JP4030482B2 - I/q復調回路 - Google Patents

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Description

本発明は、ディジタル放送受信装置等に搭載され、高周波信号や中間周波数信号を所定のベースバンドI/Q信号に変換するI/Q復調回路に関するものである。
従来より、高周波信号(以下、RF[Radio Frequency]信号と呼ぶ)や中間周波数信号(以下、IF[Intermediate Frequency]信号と呼ぶ)をベースバンド信号に変換するに際し、該ベースバンド信号に重畳するDCオフセット(局部発振器の出力リークや素子の相対ばらつき等に起因して生じる不要直流成分)を取り除くことが可能なミキサ回路が開示・提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
図15は特許文献1に開示されたミキサ回路の要部構成を示すブロック図である。本図に示すミキサ回路において、ミキサ2は、入力端子1から供給されるRF信号或いはIF信号と局部発振器3から供給される局部発振信号を乗算し、その乗算出力を次段のアナログ/ディジタル変換器6(以下、A/D変換器6と呼ぶ)へ出力する。なお、局部発振器3の端子4、5間には発振子(不図示)が外部接続されており、該局部発振器3の発振周波数は、ミキサ2での乗算処理によって所望周波数のベースバンド信号が得られるように制御されている。A/D変換器6は、入力されたベースバンド信号をディジタル変換し、出力端子9からミキサ回路の外部へ送出する。また、A/D変換器6で得られたディジタルベースバンド信号は、平均化回路7にも入力されている。平均化回路7は、ディジタルベースバンド信号のDCオフセット量の平均値を検出し、次段のサンプルホールド回路8(以下、S/H回路8と呼ぶ)に出力する。S/H回路8は、所定タイミングでDCオフセット量の平均値を取り込んで保持し、該DCオフセット量の平均値とミキサ2のDCオフセット量の設計値との差分電圧を相殺するようにミキサ2を制御する。
特開平10−303649号公報
確かに、上記構成から成るミキサ回路であれば、出力端子9の前段に大容量の結合コンデンサを設けることなく、ディジタルベースバンド信号のDCオフセットを除去することができるので、回路規模の縮小を図ることが可能である。
しかしながら、上記構成から成るミキサ回路は、受信動作中にDCオフセット量を測定し、該測定値に基づいてオフセット補正を行う構成であるため、オフセット補正タイミングが最低でも1周期(ディジタルベースバンド信号のDC平均値を得るための所要時間)遅れるという課題があった。また、I/Q復調器では、DCオフセットだけでなくI/Q信号の位相オフセットも復調精度を左右する大きな要素であるところ、上記構成から成るミキサ回路では、前記位相オフセットの補正について何ら考慮されていなかったため、当該従来技術をI/Q復調器にそのまま適用しただけでは、その復調精度向上を十分に図ることができないという課題もあった。
本発明は、上記の問題点に鑑み、I/Q復調動作に際し、遅滞なくDCオフセット及び位相オフセットを補正することが可能なI/Q復調回路を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るI/Q復調回路は、高周波信号や中間周波数信号に局部発振信号を乗算して所定のアナログベースバンドI/Q信号を生成するI/Q復調器と、前記アナログベースバンドI/Q信号をディジタルベースバンドI/Q信号に変換するアナログ/ディジタル変換器と、所定の基準正弦波信号を生成する基準正弦波信号発生器と、外部入力信号と前記基準正弦波信号の一方を選択して前記I/Q復調器に出力するセレクタと、前記基準正弦波信号選択時に得られるディジタルベースバンドI/Q信号のDCオフセット量及び位相オフセット量を検出するオフセット量検出回路と、該オフセット量検出回路で得られた検出結果またはその補正値を格納する記憶回路と、該記憶回路の格納情報に基づいて前記外部入力信号選択時に得られるディジタルベースバンドI/Q信号のDCオフセット及び位相オフセットを補正するオフセット補正回路と、を有して成る構成としている。このような構成とすることにより、I/Q復調動作に際し、遅滞なくDCオフセット及び位相オフセットを補正することが可能となる。
なお、上記構成から成るI/Q復調回路において、前記オフセット量検出回路は、差動入力される前記ディジタルベースバンドI/Q信号のうち反転ディジタルベースバンドI/Q信号を半周期遅らせて遅延反転信号を生成する遅延回路と、非反転ディジタルベースバンドI/Q信号から前記遅延反転信号を減算して前記DCオフセット量を得る減算回路と、を有して成る構成にするとよい。このような構成とすることにより、基準正弦波信号の対称性や周期性を利用して、簡単な演算処理でディジタルベースバンドI/Q信号のDCオフセット量を割り出すことが可能となる。
