JP4030327B2 - 動植物着生用ブロック基材およびこれを用いた動植物着生法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,陸生および水生動植物の着生床に適したモルタルまたはコンクリート製のブロック基材に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート製品および現場打ちコンクリートに要求されているものの一つにコンクリート構造材からの植物の育成がある。自然土壌や地盤と同じように植物が生育できる環境をコンクリート構造物に求めるのは,河川・港湾・海岸等に用いられる護岸コンクリートやコンクリート製擁壁,さらには小河川や農業用水等のコンクリート製の水路などにおいて,コンクリート部分に植物を自然な状態で繁殖させ且つ他の生物(小動物や微生物)等も生息できる環境を創世しようとするためである。
【0003】
動植物の生育環境にとって水は必要不可欠である。しかし,水に接するコンクリート構造物でも,コンクリート本来の機能が水密を要するものが多いので,特別なことがない限り,動植物の生育環境がコンクリート内部で形成されることはない。すなわち,通常のコンクリート構造物では,水で濡れても水分保持機能がないので,太陽の直射日光等によって水分が蒸発散させられると,コンクリートは乾燥状態となり,表面が乾燥してしまう。このため,通常のコンクリート製ブロックなどでは植物は全く着生せず,小動物も生息することもないのが通常である。しかし,セメント系コンクリートは,施工性,安全性,経済性などに優れているのも事実であり,構造や力学的な問題に対してもコンクリートに代わる材料を見い出すことは困難である。
【0004】
したがって,このようなセメント系コンクリートの特質を生かしながら,土壌に似た保水機能を具備し,植物や他の生物(小動物や微生物)の生態環境が形成できるコンクリートの出現が待たれているところである。
【0005】
他方,近年では河川の護岸や造成地法面の緑化コンクリートとして,芝や蔦などの植物を植栽できる多孔性のポーラスコンクリートが使用され始めた。このようなポーラスコンクリートは,主として骨材を隙間をもって接着させることによって空隙率10〜30%程度の空隙を確保したもので,その空隙部に土等の植生基盤を充填することで,植物や微小水生動物などの生息を可能にしている。また,高透水性を生かした排水性舗装材料としての利用も試みられている。
【0006】
しかし,従来のポーラスコンクリートは水が抜ける通路を有するものであり,透水率は大きいけれども,セメントマトリックス自身に保水性があるものではない。このため,コンクリート自身が保水機能や水の蒸発散機能を持たないし強度的にも10〜15N/mm2程度と低い。また,通常のセメントを使用するものでは高pHを示すのが一般であり,この点でも生物の生態に悪影響を及ぼしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の課題は,コンクリート本来の力学的性質を備えながら保水機能を具備し,植物や他の生物(小動物や微生物)の生態環境が形成できるコンクリートを得ること,そして陸生および水生動植物の着生床に適したモルタルまたはコンクリート製のブロック基材を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決すべく,本発明者らは種々の試験研究を重ねてきたが,セメント系モルタルまたはコンクリートにおいて,適量の植物短繊維を配合すると,硬化した状態では保水機能と強度を具備した硬化体が得られること,未だ固まらない状態では,ノズル口から押し出した場合に,その連続した線状体は線状形状を保持しながら変形できる性質を有し得ることがわかった。すなわち,植物短繊維を配合することによってセメントマトリックス中に水が含浸できる硬化体組織が得られると共に,フレッシュ状態では線状体に押し出し成形ができるような粘った混練物を得ることが可能となり,ノズル口から押し出された線状体は変形が自在でありながらその線状の形状を硬化するまで保持し得るので,この線状体を未だ固まらないうちに曲げ絡み合わせると,あたかも即席乾燥麺に見られるような,線状体が捲縮して絡み合った接合組織が得られ,このものは,線状体同士が部分的に結着して硬化しているために適当な隙間をもつ任意形状の立体ブロックとなり得ることが判明した。
【0009】
