(株)製(以下A
Sと称す) メチル(メタ)アクリレート−ブタジエン−スチレン
共重合体:カネエースB−56;鐘淵化学工業(株)製
(以下MBSと称す)
【0067】(c)無機充填材 ガラス繊維:チョップドストランドECS−03T−
511;日本電気硝子(株)製、ウレタン集束処理、繊
維径13μm(以下Gと称す) ワラストナイト:サイカテックNN−4;巴工業
(株)製、平均粒径D=4μm、3μm以上の粒子系分
布が82.5%及び10μm以上の粒子系分布が0.7
%、アスペクト比L/D=20(以下Wと称す) タルク:P−3;日本タルク(株)製(以下Tと称
す)
【0068】(d)カルボキシル基及び/またはカルボ
ン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合によるオ
レフィン系ワックス:ダイヤカルナ−PA30;三菱化
成(株)製(無水マレイン酸含有量=10wt%)(以
下WAXと称す)
【0069】[実施例1〜4、比較例1〜4]上記で得
られたEX−PCまたはCEX−PC及び表1記載の各
成分をタンブラーを使用して均一に混合した後、30m
mφベント付き二軸押出機(神戸製鋼(株)製KTX−
30)により、シリンダー温度260℃、10mmHg
の真空度で脱気しながらペレット化し、得られたペレッ
トを120℃で5時間乾燥後、射出成形機(住友重機械
工業(株)製SG150U型)を使用して、シリンダー
温度270℃、金型温度80℃の条件で測定用の成形片
を作成した。
【0070】表1および表2記載の実施例と比較例との
比較で明らかな如く実施例の本発明のポリカーボネート
共重合体とスチレン系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物
は、比較例の芳香族ポリカーボネート樹脂を用いたもの
に比較して高温高湿下での疲労強度(湿熱疲労性)およ
び高温高湿処理後の引張り強度(湿熱強度保持率)が特
に優れており、さらに成形加工性も良好なことがわか
る。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【発明の効果】本発明により、本発明のポリカーボネー
ト共重合体とスチレン系樹脂からなる樹脂組成物が本来
有する耐衝撃性、成形加工性などの特性を生かし、湿熱
疲労性、湿熱強度保持率に優れた熱可塑性樹脂組成物を
提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】湿熱疲労性を評価するために使用した、いわゆ
るC型サンプルの正面図である。なおサンプルの厚みは
3mmである。符号6で示される孔の部分に試験機の治
具を通し、符号7で示される垂直方向に所定の荷重をか
けて試験を行う。
【符号の説明】
1 C型形状の二重円の中心 2 二重円の内側円の半径(20mm) 3 二重円の外側円の半径(30mm) 4 治具装着用孔の位置を示す中心角(60°) 5 サンプル端面の間隙(13mm) 6 治具装着用孔(直径4mmの円であり、サンプル
幅の中央に位置する) 7 疲労試験時におけるサンプルに課される荷重の方

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)全芳香族ジヒドロキシ成分の少な
    くとも80モル%が(a)1,1−ビス(4−ヒドロキ
    シフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
    (成分a)および(b)4,4’−(m−フェニレンジ
    イソプロピリデン)ジフェノールおよび/または2,2
    −ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパ
    ン(成分b)からなり、且つ成分aと成分bの割合がモ
    ル比で99:1〜20:80の範囲で構成されたポリカ
    ーボネート共重合体1〜99重量%および(B)スチレ
    ン系樹脂99〜1重量%からなる熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 成分aと成分bの比が80:20〜2
    0:80である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 スチレン系樹脂がポリスチレン、耐衝撃
    性ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体
    (AS)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレ
    ン共重合体(MBS)、アクリロニトリル・ブタジエン
    ・スチレン共重合体(ABS)である請求項1記載の熱
    可塑性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001234083A (ja) * 1999-12-14 2001-08-28 Teijin Chem Ltd 制振性熱可塑性樹脂組成物および成形品
JP2013537255A (ja) * 2010-09-17 2013-09-30 エルジー・ハウシス・リミテッド 低複屈折性高分子ブレンドを含む射出用樹脂組成物及びこれを用いて製造された前面パネル
JP2013209568A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Mitsubishi Chemicals Corp ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品
WO2015098832A1 (ja) * 2013-12-26 2015-07-02 テクノポリマー株式会社 熱可塑性樹脂組成物及びその成形品
CN107820508A (zh) * 2015-07-06 2018-03-20 科思创德国股份有限公司 用于对热变形点具有高要求的电镀应用的聚碳酸酯组合物

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