また、上記構成から成るI/Q復調回路は、前記ディジタルベースバンドI/Q信号から前記オフセット補正回路の指示に応じたDCオフセット量を減算する被制御回路を有して成る構成にするとよい。或いは、前記オフセット補正回路の指示に応じて、前記アナログベースバンドI/Q信号のDC電位を可変する被制御回路を有して成る構成にすると良い。このような構成とすることにより、出力端子ではDCオフセットのない復調結果が得られることになる。
また、上記構成から成るI/Q復調回路において、前記オフセット量検出回路は、前記ディジタルベースバンドI/Q信号を2乗和する演算回路と、該演算回路の出力信号から交流成分のみを抽出するDCカット回路と、前記交流成分の振幅を検出して前記位相オフセット量を得る信号振幅検出回路と、を有して成る構成にするとよい。このような構成とすることにより、I/Q信号の2乗和に現れるAC成分の振幅と位相オフセット量との相関関係に基づいて、簡単な演算処理でディジタルベースバンドI/Q信号の位相オフセット量を割り出すことが可能となる。
或いは、上記構成から成るI/Q復調回路において、前記オフセット量検出回路は、差動入力される前記ディジタルベースバンドI/Q信号についてI信号とその反転信号並びにQ信号とその反転信号の電圧値を各々比較する電圧比較回路と、該電圧比較回路の出力信号がゼロとなる時刻を求めるゼロクロスポイント検出回路と、I信号のゼロクロスポイントと半周期ずらされたQ信号のゼロクロスポイントとを比較して前記位相オフセット量を得る演算回路と、を有して成る構成としてもよい。このような構成としても、ディジタルベースバンドI/Q信号の位相オフセット量を割り出すことが可能となる。
また、上記構成から成るI/Q復調回路において、前記I/Q復調器は、前記局部発振信号の位相を前記オフセット補正回路の指示に応じた位相オフセット量だけ変化させる位相可変被制御回路を有して成る構成にするとよい。このような構成とすることにより、出力端子では位相オフセットのない復調結果が得られることになる。
なお、上記構成から成るI/Q復調回路において、前記位相可変被制御回路は、前記オフセット補正回路の指示に応じてカットオフ周波数が可変制御されるアクティブフィルタを有して成る構成にするとよい。このような構成とすることにより、そのカットオフ周波数に応じて、局部発振信号の位相を任意に制御することが可能となる。
また、上記構成から成るI/Q復調回路は、位相オフセット量の検出に先立って、DCオフセットの補正を行う構成にするとよい。このような構成とすることにより、DCオフセットの存在による位相オフセット量の誤検出を回避することが可能となる。
また、上記構成から成るI/Q復調回路において、前記基準正弦波信号発生器は、前記局部発振信号を逓倍或いは分周して前記基準正弦波信号を生成する逓倍器或いは分周器を有して成る構成にするとよい。或いは、前記I/Q復調器は、前記基準正弦波信号発生器としても用いられる局部発振器と、該局部発振器の出力信号に対し、周波数が1/2で互いに90度の位相差を持つ2系統の信号を出力するTフリップフロップを用いた1/2分周器と、を有して成る構成にするとよい。このように、基準正弦波信号を生成するために別途発振源を設けるのではなく、I/Q復調処理に必須の局部発振器を利用することにより、不必要な回路規模の拡大を防止することが可能となる。
上記したように、本発明に係るI/Q復調回路であれば、I/Q復調動作に際し、遅滞なくDCオフセット及び位相オフセットを補正することが可能となる。
まず、本発明に係るI/Q復調回路の第1実施形態について説明する。図1は本発明に係るI/Q復調回路の第1実施形態を示すブロック図である。本図に示したように、本実施形態のI/Q復調回路は、入力端子101と、基準正弦波信号発生器102と、セレクタ103と、I/Q復調器104と、A/D変換器105と、オフセット量検出回路106と、記憶回路107と、オフセット補正回路108と、出力端子109と、を有して成り、その動作モードとして、オフセット検知モードと通常受信モードを備えている。
上記オフセット検知モードについて説明する。当該動作モードにおいて、基準正弦波信号発生器102は、所定の基準正弦波信号を生成する。セレクタ103は、信号源として基準正弦波信号発生器102を選択し、前記基準正弦波信号をI/Q復調器104に送出する。I/Q復調器104は、セレクタ103から入力される基準正弦波信号に局部発振信号を乗算して所定のアナログベースバンドI/Q信号を生成する。A/D変換器105は、前記アナログベースバンドI/Q信号をディジタルベースバンドI/Q信号に変換してオフセット量検出回路106に送出する。オフセット量検出回路106は、所定の演算処理によって、前記ディジタルベースバンドI/Q信号のDCオフセット量及び位相オフセット量を検出する。記憶回路107は、オフセット量検出回路106で得られた検出結果を格納する。
