JP4030321B2 - ハロゲン化アダマンタン類の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機能性材料や電子材料の原料として有用なハロゲン化アダマンタン類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アダマンタン誘導体は耐熱性に優れ透明性が高い特徴を有することから耐熱性高分子等の高機能性材料や半導体用レジスト等の電子材料に応用することが期待されている化合物である。なかでも、ハロゲン化アダマンタン類、すなわち、モノハロゲン化アダマンタン、ジハロゲン化アダマンタン、トリハロゲン化アダマンタン、テトラハロゲン化アダマンタン等のアダマンタン環の水素原子のうちの1個以上、好適には2〜4個がハロゲン原子により置換された化合物は、種々のアダマンタン誘導体を合成する原料として重要である。
【0003】
従来、こうしたハロゲン化アダマンタン類の好適な製造方法として、アダマンタンとクロロスルホン酸とを、特定の割合で混合し反応させる方法[Tetrahedron Letters 31,3191-3192(1972)]が報告されている。この方法は、アダマンタンからジクロロアダマンタン及びトリクロロアダマンタン等のハロゲン化アダマンタン類を高収率で得ることができて好適である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法により得られたハロゲン化アダマンタン類は、純度が今一歩十分でなく、通常、褐色または黒褐色に着色したものであった。これらの脱色を行うには再結晶やカラムクロマトグラフィーにより精製を行う必要があるが、再結晶では完全に脱色を行うには数回繰り返す必要があることが多く、また、クロマトグラフィーによる分離法は一度に少量しか処理できないため、生産性が低く時間もかかり、前記目的物を多量に製造するのには不向きであった。こうした着色は、目的化合物がトリハロゲン化アダマンタン等のハロゲン化の程度がより高い高次ハロゲン化体である場合には特に顕著であり、改善が望まれていた。
【0005】
さらに、上記反応は、反応性においても、改善の余地があった。すなわち、トリハロゲン化アダマンタン等のハロゲン化の程度が高い高次ハロゲン化体を得る場合には十分な収率で該化合物が得られず、特に、テトラクロロアダマンタン以上にハロゲン化された化合物については長時間反応させても僅かしか生成しないものであった。
【0006】
以上の背景にあって本発明は、アダマンタン類または低次アダマンタン類とハロスルホン酸とを反応させて該原料化合物のハロゲン化を行うに際して、高収率、高純度で目的化合物を得る方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ってきた。その結果、アダマンタン類または低次アダマンタン類とハロスルホン酸とを反応させる際に副生する硫酸が、副反応を誘起しハロゲン化反応を不安定にしていると推察し、この問題が反応系にハロスルホン酸塩を存在させることにより防止できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、アダマンタン類とハロスルホン酸とを、ハロスルホン酸塩の存在下で反応させることを特徴とするハロゲン化アダマンタン類の製造方法である。
【0009】
また、本発明は、低次ハロゲン化アダマンタン類とハロスルホン酸とを、ハロスルホン酸塩の存在下で反応させて高次ハロゲン化アダマンタン類を生成させることを特徴とするハロゲン化アダマンタン類の製造方法も提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において、原料化合物であるアダマンタン類とは、無置換体であるアダマンタンの他、アダマンタン環のハロゲン化反応を阻害しない種類、数の置換基を有する化合物である。置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、得にメチル基が好ましい。その置換数は、通常、1〜3個であり、得に1位に1個置換されているものが好ましい。
【0011】