したがって本発明によれば,未だ固まらないモルタルまたはコンクリートの線状体を曲げ絡み合わせて立体形状となし,これを硬化させて該線状体同士が部分的に結着した捲縮体状のブロックを形成してなる動植物着生用ブロック基材であって,前記の線状体が植物短繊維を配合した保水性モルタルまたはコンクリートからなる動植物着生用ブロック基材を提供する。
【0010】
本発明で使用するモルタルまたはコンクリートは,植物短繊維の配合量が20Kg/m3以上であるのがよく,植物短繊維としては,麻,綿,籾,藁の少なくとも1種を原料とすることができる。またそのセメントとしては普通セメントが使用できるが,MgOおよびP2O5を主成分とする低pHセメントを使用することもできる。
【0011】
また,この線状体の径は5〜100mmの範囲であるのが好ましく,この線状体を箱型の型枠内で立体形状となるように捲縮させて装填することができる。例えばノズル口から線状に押し出された植物短繊維配合の保水性モルタルまたはコンクリートの線状体を,箱型の型枠内で曲げ絡み合わせて立体形状となし,これを該型枠内で硬化させて該線状体同士が部分的に結着した捲縮体状の型枠付ブロックを形成することができる。この型枠付の動植物着生用ブロック基材は,その上に土壌を敷設し,この土壌に播種または苗植等の植栽を行い,これを養生するかまたはせずして,施設現場に搬送し,施設現場において該型枠を外して該基材を着生床として施設するという使用の仕方ができる。この着生床は水路の床板等として好適である。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は,本発明に従う動植物着生用ブロック基材の代表的な形状例を示したもので,植物短繊維を配合したセメント系硬化体(モルタルまたはコンクリート)からなる線状体1が曲げ絡み合って立体形状のブロック基材2を形成している。このブロック基材2は,硬化した線状体1が部分的に結着し,線状体同士の間に隙間を有した構造を有しており,一見したところ,即席乾燥麺(インスタントラーメン)のような麺の捲縮固化物を拡大したような立体形状を有している。
【0013】
このようなセメント硬化体のブロック基材2を作成するには,例えば図2に示したように,植物短繊維配合の未だ固まらないモルタルまたはコンクリート3(以下これを略して“植物繊維入り生モルタル”と呼ぶ)の混練物をグラウトポンプ4でノズル5に圧送することにより,ノズル5から植物繊維入り生モルタルの線状体1'として押し出し,これを曲げ絡み合わせる。植物短繊維を適量配合し且つ水セメント比および単位水量を調節すると,ノズル5から押し出された生モルタルの線状体1'は直角はもとより150o近く曲げても破断することなく,くねくねと自在に曲がることがわかった。植物短繊維を配合しない場合には,そのような性質を具備させることは困難で,形状保持力をもつような硬練として線状体に押し出した場合には,曲げるとすぐに折れてしまう。
【0014】
図2ではグラウトポンプ4を使用した例を示したが,図3のような簡易押し出し器6を用いて本発明に従うブロック基材を作成することもできる。図3の押し出し器6は,本発明に従う植物繊維入り生モルタル3を入れるホッパー部7と,このホッパー部の先端に設けたノズル8と,ホッパー部7の生モルタル3を背面から押し出すための押し出し具9とからなる持ち運び可能な簡単なものであり,作業者の人力で生モルタルの線状体1'を作成できるようにしたものである。ノズル8から押し出した生モルタルの線状体1'を例えば箱型の型枠10内に捲縮させながら装填し,型枠10内で硬化させることによって,図1に示したようなブロック基材2を作り出すことができる。
【0015】
図4は,各種形状の型枠例えば側面が6面体からなる六角形状の箱型の型枠11,側面が4面体からなる四角形状の箱型の型枠12に,生モルタルの線状体1'を装填する例を示したものである。図示のほか,側面が3面体,5面体,その他の多面体からなる多角形状,或いは側面が円筒や楕円筒からなる円筒形状の箱型の型枠を用いて,様々な形状の立体ブロックを作り出すこともできる。
【0016】
ノズルから押し出す生モルタルの線状体1'の径については,直径が5〜30mm,好ましくは5〜20mm,さらに好ましくは10〜15mmのものが取り扱いやすい。植物繊維入り生モルタルの配合については後述するが,使用する植物短繊維としては,長さが2〜12mm,径が0.1〜1.0mm程度のものが好適であり,配合量としては,植物短繊維の種類によってその適正な範囲は異なるが,10〜80Kg/m3好ましくは20〜60Kg/m3の範囲とするのがよく,植物短繊維の配合量が多いほど硬化した線状体1の湿潤性能(保水性能)および生モルタルの線状体1'の変形性能が高まる。しかし,あまり多いと,骨材表面が植物短繊維で覆われるところが増え,骨材・セメント間の接合強度を低下させることにもなるので,80Kg/m3以下,好ましくは60Kg/m3以下とするのがよい。練り混ぜに際しては,セメントペーストに植物短繊維を先練りし,この植物短繊維入りセメントペーストを骨材と混り混ぜる方法が好ましい。一般に植物短繊維は,コンクリートに混入されると腐食しにくくなる性質があり,例えば麻はエジプトのピラミッドからも腐食していないものが発見されている実績がある。