続いて、上記通常受信モードについて説明する。当該動作モードにおいて、入力端子101には、受信動作で得られた外部入力信号(RF信号或いはIF信号)が与えられる。セレクタ103は、信号源として入力端子101を選択し、前記外部入力信号をI/Q復調器104に送出する。I/Q復調器104は、セレクタ103から入力される外部入力信号に局部発振信号を乗算して所定のアナログベースバンドI/Q信号を生成する。A/D変換器105は、前記アナログベースバンドI/Q信号をディジタルベースバンドI/Q信号に変換して出力端子109に送出する。このとき、オフセット補正回路108は、記憶回路107の格納情報に基づいて前記ディジタルベースバンドI/Q信号のDCオフセット及び位相オフセットを補正する。これにより、出力端子109では、DCオフセット及び位相オフセットのない復調結果が得られることになる。
このように、本実施形態のI/Q復調回路は、オフセット検知モードで得たDCオフセット量及び位相オフセット量を予め記憶回路107に格納しておき、通常受信モードでは当該格納データに基づいてオフセット補正をかける構成である。このような構成とすることにより、受信動作中にオフセット量を測定、補正する必要がなくなるので、I/Q復調動作に際し、遅滞なくDCオフセット及び位相オフセットを補正することが可能となる。
次に、本発明に係るI/Q復調回路の第2実施形態を挙げ、DCオフセット量検出手段について、より詳細な説明を行う。図2は本発明に係るI/Q復調回路の第2実施形態を示すブロック図である。本図に示すように、本実施形態のI/Q復調回路は、第1実施形態と同様、入力端子201と、基準正弦波信号発生器202と、セレクタ203と、I/Q復調器204と、A/D変換器205と、オフセット量検出回路206と、記憶回路207と、オフセット補正回路208と、出力端子209と、を有して成る。
I/Q復調器204は、乗算器204a、204bと、ローパスフィルタ204c、204d(以下、LPF204c、204dと呼ぶ)と、局部発振器204eと、90度移相器204fと、を有して成る。乗算器204a、204bに各々入力される局部発振信号は、90度移相器204fによって互いに90度の位相差がつけられているため、その角周波数をω1、振幅をaとすると、両信号はacosω1t、asinω1tと表現される。また、基準正弦波信号発生器202で生成される基準正弦波信号は、角周波数をω2、振幅をbとすると、bsinω2tと表現される。従って、乗算器204a、204bの各出力信号は、以下の(1)式、(2)式で表される。
Figure 0004030482
LPF204c、204dは、上記した乗算器204a、204bの出力信号から高域成分(ω1+ω2)を濾波することで、以下の(3)式、(4)式で表されるアナログベースバンドI/Q信号(及びその反転信号Ix、Qx)を生成する。
Figure 0004030482
理想的な状態であれば、I信号とIx信号(またはQ信号とQx信号)は、DC電位が同じで位相が180度異なる信号となる。しかし、実際には、局部発振信号が乗算器204a、204bの反対側端子に漏れることで生じるセルフミキシングや素子の相対ばらつき等に起因してDCオフセットが発生するため、両信号のDC電位には差違が生じる(図3(a)を参照)。
本実施形態のオフセット量検出回路206は、上記したDCオフセット量を検知するために、遅延回路206a、206bと、減算回路206c、206dと、を有して成る。オフセット検知モードにおいて、遅延回路206a、206bは、A/D変換器205で得られるディジタルベースバンドI/Q信号I’、Q’及びその反転信号Ix’、Qx’のうち、A/D変換部205b、205dで得られる反転信号Ix’、Qx’を半周期遅らせることで遅延反転信号Ix”、Qx”を生成する。A/D変換部205a、205cで得られる非反転信号I’、Q’と遅延回路206a、206bで得られる遅延反転信号Ix”、Qx”とは、位相が同じでDC電位が異なる信号となる(図3(b)を参照)。そのため、減算回路206c、206dにて、信号I’、Q’から信号Ix”、Qx”を減算すれば、ディジタルベースバンドI/Q信号のDCオフセット量を得ることができる(図3(c)を参照)。このように、本実施形態のI/Q復調回路であれば、基準正弦波信号の対称性や周期性を利用することによって、簡単な演算処理でディジタルベースバンドI/Q信号のDCオフセット量を割り出すことが可能となる。