また、低次ハロゲン化アダマンタン類とは、これらアダマンタン類が、目的とするハロゲン化アダマンタン類よりも低次にハロゲン化されているものであり、通常は、モノハロゲン化物、或いはジハロゲン化物が対象となる。
【0012】
本発明で使用するハロスルホン酸は、
XSO3H
(式中、Xはハロゲンを示す。)
で示される化合物である。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。具体的にはハロスルホン酸として、クロロスルホン酸、ブロモスルホン酸、ヨードスルホン酸等が挙げられ、入手の容易さから特にクロロスルホン酸が好ましい。
【0013】
本発明では、原料化合物が、上記アダマンタン類である場合は、これがハロゲン化されたハロゲン化アダマンタン類が製造され、同原料化合物が、低次ハロゲン化アダマンタン類である場合は、これが次位以上に高次にハロゲン化された高次ハロゲン化アダマンタン類が製造される。アダマンタン類および低次ハロゲン化アダマンタン類からなる原料化合物(以下、これらを「原料アダマンタン類」とも略称する)が、アダマンタンであれば、モノハロゲン化アダマンタン、ジハロゲン化アダマンタン、トリハロゲン化アダマンタン、テトラハロゲン化アダマンタン等が製造される。また、メチルアダマンタンであれば、モノハロゲン化メチルアダマンタン、ジハロゲン化メチルアダマンタン、トリハロゲン化メチルアダマンタン等が製造される。さらに、原料アダマンタンが低次ハロゲン化アダマンタンである場合も、これら例示化合物において、用いた原料アダマンタン類よりも、より高次にハロゲン化された化合物が製造される。
【0014】
本発明の効果が顕著に発揮される観点からは、生成させるハロゲン化アダマンタン類は、原料アダマンタン類として使用した化合物の次位よりもさらに高次にハロゲン化されたハロゲン化アダマンタン類であるのが好ましい。特に、原料アダマンタン類としてアダマンタンを用いた場合において、ジハロゲン化アダマンタン類以上の高次にハロゲン化されたハロゲン化体、最も好ましくはトリハロゲン化アダマンタン類以上の高次にハロゲン化されたハロゲン化体を製造するのが効果的である。
【0015】
本発明において、アダマンタン類に対するハロスルホン酸の使用量は、特に制限されるものではないが、後述するハロスルホン酸塩を生成させるために消費される量を除いて、アダマンタン類に対して置換するハロゲン数の2倍モル量以上、好適には2〜5倍モル量を使用するのが好ましい。原料アダマンタン類が、アダマンタン類である場合、目的化合物がジハロゲン化体であれば、前記ハロスルホン酸塩の生成量分を除いて、アダマンタン類に対して4〜10倍モル量使用し、同様に、目的化合物がトリハロゲン化体であれば、アダマンタン類に対して6〜15倍モル量使用し、さらに同様に、目的化合物がテトラハロゲン化体であれば、アダマンタン類に対して8〜20倍モル量使用するのが一般的である。
【0016】
アダマンタン類とハロスルホン酸との混合は、如何なる方法により行っても良いが、通常は、アダマンタン類またはその有機溶液に、ハロスルホン酸を滴下することにより行うのが好ましい。
【0017】
このアダマンタン類とハロスルホン酸との反応は、有機溶媒を使用しても、使用しなくても良い。有機溶媒を使用する場合、ハロゲン化反応を阻害しないものであれば制限なく使用できる。具体的には、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等の塩素系溶媒を使用するのが好ましい。
【0018】
本発明は、上記原料アダマンタン類とハロスルホン酸とを反応させて該原料アダマンタン類のハロゲン化を行うに際して、反応系にハロスルホン酸塩を存在させることを最大の特徴とする。ハロスルホン酸塩は、副生する硫酸に何らか影響して、その酸化反応性を弱めていると推定され、このため本発明では、製造されるハロゲン化アダマンタン類の純度が向上し、着色等が生じなくなる。また、反応性も向上し、特に、トリハロゲン化アダマンタン類、さらにはテトラハロゲン化アダマンタン類等の、よりハロゲン化の程度が高い化合物を製造する場合において、高収率で反応が実施できるようになる。
【0019】