【0017】
植物短繊維の使用にあたっては,その乾燥体をよくほぐした状態で使用するのがよい。植物短繊維の性質上,その繊維一本一本の径や長さ,さらには表面状態や形状(針状か板状かなど)はランダムであるが,要するところ,その植物短繊維の性質に応じてコンクリート中によく分散できるような寸法形状とすればよい。麻を用いる場合には,ほぼ長さが2〜12mmで,径が0.2〜0.7mm程度のものを練り混ぜ中の材料に少しづつ投入して分散させればよい。そのさい,水を混入する前の空練りを60秒以上行うことが好ましい。
【0018】
コンクリート用分散剤を使用して植物短繊維の分散を促進させることも好ましい。使用できる分散剤には各種のものがあるが,例えば高性能減水剤(商品名レオビルド8000ESなど)が挙げられる。また,必要に応じて水溶性高分子等の増粘剤を使用することができる。
【0019】
使用するセメントとしては普通セメントが使用できるが,低pHセメントを使用すると,低pHの植物繊維入り生モルタルが得られ,低pHの本発明に従う動植物着生用ブロック基材を作ることができる。低pHセメントとしては,MgOおよびP2O5を主成分とする低pHセメントを使用できる。このような低pHセメントとしては,例えば特開2001−200252号公報に記載された軽焼マグネシアを主成分とする土壌硬化剤組成物が挙げられる。またこれに相当する低pHセメントは商品名マグホワイトとして市場で入手できる。さらに,セメントの一部を,必要に応じて高炉スラグ微粉末,フライアッシュ,シリカヒュームなどで置換することもできる。
【0020】
骨材成分としては通常の細骨材および粗骨材を使用できるが,粗骨材を使用する場合には最大寸法がノズル口径より小さいものを使用する必要がある。骨材を使用する場合には最大寸法5mm以下とするのがよい。細骨材としては通常の川砂のほか,土質成分のもの例えば火山灰土,黒土等を使用可能である。また,石灰石粉等の微粉末を配合することもできる。さらに軽量細骨材を使用することもできる。
【0021】
植物短繊維を15Kg/m3以上,好ましくは20Kg/m3以上配合し,水セメント比を従来のポーラスコンクリートの場合と同等もしくはこれよりも高くして(例えばポーラスコンクリートでは水セメントが25〜35%程度である)練り混ぜると,スランプ値は高くても1.0cmまでの混練物が得られ,その硬化体は,透水係数が 1.0〜3.0 cm/secで,単位吸水率が10〜40%の保水性コンクリート(モルタル)を得ることができる。したがって,該混練物をノズルから押し出し,曲げ絡み合わせて立体形状となし,これを硬化してなる本発明のブロック基材は,単位吸水率が10〜40%の保水性を示す硬化した線状体1からなる。このため,線状体1そのものが保水性を示すので,動植物着生用基材として非常に好適な材料である。
【0022】
さらに,本発明に従う動植物着生用ブロック基材は,圧縮強度250〜330kgf/cm2 ,曲げ強度40〜50kgf/cm2 を示す硬化体製品となり得る。すなわち,普通コンクリートまたはモルタルと同等の強度特性を得ることか可能である。そして,図1に例示したように,硬化した線状体1は曲げ絡み合って部分的に結着した構造の立体形状を有するので,線状体1の間には多くの隙間を有している。この隙間の容積を空隙率として表すと,この空隙率は線状体1の曲げ絡み合いの程度を調節することによって自由に制御ができ,例えば空隙率20〜80%のブロック基材,好ましくはは空隙率30〜50%のブロック基材とすることができる。
【0023】
このような空隙率を有することにより,ブロック基材自身は軽量となるので運搬および施工に有利となり,しかもその空隙は植物の根部が生長する空間に利用することができるので,動植物着生用ブロック基材として有利である。また,この空間に必要に応じて土壌を装填することができる。
【0024】
本発明の動植物着生用ブロック基材を作るための,代表的な植物繊維入り生モルタルの材料配合例を挙げると,普通セメントを使用した場合には,例えば,
普通ポルトランドセメント:400Kg/m3±40Kg/m3