次に、本発明に係るI/Q復調回路の第3実施形態を挙げ、DCオフセット補正手段の一例について詳細に説明する。図4は本発明に係るI/Q復調回路の第3実施形態を示すブロック図である。本図に示すように、本実施形態のI/Q復調回路は、第1実施形態と同様、入力端子301と、基準正弦波信号発生器302と、セレクタ303と、I/Q復調器304と、A/D変換器305と、オフセット量検出回路306と、記憶回路307と、オフセット補正回路308と、出力端子309と、を有して成る。また、本実施形態のI/Q復調回路は、上記構成に加えて、オフセット補正回路308によって制御される被制御回路310を有して成る。
上記した被制御回路310は、A/D変換部305a、305cの後段に接続される減算回路310a、310bを有して成り、通常受信モードにおいて、ディジタルベースバンドI/Q信号からオフセット補正回路308の指示に応じたDCオフセット量を減算する。このような構成とすることにより、出力端子309ではDCオフセットのない復調結果が得られることになる。
次に、本発明に係るI/Q復調回路の第4実施形態を挙げ、DCオフセット補正手段の他の一例について詳細に説明する。図5は本発明に係るI/Q復調回路の第4実施形態を示すブロック図(一部に回路図を含む)である。本図に示すように、本実施形態のI/Q復調回路は、第1実施形態と同様、入力端子401と、基準正弦波信号発生器402と、セレクタ403と、I/Q復調器404と、A/D変換器405と、オフセット量検出回路406と、記憶回路407と、オフセット補正回路408と、出力端子409と、を有して成る。また、本実施形態のI/Q復調回路は、上記構成に加えて、オフセット補正回路408によって制御される被制御回路410を有して成る。
上記した被制御回路410は、LPF404c、404dとA/D変換器405との間に接続されるDC電位可変回路410a、410bを有して成り、通常受信モードにおいて、オフセット補正回路408の指示に応じてアナログベースバンドI/Q信号のDC電位を可変する。このような構成とすることにより、出力端子409ではDCオフセットのない復調結果が得られることになる。
DC電位可変回路410a、410bの内部構成及び動作について、より詳細な説明を行う。本図に示す通り、DC電位可変回路410aは、npn型バイポーラトランジスタQ1〜Q6と、抵抗R1、R2と、を有して成る。トランジスタQ1、Q2のベースは、それぞれLPF404cの差動出力端に接続されている。トランジスタQ1、Q2のコレクタは、いずれも電源ラインに接続されている。トランジスタQ1、Q2のエミッタは、それぞれ抵抗R1、R2を介してトランジスタQ3、Q4のコレクタに接続されている。抵抗R1、R2とトランジスタQ3、Q4のコレクタとの接続ノードは、被制御回路410aの出力端として、A/D変換器405の差動入力端に接続されている。トランジスタQ3、Q4のエミッタはいずれも接地されている。トランジスタQ3、Q4のベースは、それぞれトランジスタQ5、Q6のベースに接続されている。トランジスタQ5、Q6のエミッタはいずれも接地されている。トランジスタQ5、Q6のコレクタは、それぞれ自身のベースに接続される一方、オフセット補正回路408の出力端にも接続されている。すなわち、DC電位可変回路410aは、トランジスタQ1、Q2から成るエミッタフォロワ回路と、トランジスタQ3〜Q6から成るカレントミラー回路と、によって構成されている。なお、DC電位可変回路410bも上記と同様の構成から成る。
通常受信モードにおいて、オフセット補正回路408は、記憶回路407に格納されたDCオフセット量を読み込んで、それに応じた制御電流i1、i2をトランジスタQ5、Q6のコレクタに流す。このとき、トランジスタQ3、Q4のコレクタには、制御電流i1、i2と同値のミラー電流i1、i2(或いは、制御電流i1、i2に比例したミラー電流i1’、i2’)が流れる。従って、I信号及びIx信号のDC電位は、制御電流i1、i2に応じて可変制御されることになる。
図6は制御電流i1、i2とDCオフセット量との関係を示す図である。本図に示すように、I信号とIx信号との間にDCオフセットが存在しない場合には、制御電流i1、i2が同値とされるので、I信号とIx信号のDC電位は同一となる。一方、I信号とIx信号との間にDCオフセットが発生し、I信号のDC電位がIx信号のDC電位よりも高くなった場合、オフセット補正回路408は、制御電流i2を増加させ、制御電流i1を減少させる。このような制御により、抵抗R2に流れるミラー電流i2が増加し、抵抗R1に流れるミラー電流i1が減少するので、I信号のDC電位は下がり、Ix信号のDC電位は上がる。従って、I信号とIx信号のDC電位は等しくなり、両信号間のDCオフセットをキャンセルすることができる。逆に、I信号のDC電位がIx信号のDC電位よりも低くなった場合は、制御電流i2を減少させ、制御電流i1を増加させることで、上記と同様に、DCオフセットをキャンセルすることができる。