反応系にハロスルホン酸塩を存在させる時期は、反応開始時だけでなく、反応の途中、すなわち、反応液中に、ハロゲン化反応に悪影響を及ぼすほどに硫酸濃度が高まった時点以降であってもよい。
【0020】
ここで、反応系にハロスルホン酸塩を存在させる方法は、反応系にハロスルホン酸塩を直接添加してもよいが、反応開始前または反応途中で、反応試剤であるハロスルホン酸の一部を上記塩に変化させて存在させるのが効率的である。ハロスルホン酸を塩に変化させる方法は、既知の塩の形成方法が制限なく採用でき、例えば、最も汎用的な塩の形成方法である、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを添加する方法により実施してもよい。この場合、塩と共に水が副生し、該水がハロスルホン酸と反応して、ハロスルホン酸を余分に消費するため、本発明では、以下詳述するように、ハロスルホン酸よりも弱酸の無機塩(以下、これらを単に「無機塩」とも略する)を添加してハロスルホン酸塩を形成させるのが好ましい。なお、ハロスルホン酸よりも強酸の無機塩では、ハロスルホン酸と混合しても塩が形成されず、本発明の目的はほとんど達成されない。
【0021】
上記ハロスルホン酸よりも弱酸の無機塩としては、公知のものが制限なく使用できる。具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硝酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属正塩;塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属正塩;塩化銅、硫酸銅、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化鉄、硫酸鉄等の遷移金属正塩;塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム等のアンモニウム正塩等の無機正塩が挙げられる。また、無機塩としては、前記アルカリと同様に水が生成する問題があるものの、塩化水酸化銅、塩化水酸化鉛等の無機水酸化物塩も十分使用可能である。さらに、無機塩としては、炭酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等の水素塩も使用可能である。上記無機塩のうちでも、無機正塩を用いるのが好ましく、コストや操作性の良さの他、ハロスルホン酸と反応しやすさからアルカリ金属正塩、得に、アルカリ金属硫酸塩やアルカリ金属のハロゲン化物を用いるのが好ましい。
【0022】
上記無機塩のうちの多くは、ハロスルホン酸と反応してハロスルホン酸塩を形成した際に、揮発性の酸(例えば、無機塩として塩酸の塩を使用した場合のHCl)や気体の酸性酸化物(例えば、無機塩として炭酸塩を使用した場合のCO2)を発生するため、こうした無機塩を使用した場合には、添加時に液が泡立ち、一般に発熱或いは吸熱を伴い、温度が変動するためハロゲン化反応が不安定になるおそれがある。したがって、このような性状の無機塩を使用する場合には、該無機塩は、反応途中に添加せずに、反応開始前に添加し、予めハロスルホン酸塩を形成させておくのが好ましい。
【0023】
他方、ハロスルホン酸と穏やかに反応する、硫酸ナトリウム等の硫酸塩や硝酸カリウム等の硝酸塩などの場合は、反応途中に添加しても差し支えない。しかし、無機塩の添加時期があまりに遅すぎても、本発明の効果を十分に発揮させることが難しくなるので、上記無機塩は、少なくとも最後段のハロゲン化反応が活発に生じ始める前には添加するのが好ましい。したがって、例えば、原料アダマンタン類がアダマンタン類であり、目的化合物がジハロゲン化アダマンタン類であれば、仕込んだアダマンタン類の粗方がモノハロゲン化アダマンタン類にハロゲン化されるまでに添加するのが好ましいことになる。目的化合物がさらにハロゲン化されたトリハロゲン化アダマンタン類であれば、無機塩は、ジハロゲン化反応がほぼ終了しトリハロゲン化反応が活発に生じ始めるまでに、添加するのが効果的である。
【0024】