高炉スラグ粉末 :400Kg/m3±40Kg/m3
砂 :800Kg/m3±40Kg/m3
水 :350Kg/m3±40Kg/m3
植物短繊維(綿の場合) :20Kg/m3±5Kg/m3
混和剤として,
高性能減水剤(商品名8000ES) :6Kg/m3
増粘剤(商品名SFCA2000) :1.5Kg/m3
を例示できる。これによって気乾比重=1.9±0.1,湿潤比重=2.3±0.1の硬化体とすることができる。この硬化体は,圧縮強度300kgf/cm2 ±50kg/m3,曲げ強度45kgf/cm2 ±10kg/m3で,単位吸水率が20%±10%程度の保水性を示す硬化体となる。
【0025】
また,低pHセメントを使用する場合には,例えば
低pHセメント(商品名マグホワイト):500Kg/m3±50Kg/m3
黒土 :500Kg/m3±50Kg/m3
砂 :400Kg/m3±40Kg/m3
水 :420Kg/m3±40Kg/m3
植物短繊維(綿の場合) :20Kg/m3±5Kg/m3
混和剤として,
ソイルセメント用混和剤(商品名レオソイル100A):5Kg/m3±1Kg/m3
ソイルセメント用混和剤(商品名レオソイル100B):3Kg/m3±1Kg/m3
を例示できる。これによって気乾比重=1.5±0.2,湿潤比重=2.1±0.2の硬化体とすることができる。この硬化体は,圧縮強度300kgf/cm2 ±50kg/m3,曲げ強度45kgf/cm2 ±10kg/m3で,単位吸水率が30%±10%程度の保水性を示す硬化体となる。
【0026】
このようにして得られる保水性を示す硬化体は,その保水性能を透水係数,単位吸水量および単位脱水量を用いて表すと例えば次のような特異な値を示す。
透水係数:線状体自身0.0004〜0.0005cm/秒,空隙をもつブロック基材製品5〜10cm/秒
下記(1) の測定法に従う単位吸水量:100〜500L/m3。
下記(2) の測定法に従う単位脱水量:50〜150L/m3。
(1) 単位吸水量の測定法:直径10cmで高さ20cmの円柱供試体を110℃で湿度0%の乾燥器内にて絶乾状態としてその重量Wd(Kg)を測定し,絶乾状態の供試体全体に給水を24時間続けた時点での重量Ww(Kg)を測定し,(Ww−Wd)/Vを求める。
(2) 単位脱水量の測定法:直径10cmで高さ20cmの円柱供試体の全体を水中に重量変化が生じないまで浸漬して定重量Wc(Kg)を測定し,この定重量物を30℃の乾燥器内で24時間保持した時点での重量We(Kg)を測定し,(Wc−We)/Vを求める。Lはリットルを表示しているが,L/m3はKg/m3で表示することもできる。
【0027】
ちなみに,普通セメントモルタル硬化体(植物短繊維なし)の透水係数は0.00003〜0.00006cm/秒程度,前記(1) の測定法に従う単位吸水量は50〜100L/m3程度,前記(2) の測定法に従う単位脱水量は30〜60L/m3程度である。また,従来のポーラスコンクリートの本来の機能は,上方からの水が下方への簡単に抜ける(流下する)という透水性にあり,このために透水係数は例えば3.0〜5.0cm/秒と高いが,単位吸水量は75L/m3程度,単位脱水量は45L/m3程度である。本発明の植物繊維入りブロック基材も透水性を有するものではあるが,単位吸水量および単位脱水量が従来のポーラスコンクリートより高い値を示し,多く吸水して常時含水することができる。これは,植物短繊維の配合によってもたらされたものである。
【0028】
このようにして得られる本発明の動植物着生用ブロック基材は,例えば河川や農業用水等のコンクリート製の水路などにおいて,コンクリート部分に植物を自然な状態で繁殖させ且つ他の生物(小動物や微生物)等も生息できる環境を作り出すのに使用できる。そのために,本発明のブロック基材を施工現場で作製し,その現場のブロック基材に盛土し,さらに植栽,例えば播種または苗植え等してもよいが,予め規格品を工場生産して現場で据え付け施工することもできる。
【0029】
後者の場合,植栽を終えたブロックを現場に搬送して設置すれば,一層便利である。このためには,ノズル口から線状に押し出された植物繊維入り生モルタルの線状体を,箱型の型枠内で曲げ絡み合わせて立体形状となし,これを該型枠内で硬化させて該線状体同士が部分的に結着した捲縮体状の型枠付ブロックを形成したあと,この型枠付ブロック基材の上に土壌を敷設する。土壌は砂泥,人工培養土等を適宜選択することができる。そして,この土壌に播種し,施設内で発芽生育させ,このものを施工現場に搬送し,その現場で型枠を外して着生床として施設するというプレハブ方法で施工することができる。そのさい,土壌に播種する代わりに,土壌に苗植えすることも可能である。この場合には,苗を施設内で生育させるための養生を行ってもよいし,苗のまゝ施工現場に搬送することも可能である。型枠の材質は特に限定されないが,例えばダンボール紙で作ることも可能であり,ダンボール箱を用いるとブロック基材の製作・搬送,脱型の各操作が簡易且つ安価に行える。