次に、本発明に係るI/Q復調回路の第5実施形態を挙げ、位相オフセット量検出手段の一例について詳細に説明する。図7は本発明に係るI/Q復調回路の第5実施形態を示すブロック図である。本図に示すように、本実施形態のI/Q復調回路は、第1実施形態と同様、入力端子501と、基準正弦波信号発生器502と、セレクタ503と、I/Q復調器504と、A/D変換器505と、オフセット量検出回路506と、記憶回路507と、オフセット補正回路508と、出力端子509と、を有して成る。
本実施形態のオフセット量検出回路506は、ディジタルベースバンドI/Q信号の位相オフセット量を検知するために、演算回路506aと、DCカット回路506bと、信号振幅検出回路506cと、を有して成る。オフセット検知モードにおいて、演算回路506aは、A/D変換器505で得られるディジタルベースバンドI/Q信号の2乗和演算(I2+Q2)を行う。このとき、位相オフセットのない理想的な状態であれば、以下の(5)式で表されるように、演算結果にAC成分が発生することはない。
Figure 0004030482
しかし、実際には、90度移相器504fの誤差等に起因して位相オフセットが発生するため、両信号の位相差が90度からずれ、以下の(6)式で表されるように、演算結果にAC成分が発生する。なお、式中のαは位相オフセット量を示している。
Figure 0004030482
ここで、αが小さい場合には、sinα≒αと近似することができるので、上記したAC成分の振幅は、位相オフセット量αに比例した値となる。従って、DCカット回路506bにて、演算回路506aの出力信号からAC成分を抽出し、さらに、信号振幅検出回路506cにて、上記AC成分の振幅を検出すれば、ディジタルベースバンドI/Q信号の位相オフセット量を得ることができる。このように、本実施形態のI/Q復調回路であれば、I/Q信号の2乗和に現れるAC成分の振幅と位相オフセット量との相関関係に基づいて、簡単な演算処理でディジタルベースバンドI/Q信号の位相オフセット量を割り出すことが可能となる。
次に、本発明に係るI/Q復調回路の第6実施形態を挙げ、位相オフセット量検出手段の他の一例について詳細に説明する。図8は本発明に係るI/Q復調回路の第6実施形態を示すブロック図である。本図に示すように、本実施形態のI/Q復調回路は、第1実施形態と同様、入力端子601と、基準正弦波信号発生器602と、セレクタ603と、I/Q復調器604と、A/D変換器605と、オフセット量検出回路606と、記憶回路607と、オフセット補正回路608と、出力端子609と、を有して成る。
本実施形態のオフセット量検出回路606は、ディジタルベースバンドI/Q信号の位相オフセット量を検知するために、電圧比較回路606a、606bと、ゼロクロスポイント検出回路606c、606dと、演算回路606eと、を有して成る。オフセット検知モードにおいて、電圧比較回路606aは、A/D変換器505でディジタル化されたI信号とIx信号の電圧値を比較する(図9(a)を参照)。電圧比較回路606bも、上記と同様の処理により、Q信号とQx信号の電圧値を比較する。次に、ゼロクロスポイント検出回路606c、606dは、I信号とIx信号並びにQ信号とQx信号の電圧値が各々一致して電圧比較回路606a、606bの各出力信号がゼロとなる時刻(ゼロクロスポイント)を求める(図9(b)を参照)。最後に、演算回路606eは、I信号のゼロクロスポイントと半周期ずらされたQ信号のゼロクロスポイントとを比較して遅延誤差時間を得る(図9(c)を参照)。
このとき、遅延誤差時間と位相オフセット誤差との間には、以下の(7)式で表される相関関係が成立する。
Figure 0004030482
従って、演算回路606eで遅延誤差時間を得ることにより、ディジタルベースバンドI/Q信号の位相オフセット量を得ることができる。