ハロゲン化反応の進行程度は、反応液を経時的にサンプリングしてガスクロマトグラフィー等で分析することにより確認すればよい。原料アダマンタン類としてアダマンタン類を用い、ジハロゲン化アダマンタン類以上の高次にハロゲン化されたハロゲン化アダマンタン類を、有機溶媒を使用せずに製造する場合には、以下に詳述するごとくに反応液の外観を観察することで容易にハロゲン化の進行程度を確認することができる。
【0025】
すなわち、ハロスルホン酸には、室温付近では、アダマンタン類やジハロゲン化アダマンタン類の溶解度は極めて小さいのに対して、モノハロゲン化アダマンタン類の溶解度は大きいという特異な溶解性状を有している。したがって、有機溶媒を使用せず、反応試剤であるハロスルホン酸を反応媒体として反応を実施すると、反応液は反応開始当初は懸濁状態であるが、ハロゲン化が進みモノハロゲン化アダマンタン類が生成してくると、このものがハロスルホン酸に溶解していき、反応液は透明な均一溶液に変化する。よって、この時期を観察することにより、上記アダマンタン類の粗方がモノハロゲン化アダマンタン類にハロゲン化された時期を確認することができる。
【0026】
さらに、ジハロゲン化反応がほぼ終了した時期も、50℃以下ではハロスルホン酸に不溶性のジハロゲン化アダマンタン類が多量に生成してきて、反応液が再び懸濁状態になった時点として確認することができる。
【0027】
これら無機塩の添加方法も、特に制限されるものではなく適宜に実施すればよい。反応開始時に添加する場合であれば、アダマンタン類と無機塩を先に混合しておき、これに前記滴下等の手法によりハロスルホン酸を混合すればよい。また、反応途中に添加する場合は、所望時期に、一度にまたは徐々に、反応液に添加すればよい。なお、無機塩は、ハロスルホン酸と先に混合してハロスルホン酸塩としてから、残余のハロスルホン酸との混合物として、アタマンタン類に混合しても良い。
本発明において、ハロスルホン酸塩の存在量は、特に制限されるものではないが、副生する硫酸のモル量以上、好適には該硫酸のモル量と等量〜1.2倍量であるのが好ましい。例えば、原料アダマンタン類として、アダマンタン類を用い、トリハロゲン化アダマンタン類を得る場合、アダマンタン類に対して3〜4倍モル量の存在させるのが好ましい。
【0028】
本発明において反応温度は、特に制限されるものではなく、目的化合物やハロスルホン酸塩を存在させるための方法に応じて最適温度を選択すればよい。例えば、原料アダマンタン類がアダマンタン類であり、反応開始時に反応系に無機塩を添加する場合であれば、仕込んだアダマンタン類の粗方がモノハロゲン化アダマンタン類にハロゲン化されるまでは、アダマンタン類の昇華を防ぐため30〜40℃で反応を行い、目的化合物がさらに高次ハロゲン化体である場合には、その後75〜80℃に昇温して高次のハロゲン化反応を継続すればよい。また、反応途中に無機塩を添加する場合であれば、上記モノハロゲン化体が生成するまでは、副生硫酸による副反応を抑制するため、初期は0〜10℃で反応を行い、無機塩を添加した後は、前記と同様の温度条件で高次のハロゲン化反応を行えばよい。
【0029】
反応時間は、特に制限なく、反応が十分な転化率に達するまで行えば良い。通常は、8〜24時間で十分な転化率を得ることができる。
【0030】
反応液からの生成されたハロゲン化アダマンタン類の単離は、特に制限されるものではなく、公知の単離手法を適宜に実施すればよい。通常は、氷水を加えてハロスルホン酸を分解した後、クロロホルム等の有機溶媒により抽出し、水洗、溶媒を留去して乾燥し、必要により、へキサン等の有機溶媒で活性炭処理を行い、溶媒留去後、乾燥させる方法により実施するのが好ましい。また、こうした手法により得られたハロゲン化アダマンタン類の析出物は、さらに水洗、溶媒抽出、晶析する等して、より高度に精製しても良い。
【0031】
以上の反応に用いる設備は、ハロスルホン酸が水分と反応して分解し酸性ガスを発生するのを防ぐため、大気との接触を断つ構造を有するものであるのが好ましい。また、設備内部は、あらかじめ窒素等の不活性ガスで十分置換・乾燥しておき、反応中は密閉するか窒素等の不活性ガスを通気することにより反応を実施するのが望ましい。