【0030】
このような水路床板としては,線状体が曲げ絡み合った立体形状としてのブロック基材の大きさは施工現場に合わせて任意のものとすることができるが,線状体の直径が10〜15mmの場合,ブロックの外形として,厚さが80〜150mmで,一辺の長さが200〜800mmの範囲にある立方体形状のものが使い易い。
【0031】
ブロック基材に植栽する植物としては,通常の陸生植物でもよいが水生植物でもよい。河川や農業用水等のコンクリート製の水路の場合には例えばヒルガオ科の多年草のものが好適である。代表的なものとして草丈が3〜5cmで常緑種のダイカンドラがあり,これを着生させると水路床板を,自然の小川のように,緑化することができる。植物のみならず,本発明のブロック基材の土や泥中にはウナギ,ドジョウ,ヤゴ,カニ,ミミズ,タマムシ等や各種昆虫類の動物達が巣穴を作って生活する場が形成される。海水が存在する場所では各種の海藻類やゴカイその他の生物類の着生床となり得る。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によると,線状のセメント硬化体が曲げ絡み合った立体形状のブロック基材が得られ,この線状体自身が通常のコンクリートやモルタルと同様の強度を有しながら高い保水性を有し,且つ線状体の間には大きな空隙を有するので,動植物着生用に適したブロック基材が提供できる。このものは排水路等の床板に使用すると,自然の小川のように水路を緑化できる。また,このブロック基材は低pHとすることもできるので,植物や小動物等の生育に適した環境を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う動植物着生用ブロック基材の一例を示す略平面図である。
【図2】植物繊維入り生モルタルの線状体の製造例を示す略側面図である。
【図3】植物繊維入り生モルタルの線状体を型枠内に装填する例を示す略図である。
【図4】植物繊維入り生モルタルの線状体を型枠内に装填する他の例を示す略図である。
【符号の説明】
1 植物短繊維配合のセメント系硬化体からなる線状体
1’植物繊維入り生モルタルの線状体
2 動植物着生用ブロック基材
3 植物繊維入り生モルタル
4 グラウトポンプ
5,8 ノズル
10,11,12 型枠
Claims (9)
- 未だ固まらないモルタルまたはコンクリートの線状体を曲げ絡み合わせて立体形状となし,これを硬化させて該線状体同士が部分的に結着した捲縮体状のブロックを形成してなる動植物着生用ブロック基材であって,前記の線状体が植物短繊維を配合した保水性モルタルまたはコンクリートからなる動植物着生用ブロック基材。
- 植物短繊維の配合量が20Kg/m3以上で,線状体の径が5〜100mmである請求項1に記載の動植物着生用ブロック基材。
- モルタルまたはコンクリートはMgOおよびP2O5を主成分とする低pHセメントを結合材としたものである請求項1または2に記載の動植物着生用ブロック基材。
- 植物短繊維配合の未だ固まらない保水性モルタルまたはコンクリートの線状体を,箱型の型枠内で曲げ絡み合わせて立体形状となし,これを該型枠内で硬化させて該線状体同士が部分的に結着した捲縮体状の型枠付ブロックを形成してなる動植物着生用ブロック基材。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の動植物着生用ブロック基材を施工現場に搬送して据え付け,該ブロック基材に盛土する動植物着生法。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の動植物着生用ブロック基材を施工現場で作製し,該ブロック基材に盛土する動植物着生法。
- 盛土された動植物着生用ブロック基材に植栽する請求項5または6に記載の動植物着生法。
- 請求項4に記載の型枠付の動植物着生用ブロック基材の上に土壌を敷設し,この土壌に植栽し,施設現場に搬送し,施設現場において該型枠を外して該基材を着生床として施設する動植物着生法。
- 着生床は水路の床板に用いる請求項8に記載の動植物着生法。
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