次に、本発明に係るI/Q復調回路の第7実施形態を挙げ、位相オフセット補正手段の一例について詳細に説明する。図10は本発明に係るI/Q復調回路の第7実施形態を示すブロック図である。本図に示すように、本実施形態のI/Q復調回路は、第1実施形態と同様、入力端子701と、基準正弦波信号発生器702と、セレクタ703と、I/Q復調器704と、A/D変換器705と、オフセット量検出回路706と、記憶回路707と、オフセット補正回路708と、出力端子709と、を有して成る。ここで、本実施形態のI/Q復調器704は、90度移相器に代えて、オフセット補正回路708によって制御される位相可変被制御回路704fを有して成る。該位相可変被制御回路704fは、通常受信モードにおいて、局部発振信号の位相をオフセット補正回路708の指示に応じた位相オフセット量だけ変化させる。このような構成とすることにより、出力端子709では位相オフセットのない復調結果が得られることになる。
図11は位相可変被制御回路704fの一構成例を示す回路図である。本図に示すように、本実施形態の位相可変被制御回路704fは、差動形式のオペアンプOP1〜OP5(相互コンダクタンス;Gm1〜Gm5)と、コンデンサC1〜C4(静電容量;Ca、Cb、2Cx、2Cx)と、を有して成る。
局部発振信号が差動入力される入力端T1、T2は、アンプOP4、OP5の差動入力端(+、−)に各々接続されている。アンプOP4の非反転出力端(+)は、アンプOP1の反転出力端(−)と、アンプOP2の非反転入力端(+)と、コンデンサC1の一端と、に接続されている。アンプOP4の反転出力端(−)は、アンプOP1の非反転出力端(+)と、アンプOP2の反転入力端(−)と、コンデンサC1の他端と、に接続されている。アンプOP5の非反転出力端(+)は、アンプOP2の非反転出力端(+)と、アンプOP3の非反転入力端(+)と、コンデンサC2の一端と、に接続されている。アンプOP5の反転出力端(−)は、アンプOP2の反転出力端(−)と、アンプOP3の反転入力端(−)と、コンデンサC2の他端と、に接続されている。また、アンプOP5の差動出力端(+、−)は、コンデンサC3、C4を介して、入力端T1、T2にも接続されている。アンプOP3の非反転出力端(+)は、出力端T4と、アンプOP1の反転入力端(−)と、自身の反転入力端(−)と、に接続されている。アンプOP3の反転出力端(−)は、出力端T3と、アンプOP1の非反転入力端(+)と、自身の非反転入力端(+)と、に接続されている。
上記のように2次ローパスフィルタで構成された位相可変被制御回路704fは、そのカットオフ周波数fcにおいて、入力された信号に対して90度位相差のついた信号を出力するという特徴を有する。なお、位相可変被制御回路704fのカットオフ周波数fcは、以下の(8)式で表されるように、相互コンダクタンスGm1、Gm2と、静電容量Ca、Cb、Cxと、に基づいて決定される。
Figure 0004030482
そこで、本実施形態の位相可変被制御回路704fは、オフセット補正回路708の指示に応じて、上記の各パラメータを変化させる構成としている。このような構成とすることにより、そのカットオフ周波数fcに応じて、局部発振信号の位相を任意に制御することが可能となる。
続いて、上記したDCオフセット補正と位相オフセット補正を行う手順について説明する。図12はオフセット補正動作の一例を示すフローチャートである。本フローチャートに示すように、本発明に係るI/Q復調回路では、ステップS1における電源オン直後、ステップS2にて動作モードがオフセット検知モードとされ、続くステップS3において基準正弦波信号に基づくDCオフセット量検出が行われる。そして、続くステップS4では位相オフセット量検出に先立ってDCオフセットが補正される。その後、ステップS5では基準正弦波信号に基づく位相オフセット量検出が行われ、続くステップS6において位相オフセットが補正される。そして、ステップS7では記憶回路に補正値が格納され、ステップS8において動作モードが通常受信モードに移行される。上記の手順とした理由は以下の通りである。
前述したように、DCオフセット量の検出は、I信号とIx信号(或いは、Q信号とQx信号)に基づいて行われるため、仮にI、Q信号間に位相オフセットが存在したとしても、DCオフセット量を正しく検知することが可能である。一方、位相オフセット量の検出に際してI/Q信号にDCオフセットが存在すると、以下の(9)式で示すように、位相オフセットがない場合でも、ディジタルベースバンドI/Q信号の2乗和演算結果にAC成分が発生してしまい、位相オフセット量を正しく検知することができなくなる。
Figure 0004030482
そこで、本発明に係るI/Q復調回路では、位相オフセット量検出に先立って、DCオフセット量の補正を行う構成としている。このような構成とすることにより、DCオフセットの存在による位相オフセット量の誤検出を回避することが可能となる。なお、I/Q信号の2乗和演算回路の直後にハイパスフィルタを配置し、該ハイパスフィルタのカットオフ周波数を(ω1−ω2)成分を除去して2(ω1−ω2)成分を通すように設定すれば、DCオフセットを事前にキャンセルしなくとも、位相オフセット量の誤検出を回避することは可能である。ただし、当該構成を採用した場合には、フィルタの次数が大きくなる等、弊害が大きいので、システムの簡素化を図るのであれば、上記したように、位相オフセット量の検出に先立ってDCオフセットの補正を行う方が望ましい。