【0032】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、高純度で着色のないハロゲン化アダマンタン類を製造することができる。また、反応性も、向上して、上記ハロゲン化アダマンタン類を高収率で製造することができる。特に、原料アダマンタン類としてアダマンタン類を用い、ジハロゲン化アダマンタン類以上の高次ハロゲン化アダマンタン類を製造する場合には効果が顕著であり、例えば、従来のアダマンタン類からのハロゲン化反応では、ほとんど有意な量製造することが困難であったテトラクロロアダマンタンも高い収率で得ることができる。
【0033】
本発明の方法により得られたハロゲン化アダマンタン類は、アルコールやアミン誘導体とすることで、耐熱性高分子等の機能性材料やレジスト等の電子材料などの原料として有効に使用することができる。
【0034】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明をさらに詳細に述べるが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0035】
実施例1
アダマンタン5.0g(0.037mol)を100mlの三つ口フラスコに入れ、窒素ガスを通じて乾燥させた。次に、T字管につなぎ換えて窒素をフローしたまま、温度を0℃まで冷却し、クロロスルホン酸34.3g(0.29mol)を滴下した。懸濁状となった反応液の温度を10℃まで上げると、2時間後溶液は透明の均一溶液となった。
【0036】
この時点で、反応液に硫酸ナトリウム8.5g(0.060mol、ナトリウムに対して0.12mol)を加え、温度を40℃まで上げ、8時間反応させた。反応液を氷水に注ぎ、水酸化ナトリウムで中和後、クロロホルムで抽出し、へキサンと溶媒置換し、活性炭を加えてろ過し、溶媒留去、乾燥させて7.1g(収率94%)の白色の固体を得た。なお、上記操作において、硫酸ナトリウムを添加した際、若干の発熱が観測され、溶解したことから、反応液にクロロスルホン酸ナトリウムが形成されたことが示唆される。
【0037】
この白色固体をガスクロマトグラフィー及びGC/MSにより分析したところ、ジクロロアダマンタンが96%であり、モノクロロアダマンタンとトリクロロアダマンタンが2%ずつであった。
【0038】
比較例1
実施例1において、反応液が透明になった時点で硫酸ナトリウムを添加しない以外は、実施例1と同様に操作し、7.0g(収率93%)の固体を得た。この固体は、薄い黄色であった。
【0039】
この固体の分析結果は、ジクロロアダマンタンが92%であり、モノクロロアダマンタンが2%、トリクロロアダマンタンが5%であった。
【0040】
実施例2
実施例1において、硫酸ナトリウムに代えて硫酸カリウム10.6gを用いる以外は、実施例1と同様に操作し、7.1g(収率94%)の白色の固体を得た。なお、反応液に硫酸カリウムを加えた際には、若干発熱した。
【0041】
上記白色固体の分析結果は、ジクロロアダマンタンが95%であり、モノクロロアダマンタンが3%、トリクロロアダマンタンが2%であった。
【0042】
実施例3
塩化ナトリウム8.6g(0.15mol)を100mlの三つ口フラスコに入れ、窒素ガスを通じて乾燥させた。次に、T字管につなぎ換えて窒素をフローしたまま、クロロスルホン酸51.7g(0.44mol)を滴下した。滴下後、混合液の泡立ちが収まった後、これにアダマンタン5.0g(0.037mol)を加え、温度を35℃まで上げ、2時間反応させた。その後、温度を80℃まで上げて、更に8時間反応させた。反応溶液を氷水に注ぎ、水酸化ナトリウムで中和後、クロロホルムで抽出し、へキサンと溶媒置換し、活性炭を加えてろ過し、溶媒留去、乾燥させて8.0g(収率91%)の白色の固体を得た。なお、上記操作において、塩化ナトリウムを添加した際、発熱して塩化水素ガスが発生したことから、反応液にクロロスルホン酸ナトリウムが形成されたことが示唆される。
【0043】
この白色固体の分析結果は、トリクロロアダマンタンが95%であり、ジクロロアダマンタンが5%であった。
【0044】
比較例2
実施例2において、クロロスルホン酸に塩化ナトリウムの滴下操作をしない以外はを添加しない以外は、実施例2と同様に操作し、7.7g(収率87%)の薄褐色の固体を得た。
【0045】