次に、本発明に係るI/Q復調回路の第8実施形態を挙げ、基準正弦波信号生成手段の一例について詳細に説明する。図13は本発明に係るI/Q復調回路の第8実施形態を示すブロック図である。本図に示すように、本実施形態のI/Q復調回路は、第1実施形態と同様、入力端子801と、基準正弦波信号発生器802と、セレクタ803と、I/Q復調器804と、A/D変換器805と、オフセット量検出回路806と、記憶回路807と、オフセット補正回路808と、出力端子809と、を有して成る。ここで、本実施形態の基準正弦波信号発生器802は、局部発振器804eにて生成される局部発振信号(asinω1t)を2逓倍する逓倍器802aと、該逓倍信号(bsin2ω1t)中への局部発振信号混入を防止するハイパスフィルタ802bと、を有して成る。このように、基準正弦波信号を生成するために別途発振源を設けるのではなく、I/Q復調処理に必須の局部発振信号を利用することにより、不必要な回路規模の拡大を防止することが可能となる。なお、本実施形態では、局部発振信号を逓倍する構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、局部発振信号の分周信号を基準正弦波信号として利用しても構わない。
最後に、本発明に係るI/Q復調回路の第9実施形態を挙げ、基準正弦波信号生成手段の別の一例について詳細に説明する。図14は本発明に係るI/Q復調回路の第9実施形態を示すブロック図である。本図に示すように、本実施形態のI/Q復調回路は、第1実施形態と同様、入力端子901と、セレクタ903と、I/Q復調器904と、A/D変換器905と、オフセット量検出回路906と、記憶回路907と、オフセット補正回路908と、出力端子909と、を有して成り、I/Q復調器904の局部発振器904eを基準正弦波信号発生器として流用する構成である。すなわち、本実施形態のI/Q復調回路では、局部発振器904eの出力信号を2系統に分岐し、一方を基準正弦波信号として用い、他方を局部発振信号として用いている。なお、局部発振器904eの発振周波数は、I/Q復調処理に必要な周波数の2倍とされている。
ここで、本実施形態のI/Q復調器904は、90度移相器に代えて、Tフリップフロップを用いた1/2分周器904fを有して成る。該1/2分周器904fは、局部発振器904eの出力信号(bsin2ω1t)に対し、周波数が1/2で互いに90度の位相差を持つ2系統の信号(asinω1t、acosω1t)を出力するので、該出力信号を局部発振信号として用いることができる。このように、基準正弦波信号を生成するために別途発振源を設けるのではなく、I/Q復調処理に必須の局部発振器を利用することにより、不必要な回路規模の拡大を防止することが可能となる。
以上のように、本発明に係るI/Q復調回路は、ディジタル放送受信装置等の信号復調手段として有用であり、その受信精度向上に貢献し得るものである。
は、本発明に係るI/Q復調回路の第1実施形態を示すブロック図である。 は、本発明に係るI/Q復調回路の第2実施形態を示すブロック図である。 は、DCオフセット量の検出方法を説明するための図である。 は、本発明に係るI/Q復調回路の第3実施形態を示すブロック図である。 は、本発明に係るI/Q復調回路の第4実施形態を示すブロック図である。 は、制御電流i1、i2とDCオフセット量との関係を示す図である。 は、本発明に係るI/Q復調回路の第5実施形態を示すブロック図である。 は、本発明に係るI/Q復調回路の第6実施形態を示すブロック図である。 は、位相オフセット量の検出方法を説明するための図である。 は、本発明に係るI/Q復調回路の第7実施形態を示すブロック図である。 は、位相可変被制御回路704fの一構成例を示す回路図である。 は、オフセット補正動作の一例を示すフローチャートである。 は、本発明に係るI/Q復調回路の第8実施形態を示すブロック図である。 は、本発明に係るI/Q復調回路の第9実施形態を示すブロック図である。 は、特許文献1に開示されたミキサ回路の要部を示すブロック図である。
符号の説明
101〜901 入力端子
102〜802 基準正弦波信号発生器
103〜903 セレクタ
104〜904 I/Q復調器
204a〜904a、204b〜904b 乗算器
204c〜904c、204d〜904d ローパスフィルタ
204e〜904e 局部発振器
204f〜604f、804f 90度移相器
704f 位相可変被制御回路