この固体の分析結果は、トリクロロアダマンタンが92%であり、モノクロロアダマンタンが2%、ジクロロアダマンタンが6%であった。
【0046】
実施例4
実施例3において、反応系への塩化ナトリウムの投下を、反応液が透明になった後に実施した以外は、実施例2と同様に操作し、7.9g(収率90%)の白色の固体を得た。
【0047】
この白色固体の分析結果は、トリクロロアダマンタンが96%であり、ジクロロアダマンタンが4%であった。
【0048】
実施例5
実施例1において、クロロスルホン酸を、ブロモスルホン酸59.6g(0.37mol)に変える以外は、同様に実施したところ、9.7g(収率90%)の白色の固体を得た。
【0049】
得られた白色固体の分析結果は、ジブロモアダマンタンが95%であり、モノブロモアダマンタンが3%、トリブロモアダマンタンが2%であった。
【0050】
実施例6
実施例3において、塩化ナトリウムの量を4.3g(0.074mol)とした以外は、実施例3と同様に操作し、7.9g(収率90%)の白色の固体を得た。
【0051】
この白色固体の分析結果は、トリクロロアダマンタンが94%であり、ジクロロアダマンタンが6%であった。
【0052】
実施例7
塩化ナトリウム8.6g(0.15mol)を100mlの三つ口フラスコに入れ、窒素ガスを通じて乾燥させた。次に、T字管につなぎ換えて窒素をフローしたまま、クロロスルホン酸87.6g(0.74mol)を滴下した。滴下後、混合液の泡立ちが収まった後、これにアダマンタン5.0g(0.037mol)を加え、温度を35℃まで上げ、2時間反応させた。その後、温度を80℃まで上げて、更に8時間反応させた後、温度を120℃まで上げて、激しく攪拌しながら更に8時間反応させた。反応溶液を氷水に注ぎ、水酸化ナトリウムで中和後、クロロホルムで抽出し、へキサンと溶媒置換し、活性炭を加えてろ過し、溶媒留去、乾燥させて9.2g(収率91%)の白色の固体を得た。なお、上記操作において、塩化ナトリウムを添加した際、発熱して塩化水素ガスが発生したことから、反応液にクロロスルホン酸ナトリウムが形成されたことが示唆される。
【0053】
この白色固体の分析結果は、テトラクロロアダマンタンが89%であり、トリクロロアダマンタンが10%であった。
【0054】
実施例8
実施例1において、アダマンタンを、1−メチルアダマンタン5.5gに変える以外は、同様に実施したところ、7.5g(収率93%)の白色の固体を得た。
【0055】
得られた白色固体の分析結果は、ジクロロメチルアダマンタンが95%であり、モノクロロメチルアダマンタンが3%、トリクロロメチルアダマンタンが1%であった。
【0056】
実施例9
実施例3において、塩化ナトリウムの使用量を6.5g(0.11mol)に変え、さらに、アダマンタン及びその使用量を、1−クロロアダマンタン6.3g(0.037mol)に変える以外は、実施例3と同様に実施したところ、8.1g(収率92%)の白色の固体を得た。
【0057】
この白色固体の分析結果は、トリクロロアダマンタンが95%であり、ジクロロアダマンタンが5%であった。
Claims (5)
- アダマンタン類とハロスルホン酸とを、ハロスルホン酸塩の存在下で反応させることを特徴とするハロゲン化アダマンタン類の製造方法。
- アダマンタン類とハロスルホン酸とを反応させ、ジハロゲン化アダマンタン類以上の高次ハロゲン化アダマンタン類を生成させる請求項1記載のハロゲン化アダマンタン類の製造方法。
- 低次ハロゲン化アダマンタン類とハロスルホン酸とを、ハロスルホン酸塩の存在下で反応させて高次ハロゲン化アダマンタン類を生成させることを特徴とするハロゲン化アダマンタン類の製造方法。
- 反応系に、ハロスルホン酸よりも弱酸の無機塩を添加することにより、ハロスルホン酸塩を存在させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のハロゲン化アダマンタン類の製造方法。
- ハロスルホン酸よりも弱酸の無機塩がアルカリ金属正塩である請求項1〜4のいずれか一項に記載のハロゲン化アダマンタン類の製造方法。
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