904f 1/2分周器(T−FF使用)
105〜905 A/D変換器
x05a、x05b、x05c、x05d(x=2、3、5〜9) A/D変換部
106〜906 オフセット量検出回路
x06a、x06b(x=2、3、8、9) 遅延回路
x06c、x06d(x=2、3、8、9) 減算回路
506a、706a 演算回路
506b、706b DCカット回路
506c、706c 信号振幅検出回路
606a、606b 電圧比較回路
606c、606d ゼロクロスポイント時間検出回路
606e 演算回路
107〜907 記憶回路
108〜908 オフセット補正回路
109〜909 出力端子
310、410 被制御回路
310a、310b 減算回路
410a、410b DC電位可変回路
Q1〜Q6 npn型バイポーラトランジスタ
R1、R2 抵抗
OP1〜OP5 オペアンプ
C1〜C4 コンデンサ

Claims (11)

  1. 高周波信号や中間周波数信号に局部発振信号を乗算して所定のアナログベースバンドI/Q信号を生成するI/Q復調器と、前記アナログベースバンドI/Q信号をディジタルベースバンドI/Q信号に変換するアナログ/ディジタル変換器と、所定の基準正弦波信号を生成する基準正弦波信号発生器と、外部入力信号と前記基準正弦波信号の一方を選択して前記I/Q復調器に出力するセレクタと、前記基準正弦波信号選択時に得られるディジタルベースバンドI/Q信号のDCオフセット量及び位相オフセット量を検出するオフセット量検出回路と、該オフセット量検出回路で得られた検出結果またはその補正値を格納する記憶回路と、該記憶回路の格納情報に基づいて前記外部入力信号選択時に得られるディジタルベースバンドI/Q信号のDCオフセット及び位相オフセットを補正するオフセット補正回路と、を有して成ることを特徴とするI/Q復調回路。
  2. 前記オフセット量検出回路は、差動入力される前記ディジタルベースバンドI/Q信号のうち反転ディジタルベースバンドI/Q信号を半周期遅らせて遅延反転信号を生成する遅延回路と、非反転ディジタルベースバンドI/Q信号から前記遅延反転信号を減算して前記DCオフセット量を得る減算回路と、を有して成ることを特徴とする請求項1に記載のI/Q復調回路。
  3. 前記ディジタルベースバンドI/Q信号から前記オフセット補正回路の指示に応じたDCオフセット量を減算する被制御回路を有して成ることを特徴とする請求項1に記載のI/Q復調回路。
  4. 前記オフセット補正回路の指示に応じて、前記アナログベースバンドI/Q信号のDC電位を可変する被制御回路を有して成ることを特徴とする請求項1に記載のI/Q復調回路。
  5. 前記オフセット量検出回路は、前記ディジタルベースバンドI/Q信号を2乗和する演算回路と、該演算回路の出力信号から交流成分のみを抽出するDCカット回路と、前記交流成分の振幅を検出して前記位相オフセット量を得る信号振幅検出回路と、を有して成ることを特徴とする請求項1に記載のI/Q復調回路。
  6. 前記オフセット量検出回路は、差動入力される前記ディジタルベースバンドI/Q信号についてI信号とその反転信号並びにQ信号とその反転信号の電圧値を各々比較する電圧比較回路と、該電圧比較回路の出力信号がゼロとなる時刻を求めるゼロクロスポイント検出回路と、I信号のゼロクロスポイントと半周期ずらされたQ信号のゼロクロスポイントとを比較して前記位相オフセット量を得る演算回路と、を有して成ることを特徴とする請求項1に記載のI/Q復調回路。
  7. 前記I/Q復調器は、前記局部発振信号の位相を前記オフセット補正回路の指示に応じた位相オフセット量だけ変化させる位相可変被制御回路を有して成ることを特徴とする請求項1に記載のI/Q復調回路。
  8. 前記位相可変被制御回路は、前記オフセット補正回路の指示に応じてカットオフ周波数が可変制御されるアクティブフィルタを有して成ることを特徴とする請求項7に記載のI/Q復調回路。
  9. 位相オフセット量の検出に先立って、DCオフセットの補正を行うことを特徴とする請求項1に記載のI/Q復調回路。
  10. 前記基準正弦波信号発生器は、前記局部発振信号を逓倍或いは分周して前記基準正弦波信号を生成する逓倍器或いは分周器を有して成ることを特徴とする請求項1に記載のI/Q復調回路。
  11. 前記I/Q復調器は、前記基準正弦波信号発生器としても用いられる局部発振器と、該局部発振器の出力信号に対し、周波数が1/2で互いに90度の位相差を持つ2系統の信号を出力するTフリップフロップを用いた1/2分周器と、を有して成ることを特徴とする請求項1に記載のI/Q復調回路。
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